JP4800667B2 - 作業車のステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪駆動式の走行体に作業装置を備えて構成された作業車のステアリング装置に関する。
車輪駆動式の走行体に作業装置を備えて構成された作業車としては、例えば走行体に昇降手段を介して作業台を取り付けた高所作業車が知られている。このような高所作業車には種々の形態のものがあるが、その中には比較的小型の走行体に垂直昇降装置(伸縮ポストやシザース機構等)を設け、この垂直所高装置に作業台を取り付けたものがある。このような高所作業車では、作業台に搭乗した作業者が作業台上から走行体の走行操作及び作業台の昇降操作を行うことができるようになっている(例えば、下記の特許文献1参照)。
上記タイプの作業車における走行体の走行操作は、走行体の発進停止及び前進後退の切り換えを行う進行停止操作手段(例えばレバーやダイヤル等からなる)と、走行中の走行体の舵取り、すなわち走行体の被操舵輪の操舵操作を行う操舵操作手段(例えばレバーやダイヤル等からなる)とを作業者が操作して行うようになっている。そして、走行体の走行中に作業者によって走行体の舵取りがなされると、作業台若しくは走行体に備えられたコントローラは、舵角検出器により検出された被操舵輪の舵角が操舵操作手段の操作状態に応じて設定された被操舵輪の目標舵角に追従するように操舵アクチュエータ(通常油圧シリンダ)を作動させ、リンク機構(ステアリングリンク機構)を介して被操舵輪の舵角を変化させる。なお、ここで被操舵輪の舵角とは、被操舵輪の走行体の前後中心軸に対する偏向角をいう。
特開平10−158000号公報 特開2002−193129号公報
ところで、上記ステアリングリンク機構を介して被操舵輪の操舵を行うステアリング装置では、一般に、被操舵輪の舵角が大きい領域においてはアクチュエータの作動量(油圧シリンダであれば長さの変化量)に対する被操舵輪の舵角の変化量は被操舵輪の舵角が小さい領域よりも大きくなる。このためアクチュエータの作動速度が常に一定であれば、被操舵輪の舵角が大きい領域では被操舵輪の舵角が小さい領域よりも被操舵輪の舵角の変化速度が大きくなってしまい、被操舵輪の舵角が大きい領域では被操舵輪の舵角が小さい領域に比べて被操舵輪を目標舵角位置に停止させにくく、正確な舵角制御が難しいという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、被操舵輪の舵角が大きい領域においても被操舵輪を目標舵角位置に正確に停止させることが可能な構成の作業車のステアリング装置を提供することを目的としている。
本発明に係る作業車のステアリング装置は、車輪駆動式の走行体に作業装置(例えば、実施形態における伸縮ポスト20及び作業台30)を備えて構成された作業車(例えば、実施形態における高所作業車1)のステアリング装置であって、走行体の被操舵輪(例えば、実施形態における前輪11a)の操舵操作を行う操舵操作手段(例えば、実施形態における操舵ダイヤル42)と、被操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段(例えば、実施形態における舵角検出器62)と、被操舵輪に繋がるリンク機構(例えば、実施形態におけるステアリングリンク機構13)を駆動して被操舵輪の舵角を変化させる操舵アクチュエータ(例えば
、実施形態における操舵シリンダ17)と、舵角検出手段により検出された被操舵輪の舵角が操舵操作手段の操作状態に応じて設定された被操舵輪の目標舵角に追従するように操舵アクチュエータを作動させる制御を行う操舵制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ50及び操舵制御バルブ52)とを備え、前記ステアリング装置が、操舵アクチュエータを一定の作動速度で作動させた際の被操舵輪の舵角の変化量が、舵角の大きさが予め定めた基準量を超えて大きくなると大きくなる操舵特性(例えば、実施形態における図6(A)の特性)を有してなり、操舵制御手段は、舵角検出手段からの検出情報に基づいて被操舵輪の舵角の大きさを算出し、舵角の大きさが基準量以下であるときには操舵アクチュエータを第1の作動速度で作動させ、舵角の大きさが基準量を超えているときには操舵アクチュエータを第1の作動速度よりも遅い第2の作動速度で作動させるようになっている。ここで被操舵輪の舵角とは、被操舵輪の走行体の前後中心軸に対する偏向角をいう。
ここで、上記操舵制御手段は、舵角の大きさが上記基準量を超えている状態から舵角の大きさが上記基準量以下となる目標舵角が設定されたときには、舵角の大きさが上記基準量を超えているときであっても、操舵アクチュエータを上記第1の作動速度で作動させるようになっていることが好ましい。
また、もう一つの本発明に係る作業車のステアリング装置は、車輪駆動式の走行体に作業装置を備えて構成された作業車のステアリング装置であって、走行体の被操舵輪の操舵操作を行う操舵操作手段と、被操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、被操舵輪に繋がるリンク機構を駆動して被操舵輪の舵角を変化させる操舵アクチュエータと、舵角検出手段により検出された被操舵輪の舵角が操舵操作手段の操作状態に応じて設定された被操舵輪の目標舵角に追従するように操舵アクチュエータを作動させる制御を行う操舵制御手段とを備え、前記ステアリング装置が、操舵アクチュエータを一定の作動速度で作動させた際の被操舵輪の舵角の変化量が、舵角の大きさが予め定めた基準量を超えて大きくなると大きくなる操舵特性を有してなり、操舵制御手段は、舵角検出手段により検出された被操舵輪の舵角が大きいときほど操舵アクチュエータを遅い作動速度で作動させるようになっている。
本発明に係る作業車のステアリング装置では、被操舵輪の舵角の大きさ(絶対値)が予め定めた基準量を超えているときには被操舵輪の舵角の大きさが基準量以下であるときよりも遅い作動速度で操舵アクチュエータを作動させるようになっているので、被操舵輪の舵角の大きさが基準量を超えて操舵アクチュエータの作動量に対する被操舵輪の舵角の変化量が大きくなる領域(被操舵輪の舵角の大きさが基準量を超える領域)においても、被操舵輪を目標舵角位置に正確に停止させることが可能である。
ここで、被操舵輪の舵角の大きさが基準量を超えている状態から舵角の大きさが基準量以下となる目標舵角が設定されたときには、舵角の大きさが基準量を超えているときであっても、舵角の大きさが基準量以下であるときと同等の作動速度で操舵アクチュエータを作動させるようになっているのであれば、舵角の大きさが基準量以下になるまでの間、操舵アクチュエータの不必要な作動速度制限がなされないので、その分、操舵操作に対する被操舵輪の作動遅れを解消することができる。
また、もう一つの本発明に係るステアリング装置では、被操舵輪の舵角が大きいときほど操舵アクチュエータを遅い作動速度で作動させるようになっているので、上記構成と同様、操舵アクチュエータの作動量に対する被操舵輪の舵角の変化量が大きくなる領域(被操舵輪の舵角が比較的大きい領域)においても、被操舵輪を目標舵角位置に正確に停止させることが可能である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る作業車のステアリング装置を備えた高所作業車1を示している。この高所作業車1はいわゆる垂直昇降式の高所作業車であり、車輪駆動式の走行体10と、この走行体10に垂直上方に延びて設けられた垂直昇降装置としての伸縮ポスト20と、この伸縮ポスト20に支持された作業者搭乗用の作業台30とを有して構成されている。走行体10は前後左右にタイヤ車輪11を備えるとともに内部に走行モータ(油圧モータ)12を備えており(図3参照)、この走行モータ12により後部のタイヤ車輪11(以下、後輪11bと称する)を駆動し、また前部のタイヤ車輪11(以下、前輪11aと称する)を操舵して走行することができるようになっている。
伸縮ポスト20は走行体10に垂直上方に延びて設けられた下部ポスト21と、この下部ポスト21に対して入れ子式に設けられた上部ポスト22とからなり、内蔵された昇降シリンダ(油圧シリンダ)23(図1参照)の伸縮作動により上下方向に伸縮(上部ポスト22を昇降)させることができるようになっている。作業台30は上部ポスト22に取り付けられており、伸縮ポスト20の上下方向の伸縮作動により昇降移動させることができるようになっている。
作業台30には走行体10の発進停止及び前進後退の切り換えを行う進行停止操作レバー41と、走行中の走行体10の舵取り、すなわち被操舵輪である前輪11aの操舵操作を行う操舵ダイヤル42と、作業台30の昇降操作を行う昇降操作レバー43とが備えられた操作ボックス40が設けられており(図2及び図5参照)、作業台30に搭乗した作業者はこれら進行停止操作レバー41、操舵ダイヤル42及び昇降操作レバー43を操作することにより、作業台30に居ながらにして走行体10の走行操作と作業台30の昇降操作とを行うことができるようになっている。
被操舵輪である前輪11aのステアリング機構は、前輪11aに繋がるステアリングリンク機構13と、このステアリングリンク機構13を駆動して前輪11aの舵角γ(前輪11aの走行体10の前後中心軸に対する偏向角。図4参照)を変化させる操舵シリンダ(油圧シリンダ)17と、操舵ダイヤル42の操作に応じて操舵シリンダ17の作動制御を行うコントローラ50とから構成されている。
ステアリングリンク機構13は、図3に示すように、前輪11aを回転自在に支承する左右の前輪支持部材14と、左右の前輪支持部材14を連結するタイロッド16とを有して構成されている。左右の前輪支持部材14はそれぞれ上下方向に延びたキングピン15を介して走行体10に取り付けられており、そのキングピン15まわりに揺動できるようになっている。また、左右の前輪支持部材14それぞれにはアーム部14aが走行体10の後方に延びて設けられており、タイロッド16の両端部はこれら左右のアーム部14aに連結ピンP1によって連結されている。
ステアリングリンク機構13を構成する左側の前輪支持部材14のアーム部14aには操舵シリンダ17の一端部が連結ピンP2によって連結されており、操舵シリンダ17の他端部は図示しない走行体10のシリンダ連結部に連結ピンP3によって連結されている。このため、操舵シリンダ17を伸縮作動させることにより左側の前輪支持部材14をキングピン15回りに揺動させることができ、またタイロッド16を介して右側の前輪支持部材14を左側の前輪支持部材14と同時かつ同方向に揺動させることができる。そして、操舵シリンダ17を伸長作動させることによって左右の前輪11aを右方向に向けることができ、操舵シリンダ17を収縮作動させることによって左右の前輪11aを左方向に向けることができる。また、図4に示すように、前輪11aの舵角γが零(γ=0)であるときの操舵シリンダ17の長さを操舵シリンダ17の伸縮量Δが零(Δ=0)の状態であり(図4(A)参照)、また前輪11aが右方向に偏向した状態の舵角γの符号を正、前輪11aが左方向に偏向した状態の舵角γの符号を負と定義すると、操舵シリンダ17の伸長量Δが正値(Δ>0)のときには前輪11aの舵角γは正値(γ>0)となり(図4(B)参照)、操舵シリンダ17の伸縮量Δが負値(Δ<0)のときには前輪11aの舵角γは負値(γ<0)となる(図4(C)参照)。
図1は走行体10の走行動作及び作業台30の昇降動作に関する信号及び動力の伝達経路を示している。作業台30の操作ボックス40内に備えられた進行停止操作レバー41は非操作状態において中立位置(図5に示すよう垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方或いは後方へ傾動操作することができるようになっている。そして、この進行停止操作レバー41は、傾動操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。進行停止操作レバー41の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる進行停止操作検出器41aによって検出することができ、進行停止操作検出器41aが検出した進行停止操作レバー41の操作状態の情報はコントローラ50(作業台30若しくは走行体10に備えられる)に入力されるようになっている。ここで、進行停止操作レバー41の中立位置よりも前方への傾動操作は走行体10の前進走行指令に相当し、その傾動操作量が大きいときほどコントローラ50において前進走行時における目標走行速度が大きい値に設定される。また、進行停止操作レバー41の中立位置よりも後方への傾動操作は走行体10の後退走行指令に相当し、その傾動操作量が大きいときほどコントローラ50において後退走行時における目標走行速度が大きい値に設定される。また、進行停止操作レバー41を中立位置に復帰させる操作は走行体10の停止指令に相当する。
操舵ダイヤル42は非操作状態において中立位置(図5に示すように、操舵ダイヤル42に記されたマークM1と操作ボックス40に記されたマークM2とが一致する位置)に位置し、この中立位置を基準に右回り(時計回り)或いは左回り(反時計回り)に捻り操作することができるようになっている。そして、この操舵ダイヤル42は、捻り操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる操舵操作検出器42aによって検出することができ、操舵操作検出器42aが検出した操舵ダイヤル42の操作状態の情報はコントローラ50に入力されるようになっている。ここで、操舵ダイヤル42の右回り方向へ捻り操作は前輪11aの右方向への操舵指令に相当し、中立位置から右回り方向への捻り操作量が大きいときほどコントローラ50において右方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42の左回り方向への捻り操作は前輪11aの左方向への操舵指令に相当し、中立位置から左回り方向への捻り操作量が大きいときほどコントローラ50において左方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42を中立位置に復帰させる操作は前輪11aを舵角零の状態(γ=0の状態。図4(A)参照)にする指令に相当する。
昇降操作レバー43は非操作状態において中立位置(図5に示すように垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方或いは後方へ傾動操作することができるようになっている。そして、この昇降操作レバー43は、傾動操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる昇降操作検出器43aによって検出することができ、昇降操作検出器43aが検出した昇降操作レバー43の操作状態の情報はコントローラ50に入力されるようになっている。ここで、昇降操作レバー43の中立位置よりも前方への傾動操作は作業台30の下降指令に相当し、その傾動操作量が大きいときほどコントローラ50において作業台30の下降時における目標作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー43の中立位置よりも後方への傾動操作は作業台30の上昇指令に相当し、その傾動操作量が大きい時ほどコントローラ50において作業台30の上昇時における目標作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー43を中立位置に復帰させる操作は作業台30の停止指令に相当する。
走行体10の内部には電動モータや小型エンジン等からなる動力源(図示せず)によって駆動される油圧ポンプP(図1参照)が設けられており、この油圧ポンプPから吐出された圧油は進行停止制御バルブ51経由で走行モータ12に供給されるようになっている。ここで、走行体10の駆動輪である左右の後輪11bは走行モータ12によりギヤボックス18を介して駆動される左右の車軸19に取り付けられており(図3参照)、コントローラ50は、進行停止操作レバー41の操作状態に応じた方向及び量で進行停止制御バルブ51のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、進行停止操作レバー41の操作によって走行体10の発進停止及び進行方向(前進後退)の切り換えと走行速度の設定とを行うことができる。また、油圧ポンプPから吐出された圧油は操舵制御バルブ52経由で操舵シリンダ17に供給されるようになっており(図4も参照)、コントローラ50は操舵ダイヤル42の操作状態に応じた方向及び量で操舵制御バルブ52のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、操舵ダイヤル42の操作によって操舵シリンダ17の伸縮操作を行って、前輪11aの操舵を行うことができる。また、油圧ポンプPから吐出された圧油は昇降制御バルブ53経由で昇降シリンダ23に供給されるようになっており、コントローラ50は昇降操作レバー43の操作状態に応じた方向及び量で昇降制御バルブ53のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、昇降操作レバー43の操作によって作業台30の昇降移動を行うことができる。
走行体10には後輪11bの車軸19の回転数から走行体10の走行速度を検出する走行速度検出器61と前輪支持部材14のキングピン15回りの回転角から前輪11aの舵角を検出する舵角検出器(例えばポテンショメータ)62とが設けられており、伸縮ポスト20内には昇降シリンダ23の作動速度等から作業台30の昇降速度を検出する昇降速度検出器63が設けられている(図1参照)。そして、これら走行速度検出器61により検出された走行体10の走行速度の情報、舵角検出器62により検出された舵角の情報及び昇降速度検出器63により検出された作業台30の昇降速度の情報はいずれもコントローラ50に入力されるようになっている。
コントローラ50は、進行停止操作検出器41aにより検出された進行停止操作レバー41の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された進行停止操作レバー41の操作状態に応じた走行体10の目標走行速度を設定し、走行速度検出器61により検出された走行体10の走行速度がその目標走行速度に追従するように進行停止制御バルブ51のスプールを駆動して走行モータ12の回転数をコントロールする。また、コントローラ50は、昇降操作検出器43aにより検出された昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された昇降操作レバー43の操作状態に応じた走行体10の目標昇降速度を設定し、昇降速度検出器63により検出された作業台30の昇降速度がその目標昇降速度に追従するように昇降制御バルブ53のスプールを駆動して昇降シリンダ23の作動速度をコントロールする。
またコントローラ50は、操舵操作検出器42aにより検出された操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向及び操作量)の情報が入力されると、その検出された操舵ダイヤル42の操作状態に応じた前輪11aの目標舵角を設定し、舵角検出器62により検出される前輪11aの舵角がその目標舵角に追従するように操舵制御バルブ52を駆動して操舵シリンダ17の伸長量をコントロールする。例えば、走行体10の直進走行中(このとき目標舵角と実際の舵角はともに0度である)に操舵ダイヤル42を右回り方向に捻り操作してこれにより目標舵角が右方向30度に設定されたとすると、コントローラ50は舵角検出器62により検出される舵角が目標舵角(30度)と一致するまで操舵シリンダ17を伸長作動させる。
図6(A)は、前輪11aの舵角γが零(γ=0)であるときの操舵シリンダ17の長さを基準に、その長さからの伸長量Δと前輪11aの舵角γ(右方向操舵時γ>0)との関係を示したグラフである。前述のように本実施形態に係るステアリングリンク機構13では、操舵シリンダ17の伸長量Δが正値のとき舵角γの符号は正(γ>0)となり、伸長量Δが負値のとき舵角γの符号は負(γ<0)となる。このグラフから分かるように、操舵シリンダ17の長さ(伸長量Δ)の変化量に対する舵角γの変化量は舵角γの大きさとは無関係に常に同じなのではなく、舵角γの大きさ(絶対値)が或る基準量γ′を超えて大きくなると、操舵シリンダ17の長さの(伸長量Δの)変化量に対する舵角γの変化量は急激に大きくなる。これは、操舵シリンダ17の作動速度が同じであれば、舵角γの大きさが基準量γ′よりも大きい舵角領域(γ>γ′又はγ<−γ′の領域)では、舵角γの大きさが基準量γ′以下の舵角領域(−γ′≦γ≦γの領域)よりも舵角γの変化速度が大きいことを意味し、舵角γの大きさが基準量γ′よりも大きい舵角領域では前輪11aを目標舵角位置に停止させにくいことになる。
このため本高所作業車1に備えられたステアリング装置では、コントローラ50が、舵角検出器62からの検出情報に基づいて前輪11aの舵角γの大きさ(絶対値)を算出し、その舵角γの大きさが予め定めた基準量γ′以下となる舵角領域(図6(A)において−γ′≦γ≦γ′の領域)内にあるときには操舵シリンダ17を第1の作動速度V1で作動させ、舵角γの大きさが基準量γ′を超える舵角領域(図6(A)においてγ>γ′又はγ<−γ′の領域)内にあるときには操舵シリンダ17を上記第1の作動速度V1よりも遅い第2の作動速度V2で作動させるようになっている(図6(B)参照)。例えば、図7に示すように、基準量γ′よりも小さい大きさを有する舵角γ1(>0)の状態から操舵ダイヤル42を右方向に捻り操作して基準量γ′よりも大きい大きさを有する目標舵角γ0を設定したときには、初め操舵シリンダ17は作動速度V1で作動(伸長)作動されるが、舵角γが基準量γ′に達した後は、操舵シリンダ17の作動速度VはV1よりも遅い作動速度V2に制限される。なお、このような操舵シリンダ17の作動速度制限は、例えば、コントローラ50が操舵制御バルブ52のスプール駆動量を小さくすることによって行う。また、図8に示すように、基準量γ′よりも大きい大きさを有する舵角γ1(>0)の状態から、操舵ダイヤル42を左方向に捻り操作して基準量γ′よりも大きい大きさを有する目標舵角γ0を設定したときには、最初から最後まで操舵シリンダ17は制限された作動速度V2で作動される。なお、図6(B)は舵角γに対する操舵シリンダ17の作動速度Vの大きさを示しており、操舵シリンダ17が伸長作動しているときには操舵シリンダ17の伸長作動速度を意味し、操舵シリンダ17が収縮作動しているときには操舵シリンダ17の収縮作動速度を意味する。
一方、コントローラ50は、舵角検出器62により検出された前輪11aの舵角γの大きさ(絶対値)が基準量γ′を超えている(図6(A),(B)においてはγ>γ′又はγ<−γ′である)状態から前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′以下となる目標舵角γ0が設定されたときには、前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′を超えている間であっても、操舵シリンダ17の作動速度を速度V2に制限を行うことなく(前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′以下であるときと同等の作動速度V1で)操舵シリンダ17を作動させる。例えば、図9に示すように、基準量γ′よりも大きい大きさを有する舵角γ1(>0)の状態から、操舵ダイヤル42を左方向に捻り操作して基準量γ′よりも小さい大きさを有する目標舵角γ0を設定したときには、最初から最後まで操舵シリンダ17は速度制限されない作動速度V1で作動される。
このように高所作業車1に備えられたステアリング装置では、被操舵輪である前輪11aの舵角γの大きさ(絶対値)が予め定めた基準量γ′を超えているときには前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′以下であるときよりも遅い作動速度で操舵シリンダ17を作動させるようになっている。このため、前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′を超えて操舵シリンダ17の長さの変化量(伸長量Δの変化量)に対する前輪11aの舵角γの変化量が大きくなる領域(前輪11aの舵角γの大きさが基準量γ′を超える領域)においても、前輪11aを目標舵角位置に正確に停止させることが可能である。
また、このステアリング装置では、前輪11aの舵角γの大きさ(絶対値)が基準量γ′を超えている状態から舵角γの大きさが基準量γ′以下となる目標舵角γ0が設定されたときには、舵角γの大きさが基準量γ′を超えているときであっても、舵角γの大きさが基準量γ′以下であるときと同等の作動速度で操舵シリンダ17を作動させるようになっているので、舵角γの大きさが基準量γ′以下になるまでの間、操舵シリンダ17の不必要な作動速度制限がなされず、その分、操舵操作に対する前輪11aの作動遅れを解消することができる。
また、本発明に係るステアリング装置では、上記のように、舵角γの大きさが予め定めた基準量以下であるときには操舵シリンダ17を第1の作動速度(V1)で作動させ、舵角γの大きさが基準量を超えているときには操舵シリンダ17を第1の作動速度よりも遅い第2の作動速度(V2)で作動させる構成とする代わりに、基準量を複数設けてそれぞれの基準量に対応して操舵アクチュエータの作動速度を決めるようにしてもよい。或いは単純に、被操舵輪である前輪11aの舵角γが大きいときほど操舵シリンダ17を遅い作動速度で作動させる構成としてもよい(図10参照)。これらの構成であっても、操舵シリンダ17の作動量に対する前輪11aの舵角γの変化量が大きくなる領域(前輪11aの舵角γが大きい領域)において、前輪11aを目標舵角位置に正確に停止させることが可能となる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、走行体の被操舵輪(前輪11a)の操舵操作を行う操舵操作手段はダイヤル(操舵ダイヤル42)であったが、これは他の手段、例えばレバー等であってもよい。また、走行体の被操舵輪(前輪11a)に繋がるリンク機構(ステアリングリンク機構13)を駆動する操舵アクチュエータは必ずしも油圧シリンダでなくてもよく、油圧モータ或いは電動モータとラック・ピニオン機構とを組み合わせたもの等であってもよい。また、上述の実施形態では、1つの走行モータ12の動力をギヤボックス18及び左右の車軸19を介して駆動輪である左右の後輪11bに伝達させる構成、すなわち1つの走行モータ12によって左右の後輪11bを同時に駆動する構成となっていたが、走行体10に2つの走行モータを備え、これら2つの走行モータによって左右の後輪11bを別々に駆動する構成となっていてもよい。また、上述の実施形態では、本発明が適用される対象の作業車は、走行体に昇降移動自在な作業台を備えた高所作業車であったが、これは一例であり、走行体に設けたブーム等の先端部に作業台を備えた高所作業車であってもよい。また、作業車は車輪駆動式の走行体に作業装置を備えた作業車であれば、必ずしも高所作業車でなくてもよい。
本発明の一実施形態に係る作業車のステアリング装置を備えた高所作業車における走行体の走行動作及び作業台の昇降動作に関する信号及び動力の伝達経路を示すブロック図である。 上記高所作業車を走行体の斜め後方から見た図である。 上記高所作業車における走行体に備えられた走行装置の構成を示す平面図である。 上記高所作業車における操舵シリンダの伸長量と前輪の舵角との関係を示す図であり、(A)は操舵シリンダの伸長量が零の状態、(B)は操舵シリンダの伸長量が正値の状態、(C)は操舵シリンダの伸長量が負値の状態を示している。 上記高所作業車の作業台に備えられた操作ボックスの斜視図である。 (A)は上記高所作業車における前輪の舵角が零(γ=0)であるときの操舵シリンダの長さを基準(伸長量Δ=0)としたときの伸長量Δと舵角γとの関係を示したグラフであり、(B)は前輪の舵角に対する操舵シリンダの作動速度を示すグラフである。 基準量よりも小さい大きさを有する舵角の状態から、基準量よりも大きい大きさを有する目標舵角が設定されたときにおける、時間に対する舵角の変化を示すグラフ(上段)と、時間に対する操舵シリンダの作動速度の変化を示すグラフ(下段)である。 基準量よりも大きい大きさを有する舵角の状態から、基準量よりも大きい大きさを有する目標舵角が設定されたときにおける、時間に対する舵角の変化を示すグラフ(上段)と、時間に対する操舵シリンダの作動速度の変化を示すグラフ(下段)である。 基準量よりも大きい大きさを有する舵角の状態から、基準量よりも小さい大きさを有する目標舵角が設定されたときにおける、時間に対する舵角の変化を示すグラフ(上段)と、時間に対する操舵シリンダの作動速度の変化を示すグラフ(下段)である。 操舵輪である前輪の舵角が大きいときほど操舵シリンダを遅い作動速度で作動させる構成とした場合における、前輪の舵角に対する操舵シリンダの作動速度を示すグラフである。
符号の説明
1 高所作業車(作業車)
10 走行体
11a 前輪(被操舵輪)
13 ステアリングリンク機構
17 操舵シリンダ(操舵アクチュエータ)
20 伸縮ポスト(作業装置)
30 作業台(作業装置)
42 操舵ダイヤル(操舵操作手段)
50 コントローラ(操舵制御手段)
52 操舵制御バルブ(操舵制御手段)
62 舵角検出器(舵角検出手段)

Claims (3)

  1. 車輪駆動式の走行体に作業装置を備えて構成された作業車のステアリング装置であって、
    前記走行体の被操舵輪の操舵操作を行う操舵操作手段と、
    前記被操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、
    前記被操舵輪に繋がるリンク機構を駆動して前記被操舵輪の舵角を変化させる操舵アクチュエータと、
    前記舵角検出手段により検出された前記被操舵輪の舵角が前記操舵操作手段の操作状態に応じて設定された前記被操舵輪の目標舵角に追従するように前記操舵アクチュエータを作動させる制御を行う操舵制御手段とを備え、
    前記ステアリング装置が、前記操舵アクチュエータを一定の作動速度で作動させた際の前記被操舵輪の舵角の変化量が、前記舵角の大きさが予め定めた基準量を超えて大きくなると大きくなる操舵特性を有してなり、
    前記操舵制御手段は、前記舵角検出手段からの検出情報に基づいて前記被操舵輪の舵角の大きさが前記基準量以下であるときには前記操舵アクチュエータを第1の作動速度で作動させ、前記舵角の大きさが前記基準量を超えているときには前記操舵アクチュエータを前記第1の作動速度よりも遅い第2の作動速度で作動させることを特徴とする作業車のステアリング装置。
  2. 前記操舵制御手段は、前記舵角の大きさが前記基準量を超えている状態から前記舵角の大きさが前記基準量以下となる目標舵角が設定されたときには、前記舵角の大きさが前記基準量を超えているときであっても、前記操舵アクチュエータを前記第1の作動速度で作動させることを特徴とする請求項1記載の作業車のステアリング装置。
  3. 車輪駆動式の走行体に作業装置を備えて構成された作業車のステアリング装置であって、
    前記走行体の被操舵輪の操舵操作を行う操舵操作手段と、
    前記被操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、
    前記被操舵輪に繋がるリンク機構を駆動して前記被操舵輪の舵角を変化させる操舵アクチュエータと、
    前記舵角検出手段により検出された前記被操舵輪の舵角が前記操舵操作手段の操作状態に応じて設定された前記被操舵輪の目標舵角に追従するように前記操舵アクチュエータを作動させる制御を行う操舵制御手段とを備え、
    前記ステアリング装置が、前記操舵アクチュエータを一定の作動速度で作動させた際の前記被操舵輪の舵角の変化量が、前記舵角の大きさが予め定めた基準量を超えて大きくなると大きくなる操舵特性を有してなり、
    前記操舵制御手段は、前記舵角検出手段により検出された前記被操舵輪の舵角が大きいときほど前記操舵アクチュエータを遅い作動速度で作動させることを特徴とする作業車のステアリング装置。
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