JP4227854B2 - 溶融炉付着物の溶解除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融炉付着物の溶解除去装置に係り、特に、各種産業から生ずる銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、鉄(Fe)等の有価金属を含む金属滓と自動車、電機製品等から生ずる有価金属を含むシュレッダーダスト、廃プラスチック等の産業廃棄物を原料として有害物質の発生を抑制しつつ、酸化による有価金属の劣化を抑える有価金属の回収処理により旋回溶融炉内壁に付着する溶融炉付着物の溶解除去装置を提供する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属滓として銅滓と有価金属及びプラスチックを含有する産業廃棄物を原料として、有害物質の発生を抑制し、かつ金属酸化を防止し、また、高融点で蒸気圧が低いため回収の困難な銅、鉄の有価金属及び低融点で蒸気圧の高い亜鉛、鉛等の有価金属を同時に回収し、さらに、汚泥、廃液等の廃棄物を同時に焼却処理する有価金属を回収するガス化炉と溶融炉とを結合した有価金属の回収装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8の断面図に示す従来の溶融炉5は、頂部中心にバーナ6、側壁に空気取入口20、20a、助燃バーナ7、助燃バーナ7の近傍に位置し奥行き方向の側壁に旋回導入口10を備え、旋回導入口10から導入されるガスとチャ−と不燃成分とを内部で旋回させスラグを生成する。このスラグ生成過程で溶融炉5の内部側壁に溶融付着した溶融付着物9が徐々に成長し、旋回導入口10の近傍を塞いだり、溶融炉の効率を低下させていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−302748号公報(段落番号0010、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如く、従来のガス化炉と溶融炉とを結合した有価金属の回収装置では、ガス化炉から導入する熱分解ガスと有価金属を含む不燃物とが溶融炉の中で旋回する際に、溶融炉の内壁面に溶融付着物が徐々に付着堆積し溶融スラグとしての有価金属の回収効率を低下させていた。また、この溶融付着物を定期的に除去するために有価金属の回収装置を一時的に停止させ煩雑なメンテナンス作業をする必要もあった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、有価金属の回収装置の運転効率を高め、且つ、回収装置を連続運転している状態で溶融炉の内壁面に付着した溶融付着物を除去する溶融炉付着物の溶解除去装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明による溶融炉付着物の溶解除去装置は、例えば、図1、図3に示すように、銅滓を含む廃棄物Aを投入し、底部12から第1の質量速度の流動化空気C2と、前記第1の質量速度より小さい第2の質量速度の流動化空気C1を吹き込み流動媒体の循環流を形成して廃棄物Aの一部を流動媒体の循環流中で熱分解ガス化しガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する内部循環流動層ガス化炉11と、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口14より導入すると共に、燃焼ガスを軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に旋回流を形成し、不燃成分をスラグ化し溶融スラグを生成する旋回溶融炉21と、旋回溶融炉21の炉底部の下部23に位置し、旋回溶融炉21から排出される溶融スラグGを排出するスラグシュート16と、スラグシュート16から導入された溶融スラグGから銅Iを回収する還元炉31と、を備え、旋回溶融炉21は、鉛直方向に延びる筒状の1次燃焼室に上部から蓋をする天井部18を有し、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する領域に向けて天井部18に設けたバーナ104により内壁に溶融付着した溶融付着物を除去するように構成する。
【0008】
このように構成することで、旋回溶融炉21の天井部18に設けたバーナ104により内壁に溶融付着した溶融付着物を除去することができる。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2にかかる発明による請求項1に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置は、例えば、図3に示すように、バーナ104は、開放上流端109と開放排出端111を有する管状助燃器の内部に燃料供給管102と酸素ガス供給管101とを内設させ、燃料と酸素ガスとを同時に溶融付着した溶融付着物106へ吹き付けるように構成する。
【0010】
このように構成することで、管状助燃器の内部に燃料供給管102と酸素ガス供給管101とを内設させ、燃料と酸素ガスとを同時に溶融付着した溶融付着物106へ吹き付けることにより、内壁に溶融付着した溶融付着物106を除去することができる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項3にかかる発明による溶融炉付着物の溶解除去装置は、例えば、図1、図3に示すように、銅滓を含む廃棄物Aを投入し、底部12から第1の質量速度の流動化空気C2と、前記第1の質量速度より小さい第2の質量速度の流動化空気C1を吹き込み流動媒体の循環流を形成して廃棄物Aの一部を該流動媒体の循環流中で熱分解ガス化しガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を生成し、不燃物を底部から排出すると共に、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する内部循環流動層ガス化炉11と、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口14より導入すると共に、燃焼ガスを軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に旋回流を形成し、不燃成分をスラグ化し溶融スラグを生成する旋回溶融炉21と、旋回溶融炉21の炉底部23の下部に位置し、旋回溶融炉21から排出される溶融スラグGを排出するスラグシュート16と、スラグシュート16から導入された溶融スラグGから銅Iを回収する還元炉31と、を備え、旋回溶融炉21は、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する接線方向に向けて、旋回導入口14のごく近傍に設けたバーナ105に燃料供給管102と酸素ガス供給管101とを内設させ内壁に溶融付着した溶融付着物を除去するように構成する。
【0012】
このように構成すると、旋回溶融炉21は、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する接線方向に向けて、旋回導入口14のごく近傍に設けたバーナに燃料供給管102と酸素ガス供給管101とを内設させ内壁に溶融付着した溶融付着物を除去することができる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項4にかかる発明による請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置は、例えば、図3に示すように、旋回導入口14から導入されるガスとチャーと不燃成分が旋回溶融炉21の内壁に衝突する位置に溶融付着した溶融付着物106に向けてバーナ105を設置する。
【0014】
このように構成すると、溶融付着した溶融付着物106を除去することができる。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項5にかかる請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明による溶融炉付着物の溶解除去装置は、例えば、図5に示すように、バーナ104、105の側面中央部に空気取り入れ口122を設けた。
【0016】
このように構成すると、溶融付着した溶融付着物106を除去することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1から図7は発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一または類似の符号を付した部分は同一物または相当物を表わし、重複した説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明による第1の実施の形態である溶融炉付着物の溶解除去装置の模式的な系統図である。溶融炉付着物の溶解除去装置は、銅滓A1を貯蔵する第1の貯蔵所1と、金属を含む産業廃棄物A2等を貯蔵する別の第2の貯蔵所2と、この第1と第2の貯蔵所からコンベア3により搬送される銅滓A1と産業廃棄物A2等を受容する供給フィーダー4と、供給フィーダー4の下流に接続され原料Aとしての銅滓A1と産業廃棄物A2等を導入する内部循環流動層ガス化炉11と、この内部循環流動層ガス化炉11の下流に接続され内部循環流動層ガス化炉11からガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口14から導入する旋回溶融炉21を備え、この旋回溶融炉21の天井部にバーナ104と旋回導入口14の近傍にバーナ105を設けるように構成されている。
【0019】
溶融炉付着物の溶解除去装置に用いる内部循環流動層ガス化炉11は、銅滓A1を実質的に含む廃棄物Aを投入し、底部から空気Cを送入して質量速度の大きい(第1の質量速度の)流動化空気C2と質量速度の小さい(第2の質量速度の)流動化空気C1とを底部に位置する流動床12を介して内部循環流動層ガス化炉11内部へ吹き込み流動媒体の循環流を形成して廃棄物Aの一部を循環流中で熱分解ガス化しガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する。
【0020】
溶融炉付着物の溶解除去装置に用いる旋回溶融炉21は、内部循環流動層ガス化炉11から排出されるガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口14より導入すると共に、燃焼ガスを平面から見たときの軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に旋回流を形成し、不燃成分をスラグ化し溶融スラグを生成する。
【0021】
また、溶融炉付着物の溶解除去装置は、旋回溶融炉21の炉底部12の下部に位置し、旋回溶融炉21から排出される溶融スラグGを排出するスラグシュート16と、スラグシュート16から導入された溶融スラグGから銅Iを回収する還元炉31を備えている。さらに、旋回溶融炉21は、鉛直方向に延びる筒状の1次燃焼室に上部から蓋をする天井部18を有し、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する領域に向けて天井部18に設けたバーナ104により内壁に溶融付着した溶融付着物を除去するように構成されている。
【0022】
上記第1の貯蔵所1には、同時に他の品位が低い鉱石、例えば含銅黄鉄鉱、黄銅鉱等の硫化鉱、酸化鉱を貯蔵することができる。銅滓としては真鍮伸銅工場、青銅工場から発生するスラグ、ダスト、削り粉さらには化学工場から発生する水酸化銅、沈殿銅がある。
【0023】
ここで、図1の系統図を参照して、溶融炉付着物の溶解除去装置の動作を説明する。溶融炉付着物の溶解除去装置は、第1の貯蔵所1から銅滓A1等を破砕機(不図示)に掛けて細かく粉砕し、粉砕した産業廃棄物A2等と伴に供給コンベア3により上方へ搬送し、コンベア3の終端から銅滓A1と産業廃棄物A2等を供給フィーダー4に投入する。この場合、磁気選別機(不図示)に掛けることにより、大きな鉄屑を除去する工程を設けても良い。
【0024】
次に、供給フィーダー4から一定量の銅滓A1と産業廃棄物A2等を原料Aとして内部循環流動層ガス化炉11に投入する。ここで、汚泥Bを、銅滓A1等とは別に供給フィーダー(不図示)により内部循環流動層ガス化炉11に投入することができる。汚泥Bには、一般下水で発生する下水汚泥、し尿汚泥、排水処理から発生する中和汚泥などがある。
【0025】
ここで銅滓A1は、銅品位が20から80%含有する滓が好ましい。銅品位20%以下では変動費コストが多大となり、銅品位が80%以上では何らかの手段で固型化して銅製錬の転炉工場へ投入した方が有利となるからである。前記理由から銅品位が30から50%の範囲がさらに好ましい。また、産業廃棄物A2には、自動車、家庭電化製品等をシュレッダーで処理した有価金属とプラスチックを含むシュレッダーダスト、家庭用と工業用の廃プラスチックが含まれる。
【0026】
内部循環流動層ガス化炉11は、内部循環流動層ガス化炉11に投入された産業廃棄物A2と銅滓等A1が、内部循環流動層ガス化炉11内部の流動床12に空気Cを吹き込み、分岐する質量速度の大きい(第1の質量速度の)流動化空気C2と質量速度の小さい(第2の質量速度の)流動化空気C1により内部循環流動層ガス化炉11内で循環流を形成して廃棄物としての産業廃棄物A2と銅滓等A1の一部を循環流の中で熱分解ガス化し、このガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する。
【0027】
内部循環流動層ガス化炉11内は、約400から600℃の温度に設定し、空気比を約0.1から0.3の還元性雰囲気を作り出すことにより産業廃棄物A2中の廃プラスチックの燃焼を防止しながら、廃プラスチックを熱分解しガス化する。この場合、内部循環流動層ガス化炉11内では有価金属である銅(Cu)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)の酸化を防止し、銅滓の主体である酸化第一銅(CuO)が還元されるという効果も期待できる。
【0028】
内部循環流動層ガス化炉11内の温度が約400℃以下では、廃プラスッチクがガス化しにくく、約600℃以上では燃焼する。さらに好ましくは内部循環流動層ガス化炉11内の温度が約500から550℃が望ましい。廃プラスチックのガス化、有価金属の酸化防止に適するからである。空気Cは毎秒約0.5から2.0mの速度範囲になるように送り込む。好ましくは、約1.5m/秒の速度がよい。空気Cは、この速度範囲に設定すると銅滓粒子が内部循環流動層ガス化炉11内の流動層内で浮遊して、粒子同士が衝突することにより次第に球形化し、かつ粉砕されて細粒化する。
【0029】
内部循環流動層ガス化炉11内で細粒化されない銅滓と蒸気圧が低いCu、Fe、Al等の有価金属を含む第1の不燃物D1は流動床の脇から内部循環流動層ガス化炉11外に吐出され回収される。
【0030】
さらに、内部循環流動層ガス化炉11内で生成された熱分解ガスE、粉砕されたCu Oを含む約100から250マイクロメータの直径の銅滓と廃プラスチックから分離した蒸気圧の高い有価金属の第2の不燃物D2が内部循環流動層ガス化炉11の上部に設けた排出口を経由して下流の旋回溶融炉21に移送される。
【0031】
旋回溶融炉21は、熱分解ガスE等が旋回導入口14を経由して内部で旋回するように導入すると同時に、外部から空気を供給し空気比約0.9から1.3に調整して第1燃焼室の雰囲気を酸化性にし熱分解ガスEを燃焼する。この燃焼は、約1200から1500℃の温度で行う。燃焼温度が約1200℃以下では溶融スラグの流動性が悪化し、約1500℃以上では旋回溶融炉21の内壁等を損傷する場合があるからである。好ましくは、約1300から1400℃の温度範囲に設定する。有害物質の発生を抑制し、銅滓A1等のスラグ化に適する温度に調整することができる。
【0032】
旋回溶融炉21内の燃焼温度は、廃プラスチック等の産業廃棄物A2、汚泥Bの供給量や、空気の投入量で調整することができる。燃焼用空気は、鉛直方向に立設された略円筒状の旋回溶融炉21を上面から見て中心軸方向に対し接線方向に導入するバーナ105を旋回溶融炉21の側壁に設け、このバーナ105から吹き込むことが好ましい。このバーナ105により旋回溶融炉21内部に形成される旋回流を促進させることができる。
【0033】
熱分解ガスEは、旋回溶融炉21内部で燃焼して排ガスFとなり、旋回溶融炉21の下流に立設した廃液分解塔26の上部に設けた排ガス排出口22から排出する。さらに、不燃物中のZn、Pbは酸化されて飛灰Hとなり排ガスFと共に排ガス排出口22から排出される。銅滓等は高温で溶融しスラグ化しながら旋回流の中で接触し大きくなり、重力により下部に落下する。
【0034】
また、銅滓等は高温で溶融しスラグ化しながら旋回流の遠心力により旋回溶融炉21の側壁に当たり、一部は側壁に衝突して溶融付着し成長する。その他は底部へ落下する。落下した溶融スラグGは、旋回溶融炉21の炉底部23に設けたスラグ回収口に集められ、スラグシュート16を経由し外部に回収する。回収された溶融スラグGにはCuOが多く含まれる。このように、CuOの品位の低い銅滓からCuOの品位の高い溶融スラグGをスラグ回収口23から回収することができる。
【0035】
旋回溶融炉21の1次燃焼室に上部から蓋をする天井部18には、追加のバーナ104が設けられ、旋回溶融炉21の側壁に当たり、側壁に溶融付着して成長する溶融付着物に向けて燃料としての重油と酸素ガスを同時に吹き付ける。この追加のバーナ104により溶融付着物は溶解し旋回溶融炉21の炉底部23へ落下させて内部側壁から除去することができる。
【0036】
次に、旋回溶融炉21から排出された排ガスFは、廃液分解塔26を上昇し噴霧する廃液Lと接触する。さらに排ガスFは、廃液分解塔26の下流に設けた急冷塔41へ移動し噴霧される冷却水に接触して排ガスFが冷却される。この急冷塔41により排ガスFを大気中に放出できるまでの温度に冷却することができる。
【0037】
この廃液分解塔26で廃液Lを焼却処理する工程を組み合わせることができ、製錬で生ずる廃液には金属イオンや酸が含まれ、一般下水で生ずる廃液には、無機物、有機物等が残存する。これらは焼却処理することが望ましい。廃液Lを高温度に曝すことにより有機物等と酸等は分解し、無機物と金属イオン等は酸化物にして、急冷塔41の下流に設けたバグフィルター51で回収することができる。
【0038】
また、旋回溶融炉21の下方に設けた還元炉としての電気式保持炉31で生じた冷却した排ガスFは、二次燃焼炉(不図示)で燃焼して有害物質を分解し、急冷塔41で冷却水により同様に冷却する。この排ガスFを急冷するのは、排ガスFを約250から500℃の温度範囲に曝すと、ダイオキシン等の有害物質が再合成されるため、この温度範囲にある時間を少なくして有害物質の再度の生成を防止するためである。
【0039】
さらに、旋回溶融炉21から回収した溶融スラグGを電気式保持炉31内に投入し、上部から黒鉛製電極を挿入する。この電極間に電流を流し、溶融スラグGの抵抗熱で溶融する。電気式保持炉31には、さらに未処理の硫化鉱や銅滓を新たに投入することができる。電気式保持炉31の適正な操業のために、生成されるスラグの粘度、塩基度等を調整するためである。
【0040】
電気式保持炉31には、還元用のコークスMを投入することができる。コークスMの成分である炭素Cが直接CuOを還元してCuとCOを生成する。ここで、還元剤としては、コークスM、微粉炭、LPG等を挙げることができるが、コークスMが好ましい。投入用の装置が単純で、操作が容易だからである。
【0041】
また、廃スラグJは、金属をほとんど含まない、ケイ砂による均質なガラス質成分で構成されているため、路床等へのセメント材料として利用することができる。
【0042】
急冷塔41とバグフィルター51との間に設けた活性炭吹込装置52により、急冷した排ガスFをバグフィルター51に移送途中に活性炭Kを吹き込む。活性炭Kを空気と共に、排ガス経路中に吹き込むことにより有害物質の除去処理を遂行する。
【0043】
また、急冷塔41とバグフィルター51の底部に接続した飛灰処理装置91は、急冷塔41とバグフィルター51からの飛灰を受容する。
【0044】
バグフィルター51の下流に設けた洗浄塔61は、ブロア移送した排ガスFを苛性ソーダ(NaOH)の水溶液でSOx 、HCl等を中和した後に、さらに下流に設けたミストコットレル71へ排ガスFをブロア移送し、排ガスF中のミスト、ダストを除去してから排突81を通して外部に放出する。
【0045】
以上の処理工程により、Cu、Zn、Pb、Alなどの有価金属を回収することができる。
【0046】
図2は、本発明による第1の実施の形態に用いる旋回溶融炉21の一部破断断面図である。旋回溶融炉21は、その側壁に旋回導入口14と、この旋回導入口14のごく近傍に位置するバーナ105と、旋回溶融炉21に蓋をする天井部18に設けたバーナ104と、この天井部18の中心部に設けたバーナ100と、炉底部23の下部に位置するスラグシュート16とを備える。
【0047】
旋回溶融炉21は、ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を熱分解ガスEとして旋回導入口14より内部に導入する。また、燃焼ガスとしての熱分解ガスEを鉛直方向に伸びた軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に水平方向の旋回流を形成し、不燃成分をスラグ化し溶融スラグGを生成する。溶融スラグGは、炉底部23に接続されたスラグシュート16を経由して旋回溶融炉21から溶融スラグGを排出する。
【0048】
また、バーナ104とバーナ105は共に、熱分解ガスEが内部で旋回する領域に向けて設置され、内壁に溶融付着した溶融付着物を除去するように構成されている。このバーナ104とバーナ105は、開放上流端から燃料供給管102と酸素ガス供給管101を導入し、開放排出端の近傍まで内設している。
【0049】
さらに、熱分解ガスEは、旋回溶融炉21内部で燃焼して排ガスFとなり、旋回溶融炉21の下流に立設した廃液分解塔26の上部に設けた排ガス排出口22から排出する。
【0050】
図3の模式的な一部破断断面図を参照して、溶融炉付着物106の除去方法を説明する。旋回溶融炉21の上部構造は、上述した実施の形態と同等の部材を用いるため重複する説明を省略する。
【0051】
天井部18の中心部に設けたバーナ104は、外部から重油を注入し旋回溶融炉21の助燃バーナとして機能し、旋回溶融炉21の側壁に設けた空気取入口20と空気取入口20aから空気を導入し熱分解ガスEを内部で燃焼させる。
【0052】
天井部18の外周位置に設けられたバーナ104は、側面略中央に空気取入口122が穿設され、開放上流端109から燃料供給管102と酸素ガス供給管101を開放排出端111方向へ挿入して内設している。バーナ104は、外部から重油を燃料供給管102に注入し外部から酸素ガスを酸素ガス供給管101へ注入する。
【0053】
旋回溶融炉21の側壁に設けられたバーナ105は、側面略中央に空気取入口122が穿設され、開放上流端109から燃料供給管102と酸素ガス供給管101を開放排出端111方向へ挿入して内設している。バーナ105は、外部から重油を燃料供給管102に注入し外部から酸素ガスを酸素ガス供給管101へ注入する。
【0054】
バーナ104とバーナ105は、側壁に溶融付着した溶融炉付着物106に向けて設置され、重油と酸素ガスを同時に溶融炉付着物106へ吹き付けることにより、溶融炉付着物106を溶融させて、旋回溶融炉21の底部へ落下させる。特に、旋回導入口14の近傍に溶着している溶融付着物106へ重油と酸素ガスを同時に吹き付けることにより、旋回導入口14の出口近傍を塞ぐ溶融付着物の除去が容易となる。
【0055】
また、バーナ104もバーナ105も共に、通常の運転期間中には旋回溶融炉21の助燃バーナとして機能し熱分解ガスEを燃焼させる。さらに、例えば、通常の運転期間中に7日に1回という所定期間毎に4時間集中して、側壁に溶融付着した溶融炉付着物106を除去するクリーニングシステムとして機能する。
【0056】
図4は、本発明による第1の実施の形態に用いる旋回溶融炉21の平面から見た断面図である。円筒の旋回溶融炉21は、中心軸に対して接線方向に熱分解ガスEを導入する旋回導入口14と、この旋回導入口14のごく近傍に設けたバーナ105と、旋回溶融炉21に蓋をする天井部18に設けたバーナ104と、空気取入口20とを備える。
【0057】
バーナ104とバーナ105は共に、旋回溶融炉21の円筒中心軸に対して接線方向に向けて設置され、熱分解ガスEの内部旋回を促進させることができる。図示した旋回溶融炉21は、内部旋回を時計と反対方向に形成している。また、旋回溶融炉21の内部側壁に溶融付着しいた溶融炉付着物106は、これらバーナ104とバーナ105に各々内設された燃料供給管102と酸素ガス供給管101から重油と酸素ガスを同時に噴射され、溶融して除去され旋回溶融炉21の底部へ落下する。
【0058】
図5は、本発明による第2の実施の形態に用いるバーナ105の縦断面図である。円筒のバーナ105は、閉鎖上流端108と、開放排出端120と、中心軸に挿入された燃料供給管102と、燃料供給管102に平行して挿入された酸素ガス供給管101と、開放排出端120の近傍で燃料供給管を支持する環状支持部材110と、環状支持部材110の上流側と下流側を貫通する空気排出口113と、バーナ105の側面略中央部に穿設された空気取入口122とを備える。
【0059】
燃料供給管102は、先端部114に複数のノズル口116が設けられ、上流側から注入される重油をノズル口116から放射状に放出する。また、空気取入口122から流入する空気を環状支持部材110に穿設された空気排出口113を経由して開放排出端120へ放出し、放射された重油と混合し旋回溶融炉21へ導入する。旋回する熱分解ガスEは、重油と空気による火炎124でさらに燃焼され旋回流を加速させて溶融スラグGを形成する。
【0060】
また、酸素ガス供給管101の先端部118から放出された酸素ガスは、環状支持部材110に穿設された空気排出口113を経由して開放排出端120へ放出し、放射された重油と混合し旋回溶融炉21へ導入される。この場合、酸素ガス供給管101と燃料供給管102は上述した通り、溶融炉付着物106に向けて設置されているため、重油と酸素ガスが混合しながら溶融炉付着物106へ衝突し、溶融炉付着物106を溶融させ旋回溶融炉21の下部へ落下させることができる。この重油と酸素ガスの噴射により溶融炉付着物106を側壁から除去する。
【0061】
図6は、本発明による第3の実施の形態に用いるバーナ104の縦断面図である。円筒のバーナ104は、閉鎖上流端108から開放排出端方向へ、中心軸に挿入された燃料供給管102と、燃料供給管102に平行して挿入された酸素ガス供給管101と、バーナ105の側面略中央部に穿設された空気取入口122とを備える。
【0062】
バーナ104は、天井内側壁134と天井外側壁130を円筒中心軸に対して接線方向に向けて貫通するように旋回溶融炉21に設置されている。また、バーナ104はその側面を包囲するスリーブ128の中心軸に配置されており、バーナ104の空気取入口122へ天井内側壁134と天井外側壁130との隙間とスリーブ128の内周に沿って外部から空気を取り入れる。旋回溶融炉21の上部に設けられたバーナ設置口の側壁126によりバーナ104は支持され、気密性が保持されている。
【0063】
バーナ104は、燃料供給管102の先端部114に設けられた複数のノズル口116から重油を噴射し、酸素ガス供給管101の先端部118から酸素を噴射し、空気取入口122から導入した空気と混合した混合ガスによる火炎136を溶融炉付着物106へ衝突させることができ、溶融炉付着物106を溶融させて旋回溶融炉21の下部へ落下させることができる。
【0064】
図7は、本発明による第4の実施の形態に用いるバーナ104の縦断面図である。円筒のバーナ104は、閉鎖上流端108から開放排出端方向へ、中心軸に挿入された燃料供給管102と、閉鎖上流端108の側面から接続し燃料供給管102と閉鎖上流端内部で燃料供給管102と当接して燃料供給管102と平行して開放排出端方向へ延在する酸素ガス供給管101と、バーナ104の側面略中央部に穿設された複数の空気取入口122a、122b、122c、122d、122eとを備える。
【0065】
バーナ104は、バーナ設置口の側壁126により支持され、外部との気密性が保持されている。バーナ104は、燃料供給管102の先端部114から重油を噴射し、酸素ガス供給管101の先端部118から酸素ガスを噴射し、空気取入口122a、空気取入口122b、空気取入口122c、空気取入口122d、空気取入口122eから導入した空気と混合した混合ガスを溶融炉付着物106へ衝突させることができ、溶融炉付着物106を溶融させて旋回溶融炉21の下部へ落下させ除去することができる。
【0066】
尚、本発明の溶融付着物の溶解除去装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0067】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1から請求項5に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置によれば、有価金属の回収装置の運転効率を高め、且つ、回収装置を連続運転している状態で溶融炉の内壁面に付着した溶融付着物を除去する、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である溶融炉付着物の溶解除去装置の模式的な系統図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に用いる旋回溶融炉の一部破断断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に用いる旋回溶融炉の模式的な一部破断断面図である。
【図4】本発明による第1の実施の形態に用いる旋回溶融炉の平面から見た断面図である。
【図5】本発明による第2の実施の形態に用いるバーナの縦断面図である。
【図6】本発明による第3の実施の形態に用いるバーナの縦断面図である。
【図7】本発明による第4の実施の形態に用いるバーナの縦断面図である。
【図8】従来の溶融炉の縦断面図である。
【符号の説明】
11…内部循環流動層ガス化炉、12…流動床、14…旋回導入口、16…スラグシュート、18…天井部、20…空気取入口、21…旋回溶融炉、22…排ガス排出口、23…スラグ回収口、23…炉底部、26…廃液分解塔、31…電気式保持炉、41…急冷塔、51…バグフィルター、52…活性炭吹込装置、61…洗浄塔、71…ミストコットレル81…排突、91…飛灰処理装置、100…バーナ、101…酸素ガス供給管、102…燃料供給管、104…バーナ、105…バーナ、106…溶融炉付着物、108…閉鎖上流端、109…開放上流端、110…環状支持部材、111…開放排出端、113…空気排出口、114…先端部、116…ノズル口、118…先端部、120…開放排出端、122…空気取入口、126…側壁、128…スリーブ、130…天井外側壁、134…天井内側壁。

Claims (5)

  1. 銅滓を含む廃棄物を投入し、底部から第1の質量速度の流動化空気と、前記第1の質量速度より小さい第2の質量速度の流動化空気を吹き込み流動媒体の循環流を形成して前記廃棄物の一部を該流動媒体の循環流中で熱分解ガス化しガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する内部循環流動層ガス化炉と;
    前記ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口より導入すると共に、燃焼ガスを軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に旋回流を形成し、該不燃成分をスラグ化し溶融スラグを生成する旋回溶融炉と;
    前記旋回溶融炉の炉底部の下部に位置し、該旋回溶融炉から排出される溶融スラグを排出するスラグシュートと;
    前記スラグシュートから導入された溶融スラグから銅を回収する還元炉と、を備え;
    前記溶融炉は、鉛直方向に延びる筒状の前記1次燃焼室に上部から蓋をする天井部を有し、前記ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する領域に向けて前記天井部に設けたバーナにより内壁に溶融付着した溶融付着物を除去する溶融炉付着物の溶解除去装置。
  2. 前記バーナは、開放上流端と開放排出端を有する管状助燃器の内部に燃料供給管と酸素ガス供給管とを内設させ、燃料と酸素ガスとを同時に前記溶融付着した溶融付着物へ吹き付ける請求項1に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置。
  3. 銅滓を含む廃棄物を投入し、底部から第1の質量速度の流動化空気と、前記第1の質量速度より小さい第2の質量速度の流動化空気を吹き込み流動媒体の循環流を形成して前記廃棄物の一部を該流動媒体の循環流中で熱分解ガス化しガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を生成し、不燃物を底部から排出すると共に、該ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を排出する内部循環流動層ガス化炉と;
    前記ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分を旋回導入口より導入すると共に、燃焼ガスを軸方向に対し接線方向に導入して1次燃焼室の内部に旋回流を形成し、該不燃成分をスラグ化し溶融スラグを生成する旋回溶融炉と;
    前記旋回溶融炉の炉底部の下部に位置し、該旋回溶融炉から排出される溶融スラグを排出するスラグシュートと;
    前記スラグシュートから導入された溶融スラグから銅を回収する還元炉と、を備え;
    前記溶融炉は、前記ガスと微粒子化されたチャー及び不燃成分が内部で旋回する接線方向に向けて、前記旋回導入口のごく近傍に設けたバーナに、燃料供給管と酸素ガス供給管とを内設させ内壁に溶融付着した溶融付着物を除去する溶融炉付着物の溶解除去装置。
  4. 前記旋回導入口から導入されるガスとチャーと不燃成分が前記旋回溶融炉の内壁に衝突する位置に溶融付着した溶融付着物に向けて前記バーナを設置する請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置。
  5. 前記バーナの側面中央部に空気取り入れ口を設けた請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の溶融炉付着物の溶解除去装置。
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