JP3609706B2 - メチレンジチエパンに基づく加水分解可能および重合可能なシラン - Google Patents

メチレンジチエパンに基づく加水分解可能および重合可能なシラン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メチレンジチエパン(methylene dithiepane)に基づくシランに関し、これらは、歯科用材料の調製に、特に適切である。
【0002】
【従来の技術】
重合可能な有機基を含有する加水分解可能シランは、被覆剤、粒子状充填剤、接着材料およびモノリシック成形体の調製においてだけでなく、強化材料の表面修飾において、使用されている。これらのシランは、単独で、他のシランと混合して、または他の金属アルコキシドの存在下にて、加水分解縮合され(hydrolytically condensed)、そして重合される(すなわち、熱的、光化学的またはレドックス開始により、硬化される)。
【0003】
有機−無機複合材料の調製に関連して、特に重要なものは、とりわけ、重合可能有機基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基またはスチリル基)を有する有機修飾シランである。何故なら、それらにより、無機ネットワークおよび有機ネットワーク(それゆえ、あつらえの(made−to−measure)特性を有する複合材料)の両方の同時または連続的な構築が可能となるからである(H.Schmidt、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.32(1984),327〜335;H.Schmidt,H.Wolter,J.Non−Cryst.Solids 121(1990),428〜435を参照)。これらの重合可能シランは、通常、まず、溶液中にて、加水分解縮合される。熱開始剤または光開始剤の添加および溶媒の除去後、ナノ微粒子樹脂ができ、これらは、成形した後に重合し、硬化される。
【0004】
これらの材料の重大な欠点には、重合中に起こる有機ネットワークの発展が、主に、相当な容量収縮を伴い、これが、その成形体の変形、その基板接着性の低下、それらの層の分離、空隙の発展または材料応力の発展を引き起こし得ることがある。開環基を備えたシランの場合には、容量収縮が低下する。これに関して、EP 0 358 011 A2は、特に、3−グリシジルオキシプロピルシランに基づく引っかき耐性材料を記述しており、そしてEP 0 486 469 A1は、3−グリシジルオキシプロピルシランの有機−無機ハイブリッド重合体を記述している。
【0005】
さらに、重合可能シランに基づく歯科用材料は、公知である。DE 36 10 804 A1は、シロキサン重合体、これらのシロキサン重合体と共重合可能なモノマーおよび重合触媒を含有する歯科用樹脂化合物を開示している。これらの歯科用樹脂化合物は、重合後、改良された圧縮耐性、摩耗耐性および曲げ強度を有すると言われている。
【0006】
DE 34 07 087 A1およびWO 92/16183は、歯および義歯を被覆するために、有機的に修飾されたケイ酸重縮合物に基づく組成物を使用することに関する。硬化した被膜は、歯垢の増加に対して耐性であると言われている。
【0007】
重合可能ポリシロキサンに基づく歯科用樹脂化合物は、DE 41 33 494から公知であり、これらは、シランと1,4,6−トリオキサスピロ−[4,4]−ノナン基との加水分解縮合により、得られる。オルトエステル基を有するシランは、入手するのが困難であり、あまり貯蔵安定性ではない。さらに、エポキシド基またはスピロオルトエステル基を有するシランは、カチオン的にのみ重合できるので、水分を排除する必要がある。さらに、これらのエポキシドシランの重合は、高温においてのみ、充分に迅速に進行する。
【0008】
DE 196 19 046は、メルカプトシランまたはノルボルネンシランおよびエン−チオール(en−thiole)重合用の反応パートナーに基づく低収縮性の重合可能組成物を開示している。
【0009】
DE 197 14 320 A1は、ビニルシクロプロパンシランに基づく歯科用材料に関し、そしてDE 197 14 324 A1は、オキセタン(oxetane)シランに基づく歯科用材料に関する。
【0010】
さらに、メチレンジチエパン基含有モノマー(例えば、ジメチルジ−[2−(6−メチレン−1,4−ジエチエパン)メトキシ]シラン(DMTEPS))は、WO 96/19471から公知であり、これらは、開環を伴って、ラジカル的に重合できる。DMTEPSは、加水分解可能な基(この基によって、加水分解縮合が可能となり、ポリシロキサンを生じる)を含有しない。むしろ、これらのジチエパン基は、この加水分解中に、分裂する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機−無機複合材料に共有結合的に組み入れることができ、室温で急速に重合でき、そして重合中少しの収縮しか示し得ない、メチレンジチエパンに基づくシランを調製することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式Iのメチレンジチエパンシランを提供し:
【0013】
【化2】
Figure 0003609706
ここで、
は、1個〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、該炭化水素基は、1個またはそれ以上の酸素原子および/またはイオウ原子に割り込まれ得、そして1個またはそれ以上のエステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基を含有し得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜18個の炭素原子を有する芳香族または複素環式芳香族炭化水素基であって、該これらの炭化水素基は、置換されているかまたは非置換であり得る;
は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
は、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−(CHR−S−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、nは、1〜4であり、Rは、水素、C〜C10アルキルまたはC〜C10アリールであり、Rは、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYは、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;RおよびRは、置換されているかまたは非置換であり得る;
Xは、加水分解可能基である;
a、b、cおよびxは、互いからそれぞれ独立して、1、2または3である;a+xの合計は、2〜4である、
メチレンジチエパンシランを提供する。
【0014】
好適な実施態様においては、上記メチレンジチエパンシランにおいて、R、R、Rおよび/またはRが、1個〜8個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、該炭化水素基が、酸素原子またはイオウ原子、エステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基に割り込まれ得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である;
が、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、nが、1〜3であり、Rが、水素またはC〜Cアルキルであり、Rが、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYが、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;
Xが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cアシルオキシである;
aが、1である;
bが、1または2である;
cが、1または2である;および/または
xが、2または3である、
メチレンジチエパンシランを提供する。
【0015】
さらに好適な実施態様においては、上記メチレンジチエパンシランにおいて、Rが、1個〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である;
が、1個〜4個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であって、該炭化水素基が、酸素原子またはエステル基を含有できる脂肪族炭化水素基であるか、あるいは存在しない;
が、メチル基、エチル基および/またはフェニル基であるか、あるいは存在しない;
が、−(CH−または−Y−CO−NH−(CH−であり、nが、1〜3であり、そしてYが、O原子を意味するか、または存在しない;および/または
Xが、メトキシ、エトキシまたは塩素である、
メチレンジチエパンシランを提供する。
【0016】
さらに好適な実施態様においては、上記メチレンジチエパンシランにおいて、1個またはそれ以上のR〜R基が、必要に応じて、C〜C10アルキル基、C〜C10アリール基、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、−SOH、−POおよび/または−POによって置換される、メチレンジチエパンシランを提供する。
【0017】
さらに好適な実施態様においては、上記メチレンジチエパンシランにおいて、前記1,4−ジチエパン環が、2位または3位で置換されている、メチレンジチエパンシランを提供する。
【0018】
本発明はまた、上記の1種またはそれ以上のメチレンジチエパンシランに基づくポリシロキサン、および必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる加水分解縮合可能な化合物を含有する、組成物を提供する。
【0019】
好適な実施態様においては、上記組成物中のさらなる加水分解縮合可能な化合物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、スズ、バナジウムまたはリンの化合物である、組成物を提供する。
【0020】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中のさらなる加水分解縮合可能な化合物が、式(VI)のシラン、式(VII)のジルコニウム、チタン化合物、式(VIII)のアルミニウム化合物であり、そして/あるいは三ハロゲン化ホウ素、四ハロゲン化スズ、スズテトラアルコキシドおよび/またはバナジル化合物である、組成物を提供し、
(Z’RSiX’4−(k+m) 式(VI)
ここで、
が、C〜Cアルキル基、C〜C12アルケニル基またはC〜C14アリール基を意味する;
が、C〜Cアルキレン基、C〜C12アルケニレン基またはC〜C14アリーレン基を意味する;
X’が、水素またはハロゲン原子またはC〜Cアルコキシ基を意味する;
Z’が、グリシジル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基またはビニルエーテル基を意味する;
kが、0、1、2または3に等しい;
mが、0、1、2または3に等しい;そして
k+mが、0、1、2または3に等しい;
MeX’’ 式(VII)
ここで、
Meが、ZrまたはTiを意味する;
が、水素原子、置換または非置換C〜C12アルキル基、C〜C15アルキルアリール基またはC〜C14アリール基を意味する;
X’’が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基を意味する;
Yが、1〜4に等しい;そして
Zが、1〜3に等しい;
AlR10 式(VIII)
ここで、
10が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基を意味する、
組成物を提供する。
【0021】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中において
が、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはフェニル基である;
が、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基またはフェニレン基である;
X’が、ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基である;
Z’が、アクリル基またはメタクリル基である;
kが、0または1である;
mが、0または1である;
k+mが、0、1または2である;および/または
が、C〜Cアルキル基またはフェニル基である;
X”が、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基である;
Yが、4である;
Zが、0または1、特に、0である;および/または
10が、ハロゲン原子またはC〜Cアルコキシ基である、
組成物を提供する。
【0022】
さらに好適な実施態様においては、
上記組成物中のポリシロキサンが、
式(I)の化合物および/またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物(precondensed product)ならびに式(VI)、式(VII)または(VIII)の化合物の全質量に対して、
1〜90mol%、好ましくは、1〜60mol%、特に、1〜40mol%の一般式(VI)の1種またはそれ以上のシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
0〜70mol%、好ましくは、0〜50mol%、特に、0〜30mol%の一般式(VII)の1種またはそれ以上のジルコニウム化合物および/またはチタン化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
0〜70mol%、好ましくは、0〜30mol%、特に、0〜20mol%の一般式(VIII)の1種またはそれ以上のアルミニウム化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する、
組成物を提供する。
【0023】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中のポリシロキサンが、前記単量体出発化合物に対して、10〜99mol%の式(I)のシランを含有する、組成物を提供する。
【0024】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中にさらに、イオン重合可能および/またはラジカル重合可能なモノマーを含有する、組成物を提供する。
【0025】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中にメチル、エチル、ブチル、ベンジル、フルフリルおよび/またはフェニルの(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA、UDMA、ジ−、トリ−またはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートまたはこれらのモノマーの混合物を含有する、組成物を提供する。
【0026】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中にまた、充填剤を含有する、組成物を提供する。
【0027】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中にラジカル重合用開始剤を含有する、組成物を提供する。
【0028】
さらに好適な実施態様においては、上記組成物中に
(a)5〜99.9重量%のポリシロキサン;および
(b)0.1〜5.0重量%の重合開始剤;および必要に応じて、
(c)1.0〜80重量%のイオン重合可能および/またはラジカル重合可能なモノマー;
(d)1.0〜90重量%の充填剤、
を含有する組成物を提供する。
【0029】
さらに好適な実施態様においては、歯科用材料としての、上記組成物の使用を提供する。
【0030】
さらに好適な実施態様においては、複合材料、セメント、充填材料またはボンディングとしての、上記組成物の使用を提供する。
【0031】
本発明の目的は、式(I)のシランにより達成され、これは、少なくとも1個のメチレンジチエパン基を含有する:
【0032】
【化3】
Figure 0003609706
ここで、
は、1個〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、この炭化水素基は、1個またはそれ以上の酸素原子および/またはイオウ原子に割り込まれ得、そして1個またはそれ以上のエステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基を含有し得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜18個の炭素原子および必要に応じて、1個またはそれ以上(好ましくは、1個または2個)のヘテロ原子(好ましくは、S原子、O原子および/またはN原子)を有する芳香族または複素環式芳香族炭化水素基である;
は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
は、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−(CHR−S−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、ここで、nは、1〜4であり、Rは、水素、C〜C10アルキルまたはC〜C10アリールであり、Rは、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYは、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;
Xは、加水分解可能基である;
a、b、cおよびxは、互いからそれぞれ独立して、1、2または3である;
a+xの合計は、2〜4である。
【0033】
好ましくは、aが1より大きいとき、bは、1に等しく、そしてbが1より大きいとき、aは、1に等しい。
【0034】
これらの炭化水素基には、また、アルキルアリール基(例えば、CH−Ph−)、アリールアルキレン基(例えば、>CH−Ph)、およびアリーレンアルキレン基(例えば、−CH−Ph−または>CH−Ph−CH<)が挙げられ、C〜C18のC原子を有する炭化水素基が好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
特許請求の範囲においてだけでなく、全体的な記述において、アルキルとは、直線状基、分枝基または環状基を意味することが分かり、これらは、好ましくは、1個〜12個の炭素原子、さらに好ましくは、1個〜8個の炭素原子、最も好ましくは、1個〜4個の炭素原子を含有する。可能なアルキル基の具体的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシルおよびオクタデシルがある。
【0036】
アリールとは、好ましくは、6個〜10個の炭素原子を有する基または置換基を意味することが分かり、そして上で示したようにして、置換され得る。好ましいアリール基には、フェニル、ビフェニルおよびナフチルがある。
【0037】
これらのアルコキシ基およびアシルオキシ基は、上で命名したアルキル基およびアリール基から誘導される。具体的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルオキシ、アセチルオキシ、アセチル、ベンジル、2−フェニルエチルおよびトリルがある。
【0038】
上で命名した基は、非置換であり得、または1個またはそれ以上の置換基(特に、アルキル、アリール、ハロゲン(好ましくは、塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、−SOH、−POおよび/または−PO)を備え得る。
【0039】
これらの基に潜在的に存在するエステル基、カルボニル基、アミド基およびウレタン基は、以下の式により、定義される:−CO−O−、−O−CO−、−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CO−NH−、−NH−CO−O−。これらの基は、これらの基に一体化され得るか、そこの末端に結合され得る。
【0040】
個々の変数に対する好ましい定義(これらは、互いから独立して、選択できる)は、以下である:
は、1個〜8個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、この炭化水素基は、酸素原子またはイオウ原子、エステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基に割り込まれ得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である(特に、1個〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である);
は、1個〜8個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、この炭化水素基は、酸素原子またはイオウ原子、エステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基に割り込まれ得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である(特に、酸素原子またはエステル基を含み得る、1個〜4個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基である)か、あるいは存在しない;
は、1個〜8個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、この炭化水素基は、酸素原子またはイオウ原子、エステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基に割り込まれ得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である(特に、メチル基、エチル基および/またはフェニル基である)か、あるいは存在しない;
は、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、nは、1〜3であり、Rは、水素またはC〜Cアルキルであり、Rは、Rに対して与えた意味の1つ(特に、好ましい意味の1つ)を有し、そしてYは、O原子またはS原子を意味するか、または存在せず、特に、−(CH−または−Y−CO−NH−(CH−であり、nは、1〜3であり、そしてYは、O原子を意味するか、または存在しない;
Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cアシルオキシである;特に、メトキシ、エトキシまたは塩素である;
aは、1である;
bは、1または2である;
cは、1または2である;および/または
xは、2または3である。
【0041】
このシランの1,4−ジチエパン環は、好ましくは、2位または3位で置換されている。
【0042】
本発明による式(I)のメチレンジチエパンシランの好ましい型には、以下の式II〜Vの化合物がある。
【0043】
【化4】
Figure 0003609706
式(I)の特に好ましいシランの具体的な例には、以下がある:
【0044】
【化5】
Figure 0003609706
【0045】
【化6】
Figure 0003609706
式(I)のシランは、それ自体公知の付加および縮合反応を介して入手でき、加水分解可能基、重合可能基および別の官能基の数は、遊離体(educts)を適切に選択することにより、変えることができる。
【0046】
シラン合成に適切な官能基化した2−メチレン−ジチエパン前駆体は、例えば、一価または多価カルボン酸無水物(mono− or multicarboxylic acid anhydrides)(A)あるいは一価または多価エポキシド(B)と、ヒドロキシメチル−6−メチレン−1,4−ジエチエパン(diethiepane)との反応により入手でき、その合成は、WO 96/19471で記述されている。引き続いて、この反応中に形成されたカルボキシル基(A)またはヒドロキシル基(B)は、例えば、3−イソシアナトプロピルトリエチルオキシシランと反応される。
【0047】
【化7】
Figure 0003609706
本発明によるメチレンジチエパンシランは、そのメチレンジチエパン基を介した開環重合により、ラジカル的に重合可能であり、また、そのX基を介して、加水分解縮合可能である。これらのジチエパン環の開環重合により、有機ネットワークが発展するのに対して、一方その加水分解可能基は、重縮合により、無機ポリシロキサンネットワークを生じる。本発明によるシランに特有の利点は、それらが、室温にて、高速でラジカル重合され得るが、同時に、非常に安定であるという事実に見られ得る。さらに、加水分解重縮合およびラジカル重合後に得られた生成物は、水分に感受性ではない。
【0048】
本発明によるシランのさらに別の利点には、それらの予想外に高い屈折率にある。一般に、これは、1.50より高く、好ましくは、1.52より高く、特に好ましくは、1.53〜1.55の範囲(これは、25℃で、ナトリウム光のD線について測定した)、すなわち、通常の歯科用充填剤の屈折率範囲にある。それゆえ、本発明によるシランによれば、シランおよび充填剤の屈折率を正確に一致させることが可能になり、それゆえ、透明性の高い歯科用材料の調製が可能となる。
【0049】
本発明によるシランは、それ自体、加水分解縮合した形態または部分的に重合した形態で使用できる。一般に、これらのシランは、初めに、加水分解縮合され、この工程で得られたポリシロキサンは、引き続いて、開環重合により、硬化される。
【0050】
シラン(I)は、これらのポリシロキサンを生成するために、単独で、あるいはケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、スズおよび/またはバナジウムの他の加水分解縮合可能な化合物と共に、のいずれかで、処理できる。これらの追加化合物は、そのままで、またはプレ縮合された形態(precondensed form)で、のいずれかで使用できる。
【0051】
ケイ素の好ましいさらなる加水分解縮合可能な化合物には、一般式(VI)のシランがある:
(Z’RSiX’4−(k+m) 式(VI)
ここで、
は、C〜Cアルキル基、C〜C12アルケニル基またはC〜C14アリール基を意味する;
は、C〜Cアルキレン基、C〜C12アルケニレン基またはC〜C14アリーレン基を意味する;
X’は、水素またはハロゲン原子あるいはC〜Cアルコキシ基を意味する;Z’は、グリシジル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基またはビニルエーテル基を意味する;
kは、0、1、2または3に等しい;
mは、0、1、2または3に等しい;そして
k+mは、0、1、2または3に等しい。
【0052】
それらの個々の変数に対する好ましい定義(これは、互いから独立して、選択できる)には、以下がある:
は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはフェニル基である;
は、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基またはフェニレン基である;
X’は、ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基である;
Z’は、アクリル基またはメタクリル基である;
kは、0または1である;
mは、0または1である;
k+mは、0、1または2である。
【0053】
このようなシランは、例えば、DE 34 07 087 A1で記述されている。式(VI)の特に好ましいシランには、以下がある:
CH−SiCl、CH−Si(OC、C−SiCl、C−Si(OC、CH=CH−Si(OC、CH=CH−Si(OCH、CH=CH−Si(OCOCH、(CHSiCl、(CHSi(OC、(CSi−Cl、(CSi(OC、(CHSi−Cl、(CHO)Si−CNH、(CHO)Si−CSH、(CHO)Si−CNH
【0054】
【化8】
Figure 0003609706
一般式(VI)のシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物(precondensed product)は、好ましくは、式(I)および(VI)のシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物の全質量に対して、0〜90mol%の量、さらに好ましくは、1〜60mol%の量、最も好ましくは、1〜40mol%の量で、使用される。
【0055】
好ましいジルコニウムおよびチタン化合物には、式(VII)のものがある:
MeX’’ 式(VII)
ここで、
Meは、ZrまたはTiを意味する;
は、水素原子、置換または非置換C〜C12アルキル基、C〜C15アルキルアリール基あるいはC〜C14アリール基を意味する;
X”は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基を意味する;
Yは、1〜4に等しい;そして
Zは、0〜3に等しい。
【0056】
それらの個々の変数に対する好ましい定義(これは、互いから独立して、選択できる)には、以下がある:
は、C〜Cアルキル基またはフェニル基である;
X”は、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基である;
Yは、4である;
Zは、0または1、特に、0である。
【0057】
特に好ましいジルコニウムおよびチタン化合物には、ZrCl、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC、ZrOCl、TiCl、Ti(OC、Ti(OCおよびTi(OCがある。
【0058】
一般式(VII)またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物のジルコニウムおよびチタン化合物は、好ましくは、式(I)および(VII)の化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物の全質量に対して、0〜70mol%の量、さらに好ましくは、0〜50mol%の量または0〜30mol%の量、最も好ましくは、0〜20mol%の量で、使用される。
【0059】
好ましいアルミニウム化合物には、式(VIII)のものがある:
AlR10 式(VIII)
ここで、
10は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基、好ましくは、ハロゲン原子またはC〜Cアルコキシ基を意味する。
【0060】
特に好ましいアルミニウム化合物には、Al(OCH、Al(OC、Al(OC、Al(OCおよびAlClがある。
【0061】
一般式(VIII)またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物のアルミニウム化合物は、好ましくは、式(I)および(VIII)の化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物の全質量に対して、0〜70mol%の量、さらに好ましくは、0〜30mol%の量、最も好ましくは、0〜20mol%の量で、使用される。
【0062】
さらに、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムの錯体化合物は使用され得、酸およびβ−ジカルボニル化合物は、錯化剤として、好ましい。好ましい酸には、アクリル酸およびメタクリル酸または他のメタクリレートカルボン酸(例えば、コハク酸水素2−メタクリロイルオキシエチル)、あるいはグルセロールジメタクリレートおよび無水カルボン酸(例えば、無水コハク酸または無水フタル酸)の1:1付加物がある。好ましいβ−カルボニル化合物には、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルエステル(特に、メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル)がある。これらの錯化剤は、好ましくは、1:1のモル比で、ジルコニウム、チタンまたはアルミニウムのアルコキシ誘導体と反応される。
【0063】
さらに、三ハロゲン化ホウ素、四ハロゲン化スズ、スズテトラアルコキシドおよび/またはバナジル化合物は、式(I)のシランとの共縮合に適切である。
【0064】
加水分解縮合可能な追加化合物を使用すると、これらのポリシロキサン中の式(I)のシランの割合は、好ましくは、単量体出発化合物に対して、それぞれ、好ましくは、10〜100mol%、さらに好ましくは、40〜100mol%である。シラン(I)および(VI)の割合は、共に、好ましくは、また、これらの単量体出発化合物に対して、少なくとも20mol%、さらに好ましくは、少なくとも80mol%である。
【0065】
これらのポリシロキサンの調製は、上で列挙した化合物の加水分解縮合により、実行される。一般式(I)および(VI)のシランの場合には、加水分解可能基Xは、まず、分裂され、シラノール、シランジオールおよびシラントリオールが得られ、これらは、水の分離を伴って縮合して、Si−O−Si単位の無機ネットワークを有するポリシロキサンを生じる。
【0066】
一般に、これらのシランの加水分解縮合は、加水分解するケイ素化合物を、直接的に、または適切な溶媒に溶解して、0℃〜100℃、好ましくは、20℃〜80℃、さらに好ましくは、20℃と50℃の間の温度で、少なくとも、加水分解を完結するのに化学量論的に必要な量の水と反応させ、そして得られた混合物を1時間以上攪拌することにより、実行される。溶媒としては、脂肪族アルコール(例えば、エタノールまたはイソプロパノール)、ジアルキルケトン(例えば、アセトンまたはメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン(THF))、エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチル)およびそれらの混合物が、特に適切である。
【0067】
この出発混合物の加水分解および縮合は、好ましくは、縮合触媒、すなわち、プロトンまたは水酸化物イオンを分離する化合物(例えば、有機または無機の酸または塩基)だけでなく、フッ化物イオンを遊離する化合物(例えば、フッ化アンモニウムまたはフッ化ナトリウムが好ましい)の存在下にて、実行される。揮発性の酸または塩基(特に、塩酸または水酸化アンモニウム)は、特に好ましい。例えば、C.J.Brinkerら、「Sol−Gel−Science」(Academic Press,Boston,1990)で記述されているように、加水分解および縮合中にて、ゾル−ゲル法の手順を採用することは、価値があることが分かった。
【0068】
この加水分解縮合が、ジルコニウム、チタンまたはアルミニウム化合物の存在下にて実行される場合、好ましくは、段階的に、水の添加が実行され、その温度は、好ましくは、およそ0〜30℃の範囲で保たれる。水性溶媒(例えば、水性エタノール)の形態で、水を添加すること、または、例えば、化学反応(例えば、エステル化)により、水をインサイチュで生成することは、しばしば、有利である。
【0069】
得られたポリシロキサンは、直接的に使用してもよいし、またはこの溶媒を部分的または完全に除去した後に使用してもよい。この加水分解縮合に使用される溶媒を別の溶媒と置き換えることは、しばしば、有利である。シラン(I)、特に、ポリシロキサンは、それらの高い分子量のために、低い揮発性しか有しておらず、従って、大部分は、安全に処理できる。これらのポリシロキサンの力学的特性に関して、この加水分解縮合を、65〜95%の縮合度まで実行することは、有利であり、この縮合度は、29Si−NMRにより、測定される。
【0070】
これらのポリシロキサンの完全な硬化は、適切な開始剤および必要に応じて、別の重合可能成分を添加することにより、熱重合、光化学的重合またはレドックス誘発重合により、実行される。種々の重合可能基(例えば、(メタ)アクリル酸基およびエポキシド基)が存在する場合、いくつかの硬化機構(例えば、ラジカル重合およびカチオン重合)は、同時に、または連続段階で、使用され得る。
【0071】
このラジカル重合を開始するためには、熱および/または光開始剤が、好ましくは、使用される。
【0072】
この熱硬化に好ましい開始剤には、過酸化物(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウリル、過オクタン酸tert−ブチルおよび過安息香酸tert−ブチル)だけでなく、アゾビスイソブチロエチルエステル、ベンゾピナコールおよび2,2−ジメチルベンゾピナコールがある。
【0073】
好ましい光開始剤には、ベンゾフェノンおよびベンゾインだけでなく、それらの誘導体、α−ジケトンおよびそれらの誘導体(例えば、9,10−フェナントレンキノン、ジアセチルおよび4,4−ジクロロベンジル)がある。特に好ましい光開始剤には、ショウノウキノンおよび2,2−メトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、特に、α−ジケトンと還元剤としてのアミン(例えば、N−シアノエチル−N−メチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)−安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはトリエタノールアミン)との組合せがある。さらに、アシルホスフィン(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド)は、光開始剤として、適切である。
【0074】
ジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)は、ラジカル重合およびカチオン重合可能な系の二重硬化(dual curing)に、特に適切である。
【0075】
レドックス開始剤の組合せ(例えば、過酸化ベンゾイルまたは過酸化ラウリルとN,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはN,N−ジメチル−p−トルイジンとの組合せ)は、室温での重合用の開始剤として、使用される。
【0076】
ポリシロキサンと2個またはそれ以上のメチレンジチエパン基との重合により、三次元有機ネットワークが得られ、硬化した材料の力学的特性(例えば、強度および可撓性)だけでなく、物理化学的特性(例えば、接着力、水吸収性および屈折率)は、Si原子とこの重合可能メチレンジチエパン基との間の距離(すなわち、スペーサー基−R−R−R−の長さにわたって)によってだけでなく別の官能基の存在によって変わり得、各個の適用状況の要件に最適に適合できる。スペーサーとして脂肪族基を使用することにより、比較的に可撓性の生成物が得られ、また、芳香族基を使用することにより、比較的に剛性の生成物が得られる。
【0077】
硬化した材料の架橋密度は、重合可能なメチレンジチエパン基の数によって設定でき、それにより、これらのポリシロキサンの特性および可能な用途に対して、さらに影響を与えることができる。
【0078】
さらに、この単量体シランが、イオン的に架橋可能な基(例えば、エポキシド基またはオキセタン基)を含有する場合、この架橋密度のそれ以上の増加は、それらの同時または引き続くイオン重合により、達成できる。
【0079】
これらのポリシロキサンは、適切なイオン重合可能および/またはラジカル重合可能な一官能性モノマーまたは多官能性モノマーと混合して、使用できる。好ましいモノマーには、モノ(メタ)アクリレート(例えば、メチル、エチル、ブチル、ベンジル、フルフリルまたはフェニルの(メタ)アクリル酸エステル)、多官能性アクリレートおよびメタクリレート(例えば、ビスフェノール−(A)−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸およびビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルの付加生成物)、UDMA(2−ヒドロキシエチル−メタクリラートおよび2,2,4−ヘキサメチレンジイソシアネートの付加生成物)、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート)がある。
【0080】
これらの重合可能モノマーは、好ましくは、式(I)の重合可能モノマーおよびシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物の全質量に対して、1〜80重量%の量、さらに好ましくは、5〜50重量%の量、最も好ましくは、5〜30重量%の量で、使用される。
【0081】
これらの混合物は、さらに、別の添加剤(例えば、着色剤(顔料および染料)、安定剤、芳香族物質、殺微生物活性成分、難燃剤、可塑剤および/またはUV吸収剤)を含有できる。
【0082】
さらに、これらの力学的特性を改良するための組成物は、有機または無機の粒子または繊維で充填され得る。好ましい無機粒子充填剤には、SiO、ZrOおよび/またはTiOの混合酸化物に基づく非晶質球形物質(DE 40 29 230 A1)、マイクロファイン充填剤(例えば、熱分解法(焼成)(pyrogenic)ケイ酸または沈殿ケイ酸)だけでなく、マクロ充填剤(5μm〜200μmの粒径)またはミニ充填剤(0.5〜5μmの粒径)(例えば、石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末(特に、ケイ酸バリウムおよびケイ酸ストロンチウムガラス粉末、ケイ酸リチウム−アルミニウムガラス粉末、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムまたはそれらの混合酸化物であって、これらは、0.5μm〜5μmの平均粒径を有する))だけでなく、X線不透過性充填剤(例えば、三フッ化イッテルビウム)がある。さらに、ガラス繊維、ポリアミドまたは炭素繊維もまた、充填剤として使用できる。
【0083】
本発明のシランは、そのままで、または加水分解縮合した形態または部分的に重合した形態で、プラスチック、ガラスまたは他の物質を被覆するためのワニスとして、使用できる。さらに、それらは、接着剤、接着促進剤として、また、コンタクトレンズ、複合材料用の充填剤およびバルク化(bulking)材料(特に、歯科用材料のような医用材料)の調製に、適切である。
【0084】
本発明によるメチレンジチエパンシラン、それらから誘導されるポリシロキサンだけでなく、このメチレンジチエパンシラン(単数または複数)および/またはポリシロキサンに加えて、開始剤、モノマー、添加剤および/または充填剤を含有する組成物は、歯科用材料(例えば、接着剤、被覆材料、歯科用セメントおよび充填材料)として、特に適切である。
【0085】
好ましい組成は、以下を含有する:
(a)5〜99.9重量%、好ましくは、5〜90重量%、さらに好ましくは、10〜70重量%のポリシロキサン;および
(b)0.1〜5.0重量%、好ましくは、0.2〜2.0重量%の重合開始剤;および好ましくは、
(c)1.0〜80重量%、好ましくは、5.0〜50重量%のイオン重合可能および/またはラジカル重合可能なモノマー;および好ましくは、
(d)1.0〜90重量%、好ましくは、2.0〜80重量%の充填剤。
【0086】
これらの量は、各場合にて、この歯科用材料の全質量に対する量である。
【0087】
本発明を、以下の実施例にて、さらに詳細に説明する。
【0088】
【実施例】
(実施例1)
(N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−[2−(6−メチレン−1,4−ジチエパン)メチル]カルバメートの合成)
【0089】
【化9】
Figure 0003609706
3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(11g、45mmol)を、乾燥塩化メチレン(15ml)中の2−ヒドロキシメチル−6−メチレン−1,4−ジチエパン(これは、WO 96/19471に従って、調製した)(8g、45mmol)およびMetatin 812(ジブチルスズジラウレート)1滴の氷冷溶液に滴下する。室温で14時間攪拌した後、そのNCOバンドは、IRスペクトルにおいて、2280cm−1で、もはや検出できず、その溶媒を、次いで、乾燥空気の導入を伴う減圧下にて、留去する。n 25=1.5039の屈折率を有する薄い色の液体(17.6g、92%)が残る。
【0090】
【数1】
Figure 0003609706
【0091】
【化10】
Figure 0003609706
【0092】
【数2】
Figure 0003609706
(実施例2)
(N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−[2−(6−メチレン−1,4−ジチエパン)メチル]カルバメートの加水分解縮合)
このシラン(100mmol)を、無水THF(192ml)に溶解する。その加水分解は、0.1HCl水溶液の形態で、水(3.0mol)を添加することにより、実行する。室温(RT)で72時間攪拌した後、真空中にて、その揮発性成分を除去し、粘稠な樹脂が形成し、これは、29Si−NMR分光法により決定されるように、72%の縮合度を示す。形成された樹脂は、ラジカル重合用のモノマー成分として使用できる。
【0093】
(実施例3)
(実施例2に由来のゾル−ゲル成分に基づく歯科用セメントの調製)
以下の表1に従って、A)メタクリレート混合物およびB)Exakt型ロールミル(Exakt Apparatebau,Norderstedt)によって、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−[2−(6−メチレン−1,4−ジエチエパン)メチル]カルバメートに基づく実施例2に由来の加水分解縮合物を組み込むことに基づいて、複合材料固定セメントを調製した。これらの材料から調製した適切な試料に、3分間にわたって、2回、370〜520nmの波長範囲で、歯科用光源(Spectramat,Vivadent)で照射した。
【0094】
表2から、従来のメタクリレート混合物を有する材料Aは、最も大きな重合収縮を示すことが明らかである。
【0095】
【表1】
Figure 0003609706
1)2molのメタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび1molの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート−1,6のウレタンジメタクリレート
2)ショウノウキノンおよびN,N−ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチルアニリンの1:1混合物
【0096】
【表2】
Figure 0003609706
(実施例4)
(2−[(3−トリエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]安息香酸(6−メチレン−1,4−ジチエパン−2−イル)メチルエステル)
工程1:フタル酸水素6−メチレン−1,4−ジチエパニル−2−イル−メチル塩化メチレン(20ml)中のトリエチルアミン(5.7g、56.7mmol)を、室温で、塩化メチレン(40ml)中の2−ヒドロキシメチル−6−メチレン−1,4−ジチエパン(10g、56.7mmol)、無水フタル酸(8.4g、56.7mmol)、MeHQ(100mg)およびDMAP(4−(N,N’−ジメチルアミノピリジン))(50mg)の溶液に滴下する。乾燥空気の導入を伴って、35〜40℃で20時間攪拌した後、この反応混合物を、それぞれ、2N HCl(40ml)で4回、それぞれ、水(40ml)で4回、洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥し、その溶媒を、まず、100mbarで、後に、十分な真空(fine vacuum)で、ロータリーエバポレーターにて、留去する。橙色の液体(14.3g、収率77.7%)が残り、これは、徐々に結晶化して、ベージュ色の固形物が得られる。融点:78.5〜79℃。
【0097】
【数3】
Figure 0003609706
【0098】
【化11】
Figure 0003609706
【0099】
【数4】
Figure 0003609706
工程2:2−[(3−トリエトキシシリルプロピル)アミノカルボニル]安息香酸(6−メチレン−1,4−ジチエパン−2−イル)メチルエステル
EDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩)(8.5g、44mmol)を、0℃で、フタル酸水素6−メチレン−1,4−ジチエパニル−2−メチル(13g、40mmol)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(9g、40mmol)およびDMAP(94mg)の溶液に滴下する。この反応混合物を、0℃で、2時間、そして室温で、さらに36時間攪拌する。この反応の過程は、IR分光法を用いて、追跡する。この塩化メチレンを、大部分、ロータリーエバポレーターで留去した後、その残留物を酢酸エチル(150ml)に取り、そして氷冷0.3N HCl、氷冷0.3M炭酸ナトリウム溶液および氷冷飽和塩化ナトリウム溶液の各150mlで、連続的に洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、その溶媒を、まず、およそ100mbarで、その後、十分な真空で除去する。屈折率n 25=1.5373を有する黄色の液体(9.5g、収率45%)が残る。
【0100】
【数5】
Figure 0003609706
【0101】
【化12】
Figure 0003609706
【0102】
【数6】
Figure 0003609706
式Iのメチレンジチエパンシラン:
【0103】
【化13】
Figure 0003609706
ここで、Rは、1個〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、この炭化水素基は、1個またはそれ以上の酸素原子および/またはイオウ原子に割り込まれ得、そして1個またはそれ以上のエステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基を含有できる脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜18個の炭素原子を有する芳香族または複素環式芳香族炭化水素基であって、これらの炭化水素基は、置換されているかまたは非置換であり得る;Rは、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;Rは、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;Rは、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−(CHR−S−R−、−S−R−、−CO−O−R−に等しいか、または存在せず、nは、1〜4であり、Rは、水素、C〜C10アルキルまたはC〜C10アリールであり、Rは、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYは、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;RおよびRは、置換されているかまたは非置換であり得る;Xは、加水分解可能基である;a、b、cおよびxは、互いからそれぞれ独立して、1、2または3である;a+xの合計は、2〜4である。これらのシランは、歯科用材料の調製に、特に適切である。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、有機−無機複合材料に共有結合的に組み入れることができ、室温で急速に重合でき、そして重合中少しの収縮しか示し得ない、メチレンジチエパンに基づくシランを調製することができる。

Claims (22)

  1. 式Iのメチレンジチエパンシランであって:
    Figure 0003609706
    ここで、
    は、1個〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、該炭化水素基は、1個またはそれ以上の酸素原子および/またはイオウ原子に割り込まれ得、そして1個またはそれ以上のエステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基を含有し得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜18個の炭素原子を有する芳香族または複素環式芳香族炭化水素基であって、該これらの炭化水素基は、置換されているかまたは非置換であり得る;
    は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
    は、Rに対して与えた意味の1つを有するか、または存在しない;
    は、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−(CHR−S−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、nは、1〜4であり、Rは、水素、C〜C10アルキルまたはC〜C10アリールであり、Rは、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYは、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;RおよびRは、置換されているかまたは非置換であり得る;
    Xは、加水分解可能基である;
    a、b、cおよびxは、互いからそれぞれ独立して、1、2または3である;a+xの合計は、2〜4である、
    メチレンジチエパンシラン。
  2. 請求項1に記載のメチレンジチエパンシランであって、ここで、
    、R 、および/またはR が、1個〜8個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であって、該炭化水素基が、酸素原子またはイオウ原子、エステル基、カルボニル基、アミド基および/またはウレタン基に割り込まれ得る脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である;
    が、−(CHR−、−Y−CO−NH−(CHR−、−Y−CO−NH−R−、−S−R−、−CO−O−R−であるか、または存在せず、nが、1〜3であり、Rが、水素またはC〜Cアルキルであり、Rが、Rに対して与えた意味の1つを有し、そしてYが、O原子またはS原子を意味するか、または存在しない;
    Xが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルコキシまたはC〜Cアシルオキシである;
    aが、1である;
    bが、1または2である;
    cが、1または2である;および/または
    xが、2または3である、
    メチレンジチエパンシラン。
  3. 請求項2に記載のメチレンジチエパンシランであって、ここで、
    が、1個〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素基であるか、あるいは6個〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である;
    が、1個〜4個の炭素原子を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であって、該炭化水素基が、酸素原子またはエステル基を含有できる脂肪族炭化水素基であるか、あるいは存在しない;
    が、メチル基、エチル基および/またはフェニル基であるか、あるいは存在しない;
    が、−(CH−または−Y−CO−NH−(CH−であり、nが、1〜3であり、そしてYが、O原子を意味するか、または存在しない;および/または
    Xが、メトキシ、エトキシまたは塩素である、
    メチレンジチエパンシラン。
  4. 1個またはそれ以上のR〜R基が、必要に応じて、C〜C10アルキル基、C〜C10アリール基、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、−SOH、−POおよび/または−POによって置換される、請求項1〜3のうちの1項に記載のメチレンジチエパンシラン。
  5. 前記1,4−ジチエパン環が、2位または3位で置換されている、請求項1〜4のうちの1項に記載のメチレンジチエパンシラン。
  6. 請求項1〜5のうちの1項に記載の1種またはそれ以上のメチレンジチエパンシランに基づくポリシロキサン、および必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる加水分解縮合可能な化合物を含有する、組成物。
  7. 前記さらなる加水分解縮合可能な化合物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、スズ、バナジウムまたはリンの化合物である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記さらなる加水分解縮合可能な化合物が、式(VI)のシラン、式(VII)のジルコニウム、チタン化合物、式(VIII)のアルミニウム化合物であり、そして/あるいは三ハロゲン化ホウ素、四ハロゲン化スズ、スズテトラアルコキシドおよび/またはバナジル化合物である、請求項7に記載の組成物であって、
    (Z’RSiX’4−(k+m) 式(VI)
    ここで、
    が、C〜Cアルキル基、C〜C12アルケニル基またはC〜C14アリール基を意味する;
    が、C〜Cアルキレン基、C〜C12アルケニレン基またはC〜C14アリーレン基を意味する;
    X’が、水素またはハロゲン原子またはC〜Cアルコキシ基を意味する;
    Z’が、グリシジル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基またはビニルエーテル基を意味する;
    kが、0、1、2または3に等しい;
    mが、0、1、2または3に等しい;そして
    k+mが、0、1、2または3に等しい;
    MeX’’ 式(VII)
    ここで、
    Meが、ZrまたはTiを意味する;
    が、水素原子、置換または非置換C〜C12アルキル基、C〜C15アルキルアリール基またはC〜C14アリール基を意味する;
    X’’が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基を意味する;
    Yが、1〜4に等しい;そして
    Zが、〜3に等しい;
    AlR10 式(VIII)
    ここで、
    10が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC〜Cアルコキシ基を意味する、
    組成物。
  9. 請求項8に記載の組成物であって、
    が、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはフェニル基である;
    が、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基またはフェニレン基である;
    X’が、ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基である;
    Z’が、アクリル基またはメタクリル基である;
    kが、0または1である;
    mが、0または1である;
    k+mが、0、1または2である;および/または
    が、C〜Cアルキル基またはフェニル基である;
    X”が、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基である;
    Yが、4である;
    Zが、0またはである;および/または
    10が、ハロゲン原子またはC〜Cアルコキシ基である、
    組成物。
  10. 請求項8または9に記載の組成物であって、
    前記ポリシロキサンが、
    式(I)の化合物および/またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物ならびに式(VI)、式(VII)または(VIII)の化合物の全質量に対して、
    1〜90molの一般式(VI)の1種またはそれ以上のシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
    0〜70molの一般式(VII)の1種またはそれ以上のジルコニウム化合物および/またはチタン化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
    0〜70molの一般式(VIII)の1種またはそれ以上のアルミニウム化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する、
    組成物。
  11. 前記ポリシロキサンが、前記単量体出発化合物に対して、10〜99mol%の式(I)のシランを含有する、請求項6〜10のうちの1項に記載の組成物。
  12. さらに、イオン重合可能および/またはラジカル重合可能なモノマーを含有する、請求項6〜11のうちの1項に記載の組成物。
  13. メチル、エチル、ブチル、ベンジル、フルフリルおよび/またはフェニルの(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA、UDMA、ジ−、トリ−またはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートまたは1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートまたはこれらのモノマーの混合物を含有する、請求項12に記載の組成物。
  14. また、充填剤を含有する、請求項6〜13のうちの1項に記載の組成物。
  15. ラジカル重合用開始剤を含有する、請求項6〜14の1項に記載の組成物。
  16. 請求項6〜15のうちの1項に記載の組成物であって、該組成物は、
    (a)5〜99.9重量%のポリシロキサン;および
    (b)0.1〜5.0重量%の重合開始剤;および必要に応じて、
    (c)1.0〜80重量%のイオン重合可能および/またはラジカル重合可能なモノマー;
    (d)1.0〜90重量%の充填剤、
    を含有する、組成物。
  17. 歯科用材料としての、請求項6〜16のうちの1項に記載の組成物の使用。
  18. 複合材としての、請求項17に記載の使用。
  19. セメントとしての、請求項17に記載の使用。
  20. 充填材料としての、請求項17に記載の使用。
  21. ボンディングとしての、請求項17に記載の使用。
  22. 請求項8または9に記載の組成物であって、
    前記ポリシロキサンが、
    式(I)の化合物および/またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物ならびに式(VI)、式(VII)または(VIII)の化合物の全質量に対して、
    1〜40mol%の一般式(VI)の1種またはそれ以上のシランまたはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
    0〜30mol%の一般式(VII)の1種またはそれ以上のジルコニウム化合物および/またはチタン化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する;および/または
    0〜20mol%の一般式(VIII)の1種またはそれ以上のアルミニウム化合物またはそれらから誘導されるプレ縮合生成物を含有する、
    組成物。
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