JP7151210B2 - 錯体および錯体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、錯体に関し、より詳細には、反応性官能基を有する錯体に関する。また、本発明は、錯体の製造方法に関する。
特許文献1には、明確に規定された重合可能な金属錯体の架橋重合によって得られたマクロ多孔質イオン選択性交換樹脂であって、一般式:MaLbBcXd (1)で示される金属錯体が少なくとも2つの重合可能な炭素-炭素多重結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマー架橋剤と反応させたことを特徴とするマクロ多孔質イオン選択性交換樹脂(式中、Mは、主族金属および/または亜族金属、Lは重合可能な配位子、Bは重合不能な配位子、Xは重合不能なアニオン、aは1~6の整数、bは1~8の整数、cは0~4の整数、dは、0~6の整数を表す)が開示されている。
非特許文献1には、酢酸亜鉛(II)を真空中で加熱して、六酢酸一酸化四亜鉛を作製する方法が開示されている。
非特許文献2には、カルボン酸と酸化亜鉛とを四塩化炭素中で、ZnOカルボキシレートを作製する方法が開示されている。
非特許文献3には、酸化亜鉛と2-エチルヘキサン酸亜鉛とをトルエン中で反応させて、塩基性2-エチルヘキサン酸亜鉛を作製する方法が開示されている。
非特許文献4には、逆電子要請型ディールズアルダー反応を用いたテトラジンへのアルケンの付加反応が報告されている。
特開平1-245859号公報 新実験化学講座第1版8巻 p.986 Inorganic Chem.201,49,4620-4625 Can. J. Chem. 1983, 61, 1218 Journal of Organic Chemistry, 53(7), 1415-23, 1988
本発明は、炭素―炭素二重結合、および/または、炭素-炭素三重結合を少なくとも1個と、テトラジンなどのディールズアルダー反応性官能基を少なくとも1個有する新規な錯体を提供することを課題とする。また、従来の製造方法で炭素―炭素二重結合、および/または、炭素-炭素三重結合を少なくとも1個有する新規な錯体を製造すると、炭素-炭素二重結合、および/または、炭素-炭素三重結合が自己重合してしまい、目的とする錯体を得ることができないという問題がある。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、錯体を製造する新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、式(1)で表される錯体に関するものである。
[MO(RCOO) ・・・(1)
[式(1)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは、1~8の整数である。ただし、Rのうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、Rのうち少なくとも1個が、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000001
構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
式(1)で表わされる錯体は、構造式(5)で表される錯体であることが好ましい。
Figure 0007151210000002
[構造式(5)において、M1~M4は同一または異なって金属原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000003
[構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
本発明の錯体の製造方法は、式(6)で表される化合物と、式(7)で表される化合物と、式(8)で表される金属酸化物とを溶媒中で反応させることを特徴とする。
[M(RCOO)]・yHO・・・(6)
[M(RCOO)]・yHO・・・(7)
・・・(8)
[式(6)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
式(7)中、Mは金属原子、Rは、構造式(2)で表される一価の基である。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007151210000004
構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である
(8)中、Mは、金属原子である。aは、1~5の整数である。bは、1~7の整数である。]
溶媒として、クロロホルムを使用することが好ましい。式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物と、式(8)で表される金属酸化物のモル比(((6)+(7))/(8))は、3/2~5/1であることが好ましい。
式(6)で表わされる化合物と、式(7)で表される化合物と、式(8)で表わされる金属酸化物とは、-20℃~100℃の範囲の温度で反応させることが好ましい。
本発明の製造方法は、式(1)で表される錯体および構造式(2)で表わされる錯体の製造方法として好適である。
本発明によれば、炭素―炭素二重結合、および/または、炭素-炭素三重結合を少なくとも1個とディールアルダー反応性官能基を少なくとも1個有する新規な錯体が得られる。また、錯体を製造する新規な製造方法を提供することを課題とする。
アクリル酸亜鉛オキソクラスターのASAP-MSスペクトルを示す図である。 アクリル酸亜鉛オキソクラスターのASAP-MSスペクトルを示す図である。 アクリル酸亜鉛オキソクラスターのIRスペクトルを示す図である。 アクリル酸亜鉛のIRスペクトルを示す図である。 アクリル酸亜鉛オキソクラスターのX線回折スペクトルを示す図である。 アクリル酸亜鉛のX線回折スペクトルを示す図である。 ショアC硬度と反発弾性の関係を示すグラフ。
本発明は、式(1)で表される錯体に関するものである。
[MO(RCOO) ・・・(1)
[式(1)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは、1~8の整数である。ただし、Rのうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、Rのうち少なくとも1個が、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000005
構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
錯体とは、金属原子あるいは金属イオンに、配位子とよばれる原子または原子団が結合した分子性化合物であり、配位化合物とも呼ばれる。
前記金属原子(M)としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。前記金属原子は、単独または2種以上であってもよい。これらの中でも、前記金属原子としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛、銅、または、ニッケルが好ましく、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛がより好ましく、亜鉛がさらに好ましい。前記金属原子(M)は、酸化数が+2であるものが好ましい。
式(1)においてRで表される炭素数1~18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。前記炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
式(1)においてRで表される炭素数2~18のアルケニル基は、例えば、エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、炭素-炭素二重結合を1つ有するものが好ましい。二重結合の位置としては、α,β位、あるいは、アルケニル基の末端に炭素-炭素二重結合を有するものが好ましい。炭素数2~18のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、または、2-プロペニル基が好ましい。
式(1)においてRで表される炭素数2~18のアルキニル基は、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロペニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、炭素-炭素三重結合を1つ有するものが好ましい。炭素-炭素三重結合の位置は、α,β位、あるいは、アルキニル基の末端に炭素-炭素三重結合を有するものが好ましい。炭素数2~18のアルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、または、2-プロピニル基が好ましい。
式(1)において、Rのうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である。炭素-炭素不飽和結合を1つ以上有することで、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーとの反応が可能になる。前記R中の炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の個数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上さらに好ましく、特に好ましくは5個である。
式(1)において、Rのうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。構造式(2)で表される一価の基は、分子中に、ジアジン構造、トリアジン構造、テトラジン構造またはペンタジン構造を有しており、これらの構造は、不飽和二重結合とディールズアルダー反応をする。
Figure 0007151210000006
[式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
1で表される2価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
1で表される1価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基は、構造式(3)で表される一価の基であることが好ましい。
Figure 0007151210000007
[式(3)において、A5~A8は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X2は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R2は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。なお、A5~A8は少なくとも1つが炭素原子であり、少なくとも1つが窒素原子であり、X2およびR2は炭素原子に結合する。mは0~2の整数を表す。A5~A8のうち1つが炭素原子の場合、mが0である。A5~A8のうち2つが炭素原子の場合、mが1である。A5~A8のうち3つが炭素原子の場合、mが2である。]
2で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、アリーレン基が好ましい。X2で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基等が挙げられる。
前記シクロアルキレン基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基等が挙げられる。
前記アルケニレン基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
前記アリーレン基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
2で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基などが挙げられる。R2で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキル基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
前記アリール基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基の具体例としては、構造式(4-1)~(4-11)で表される一価の基が挙げられる。
Figure 0007151210000008
[式(4-1)~(4-11)において、X3は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R3~R5は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。]
3で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アルキニレン基などが挙げられる。これらの中でも、基材ゴムとの親和性の観点からアリーレン基が好ましい。X3で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
3~R5で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基などが挙げられる。R3~R5で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
本発明の錯体は、式(1)において、Rのうち少なくとも4個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、残りのRが、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される一価の基であることが好ましい。
式(1)で表される錯体としては、例えば、Rのうち5つが、ビニル基であり、1つが、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される一価の基であり、金属原子(M)が亜鉛である錯体;Rのうち5つが、イソプロペニル基であり、1つが、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される一価の基であり、金属原子(M)が亜鉛である錯体が挙げられる。
式(1)で表される錯体において、nは、1以上の整数をとることが可能である。式(1)で表される錯体において、n=1は、錯体の基本構造単位を表すが、本発明には、この基本構造単位を整数倍した構造を有する錯体が含まれる。本発明では、nは1~8の整数であることが好ましく、2~8の整数であることがより好ましい。
式(1)で表される錯体の構造としては、酸素原子(O)に4つの金属原子(M)が結合し、この金属原子にカルボキシレート基(RCOO)が配位した構造が挙げられる。酸素原子に結合した4つの金属原子の配置態様としては、正四面体構造、平面四角形構造が挙げられる。また、金属原子に対するカルボキシレート基の配位態様は、二座配位である。なお、カルボキシレート基の2つの酸素原子は、異なる金属原子に配位してもよいし、同一の金属原子に配位してもよいが、異なる金属原子に配位していることが好ましい。
好ましい態様において、本発明の錯体は、式(1)において、例えば、Rとして、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基を有さない錯体;Rのうち1個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;Rのうち2個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;Rのうち3個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体:Rのうち4個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;Rのうち5個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;Rのうち6個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体の少なくとも一種を含有する混合物である。
本発明の錯体は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の官能基数が異なる錯体の混合物の場合、式(1)において、Rが、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である平均官能基数は、少なくとも1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。なお、平均官能基数は、式(1)の錯体が有する炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の全官能基のモル数を、式(1)の錯体の分子のモル数およびnで除することにより求められる。
好ましい態様において、本発明の錯体は、式(1)において、例えば、Rとして、構造式(2)の一価の基を有さない錯体;Rのうち1個が、構造式(2)の一価の基である錯体;Rのうち2個が、構造式(2)の一価の基である錯体;Rのうち3個が、構造式(2)の一価の基である錯体:Rのうち4個が、構造式(2)の一価の基である錯体;Rのうち5個が、構造式(2)の一価の基である錯体;Rのうち6個が、構造式(2)の一価の基である錯体の少なくとも一種を含有する混合物である。
本発明の錯体は、構造式(2)の一価の基の官能基数が異なる錯体の混合物の場合、式(1)において、Rが、構造式(2)の一価の基である平均官能基数は、少なくとも1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。なお、平均官能基数は、式(1)の錯体が有する構造式(2)の一価の基の全官能基のモル数を、式(1)の錯体の分子のモル数およびnで除することにより求められる。
すなわち、本発明には、式(1)で表される錯体混合物が含まれる。
[MO(RCOO) ・・・(1)
[式(1)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは、1~8の整数である。ただし、Rが、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である平均官能基数が1以上であり、かつ、Rが、構造式(2)で表される一価の基である平均官能基数が1以上である。]
本発明において、式(1)で表される錯体は、構造式(5)で表される錯体であることが好ましい。
Figure 0007151210000009
[構造式(5)において、M1~M4は同一または異なって金属原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000010
[構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
構造式(5)で表わされる錯体は、酸素原子が正四面体構造の中心に存在し、金属原子M~Mが、正四面体構造の四隅に位置している。このような構造は、四核金属クラスター構造と呼ばれる。1つの核を構成する金属原子M~Mには、3種類のカルボキシレート基の1つの酸素原子がそれぞれ配位している。金属原子M~Mに結合する4つの酸素は、金属原子M~Mを中心とする正四面体構造の四隅に位置している。
構造式(5)において、破線は、カルボキシレート基のカルボニル結合(-C=O)と単結合(-C-O-)が共鳴混成していることを示している。また、構造式(5)において、共有結合も配位結合も実線で示している。
構造式(5)においてM1~M4で表される金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。前記金属原子は、単独または2種以上であってもよい。これらの中でも、前記金属原子としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛、銅、または、ニッケルが好ましく、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛がより好ましく、亜鉛がさらに好ましい。前記金属原子M~Mは、酸化数が+2であるものが好ましい。前記金属原子M1~M4は、それぞれ異なっていてもよいが、全て同一の金属原子であることが好ましい。
構造式(5)において、R11~R16で表される炭素数1~18のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。前記炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
構造式(5)においてR11~R16で表される炭素数2~18のアルケニル基は、例えば、エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、炭素-炭素二重結合を1つ有するものが好ましい。二重結合の位置としては、α,β位、あるいは、アルケニル基の末端に炭素-炭素二重結合を有するものが好ましい。炭素数2~18のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、または、2-プロペニル基が好ましい。
構造式(5)においてR11~R16で表される炭素数2~18のアルキニル基は、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロペニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、炭素-炭素三重結合を1つ有するものが好ましい。炭素-炭素三重結合の位置は、α,β位、あるいは、アルキニル基の末端に炭素-炭素三重結合を有するものが好ましい。炭素数2~18のアルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、または、2-プロピニル基が好ましい。
構造式(5)において、R11~R16のうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であることが好ましい。炭素-炭素不飽和結合を1つ以上有することで、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーとの反応が可能になる。前記R11~R16中の炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の個数は、2個以上が好ましく、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個である。
構造式式(5)において、Rのうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。構造式(2)で表される一価の基は、分子中に、ジアジン構造、トリアジン構造、テトラジン構造またはペンタジン構造を有しており、これらの構造は、不飽和二重結合とディールズアルダー反応をする。
Figure 0007151210000011
[構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
1で表される2価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
1で表される1価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基は、構造式(3)で表される一価の基であることが好ましい。
Figure 0007151210000012
[式(3)において、A5~A8は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X2は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R2は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。なお、A5~A8は少なくとも1つが炭素原子であり、少なくとも1つが窒素原子であり、X2およびR2は炭素原子に結合する。mは0~2の整数を表す。A5~A8のうち1つが炭素原子の場合、mが0である。A5~A8のうち2つが炭素原子の場合、mが1である。A5~A8のうち3つが炭素原子の場合、mが2である。]
2で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アルキニレン基などが挙げられる。これらの中でも、アリーレン基が好ましい。X2で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基等が挙げられる。
前記シクロアルキレン基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基等が挙げられる。
前記アルケニレン基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
前記アリーレン基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
前記アルキニレン基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、デシニレン基等が挙げられる。
2で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基などが挙げられる。R2で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキル基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
前記アリール基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基の具体例としては、構造式(4-1)~(4-11)で表される一価の基が挙げられる。
Figure 0007151210000013
[式(4-1)~(4-11)において、X3は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R3~R5は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。]
3で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アルキニレン基などが挙げられる。これらの中でも、基材ゴムとの親和性の観点からアリーレン基が好ましい。X3で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
3~R5で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基などが挙げられる。R3~R5で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
構造式(5)の錯体において、R11~R16のうち少なくとも4個は、炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、残りのR11~R16は、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される一価の基であることが好ましい。
構造式(5)の錯体において、M~Mは、亜鉛であり、 11 ~R 16 のうち少なくとも2個は、-CH=CHまたは-C(CH)=CHであり、かつ、 11 ~R 16 のうち少なくとも1個が、構造式(4-1)~(4-11)よりなる群から選択される少なくとも一種の一価の基であることが好ましい。
構造式(5)で表される錯体としては、例えば、R11~R16のうち5つが、ビニル基であり、1つが、前述した構造式(4-1)~(4-11)よりなる群から選択される一価の基であり、金属原子(M)が亜鉛である錯体;R11~R16のうち5つが、イソプロペニル基であり、1つが、前述した構造式(4-1)~(4-11)よりなる群から選択される一価の基であり、金属原子(M)が亜鉛である錯体が挙げられる。
好ましい態様において、本発明の錯体は、構造式(5)において、例えば、R11~R16として、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基を有さない錯体;R11~R16のうち1個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;R11~R16のうち2個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;R11~R16のうち3個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体:R11~R16のうち4個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;R11~R16のうち5個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体;R11~R16のうち6個が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である錯体の少なくとも一種の混合物である。
本発明の錯体は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の官能基数が異なる錯体の混合物の場合、構造式(5)において、R11~R16が、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基を有する平均官能基数は、少なくとも1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。なお、平均官能基数は、構造式(5)の錯体が有する炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基の全官能基のモル数を、構造式(5)の錯体の分子のモル数で除することにより求められる。
好ましい態様において、本発明の錯体は、構造式(5)において、例えば、R11~R16として、構造式(2)の一価の基を有さない錯体;R11~R16のうち1個が、構造式(2)の一価の基である錯体;R11~R16のうち2個が、構造式(2)の一価の基である錯体;R11~R16のうち3個が、構造式(2)の一価の基である錯体:R11~R16のうち4個が、構造式(2)の一価の基である錯体;R11~R16のうち5個が、構造式(2)の一価の基である錯体;R11~R16のうち6個が、構造式(2)の一価の基である錯体の少なくとも一種の混合物である。
本発明の錯体は、構造式(2)の一価の基の官能基数が異なる錯体の混合物の場合、構造式(5)において、R11~R16が、構造式(2)の一価の基を有する平均官能基数は、少なくとも1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。なお、平均官能基数は、構造式(5)の錯体が有する構造式(2)の一価の基の全官能基のモル数を、構造式(5)の錯体の分子のモル数で除することにより求められる。
すなわち、本発明には、構造式(5)で表される錯体混合物が含まれる。
[構造式(5)において、M1~M4は同一または異なって金属原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち、炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基である平均官能基数は、1以上であり、かつ、R11~R16のうち、構造式(2)で表される一価の基である平均官能基数が、1以上である。]
本発明の式(1)で表される錯体、および、構造式(5)を有する錯体は、水に対して不安定である。従って、錯体中の含水率は、250ppm以下に制御されることが好ましく、100ppm以下に制御されることがより好ましく、50ppm以下に制御されることがさらに好ましい。また、保管に際しては、相対湿度30%以下の環境下に保管されることが好ましく、相対湿度20%以下の環境下に保管されることがより好ましく、相対湿度10%以下の環境下に保管されることが好ましい。
本発明には、式(6)で表される化合物と、式(7)で表される化合物と、式(8)で表される金属酸化物とを溶媒中で反応させることを特徴とする錯体の製造方法が含まれる。
[M(RCOO)]・yHO・・・(6)
[M(RCOO)]・yHO・・・(7)
・・・(8)
[式(6)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
式(7)中、Mは金属原子、Rは、構造式(2)で表される一価の基である。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007151210000014
構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である
(8)中、Mは、金属原子である。aは、1~5の整数である。bは、1~7の整数である。]
なお、本発明の説明において、式(6)で表される化合物を単に「化合物(6)」、式(7)で表される化合物を単に「化合物(7)」と称する場合があり、式(8)で表される金属酸化物を単に「金属酸化物(8)」と称する場合がある。
本発明の錯体の製造方法で使用する原料について説明する。化合物(6)におけるRは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、または、炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基である。
炭素数1~18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。前記炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。
炭素数2~18のアルケニル基としては、例えば、エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルケニル基としては、炭素-炭素二重結合を1つ有するものが好ましい。二重結合の位置としては、α,β位、あるいは、アルケニル基の末端に炭素-炭素二重結合を有するものが好ましい。前記アルケニル基の炭素数は、2以上が好ましく、7以下が好ましく、より好ましくは5以下である。炭素数2~18のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、または、2-プロペニル基が好ましい。
炭素数2~18のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロペニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基が挙げられる。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記炭素数2~18のアルキニル基としては、炭素-炭素三重結合を1つ有するものが好ましい。炭素-炭素三重結合の位置は、α,β位、あるいは、アルキニル基の末端に炭素-炭素三重結合を有するものが好ましい。前記アルキニル基の炭素数は、2以上が好ましく、7以下が好ましく、より好ましくは5以下である。炭素数2~18のアルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、または、2-プロピニル基が好ましい。
式(6)において、金属原子(M)としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。これらの中でも、前記金属原子としては、2価の金属イオンを形成し得る金属原子が好ましく、より好ましくはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛である。金属原子は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
xは、化合物(6)におけるカルボキシレート基(RCOO)の数を表す。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。xとしては、例えば、2~5が好ましく、より好ましくは2である。yは、0以上の整数である。yとしては、例えば、0~5が好ましく、より好ましくは0である。yが1以上になると、目的錯体の収率が低下するからである。
化合物(6)の具体例としては、式(6)においてy=0の脂肪酸金属塩が好適である。前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、炭素数1~19の飽和脂肪酸、炭素数3~20の不飽和脂肪酸が挙げられる。
前記飽和脂肪酸としては、例えば、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸が挙げられる。前記不飽和脂肪酸としては、例えば、プロペン酸(アクリル酸)、2-メチルプロパ-2-エン酸(メタクリル酸)、2-ブテン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸、5-ヘキセン酸、6-ヘプテン酸、7-オクテン酸、8-ノネン酸、9-デセン酸、10-ウンデセン酸、11-ドデセン酸、12-トリデセン酸、9-テトラデセン酸、13-テトラデセン酸、14-ペンタデセン酸、9-ヘキサデセン酸、15-ヘキサデセン酸、16-ヘプタデセン酸、9-オクタデセン酸、11-オクタデセン酸、17-オクタデセン酸、18-ノナデセン酸などの炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸;プロピン酸、3-ブチン酸、4-ペンチン酸、5-ヘキシン酸、6-ヘプチン酸、7-オクチン酸、8-ノニン酸、9-デシン酸、10-ウンデシン酸、11-ドデシン酸、12-トリデシン酸、9-テトラデシン酸、13-テトラデシン酸、14-ペンタデシン酸、9-ヘキサデシン酸、15-ヘキサデシン酸、16-ヘプタデシン酸、9-オクタデシン酸、11-オクタデシン酸、17-オクタデシン酸、18-ノナデシン酸などの炭素-炭素三重結合を有する不飽和脂肪酸が挙げられる。
前記炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸としては、炭素-炭素二重結合を1つ有するものが好ましい。炭素―炭素二重結合の位置は、α、β位、あるいは、不飽和脂肪酸の末端が好ましい。前記炭素-炭素三重結合を有する不飽和脂肪酸としては、炭素-炭素三重結合を1つ有するものが好ましい。炭素-炭素三重結合の位置は、α、β位、あるいは、不飽和脂肪酸の末端が好ましい。
前記脂肪酸金属塩の金属原子(M)としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。これらの中でも、前記金属原子としては、2価の金属イオンを形成し得る金属原子が好ましく、より好ましくはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛である。金属イオンは、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記脂肪酸金属塩としては、脂肪酸の2価の金属イオンの金属塩が好ましく、より好ましくは不飽和脂肪酸の2価の金属イオンの金属塩、さらに好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸の2価の金属イオンの金属塩、特に好ましくはアクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛である。
化合物(6)として、前記脂肪酸金属塩を2種以上併用する場合、各脂肪酸金属塩の含有量は、所望とする錯体に応じて適宜調節すればよい。なお、前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有率は、33mol%以上が好ましく、50mol%以上がより好ましく、さらに好ましくは66mol%以上である。前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸が、全て不飽和脂肪酸であることも好ましい。また、前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸中の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸の含有率は、33mol%以上が好ましく、50mol%以上がより好ましく、さらに好ましくは66mol%以上である。前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸が、全て炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸であることも好ましい。前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は複数種を併用してもよいが、一種であることも好ましい。
前記脂肪酸金属塩の態様としては、1種の脂肪酸と1種の金属イオンを含有する態様;複数種の脂肪酸と1種の金属イオンを含有する態様;1種の脂肪酸と複数種の金属イオンを含有する態様;複数種の脂肪酸と複数種の金属イオンを含有する態様が挙げられる。これらの中で、1種の脂肪酸と1種の金属イオンを含有する態様が好ましい。
前記脂肪酸金属塩は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明では、化合物(6)として、アクリル酸亜鉛、および/または、メタクリル酸亜鉛を使用することが好ましい。
化合物(7)におけるRは、構造式(2)で表される一価の基である。構造式(2)で表される一価の基は、分子中に、ジアジン構造、トリアジン構造、テトラジン構造またはペンタジン構造を有しており、これらの構造は、不飽和二重結合とディールズアルダー反応をする。
Figure 0007151210000015
[構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
1で表される2価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
1で表される1価の有機基とは、ヘテロ原子やハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖型でも分岐型でも良く、構造中に環状構造を含んでも良い)である。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、リンなどが挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基は、構造式(3)で表される一価の基であることが好ましい。
Figure 0007151210000016
[式(3)において、A5~A8は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X2は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R2は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。なお、A5~A8は少なくとも1つが炭素原子であり、少なくとも1つが窒素原子であり、X2およびR2は炭素原子に結合する。mは0~2の整数を表す。A5~A8のうち1つが炭素原子の場合、mが0である。A5~A8のうち2つが炭素原子の場合、mが1である。A5~A8のうち3つが炭素原子の場合、mが2である。]
2で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アルキニレン基などが挙げられる。これらの中でも、アリーレン基が好ましい。X2で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基等が挙げられる。
前記シクロアルキレン基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基等が挙げられる。
前記アルケニレン基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
前記アリーレン基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
前記アルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基等が挙げられる。
2で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基などが挙げられる。R2で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
前記アルキル基の炭素数は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
前記シクロアルキル基の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の炭素数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
前記アリール基の炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
構造式(2)で表される一価の基の具体例としては、構造式(4-1)~(4-11)で表される一価の基が挙げられる。
Figure 0007151210000017
[式(4-1)~(4-11)において、X3は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R3~R5は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。]
3で表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アルキニレン基などが挙げられる。これらの中でも、基材ゴムとの親和性の観点からアリーレン基が好ましい。X3で表される2価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
3~R5で表される1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルキニル基などが挙げられる。R3~R5で表される1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましい。
式(7)において、金属原子(M)としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。これらの中でも、前記金属原子としては、2価の金属イオンを形成し得る金属原子が好ましく、より好ましくはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛である。金属原子は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
xは、化合物(7)におけるカルボキシレート基(RCOO)の数を表す。xは、金属原子Mの酸化数に対応する数であり、2以上の整数である。xとしては、例えば、2~5が好ましく、より好ましくは2である。yは、0以上の整数である。yとしては、例えば、0~5が好ましく、より好ましくは0である。yが1以上になると、目的錯体の収率が低下するからである。
化合物(7)の合成方法としては、例えば、Chemistry,2016(36)、5617-5622;Inorganic Chemistry Communications,5(8)、600-601,2002;特開平5-345742号公報などに記載されている。
化合物(7)の具体例としては、例えば、4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)-安息香酸亜鉛を挙げることができる。
本発明の製造方法では、式(8)で表される金属酸化物を使用する。
・・・(8)
金属原子(M)としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などの遷移金属;ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、カドミウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウムなどの卑金属が挙げられる。これらの中でも、前記金属原子Mとしては、2価の金属イオンを形成し得る金属原子が好ましく、より好ましくはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、鉛である。金属原子は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明の製造方法において、化合物(6)の金属原子Mと化合物(7)の金属原子Mと金属酸化物(8)の金属原子Mは、同一であっても異なってもよいが、同一であることが好ましい。
金属酸化物(8)において、aは、1以上、5以下の整数が好ましく、1以上、3以下の整数が好ましく、1が最も好ましい。bは、1以上、7以下の整数が好ましく、1以上5以下の整数がより好ましく、1以上、3以下がさらに好ましく、特に好ましくは1である。金属酸化物(8)としては、a=1、b=1の2価の金属酸化物が好ましい。
金属酸化物(8)の具体例としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムなどのアルカリ金属の酸化物;酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物;酸化スカンジウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化テクネチウム、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化銀、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、レニウム、酸化オスミウム、酸化イリジウム、酸化白金、酸化金などの遷移金属の酸化物、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化タリウム、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ポロニウムなどの卑金属の酸化物が挙げられる。前記金属酸化物は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属酸化物としては、2価の金属の酸化物が好ましく、より好ましくは酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化カドミウム、酸化鉛である。本発明では、金属酸化物(8)として、酸化亜鉛を使用することが特に好ましい。
本発明の製造方法において、反応を行う溶媒は、特に限定されないが、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロホルム、ジブロモメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、アセトニトリルなどが挙げられる。錯体の収率を高める観点から、溶媒としては、ハロゲン系溶媒を使用することが好ましく、クロロホルムを使用することがより好ましい。
化合物(6)、化合物(7)と金属酸化物(8)とを反応させる具体的な錯体の製造方法としては、例えば、化合物(6)、化合物(7)と金属酸化物(8)とを第一溶媒に溶解または分散させ、この反応液を撹拌する工程(反応工程);前記反応液から不溶物を除去する工程(不溶物除去工程);および、反応液から溶媒を除去する工程(乾燥工程)を有する製造方法が挙げられる。
(反応工程)
反応工程では、化合物(6)、化合物(7)と金属酸化物(8)とを、第一溶媒に溶解または分散させて、この反応液を撹拌する。この工程では、溶媒中で、化合物(6)、化合物(7)と金属酸化物(8)とを接触させ、錯体を生成させる。
具体的には、まず反応容器中に金属酸化物(8)を溶媒に溶解または分散させる。金属酸化物(8)を溶媒に溶解または分散させた液を撹拌しながら、化合物(6)、化合物(7)を溶媒に溶解または分散した液を加える。化合物(6)、化合物(7)を溶媒に溶解または分散した液を滴下するようにしてもよい。この場合、滴下は、特に限定されないが、0.5時間~3時間かけて滴下するのが好ましい。滴下終了後、さらに撹拌をしながら反応を行うことが好ましい。
反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。特に、生成される錯体は、水に不安定であることから、反応系を密閉系または、不活性ガス気流下とすることが好ましい。
化合物(6)、化合物(7)と金属酸化物(8)との反応において、金属酸化物(8)に対する化合物(6)、(7)の仕込みモル比率(((6)+(7))/(8))は、3/2以上が好ましく、2/1以上がより好ましく、5/1以下が好ましく、4/1以下がより好ましい。金属酸化物(8)に対する化合物(6)、(7)のモル比率(((6)+(7))/(8))が前記範囲内であれば、得られる錯体の収率が高くなるからである。
化合物(6)と化合物(7)の仕込みモル比率((6)/(7))は1/20以上が好ましく、1/10以上がより好ましく、100/1以下が好ましく、20/1以下がより好ましい。前記モル比率が前記範囲内であれば、(7)を錯体の配位子として導入した効果が得られ、かつ錯体を良好な収率っで合成することが可能となるからである。
また、反応における溶媒の使用量は、化合物(6)、(7)と金属酸化物(8)との合計100質量部に対して、1000質量部以上が好ましく、より好ましくは2000質量部以上、さらに好ましくは3000質量部以上であり、10000質量部以下が好ましく、より好ましくは8000質量部以下、さらに好ましくは6000質量部以下である。前記溶媒の使用量が1000質量部以上であれば錯体の収率がより高くなり、10000質量部以下であれば合成時の作業量を低減できる。
反応温度(反応液の液温)は、-20℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、10℃以上がさらに好ましく、20℃以上が特に好ましく、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましく、50℃以下が特に好ましい。反応温度が、-20℃以上であると、化合物(6)、(7)と金属酸化物(4)との反応速度を高めることができる。また、反応温度が100℃以下であると、化合物(6)の自己重合を防止することができる。
反応時間は、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、12時間以上がさらに好ましい。反応時間が短すぎると、錯体の収率が低下するからである。また、生産性を高める観点から、反応時間は、300時間以下が好ましく、200時間以下がより好ましく、100時間以下がさらに好ましい。なお、反応の終了は、例えば、反応液を一部採取して、赤外吸収を測定する方法、あるいは、反応液に溶解した成分の重量変化などを測定する方法などにより、確認することができる。
(不溶物除去工程)
反応終了後、反応液から不溶物を除去する。不溶物としては、例えば、未反応の原料、あるいは、化合物(6)が自己重合した重合物などが挙げられる。不溶物を除去する方法は、特に限定されず、反応液を濾過する方法が挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、不溶物を除去した反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去することで、化合物(6)、(7)と生成する錯体との混合物が得られる。
溶媒を除去する方法としては、減圧乾燥、加熱乾燥などが挙げられ、減圧乾燥が好ましい。減圧乾燥を行う際に、反応液を加熱してもよい。乾燥時の反応液の温度は、100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
本発明の製造方法は、得られる錯体を精製するための工程を有していてもよい。なお、錯体を精製するための工程を有する場合、前記不溶物除去工程および/または乾燥工程を省略してもよい。精製するための工程としては、前記製造方法において、反応液から化合物(6)、(7)を除去する方法(精製工程を含む方法);前記製造方法により得られた錯体と化合物(6)、(7)との混合物について、再沈殿を行う方法(再沈殿工程を含む方法);などが挙げられる。これらの中でも、前記製造方法において、反応液から化合物(6)、(7)を除去する方法が好ましい。
(精製工程)
精製工程では、前記製造方法において、不溶物を除去した反応液に第二溶媒を投入し、析出物を除去する。反応液に第二溶媒を投入することで、第一溶媒に溶解した原料、副生成物等を析出させる。この析出物を除去することで、最終的に得られる錯体の純度を高めることができる。
前記第二溶媒は、反応液中の化合物(6)、(7)を選択的に析出できるものであれば特に限定されない。つまり、第二溶媒に対する目的錯体の溶解性が、第二溶媒に対する化合物(6)、(7)の溶解性よりも高い。前記第二溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素などが挙げられる。
第二溶媒の投入量は、化合物(6)、(7)を析出できるように適宜調節すればよい。前記第二溶媒の投入量は、前記第一溶媒の使用量100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、200質量部以下が好ましく、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
また、第二溶媒を投入した後、第一溶媒および第二溶媒の一部を除去することで、化合物(6)、(7)を析出させてもよい。第一溶媒および第二溶媒の一部を除去する方法としては、減圧濃縮が好ましい。減圧濃縮を行う際に、反応液を加熱してもよい。濃縮時の反応液の温度は、100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
析出した化合物(6)、(7)を除去する方法としては、例えば、反応液をろ過する方法が挙げられる。析出物を除去した反応液は、前記乾燥工程で第一溶媒および第二溶媒を除去することで、目的の錯体が得られる。なお、前記精製工程は、所望とする錯体の純度に応じて、複数回行ってもよい。
(再沈殿工程)
再沈殿工程では、前記製造方法により得られた錯体と化合物(6)、(7)との混合物について、再沈殿を行う。具体的には、前記製造方法により得られた錯体と化合物(6)、(7)との混合物を第一溶媒に溶解させた後、この溶解液に第二溶媒を投入して化合物(6)、(7)を析出させ、析出物を除去する。
再沈殿工程で使用する第一溶媒、第二溶媒は、前記反応工程、精製工程で例示したものを使用できる。また、第二溶媒の使用量、析出物の除去方法の好適態様は、前記精製工程と同様である。析出物を除去した後、溶媒を除去することで、目的の錯体が得られる。溶媒の除去方法の好適態様は、前記乾燥工程と同様である。なお、再沈殿工程は、所望とする目的錯体の純度に応じて、複数回行ってもよい。
本発明の製造方法は、前記一般式(1)で表わされる錯体および構造式(5)で表わされる錯体の製造方法として好適である。一般式(1)で表わされる錯体の詳細は、前記した通りであるが、その要旨は、以下の通りである。
[MO(RCOO) ・・・(1)
[式(1)中、Mは金属原子、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは、1~8の整数である。ただし、Rのうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、Rのうち少なくとも1個が、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000018
構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
構造式(5)で表わされる錯体の詳細は、前記した通りであるが、その要旨は、以下の通りである。
Figure 0007151210000019
[構造式(5)において、M1~M4は同一または異なって金属原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。
Figure 0007151210000020
[構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合または2価の有機基を表す。R1は水素原子または1価の有機基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)直接導入-質量分析(DI-MS)
質量分析は、質量分析計(Waters社製、SynaptG2-S型)を用いた。
イオン化法:大気圧固体試料プローブ(ASAP)
測定モード:Pos.、Neg.
測定範囲:m/z = 50~1500
(2)CHN元素分析
元素分析は、有機微量元素分析装置(ジェイ・サイエンス・ラボ社製、マイクロコーダー JM10型)を用いて行った。
(3)亜鉛含量測定
生成した錯体(0.1171g)を100mlのビーカーに秤量し、蒸留水50mlを加えて溶解させた。これに酢酸-酢酸ナトリウム(pH5)緩衝液 10mlを加え、XO指示薬(和光純薬工業(株)、0.1w/v%キシレノールオレンジ溶液・滴定用0.1g/100ml=0.001396M)数滴を加えた。最後に、蒸留水で100mlに調製した。この調整液に対して0.05mol/lのEDTA標準液(同仁化学社製)で滴定を行った。
(4)赤外分光分析
赤外分光分析は、全反射吸収測定のプリズムとしてダイヤモンドを使用した全反射吸収測定法(ATR法)にて行い、フーリエ変換赤外分光光度計((株)パーキンエルマー社製、「測定装置:Spectrum One」)を用いて行った。
(5)粉末X線回折
X線回折測定は、広角X線回折装置(リガク社製、「RINT-TTR III型」)を用いて行った。測定試料は、メノウ乳鉢を用いて粉砕した。測定条件は、下記のとおりである。
X線源;CuKα線
管電圧-管電流;50kV-300mA
ステップ幅;0.02deg.
測定速度;5deg./min
スリット系;発散-受光-散乱:0.5deg.-開放-0.5deg.
モノクロメーター;回折線湾曲結晶モノクロメーター
(6)反発弾性(%)
反発弾性試験は、JIS K6255(2013)に準じて行った。ゴム組成物を用いて、熱プレス成形(170℃×20分間、または、230℃×5分間)により、厚み約2mmのシートを作製し、当該シートから直径28mmの円形状に打抜いたものを6枚重ねることにより、厚さ約12mm、直径28mmの円柱状試験片を作製した。この試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で、12時間保存した。作製した試験片について、リュプケ式反発弾性試験測定装置(株式会社上島製作所製)を用いて、反発弾性率を測定した。上記重ね合わせた試験片の平面部分を機械的固定法で支持し、測定条件は、温度23℃、相対湿度50%、打撃端直径12.50±0.05mm、打撃質量0.35±0.01kg、打撃速度1.4±0.01m/sとした。
(7)スラブ硬度(ショアC硬度)
ゴム組成物を用いて、熱プレス成形(170℃×20分間、または、230℃×5分間)により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「ショアC」を用いた。
[製造例]
まず、アクリル酸亜鉛オキソクラスター(構造式(5)において、R11~R16がすべてビニル基であり、金属原子(M~M)が亜鉛である錯体)の合成例について説明する。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター実施製造例1)
アルゴン雰囲気下で、反応容器に酸化亜鉛(125g、1540mmol)とアクリル酸亜鉛(955g、4600mmol)とジクロロメタン18.7Lを仕込んだ。40℃で3時間撹拌した。なお、溶媒は還流させた。得られた反応液をろ過して、溶媒に不溶な沈殿物を除去した。ろ液にヘキサン14.3Lを加え、液量が約1/4になるまで減圧濃縮して析出物を得た。ろ過により析出物を除去し、ろ液を濃縮乾燥させて生成物1を得た(87.4g、収率8%)。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター実施製造例2)
反応時間を48時間にした以外は、アクリル酸オキソクラスター実施製造例1と同一の方法で反応を行い、生成物2を得た。(615g、収率57%)。
アクリル酸亜鉛オキソクラスター実施製造例1、2の製造条件および結果を表1にまとめた。
Figure 0007151210000021
収率(%)=100×(各収量をクラスターの分子量で割った値)/(原料から得られるクラスターの理論値(モル))
上記で得た生成物2について、質量分析、元素分析、亜鉛含量測定、X線回折測定、赤外分光分析を行った。各試験結果を以下に示した。
High-resolution ASAP-MS(positive)スペクトル測定結果
Positive ion HR-ASAP-MS m/z: 632.7715
[M-CH2CHCOO]+ (calcd. For C15H15O11Zn4 632.7707 Δ1.2ppm
High-resolution ASAP-MS(negative)スペクトル測定結果
Negative ion HR-ASAP-MS m/z: 735.7762
[M+O2]- (calcd. For C18H18O15Zn4 735.7740 Δ2.9ppm
Anal. Calcd for C18H18O13Zn4: C, 30.71; H, 2.58. Found: C, 30.72; H, 2.50.
IRスペクトルピーク:520cm-1、600cm-1、675cm-1、828cm-1、968cm-1、1067cm-1、1276cm-1、1370cm-1、1436cm-1、1572cm-1、1643cm-1
生成物2のASAP-MSスペクトルを図1、2に示した。また、Zn4O(OCOCHCH26から推定される陰イオン[Zn4O(OCOCHCH362(-)、および、陽イオン[Zn4O(OCOCHCH35(+)のASAP-MSスペクトルシミュレーションパターンを図1、2に示した。図1、2に示すように、ASAP-MSスペクトルは、シミュレーションパターンと同様なパターンを示した。また、得られた実験値632.7715および735.7762は、陽イオン[Zn4O(OCOCHCH35(+):C151511Zn4 推定値632.7707、陰イオン[Zn4O(OCOCHCH362(-):C181815Zn4 推定値735.7740と非常に近似した値を示した。また、亜鉛含量の測定値は36.8質量%であり、理論値37.2質量%と非常に近い値であった。これらの結果から、上記で作製した生成物2は、Zn4O(OCOCHCH26で示される化合物であることが確認できた。
元素分析の結果から、生成物2の炭素含有率は30.72質量%、水素含有率は2.50質量%であった。前記分析結果と推定値との差は、炭素含有率が0.01質量%、水素含有率が0.08質量%であった。原子組成が、推定値と非常に近似していることから、前記生成物(Zn4O(OCOCHCH26)の純度が非常に高いことが確認できた。
図3には、生成物2(アクリル酸亜鉛オキソクラスター)のIRスペクトルを、図4には、ジアクリル酸亜鉛のIRスペクトルを示した。図5には、生成物2(アクリル酸亜鉛オキソクラスター)のX線回折スペクトルを、図6には、ジアクリル酸亜鉛のX線回折スペクトルを示した。IRスペクトルより、アクリレートのビニル基に由来する吸収と、Zn4Oの振動に由来する吸収が確認された。また、カルボキシレート基の配位状態が、ジアクリル酸亜鉛とは異なることも確認された。X線回折スペクトルから、生成物2(アクリル酸亜鉛オキソクラスター)がジアクリル酸亜鉛とは異なる結晶構造を有することが確認された。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例1)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.0g、9.6mmol)と、溶媒として、トルエン140mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水3mLと重合禁止剤として、4-メトキシフェノール20mgを加えた。反応液を110℃にしてトルエンを還流させながら、12時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。濾過残渣は、1.77g(88.5%)であった。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.21g、10.5%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例2)
溶媒として、クロロホルムを用い、反応液を60℃でクロロホルムを還流させながら撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。濾過残渣は、0.24g(12%)であった。得られたろ液を濃縮して、濃縮物(1.44g、72%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例3)
溶媒として、1,2-ジクロロベンゼン140mLを用い、反応液を110℃で撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。反応液に不溶物はなかった。得られたろ液は濃縮することもできず、目的生成物を得ることはできなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例4)
溶媒として、酢酸プロピル140mLを用い、反応液を100℃で酢酸プロピルを還流させながら撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。濾過残渣は、1.71g(85.5%)であった。目的生成物を得ることはできなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例5)
溶媒として、アセトン140mLを用い、反応液を56℃でアセトンを還流させながら撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。濾過残渣は、0.26g(13%)であった。得られたろ液を濃縮して、濃縮物(1.54g、77%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例6)
溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)140mLを用い、反応液を100℃で撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。反応液に不溶物はなかった。得られたろ液は濃縮することもできず、目的生成物を得ることはできなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例7)
溶媒として、アセトニトリル140mLを用い、反応液を82℃でアセトニトリルを還流させながら撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。反応液に不溶物はなかった。得られたろ液は濃縮して、濃縮物(1.8g、90%)を得た。濃縮物について、分析したところ、目的生成物は、確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例8)
溶媒として、ジメチルスルホキシド(DMSO)140mLを用い、反応液を100℃で撹拌した以外は、比較製造例1と同様に反応を行った。反応液に不溶物はなかった。得られたろ液は濃縮することもできず、目的生成物を得ることはできなかった。
アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例1~8の製造条件および結果を表2にまとめた。
Figure 0007151210000022
収率(%)=100×(各収量をクラスターの分子量で割った値)/(原料から得られるクラスターの理論値(モル))
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例9)
反応容器にアクリル酸亜鉛(5.02g、24mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水3mLを加えた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら、2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.38g、7.6%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例10)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.00g、9.6mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水2mLを加えた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら、2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.37g、18.6%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例11)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.01g、9.7mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水2mLを加えた。反応液を90℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(1.07g、53.2%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例12)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.04g、9.8mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水0.5mLを加えた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら1時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(1.67g、81.7%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例13)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.01g、9.7mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら1時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.30g、14.8%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例14)
反応容器にアクリル酸亜鉛(2.08g、10mmol)と、溶媒として、トルエン200mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。この反応液に、さらに添加剤として、水1mLを加えた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら、2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.85g、41%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、目的生成物は確認されなかった。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例15)
反応容器にアクリル酸亜鉛(10g、4.8mmol)と、溶媒として、トルエン49mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら5時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.26g、2.6%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、アクリル酸亜鉛の重合物が確認された。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例16)
反応容器にアクリル酸亜鉛(10g、4.8mmol)と、溶媒として、トルエン49mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら24時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.08g、0.8%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、アクリル酸亜鉛の重合物が確認された。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例17)
反応容器にアクリル酸亜鉛(10g、4.8mmol)と、溶媒として、トルエン97mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をトルエンに溶解または分散させた。反応液を110℃でトルエンを還流させながら24時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.03g、0.3%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、アクリル酸亜鉛の重合物が確認された。
(アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例18)
反応容器にアクリル酸亜鉛(10g、4.8mmol)と、溶媒として、キシレン97mLとを仕込み、アクリル酸亜鉛をキシレンに溶解または分散させた。反応液を110℃でキシレンを還流させながら5時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して濃縮物(0.19g、1.9%)を得た。濃縮物について、分析を行ったところ、アクリル酸亜鉛の重合物が確認された。
アクリル酸亜鉛オキソクラスター比較製造例9~18の反応条件および結果を表3にまとめた。
Figure 0007151210000023
収率(%)=100×(各収量をクラスターの分子量で割った値)/(原料から得られるクラスターの理論値(モル))
[4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の亜鉛塩の調製]
窒素雰囲気下で、4-シアノ安息香酸2.00gとアセトニトリル5.58gと亜鉛トリフラート2.47gとの混合物に、ヒドラジン一水和物34.02gを添加した。得られた溶液を、窒素雰囲気下で、油槽にて、60℃で24時間加熱した。冷却後、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム18.76g、水54.42g)を添加した。この溶液に、塩酸(濃度5質量%)を徐々に加え、pHを3に調整した。その後、溶液を15分間撹拌し、沈殿物をろ取した。ろ過物を、塩酸(濃度1質量%)で3回洗浄した後、乾燥させ、粗体を得た。ジクロロメタン/メタノール=5/1の溶媒を用い再結晶を行い、4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸を得た。
前記4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸を、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム0.11g、水13.04g)に投入し、撹拌溶解させた。続いて、溶液を激しく撹拌しながら、塩化亜鉛水溶液(塩化亜鉛0.119g、水6.52g)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した後、水6.52gを追加し、60℃に加温し、2時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、更に1晩放置した。次に、析出物をろ取し、ろ過物を500gの水で撹拌洗浄を5回行った。洗浄後の析出物を自然乾燥し、4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の亜鉛塩を得た。
(実施製造例1)
アルゴン雰囲気下で、反応容器に酸化亜鉛(0.125kg、1.54mol)とアクリル酸亜鉛(0.800kg、3.85mmol)と4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の亜鉛塩(0.376kg、0.77mol)とジクロロメタン25Lを仕込んだ。40℃で48時間撹拌した。なお、溶媒は還流させた。得られた反応液をろ過して、溶媒に不溶な沈殿物を除去した。反応液を35℃以下まで冷却し、ヘキサン12.5Lを加えて10分間撹拌し、得られた反応液をろ過して、溶媒に不溶な沈殿物を除去した。ろ液を濃縮乾燥させて生成物11を得た(0.59kg、収率45%)。酸化亜鉛は、和光純薬社製を用い、アクリル酸亜鉛は、シグマアルドリッチ社製を用いた。
(実施製造例2)
アルゴン雰囲気下で、反応容器に酸化亜鉛(0.125kg、1.54mol)とアクリル酸亜鉛(0.800kg、3.85mmol)と4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の亜鉛塩(0.376kg、0.77mol)とクロロホルム25Lを仕込んだ。61℃で18時間撹拌した。なお、溶媒は還流させた。得られた反応液をろ過して、溶媒に不溶な沈殿物を除去した。反応液を35℃以下まで冷却し、ヘキサン12.5Lを加えて10分間撹拌し、得られた反応液をろ過して、溶媒に不溶な沈殿物を除去した。ろ液を濃縮乾燥させて生成物12を得た((1.11kg、収率85%)。酸化亜鉛は、和光純薬社製を用い、アクリル酸亜鉛は、シグマアルドリッチ社製を用いた。
実施製造例1~2の反応条件および結果を表4にまとめた。
Figure 0007151210000024
ZDA:アクリル酸亜鉛
テトラジンカルボン酸塩:4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の亜鉛塩
金属酸化物:酸化亜鉛
[ゴム組成物の調製]
表5に示す配合で各原料を120℃×10分間混練し、ゴム組成物を調製した。
Figure 0007151210000025
表5で用いた材料は下記のとおりである。
BR730:JSR社製、ハイシスポリブタジエン(シス-1,4-結合含有量=96質量%、1,2-ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
金属クラスター:実施製造例2で得られた生成物12
ZN-DA90S:日触テクノファインケミカル社製、アクリル酸亜鉛(10質量%ステアリン酸亜鉛コーティング品)
ZnO(酸化亜鉛):東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
DCP(ジクミルパーオキサイド):日油社製、「パークミル(登録商標)D」
図7には、ゴム組成物から作製したスラブの硬度および反発弾性の関係を示した。その結果、本発明の錯体を使用した架橋ゴム成形体(スラブ)は、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を使用した場合に比べて、硬度に対する反発性が高くなることが分かる。また、アクリレートの反応率も高く、架橋反応が効率的に行われていることが分かる。
本発明の錯体は、例えば、架橋剤として有用である。特に、ゴム組成物、塗料組成物、接着剤組成物などの架橋剤として有用である。

Claims (13)

  1. 式(1)で表される錯体。
    ZnO(RCOO) ・・・(1)
    [式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ただし、Rのうち少なくとも1個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、Rのうち少なくとも1個が、構造式(2)で表される一価の基である。
    Figure 0007151210000026
    構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。R1は水素原子またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
  2. 構造式(2)で表される一価の基が、構造式(3)で表される一価の基である請求項1に記載の錯体。
    Figure 0007151210000027
    [構造式(3)において、A5~A8は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X2は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R2は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。なお、A5~A8は少なくとも1つが炭素原子であり、少なくとも1つが窒素原子であり、X2およびR2は炭素原子に結合する。mは0~2の整数を表す。A5~A8のうち1つが炭素原子の場合、mが0である。A5~A8のうち2つが炭素原子の場合、mが1である。A5~A8のうち3つが炭素原子の場合、mが2である。]
  3. 式(1)において、Rのうち少なくとも4個は、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、残りのRが、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される一価の基である請求項1または2に記載の錯体。
  4. 構造式(5)で表される錯体。
    Figure 0007151210000028
    [構造式(5)において、M1~M4は亜鉛原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個は、構造式(2)で表される一価の基である。
    Figure 0007151210000029
    構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。R1は水素原子またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
  5. 構造式(2)で表される一価の基が、構造式(3)で表される一価の基である請求項4に記載の錯体。
    Figure 0007151210000030
    [構造式(3)において、A5~A8は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X2は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R2は水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。なお、A5~A8は少なくとも1つが炭素原子であり、少なくとも1つが窒素原子であり、X2およびR2は炭素原子に結合する。mは0~2の整数を表す。A5~A8のうち1つが炭素原子の場合、mが0である。A5~A8のうち2つが炭素原子の場合、mが1である。A5~A8のうち3つが炭素原子の場合、mが2である。]
  6. 11~R16のうち少なくとも4個は、炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、残りのR11~R16は、構造式(2)で表される一価の基または構造式(3)で表される基である請求項4または5に記載の錯体。
  7. 11~R16のうち少なくとも2個が-CH=CHまたは-C(CH)=CHであり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個が、式(4-1)~(4-11)よりなる群から選択される少なくとも一つの基である請求項4に記載の錯体。
    Figure 0007151210000031
    [式(4-1)~(4-11)において、X3は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R~Rは水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。]
  8. 式(6)で表される化合物と、式(7)で表される化合物と、式(8)で表される金属酸化物とを溶媒中で反応させることを特徴とする式(1)で表される錯体の製造方法。
    [Zn(RCOO)]・yHO・・・(6)
    [Zn(RCOO)]・yHO・・・(7)
    ZnO ・・・(8)
    [式(6)中、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、または、炭素数2~18のアルキニル基である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    式(7)中、Rは、構造式(2)で表される一価の基である。yは、0以上の整数である。複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    Figure 0007151210000032
    構造式(2)において、A1~A4は、それぞれ独立して窒素原子または炭素原子を表す。X1は単結合またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。R1は水素原子またはヘテロ原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を表す。なお、A1~A4は少なくとも1つが炭素原子であり、X1およびR1は炭素原子に結合する。nは0~3の整数を表す。A1~A4のうち1つが炭素原子の場合、nが0である。A1~A4のうち2つが炭素原子の場合、nが1である。A1~A4のうち3つが炭素原子の場合、nが2である。A1~A4が全て炭素原子の場合、nが3である。]
    ZnO(RCOO) ・・・(1)
    [式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または、前記構造式(2)で表される一価の基である。式(1)において、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ただし、Rのうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、Rのうち少なくとも1個が、前記構造式(2)で表される一価の基である。
  9. 溶媒として、クロロホルムを使用する請求項8に記載の錯体の製造方法。
  10. 式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物と、式(8)で表される金属酸化物のモル比(((6)+(7))/(8))は、3/2~5/1である請求項8または9に記載の錯体の製造方法。
  11. -20℃~100℃の範囲の温度で反応させる請求8~10のいずれか一項に記載の錯体の製造方法。
  12. 構造式(5)で表される錯体を製造する請求項8~11のいずれか一項に記載の錯体の製造方法。
    Figure 0007151210000033
    [構造式(5)において、M1~M4は亜鉛原子であり、R11~R16は、それぞれ同一または異なって、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、または前記構造式(2)で表される一価の基を表す。R11~R16のうち少なくとも1個は炭素数2~18のアルケニル基または炭素数2~18のアルキニル基であり、かつ、R11~R16のうち少なくとも1個は、前記構造式(2)で表される一価の基である。
  13. 式(7)で表される化合物において、Rは、式(4-1)~(4-11)よりなる群から選択される少なくとも一種の基である請求項8~12のいずれか一項に記載の錯体の製造方法。
    Figure 0007151210000034
    [式(4-1)~(4-11)において、X3は単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。R~Rは水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を表す。]
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