JP4230700B2 - 金属酸化物クラスターに基づく歯科材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合可能な金属酸化物クラスターに基づく歯科材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合可能な組成物は公知であり、これは、有機モノマーに加えて重合可能な金属化合物もまた含む。
【0003】
US2,502,411は、不飽和の重合可能な有機化合物に加えて、水溶性ジルコニウム塩を(メタ)アクリル酸の塩と反応させることによって得ることができるジルコニウムアクリレートを含む組成物を開示する。ジルコニウム化合物は、セラミック、金属およびセルロースの湿潤性を改善するといわれている。ジルコニウムアクリレートの構造の詳細は、提供されていない。
【0004】
DE 31 37 840 C2は、一般式Zr4(MAS)10O2X2(H2O)2-4の結晶ジルコニウムメタクリレートを開示する。ここで、MASは、メタクリル酸のアニオンであり、そして、Xは、ヒドロキシド基、アルコキシド基、ハライド基およびカルボキシレート基由来のアニオンである。この化合物は、ビニルモノマーのラジカル重合によるビニルポリマーの調製における架橋剤として適しているといわれている。
【0005】
Schubertら、Chem.Mater 4(1992)291は、メタクリレートで修飾されたチタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシド(これらは、対応する金属アルコラートとメタクリル酸との反応によって得られる)の調製および特徴付けを記載し、KickelbickおよびSchubert、Chem.Ber./Recueil 130(1997)473は、式Zr6(OH)4O4(OMc)12およびZr4O2(OMc)12(ここで、OMcは、メタクリル酸のアニオンである)の結晶オキソジルコニウムメタクリレートクラスターの調製および特徴付けを記載する。
【0006】
DE 41 33 494 C2は、重合可能なポリシロキサンに基づく歯科樹脂組成物を開示する。この重合可能なポリシロキサンは、1つ以上のシラン(このうちの少なくとも1つは、1,4,6−トリオキサスピロ−[4,4]−ノナン基またはエチレン性不飽和基(ethylenically unsaturated group)によって置換されている)の加水分解性縮合によって調製される。
【0007】
加水分解可能かつ重合可能なシランは、DE 44 16 857 C1から公知であり、このシランは、少なくとも1つのC=C二重結合および4〜50の炭素原子を有する、1つの直鎖または分枝状の有機基を含む。
【0008】
EP 1 022 012 A2およびUS 6,096,903は、重合可能かつ加水分解可能な、メタクリレートで修飾されたシランまたはオキセタン基を含むシランに基づく歯科材料を開示する。
【0009】
上記の型のシランは、単独でか、または別の加水分解的に縮合可能な化合物と共に縮合されて、無機ネットワーク(inorganic network)を形成し得、これは次いで、無機−有機ネットワークの形成を伴う、イオン重合またはラジカル重合によって、シラン中に含まれるC=C二重結合を介して硬化され得る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、改善された力学的性質を有する歯科材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
1つの局面において、本発明は、以下の一般式に従うクラスターを含む、歯科材料を提供する:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立して、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。
【0012】
1つの実施形態において、本発明は、変数が以下の意味を有することを特徴とする、上記の歯科材料を提供する:
M1、M2は、互いに独立して、Tiおよび/またはZrであり;
Rは、1〜4個の炭素原子、
特に1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、α−ヒドロキシカルボキシレート(−CH(OH)−COO-)、α−アミノカルボキシレート(−CH(NH2)−COO-)、β−ジケトネート([−C(−O-)=CH−C(=O)RK];RKは、アルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、特に好ましくはC1〜C3アルキル、特にメチル)、スルホネート(−SO3 -)またはホスホネート(−PO3 2-)、
特に好ましくはカルボキシレート(−COO-)であり;
Spは、1〜18個の炭素原子を有するアルキレン基、1〜18個の炭素原子および0〜6個の酸素原子を有するオキシアルキレン基、もしくは6〜14個の炭素原子を有するアリーレン基であり、
該スペーサーSpは、基O、S、CO−O、O−CO、CO−NH、NH−CO、O−CO−NH、NH−CO−OおよびNHのうちの1個以上、好ましくは0〜2個を含み得;
特に好ましくは、Spは、1〜6個、特に1〜3個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、もしくは存在せず;
Zは、エチレン性不飽和基、エポキシド、オキセタン、ビニルエーテル、1,3−ジオキソラン、スピロオルトエステル、
特に好ましくは、メタクリル基および/もしくはアクリル基であり;
aは、2〜11であり;
bは、0〜4である。
【0013】
1つの実施形態において、本発明は、L−Sp−Zが、アクリレート、メタクリレート、オレアート、アリルアセトアセテートおよび/またはアセトアセトキシエチルメタクリレートを表すことを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0014】
1つの実施形態において、本発明は、上記のクラスター1〜4が、L−Sp−Z型の種類の配位子を含むことを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0015】
1つの実施形態において、本発明は、上記のクラスターが、単分散の質量分布を有することを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、上記の添字c〜fが、前記金属の正電荷が完全に等化されるような値をとることを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、上記のM1が、M2と等しいことを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0018】
1つの実施形態において、本発明は、上記の材料が、1つ以上のさらなる重合可能な成分を含むことを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、上記のさらなる重合可能な成分が、重合可能なポリシロキサン、イオン重合可能および/もしくはラジカル重合可能な有機モノマーまたはこれらの混合物であることを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0020】
1つの実施形態において、本発明は、上記の材料が、イオン重合および/もしくはラジカル重合のための開始剤、フィラーならびに/またはさらなる添加物を含むことを特徴とする、上記の歯科材料を提供する。
【0021】
1つの実施形態において、本発明は、上記の材料が、上記の材料の全体の質量に対して、
(a)5〜90重量%の、式(I)に従う少なくとも1つのクラスター、
(b)10〜90重量%の、さらなる重合可能な成分、
(c)0.1〜5.0重量%の、重合開始剤、および
(d)0〜90重量%のフィラー
を含むことを特徴とする、上記の歯科材料を含む。
【0022】
1つの局面において、本発明は、歯科材料としてかまたは歯科材料の調製のための、以下の一般式のクラスターの使用を提供する:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立して、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。
【0023】
1つの実施形態において、本発明は、接着剤、コーティング材料、セメントまたは充填材料としての、上記の使用を提供する。
【0024】
1つの実施形態において、本発明は、歯科材料の製造方法であって、以下の一般式のクラスターを使用する工程を包含する、製造方法を提供する:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立し、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。
【0025】
1つの局面において、本発明は、上記の歯科材料が、接着剤、コーティング材料、セメントまたは充填材料である、上記の歯科材料の製造方法を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】
上記の目的は、以下の一般式:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立し、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立し、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数である、
に従う少なくとも1つのクラスターを含む、歯科材料によって達成される。
【0027】
添字a〜fのそれぞれの値は、金属および配位子の、型、数および結合価によって変化し得る。添字c、d、eおよびfは、好ましくは、金属M1およびM2の正電荷が完全に等化され、そしてこのクラスターが中性であるような値を想定する。しかし、このクラスターはまた、正にも負にも荷電され得る。この場合、クラスターの電荷は、例えば、H+、アルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオン、NH4 +、NRθ 4 +(Rθは、アルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、)、またはOH-、R’−COO-(R’は、アルキル、好ましくはC1〜C10アルキル、特に好ましくはC1〜C4アルキル)、またはハライド(好ましくはF-またはCl-)のような適切な対イオンによって補正される。クラスター(I)は、例えば、−4〜+4、特に+1〜+4の電荷を有する。
【0028】
L基は、キレート化または架橋することができる。すなわち、L基の錯化中心は、同じ金属原子、または好ましくは2つ以上の異なる金属原子と結合され得る。
【0029】
配位子(L−Sp−Z)は、中性であり得るか、または負電荷を有する。中性の配位子または一荷〜三荷の負電荷を有する配位子が、好ましい。
【0030】
このクラスター中に存在する配位子(L−Sp−Z)は、同じであっても、異なってもよい。1〜4種類、好ましくは1〜2種類の配位子(L−Sp−Z)を含むクラスターが、好ましい。例えば、クラスターZr4O2(メタクリレート)12において2つのメタクリレート配位子は、アリルアセトアセテートによって置換され得る。生じるクラスターは、式Zr4O2(メタクリレート)12(アリルアセトアセテート)2を有し、メタクリレートおよびアリルアセトアセテートの両方は、(L−Sp−Z)型の配位子である。すなわち、このクラスターは、2種類の(L−Sp−Z)型の配位子を含む。
【0031】
アルコキシ基を小さい割合(d>e)でのみ含むクラスターが、好ましい。好ましくは、e≦(a+b)、特に好ましくはe=0である。
【0032】
個々の変数に関する好ましい定義(これらは、互いに独立して選択され得る)は、以下である:
M1、M2は、互いに独立し、Tiおよび/またはZrであり;
Rは、1〜4の炭素原子、特に1〜2の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、α−ヒドロキシカルボキシレート(−CH(OH)−COO-)、α−アミノカルボキシレート(−CH(NH2)−COO-)、β−ジケトネート([−C(−O-)=CH−C(=O)RK];RKは、アルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、特に好ましくはC1〜C3アルキル、特にメチル)、スルホネート(−SO3 -)またはホスホネート(−PO3 2-)、特に好ましくはカルボキシレート(−COO-)であり;
Spは、1〜18の炭素原子を有するアルキレン基、1〜18の炭素原子および0〜6の酸素原子を有するオキシアルキレン基、もしくは6〜14の炭素原子を有するアリーレン基であり、このスペーサーSpは、基O、S、CO−O、O−CO、CO−NH、NH−CO、O−CO−NH、NH−CO−OおよびNHの1つ以上、好ましくは0〜2個を含み得;特に好ましくは、Spは、1〜6、特に1〜3の炭素原子を有するアルキレン基であるか、もしくは存在せず;
Zは、エチレン性不飽和基、エポキシド、オキセタン、ビニルエーテル、1,3−ジオキソラン、スピロオルトエステル、特に好ましくは、メタクリル基および/もしくはアクリル基であり;
aは、2〜11であり;
bは、0〜4である。
【0033】
添字c、d、eおよびfの値はまた、金属原子の数および電荷と関連する。好ましくは、これらの値は、クラスターの電荷が、等化されるような値を想定する。cの代表的な値は、好ましいクラスターの場合1〜11、特に2〜5であり、dおよびeの代表的な値は、0〜10、特に0〜8であり、fの代表的な値は、4〜20、特に6〜15である。
【0034】
特に好ましい変数に従って、M1はM2である。M1およびM2が各々ジルコニウムであるクラスターは、特に好ましい。
【0035】
重合可能なZ基は、好ましくは、直接かまたはカルボキシレート基を介した短いスペーサーによって、金属中心に結合される。
【0036】
(L−Sp−Z)型の特に好ましい配位子は、アクリレート、メタクリレート、オレエート、アリルアセトアセテートおよびアセトアセトキシエチルメタクリレートである。
【0037】
特に好ましいクラスターは、以下のとおりである:
【0038】
【化1】
各場合においてOMcは、メタクリレート基を表す。メタクリレート基の代わりにアクリレート基を含むクラスターは、同様に好ましい。
【0039】
式(I)に従うクラスターは、金属アルコキシドと適切な重合可能な配位子とを(必要に応じて、水を添加して)反応させることにより調製され得る。例えば、ジルコニウム(IV)−プロポキシド(Zr(O−C3H7)4)と4倍モル過剰のメタクリル酸(HOMc)との反応により、組成Zr4O2(OMc)12のクラスターが生成される(G.Kickelbick,U.Schubert,Chem.Ber./Recueil 130(1997)473):
【0040】
【化2】
さらに、適切なクラスターは、配位子を重合可能な配位子と交換することにより調製され得る。例えば、酸化チタンクラスターTiaOc(OOCRα)eと不飽和カルボン酸(HOOCRβ)との反応により、組成TiaOc(OOCRα)e-u(OOCRβ)uのクラスターが生成される。具体的には、カルボン酸チタンクラスターTi6O4(OC2H5)8(アセテート)8とメタクリル酸(HOMc)との反応により、クラスターTi6O4(OC2H5)8(アセテート)8-u(OMc)uが生成される。
【0041】
あるいは、適切なクラスターは、無機クラスターの誘導体化により得られ得る。例えば、SiW11O39 8-と、トリクロロシランまたはトリエトキシシランRγSiQ3(Q=ClまたはOC2H5)(ここで、Rγは、重合可能な基を含む)との反応により、組成SiW11O39(OSi2R2)4-の重合可能なクラスターが生成される。
【0042】
式(I)に従うクラスターは、単独で、または好ましくは他の重合可能な成分と組合わせて、機械的に安定な層、成形ボディー(molded body)およびフィラーを形成するために、重合により処理され得る高反応性の物質を示す。これらは、溶媒によって溶解され得るごく小さな割合のモノマーおよび湿潤条件ですら高い安定性により特徴付けられる。硬化材料の機械的特性は、水中保存により損なわれない。
【0043】
硬化に関して、イオン重合またはラジカル重合の開始剤は、好ましくは、重合可能なクラスター、またはこのクラスターと他の重合可能な成分との混合物に添加される。使用される開始剤の型に依存して、重合は、UV光または可視光により熱的に開始され得る。さらに、この混合物は、例えば、着色料(顔料または染料)、安定化剤、矯味矯臭剤、殺菌活性成分、可塑剤および/またはUV吸収剤のようなさらなる添加剤を含み得る。式(I)に従うクラスターおよびそれらの混合物は、特に、歯科材料として使用するため、または歯科材料の調製のために適切である。歯科材料は、好ましくは、接着剤、コーティング材料、セメント、および特に充填材料を意味する。
【0044】
式(I)に従うクラスターは、それらが高分子量であるためにわずかに低揮発性を有し、従って、たいてい安全に処理され得る。硬化材料の架橋密度、従って機械的特性(例えば、E−モジュールおよび強度)および有機溶媒中での膨潤挙動は、クラスターのサイズおよび構造ならびに重合可能な基の数によって、選択的に設定され得る。クラスターのサイズおよび構造ならびに金属原子1つあたりの重合可能な基の数は、合成パラメーターの変化によりモニターされ得る。クラスターのサイズおよび構造は、金属酸化物 対 抽出混合物(educt mixture)中の配位子の比により支配され、使用したアルコキシドM1(OR)nまたはM2(OR)n中の基Rの性質によっても支配される。さらに、強度および可撓性のような機械的特性は、金属中心と重合可能な基との間の距離によって(すなわち、スペーサー基−Sp−の長さによって)影響が及ぼされ得る。
【0045】
式(I)に従うクラスターの場合、重合可能な基は、緻密な粒子状クラスター構造に固定される。この結果、重合の際に、高い架橋密度を有する剛性の生成物が得られる。このクラスターは、規定された空間的構造およびサイズを有する三次元分子を示し、そして他の成分との共重合の際に最適な架橋密度を、課題となっている目的のために設定することが可能である。クラスターの構造は、ポリマーネットワークへのクラスターの完全な組み込みを保証する。これは、重合可能な有機配位子全てについて均一な環境を確実にし、その結果、これらの配位子は、有機コモノマーとの反応に関して実質的に等価である。これらのコモノマーは、各配位子周辺の均一なポリマー構造の発生を生じる。
【0046】
さらに、摩耗性または光学的特性(例えば、屈折率のような)を、金属原子の型および数によって変化させ得る。
【0047】
クラスターが可溶性である物質(すなわち、特に液体材料)は、さらなる重合可能な成分として好ましい。ラジカル重合可能なまたはイオン重合可能なモノ官能性化合物および多官能性化合物は、本明細書中では、特に重合可能な有機モノマーならびに重合可能な基を有するシランおよびポリシロキサン、ならびにこれらの化合物の混合物であると主に考えられ得る。
【0048】
エチレン性の(ethylenically)不飽和有機モノマー(特に、単独でまたは混合物で使用され得るモノ官能性メタクリレートまたは多官能性メタクリレート)は、重合可能な有機モノマーとして好ましい。モノ(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート)および多官能性(メタ)アクリレート(例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルプロパン(ビス−GMA)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ならびにイソシアネート(特に、ジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネート)とOH基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物は、これらの化合物の好ましい例であると考えられ得る。これらの例は、1mol 2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと、2mol 2−ヒドロキシエチレンメタクリレート(UDMA)または2mol ヒドロキシプロピルメタクリレートとの反応生成物、ならびに2mol グリセリンジメタクリレートと、1mol 2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたはα,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレン−m−ジイソシアネートとの反応生成物である。多官能性(メタ)アクリレートの使用が特に好ましい。多官能性化合物は、いくつかの重合可能な基を有する化合物を意味する。
【0049】
さらに好ましい重合可能な有機モノマーは、カチオン重合可能なモノ官能性モノマーまたは多官能性モノマー(例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,10−デカンジイルビス(オキシメチレン)ビス(3−エチルオキセタン)および3,3−(4−キシリレンジオキシ)−ビス−(メチル−3−エチル−オキセタン))である。
【0050】
重合可能な基(好ましくは、(メタ)アクリル基)またはカチオン重合可能な基(好ましくは、エポキシド、オキセタン、スピロオルトエステルまたはビニルエーテル基)を有する化合物は、重合可能なシランおよびポリシロキサンとして特に適切である。適切なシランおよびポリシロキサンならびにそれらの調製物は、DE4133494C2、DE4416857C1、EP1022012A2およびUS6,096,903に記載されている。好ましいシランを以下に列挙する。これらのシランを基本としたポリシロキサンが特に好ましく、これらのポリシロキサンは、ホモ縮合体および共縮合体の形態で存在し得る。
【0051】
一般式(1)のシランが好ましい。
【0052】
【化3】
ここで、基X1、Y1およびR1は、同じであるかまたは異なっており、そして以下の意味を有する:
R1=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、
X1=水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはNRδ 2(ここで、Rδ=水素、アルキルまたはアリール)、
Y1=置換されたかまたは置換されていない1,4,6−トリオキサスピロ−[4,4]−ノナン基を含む置換基、
n1=1、2または3、
m1=1、2または3(ここで、n1+m1≦4)。
そして一般式(2)のシランは、
【0053】
【化4】
ここで、基A1、R1、R2およびX1は、同じであるかまたは異なっており、そして以下の意味を有する:
A1=O、S、PRΕ、PORΕ、NHC(O)OまたはNHC(O)ONRE(ここで、RΕ=水素、アルキルまたはアリール)、
B1=化合物B1から誘導された直鎖状または分枝状の有機基(少なくとも1(すなわち、l=1およびA=NHC(O)OまたはNHC(O)NRζ)または少なくとも2つのC=C二重結合および5〜50の炭素原子を有する)(ここで、Rζ=水素、アルキルまたはアリール)、
R1=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、
R2=アルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリーレン、
X1=水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはNRδ 2(ここでRδ=水素、アルキルまたはアリール)
n1=1、2または3、
k1=0、1または2、
l=0または1、
X1=整数(化合物B1中の二重結合の数−1に対応するか、またはl=1およびAがNHC(O)OまたはNHC(O)ONRΕを表す場合の化合物B1中の二重結合の数に等しい最大値)。
【0054】
一般式(1)および(2)のシランは、加水分解可能かつ重合可能であり、基X1は加水分解可能であり、そして基B1およびY1は重合可能であり、そして各々の場合において、上記で指定した意味を有する少なくとも1つの基B1、X1およびY1は、一般式(1)および(2)のシラン中に存在する。シラン(1)および/または(2)に基づくポリシロキサンは、好ましい重合可能成分である。
【0055】
化合物(1)および(2)のアルキル基は、例えば、1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環状の基であり、そして1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基が、特に好ましい。特別な例は、メチル、エチル、N−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシルおよびオクタデシルである。
【0056】
アルケニル基は、例えば、2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環状の基であり、そして2〜6個の炭素原子を有する低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリルまたは2−ブテニル)が、特に好ましい。
【0057】
好ましいアリール基は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0058】
アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアミノ基は、好ましくは上記で指定したアルキルおよびアリール基から誘導される。特別の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびi−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシおよびt−ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチルアニリノ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジル、2−フェニルエチルおよびトリルである。
【0059】
指定された基は、必要に応じて1つ以上の置換基(例えば、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アミド、ヒドロキシ、ホルミル、カルボキシ、メルカプト、シアノ、イソシアネート、ニトロ、エポキシ、SO3HおよびPO4H2)を有し得る。
【0060】
ハロゲンのうち、フッ素、塩素および臭素が好ましい。
【0061】
置換されたかまたは未置換の1,4,6−トリオキサスピロ[4,4]−ノナン基は、アルキレン基を介してか、またはアルケニレン基を介してSi原子に結合し、これはエーテル基またはエステル基によって中断され得る。
【0062】
以下の一般式(3):
【0063】
【化5】
に従うシランならびにこのシランに基づくポリシロキサンがさらに好ましく、ここで、この基および添字は以下の意味を有する:
B2=少なくとも1つのC=C二重結合および4〜50個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状の有機基;
X2=水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、またはNR7 2;
R6=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル;
R5=各々の場合に0〜10個の炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アリーレンアルキレン、またはアルキレンアリーレンであり、これらの基は、酸素原子および硫黄原子によって、またはアミノ基によって中断され得る;
R7=水素、アルキルまたはアリール;
A2=O、SまたはNH(d1=1かつZ1=COかつR3=各々の場合において1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリーレン(これらの基は、酸素原子および硫黄原子によって、またはアミノ基によって中断され得る)、かつR4=COOHの場合);あるいは
A2=O、SまたはNH(d1=1かつZ1=COかつR3=各々の場合において1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリーレン(これらの基は、酸素原子および硫黄原子によって、またはアミノ基によって中断され得る)、かつR4=Hの場合);あるいは
A2=O、S、NHまたはCOO(d1=1かつZ1=CHRη(Rηは、H、アルキル、アリールまたはアルキルアリールに等しい)、かつR3=各場合において1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリーレン(これらの基は、酸素原子および硫黄原子によって、またはアミノ基によって中断され得る)、かつR4=OHの場合);あるいは
A2=O、S、NHまたはCOO(d1=0かつR3=各々の場合において1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリーレン(これらの基は、酸素原子および硫黄原子によって、またはアミノ基によって中断され得る)、かつR4=OHの場合);あるいは
A2=S(d1=1かつZ2=COかつR3=NかつR4=Hの場合);
a1=1、2または3;
b1=0、1または2;
a1+b1=3;
c1=1、2、3または4。
【0064】
式(3)のシランは、基B2を介して重合可能であり、そして基X2を介して加水分解可能である。
【0065】
必要に応じて存在するアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびアミノ基は、式(1)および(2)について規定した意味を有する。
【0066】
a1≧2またはb1=2の場合、基X2およびR7は、各々の場合において、同じかまたは異なる意味を有し得る。基B2は、少なくとも1つのC=C二重結合(例えば、ビニル、アルキル、アクリルおよび/またはメタクリル基)、および4〜50個、好ましくは6〜30個の炭素原子を有する、置換されたかまたは未置換の化合物B2(A2H)c1から誘導される。好ましくは、B2は、2つ以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する、置換されたかまたは未置換の化合物から誘導される。このような化合物はまた、(メタ)アクリレートといわれる。化合物B2(A2H)c1が置換されている場合、この置換基は、上記で指定された置換基から選択され得る。基−A2Hは、−OH、−SH、−NH2または−COOHであり得、そしてcは、1〜4の値を想定し得る。
【0067】
以下の式(4):
【0068】
【化6】
に従うシランおよびこれらに基づくポリシロキサンは特に好ましく、ここで、
X3は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基および/またはアシルオキシ基を表し;
n2は、1〜3に等しく;
R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基を表し;
R9は、アルキレン基を表し;
R10は、2〜40個の炭素原子および必要に応じて1〜6個のヘテロ原子を有する、p回置換された、直鎖状、分枝状または環状の、飽和または不飽和の、芳香族または脂肪族の有機基を表し;
R13は、1〜20個の炭素原子を有し、q回置換された、直鎖状、分枝状または環状の有機基を表すか、または存在せず;
pは、1または2に等しく;
qは、1〜6に等しく;
Y2は、−NR11−、Nまたは−(C=O)−NH−を表し;
m2は、Y2=Nの場合に2に等しく、そしてY=−NR11−または−(C=O)−NH−の場合に1に等しく;
R11は、アルキル基またはアリール基を表し;
Z2は、O、S、−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−、−O−(C=O)−NH−を表すか、または存在せず;
Wは、CH2=CR12−(C=O)−O−を表し;そして
R12は、水素原子またはアルキル基を表す。
【0069】
適切なヘテロ原子は、リンであり、そして好ましくは酸素である。
【0070】
式(4)と関連して、アルキル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基およびアルキレン基によって、好ましくは1〜25個の炭素原子、特に好ましくは1〜10個の炭素原子、および非常に特に好ましくは1〜4個の炭素原子を含み、そして必要に応じて1つ以上の置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基またはアルキルオキシ基)を有する基を意味する。アリールによって、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する基または置換基を意味し、そして上記のように置換され得る。上記の定義はまた、複合の基(例えば、アルキルアリール基およびアリールアルキル基)に適用される。従って、アルキルアリール基は、例えば上記で定義されたアルキル基で置換された上記で定義されたアリール基を示す。
【0071】
アルキル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニル基およびアルキレン基は、直鎖状、分枝状または環状であり得る。
【0072】
式(4)の個々の変数についての、互いに独立して選択され得る好ましい定義は、以下である:
X3=メトキシ基および/またはエトキシ基;
n2=2または3;
R8=C1〜C3アルキル基、特にメチル基;
R9=C1〜C4アルキレン基;
R10=2〜10個の炭素原子および必要に応じてヘテロ原子(好ましくは酸素原子)を有する、p回置換された、直鎖状、分枝状または環状の、飽和または不飽和の、芳香族または脂肪族の有機基であり、特に好ましくは、C1〜C4アルケニレン基または4〜10個、特に5〜8個の炭素原子を有する単環式基;
R13=1〜4個の炭素原子を有する、q回置換された、直鎖状、分枝状または環状の有機基であり、特に好ましくは、C1〜C3アルキレン基;
p=1または2、特に1;
q=1または2;
Y2=Nまたは−(C=O)−NH−;
Z2=−(C=O)−;そして/あるいは
R12=水素原子またはメチル基。
【0073】
以下の一般式(5):
【0074】
【化7】
に従う加水分解可能かつ重合可能なオキセタンシランおよびその立体異性体、ならびにこれらに基づくポリシロキサンはさらに好ましく、他に記載しない限り、この変数R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、X4、Y3、a2、b2、c2およびx2は、互いに独立して以下の意味を有する:
R14=水素、あるいは置換されたかまたは未置換のC1〜C10アルキルであり;
R15=存在しないか、あるいは置換されたかまたは未置換の、C1〜C18アルキレン、C6〜C18アリーレン、C7〜C18アルキレンアリーレンまたはアリーレンアルキレン(これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得る)であり;
R16=存在しないか、あるいは置換されたかまたは未置換の、C1〜C18アルキレン、C6〜C18アリーレン、C7〜C18アルキレンアリーレンまたはC7〜C18アリーレンアルキレン(これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得るか、あるいはこれらを末端位置に有し得る)であり;
R17=存在しないか、あるいは置換されたかまたは未置換の、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキルアリールまたはC7〜C18アリールアルキル(これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得る)であり;
R18=存在しないか、あるいは置換されたかまたは未置換の、−CHR20−CHR20−、−CHR20−CHR20−S−R19−、−S−R19−、−Y3−CO−NH−R19−または−CO−O−R19−であり;
R19=置換されたかまたは未置換の、C1〜C18アルキレン、C6〜C18アリーレン、C6〜C18アルキレンアリーレンまたはC6〜C18アリーレンアルキレン(これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得る)であり;
R20=水素、あるいは置換されたかまたは未置換の、C1〜C18アルキルまたはC6〜C10アリールであり;
X4=加水分解可能な基、すなわちハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシまたはアシルオキシであり;
Y3=OまたはSであり;
a2=1、2または3であり;
b2=1、2または3であり;
c2=1〜6であり;そして
x2=1、2または3であり;
そして以下の条件を有する:(i)a2+x2=2、3または4、および(ii)a2および/またはb2=1。
【0075】
しかし、上記の式は、原子価の原則に適合する化合物のみを含む。
【0076】
通常は、式(5)に従うシランは、立体異性体混合物として、そして特にラセミ化合物として存在する。
【0077】
これらのエーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基は、式(5)の基が以下の式によって定義される場合におそらく存在する:−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−CS−O−、−O−CS−、−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CO−NH−および−NH−CO−O−。
【0078】
式(5)において存在し得る非芳香族基または基の非芳香族部分は、直鎖状、分枝状または環状であり得る。
【0079】
式(5)に従うシランにおいては、存在する任意のアルキル基は、好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。可能なアルキル基の特定の例は、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシルならびにオクタデシルである。
【0080】
式(5)に従うシランにおいては、存在する任意のアルケニル基は、好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。可能なアルケニル基の特定の例は、ビニル、アリルおよびイソブテニルである。
【0081】
式(5)の可能なアリール基の好ましい例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。可能なアルコキシ基の特定の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびtert−ブトキシである。アシルオキシ基は、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する。特定の例は、アセチルオキシおよびプロピオニルオキシである。
【0082】
式(5)の好ましいアルキレン基は、上記の好ましいアルキル基から誘導され、そして好ましいアリーレン基は、上記の好ましいアリール基から誘導される。非芳香族部分および芳香族部分の組み合わせからなる好ましい基は、上記の好ましいアルキル基およびアリール基から誘導される。この特定の例は、ベンジル、2−フェニルエチルおよびトリルである。
【0083】
式(5)の指定された置換したR基は、1つ以上の単一の置換基を保有する。これらの置換基の例は、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシ、エトキシ、塩素、臭素、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ビニルオキシ、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、アリル、スチリル、エポキシ、カルボキシル、SO3H、PO3H2またはPO4H2である。
【0084】
a2、b2、c2またはx2≧2について、基X4および個々のR基は、各々の場合において、同一または異なる意味を有し得る。
【0085】
さらに、上記の式(5)の変数について存在する好ましい定義は、他に記載しない限り、互いに独立して選択され得、そして以下の通りである:
R14=水素またはC1〜C5アルキル;
R15=C1〜C8アルキレン;これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得る;
R16=存在しないか、またはC1〜C8アルキレン;これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得るか、またはこれらを末端の位置に保有し得る;
R17=存在しないか、またはメチル、エチルもしくはフェニル;
R18=存在しないか、または−CHR20−CHR20−、−S−R19−、−Y−CO−NH−R19−もしくは−CO−O−R19−;
R19=C1〜C8アルキレン;これらの基は、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基から選択される少なくとも1つの基によって中断され得る;
R20=水素またはC1〜C5アルキル;
X4=メトキシ、エトキシまたは塩素;
Y3=OまたはS;
a2=1;
b2=1;
c2=1〜6;
x2=2または3;そして/または
a2+x2=3。
【0086】
次いで、個々のR基は、単一の置換基を保有し得る。
【0087】
従って、式(5)に従う好ましい化合物は、式(5)の少なくとも1つの変数が、上記の好ましい定義に一致する化合物である。
【0088】
さらに、添字a2、b2および/またはc2が値1を有する式(5)のオキセタンシランが好ましい。
【0089】
シラン(5)は、オキセタン基を介して重合可能であり、そして基X4を介して加水分解可能である。
【0090】
上記のシランは、単独あるいは他の加水分解的に縮合可能なケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、スズ、バナジウムおよび/またはリンの化合物とともに処理されて、ポリシロキサンを形成し得る。これらのさらなる化合物は、それ自体でまたはすでに予備縮合された(pre−condensed)形態のいずれかで使用され得る。
【0091】
さらなる好ましい加水分解可能なケイ素の化合物は、一般式(6):
【0092】
【化8】
のシランであり、ここで
R21は、C1〜C8アルキル基、C2〜C12アルケニル基またはC6〜C14アリール基を意味し;
R22は、C1〜C8アルキレン基、C2〜C12アルケニレン基またはC6〜C14アリーレン基を意味し;
X5は、水素原子もしくはハロゲン原子またはC1〜C8アルコキシ基を意味し;
Z3は、グリシジル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基またはビニルエーテル基を意味し;
k2は、0、1、2または3に等しく;
m3は、0、1、2または3に等しく;そして
k2+m3は、0、1、2または3に等しい。
【0093】
個々の変数に対する好ましい定義(これらは、お互いに独立して選択され得る)は以下である:
R21=C1〜C3アルキル基、C2〜C5アルケニル基またはフェニル基;
R22=C1〜C5アルキレン基、C2〜C5アルケニレン基またはフェニレン基;
X5=ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基;
Z3=アクリル基またはメタクリル基;
k2=0および1;
m3=0および1;
k2+m3=0、1または2。
【0094】
このようなシランは、DE 34 07 087 A1における実施例に記載される。
【0095】
指定されたシランとの縮合のための好ましいジルコニウム化合物、チタン化合物は、式(7):
【0096】
【化9】
に従う化合物であり、ここで
Meは、ZrまたはTiを意味し;
R23は、水素原子、置換もしくは非置換C1〜C12アルキル基、C1〜C15アルキルアリール基またはC6〜C14アリール基を意味し;
X6は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1〜C8アルコキシ基を意味し;
Yは、1〜4に等しく;
zは、0〜3に等しい。
【0097】
個々の変数に対する好ましい定義(これらは、お互いに独立して選択され得る)は、以下である:
R23=C1〜C5アルキル基またはフェニル基;
X6=ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基;
y=4;
z=0または1、特に0。
【0098】
特に好ましいジルコニウム化合物およびチタン化合物は、ZrCl4、Zr(OC2H5)4、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4、ZrOCl2、TiCl4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4およびTi(OC4H9)4である。
【0099】
好ましいアルミニウム化合物は、式(8):
【0100】
【化10】
に従う化合物であり、ここで
R24は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1〜C8アルコキシ基を意味し、好ましくはハロゲン原子またはC1〜C5アルコキシ基を意味する。
【0101】
特に好ましいアルミニウム化合物は、Al(OCH3)3、Al(OC2H5)3、Al(OC3H7)3、Al(OC4H9)3およびAlCl3である。
【0102】
さらに、ホウ素トリハライド、スズテトラハライド、スズテトラアルコキシドおよび/またはバナジル化合物が、上記のシランとの共縮合に適切である。
【0103】
この材料の硬化は、使用される開始剤に依存して、熱重合、光化学重合、酸化還元誘導重合によって起こる。
【0104】
過酸化物、特に過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクタン酸tert−ブチルおよび過安息香酸tert−ブチルが、熱硬化系のための開始剤として好ましい。さらに、アゾビスイソブチロエチルエステル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾピナコールおよび2,2’−ジアルキルキルベンゾピナコールが適切である。
【0105】
ラジカル供給系(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルまたは好ましくは過酸化ジベンゾイル)は、アミン(例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−sym−キシリジンまたは他の構造的に関連するアミン)とともに、低温重合のための開始剤として使用される。アミンおよび過酸化物は、通常、歯科材料の2つの異なる成分にわたって分配される。アミン含有ベースペーストと過酸化物含有開始剤ペーストとの混合の際に、アミンと過酸化物との反応によってラジカル重合が開始される。
【0106】
ベンゾフェノンおよびその誘導体ならびにベンゾインおよびその誘導体は、例えば光重合の開始剤として使用され得る。さらに好ましい光開始剤は、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル(anisil)、4,4’−ジクロロベンジルおよび4,4’−ジアルコキシベンジル)である。カンファーキノンおよび2,2−メトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、および特に、還元剤としてのアミンとの組み合わせにおけるα−ジケトンが、特に好ましく使用される。好ましいアミンは、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym−キシリジンおよびトリエタノールアミンである。さらに、アシルホスフィン(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシドなど)がまた、光開始剤として特に適切である。
【0107】
カチオンにより重合可能な系を硬化するために、ジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはヘキサフルオロアンチモネートなど)、ならびにWO96/13538およびWO98/47047に記載の光開始剤系が特に適切である。
【0108】
さらに、この混合物は、機械的性質を向上させるために有機もしくは無機の粒子または繊維で充填され得る。特に、0.005〜2.0μm、好ましくは0.1〜1μmの平均粒子径を有する、SiO2、ZrO2および/またはTiO2の混合酸化物に基づく非晶質球状の材料(例えば、DE−PS 32 47 800に開示される)、超微粒子フィラー(例えば、熱分解ケイ酸または析出ケイ酸)およびマクロフィラーまたはミニフィラー(例えば、0.01〜20μm、好ましくは0.5〜5μmの平均粒子径を有する、石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末)ならびにX線不透過フィラー(例えば、フッ化イッテルビウム)が、フィラー成分として適切である。ミニフィラーとは、0.5〜1.5μmの粒子径を有するフィラーを意味し、そしてマクロフィラーとは、10〜20μmの粒子径を有するフィラーを意味する。
【0109】
本発明に従う好ましい組成物は、それらの全重量に対して以下を含有する:
(a)5〜90重量%、特に5〜40重量%、非常に特に好ましくは10〜20重量%の、式(I)に従う1以上のクラスター;
(b)10〜90重量%、特に10〜80重量%の、1以上のさらなる重合可能な成分;
(c)0.1〜5.0重量%、特に0.2〜2.0重量%の重合開始剤;および
(d)0〜90重量%、特に0〜80重量%のフィラー。
【0110】
上記の組成物は、さらに所望の用途に従って最適化される。従って、歯科充填材料として特に適切な材料は、各々の場合にその材料の全重量に対して、好ましくは以下を含有する:
(a)5〜20重量%の式(I)に従う1以上のクラスター;
(b)0〜20重量%の1以上のさらなる重合可能な成分;
(c)0.2〜2.0重量%の重合開始剤;および
(d)5〜80重量%のフィラー。
【0111】
歯科セメントとして特に適切である歯科材料は、好ましくは、以下を(各々、材料全体の質量に対して)含む:
(a)5〜30重量%の、式(I)に従う1以上のクラスター、
(b)0〜30重量%の1以上のさらなる重合可能な成分、
(c)0.2〜2.0重量%の重合可能な開始剤、および
(d)5〜60重量%のフィラー。
【0112】
歯科コーティング材料として特に適切である歯科材料は、好ましくは、以下を(各々、材料全体の質量に対して)含む:
(a)5〜40重量%の、式(I)に従う1以上のクラスター、
(b)5〜80重量%の1以上のさらなる重合可能な成分、
(c)0.2〜2.0重量%の重合可能な開始剤、および
(d)0〜40重量%のフィラー。
【0113】
さらなる重合可能な成分(b)として、10〜90重量%のポリシロキサンおよび0〜40重量%の重合可能な有機モノマー(各々、歯科材料全体の質量に対して)を含む材料が、より特に好ましい。
【0114】
これらの組成物は、歯科材料として(より特に、接着剤(例えば、インレー、コーティング材料、セメント、および特に充填材料のための)として)特に適切である。一般に、これらの組成物は、材料の硬化が口腔で生じるそれらの使用に特に適切である。
【0115】
重合後、本発明に従う歯科材料は、水性溶媒またはアルコール性溶媒で溶解され得る、最小量の未重合成分のみを有し、この成分は、モノマー成分によって生じる毒性の副作用が抑制されるように、従来の歯科材料に対して有意な改善を表す。
【0116】
本発明に従って、規定されたサイズおよび構造のクラスター(すなわち、公知の化学量論の純粋な規定された化合物)が、歯科材料の調製に使用される(特に好ましくは、単分散の質量分布を有するクラスター)。このようにして、歯科材料の材料特性(例えば、E−係数、強度、硬度および磨耗性のような)が、制御された様式で設定および改善され得る。1〜2の異なるクラスターを含む歯科材料が、好ましい。以下において、本発明を、実施例を用いてより詳細に例示する。
【0117】
【実施例】
(実施例1:)
(組成物Zr4O2(OMc)12のオキソジルコニウムメタクリレートクラスターの合成)
2.04g(24mmol)のメタクリル酸を、n−ブタノール中の1.73g(3.6mmol)の80%ジルコニウムブチレート(Zr(OC4H9)4)溶液に添加した。この反応混合物を、室温で1日間静置し、そして形成された沈殿物を濾過し、それと伴って水分を排除した。1.09g(86%収率)の無色の立方体結晶が得られ、これは、クロロホルム、エタノールまたはトルエンに可溶性である。
【0118】
(実施例2:)
(ケイ酸重縮合に基づくマトリクス物質の合成)
(A)ビス[(メタクリロイルオキシ)プロポキシカルボニルエチル)−[3−(トリエトキシシリルプロピル)]アミンの加水分解縮合:)
16.1g(26mmol)のビス[(メタクリロイルオキシ)プロポキシ−カルボニルエチル)−[3−(トリエトキシシリルプロピル)]アミン(これは、2−(アクリロイルオキシエチル)−プロピルメタクリレートへの3−アミノプロピルトリエトキシシランのミハエル(Michael)付加によって得られ得る(EP 1 022 012を参照のこと))を、37.5ml無水エタノールに溶解し、そして2.81gの水性0.1Nフッ化アンモニウム溶液の添加を伴って加水分解的に縮合した。室温で24時間の攪拌後、揮発性成分を真空下で除去し、そして約12gの比較的低い粘性の樹脂(SG−1)
【0119】
【化11】
が残った。この粘性データおよび他の全ての粘性データは、他に示されない限り、平行プレート測定システム、CV=120(Bohlin社のモデルCVO120)を用いる回転式レオメーターで測定される回転粘度を含む。
【0120】
(B)(3−トリエトキシシリル−プロピルアミノカルボニル)酪酸−(1,3(2)−ビスメタクリロイルオキシプロピル)エステルの加水分解縮合:)
10.9g(20mmol)の(3−トリエトキシシリルプロピルアミド)酪酸−(1,3−(2)−ビスメタクリロイルオキシプロピル)エステル(これは、グリセリンジメタクリレートおよび無水グルタル酸からの付加物による、3−アミノプロピルトリエトキシシランのアミド化によって得られた(EP 1 022 012を参照のこと))を、98.2molの無水酢酸エチルに溶解し、そして1.08gの0.5N塩酸の添加を伴って加水分解的に縮合した。40℃での30分の攪拌後、揮発性成分を真空下で除去した。次いで、得られた樹脂を、35gのtert−ブチルメチル−エーテル、12gのTHFおよび1.45g(12mmol)の2,4,6−トリメチルピリジンの混合物に溶解した後、1.96g(18mmol)のトリエチルクロロシランの滴下によってシリル化した。室温で一晩の攪拌後、反応混合物を、希塩酸および飽和NaCl溶液で洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空下での溶媒のエバポレーション後、約6gの粘性樹脂(SG−2)(η=約75Pas(23℃)の粘度を有する)が残った。
【0121】
(実施例3:)
(実施例1に従うクラスターに基づく歯科材料の調製)
種々の材料を、実施例1のクラスターZr4O2(OMc)12ならびにマトリクス物質ST−1およびSG−2から開始して調製した。クラスターを、エタノール中の10%の溶液としてのマトリックス物質と混合し、そして溶媒を、開始剤成分の添加後に真空下でエバポレートした。このように調製した未充填の材料M−1〜M−5の組成物(質量%)を、表1に列挙する。力学的特性を決定するために、25×2×2mmの寸法を有する試験小片を、これらの組成物から調製し、390〜500nmの波長の光での照射(6分間)によって硬化した。この目的のために、Vivadent製のSpectramat型の歯科照射源を使用した。曲げ強度(BS)および曲げE−係数(BEM)を、ISO規格4049(2000)に従って決定した。これらの試験小片は、37℃で24時間水中で予め保存しておいた。さらに、BS値およびBEM値をまた、37℃で24時間乾燥保存したサンプルについて測定した。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
複合ペーストC−1〜C−5を調製するために、未充填材料M−1〜M−5を、表3に示した量のフィラーと混合した。シラン処理した熱分解性ケイ酸(40nmの平均一次粒子サイズおよび50m2/gのBET表面を有する)(シラン処理したAerosil OX−50、Degussa)、三フッ化イッテルビウム(5μmの平均粒子サイズおよび<7.5m2/gのBET表面を有する)(YbF3、Auer Remy)、シラン処理したSiO2−ZrO2混合酸化物(130〜230nmの一次粒子サイズを有する)(Sphaerosil、Tokoyma Soda)、およびシラン処理したケイ酸バリウムガラス(Ba−Siガラス)(1.2μmの平均粒子サイズを有する)を、フィラーとして使用した。これらのフィラー成分は、カプセルバイブレーターによって組み込む。
【0124】
次いで、曲げ強度および曲げE−係数を、それぞれ水中または乾燥下での24時間の保存後に測定した。結果を、表4に要約する。
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
これらの結果は、それぞれの場合において組成物Zr4O2(OMc)12のクラスターの添加が、材料の強度の改善およびE−係数の増加を導くことを示す(表2および表4)。さらに、これらのクラスター含有材料の場合において、水中保存後のE−係数の増加が観察され得るのに対し、水中保存後の非改変サンプルM−1/C−1およびM−3/C−3の場合では、E−係数は減少する。
【0127】
硬化複合体C−2およびC−4のサンプルを粉砕し、そしてその小片を37℃のエタノール中に分散させた。72時間後、固体成分を濾過し、そして濾液を乾燥するまで濃縮させた。ほとんど残渣が得られず、これは、その複合体マトリックスのポリマー網状構造内への重合可能な成分の完全な組み込みを示す。
【0128】
以下の一般式に従うクラスターを含む、歯科材料:[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)、ここで、M1、M2は、互いに独立し、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;Rは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり;Lは、2〜6の錯化中心を有する配位基であり;Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;Zは、重合可能な基であり;cは、1〜30の数であり;d、eは、互いに独立し、各場合、1〜30の数であり;fは、2〜30の数であり、該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化さる。
【0129】
【発明の効果】
本発明により、改善された力学的性質を有する歯科材料が提供される。
Claims (14)
- 以下の一般式に従うクラスターおよび1つ以上のさらなる重合可能な成分を含む、歯科材料:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立して、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。 - 変数が以下の意味を有することを特徴とする、請求項1に記載の歯科材料:
M1、M2は、互いに独立して、Tiおよび/またはZrであり;
Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、α−ヒドロキシカルボキシレート(−CH(OH)−COO-)、α−アミノカルボキシレート(−CH(NH2)−COO-)、β−ジケトネート([−C(−O-)=CH−C(=O)RK];RKは、アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C3アルキル、メチル)、スルホネート(−SO3 -)、ホスホネート(−PO3 2-)、またはカルボキシレート(−COO-)であり;
Spは、1〜18個の炭素原子を有するアルキレン基、1〜18個の炭素原子および0〜6個の酸素原子を有するオキシアルキレン基、もしくは6〜14個の炭素原子を有するアリーレン基であり、
該スペーサーSpは、基O、S、CO−O、O−CO、CO−NH、NH−CO、O−CO−NH、NH−CO−OおよびNHのうちの1個以上を含み得、または、Spは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、もしくは存在せず;
Zは、エチレン性不飽和基、エポキシド、オキセタン、ビニルエーテル、1,3−ジオキソラン、スピロオルトエステル、メタクリル基および/もしくはアクリル基であり;
aは、2〜11であり;
bは、0〜4である。 - 請求項1または2に記載の歯科材料であって、L−Sp−Zが、アクリレート、メタクリレート、オレアート、アリルアセトアセテートおよび/またはアセトアセトキシエチルメタクリレートを表すことを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科材料であって、前記クラスターが、L−Sp−Z型の種類の配位子を含むことを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科材料であって、前記クラスターが、単分散の質量分布を有することを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1または請求項5に記載の歯科材料であって、前記添字c〜fが、前記金属の正電荷が完全に等化されるような値をとることを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯科材料であって、M1が、M2と等しいことを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1に記載の歯科材料であって、該さらなる重合可能な成分が、重合可能なポリシロキサン、イオン重合可能および/もしくはラジカル重合可能な有機モノマーまたはこれらの混合物であることを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯科材料であって、該材料が、イオン重合および/もしくはラジカル重合のための開始剤、フィラーならびに/またはさらなる添加物を含むことを特徴とする、歯科材料。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯科材料であって、該材料が、該材料の全体の質量に対して、
(a)5〜90重量%の、式(I)に従う少なくとも1つのクラスター、
(b)10〜90重量%の、さらなる重合可能な成分、
(c)0.1〜5.0重量%の、重合開始剤、および
(d)0〜90重量%のフィラー
を含むことを特徴とする、歯科材料。 - 歯科材料としてかまたは歯科材料の調製のための、以下の一般式のクラスターの使用:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立して、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。 - 接着剤、コーティング材料、セメントまたは充填材料としての、請求項11に記載の使用。
- 歯科材料の製造方法であって、以下の一般式のクラスターを使用する工程を包含する、製造方法:
[(M1)a(M2)bOc(OH)d(OR)e(L−Sp−Z)f](I)
ここで、
M1、M2は、互いに独立し、周期表の第III主族もしくは第V主族の金属原子または第I副族〜第VIII副族の金属原子を表し;
Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Lは、2〜6個の錯化中心を有する配位基であり;
Spは、スペーサー基であるか、または存在せず;
Zは、重合可能な基であり;
aは、1〜20の数であり;
bは、0〜10の数であり;
cは、1〜30の数であり;
d、eは、互いに独立して、各場合、0〜30の数であり;
fは、2〜30の数であり、
該クラスター(I)の存在するいずれの電荷も、対イオンによって等化される。 - 前記歯科材料が、接着剤、コーティング材料、セメントまたは充填材料である、請求項13に記載の歯科材料の製造方法。
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