JP4228486B2 - 産業車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来の全電気式操舵装置を有する車両では、操舵入力装置の操作部であるハンドルの操作量をロータリエンコーダなどのセンサで検出し、操舵輪切れ角をポテンショメータなどのセンサで検出している。コントローラでは、ハンドルの操作量から得られる操舵輪切れ角の目標値と、操舵輪切れ角の現在値から、その差に比例した電力を、操舵力を発生するアクチュエータである電動モータに出力する。操舵輪は切れ角の現在値が目標値と一致するまで電動モータにより駆動される。このようにして、ハンドルの操作により操舵輪が操舵される。
【0003】
そして、操舵輪は右旋回あるいは左旋回の操舵限界においては、操舵輪支持部材に設けられたストッパ部材が、車体側に設けられたストッパ部材に当接することにより、過操舵が防止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように操舵限界において、操舵輪支持部材に設けられたストッパ部材が、車体側に設けられたストッパ部材に当接する構造を設けている場合には、当該部材が勢いよく当接する瞬間に、操舵輪の動きによる慣性力と電動モータに加えられる電力による操舵出力とにより極めて大きな衝撃力が作用する。この結果、ストッパ部材あるいは操舵装置の脆弱な部位が破損することがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は操舵輪が操舵限界に達したときの衝撃力を低減させることで装置の破損を防止させることができる全電気式操舵装置を備えた産業車両を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、操舵入力装置の操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、操舵輪切れ角を検出する切れ角検出手段とから得られる信号に基づいて、制御手段がアクチュエータに操舵出力を発生させ、その操舵出力により操舵輪が操舵される全電気式操舵装置を備えた産業車両において、前記操舵入力装置の操作部が設けられた運転台は、前記操舵輪を有する車両本体に対して昇降移動可能に設けられ、前記制御手段は、前記切れ角検出手段から得られる信号値に基づいて操舵輪切れ角速度を算出し、前記制御手段は、前記切れ角検出手段により検出された操舵輪切れ角が、あらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、前記操舵輪切れ角速度が大きいほど、前記アクチュエータが発生する操舵出力の最大値を小さくするように、前記アクチュエータの操舵出力を規制することを要旨としている。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の産業車両において、前記制御手段は、前記操舵輪切れ角速度と前記アクチュエータが発生する操舵出力を規制するときの最大値である出力規制値との関係を表すマップを備えており、前記切れ角検出手段により検出された操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、前記制御手段は、前記操作量検出手段と前記切れ角検出手段とから得られる信号に基づいて求められる操舵出力と前記マップから得られる出力規制値とを比較して、小さい方を前記アクチュエータの操舵出力として設定することを要旨としている。
【0008】
作用)
請求項1に記載の発明によれば、操舵輪切れ角が、あらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、アクチュエータが発生する操舵出力の最大値が規制される。その結果、操舵輪の操舵速度が小さく抑えられ、操舵輪が操舵限界に達したときの衝撃力が低減される。
【0009】
例えば、操舵輪支持部材に設けられたストッパ部材が、車体側に設けられたストッパ部材に当接する構造を設けている場合には、操舵限界においてストッパ部材同士の当接時の衝撃力が低減され、ストッパ部材の破損が防止される。
【0010】
また、上記作用は、操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合に、前記アクチュエータが発生する操舵出力の最大値を規制するようなプログラムデータを制御手段に追加するのみにより、新たなセンサを設けることなく得ることができる。
【0011】
また、操舵輪切れ角速度が大きいほど、操舵出力を規制するときの最大値が小さくなる。従って、操舵限界付近の領域における操舵輪の操舵速度に応じて、ストッパ部材が当接する際の操舵輪の操舵速度が効果的に小さく抑えられる。その結果、操舵出力の最大値が規制される操舵限界付近領域を狭くすることが可能になる。
【0012】
また、操舵輪を有する車両本体に対して操舵入力装置の操作部が設けられた運転台が、昇降移動可能に設けられている産業車両において、上記の作用が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、産業車両としてのオーダーピッキング型フォークリフト1の車両本体2には、操舵輪4が備えられている。
【0014】
運転台3には、操舵入力装置5が備えられている。操舵入力装置5には操作部としてのハンドル5aが備えられている。
運転台3はシリンダ13の伸縮によりチェーン14を介し、車両本体2に対して昇降移動可能となっている。
【0015】
ハンドル5の操作量(ハンドル位置)は操作量検出手段としてのハンドルセンサ7により検出され、その検出信号は信号線12を経由して制御手段としてのコントローラ8に入力される。ハンドルセンサ7は例えばロータリエンコーダなどからなる。
【0016】
操舵輪4は操舵輪支持部材10に支持されており、アクチュエータとしての例えば電動モータ(以下、単にモータという)9によりギヤ15,16を介して操舵される。
【0017】
操舵輪4の操舵輪切れ角TPは、切れ角検出手段としての舵角センサ6により検出され、その検出信号はコントローラ8に入力される。舵角センサ6は例えばポテンショメータなどからなる。
【0018】
コントローラ8は、ハンドルセンサ7からの検出信号から得られるハンドル操作量及びハンドル操作速度HVと、舵角センサ6により検出される操舵輪切れ角TPに基づいて、モータ9を駆動する。
【0019】
図2(a)は、操舵輪4が左右旋回の中立位置にある状態を示す。
図2(b)は、右旋回時の操舵輪4が操舵限界付近に操舵された状態を示す。同図に示すように、操舵輪支持部材10にはストッパ部材11が設けられており、左旋回または右旋回の操舵限界時においてストッパ部材11が車体側部材23に設けられたストッパ部材21またはストッパ部材22に当接し、操舵輪4の切れ角が制限される。
【0020】
図2(b)に示すように、操舵限界付近には操舵輪切れ角TPの領域Lが設定されている。なお、図には示していないが、左旋回時の操舵限界付近においても同様に操舵輪切れ角の領域Lをあらかじめ設定するものとする。
【0021】
図3は、本実施形態の電気的構成を示す。
舵角センサ6の信号は、コントローラ8のアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)31に入力され、入力インターフェイス32を介して中央処理装置(以下CPUという)33に読み込まれる。
【0022】
また、ハンドルセンサ7の信号は、コントローラ8の入力インターフェイス32に入力され、CPU33に読み込まれる。
CPU33は、これら入力信号に基づいて、読出し専用メモリ(ROM)34と、読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)35を用いて演算し、演算結果(指令値)を出力インターフェイス36を介して電動モータ駆動回路37に出力し電動モータ9を駆動する。
【0023】
ROM34には、図4に示す操舵輪切れ角速度TVと操舵出力を規制するときの最大値(以下、出力規制値MLという)との関係を表すマップMと、図5のフローチャートに示す操舵制御処理のプログラムが記憶されている。また、RAM35はプログラムを実行するうえで必要な各種データを一時記憶するために使用される。
【0024】
次に、図5に示すフローチャートに従ってコントローラ8内のCPU33が実行する操舵制御処理内容を説明する。
ステップ(以下、単にSという)1では、舵角センサ6から操舵輪切れ角TPと、ハンドルセンサ7からの検出信号のパルス数をハンドル操作方向を考慮して計数するカウンタ(図示せず)からハンドル操作量(ハンドル位置)を読み込む。
【0025】
S2では、操舵輪切れ角TPから操舵輪切れ角速度TVを算出する。すなわち、操舵輪切れ角TPの前回値と今回値との差に基づいて、操舵輪切れ角速度TVを算出する。
【0026】
S3では、ハンドル操作量からハンドル操作速度HVと操舵輪切れ角目標値TDを算出する。ここで、ハンドル操作速度HVはハンドル操作量の前回値と今回値との差に基づいて算出する。
【0027】
S4では、操舵輪切れ角TPと操舵輪切れ角目標値TDの差の絶対値TA(以下、単に差TAという)から、例えば差TAに比例した大きさの差分出力値MTを算出する。
【0028】
S5では、ハンドル操作速度HVから、例えばハンドル操作速度HVに比例した大きさの速度分出力値MHを算出する。
S6では、モータ9への出力値MDを差分出力値MTと速度分出力値MHの和として求める。つまり、操舵輪切れ角TPと操舵輪切れ角目標値TDの差TAが大きくなるほど、あるいは、ハンドル操作速度HVが大きくなるほど、モータ9を駆動する出力が大きくなるように設定する。例えば、このような設定をすることにより、ハンドル操作に対する操舵輪の応答性を高めるものである。
またここで、モータ9を駆動する方向は、操舵輪切れ角TPが操舵輪切れ角目標値TDに近づく方向であるとする。
【0029】
S7では、操舵輪切れ角TPが、あらかじめ設定した右旋回あるいは左旋回の操舵限界付近の領域L内にあるかどうか判断する。
領域L内にある場合には、S8において操舵輪切れ角速度TVの大きさから図4に示すマップMを用いて出力規制値MLを求める。ここで、図4に示すマップMは、操舵輪切れ角速度TVが大きいほど、操舵出力を規制するときの最大値である出力規制値MLが小さくなるように設定してあり、操舵限界において前記ストッパ部材同士が当接する際でも、その衝撃力が十分小さい程度に抑えられるようなモータ9の操舵出力値としてある。
【0030】
S9では、前記S6にて求めた出力値MDが、前記S7にて求めた出力規制値MLより大きいかどうか判断する。
出力値MDが出力規制値MLより大きい場合には、S10において出力値MDの値を出力規制値MLの値に置き換える。つまり、出力値MDの最大値を小さく規制する。
【0031】
S11では、前記出力値MDをモータ9に出力するための指令をする。
前記S9で出力値MDが出力規制値MLより大きくない場合には、前記S6にて求めた出力値MDの値を置き換えることなく、S11で出力値MDをモータ9に出力するための指令をする。
【0032】
前記S7で操舵輪切れ角TPが、領域L内にない場合にも、前記S6にて求めた出力値MDの値を置き換えることなく、S11で出力値MDをモータ9に出力するための指令をする。
【0033】
このようにしてコントローラ8内のCPU33により操舵制御処理が一定の周期で繰り返し実行される。
次に、以上のように構成されたオーダーピッキング型フォークリフト1の作用について説明する。
【0034】
運転台3に備えられているハンドル5の操作により、車両本体2に備えられている操舵輪4を操舵する際に、舵角センサ6から検出される操舵輪切れ角TPが、あらかじめ設定した右旋回あるいは左旋回の操舵限界付近の領域L内に入っていない場合には、モータ9への出力値は、その最大値が規制されることなく、S6で求められる出力値MDが出力される。したがって、操舵輪切れ角TPと操舵輪切れ角目標値TDの差TAが大きくなるほど、あるいは、ハンドル操作速度HVが大きくなるほど、モータ9を駆動する出力が大きくなり、ハンドル操作に対する操舵輪の応答性が高い操舵特性が得られる。
【0035】
また、操舵輪切れ角TPが、あらかじめ設定した右旋回あるいは左旋回の操舵限界付近の領域L内に入っている場合でも、S6で求められる出力値MDがS8で求められる出力規制値MLより大きくないときは、モータ9への出力値は、その最大値が規制されることはない。これは、モータ9への出力値が操舵限界において前記ストッパ部材同士が当接する際でも、その衝撃力が十分小さい程度の操舵出力値と判断されるからである。
【0036】
操舵輪切れ角TPが、あらかじめ設定した右旋回あるいは左旋回の操舵限界付近の領域L内に入っている場合で、S6で求められる出力値MDがS8で求められる出力規制値MLより大きいときは、モータ9への出力値MDは、出力規制値MLとなり最大値が規制される。
【0037】
これにより、前記ストッパ部材同士が当接する際の操舵輪4の操舵速度が小さく抑えられ、ストッパ部材あるいは操舵装置に作用する衝撃力が低減される。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の各効果を得ることができる。
【0038】
(1)オーダーピッキング型フォークリフト1において、操舵輪切れ角TPがあらかじめ設定した操舵限界付近の領域Lにある場合には、モータ9が発生する操舵出力の最大値を規制する。従って、操舵限界においてストッパ部材同士が当接する際の操舵輪4の操舵速度が小さく抑えられ、ストッパ部材あるいは操舵装置に作用する衝撃力が低減される。この結果、装置の破損を防止して装置の寿命を長くすることができる。または、装置の強度を低くして装置を安価に構成することができる。
【0039】
(2)操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域Lにある場合の、モータ9が発生する操舵出力の出力規制値MLは、操舵輪切れ角速度TVが大きいほど小さくなっている。従って、操舵限界においてストッパ部材同士が当接する際の操舵輪4の操舵速度がより効果的に小さく抑えられる。その結果、操舵限界付近に設定する領域Lの設定範囲を狭くできる。
【0040】
(3)ハンドルセンサ7と舵角センサ6の各信号に基づいてコントローラ8により駆動制御されるモータ9の操舵出力により操舵輪4が操舵される全電気式操舵装置において、図5のフローチャートで示されるプログラムデータを追加するソフトウエアの変更のみにより、新たなセンサを設けることなく上記(1)または(2)の効果を得ることができる。
【0041】
(4)車両本体2に対して運転台3が、昇降可能に設けられているオーダーピッキング型フォークリフトにおいて、本実施形態に示す操舵装置を設けることにより、操舵入力装置5から操舵輪4まで機械的に操舵力を伝達する複雑な機構を設ける必要がなく、簡易な構成の操舵装置で上記(1)〜(3)の効果を得ることができる。
【0042】
尚、実施の形態は上記に限らず、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施の形態では、操舵輪が一輪タイプであるオーダーピッキング型フォークリフトにて具体化したが、操舵輪が二輪タイプである車両に適用することもできる。
【0043】
○ 前記実施の形態では、操舵輪を有する車両本体に対して操舵入力装置の操作部が設けられた運転台が移動可能に設けられている産業車両として、オーダーピッキング型フォークリフトにて具体化したが、高所作業車やメンテナンス時に運転台が移動可能なカウンタバランス型フォークリフトなど他の産業車両に適用することもできる。また、運転台が移動可能に設けられている産業車両に限らず、操舵輪を有するカウンタバランス型フォークリフトやトーイングトラクタなどの産業車両や産業車両以外の車両に適用することもできる。
【0044】
○ 前記実施の形態では、操舵輪を操舵するアクチュエータとして、電動モータを使用したが、電気制御方式の油圧モータや油圧シリンダなど他のアクチュエータを使用してもよい。
【0045】
○ 前記実施の形態では、ハンドルセンサとして、ロータリエンコーダを使用したが、ポテンショメータなどのセンサを使用してもよい。
○ 前記実施の形態では、舵角センサとして、ポテンショメータを使用したが、ロータリエンコーダなどのセンサを使用してもよい。
【0046】
○ 前記実施の形態では、図4のマップMで操舵輪切れ角速度TVに対する出力規制値MLが直線的に小さくなるよう設定したが、階段状でも任意な曲線状でもよい。もちろん、マップを使用せず計算式を用いて出力規制値を算出してもよい。
【0047】
○ 前記実施の形態では、操舵輪切れ角速度TVが大きいほど、操舵出力を規制するときの最大値である出力規制値MLが小さくなるように設定したが、特に操舵輪切れ角速度TVにより出力規制値MLを設定する必要はない。例えば、操舵輪4が操舵限界付近の領域L内にあれば、あらかじめ設定した一定の出力規制値にしてもよいし、操舵輪4が操舵限界に近づくほど出力規制値が小さくなるように設定してもよい。
【0048】
○ 前記実施の形態では、操舵輪切れ角速度TVの大きさから図4に示すマップMを用いて出力規制値MLを求めたが、操舵輪切れ角速度TVの代わりにハンドル操作速度HVを用いてもよい。例えば、ハンドル操作速度HVが大きいほど、操舵出力を規制するときの最大値である出力規制値MLが小さくなるようにマップを設定しても前記(2)と同様の効果を得られる。
【0049】
○ 前記実施の形態では、操舵限界付近においてあらかじめ設定した操舵輪切れ角の領域Lを右旋回と左旋回で同じ大きさにしていたが、操舵装置の左右非対称性を考慮して左右で異なる大きさに設定してもよいし、あるいは、片方だけに設定してもよい。
【0050】
○ 前記実施の形態では、S7において操舵輪切れ角TPが、あらかじめ設定した右あるいは左旋回の操舵限界付近の領域L内にある場合には、ハンドル操作方向にかかわらずS8に進むようにしているが、領域L内であってもハンドル操作方向が、操舵輪4を中立位置に向かわせる方向である場合にはS8ではなくS11に進むようにしてもよい。
【0051】
このようにすると、操舵輪4が操舵限界付近の領域L内にあっても、操舵輪4を中立位置側に切り戻す場合には、操舵出力は規制されずハンドル操作に対する操舵輪の応答性が高い操舵特性が得られる。
【0052】
以下、前述した各実施の形態から把握される技術的思想を記載する。
(1)前記産業車両はオーダーピッキング型車両である。
【0053】
(2)前記産業車両は操舵輪支持部材にはストッパ部材が設けられており、左旋回または右旋回の操舵限界時において前記ストッパ部材が車体側部材に設けられたストッパ部材に当接し、操舵輪の切れ角が制限される構造を有する。
【0054】
(3)前記産業車両は、操舵輪切れ角が、あらかじめ設定した右あるいは左旋回の操舵限界付近の領域内にある場合であってもハンドル操作方向が、操舵輪を左右旋回の中立位置側に向かわせる場合には、アクチュエータの操舵出力の最大値を規制しない。
【0055】
【発明の効果】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、アクチュエータの操舵出力の最大値が規制されるので、車両の操舵輪が操舵限界に達したときの衝撃力を低減し、装置の破損を防止することができる。
【0056】
また、操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合に前記アクチュエータの操舵出力の最大値を規制するためのプログラムデータを制御手段に追加するのみにより、新たなセンサを設ける必要がない。
【0057】
また、操舵輪切れ角速度が大きいほど、操舵出力を規制するときの最大値を小さくするので操舵限界での操舵輪の操舵速度をより効果的に小さく抑えることができる。その結果、操舵出力の最大値が規制される操舵限界付近の領域を狭くすることができる。
【0058】
また、操舵入力装置から操舵輪まで機械的に操舵力を伝達する複雑な機構を設ける必要がなく、簡易な構成の操舵装置(全電気式操舵装置)上記の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オーダーピッキング型フォークリフトの模式側面図。
【図2】 操舵輪部分の模式平面図。
【図3】 電気回路ブロック図。
【図4】 操舵制御処理のためのマップ図。
【図5】 操舵制御処理のフローチャート。
【符号の説明】
1…車両及び産業車両としてのオーダーピッキング型フォークリフト、2…車両本体、 3…運転台、4…操舵輪、5…操舵入力装置、5a…操作部としてのハンドル、6…切れ角検出手段としての舵角センサ、7…操作量検出手段としてのハンドルセンサ、8…制御手段としてのコントローラ、9…アクチュエータとしての電動モータ、10…操舵輪支持部材、11…操舵輪支持部材に設けられたストッパ部材、21,22…車体側部材に設けられたストッパ部材、23…車体側部材、L…操舵限界付近の領域。

Claims (2)

  1. 操舵入力装置の操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、操舵輪切れ角を検出する切れ角検出手段とから得られる信号に基づいて、制御手段がアクチュエータに操舵出力を発生させ、その操舵出力により操舵輪が操舵される全電気式操舵装置を備えた産業車両において、
    前記操舵入力装置の操作部が設けられた運転台は、前記操舵輪を有する車両本体に対して昇降移動可能に設けられ、
    前記制御手段は、前記切れ角検出手段から得られる信号値に基づいて操舵輪切れ角速度を算出し、
    前記制御手段は、前記切れ角検出手段により検出された操舵輪切れ角が、あらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、前記操舵輪切れ角速度が大きいほど、前記アクチュエータが発生する操舵出力の最大値を小さくするように、前記アクチュエータの操舵出力を規制することを特徴とする産業車両
  2. 前記制御手段は、前記操舵輪切れ角速度と前記アクチュエータが発生する操舵出力を規制するときの最大値である出力規制値との関係を表すマップを備えており、
    前記切れ角検出手段により検出された操舵輪切れ角があらかじめ設定した操舵限界付近の領域にある場合には、前記制御手段は、前記操作量検出手段と前記切れ角検出手段とから得られる信号に基づいて求められる操舵出力と前記マップから得られる出力規制値とを比較して、小さい方を前記アクチュエータの操舵出力として設定することを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
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