JP4372978B2 - 産業廃棄物の焼却処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃プラスチック、廃油、汚泥、メッキ廃液などの金属スクラップ以外の産業廃棄物を焼却処理する方法に関するものである。本出願人の一名はこれら産業廃棄物の処理を、「資源と素材、リサイクリング大特集号」1997(113)、12、第1177頁にて紹介したフローで、最高日産約100トン処理している。
【0002】
【従来の技術】
本出願人の一名は、特開平10−185154号公報において、メッキ廃液、活性汚泥、廃プラスチックなどの産業廃棄物を流動床式焼却炉で燃焼させ、廃熱を廃熱ボイラで回収し、ダストを電気集塵機で除去する処理方法を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、産業廃棄物の焼却排ガスを電気集塵器で処理すると、ダイオキシン発生温度域での温度降下が徐々であるからダイオキシンの発生を阻止することができない。また、ClやSO2などの大気汚染物質は上記方法では除去されず、またこの方法で採用されている廃熱ボイラ及び電気集塵器によりプラント全体が大型化する難点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した難点を解決することができる産業廃棄物の焼却処理方法は、産業廃棄物を、燃焼ゾーンと二次燃焼ゾーンが一体型の焼却炉で焼却して発生した、ダストを含み、かつHCl濃度が0.3〜1.5%、SO2 濃度が0.1〜3%である排ガスを、急冷塔に下向きに導入し、スプレーノズルから噴射された冷却水により少なくとも1273K(1000℃)から343K(70℃)の温度範囲を急冷することによって前記ダスト、HCl及びSO2を一次除去し、その後、前記一次除去を施されたガスを、液体とその上方に配置された案内板を有するスクラバーに、導入して、案内板に衝突させることより前記ダスト、HCl及びSO2を二次除去することを特徴とする方法である。
【0005】
本発明に係る産業廃棄物の処理方法はいわゆる焼却法に属するが、特開平10―185154号公報で提案した流動床は低融点の焼却残滓が増え、安定した流動床の維持が難しい等の理由から使用しない。発生する排ガスは主としてCO2,H2O,O2,N2からなり、腐食性成分として濃度が0.3〜1.5%のHCl、濃度が0.1〜3%のSO2を含有している。以下、かかる産業廃棄物の焼却法を図面を参照として説明する。
【0006】
【発明の実施形態】
図1は、本発明に係る産業廃棄物焼却を実施するための燃焼ゾーンと二次燃焼ゾーンが一体型の固定炉床式焼却炉の一実施形態を示す。焼却炉1の円筒状断面を有する炉体10はほぼ全体が耐火キャスターの内張の周囲を鉄皮で囲んだ構造を有しており、産業廃棄物の燃焼により多量のガスが発生し、燃焼残存物は体積が激減することから縦方向輪郭は炉頂部10aから炉底部10bに向かって断面積が少なくなるように設計されている。本焼却炉1では焼却後の溶融残査は出湯口15よりスラグ溜14に排出される。
炉体10の下部10cには着火及び燃焼ゾーンを形成する手段としてのバーナー16が円周方向に等間隔で2から5本周設されており、プラスチック類が自燃しないで炉下部10cまで下降したことを炉内温度測定及び/又はガス分析などにより検知して、重油、廃油などにより強制燃焼させる。バーナー16の上方は二次燃焼ゾーンであって、バーナー16の直上には,Na,Kなどのアルカリ分を含む廃酸、廃アルカリを炉体10内に噴射する噴射ノズル18が周設され、直下のバーナー16からの燃焼熱により効率的に蒸発せしめられる。
【0007】
一方、炉頂部10aには、1〜50mm程度に粉砕された廃プラスチックを投入するための投入口20が設けられており、又廃液及び汚泥を炉体10内に噴射するための噴射ノズル22が設けられている。噴射ノズル22は、SUS304製の三重管構造であり、内管22aには0〜10MPa程度の圧力で廃液が供給され、その外側に配置される中間管22bには0.3〜0.4MPa程度の高圧空気が圧送され、さらにその外側に配置される外管22cには、活性汚泥などの可燃性固形分を含む汚泥が供給される。これらの廃プラスチック類は炉内の最高温域に向けて投入もしくは噴射される。噴射ノズル22の傾斜角度θは10〜15°が好ましい。
上記以外にさらに、噴射ノズル24から0.3〜0.4MPa程度の高圧空気と廃液が炉内の最高温域に向かって噴射される。
【0008】
次に、焼却炉における昇温及びガス発生を説明する。
投入口20から投入される廃プラスチックが熱分解及び燃焼され、更に廃液、汚泥などが含有する水分などにより加水分解して発生する未燃焼ガスが燃焼して、炉体10内の下部10cは約1173Kまで、上部10dは対流により1173〜1273Kまで昇温される。汚泥及び廃液は熱エネルギ収支の観点からは廃プラスチックの冷却材になるので、上記した温度範囲を若干低下するとともに廃プラスチックの爆発的燃焼を抑制する。これら冷却材相当被処理物重量は全体に対して80〜90%の範囲であることが好ましい。汚泥及び廃液の水分は蒸発し、Si,Na,K,Cl,Sなどの成分は酸化物や塩化物となり、かつ相互に混合して低融点物となり炉底10bに溜り、間歇的もしくは連続的に出湯口15から排出される。一方、廃プラスチック、廃液、汚泥の燃焼ガスは、主としてCO2,H2O,O2,N2からなり、少量の未燃焼有機物を含有しており、さらにNa2O,K2O、SiO2,Fe23,CuO,Na2SO4などの形態の微粒子固体(ダスト)を含む排ガスがガス排出口26から排出される。
【0009】
炉内容積が約170m3である上記焼却炉に、月当り、廃液2100トン、廃プラスチック230トン、補助燃料150トン、空気量5.0×106 Nm3を装入・送入して作動すると、排ガス量は約310Nm3/分、排ガス温度は平均1273Kであり、平均ダスト量は15g/Nm3(排ガス容積)であり、残滓量は120トン/月との操業実績が得られた。残滓は毎月数回排出した。かかる排ガス中のHCl及びSO2濃度は上記範囲内で変動した。
続いて排ガスの後処理法を図2を参照して説明する。
【0010】
焼却炉の排ガスを、炉内圧力を利用して、図2に示す焼却炉とは別体の急冷塔30の上部入口30aから塔内に案内する。急冷塔30は高さが好ましくは5〜6mであり、内容積が好ましくは25〜35m3であり、耐火・耐食材もしくは耐熱合金を内張30bした縦型塔であって、内部に冷却水を弁32を介して噴射するノズル31a,31b,31cを、好ましくは3段以上に、かつ各段に10個以上周設して、冷却中にダイオキシンの発生が懸念される1273K(1000℃)から343K(70℃)の温度範囲を急冷する。急冷とはダイオキシンが許容レベル以下になるようにできるだけ多量の水を噴射することである。なお、かかる水冷により排ガスに含まれるHCl及びSO2は一次除去される。上述した焼却炉作動例に対応する実施例では全噴射ノズルからの送液量は350m3 /hrである。かかる冷却水噴射の結果、ダストの一部と塩化水素、硫酸等を含有する処理液は底部出口30bから処理液溜り31に溜まり、この処理液は苛性ソーダによる中和を経て冷却水として再利用される。一方、噴射水により343K(70℃)以下に冷却された排ガスは、主成分がCO2,H2O,N2,O2であり、流量は15,000〜2,000Nm3/hr、ダスト量は0.1〜1g/Nm3(排ガス容積)である。かかる冷却排ガスは塔下部に設けられた排ガス出口33から、後述のスクラバ吸引ファンにより吸引されて排出される。
【0011】
急冷塔30にて、ダイオキシンが発生しないように急冷され、ダストを随伴する排ガスは、スクラバー40に入口40aから供給され、案内板41に衝突し次に案内板41と液体42表面の間を通過する際に、排ガスは気体流速が急激に増加し、微粒化した水滴によりダスト、HCl及びSO2が除去される。液体微粒子は気体に随伴できなくなり、分離されそして液体42内に落下する。その後ダスト、HCl、SO2を含まない排ガスは出口40bから排出される。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明法により達成される利点は次の通りである。
(1)焼却炉は流動炉床を使用しない簡単な構造である。固定炉床ではスラグなどの堆積物が発生するが、これはセメントなどとして再利用でき、また堆積物発生に応じてダスト発生量が削減される。
(2)焼却炉では、排プラスチック、メッキ廃液などの各種産業廃棄物を処理することができる。
(3)焼却炉排ガスから発生する可能性があるダイオキシンを、スプレーノズルを多段に配列して急冷塔で抑止できる。また水冷によって排ガス中の大気汚染化合物を水に溶解させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明法を実施するために使用する焼却炉の一実施例を示す図面である。
【図2】 本発明法を実施するために使用する急冷塔及びスクラバの一実施例を示す図面である。
【符号の説明】
1―焼却炉
10―炉体10
10a−炉頂部10a
10b−炉底部
14−スラグ溜
15−出湯口
16−バーナー
30−急冷塔
40―スクラバ

Claims (1)

  1. 産業廃棄物を、燃焼ゾーンと二次燃焼ゾーンが一体型の焼却炉で焼却して発生した、ダストを含み、かつHCl濃度が0.3〜1.5%、SO2 濃度が0.1〜3%である排ガスを、急冷塔に下向きに導入し、スプレーノズルから噴射された冷却水により少なくとも1273K(1000℃)から343K(70℃)の温度範囲を急冷することによって前記ダスト、HCl及びSO2を一次除去し、その後、前記一次除去を施されたガスを、液体とその上方に配置された案内板を有するスクラバーに、導入して、案内板に衝突させることより前記ダスト、HCl及びSO2を二次除去することを特徴とする産業廃棄物の焼却処理方法。
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