JP3606325B6 - 重合性ポリシロキサン類に基づく樹脂歯科組成物 - Google Patents

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Description

本発明は重合性ポリシロキサン類に基づく自己硬化性、開始剤の存在下で光化学又は熱硬化性である樹脂歯科組成物、その製造方法、及び1種以上の樹脂歯科組成物と場合により1種以上の微細充填剤及び/又は常用添加剤から構成される自己硬化性、開始剤の存在下で光化学又は熱硬化性であるペースト状歯科材料の製造のためのその用法に関する。適切な添加剤は例えば顔料、安定剤、可塑剤又は衝撃強度増強剤である。
“歯科材料”という用語には例えば口腔内における虫歯欠損又は他の歯欠損を補うための充填材料、インレー(inlay)、クラウン及びブリッジ材料、フェーシング(facing)、シーリング及び保護コーティング組成物、インレー又はクラウン及びブリッジを固定するための合成固定材料、歯根強化材料、補綴材料、人工歯製造用の組成物と歯科充填材料用の接着促進剤を含む。
常用樹脂歯科組成物はたいてい歯科材料製造用の結合剤として機能し、少くとも1種のメタクリル酸のモノマーエステル、但し通常はいくつかのこのようなエステルの混合物を含有する。メタクリル酸の適切な一官能性エステルは例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ヘキシル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
最近、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオール−1,4−ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ドデカンジオール−1,12−ジメタクリレート、ドデカンジオール−1,10−ジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス〔p−(γ−メタクリルオキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔p−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンジメタクリレート(ビスGMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの二付加物とヒドロキシエチルメタクリレート及びイソホロンジイソシアネートの二付加物のような比較的高分子量のメタクリル酸の多官能性エステルが常用されるようになった。
補綴ベース、クラウン及びブリッジ樹脂又は充填樹脂として用いられる例えばメタクリル酸メチルをベースにした材料は口腔分野等におけるそれらの作業性、それらの美的外観、それらの安定性に関して顕著な利点を示す。しかしながら、これらの材料は機械的強度が乏しいため、破損が補綴物の製造時にパリス(Paris)型の石膏で重合後この型から取出す際に起きたり、補綴物が口内で壊れたり又はそれが意図せずに脱落してしまうことがある。温度及び味に対する感度と使用時の違和感からみて、補綴物はできるだけ薄くしておくことが都合よい。しかしながら、その強度のせいでそれを薄くすることは事実上不可能である。
クラウン及びブリッジ樹脂として上記材料を用いる場合には、乏しい耐磨耗性のせいで、感受性表面がブラッシング等により磨耗するか又は切り口が砕けるリスクがある。これらの欠点を解消するため、新規樹脂処方によりこのような歯科材料の機械的強度を改善する実験が行われた。このため、他のモノマーと共重合されたポリシロキサンポリマーに基づく樹脂歯科組成物がドイツ特許DE第3,610,804A1号明細書で開示されており、これは重合後に改善された耐圧性、耐磨耗性、曲げ強度等を有する組成物になる。しかしながら、これら樹脂歯科組成物の欠点は硬化時におけるそれらの大きな収縮率であり、これは多くの応用分野でそれらの使用を不可能にしている。
応用目的に応じて、歯科向け材料は様々な方法で硬化させることができる。光化学硬化及び自己硬化(自己重合)双方の組成物として歯科充填材料がある光化学硬化組成物はベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルモノケタール類、アシルホスフィンオキシド類、脂肪族又は芳香族1,2−ジケト化合物、例えばカンホルキノンのような光開始剤と脂肪族又は芳香族三級アミン類、例えばN,N−ジメチル−p−トルイジン又はトリエタノールアミン、又は有機ホスファイト類のような重合促進剤を含有し、UV又は可視光の照射で硬化する。
自己硬化歯科材料はたいてい触媒及びベースペーストから構成され、その各々がレドックス系の成分を含有して、双方の成分をミックスすると重合する。レドックス系の1成分は通常例えば過酸化ジベンゾイルのような過酸化物であり、他方は通常例えばN,N−ジメチル−p−トルイジンのような三級芳香族アミンである。
人工歯製造用の補綴プラスチック又は合成組成物のような他の歯科材料は熱の作用下で重合できる。ここで用いられる開始剤はたいてい過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウリル又はビス(2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド)のような過酸化物である。
歯科材料は歯科材料の色を天然歯の様々な色合いと一致させるために用いられる−少量で加えられる−顔料を更にたいてい含有する。適切な顔料は例えば黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化チタンである。
歯科材料は通常有機又は無機充填剤も含有する。これは重合時に樹脂歯科組成物の容量収縮を減少させるために行われる。純粋なモノマーのメタクリル酸メチルは例えば重合時に約20容量%収縮する。固体メタクリル酸メチルポリマー約60重量%の添加により、収縮は約5〜7容量%まで減少させることができる(DE特許第2,403,211号)。
他の有機充填剤は本質的にメタクリル酸エステルから構成されて非架橋であるか又は架橋されているポリマーを製造することにより得られる。このポリマーは場合により表面処理充填剤を含有する。それがポリマーとして製造されるならば、それはこの形で樹脂歯科組成物に加えることができる;他方、それが実質的に重合によりコンパクトな形で製造されるならば、それは樹脂歯科組成物への配合前にいわゆるチップポリマーを得るためにまず粉砕されねばならない。
既に記載された充填剤含有ビーズ及びチップポリマーに加えて、常用される予備形成ポリマーは便宜上ビーズポリマーの形にあるメタクリル酸メチルのホモポリマーあるいは好ましくはアルコール成分が炭素原子2〜12のメタクリル酸又はアクリル酸エステルを低含有率で有するメタクリル酸メチルの非架橋コポリマーである。他の適切なポリマーはポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類及びポリエーテル類に基づく非架橋生成物である。
このため、例えばDE第3,903,407C2号明細書において、重合性(メタ)アクリル酸エステルに基づく歯科充填材料が樹脂歯科組成物として、即ちポリシロキサン類に基づく微粉砕無機/有機ポリマーを充填剤として含有した結合剤として開示されている。歯科充填材料の製造のために、これらの無機/有機ポリマーは充填剤として他の成分と一緒に樹脂歯科組成物に微粉砕形で加えられる。
無機充填剤は例えば約1〜10μmの平均粒度を有する微粉砕ガラス又は石英と約10〜400nmの平均粒度を有する高分散SiO2である。ガラスはバリウム、ストロンチウム又は稀土類でドーピングしうるケイ酸アルミニウムガラスであることが好ましい(DE特許第2,458,380号)。
微粉砕石英及び高分散SiO2に関して、無機充填剤は有機マトリックスともっとよく結合させるためにモノマーとミックスする前にたいていシラン化されることが注目される。この目的のため、無機充填剤はメタクリル酸のモノマーエステルとの反応用に重合性二重結合を通常有するシランカップリング剤(接着促進剤として)でコートされる。適切なシランカップリング剤は例えばビニルトリクロロシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、トリス(アセトキシ)ビニルシラン及び3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランである。
充填剤及び重合性化合物から構成される充填材料、いわゆる“複合材”は歯科医療で最近特に重要性が増している。これらは無機又は有機充填剤と硬化性有機マトリックスから構成される。こうして、充填剤は得られる歯科材料の重合時における収縮の減少と有機ポリマー構造の補強を起こす。非常に一般的には、改善された機械的性質及び硬化時における収縮減少は歯科材料中で充填剤のできるだけ高い含有率により実現できることがいえる。しかしながら、用いられる充填剤の最大量は樹脂歯科組成物で用いられるモノマーの性質に依存している。
良好な機械的性質及び高い耐摩耗性は喪失した歯エナメル質に永久に代わる歯科材料で目標とされねばならない重要な要求である。これらの補強性質に加えて、他の材料パラメーターも同様に歯科材料で目標にされねばならない。ちなみに、必須パラメーターは艶出し能である。高光沢艶出し能は少くとも2つの理由から歯科充填材料とブリッジ及びクラウン材料でかなり重要である:
美的理由から、充填材料の高度に光沢のある及び完全に均一な表面は充填物が周囲の全く滑らかな天然歯エナメル質ともはや区別できなくなるために要求される。更に、この高度に光沢のある充填物表面はその特徴を長期間留めねばならない。したがって、高度に滑らかな充填物表面も歯垢又は変色媒体が機械的固着部位を何もみつけだせないようにする上で重要である。
常用歯科材料において、高光沢艶出し能の性質は結合剤として用いられる常用樹脂歯科組成物がそれらの硬化後に艶出しできないため充填剤の添加により付与される。このため、DE第3,913,250A1号及びDE第3,913,252A1号明細書は硬化して高光沢に艶出ししうる組成物を与える歯科材料について開示している。この高光沢艶出し能は充填剤として微細オルガノポリシロキサン類の添加により得られる。
ポリマー複合材及びアマルガムは修復歯科分野で重要な2種類の材料である。毒性学的観点に基づけば、希望はアマルガム充填物を複合材料で代用することである。市販歯科複合材はたいてい下記弱点を更に示す:
−硬化時の収縮率が大きすぎる
−歯組織と比べて熱膨張係数が高すぎる
−歯組織との不十分な接着性
これらの欠陥は端部でギャップの形成と二次虫歯を起こし、ひいては経時的に充填物の安定性を更に減少させてしまう。
従来の複合材料のもう1つの弱点はそれらの乏しい摩耗挙動性である。
初めに記載された最近用いられるメタクリル酸の多官能性モノマーエステルは重合時の収縮を減少させ、重合時の収縮は前記充填剤約85重量%以内の添加で更に一層減少させることができるが、但しこうして得られる硬化時収縮の減少は最良歯科充填材料のすべての要求を目標とするためには不十分である。同様のことが初めに記載されたポリシロキサンポリマーに基づく樹脂歯科組成物にもあてはまる。無機充填剤を含有した従来のポリマー系において、収縮率2%以下の減少はほとんど不可能である。したがって、歯科充填物による端部での最適なシーリングはエネルギー消費型のインレー技術によってのみ実現しうる。
加えて、約25×10-6K-1以下への熱膨張係数の減少は従来の複合材料で不可能である。この値は得られる歯科材料、特に歯科充填物の十分良好な温度変化挙動性を保証する上でかなり高すぎるが、その理由は歯エナメル質又は象牙質の熱膨張係数が約12×10-6K-1であるためである。得られる歯科充填物の熱膨張係数は、充填剤がたいてい有機マトリックスよりも低い膨張係数を有することから、充填剤含有率に依存している。
歯科材料、特に歯科充填材料で求められる他の要求はそのX線不透明性とエナメル質及び象牙質へのその接着性であり、エナメル質及び象牙質との接着力は収縮力よりも大きくなければならない。従来の歯科材料では、X線不透明性は充填剤のタイプ及び量により調整され、それはBa、Sr、Ti又はZr成分の添加で通常実現される。従来の歯科材料では、象牙質との接着力は象牙質接着剤を用いたときでも不十分である。
したがって、本発明の目的は自己硬化性、熱又は光化学硬化性であり、加工処理が簡単であり、硬化時に容量収縮をうけないか又は容量収縮がほんのわずかであり、硬化後に充填剤無添加であっても下記性質を有する樹脂歯科組成物を得ることであった:
−高い耐磨耗性
−高い寸法安定性
−低い熱膨脹係数
−高い放射線不透明性
−エナメル質及び象牙質との大きな接着力、及び
−良好な艶出し能
これらの樹脂歯科組成物はそのままで歯科材料として用いることができるし、あるいはそれらは初めに記載された歯科材料を得るために例えば他の樹脂組成物又は充填剤、顔料、開始剤、安定剤、可塑剤もしくは衝撃強度増強剤のような他の成分を加えて加工処理することもできる。加えて、樹脂歯科組成物は一又は多成分系として又はそれらの中で使用できる。
この目的は、適宜に触媒及び/又は溶媒の存在下で水又は水分の作用により、ケイ素と所望であればB、Ba、Ti、Zr、Al、Sn、遷移金属、ランタニド及びアクチニドからなる群の他の元素の1種以上の加水分解縮合性化合物、及び/又は上記化合物から誘導される初期縮合物の加水分解縮合により得られる、自己硬化性、1種以上の開始剤の存在下で光化学又は熱硬化性である重合性ポリシロキサン類に基づく樹脂歯科組成物により達成され、その場合にモノマー化合物に基づき1〜100mol%、好ましくは5〜100mol%で下記一般式(I)のシラン類:
YnSiXmR4-(n+m) (I)
〔上記式中基X、Y及びRは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル
X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール)
Y=置換又は非置換1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン基を含む置換基
n=1、2又は3
m=1、2又は3、n+m≦4〕
及び/又は下記一般式(II)のシラン類:
〔XnRkSi(R2(A)4-(n+k)xB (II)
〔上記式中基A、R、R2及びXは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
A=O、S、PR′、POR′、NHC(O)O又はNHC(O)ONR′(R′=水素、アルキル又はアリール)
B=少くとも1つ(l=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′の場合)又は少くとも2つのC=C二重結合と5〜50の炭素原子を有する化合物B′から誘導される直鎖又は分岐有機基(R′=水素、アルキル又はアリール)
R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル
R2=アルキレン、アリレン又はアルキレンアリレン
X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール)
n=1、2又は3
k=0、1又は2
l=0又は1
x=最大値が化合物B′における二重結合の数−1に相当するか又はl=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′である場合に化合物B′における二重結合の数に等しい整数〕が選択される。
意外にも、本発明による樹脂歯科組成物は、その硬化後に充填剤無添加であっても、優れた耐摩耗性及び寸法安定性を有し、低い熱膨脹係数及び高い放射線不透明性を有し、エナメル質及び象牙質との非常に大きな接着力と非常に良い艶出し能を示すポリマーを形成することが今や見出された。加えて、本発明による樹脂歯科組成物は用いられるシラン類に応じて硬化時に非常に少くでしか、又は全く容量収縮をうけないか、或いは負の収縮をうけることすらあることが意外にもわかった。
歯科材料にとり非常に重要であるこれらの性質は常用充填剤の添加で更に一層改善でき、このため本発明による樹脂歯科組成物の助けで上記性質に関して先行技術よりも非常に著しい改善を示す歯科材料が製造できる。
一般式(I)及び(II)のシラン類は加水分解性及び重合性であって、基Xが加水分解性で基B及びYが重合性であり、各ケースにおいて前記の意味を有する少くとも1つの基B、X及びYが一般式(I)及び(II)のシラン類に存在する。
アルキル基は例えば1〜20、好ましくは1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは1〜6の炭素原子を有する低級アルキル基である。具体例はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル及びオクタデシルである。
アルケニル基は例えば2〜20、好ましくは2〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは例えばビニル、アリル又は2−ブテニルのような2〜6の炭素原子を有する低級アルケニル基である。
好ましいアリール基はフェニル、ビフェニル及びナフチルである。アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル及びアミノ基は上記アルキル及びアリール基から誘導されることが好ましい。具体例はメトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−、s−及びt−ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチルアニリノ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジル、2−フェニルエチルとトリルである。
上記基は場合により1以上の置換基、例えばハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アミド、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、イソシアナト、ニトロ、エポキシ、SO3H及びPO4H2を有することができる。
ハロゲンの中ではフッ素、塩素及び臭素が好ましい。
置換又は非置換1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン基はエーテル又はエステル基が介在してもよいアルキレン又はアルケニレン基でSi原子に結合される。基Yの具体例及び好ましい態様は以下である:
Figure 0003606325
上記において環系はγ−ブチロラクトンから誘導され、請求項2で示したように置換することもできる。置換基は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニル基である。これらの実際例は以下である:
Figure 0003606325
式(I)のシラン類の実際例は以下である:
Figure 0003606325
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一般式(II)の好ましいシラン類において、X、R、R2、A、n、k、l及びxは下記のように定義される:
X=(C1−C4)アルコキシ、好ましくはメトキシ及びエトキシ、又はハロゲン、好ましくは塩素;
R=(C1−C4)アルキル、好ましくはメチル及びエチル;
R2=(C1−C4)アルキレン、好ましくはメチレン及びプロピレン;
A=O、S又はNHC(O)O、好ましくはS;
n=1、2又は3
l=0又は1、好ましくは1
4−(n+k)=l=0のとき0及びl=1のとき1。
一般式(II)のシラン類において、インデックスxを有する構造単位はトリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、メチルジクロロシリル、3−メチルジメトキシシリルプロピルチオ、3−トリエトキシシリルプロピルチオ、エトキシジメチルシリルメチルチオ及びメチルジエトキシシリルメチルチオから選択されることが特に好ましい。
一般式(II)における基Bは少くとも1つ又は少くとも2つのC=C二重結合、例えばビニル、アリル、アクリル及び/又はメタクリル基と5〜50、好ましくは6〜30の炭素原子を有する置換又は非置換化合物B′から誘導される。Bは2以上のアクリレート及び/又はメタクリレート基を有する置換又は非置換化合物B′から誘導されることが好ましい。このタイプの化合物は(メタ)アクリレート類として以下で表示される。化合物B′が置換されているならば、その置換基は前記置換基の中から選択できる。2つのC=C二重結合を有する化合物B′は式(II)のモノ(メタ)アクリルオキシシラン類の製造及び式(II)のポリ(メタ)アクリルオキシシラン類の製造に用いられ、それらは少くとも3つのC=C二重結合を有する。このタイプの化合物の具体例は下記(メタ)アクリレート類である:
Figure 0003606325
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好ましいアクリレート類は例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールのアクリル酸エステルである。これらの実際例はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジペンタエリトリトールペンタアクリレートである。
更に、好ましい(メタ)アクリレート類の例は下記式の場合である:
Figure 0003606325
上記式中EはH又はCH3を表す;Dは例えば前記の具体的な化合物及び/又は下記例で記載された化合物に依存するような有機基である。
このため、Dは例えばC2−C6アルカンジオール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール)、ポリエチレングリコール類もしくはポリプロピレングリコール類(例えば式HO−(CH2−CHR−O)iHの場合、ここでRはH又はCH3、i=2〜10である)又は場合により置換及び/又はアルコキシル化(例えばエトキシル化及び/又はプロポキシル化)されたビスフェノールAから誘導することができる。
一般式(I)のシラン類は例えばルイス酸の存在下かつ適宜に不活性無水溶媒中で下記一般式(IV)のシラン類:
Y′nSiXmR4-(n+m) (IV)
と置換又は非置換γ−ブチロラクトン類との反応により製造され、その場合にγ−ブチロラクトンは過剰で加えられる。一般式(IV)において基X、Y′及びRは同一であるか又は異なり、X、R、n及びmは一般式(I)のシラン類と同様の意味を有し、Y′は置換オキシラン環を表す基である。一般式(I)のシラン類に関して前記されたことは基X及びRの可能な態様にもあてはまる。
一般式(IV)のシラン類の具体例はグリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリ(メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチル(メチル)ジメトキシシラン、グリシドキシメチル(エチル)ジメトキシシラン、グリシドキシメチル(フェニル)ジメトキシシラン、グリシドキシメチル(ビニル)ジメトキシシラン、グリシドキシメチル(ジメチル)メトキシシラン、2−グリシドキシエチル(メチル)ジメトキシシラン、2−グリシドキシエチル(エチル)ジメトキシシラン、2−グリシドキシエチル(ジメチル)メトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(エチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(ジメチル)メトキシシラン、4−グリシドキシブチル(メチル)ジメトキシシラン、4−グリシドキシブチル(エチル)ジメトキシシラン、4−グリシドキシブチル(ジメチル)メトキシシラン、ビス(グリシドキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(グリシドキシメチル)ジエトキシシラン、ビス(グリシドキシエチル)ジメトキシシラン、ビス(グリシドキシエチル)ジエトキシシラン、ビス(グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、トリス(グリシドキシメチル)メトキシシラン、トリス(グリシドキシメチル)エトキシシラン、トリス(グリシドキシエチル)メトキシシラン、トリス(グリシドキシエチル)エトキシシラン、トリス(グリシドキシプロピル)メトキシシラン、トリス(グリシドキシプロピル)エトキシシラン、グリシジルメチルトリメトキシシラン、グリシジルメチルトリエトキシシラン、2−グリシジルエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルプロピルトリ(メトキシエトキシ)シラン、3−グリシジルプロピルトリアセトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピルトリメトキシシラン及び3,4−エポキシシクロヘキシルブチルトリメトキシシランである。
一般式(IV)のシラン類は例えばABCR社(ABCR GmbH & Co.KG)(カールスルーエ)から市販されている3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又は〔2−(3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル)プロピル〕メチルジエトキシシランである。
すべてのこれらシラン類は一般式(I)の対応スピロシラン類にγ−ブチロラクトン類で変換することができる。
一般式(I)のスピロシラン類の製造に適したγ−ブチロラクトン類は非置換γ−ブチロラクトンとヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニル基で置換されたγ−ブチロラクトン類である。
アルキル基は例えば1〜10のC原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは1〜6のC原子を有する低級アルキル基である。具体例はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルである。
アルケニル基は例えば2〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは例えばビニル、アリル又は2−ブテニルのような2〜6の炭素原子を有する低級アルケニル基である。
ルイス酸の具体例及び好ましい態様はBF3・Et2O、AlCl3又はSnCl4である。
一般式(IV)のシラン類は適宜に不活性溶媒中で水を排除して一般式(I)のスピロシラン類を得るためにγ−ブチロラクトン類と反応せしめられる。スピロシラン類の精製には、例えば高真空蒸留のような公知技術が用いられる。
一般式(I)のスピロシラン類の製造はBF3・Et2Oの存在下におけるγ−ブチロラクトンと(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランとの反応で例示されるように概説される。
Figure 0003606325
公知方法で上記反応に従い得られるスピロシラン類を修正すること及び例えば※シンボル103\f“シンボル”※から誘導される環系−ブチロラクトンで他の置換基を導入することも更に可能である。このため、例えば、Journal f.prakt.Chemie,Vol.330,No.2,1988,pp.316−318ではメタクリル基がこの環系でスピロ環オルトエステル中にどうやれば導入できるかについて記載している。
一般式(II)によるシラン類は例えば:
a)下記一般式(V)のシラン
XnRkSiR2Z (V)
〔上記式中X、R、R2、n及びkは前記意味を有する;(n+k)=3;Zは基SH、PR′H又はPOR′Hを示す〕を少くとも2つのC=C二重結合を有する化合物B′との付加反応に付す;又は
b)下記一般式(VI)のシラン
XnRkSiR2NCO (VI)
〔上記式中X、R、R2、n及びkは前記意味を有する;(n+k)=3〕を少くとも1つのC=C二重結合を有するヒドロキシル又はアミノ置換化合物B′との縮合反応に付す;又は
c)下記一般式(VII)のシラン
XnRkSiH (VII)
〔上記式中X、R、R2、n及びkは前記意味を有する;(n+k)=3〕を少くとも2つのC=C二重結合を有する化合物B′とのヒドロシリル化反応に付す;
ことにより製造できる。
一般式(V)〜(VII)のシラン類は市販されているか又は公知方法により製造できる;cf.W.Noll,"Chemie und Technologie der Silicone"(シリコーン類の化学及び技術),Verlag Chemie GmbH,Weinheim/Bergstrasse(1968)。加えて、ドイツ特許出願第P40 11 044.3号明細書が参照される。
一般式(I)のスピロシラン類はスピロ複合環が早めに開かれることなく塩基性媒体中で加水分解及び縮合しうる安定な化合物である。加えて、ドイツ特許出願第P41 25 201号明細書が参照される。
一般式(I)及び/又は(II)のシラン類は本発明による樹脂歯科組成物を得るために加水分解縮合によりそれ自体で又は他の加水分解縮合性及び場合により重合性成分と一緒に加工処理され、その最終硬化が重合性基の重合により行われ、一般式(I)のスピロシラン類のケースではこの重合は1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン基の開環により及び一般式(II)のシラン類のケースでは基BのC=C二重結合の結合により進行する。
一般式(I)及び(II)のシラン類は加水分解性基X、例えばアルコキシ基を含み、それにより無機網目構造(Si−O−Si単位)が加水分解縮合時に組み立てられ、一方基Yに含まれるスピロ基又は基Bに含まれるC=C二重結合が重合時に有機網目構造を形成する。硬化された樹脂歯科組成物はこうして無機/有機マトリックスを形成するが、必要であれば例えば充填剤又は顔料のような他の成分も配合することができる。
無機網目構造の組立て又は本発明による樹脂歯科組成物の製造のために、一般式(I)のスピロシラン類及び/又は一般式(II)のシラン類は適宜に他の共縮合性成分の添加と適宜に触媒及び/又は溶媒の存在下で水又は水分の作用により加水分解及び重縮合される。この重縮合は例えばDE−A1第2,758,414号、第2,758,415号、第3,011,761号、第3,826,715号及び第3,835,968号明細書で記載されるように好ましくはゾル−ゲルプロセスにより行われ、スピロ化合物(一般式(I)のシラン類、共重合性スピロオルトエステル類、スピロオルトカーボネート類、二環式スピロオルトエステル類又はメタクリロイルスピロオルトエステル類)の存在下好ましくは塩基性媒体中で起きるが、それ以外にそれは酸性媒体中でも行える。
有機網目構造の組立て又は歯科材料の硬化のために、本発明による樹脂歯科組成物、即ち一般式(I)及び/又は(II)のシラン類と所望であれば他の重縮合性成分の重縮合物は適宜に他の共重合性成分の添加後及び/又は充填剤及び/又は他の添加剤の添加後、適宜に1種以上の開始剤の存在下で重合される。重合は例えば熱的又は光化学的に常法を用いて行うことができる。
無機網目構造は硬化樹脂歯科組成物が全く充填剤の添加なしに優れた耐摩耗性、寸法安定性、艶出し能、接着力及び低い熱膨張係数を既に有するという事実に関与し、有機網目構造の組立ては低い又はそれどころか負の容量収縮を起こさせる。本発明による樹脂歯科組成物におけるスピロ基の数のために、即ち用いられる一般式(I)のスピロシラン類のタイプ及び/又は量のために、硬化時の容量変化は具体的な応用ケースの要求に合わせることができる。スピロ基の数が多くなるほど、容量収縮率は低くなる。実際に、容量増加が起きるように硬化時の容量変化に影響を与えることさえも可能である。
本発明による樹脂歯科組成物はモノマー化合物に基づき1〜100mol%、好ましくは5〜100mol%で一般式(I)及び/又は(II)のシラン類を含む。これらのシラン類以外に、ケイ素、ホウ素、バリウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、遷移金属、ランタニド又はアクチニドの更に他の加水分解縮合性化合物も本発明による樹脂歯科組成物の製造に用いることができる。これらの化合物はそのままでも又は初期縮合形でも用いることができる。モノマー化合物に基づき少くとも10mol%、特に少くとも80mol%、具体的には少くとも90mol%で本発明による樹脂歯科組成物の製造に用いられる出発物質はケイ素化合物であることが好ましい。
本発明による樹脂歯科組成物は各ケースともモノマー化合物に基づき少くとも5mol%、例えば25〜100mol%、特に50〜100mol%、具体的には75〜100mol%で一般式(I)及び/又は(II)の1種以上のシラン類をベースにすることも好ましい。
場合により使用できる一般式(I)及び(II)のシラン類以外の加水分解縮合性ケイ素化合物の中では、下記一般式(III)の化合物が特に好ましい:
Ra(R″Z′)bSiX4-(a+b) (III)
上記式中基R、R″、X及びZ′は同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル
R″=アルキレン又はアルケニレン(これらの基には酸素もしくはイオウ原子又はNH基を介在させることができる)
X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール)
Z′=ハロゲン、場合により置換されたアミノ、アミド、アルデヒド、アルキルカルボニル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、エポキシ又はビニル基
a=0、1、2又は3
b=0、1、2又は3(a+b=1、2又は3)。
このようなシラン類は例えばDE第3,407,087C2号明細書で記載されている。
アルキル基は例えば1〜20、好ましくは1〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは1〜6の炭素原子を有する低級アルキル基である。具体例はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル及びオクタデシルである。
アルケニル基は例えば2〜20、好ましくは2〜10の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状基であり、特に好ましくは例えばビニル、アリル又は2−ブテニルのような2〜6の炭素原子を有する低級アルケニル基である。
好ましいアリール基はフェニル、ビフェニル及びナフチルである。
アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル及びアミノ基は上記アルキル及びアリール基から誘導されることが好ましい。具体例はメトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、n−、i−、s−及びt−ブトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチルアニリノ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジル、2−フェニルエチルとトリルである。
上記基は場合により1以上の置換基、例えばハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アミド、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、ニトロ、エポキシ、SO3H及びPO4H2を有することができる。
ハロゲンの中ではフッ素、塩素及び臭素が好ましい。
一般式(III)の加水分解縮合性シラン類の具体例は以下である:
CH3−Si−Cl3,CH3Si−(OC2H53,C2H5−Si−Cl3,C2H5−Si−(OC2H53,CH2=CH−Si−(OC2H53,CH2=CH−Si−(OC2H4OCH33,(CH3−Si−Cl2,CH2=CH−Si−(OOCCH33,(CH3−Si−(OC2H52,(C2H5−Si−Cl,(C2H5−Si−(OC2H52,(CH3(CH2=CH)−Si−Cl2,(CH3−Si−Cl,(t−C4H9)(CH3−Si−Cl,(CH3O)−Si−C3H6−NH−C2H4−NH−C2H4−NH2,(CH3O)−Si−C3H6−SH,(CH3O)−Si−C3H6−NH−C2H4−NH2,(CH3O)−Si−C3H6−Cl,(CH3O)−Si−C3H6−O−C(O)−C(CH3)=CH2,(CH3(CH2=CH−CH2)−Si−Cl,(C2H5O)−Si−C3H6−NH2,CH2=C(CH3)C(O)−O−(CH2−Si(OCH33,(C6H52Si(OCH32,CH2=C(H)−C(O)−O−(CH2−Si(OCH33,(C2H5O)−Si−C3H6−CN,(CH3O)−Si−C3H6−O−CH2−CHCH2,(CH3O)−Si−(CH2
場合により用いられる加水分解性アルミニウム化合物の中では、下記一般式(VIII)を含有する化合物が特に好ましい:
AlR′ (VIII)
上記式中基R′は同一であるか又は異なり、ハロゲン、アルコキシ、アルコキシカルボニル及びヒドロキシルから選択される。これらの基の更に詳しい(好ましい)定義については、適切な加水分解性ケイ素化合物に関する態様を参照することができる。前記された基はキレートリガンド(例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エステル、酢酸)で全部又は一部代用してもよい。
特に好ましいアルミニウム化合物はアルミニウムアルコキシド類及びハライド類である。ちなみに、下記が実際例として挙げられる:
Al(OCH33,Al(OC2H53,Al(O−n−C3H73,Al(O−i−C3H73,Al(OC4H93,Al(O−i−C4H93,Al(O−s−C4H93,AlCl3,AlCl(OH)
例えばアルミニウムs−ブトキシド及びアルミニウムi−プロポキシドのような室温で液体である化合物が特に好ましい。
場合により使用できる適切な加水分解性チタン又はジルコニウム化合物は下記一般式(IX)の化合物である:
MXyRz (IX)
上記式中MはTi又はZrを示す;yは1〜4、特に2〜4の整数である;zは0、1、2又は3、好ましくは0、1又は2を表す;X及びRは一般式(I)の場合のように定義される。これは好ましい意味にもあてはまる。特に好ましくは、式(IX)の化合物はyが4に等しい場合である。
上記Al化合物の場合のように、錯体形成Ti又はZr化合物も使用できる。ここで好ましい他の錯体形成剤はアクリル酸及びメタクリル酸である。
使用できるZr及びTi化合物の実際例は以下である:
TiCl4、Ti(OC2H5、Ti(OC3H7、Ti(O−i−C3H7、Ti(OC4H9、Ti(2−エチルヘキソキシ)、ZrCl4、Zr(OC2H5、Zr(OC3H7、Zr(O−i−C3H7、Zr(OC4H9、Zr(2−エチルヘキソキシ)、ZrOCl2
本発明による樹脂歯科組成物の製造に使用できる他の加水分解性化合物は例えばBCl3、B(OCH3及びB(OC2H5のようなホウ素トリハライド及びホウ酸エステル、例えばSnCl4及びSn(OCH3のようなスズテトラハライド及びスズテトラアルコキシドと一般式BaR゜のバリウム化合物(R゜はアルコキシ又はアシルオキシを表す)である。実際例はBa(OCH3、Ba(OC2H5又はBa(OCOCH3)である。
このように、例えばZr、Ti又はBaのような重元素をこれらが硬化後に無機/有機網目構造中に均一に組み込まれるように本発明による樹脂歯科組成物中に配合することが可能である。結果的に、本発明による樹脂歯科組成物のX線不透明性は先行技術による樹脂歯科組成物と比べて増加しており、本発明による樹脂歯科組成物に基づく歯科材料はX線像で検出しうる。これは例えば歯科充填物で特に重要である。
本発明による樹脂歯科組成物のX線不透明性は例えば基Bが臭素置換化合物B′から誘導される一般式(II)のシラン類を用いることで増加させることもできる。このタイプの化合物B′は一般式(II)のシラン類の記載で既に詳述されている。硬化の結果として、即ち重合の結果としてハロゲンが有効網目構造中に組み込まれるように、Br又はI−置換共重合性アクリレート類又はメタクリレート類を加えることも可能である。しかしながら、加水分解縮合の結果としてハロゲンが無機網目構造中に組み込まれるように、Br又はI−置換加水分解性シラン類を加えることも可能である。
先行技術の場合と比較して本発明による樹脂歯科組成物のX線不透明性の増加は、今まで必要なX線不透明性が充填剤の添加により調整されてきたため、先行技術における著しい改善を意味する。
本発明による樹脂歯科組成物はポリ(ヘテロ)縮合物の分野において常法で製造できる。ケイ素化合物が事実上排他的に用いられるならば、加水分解縮合はそのままで存在するか又は適切な溶媒に溶解されたいずれかの加水分解されるケイ素化合物に室温で又はわずかに冷却しながら(好ましくは攪拌しながらかつ加水分解及び縮合触媒の存在下で)必要な水を直接加え、しかる後得られた混合液をしばらく(1時間〜数時間)攪拌することによりほとんどのケースで行える。
Al、Ti又はZrの反応性化合物の存在下では、たいてい水の少しずつの添加が勧められる。存在する化合物の反応性とは関係なく、加水分解は−20〜130℃、好ましくは0〜30℃の温度で又は場合により用いられる溶媒の沸点でたいてい行われる。既に示されたように、水を加える最良の方法は用いられる出発化合物の反応性に特に依存する。このため、例えば、溶解された出発化合物は過剰の水にゆっくりと滴下されるか、あるいは水が場合により溶解された出発化合物に一度で又は少しずつ加えられる。水をそのまま加えるのではなく、水含有有機又は無機系の助けでそれを反応系に導入することも有用である。多くのケースにおいて、水分保有吸着剤、例えばモレキュラーシーブ及び含水有機溶媒、例えば80%強度エタノールの助けによる反応混合液中へのある程度の量の水の導入が特に適切であるとわかった。しかしながら、水の添加は水が反応過程で遊離される化学反応により行うこともできる。この例はエステル化である。
溶媒が用いられるならば、低級脂肪族アルコール類(例えばエタノール又はi−プロパノール)以外に、ケトン類、好ましくはアセトン又はメチルイソブチルケトンのような低級ジアルキルケトン類、エーテル類、好ましくはジエチルエーテル、ジブチルエーテル又はTHFのような低級ジアルキルエーテル類、アミド類、エステル類、特に酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、アミン類、特にトリエチルアミン及びそれらの混合液も適切である。
一般式(I)のスピロシラン類が本発明による樹脂歯科組成物の製造に用いられるならば、加水分解はこれらのシラン類にとり塩基性である媒体中で行われることが好ましい。これは例えばトリエチルアミンのような塩基性溶媒により又は例えばNH3、NaOH、KOH、メチルイミダゾール等のような塩基性加水分解及び縮合触媒の添加によりいずれかで行われる。
出発化合物は加水分解(重縮合)の開始時に既にすべてが存在していなければならない必要性はないが、但しあるケースにおいてはこれら化合物の一部のみが最初に水と接触されて残りの化合物がその後に加えられることも有利である。
加水分解及び重縮合時にできるだけ沈澱を避けるために、特にケイ素化合物以外の加水分解性化合物を用いる場合に、水の添加はいくつかのステップ、例えば3ステップで行うことができる。このケースにおいて、第一ステップでは、例えば加水分解に要求される量の10〜20分の1の水が添加できる。
簡単な攪拌後に必要量の5〜10分の1の水が添加でき、更に簡単な攪拌後に残りが最後に添加できる。
縮合時間は各出発成分及びそれらの割合、場合により用いられる触媒、反応温度等に依存する。一般に重縮合は常圧で行われるが、但しそれは高又は低圧で行ってもよい。
こうして得られた重縮合物はそのままあるいは用いられる溶媒又は反応中に形成される溶媒の部分的又はほぼ完全な除去後にいずれかで樹脂歯科組成物として用いることができ、1種以上の開始剤の存在下で光化学及び/又は熱硬化しうるペースト状歯科材料となるように加工処理することができる。一部のケースにおいては、重縮合物を安定化させるために重縮合後に得られる生成物において過剰の水と形成される及び場合により更に用いられる溶媒を別の溶媒に代えることが有利である。この目的のために、反応混合液はそれが問題なく他の溶媒でなお溶解しうるまで例えばやや高い温度(せいぜい80℃以内)で真空下で増粘化させることができる。
適切な開始剤の添加後、本発明による樹脂歯科組成物又はそれから得られる歯科材料の最終硬化は一成分系のケースでは熱的又は光化学的にいずれかで、自己硬化多成分系のケースでは個々の成分をミックスすることにより行われる。こうして、カチオン重合中に式(I)のシラン類のスピロ基の環が開かれ及び/又はラジカル重合中に式(II)によるシラン類のC=C二重結合が結合される。こうして、有機網目構造が組立てられる。意外にも、この重合中における本発明による樹脂歯科組成物又はそれから得られる歯科材料の容量は変化しないか又はわずかに変化するだけであることがわかった。一般式(I)のシラン類と適宜に加えられた他のスピロ化合物のスピロ基の数に応じて及び/又は一般式(II)のシラン類の基Bの数に応じて、ほんのわずかに容量減少が起きるか、容量変化がみられず又は容量増加さえも得られるが、容量減少はスピロ基又は基Bの数が増加するほど小さくなる。
しかしながら、最終硬化前、即ち重合前に歯科材料の製造用にイオン及び/又はラジカル重合しうる他の成分を本発明による樹脂歯科組成物に加えることも可能である。添加できるラジカル重合性化合物は例えばアクリレート類又はメタクリレート類のようなC=C二重結合を有する化合物であり、重合はC=C二重結合で起きる。添加できるイオン重合性化合物には例えばスピロオルトエステル類、スピロオルトカーボネート類、二環式スピロオルトエステル類、モノ又はオリゴエポキシド類のような例えば開環によりカチオン重合しうる環系を含む。しかしながら、例えばメタクリロイルスピロオルトエステル類のようなカチオン及びラジカル双方で重合しうる化合物も加えることができる。これらはC=C二重結合でラジカル的にかつ開環でカチオン的に重合しうる。これらの系は例えばJournal f.prakt.Chemie,Volume 330,No.2,1988,pp.316−318又はJournal Polymer Science:Part C:Polymer Letters,Vol.26,pp.517−520(1988)で記載されている。
本発明による樹脂歯科組成物又はそれから得られる歯科材料の硬化が光化学的に行われるならば、常用カチオン系光開始剤がそれに加えられる。先行技術による適切な光開始剤は例えば照射で例えばC6H5−N2BF4、o−NO2−C6H4−CH2−O−SO2CF3又は下記一般式(X)、(XI)及び(XII)のトリアリールスルホニウム塩のような酸を放出する化合物である:
Figure 0003606325
上記式中基Arは同一であるか又は異なり、アリール又はアリレン、例えばフェニル及びフェニレンを示す;
X-=BF4-、AsF6 -、PF6 -又はSbF6 -
これらの光開始剤はユニオン・カーバイド(Union Carbide)からプロピレンカーボネート中の50%強度溶液として、デグッサ(Degussa)から商品名UVI−6990又はKI−85(プロピレンカーボネート中50%強度溶液としてAr=フェニル又はフェニレン及びX-=PF6 -である式(XII)による開始剤)として市販される例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートである。しかしながら、原則として、例えば環状脂肪族エポキシド類のようなオキシラン含有分子の重合に用いられるすべての光開始剤が適切である。
トリアリールスルホニウム塩は照射の影響下で光分解に付され、スピロ基の開環を触媒するブレーンステッド(Broensted)酸が形成されて、樹脂歯科組成物が重合する。
本発明による樹脂歯科組成物又はそれから得られる歯科材料の硬化が熱的に行われるならば、熱開始剤がそれに加えられる。適切な熱開始剤は例えばBF3・H2NC2H5としてのBF3、ZnCl2、TiCl4又はSnCl2である。ここでは更に、エポキシド基の重合に適したすべての熱開始剤が使用できる。
開始剤は常用量で加えられる。
用いられる光開始剤は例えば市販品である。これらの例はチバガイギー(Ciba−Geigy)から得られるイラキュア(Iracure)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イラキュア500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/ベンゾフェノン)及び他のイラキュアタイプの光開始剤;ダロキュア(Darocure)1173、1116、1398、1174及び1020〔メルク(Merck)から得られる〕、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンゾイン、4,4′−ジメトキシベンゾイン、カルホルキノン等である。
適切な熱開始剤は特にジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカーボネート類、アルキルペルエステル類、ジアルキルペルオキシド類、ペルケタール類、ケトンペルオキシド類及びアルキルヒドロペルオキシド類の形である有機過酸化物である。熱開始剤の実際及び好ましい例は過酸化ジベンゾイル、過安息香酸t−ブチル及びアゾビスイソブチロニトリルである。
本発明による樹脂歯科組成物はペースト状光化学及び/又は熱硬化性歯科材料を得るためにそのままであるいは例えば充填剤、接着促進剤又は顔料のような初めに記載された歯科材料に常用される添加剤と一緒にいずれかで加工処理することができる。このケースにおいて、本発明による硬化樹脂歯科組成物に関して既に記載された有利な性質は充填剤の添加で更に改善され、そのためそれから得られる歯科材料は性質面において先行技術と比べ非常に著しく改善され、このような材料に関するすべての要求に合わせることができる。
用いられる充填剤は例えばマクロ充填剤(ガラス、セラミック又は石英、粒度2〜50μm)、均一ミクロ充填剤(例えば熱分解シリカ、粒度約0.04μm)、不均一ミクロ充填剤(熱分解シリカの一部がチップポリマーとして存在する)、ハイブリッド充填剤(マクロ及びミクロ充填剤の混合物)又は非常に微細なハイブリッド充填剤(例えば粒度2μmのエーロジル(Aerosil)とBa又はSrガラスの混合物)である。このケースにおいて、得られる硬化歯科材料の機械的性質は充填剤の粒度及び量により更に影響をうける。収縮性(同マトリックス中の充填剤含有率が高くなるほど、収縮率は低くなる)、X線不透明性(充填剤中における例えばBa、Sr、Ti又はZr成分の添加による)及び熱膨張係数(充填剤含有率に依存する;充填剤は通常有機マトリックスよりも低い膨張係数を有する)も充填剤の添加で更に大きく影響される。
歯科材料の製造のために本発明による硬化樹脂歯科組成物を充填剤として微細形で本発明による未硬化樹脂歯科組成物に加えることも可能である。この目的のため、本発明による樹脂歯科組成物は例えば乳化、沈澱、溶液又は懸濁重合の形で重合される。ポリマーは乾燥され、場合により微粉砕されて、樹脂歯科組成物に加えられる。
本発明による樹脂歯科組成物は光化学及び/又は熱硬化性歯科材料を得るために加工処理できるだけでなく、本発明による樹脂歯科組成物から初めに記載された自己硬化性多成分系を製造することも可能である。
本発明による樹脂歯科組成物から製造された歯科材料は本発明による樹脂歯科組成物を20〜100容量%で含み、残量は場合により先行技術による樹脂歯科組成物、充填剤、顔料、開始剤、他の常用添加剤又は例えばアクリレート類、メタクリレート類、モノもしくはオリゴエポキシド類、ビニルエーテル類、スピロオルトエステル類、スピロオルトカーボネート類、二環式スピロオルトエステル類又はメタクリロイルスピロオルトエステル類のような他の共重合性モノマーである。得られる歯科材料は本発明による樹脂歯科組成物を30〜70容量%で含むことが好ましい。
本発明による樹脂歯科組成物は慣用的複合材の表面シーリング用にエナメル質及び象牙質への接着又は付着促進剤として、歯科充填剤用に接着促進剤として及び非常に一般的には歯科分野におけるコーティング組成物としてそのまままで又は溶液の形でいずれかで用いることができる。
先行技術と比較した本発明による樹脂歯科組成物の大きな利点は、例えば毒性アクリレート類又はメタクリレート類の重合しうる毒性モノマーのケースにおいて、これらが式(II)のシラン類に強く結合でき、このため無機/有機網目構造にしっかりと組み込まれ、その結果不完全重合のケースであっても樹脂歯科組成物の硬化後に遊離モノマーが存在しないことである。しかしながら、アクリレート類又はメタクリレート類に基づく先行技術による樹脂歯科組成物においては、硬化後に不完全重合の結果として遊離モノマーがなお存在し、それがかなりの毒性問題を起こしうるというリスクが常にある。
本発明は例示態様の助けで更に詳細に説明される。
例1:2−トリメトキシシリルプロピルメチルエーテル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン(一般式(I)によるシラン)の製造:
CH2Cl2300ml中3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン307g(1.3mol)の溶液を乾燥CH2Cl2600ml中γ−ブチロラクトン129g(1.5mol)及び三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・Et2O)4.62gの初期混合液に1時間かけてアルゴン雰囲気下室温で滴下する。室温で約2時間攪拌後、混合液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空蒸留に付す。予備分別後、望ましいスピロシランが無色の安定な液体として約125℃の温度(2×10-2mbar)で得られる。
IR:ν(C−H)約2840−2969cm-1
ν(C−H,メトキシ)2480cm-1
例2:2−トリメトキシシリルプロピルメチルエーテル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナンの加水分解縮合:
トリエチルアミン20mg及びH2O 0.54g(30mol)を−Si(OCH3基の加水分解及び縮合のために例1に従いスピロシラン6.54g(20mol)に滴下する。混合液を室温で約20時間攪拌する。得られたスピロシロキサンを慣習的な後処理後に単離する。
IR:ν(C−H,メトキシ)2480cm-1はもはや存在しない→加水分解が生じた
ν(C=0,エステル)1738cm-1は形成されない→スピロ基は開裂されていない
例3:例2によるスピロシロキサンのカチオン重合:
例2によるスピロシロキサンを2%開始剤(ユニオン・カーバイドのUVI6990)で処理し、KBrディスクに適用し、すべての揮発性成分を除き、UV光〔Dr.K.HonleからのUV“ブルーポイント”(Blue Point)ポイント照射機〕で照射し、即ち重合により硬化させる(1分以内に完全変換)。
IR:ν(C=0,エステル)1740cm-1(強いバンド)→スピロ基の完全変換と重合
→ポリエステルシロキサン
例4:例2によるスピロシロキサンのカチオン重合:
例2によるスピロシロキサンを2%開始剤(デグッサのKI−85)で処理し、ガラススライドに適用する。適用上、様々なギャップ幅(30及び80μm)を有するフィルム延伸枠を用いる。揮発性成分を除去し、硬化をロクタイト(Loctite)の“ウバロック1000"(UVALOC 1000)UV照射機により行う。
例3及び4による開始剤を用いると、硬い無色組成物が1分以下の露出時間後に得られる。
例5:TMPTA及びメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン72.14g(0.4mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル400ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)118.5g(0.4mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.224g(0.004mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約5分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.7N HCl 7.2gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。粘度は合成条件(樹脂系A)により25℃で9000〜22,000mPa.sと様々である。
例6:エバークリル−53及びメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン54.14g(0.3mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル270ml中グリセリルプロポキシトリアクリレート〔エバークリル(Ebercryl)−53〕128.5g(0.3mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.168g(0.003mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約5分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.7N HCl 5.4gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。粘度は合成条件(樹脂系B)により25℃で4500〜8100mPa.sと様々である。
例7:TMPTA及び(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン(比率1.2:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン45.1g(0.25mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル250ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)88.9g(0.3mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.140g(0.0025mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.5N HCl 7.2gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。粘度は合成条件(樹脂系C)により25℃で4200〜7000mPa.sと様々である。
例8:TMPTA及び(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン0.4molを保護ガス雰囲気下で酢酸エチル400ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)118.5g(0.4mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.224g(0.004mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約5分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.7N HCl 7.2gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。
例9:TMPTA及び(メルカプトメチル)ジメチルメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)ジメチルメトキシシラン0.3molを保護ガス雰囲気下で酢酸エチル270ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.3molの初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.168g(0.003mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約5分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.7N HCl 5.4gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。粘度は合成条件(樹脂系E)により25℃で900〜7200mPa.sと様々である。
例10:TMPTMA及びメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン18.03g(0.1mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル100ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTMA)33.84g(0.1mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.56g(0.01mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約5分間後に反応(チオール付加)は終了する。5.7N HCl 1.8gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。25℃で約1760mPa.sの粘度を有する淡黄色透明樹脂が得られる(樹脂系F)。
例11:TMPTMA及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.82g(0.05mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル50ml中トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)16.92g(0.05mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.28g(0.005mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。2.4N HCl 2.16gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。25℃で約16,000mPa.sの粘度を有する淡黄色透明樹脂が得られる(樹脂系G)。
例12:BADMA及び(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン0.05molを保護ガス雰囲気下で酢酸エチル50ml中ビスフェノール−A−ジメタクリレート(BADMA)0.05molの初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.28g(0.005mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。2.4N HCl 2.16gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる(樹脂系H)。
例13:プレックス6833−0及びメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(比率1:1)に基づく樹脂系の合成操作:
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン0.05molを保護ガス雰囲気下で酢酸エチル50ml中エトキシル化ビスフェノール−A−ジメタクリレート〔プレックス(Plex)6833−0〕0.05molの初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.28g(0.005mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。2.4N HCl 2.16gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。25℃で約3200mPa.sの粘度を有する淡黄色透明樹脂が得られる(樹脂系I)。
例14:TMPTA及びトリメチルクロロシランでシラン化された(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン(比率1.2:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン45.1g(0.25mol)を保護ガス雰囲気下で酢酸エチル250ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)88.9g(0.3mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.140g(0.0025mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.5N HCl 7.2gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。常法によりトリメチルクロロシラン/トリエチルアミン(遊離されたHClを捕捉するため)でシラン化された淡黄色透明粘稠樹脂が得られる。粘度は合成条件(樹脂系K)により25℃で2800〜3300mPa.sと様々である。
シラン化の目的は、水の吸収を少なくさせて水の付加による強度の減少を少なくし、樹脂粘度を少なくさせて最後には複合材中でより高い充填剤含有率を保証するための遊離SiOH基(樹脂の親水性中心)の反応である。
例15:TMPTA、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン(比率1.2:0.5:1)に基づく樹脂系の合成操作:
(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン0.125mol及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン0.125molを保護ガス雰囲気下で酢酸エチル250ml中トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)88.9g(0.3mol)の初期混合液に滴下する。冷却(氷浴)しながら、エタノール中KOH 0.140g(0.0025mol)の溶液をゆっくりと滴下する。約1分間後に反応(チオール付加)は終了する。0.5N HCl 7.2gをメトキシ基の加水分解及び縮合用に滴下する。後処理は室温で約20時間攪拌後に最初に希水性NaOH及び最後に蒸留水で振盪して抽出することにより行う。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。揮発性成分を油ポンプ真空下で除去する。淡黄色透明粘稠樹脂が得られる(樹脂系M)。
作業性(例えば成形品の生産と充填剤の配合及び含有率)に関して重要である樹脂粘度は、これらの例示態様から確認されるように、同組成でも合成条件及び出発物質組合せにより広範囲にわたり異なり、このため具体的な応用ケースの要求に合わせることができる。
例16:充填剤配合:
充填剤として、双方ともシラン化されたエーロジルOX50(熱分解シリカ)30%及び微細ガラスGM32087(ケイ酸ストロンチウムガラス)70%の混合物をペースト状粘稠度が得られるまで樹脂系中に配合する。配合は例えばハウスチャイルド(Hauschild)のAM501ユニバーサルミキサーを用いて行うことができる。樹脂系L1:樹脂系Kを上記充填剤混合物75重量%(60容量%)とミックスする。
樹脂系L2:樹脂系Bを上記充填剤混合物75重量%(60容量%)とミックスする。
樹脂系L3:樹脂系Iを上記充填剤混合物75重量%(60容量%)とミックスする。
他の調査用にUV硬化成形品をUV開始剤としてイラキュア184R1.0%の添加後に樹脂系A〜Mから製造する。(例えば開始剤としてカンホルキノンの添加後に)可視スペクトル範囲で対応した硬化も同様に可能である。
他の調査及び試験条件:
破壊強度:破壊強度は角棒(2×2×25mm)により3箇所曲げ試験(UTS−100ユニバーサル試験機)で調べる。
Eモジュラス:Eモジュラスは角棒(2×2×25mm)により3箇所曲げ試験(UTS−100ユニバーサル試験機)で調べる。
硬化時収縮率:硬化時収縮率は硬化前及び24時間後における厚さの差異により調べる。
吸水率:吸水率は最終秤量(水溶解率に関して補正する)により蒸留水中40℃で14日間の貯蔵後に円筒成形品(10mm径で1mm厚)で調べる。
水溶解率:水溶解率は最終秤量により蒸留水中40℃で14日間の貯蔵後に円筒成形品(10mm径で1mm厚)で調べる。
試験結果:
Figure 0003606325
硬化時収縮率は一般式(I)のシラン類の使用又は添加で更に減少させることができる。
例17:樹脂系Kに基づく可視スペクトル範囲で光化学硬化しうる複合材の製造:
下記成分を混合してペースト状混合物を得る:
Figure 0003606325
例18:樹脂系Cに基づく自己硬化複合材の製造:
下記成分をミックスして触媒ペーストを得るか又はベースペーストを得る:
Figure 0003606325
例19:樹脂系K(充填剤なし)に基づく可視スペクトル範囲で光化学硬化しうる複合材の製造:
下記成分を混合してペースト状混合物を得る:
Figure 0003606325

Claims (33)

  1. 水又は水分の作用により、1種以上の加水分解縮合性ケイ素化合物の加水分解縮合により得られる重合性ポリシロキサン類を含んでなる、開始剤の存在下で光化学又は熱硬化性である、あるいはレドレックス触媒の存在下で自己硬化性である樹脂歯科組成物:但し、加水分解縮合性ケイ素はモノマー化合物の混合物(但し、一般式(I)及び一般式(II)のシラン類の混合物)に基づき1〜100mol%であり、一般式(I)は
    YnSiXmR4-(n+m) (I)
    〔上記式中、基X、Y及びRは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    Y=1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン基を含む置換基;
    n=1、2又は3;
    m=1、2又は3、n+m≦4〕であり、一般式(II)は
    〔XnRkSi(R2(A)4-(n+k)tD (II)
    〔上記式中、基A、R、R2及びXは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    A=O、S、PR′、POR′、NHC(O)O又はNHC(O)ONR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    D=少くとも1つ(z=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′の場合)又は少くとも2つのC=C二重結合と5〜50の炭素原子を有する化合物D′から誘導される直鎖又は分岐有機基(R′=水素、アルキル又はアリール);
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    R2=アルキレン、アリーレン又はアルキレンアリーレン;
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    n=1、2又は3;
    k=0、1又は2;
    z=0又は1;
    t=最大値が化合物D′における二重結合の数−1に相当するか、又は、z=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′である場合に化合物D′における二重結合の数に等しい整数〕である。
  2. 一般式(I)のシラン類が、Yが:
    Figure 0003606325
    (上記において、基Zは同一であるか又は異なり、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ又はハロゲンを示す)に等しいものである、請求項1に記載の樹脂歯科組成物。
  3. 一般式(II)のシラン類が、基及びインデックスが下記の意味:
    〔X=(C1−C4)アルコキシ又はハロゲン;
    R=(C1−C4)アルキル;
    R2=(C1−C4)アルキレン;
    A=O又はS;
    n=1、2又は3;
    z=0又は1;
    4−(n+k)が、z=0のとき0、及びz=1のとき1;
    D及びtは、請求項1のように定義される〕を有するものである、請求項1又は2に記載の樹脂歯科組成物。
  4. 一般式(II)のシラン類が、インデックスtを有する単位がトリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、メチルジクロロシリル、3−メチルジメトキシシリルプロピルチオ、3−トリエトキシシリルプロピルチオ、エトキシジメチルシリルメチルチオ及びメチルジエトキシシリルメチルチオから選択されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  5. 一般式(II)のシラン類が、化合物D′が1つ(z=1及びA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′)又は2つのC=C二重結合を含むものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  6. 一般式(II)のシラン類が、化合物D′が少くとも2つ(z=1及びA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′)又は少くとも3つのC=C二重結合を含むものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  7. 一般式(II)のシラン類が、化合物Dが2以上のアクリレート及び/又はメタクリレート基を有する置換又は非置換化合物D′から誘導されるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  8. Dが、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、C2−C6アルカンジオール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、又は場合により置換及び/又はアルコキシル化されたビスフェノールA、のアクリル酸エステルから誘導される、請求項7に記載の樹脂歯科組成物。
  9. 一般式(II)のシラン類が、tが1又は2の値を有するものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  10. 下記一般式(III)の1種以上の化合物から選択されるケイ素の加水分解縮合性化合物を更に含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物:
    Ra(R″Z′)bSiX4-(a+b) (III)
    〔上記式中、基R、R″及びZ′は同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    R″=アルキレン又はアルケニレン(これらの基には酸素もしくはイオウ原子又はNH基を介在させることができる);
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    Z′=ハロゲン、場合により置換されたアミノ、アミド、アルデヒド、アルキルカルボニル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、エポキシ又はビニル基;
    a=0、1、2又は3;
    b=0、1、2又は3(a+b=1、2又は3)〕。
  11. 反応媒体に可溶性であって、適宜に初期縮合形である、下記一般式のバリウム、チタン又はジルコニウム化合物からなる群より選択される加水分解縮合性成分を更に含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物:
    BaR″又はMXwRu
    〔上記式中、Mはチタン又はジルコニウムを示す;基R″、R及びXは同一であるか又は異なる;R″はアルコキシ又はアシルオキシを表す;wは1〜4の整数である;uは0、1、2又は3を表す;X及びRは一般式(I)の場合のように定義される〕。
  12. 遊離ラジカルにより及び/又はカチオン的に共重合しうる1種以上のモノマーを更に含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  13. 重合性モノマーとして、アクリレート類、メタクリレート類、モノもしくはオリゴエポキシド類、ビニルエーテル類、スピロオルトエステル類、スピロオルトカーボネート類、二環式スピロオルトエステル類又はメタクリロイルスピロオルトエステル類を含有する、請求項12に記載の樹脂歯科組成物。
  14. 重合性ポリシロキサン類は、水又は水分の作用により、1種以上の加水分解縮合性ケイ素化合物の加水分解縮合により得られる、請求項1〜13のいずれか一項で記載された樹脂歯科組成物の製造方法:但し、加水分解縮合性ケイ素は、モノマー化合物の混合物(但し、一般式(I)及び一般式(II)のシラン類の混合物)に基づき1〜100mol%であり、一般式(I)は
    YnSiXmR4-(n+m) (I)
    〔上記式中、基X、Y及びRは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    Y=1,4,6−トリオキサスピロ〔4.4〕ノナン基を含む置換基;
    n=1、2又は3;
    m=1、2又は3、n+m≦4〕であり、一般式(II)は
    〔XnRkSi(R2(A)4-(n+k)tD (II)
    〔上記式中、基A、R、R2及びXは同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    A=O、S、PR′、POR′、NHC(O)O又はNHC(O)ONR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    D=少くとも1つ(z=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′の場合)又は少くとも2つのC=C二重結合と5〜50の炭素原子を有する化合物D′から誘導される直鎖又は分岐有機基(R′=水素、アルキル又はアリール);
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    R2=アルキレン、アリーレン又はアルキレンアリーレン;
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R′=水素、アルキル又はアリール);
    n=1、2又は3;
    k=0、1又は2;
    z=0又は1;
    t=最大値が化合物D′における二重結合の数−1に相当するか、又は、z=1かつA=NHC(O)O又はNHC(O)NR′である場合に化合物D′における二重結合の数に等しい整数〕である。
  15. 樹脂歯科組成物が、下記一般式(III)の1種以上の化合物から選択されるケイ素の加水分解縮合性化合物を、適宜に初期縮合形で、更に含んでなる、請求項14に記載の方法:
    Ra(R″Z′)bSiX4-(a+b) (III)
    〔上記式中、基R、R″及びZ′は同一であるか又は異なり、下記意味を有する:
    R=アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル;
    R″=アルキレン又はアルケニレン(これらの基には酸素もしくはイオウ原子又はNH基を介在させることができる);
    X=水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はNR′(R=水素、アルキル又はアリール);
    Z′=ハロゲン、場合により置換されたアミノ、アミド、アルデヒド、アルキルカルボニル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、エポキシ又はビニル基;
    a=0、1、2又は3;
    b=0、1、2又は3(a+b=1、2又は3)〕。
  16. 樹脂歯科組成物が、反応媒体に可溶性であって、適宜に初期縮合形である、下記一般式のバリウム、チタン又はジルコニウム化合物からなる群より選択される加水分解縮合性成分を更に含んでいる、請求項14又は15に記載の方法:
    BaR″又はMXwRu
    〔上記式中、Mはチタン又はジルコニウムを示す;基R″、R及びXは同一であるか又は異なる;R″はアルコキシ又はアシルオキシを表す;wは1〜4の整数である;uは0、1、2又は3を表す;X及びRは一般式(I)の場合のように定義される〕。
  17. 遊離ラジカルにより及び/又はカチオン的に共重合しうる1種以上のモノマーが、加水分解縮合の前及び/又は後に反応混合液に加えられる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. アクリレート類、メタクリレート類、モノもしくはオリゴエポキシド類、ビニルエーテル類、スピロオルトエステル類、スピロオルトカーボネート類、二環式スピロオルトエステル類又はメタクリロイルスピロオルトエステル類が、重合性モノマーとして、反応混合液に加えられる、請求項17に記載の方法。
  19. エナメル質及び象牙質接着用、慣用的複合材の表面シーリング用、歯科充填剤のための接着促進剤用、及び歯科分野におけるコーティング用の組成物の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物の使用方法。
  20. 開始剤の存在下で光化学又は熱硬化性であるかあるいは自己硬化性であり、1種以上の樹脂歯科組成物と、適宜に、1種以上の微細充填剤から構成され、請求項1〜13のいずれか一項で記載された樹脂歯科組成物を20〜100容量%含有するペースト状歯科材料。
  21. 適宜に微細充填剤が存在する場合、該充填剤が、請求項1〜13のいずれか一項で記載された微細樹脂歯科組成物である、請求項20に記載の歯科材料。
  22. B、Ba、Ti、Zr、Al、Sn、遷移金属及びそれらの混合物からなる群より選択される加水分解縮合性成分を更に含んでなる請求項1に記載の樹脂歯科組成物であって、重合性ポリシロキサン類が、加水分解縮合性ケイ素化合物及び1種以上の加水分解縮合性成分との加水分解縮合により得られる、上記組成物。
  23. 一般式(I)又は(II)のシラン類、B、Ba、Ti、Zr、Al、Sn、遷移金属又はそれらの混合物の初期縮合物が、加水分解縮合性化合物の代わりに用いられうる、請求項1又は22に記載の樹脂歯科組成物。
  24. 一般式(I)及び(II)のシラン類が、モノマー化合物に基づき、5〜100mol%の加水分解縮合性化合物を構成する、請求項1及び22〜23のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  25. ケイ素の加水分解縮合が、触媒又は溶媒、又はそれらの混合物の存在下で行われる、請求項1及び22〜24のいずれか一項に記載の樹脂歯科組成物。
  26. 一般式(II)のシラン類が、基及びインデックスが下記の意味:
    〔X=メトキシ、エトキシ、又は塩素;
    R=メチル又はエチル;
    R2=メチレン又はプロピレン;
    A,n,z,D,t及び4−(n+k)は、請求項3のように定義される〕を有するものである、請求項3に記載の樹脂歯科組成物。
  27. uが0、1又は2を表す、請求項11に記載の樹脂歯科組成物。
  28. 樹脂歯科組成物が、B、Ba、Ti、Zr、Al、Sn、遷移金属及びそれらの混合物からなる群より選択される加水分解縮合性成分を更に含んでなり、重合性ポリシロキサンが、加水分解縮合性ケイ素化合物及び1種以上の加水分解縮合性成分との加水分解縮合により得られる、請求項14に記載の方法。
  29. 一般式(I)又は(II)のシラン類、B、Ba、Ti、Zr、Al、Sn、遷移金属又はそれらの混合物の初期重合物が、加水分解縮合性化合物の代わりに用いられうる、請求項14又は28に記載の方法。
  30. 一般式(I)及び(II)のシラン類が、モノマー化合物に基づき、5〜100mol%の加水分解縮合性化合物を構成する、請求項14、28及び29のいずれか一項に記載の方法。
  31. ケイ素の加水分解縮合が、触媒又は溶媒、又はそれらの混合物の存在下で行われる、請求項14及び28〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. uが0、1又は2を表す、請求項16に記載の方法。
  33. 微細充填剤が、請求項1〜13及び22〜27のいずれか一項で記載された樹脂歯科組成物を30〜70容量%含有する、請求項20に記載のペースト状歯科材料。
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