ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軸方向に入力される複数の乃至は広い周波数域の振動に対して封入流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有利に発揮され得ると共に、特に、第一のオリフィス通路の反共振的作用による著しい高動ばね化が回避されて良好な防振性能が確保され得る、改良された構造の流体封入式筒型防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、インナ軸部材とアウタ筒部材を軸直角方向で互いに離隔配置すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間に本体ゴム弾性体を配設して該インナ軸部材と該アウタ筒部材を弾性連結することにより該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間を流体密に閉塞すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向他方の端部間に第一の可撓性膜を配設して該軸方向他方の端部間を流体密に閉塞し、該本体ゴム弾性体と該第一の可撓性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型防振装置であって、前記流体室において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の一方に突設されて他方に向かってそれぞれ突出する第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部を相互に軸方向で離隔位置せしめて、前記本体ゴム弾性体と該第二のオリフィス形成用突部の間に位置する受圧室と、該第二のオリフィス形成用突部と該第一のオリフィス形成用突部の間に位置する中間室と、該第一のオリフィス形成用突部と前記第一の可撓性膜の間に位置する平衡室とを、それぞれ形成し、更に該第一のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該中間室と該平衡室を連通せしめる第一のオリフィス通路を形成すると共に、該第二のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該受圧室と該中間室を連通せしめる第二のオリフィス通路を形成して、該第二のオリフィス通路を該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングする一方、該平衡室の壁部の一部を構成する該第一の可撓性膜よりも拡張ばね剛性が大きい第二の可撓性膜を該中間室の壁部の一部に設けると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方における該中間室の壁部の内面において該第一のオリフィス形成用突部から該第二のオリフィス形成用突部の側に行くに従って次第に該中間室の内部に向かって傾斜せしめた傾斜面を形成して、前記第一のオリフィス形成用突部と前記第二のオリフィス形成用突部を何れも前記インナ軸部材から前記アウタ筒部材に向かって突設すると共に、前記アウタ筒部材の軸方向中間部分にテーパ部を形成して該テーパ部により前記傾斜面を構成した流体封入式筒型防振装置にある。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に軸方向の振動が入力された際に、インナ軸部材とアウタ筒部材が軸方向に相対変位するのに伴って、それら両部材の一方に固設された第一および第二のオリフィス形成用突部が流体室で軸方向に強制的に変位せしめられる。これにより、流体室では軸方向で繰り返し流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮されることとなる。
特に本態様では、第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部の間に形成された中間室の壁部の内面に傾斜面が形成されていることにより、インナ軸部材とアウタ筒部材が軸方向に相対変位する際に、第一及び/又は第二のオリフィス形成用突部と傾斜面が軸方向で相対的に変位する。それに伴い中間室の軸直角方向の内法寸法、延いては中間室のボリューム(容積)が実質的に拡縮変形せしめられて、中間室に積極的且つ能動的な圧力変動が惹起される。
そこにおいて、第一のオリフィス通路がチューニングされた低周波数域の振動が軸方向に入力された際に、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸方向の相対変位に伴って、第二のオリフィス形成用突部の軸方向変位に基づいて受圧室に圧力変動が惹起されると共に、第一及び第二のオリフィス形成用突部の軸方向変位に基づいて中間室に圧力変動が惹起されることとなり、それによって、中間室と受圧室が実質的に単一の受圧室として機能し得る。
従って、これら受圧室および中間室と容積可変の平衡室との間に相対的な圧力変動が効率的に惹起されて、受圧室および中間室と平衡室との間で第一のオリフィス通路を通じての流体流動が効率的に生ぜしめられることから、流体流動量が十分に確保され得る。
要するに、中間室の壁部の内面に傾斜面が形成されていることにより、受圧室だけでなく中間室においてもピストン作用が発揮されることとなり、結果として、大きなピストン効率をもって受圧室および中間室に大きな圧力変動が生ぜしめられるのであり、一方、平衡室においては、小さな拡張ばね剛性をもって形成された第一の可撓性膜で圧力変動が速やかに吸収されて容積変化が許容される。それ故、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されてかかる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が、防振すべき軸方向の低周波振動に対して極めて有効に発揮され得るのである。
一方、第二のオリフィス通路がチューニングされた高周波数域の振動が軸方向に入力された際に、低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路が実質的に閉塞状態となるが、平衡室では、その壁部の一部を構成する第一の可撓性膜の拡張ばね剛性が十分に小さくされていることに伴い容積変化が容易に生ぜしめられるようになっていることから、平衡室の壁部の一部を構成する第一のオリフィス形成用突部の変位に伴う平衡室の圧力変動が第一の可撓性膜の変形によって回避される。それ故、圧力発生に伴う高動ばね化に起因する防振性能の著しい低下が問題となるようなこともない。
また、受圧室では、それぞれ壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体の弾性変形と第二のオリフィス形成用突部の軸方向での接近/離隔方向における相対的な変位が、何れも振動入力に伴うインナ軸部材とアウタ筒部材の軸方向の相対変位に際して強制的に生ぜしめられる。その結果、受圧室に積極的且つ能動的な圧力変動が有効に惹起される。
さらに、中間室においては、第一及び第二のオリフィス形成用突部の軸方向変位に伴って受圧室と同様に圧力変動が生ぜしめられることとなるが、壁部の内面に形成された傾斜面が、第一のオリフィス形成用突部から第二のオリフィス形成用突部の側に行くに従って次第に中間室の内部に向かう形態とされていることにより、第二のオリフィス形成用突部から第一のオリフィス形成用突部に向かって両オリフィス形成用突部が軸方向に変位する際に、中間室における単位容積あたりの変化量が受圧室のそれよりも大きくされる。一方、第一のオリフィス形成用突部から第二のオリフィス形成用突部に向かって両オリフィス形成用突部が軸方向に変位する際には、中間室における単位容積あたりの変化量が受圧室のそれよりも小さくされる。
すなわち、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸方向の相対変位に伴う第一及び第二のオリフィス形成用突部の軸方向変位にあって、受圧室の容積増大に伴い中間室の容積が効果的に増大されると共に、中間室の容積減少に伴い受圧室の容積が効果的に減少される。これによって、受圧室の圧力変動を確保しつつ、中間室の圧力変動を抑えることが可能となる。しかも、中間室の壁部の一部を構成する第二の可撓性膜の弾性変形に基づく容積変化によって、中間室において有効な圧力変動の吸収機能が発揮される。
従って、積極的に圧力変動が惹起される受圧室と第二の可撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される中間室の間には相対的な圧力変動が有効に惹起されることとなり、それら両室間で第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保される。その結果、受圧室および中間室における著しい圧力上昇が回避されると共に、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、防振すべき軸方向の高周波振動に対して極めて有効に発揮され得るのである。
要するに、第一のオリフィス通路がチューニングされた低周波振動の入力時には、受圧室だけでなく中間室が圧力を発生する受圧室として実質的に機能し得て、第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動量の増大が図られることにより第一のオリフィス通路を流動する流体の共振作用に基づいて優れた防振効果が発揮される一方、第一のオリフィス通路が反共振作用で実質的に閉塞状態となる高周波振動の入力時には、中間室が圧力変動を吸収する平衡室として実質的に機能し得て著しい圧力増大が回避されると共に、第二のオリフィス通路を流動する流体の共振作用に基づく低動ばね化による良好な防振効果が有利に発揮されるのである。
特に本態様に係る防振装置では、第二のオリフィス通路の流体流動量が積極的に確保されることにより、第一のオリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動入力時に惹起される第一のオリフィス通路による反共振的作用に起因する著しい高動ばね化が、第二のオリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用を利用して抑えられることとなり、以て、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して低動ばね化が実現され得るのである。
さらに、本態様においては、第一及び第二のオリフィス形成用突部がインナ軸部材から突設されていることにより、外周部分において周方向長さが大きく確保されることから、第一及び第二のオリフィス通路の通路断面積が大きく確保される。それによって、オリフィス通路のチューニング自由度が大きく確保される。しかも、アウタ筒部材にテーパ部が形成されて傾斜面が構成されていることにより、該傾斜面を大きな剛性と優れた寸法精度で形成することができる。
また、本発明において第一及び/又は第二のオリフィス形成用突部を、軸直角方向におけるインナ軸部材とアウタ筒部材の相対的変位量を制限するストッパ機構として利用することも可能であるが、そこにおいて、本態様では、第一及び/又は第二のオリフィス形成用突部の突出先端面の面積が周方向で大きく確保されることにより、ストッパ機構における当接面積が大きく設定されてストッパ機構における耐荷重性能の向上が図られ得る。
なお、本態様に係る拡張ばね剛性は、壁部の膨出変形のし易さを表すものであって、第一又は第二の可撓性膜の変形に基づいて平衡室や中間室の容積が単位量だけ変化せしめられるのに必要とされる、平衡室や中間室の内圧変化量に対応する値として把握され得る。
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式筒型防振装置において、前記インナ軸部材の外周面と前記アウタ筒部材の内周面との何れか一方に対して嵌着固定されて前記流体室に収容配置される環状の作用部材を設けて、該作用部材により前記第一のオリフィス形成用突部と前記第二のオリフィス形成用突部を一体的に形成したことにある。
このような本態様においては、単一の作用部材を用いて第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部を形成したことにより部品点数が少なくなることに加えて、環状の作用部材としてインナ軸部材またはアウタ筒部材に嵌着固定したことにより、組み付けが容易とされる。
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、インナ軸部材とアウタ筒部材を軸直角方向で互いに離隔配置すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間に本体ゴム弾性体を配設して該インナ軸部材と該アウタ筒部材を弾性連結することにより該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間を流体密に閉塞すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向他方の端部間に第一の可撓性膜を配設して該軸方向他方の端部間を流体密に閉塞し、該本体ゴム弾性体と該第一の可撓性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型防振装置であって、前記流体室において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の一方に突設されて他方に向かってそれぞれ突出する第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部を相互に軸方向で離隔位置せしめて、前記本体ゴム弾性体と該第二のオリフィス形成用突部の間に位置する受圧室と、該第二のオリフィス形成用突部と該第一のオリフィス形成用突部の間に位置する中間室と、該第一のオリフィス形成用突部と前記第一の可撓性膜の間に位置する平衡室とを、それぞれ形成し、更に該第一のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該中間室と該平衡室を連通せしめる第一のオリフィス通路を形成すると共に、該第二のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該受圧室と該中間室を連通せしめる第二のオリフィス通路を形成して、該第二のオリフィス通路を該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングする一方、該平衡室の壁部の一部を構成する該第一の可撓性膜よりも拡張ばね剛性が大きい第二の可撓性膜を該中間室の壁部の一部に設けると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方における該中間室の壁部の内面において該第一のオリフィス形成用突部から該第二のオリフィス形成用突部の側に行くに従って次第に該中間室の内部に向かって傾斜せしめた傾斜面を形成して、前記受圧室の壁部を構成する前記本体ゴム弾性体の内面を、前記中間室の壁部の内面に形成された傾斜面と実質的に同じ方向に向けて傾斜せしめた流体封入式筒型防振装置にある。
このような本態様においては、本体ゴム弾性体の内面が中間室の壁部の内面に形成された傾斜面と同じ方向に傾斜せしめられた傾斜面とされていることによって、軸方向の振動入力に伴い第二のオリフィス形成用突部から第一のオリフィス形成用突部に向かう方向にインナ軸部材が変位せしめられた際に、傾斜せしめられた本体ゴム弾性体の内面に応力集中が生ぜしめられて、該内面が受圧室の内方に向かって膨むように弾性変形せしめられる。その結果、受圧室に圧力変動が有利に惹起されて、受圧室と中間室の間で相対的な圧力変動が効率的に生ぜしめられることとなり、それによって、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が一層有利に確保されて、該流体の流動作用に基づく防振効果が一層向上され、延いては第一のオリフィス通路の反共振的作用に起因する高動ばね化がより有利に抑えられる。
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式筒型防振装置にあって、前記インナ軸部材の軸方向一方の端部において軸方向外方に行くに従って次第に軸直角方向外方に突出する拘束突部を形成して該拘束突部の外周面に本体ゴム弾性体を被着せしめたことにある。
このような本態様においては、インナ軸部材とアウタ筒部材が軸方向で相対的に変位する際に、本体ゴム弾性体が、インナ軸部材に形成された拘束部材の軸方向変位に伴い強制的に弾性変形せしめられることとなって、受圧室の圧力変動が一層有利に惹起され得る。要するに、拘束突部が受圧室に対してあたかもピストンのような作用を為し、その結果、軸方向の振動入力時において受圧室に対して効果的な圧力変動が生ぜしめられ得て、第一及び第二のオリフィス通路を通じての流体流動量の増大とそれに伴う防振特性の向上が図られ得るのである。
また、特に本態様4は、本体ゴム弾性体で構成された受圧室の壁部内面を特定方向に傾斜させてなる、本発明の前記態様3と組み合わせることが好適である。このような組み合わせの態様においては、軸方向の振動入力時に受圧室の壁部の弾性変形が拘束突部で拘束されて強制的に変形等されることにより、受圧室における圧力変動が一層効率的に生ぜしめられる。
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、インナ軸部材とアウタ筒部材を軸直角方向で互いに離隔配置すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間に本体ゴム弾性体を配設して該インナ軸部材と該アウタ筒部材を弾性連結することにより該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向一方の端部間を流体密に閉塞すると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向他方の端部間に第一の可撓性膜を配設して該軸方向他方の端部間を流体密に閉塞し、該本体ゴム弾性体と該第一の可撓性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型防振装置であって、前記流体室において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の一方に突設されて他方に向かってそれぞれ突出する第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部を相互に軸方向で離隔位置せしめて、前記本体ゴム弾性体と該第二のオリフィス形成用突部の間に位置する受圧室と、該第二のオリフィス形成用突部と該第一のオリフィス形成用突部の間に位置する中間室と、該第一のオリフィス形成用突部と前記第一の可撓性膜の間に位置する平衡室とを、それぞれ形成し、更に該第一のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該中間室と該平衡室を連通せしめる第一のオリフィス通路を形成すると共に、該第二のオリフィス形成用突部の突出先端面と該インナ軸部材又は該アウタ筒部材との対向面間に該受圧室と該中間室を連通せしめる第二のオリフィス通路を形成して、該第二のオリフィス通路を該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングする一方、該平衡室の壁部の一部を構成する該第一の可撓性膜よりも拡張ばね剛性が大きい第二の可撓性膜を該中間室の壁部の一部に設けると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方における該中間室の壁部の内面において該第一のオリフィス形成用突部から該第二のオリフィス形成用突部の側に行くに従って次第に該中間室の内部に向かって傾斜せしめた傾斜面を形成して、互いに嵌着固定された内側アウタスリーブと外側アウタスリーブを含んで前記アウタ筒部材を構成し、該内側アウタスリーブによって前記流体室の外周壁部を構成すると共に、該内側アウタスリーブに窓部を形成して該窓部を前記第二の可撓性膜で流体密に覆蓋する一方、該内側アウタスリーブと該外側アウタスリーブの重ね合わせ面間に中間空気室を形成して、該中間空気室によって該第二の可撓性膜の外周側への膨出変形が許容されるようにした流体封入式筒型防振装置にある。
このような本態様においては、可撓性膜の膨出変形に伴う中間室の容積変化が安定して実現されることから、第二のオリフィス通路による防振効果が安定して発揮され得る。また、第二の可撓性膜が外側アウタスリーブで覆われることにより、好適に保護されるといった利点も生じる。
(本発明の態様6)
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の前記態様5に係る流体封入式筒型防振装置において、前記内側アウタスリーブの軸方向中間部分を小径として軸方向両側壁部が拡開して外周面に開口する逆台形状の周溝を形成し、該周溝を前記外側アウタスリーブで覆蓋することによって前記中間空気室を形成する一方、該周溝の軸方向一方の壁部によって前記傾斜面を形成すると共に、軸方向他方の壁部を前記本体ゴム弾性体の外周面に固着せしめたことにある。
このような本態様においては、内側アウタスリーブに形成された周溝を利用して中間空気室が、周溝の壁部を利用して傾斜面が有利に実現される。しかも、傾斜面と反対方向に傾斜せしめられる周溝の軸方向他方の壁部が、本体ゴム弾性体に被着されていることにより、この他方の壁部の傾斜角度を適当に調節することにより本体ゴム弾性体における軸方向のばね剛性が有利にチューニングされることから、軸方向のばね特性のチューニング自由度の向上も図られ得る。
また、本態様では、例えば、中間空気室を常時密閉構造とすることにより、第二の可撓性膜のばね特性を調節して、防振特性を調節,設定等することも可能である。
(本発明の態様7)
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の前記態様5又は6に係る流体封入式筒型防振装置において、前記中間空気室に対して外部から空気圧を及ぼす空気通路を形成したことにある。
このような本態様においては、外部から中間空気室に空気圧を及ぼすことにより第二の可撓性膜のばね特性を調節して、防振特性を調節,設定することが出来る。具体的には、例えば外部から空気圧として大気圧を及ぼすことにより、第二の可撓性膜の拡張ばね剛性を小さくして空気ばね作用に起因する例えば温度変化に伴う特性変化等を抑えることが可能となる。
或いは、空気通路を通じて制御された空気圧を中間空気室に及ぼすことにより、第二の可撓性膜のばね特性を積極的に調節することも可能である。具体的には、例えば、中間空気室に対して空気圧の調節手段を接続する。この空気圧の調節手段としては、例えば切換弁を介して大気中と負圧源とを選択的に接続する構造のものが採用可能である。このような空気圧の調節手段を採用すれば、第二の可撓性膜の拡張ばね剛性を積極的に変化させて、防振特性をより確実に且つ明確に変化させることが出来る。
(本発明の態様8)
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至7の何れかに係る流体封入式筒型防振装置において、前記受圧室,前記中間室および前記平衡室を、それぞれ、周方向の全周に亘って形成したことにある。
このような本態様においては、軸方向の振動入力時に第一及び第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が一層有利に確保されて、それら第一及び第二のオリフィス通路による防振効果がより効果的に発揮され得る。
なお、本態様では、受圧室、中間室および平衡室の幾つか或いは全部を周上において部分的に形成しても良い。例えば、直交する軸直角方向の二方向において、一つの方向で対向位置するようにそれら受圧室、中間室および平衡室を形成する一方、他の方向では本体ゴム弾性体を大きな断面積で形成してインナ軸部材とアウタ筒部材を連結せしめて、直交する軸直角方向二方向でのばね比を大きく設定することが出来る。これにより、例えば車両前後方向と左右方向で異なるばね特性を実現することも可能である。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、第一のオリフィス通路を通じて平衡室に接続されると共に第二のオリフィス通路を通じて受圧室に接続される中間室に傾斜面と第二の可撓性膜が設けられていることにより、第一のオリフィス通路がチューニングされた低周波数域の振動が入力された際には、中間室に傾斜面のピストン作用による圧力変動が効率的に及ぼされることとなり、中間室が圧力を発生する受圧室として機能し得て、第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動量の増大が図られ得る。一方、第一のオリフィス通路よりも高周波数域の振動が入力された際には、傾斜面による中間室の容積増大と第二の可撓性膜の弾性変形に基づく中間室の容積変化の許容によって、中間室が圧力変動を吸収する平衡室として実質的に機能し得て、受圧室と中間室の間で相対的な圧力変動が有利に惹起されることとなり、第二のオリフィス通路を通じての流体流動が有利に実現され得る。その結果、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に対して軸方向に入力される低周波数域の振動と高周波数域の振動との何れに対しても流体の共振作用等に基づく防振効果が有効に発揮され得るのであり、特に第一のオリフィス通路の反共振的作用に起因する高動ばね化も効果的に抑えられるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としての自動車用サブフレームマウント10が示されいる。該マウント10は、互いに径方向に所定距離を隔てて配されたインナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14を備えており、それら内筒金具12と外筒金具14が径方向対向面間に配された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造を有している。また、サブフレームマウント10は、内筒金具12が図示しない自動車ボデーに固着される一方、外筒金具14が図示しない自動車サスペンションメンバ等を含むサブフレームに固着されることにより、図1中の上下方向が車両上下方向となる状態で、サブフレームをボデーに対して防振支持せしめるようにしている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、内筒金具12は、厚肉の略小径円筒形状を有している。また、内筒金具12の軸方向上端部には、下方から上方に向かって次第に軸直角方向寸法が大きくなる拘束突部としての突起部18の一対が一体形成されており、径方向一方向(図2中、左右)で対向位置せしめられている。これにより、各突起部18の外周面が、下方から上方に行くに従って次第に軸直角方向外方に向かう傾斜面とされている。また、内筒金具12は、その内孔20に図示しないボデー側に固設された軸部材が嵌着固定されることによって、ボデーに対して固定されるようになっている。
また、内筒金具12の外周側には、薄肉の略大径円筒形状を有する内側アウタスリーブ22が径方向に所定距離を隔てて略同一中心軸上に配設されている。内側アウタスリーブ22の軸方向上端部には、径方向外方に拡がる略円環形状の鍔部24が一体形成されている。
さらに、内側アウタスリーブ22の軸方向中間部分には、周溝26が外周面に開口,形成されている。周溝26は、その底部28を挟んで軸方向で対向位置せしめられた一対の側壁部が底部28から径方向外方に向かって次第に拡開する略一定の逆台形状の軸方向断面をもって周方向の全周に亘って連続して延びている。従って、周溝26の軸方向一方(図1中、下)の壁部が、軸方向下方から上方に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ形状を有するテーパ部としての第一のテーパ部30とされていると共に、周溝26の軸方向他方(図1中、上)の壁部が、軸方向下方から上方に向かって円錐状に次第に径寸法が大きくなる逆テーパ形状を有する第二のテーパ部32とされている。即ち、周溝26において軸方向に略ストレートに延びる円筒形状の底部28よりも軸方向下方に位置せしめられた第一のテーパ部30によって、内側アウタスリーブ22における第一のテーパ部30が形成された部分の内周面が、軸方向下方から上方に行くに従って次第に内周側(内筒金具12の側)に向かう傾斜面として構成されていると共に、周溝26の底部28よりも軸方向上方に位置せしめられた第二のテーパ部32によって、内側アウタスリーブ22における第二のテーパ部32が形成された部分の内周面が、軸方向上方から下方に行くに従って次第に内周側に向かう傾斜面として構成されている。また、このことからも明らかなように、周溝26が内側アウタスリーブ22の軸方向中間部分に設けられることによって、該軸方向中間部分の径寸法が、該軸方向両端部の径寸法よりも小さくされている。
また、これら内筒金具12と内側アウタスリーブ22における軸方向一方(図1中、上)の径方向対向面間(端部間)には、本体ゴム弾性体16が配設されており、内筒金具12と内側アウタスリーブ22が弾性的に連結されている。本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉の円筒形状を有しており、その内周面が内筒金具12の軸方向上端部の外周面および突起部18の傾斜した外周面に加硫接着されている一方、その外周面が内側アウタスリーブ22の軸方向上端部の内周面および第二のテーパ部32の内周面に加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16は、内筒金具12と内側アウタスリーブ22を備えた一体加硫成形品として形成されているのである。
また、本体ゴム弾性体16の下端面には、軸方向下方に開口する環状の凹所34が設けられている。特に本実施形態では、凹所34の底部が内筒金具12と内側アウタスリーブ22の径方向対向面間の中間部分に位置せしめられている一方、内筒金具12に加硫接着された内周壁部34aが、底部から軸方向下方に行くに従って次第に内筒金具12に向かうように湾曲されていると共に、内側アウタスリーブ22に加硫接着された外周壁部34bが、底部から軸方向下方に行くに従って内側アウタスリーブ22に向かうように湾曲されている。換言すれば、凹所34は、上方に向かって凸となる略放物線状断面をもって本体ゴム弾性体16の周方向に連続して延びている。なお、凹所34の底部が内側アウタスリーブ22よりも内筒金具12の側に偏倚されていることにより、凹所34の外周壁部34bにおける上方から下方に向かう長さが、内周壁部34aのそれよりも長くされている。
また、実質的には、凹所34の内周壁部34aが、軸方向下方から底部に向かって円錐状に次第に径寸法が大きくなる逆テーパ形状を有していると共に、凹所34の外周壁部34bが、軸方向下方から底部に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ形状を有している。そこにおいて、凹所34の外周壁部34bの傾斜する方向が、内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30の傾斜方向と略平行とされており、その結果、凹所34の外周壁部34bが、第一のテーパ部30と同じ方向に向けて実質的に傾斜せしめられている。なお、本実施形態では、凹所34の外周壁部34bを含んで本体ゴム弾性体16の内面が構成されている。また、凹所34の外周壁部34bと内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30は、内筒金具12に一体形成された突起部18の外周面の傾斜する方向と略反対の方向に傾斜せしめられている。
また、周溝26を備えた内側アウタスリーブ22の外周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層36が略全体に亘って被着されている。なお、内側アウタスリーブ22の周溝26を挟んで軸方向両側に位置せしめられた大径部分に加硫接着されたシールゴム層36には、必要に応じて、周方向に連続して乃至は不連続に延びるシールリップが複数条設けられる。
さらに、内側アウタスリーブ22の周溝26および軸方向下端部の内周面には、薄肉の緩衝ゴム層38が略全体に亘って被着されており、内側アウタスリーブ22の第二のテーパ部32に加硫接着された本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面と一体形成されている。また、本体ゴム弾性体16の凹所34における外周壁部34bの先端面が、第一のテーパ部30に向かって延びて、該第一のテーパ部30の内周面と実質的に略面一とされている。
また、内筒金具12と内側アウタスリーブ22の軸方向他方の端部間には、第一の可撓性膜としての第一ダイヤフラム40が配設されている。第一ダイヤフラム40は、十分に小さな拡張ばね剛性を備えていることに基づいて変形容易な薄肉のゴム弾性膜によって構成されており、中央部分には表裏に貫通した略円筒形状の内側嵌着金具42が加硫接着されている一方、外周縁部には略円環形状の外側嵌着金具44が加硫接着されている。即ち、第一ダイヤフラム40は、内外の嵌着金具42,44を備えた一体加硫成形品として形成されているのである。なお、第一ダイヤフラム40には、弾性変形が容易に許容されるように径方向の弛みが付与されている。また、内側嵌着金具42や外側嵌着金具44には、第一ダイヤフラム40と一体形成された薄肉のシールゴム層が略全体に亘って被着されている。而して、外側嵌着金具44が内側アウタスリーブ22の軸方向下端部に重ね合わされている一方、内筒金具12が内側嵌着金具42に圧入されている。以て、内側嵌着金具42の内周面が該金具42に被着されたシールゴム層を挟んで内筒金具12の外周面に流体密に当接されていることに伴い、第一ダイヤフラム40の内周縁部が、内筒金具12に対して流体密に固着されている。
さらに、内側アウタスリーブ22には、外側アウタスリーブ46が配設されている。外側アウタスリーブ46は薄肉の略大径円筒形状を有しており、その軸方向一方の開口部分には、段差部を介して大径化された円筒形状のかしめ部48が一体形成されていると共に、軸方向他方の開口部分には、径方向内方に拡がる環状の支持部50が一体形成されている。また、支持部50には、ゴム弾性体等で形成され、周方向に連続して乃至は不連続に延びるストッパブロック52が軸方向下方に向かって突設されている。更に、外側アウタスリーブ46の筒壁部の外周面には、薄肉のゴム層が被着されており、ストッパブロック52と一体形成されている。該ゴム層には、周方向に連続して乃至は不連続に延びるリップが軸方向に離隔して多数条設けられている。
また、外側アウタスリーブ46が、内筒金具12および内側アウタスリーブ22を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品の下方から内側アウタスリーブ22の筒壁部に嵌め込まれて、支持部50が第一ダイヤフラム40の外側嵌着金具44に重ね合わされると共に、かしめ部48が内側アウタスリーブ22の鍔部24に対してかしめ固定され、更に外側アウタスリーブ46の筒壁部に絞り加工が施されること等により、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して固定されている。これにより、第一ダイヤフラム40の外側嵌着金具44が内側アウタスリーブ22と外側アウタスリーブ46の間に挟着されていると共に、外側嵌着金具44の外周面が該金具44に被着されたシールゴム層を挟んで外側アウタスリーブ46の内周面に流体密に当接されている。要するに、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品における内筒金具12と内側アウタスリーブ22の軸方向他方の端部間が、第一ダイヤフラム40で流体密に閉塞されている。
また、このようにして内側アウタスリーブ22と外側アウタスリーブ46が相互に組み付けられることにより、本実施形態の外筒金具14が構成されている。更に、かかる組み付け下において、内側アウタスリーブ22の軸方向中間部分に形成された周溝26が外側アウタスリーブ46で流体密に覆蓋されている。そして、内側アウタスリーブ22と外側アウタスリーブ46の重ね合わせ面間には、中間空気室としての密閉構造の空気室54が形成されている。
また、前述の如く、内筒金具12と内側アウタスリーブ22を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に外側アウタスリーブ46や第一ダイヤフラム40が組み付けられることにより、内筒金具12と外筒金具14(内側アウタスリーブ22)の径方向対向面間における本体ゴム弾性体16と第一ダイヤフラム40の間には、外部空間に対して遮断された流体室56が形成されている。この流体室56には、非圧縮性流体が封入されている。なお、封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用可能であり、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。また、このような非圧縮性流体の封入は、例えば、前述の本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する第一ダイヤフラム40や外側アウタスリーブ46の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等により実現される。
さらに、流体室56の内部に位置せしめられた内筒金具12の軸方向中間部分には、略リング状乃至は円筒形状を有する作用部材としての作用金具58が圧入固定されている。作用金具58の上端面は、本体ゴム弾性体16の凹所34の内周縁部の先端面に当接されていると共に、作用金具58の下端面は、第一ダイヤフラム40の内周縁部の上端面乃至は内側嵌着金具42に被着されたシールゴム層の上端面に当接されている。
更にまた、作用金具58の軸方向下端部には、略円環板形状の第一のオリフィス形成用突部60が一体形成されていると共に、作用金具58の軸方向上端部には、略円筒形状の第二のオリフィス形成用突部62が一体形成されており、これら第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62が、軸方向で離隔して対向位置せしめられている。
第一のオリフィス形成用突部60においては、その軸方向長さが作用金具58の軸方向長さの略四半分とされていると共に、その径方向の突出高さが、作用金具58の軸方向中間部分における筒状部の径方向突出高さの略四倍とされている。更に、第一のオリフィス形成用突部60の外径寸法が、内側アウタスリーブ22の軸方向両端部における大径の筒状部の内径寸法よりも小さくされている。また、第一のオリフィス形成用突部60の下端面が、作用金具58の下端面と略面一とされている。
一方、第二のオリフィス形成用突部62では、その軸方向長さが、第一のオリフィス形成用突部60よりも大きくされており、特に作用金具58の軸方向長さの略半分とされていると共に、その径方向の突出高さが、第一のオリフィス形成用突部60よりも小さくされており、特に作用金具58の軸方向中間部分の筒状部の径方向突出高さの略二倍とされている。更に、第二のオリフィス形成用突部62の外径寸法が、内側アウタスリーブ22において最も内径寸法の小さな周溝26の底部28の内径寸法よりも小さくされている。また、第二のオリフィス形成用突部62の上端面が作用金具58の上端面と略面一とされている。更に、第二のオリフィス形成用突部62の上端部分における外周角部が、略一定の比較的に大きな湾曲状断面をもって周方向に連続して延びていると共に、第二のオリフィス形成用突部62の上端面および周壁面に対して滑らかに接している。
而して、作用金具58に一体的に設けられた第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62が、作用金具58が内筒金具12の軸方向中間部分に圧入固定されることに伴い、流体室56において軸方向で離隔して対向位置せしめられていると共に、それぞれ、軸直角方向(径方向)に拡がるようにして収容配置されている。また、第一のオリフィス形成用突部60の径方向外方に向かって突出する突出先端面としての周壁面64が、周方向の全周に亘って内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30の下方に位置せしめられた大径の筒部と径方向で離隔して対向位置せしめられている。更に、第二のオリフィス形成用突部62の径方向外方に向かって突出する突出先端面としての周壁面66が、周方向の全周に亘って内側アウタスリーブ22の周溝26の底部28と径方向で離隔して対向位置せしめられている。
これにより、流体室56が、軸方向で3つに分割されている。そして、本体ゴム弾性体16と第二のオリフィス形成用突部62の対向面間において、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室68が形成されている。更に、第二のオリフィス形成用突部62と第一のオリフィス形成用突部60の対向面間において、壁部の一部が内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30を含んで構成された中間室70が形成されている。更にまた、第一のオリフィス形成用突部60と第一ダイヤフラム40の対向面間において、壁部の一部が弾性変形容易な第一ダイヤフラム40で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室72が形成されている。
また、第一のオリフィス形成用突部60と内側アウタスリーブ22の下側筒壁部に加硫接着された緩衝ゴム層38との対向面間には、中間室70と平衡室72を相互に連通させる環状の第一のオリフィス通路74が形成されていると共に、第二のオリフィス形成用突部62と内側アウタスリーブ22の周溝26の底部28に加硫接着された緩衝ゴム層38との対向面間には、受圧室68と中間室70を相互に連通させる環状の第二のオリフィス通路76が形成されている。特に本実施形態では、第二のオリフィス形成用突部62の上端部分の外周角部が、本体ゴム弾性体16の凹所34内に入り込んで、該凹所34の外周壁部34bに充分に近付いて対向位置せしめられていることにより、受圧室68に接続される第二のオリフィス通路76の一方の端部が狭窄せしめられている。なお、上述の説明かも明らかなように、受圧室68や中間室70、平衡室72、第一及び第二のオリフィス通路74,76は、流体室56内で、それぞれ、周方向の全周に亘って連続して延びている。また、本実施形態では、軸直角方向における内筒金具12と外筒金具14の相対的変位に際して、内筒金具12が第一のオリフィス形成用突部60及び/又は第二のオリフィス形成用突部62を介して外筒金具14(内側アウタスリーブ22)に当接されることにより、第一及び/又は第二のオリフィス形成用突部60,62が、軸直角方向における内筒金具12と外筒金具14の相対的変位を制限するストッパ機構として利用されている。
特に本実施形態では、受圧室68と中間室70を繋ぐ第二のオリフィス通路76を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、中間室70と平衡室72を繋ぐ第一のオリフィス通路74を通じて流動せしめられる流体の共振周波数よりも高く設定されていると共に、該第一のオリフィス通路74の共振周波数よりも高周波数域において、第一のオリフィス通路74を流動せしめられる流体の反共振的作用等が惹起される周波数域に設定されている。具体的には、例えば、第一のオリフィス通路74が低速乃至は中速こもり音等の低周波振動域にチューニングされていると共に、第二のオリフィス通路76が高速こもり音等の高周波振動域にチューニングされている。なお、これらオリフィス通路74,76のチューニングは、例えば各液室の壁ばね特性を考慮しつつ、オリフィス通路74,76の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能である。
また、中間室70の壁部の一部を構成する内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30には、周方向に半周弱の長さで延びる長孔形状の一対の窓部78,78が開口,形成されており、径方向一方向(図2中、上下)において対向位置せしめられている。また、各窓部78には、第二の可撓性膜としての第二ダイヤフラム80が覆設されている。この第二ダイヤフラム80は、変形容易なゴム弾性膜によって構成され、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。また、第二ダイヤフラム80の両端面が、窓部78の外部に突出せしめられていると共に、内側アウタスリーブ22に被着されたシールゴム層36乃至は緩衝ゴム層38と略面一とされている。即ち、本実施形態では、中間室70の壁部の一部が一対の第二ダイヤフラム80,80を含んで構成されており、内筒金具12と外筒金具14の間への振動入力に伴って中間室70に圧力変動が惹起された際に、一対の第二ダイヤフラム80,80の弾性変形に基づいて圧力変動が吸収,軽減されるようになっている。なお、上述の説明からも明らかなように、内筒金具12と外筒金具14によって構成された中間室70の壁部の内面が、内側アウタスリーブ22の第一のテーパ部30に加硫接着された緩衝ゴム層38と一対の第二ダイヤフラム80,80を含んで構成されている。以て、中間室70の壁部の内面においては、第一のオリフィス形成用突部60から第二のオリフィス形成用突部62の側に行くに従って次第に内周側(中間室70の内部)に向かう傾斜面が周方向の全周に亘って連続して延びた形態とされている。
また、本実施形態に係る第二ダイヤフラム80の拡張ばね剛性が、第一ダイヤフラム40の拡張ばね剛性よりも大きく設定されている。なお、第二ダイヤフラム80の拡張ばね剛性等のチューニングは、例えば、ゴム弾性体の周方向長さや厚さ寸法等を含む大きさや形状等を設定変更したり、或いは第一のテーパ部30のテーパ角度を適当に調節したりする他、第二ダイヤフラム80を挟んで流体室56の反対側に形成された空気室54の空気圧を調節すること等により実現される。特に本実施形態では、空気室54に所定量の空気が充填され、且つ空気室54が外部空間に対して遮断された形態で、第二ダイヤフラム80の拡張ばね剛性がチューニングされているが、これに限定されるものでない。具体的には、例えば、空気室54の壁部の一部を構成する外側アウタスリーブ46の適当な箇所に1又は2以上の図示しない空気孔を貫設して空気通路を形成し、外部から空気圧としての大気圧を空気通路を通じて空気室54に導き入れることにより、第二ダイヤフラム80の拡張ばね剛性をチューニングすることも可能である。
このような構造とされたサブフレームマウント10においては、内筒金具12と外筒金具14の間に軸方向の振動が入力された際に、それら両金具12,14が軸方向に相対変位することに伴い、内筒金具12に固定された作用金具58における第一および第二のオリフィス形成用突部60,62が、流体室56で軸方向に強制的に変位せしめられるようになっている。
そこにおいて、低速乃至は中速こもり音等の低周波数域の振動が軸方向に入力された際に、受圧室68では、本体ゴム弾性体16の弾性変形によって第二のオリフィス形成用突部62が本体ゴム弾性体16に対して軸方向で実質的に接近/離隔方向に相対変位せしめられることとなり、その結果、積極的且つ能動的な圧力変動が惹起される。
また、中間室70においては、軸方向両側の壁部を構成する第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62における相互の軸方向距離が一定とされているが、中間室70の壁部の内面が第一のオリフィス形成用突部60から第二のオリフィス形成用突部62の側に行くに従って次第に内周側に向かうように傾斜せしめられていることにより、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62の軸方向変位に伴って中間室70の内法寸法が軸直角方向で実質的に拡縮変形せしめられる。その結果、中間室70には、積極的且つ能動的な圧力変動が惹起される。
特に本実施形態では、中間室70の圧力変動が受圧室68と同様に第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62の一体的な軸方向変位に基づいて惹起されることにより、受圧室68と中間室70には略同期した圧力変動が生ぜしめられることとなって、受圧室68と中間室70が実質的に単一の受圧室として機能し得る。その結果、これら受圧室68および中間室70と容積可変の平衡室72との間に相対的な圧力変動が効率的に生ぜしめられることに伴って、受圧室68および中間室70と平衡室72との間で第一のオリフィス通路74を通じての流体流動が効率的に生ぜしめられて流体流動量が十分に確保され得る。
要するに、本実施形態では、中間室70の壁部の内面が周方向の全体に亘って第一のオリフィス形成用突部60から第二のオリフィス形成用突部62に向かって傾斜せしめられていることにより、受圧室68だけでなく中間室70においてもピストン作用が発揮されることとなり、結果として、大きなピストン効率をもって受圧室68および中間室70に大きな圧力変動が生ぜしめられる。一方、平衡室72においては、圧力変動が小さな拡張ばね剛性をもって形成された第一ダイヤフラム40で速やかに吸収されて容積変化が許容される。それ故、第一のオリフィス通路74を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が、防振すべき低速乃至は中速こもり音等の低周波数域の振動に対して極めて有効に発揮され、それによって、低速乃至は中速の走行速度域において問題となり易いロードノイズが効果的に抑制され得るのである。
一方、内筒金具12と外筒金具14の間に高速こもり音等の高周波数域の振動が軸方向に入力された際に、低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路74が実質的に閉塞状態となるが、平衡室72の壁部の一部を構成する第一ダイヤフラム40の拡張ばね剛性が十分に小さくされていることに基づいて、平衡室72の容積変化が容易に生ぜしめられるようになっていることから、平衡室72の軸方向上方の壁部を構成する第一のオリフィス形成用突部60の変位に伴う圧力変動が第一ダイヤフラム40の変形によって回避される。従って、圧力発生に伴う高動ばね化に起因する防振性能の著しい低下が有利に回避され得るのである。
また、受圧室68にあっては、それぞれ壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体16の弾性変形と第二のオリフィス形成用突部62の軸方向変位が、何れも振動入力に伴う内筒金具12と外筒金具14の軸方向の相対変位に際して強制的に生ぜしめられる。
そこにおいて、特に本実施形態では、受圧室68の壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体16の凹所34の外周壁部34bが、上方に行くに従って次第に内周側に向かうように傾斜せしめられていることにより、車両への装着状態下において内外筒金具12,14間に軸方向に振動が入力されて内筒金具12が外筒金具14に対して下方に変位する際に、凹所34の外周壁部34bが受圧室68の内方に向かって膨むように弾性変形せしめられて、受圧室68の容積が減少される。それと共に、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62の下方への変位に伴い中間室70の容積が増大される。
さらに、受圧室68の上方に凹所34の外周壁部34bと反対方向に傾斜する突起部18,18が設けられていることによって、内筒金具12が外筒金具14に対して下方に変位した際には、凹所34の外周壁部34bに応力集中が生ぜしめられて、外周壁部34bが受圧室68の内方に向かって一層大きく膨らむように弾性変形されるのであり、それに加えて、突起部18,18を備えた本体ゴム弾性体16による受圧室68に対するピストン作用が効率的に及ぼされる。その結果、受圧室68には、積極的且つ能動的な圧力変動が有効に惹起される。
また、中間室70にあっては、第一のオリフィス形成用突部60と第二のオリフィス形成用突部62の一体的な軸方向変位に伴って、受圧室68と同様に圧力変動が生ぜしめられることとなるが、壁部の一部を構成する第一のテーパ部30が、第一のオリフィス形成用突部60から第二のオリフィス形成用突部62の側に行くに従って次第に軸直角方向内方に向かって傾斜せしめられていることにより、両オリフィス形成用突部60,62が凹所34の外周壁部34bから離隔する方向(図1中、下)に変位する際に、即ち、受圧室68のボリュームが大きくなる際に、中間室70のボリュームの変化量が受圧室68のそれよりも大きくされる。
特に、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62が凹所34の外周壁部34bから離隔する方向に変位する状態とは、換言すれば内筒金具12が外筒金具14に対して下方に変位する状態であることから、前述したように、外周壁部34bが受圧室68の内方に向かって膨らむように弾性変形されることに伴い、受圧室68の容積が中間室70の容積に比して小さくされる。
一方、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62が凹所34の外周壁部34bに接近する方向(図1中、上)に変位する際には、中間室70のボリュームの変化量が受圧室68のそれよりも小さくされる。
しかも、中間室70では、その壁部の一部を構成する第二ダイヤフラム80の弾性変形に基づいて中間室70の容積変化が許容されることにより、圧力変動が効果的に吸収され得ることとなる。
従って、積極的に圧力変動が惹起される受圧室68と第二ダイヤフラム80の変形に基づいて容積変化も許容される中間室70の間には、相対的な圧力変動が有効に惹起されることとなり、それら両室間68,70で第二のオリフィス通路76を通じての流体流動が有効に生ぜしめられる。それ故、受圧室68と中間室70の間で第二のオリフィス通路76を通じての流体流動が効率的に生ぜしめられて、第二のオリフィス通路76を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、防振すべき軸方向の高速こもり音等の高周波振動に対して有効に発揮される。
それ故、上述の如き構造とされたサブフレームマウント10においては、低周波振動に対して、中間室70が圧力を発生する受圧室の一部として実質的に機能することにより、受圧室68および中間室70と平衡室72との間で第一のオリフィス通路74を通じての流体流動が効率的に生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用に基づく低動ばね効果によって、低速〜中速のこもり音等に相当する低周波数域のロードノイズ等に対して優れた防振効果が発揮されるのであり、また、高周波振動に対しては、中間室70が容積変化を許容する平衡室として実質的に機能することにより、受圧室68と中間室70との間で第二のオリフィス通路76を通じての流体流動が有効に生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用に基づく低動ばね効果によって、高速のこもり音等に相当する高周波数域のロードノイズ等に対して優れた防振効果が発揮されるのである。
特に、互いに異なる周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路74と第二のオリフィス通路76がそれぞれ有効に機能し得ることから、第一のオリフィス通路74のチューニング周波数を超えた高周波数域において第一のオリフィス通路74が実質的に閉塞化してしまうことに起因する反共振作用による著しい高動ばね化を、反共振作用が問題となる周波数域に第二のオリフィス通路76のチューニング周波数を設定することにより、第二のオリフィス通路76を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて抑えることが出来、それによって、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して優れた防振効果を得ることが可能となるのである。
また、本実施形態では、中間室70において、壁部の一部を構成する第二ダイヤフラム80の外周側に密閉構造の空気室54が形成されていることから、第二ダイヤフラム80が外側アウタスリーブ46で保護されており、第二ダイヤフラム80が膨出変形した際に他部材への干渉によって第二ダイヤフラム80が損傷してしまう等の問題が防止される。
因みに、上述の実施形態に従う構造とされたサブフレームマウント10について、その防振性能の周波数特性を測定した結果を図5に示す。なお、かかる測定結果は、内外筒金具12,14間に軸方向の加振力を及ぼした場合の入力側と出力(伝達)側の振動をセンサで検出したものであり、加振周波数を次第に変化させて周波数スイープ加振した場合の振動伝達特性を実測した。実験に際しての加振条件は、振動荷重:1500N,振幅値:0.05mmとした。なお、これらの振動荷重および振幅は、何れも、平均値である。
図5に示されているように、試験に供したサブフレームマウント10においては、第一のオリフィス通路74を流動せしめられる流体の共振周波数が略200Hz(図中、fa )付近に設定されていると共に、第二のオリフィス通路76を流動せしめられる流体の共振周波数が略320Hz(図中、fb )付近に設定されていることがわかる。
そして、第一のオリフィス通路74を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、低速乃至は中速こもり音等に相当する100〜200Hz程度の低周波振動数域での低動ばね作用が発揮されているものと認められる。
また、第二のオリフィス通路76を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、高速こもり音等に相当する200〜300Hz程度の高周波振動数域での低動ばね作用が発揮されており、これにより、第一のオリフィス通路74の反共振に起因する著しい高動ばね化が抑えられているものと認められる。
このような結果から、かかるサブフレームマウント10では、100〜300Hzの非常に広い周波数域に亘って優れた防振性能が発揮されることが、確認されたのである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、第一のオリフィス通路74や第二のオリフィス通路76の具体的構造やチューニング周波数等は、要求される防振特性に応じて適宜に設定変更されるものであって、何等限定されるものでない。
また、前記実施形態では、非圧縮性流体が封入された流体室が第一のオリフィス形成用突部60と第二のオリフィス形成用突部62によって受圧室68と中間室70と平衡室72の3つに実質的に分割されていたが、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62に加えて、軸方向に離隔してオリフィス形成用突部を増設することにより、流体室56を軸方向で4つ以上に分割して、例示の如き受圧室68や中間室70、平衡室72に加えて新たな液室を1又は2以上設けることも可能である。
さらに、前記実施形態では、空気室54が、周方向の全周に亘って連続して延びるようにして設けられていたが、内側アウタスリーブ22に露呈された第二ダイヤフラム80に面する部分にだけ配設しても良い。尤も、かかる空気室54は、本発明において必須のものでない。また、かかる空気室54を外部空間に常時連通させたり、或いはかかる空気室54を外部空間と適当な空気圧源とに接続切換すること等によって空気室54の内圧を制御することで第二ダイヤフラム80の拡張ばね剛性ひいては第二オリフィス通路76のチューニング周波数を変更調節可能とすることなども可能である。
更にまた、前記実施形態では、第一のテーパ部30に第二ダイヤフラム80が配設されることにより、これら第一のテーパ部30および第二ダイヤフラム80が中間室70の壁部の一部分に集められて配設されていたが、かかる例示のものに限定されない。具体的には、例えば、内側アウタスリーブと外側アウタスリーブの何れか一方において、第一のテーパ部と第二ダイヤフラムを軸方向に離隔して対向位置せしめることにより直列的に設けたり、或いは内外アウタスリーブの何れか一方に第一のテーパ部を設けると共に、他方に第二ダイヤフラムを設けて、それら第一のテーパ部と第二ダイヤフラムを、必要に応じて、軸直角方向で対向位置せしめる等も可能である。
また、前記実施形態では、第一のオリフィス形成用突部60と第二のオリフィス形成用突部62が一体的に設けられた作用金具58が内筒金具12に圧入されることにより、第一及び第二のオリフィス形成用突部60,62が内筒金具12から外筒金具14(内側アウタスリーブ22)に向かって突出せしめられていたが、例えば、第一及び第二のオリフィス形成用突部が径方向内方に向かって突出せしめられる大径円筒形状の作用金具を内側アウタスリーブに内嵌固定することにより、第一及び第二のオリフィス形成用突部を外筒金具(内側アウタスリーブ)から内筒金具に向かって突出せしめたり、或いは第一のオリフィス形成用突部と第二のオリフィス形成用突部を、それぞれ、別体形成すると共に、第一及び第二のオリフィス形成用突部を内筒金具と外筒金具の一方に軸方向に離隔位置せしめた形態で固定して、他方に向かって突出せしめるようにしても良い。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車のサブフレームマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明はボデーマウントやデフマウントの他、自動車以外の各種振動体の防振装置に対して、何れも、適用可能であることは言うまでもない。