(実施例1)
以下、本発明の前提となるシステムの構成及び処理の流れについて説明する。
図1は、スキャン原稿に対応する画像を記憶装置から読み出して印刷する機能を具備する印刷システムのシステム構成図である。図1に示すように、本印刷システムは、ホストコンピュータ100と、印刷装置(プリンタ)110と、複合機120とがLAN等のネットワーク130を介して互いに接続されている。以下に各装置の説明を行う。
ホストコンピュータ100について説明を行う。CPU102は、ホストコンピュータ100で行われる処理を統括的に制御する。RAM103は、CPU102のワークエリアとして使用される。またデータの保存場所として使用される。ハードディスク(HDD)104は、ソフトウェア等を保存する。通信インターフェース部105は、ネットワーク130を介して他装置とデータ送受信を行うためのインターフェースである。
印刷装置110について説明を行う。パネル111は、ユーザが印刷装置110の各種処理設定を行うための操作部である。CPU112は、印刷装置110で行われる処理を統括的に制御する。RAM113は、CPU102のワークエリアとして使用される。またデータの保存場所として使用される。ROM114は、ソフトウェア等を保存する。プリンタエンジン115は、受信した画像データを出力用紙上に形成する。通信インターフェース部116は、ネットワーク130を介して他装置とデータ送受信を行うためのインターフェースである。
複合機120について説明を行う。パネル121は、ユーザが複合機120の各種処理設定を行うための操作部である。CPU122は、当該複写機120で行われる処理を統括的に制御する。RAM123は、CPU122のワークエリアとして使用される。またデータの保存場所として使用される。ハードディスク(HDD)124は、ソフトウェア等を保存する。プリンタエンジン125は、受信した画像データを出力用紙上に形成する。通信インターフェース部126は、ネットワーク130を介して他装置とデータ送受信を行うためのインターフェースである。スキャナ127は、印刷物を光学的に読み取って電子的なイメージを生成する。
図2は、本印刷システム内に存在するソフトウェアモジュール及びハードウェア及びデータを示す。以下では、これらについて説明を行う。なお、各ソフトウェアモジュール及びハードウェアは各装置のCPUにより統括的に制御される。
ホストコンピュータ101について説明する。201は、RAM103又はHDD104に保持されている印刷データである。202は、印刷データ201を印刷する際に使用されるプリンタドライバである。
印刷装置110について説明する。210はデータ受信部である。このデータ受信部210は、通信インターフェース部116を介して外部装置からデータを受信する。そして、受信したデータを解析し、その解析結果に基づいて当該受信データの転送先を決定する。211は印刷制御部である。この印刷制御部211が実行する機能の詳細は後述する。212はデータ送信部である。このデータ送信部212は、ネットワーク130上に接続された外部装置に対し、通信インターフェース部116を介してデータを送信する。213はPDL解釈部(PDL interpreter)であり、受信した印刷データの解釈を行う。PDL解釈部213は、PostScript(商標)、LIPS(商標)等のPDLを解釈することができる。PDL解釈部213がPDLを解釈し、当該解釈により得られた中間言語データが214である。215はレンダラ(Renderer)であり、中間言語データ214をビットマップ展開し、イメージデータ216を生成する。なお、イメージデータ216及び中間言語データ214を総称して画像データと称する。
複合機120について説明する。220はデータ受信部である。このデータ受信部220は、通信インターフェース部126を介して外部装置からデータを受信する。そして、受信したデータを解析し、その解析結果に基づいて当該受信データの転送先を決定する。221は印刷制御部である。この印刷制御部221が実行する機能の詳細は後述する。222はデータ送信部である。このデータ送信部222は、ネットワーク130上に接続された外部装置に対し、通信インターフェース部116を介してデータを送信する。223はPDL解釈部(PDL interpreter)であり、受信した印刷データの解釈を行う。PDL解釈部223は、PostScript(商標)、LIPS(商標)等のPDLを解釈することができる。PDL解釈部223がPDLを解釈し、当該解釈により得られた中間言語データが224である。なお、このPDL解釈部223は上記したPDL解釈部213と同じものである必要はなく、上記したPDL以外のPDLを解釈することができるものでもよい。225はレンダラ(Renderer)であり、中間言語データ224をビットマップ展開し、イメージデータ226を生成する。
図3は、本印刷システムにおける印刷処理手順を説明するための基本フローチャートである。以下では、この基本フローチャートを用いて処理手順の説明を行う。図1及び図2に示す印刷システムにおいて、まずPDL処理が実行される。この処理により印刷物が作られる(ステップS301)。その後、作られた印刷物がコピー処理される(ステップS302)。
以下では、ステップS301のPDL処理の詳細について図4のフローチャートを、ステップS302のコピー処理の詳細について図8のフローチャートを用いてそれぞれ説明する。
図4は、上記PDL処理の詳細を説明するためのフローチャートである。このPDL処理は、印刷装置110がホストコンピュータ100で生成されたPDLデータ形式の原稿画像データを受け取り、当該原稿画像データに基づいて画像形成及び画像の記憶を行う処理を指すものとする。以下では、この処理の詳細について説明を行う。
ステップS401では、印刷装置110は、ホストコンピュータ100で生成されたPDLデータを通信インターフェース部116を介してデータ受信部210で受信する。なお、この場合のPDLデータは、印刷装置110に搭載されているPDL解釈部213で解釈できるものである必要がある。但し、解釈できるものであれば、特にPDLの種別は問わない。
ステップS402では、PDL解釈部213が、データ受信部210からPDLデータを受信し、当該PDLデータに基づいて中間言語データ214を生成する。この中間言語データ214は、「ビットマップ」、「ランレングス」、「台形」、「ボックス」、及び「高速境界符合化されたビットマップ」等の描画オブジェクトと背景パターン、及び、それらをラスタメモリに描画する際の描画論理の総称を指すものとする。なお、この中間言語データは、一般に知られているようにPDLの種別には依存しない形式となっている。そのため、この中間言語データがあれば、異なるPDL解釈部を有するプリンタであっても印刷処理を実行することができる。
ステップS403では、印刷制御部211は、ストレージ先(格納先)の選択を行う。このストレージ先の選択は、イメージデータ形式の原稿画像データを格納する記憶装置を選択することを指すものとする。図5は、このステップS403におけるストレージ選択処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下では、この処理の詳細について説明を行う。
ステップS501では、印刷装置110内の印刷制御部211は、自装置内にストレージ場所(ROMやHDDなど)があるか否かを判定する。ステップS501での判定の結果、自装置内にストレージ場所がある場合(Yes)はステップS502に移行する。一方、自装置内にストレージ場所がない場合(No)はステップS504に移行する。
ステップS502では、印刷制御部211は、中間言語データ形式の原稿画像データから生成されうるイメージデータのデータサイズを計算し、当該データサイズとストレージ領域の空き容量とを比較することで、イメージデータ形式で原稿画像データを自装置内のストレージ場所にストレージすることが可能であるか否かを判定する。なお中間言語データ214から生成されうるイメージデータのデータサイズは、枚数、解像度、階調数により決まる。例えば、解像度が600dpiで階調が1bpp(bits per pixel)のモノクロデータの場合のデータサイズは、約4MB×ページ数となる。なお、任意の符号化方法を用いてデータを符号化した後のデータサイズをもって、本ステップにおける判断を行ってもよい。
ステップS502における判定の結果、自装置内でのストレージが可能と判定した場合(Yes)はステップS503に移行する。一方、自装置内のストレージが不可能と判定した場合(No)はステップS504に移行する。ステップS504では、自装置以外の装置におけるストレージを検索する処理を行う。
図6は、このステップS504におけるストレージ検索処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下では、この処理の詳細について説明を行う。ステップS601では、印刷制御部211が図9に示すパケットデータを生成する。そしてデータ送信部212がネットワーク130上の不特定多数の装置に対して、このパケットデータを送信する。以下では、パケットデータを不特定多数の装置に対して送信することをブロードキャストと称する。このパケットデータでは、901に送信先(印刷装置110の)アドレスを示したアドレスが記述され、902に送信元アドレスを示したアドレスが記述され、903に「ストレージ検索」を示すコマンドが記述されている。なお、ストレージの検索処理は上述した方法に限定されるものではない。
ステップS602では、印刷制御部211は、ステップS601で行ったブロードキャストに対する応答があったか否かを調べる。その結果、応答があった場合(Yes)はステップS603に移行し、応答がない場合(No)はステップS604に移行する。なお、以下では、複合機120が上記ブロードキャストに対して応答したものとして説明を行う。
ステップS603では、印刷制御部221が、応答した装置である複合機120内のHDD124に原稿画像データをストレージできるか否かを調べる。なお、この処理は、図5のフローチャートにおけるステップS502での判定処理と同様の処理である。なお、この処理を行うにあたって、印刷制御部221は印刷装置110からネットワーク130を介して原稿画像データ又は原稿画像データのデータサイズを受け取る必要がある。なお、この判定処理については複合機120内ではなく、印刷装置110内で行ってもよい。
ステップS603において、複合機120内の印刷制御部221が自装置内に原稿画像データをストレージできると判定した場合(Yes)は、ステップS605に移行する。ステップS605では、印刷制御部221が図10に示すパケットデータを生成する。そしてデータ送信部222及び通信インターフェース部126を介して印刷装置110に対してパケットデータを送信する。パケットデータの送信が終了すると、ステップS505に移行する。図10に示すパケットデータでは、1001に送信先アドレス(複合機120のアドレス)が記述され、1002に送信元アドレス(印刷装置110のアドレス)が記述され、1003にコマンド(ストレージ検索結果を示すコマンド)が記述され、1004に格納場所(記憶装置のディレクトリ)が記述され、1005にサイズ(記憶装置の空き容量)が記述されている。以上の処理が終了すると、ステップS505に移行する。なお、このパケットデータを生成する処理についても複合機120内ではなく、印刷装置110内で行ってもよい。その場合には、パケットデータを送信する必要はない。
一方、ステップS603において、複合機120内の印刷制御部221が自装置内に原稿画像データをストレージできないと判断した場合(No)は、再びステップS602に移行する。
ステップS604では、印刷装置110内の印刷制御部211が、ストレージ検索処理等においてタイムアウトが発生しているか否かを判定する。その結果、タイムアウトが発生している場合(Yes)はストレージ不可能と判定し、ストレージ検索処理を終了しステップS505に移行する。一方、タイムアウトが発生していない場合(No)は、ステップS602に移行する。
ステップS505では、印刷装置110内の印刷制御部211が、上述したストレージ検索処理の結果に基づいて原稿画像データをいずれかのストレージにストレージできるか否かを判定する。そしてストレージ可能であった場合(Yes)はステップS503に移行し、ストレージ不可能であった場合(No)はステップS506に移行する。
ステップS503では、印刷装置110内の印刷制御部211が、ステップS502及びステップS505の結果に基づいてストレージ情報の作成を行う。この処理では、図10に示したパケットデータを生成する。この図10に示すパケットデータでは、1001に送信先アドレス(原稿画像データを記憶可能な装置である複合機120のアドレス)が記述され、1002に送信元アドレス(PDL処理を行った装置である印刷装置110のアドレス)が記述されている。1003、1004、1005については上述した通りであるので省略する。なお、既に図10に示すパケットデータを生成していた場合は、もう一度新たに生成する必要はない。以上の処理が終了すると、ステップS404に移行する。
ステップS404では、レンダラ215がレンダリング処理を実行する。レンダリング処理は、中間言語データ形式の原稿画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データを生成する処理を指すものとする。
ステップS405では、印刷制御部211が、生成されたイメージデータのストレージを行うか否かの判定を行う。この判定は、ステップS403のストレージ選択結果を基にして行われる。そしてストレージ可能であった場合(Yes)は、ステップS406に移行する。一方、ストレージ不可能であった場合(No)は、ステップS407に移行する。即ち、ストレージ可能であった場合は、決定されたストレージにイメージデータをストレージするとともに、ステップS407で印刷処理が行われる。
図7は、このステップS406におけるストレージ処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下では、この処理の詳細について説明を行う。ステップS701では、印刷制御部211が図10に示すパケットデータから、パケットデータ内の情報の取得を行う。以下では、この情報をストレージ情報と称する。
ステップS702では、印刷制御部211は識別IDを生成し、原稿画像データに関連付ける処理を行う。この識別IDのことを識別情報とも称する。なお、この識別情報及び識別IDは、ストレージされた原稿画像データやストレージ先を特定するための情報を有する。具体的には、例えば複合機120のIPアドレスと、複合機120内の記憶装置に格納された原稿画像データのディレクトリ情報などを含む。また、PDL処理を行った装置である印刷装置110のアドレスなどについて含んでいてもよい。
ステップS703では、印刷制御部211は、識別ID及び原稿画像データの転送と格納の指令を行う。この転送と格納の指令は、ステップS701で取得したストレージ情報に基づいて行う。より詳細には、ネットワーク130を介して印刷装置110から、原稿画像データを記憶する装置である複合機120に対して、原稿画像データ及び識別IDを送信する。そして、複合機120内の記憶装置に、この原稿画像データが格納される。以上が、ステップS406におけるストレージ処理の詳細である。
上述したストレージ処理の後、ステップS407では、原稿画像データ上の所定の領域に識別IDを元に生成された識別ID画像を合成し、当該合成画像データをプリンタエンジン125に送り出力用紙上に形成する。二つのデータを合成するにあたって、識別IDから生成される識別ID画像は、後のコピー処理時に認識され、識別情報が取得可能となるような識別ID画像であればよい。例えば、1次元や2次元のバーコードや電子透かしなど、様々な形式を採用することが可能である。また、これらの画像データの合成方法も、識別ID画像から識別情報が取得可能となるような合成方法を採用すればよく、如何なる方法であっても構わない。
なお、ステップS403におけるストレージの選択処理及びステップS406のストレージ処理における識別IDの生成処理を印刷装置110が行うものとして説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、印刷装置110の代わりにホストコンピュータ100が行ってもよい。
以上で、ステップS301におけるPDL処理の説明を終了し、ステップS302におけるコピー処理を説明する。なおコピー処理を説明するにあたっては、上記PDL処理において、複合機120内の記憶装置に原稿画像データが記憶されたものとして説明を行う。
図8は、ステップS302におけるコピー処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下では、上記PDL処理で出力された紙原稿がネットワークに接続された任意の複合機の原稿台にセットされ、コピーが指示されたものとしてコピー処理の詳細な説明を行う。なお、コピー処理を実行する複合機は、図2に示した複合機120とほぼ同等の構成を有するものとする。例えばコピー処理を行う複合機の印刷制御部は、図2に示した複合機120の印刷制御部と同様であるため、コピー処理を行う複合機の印刷制御部にも符号221を付すものとする。
ステップS801では、複合機のスキャナ(不図示)が紙原稿を読み取り、紙原稿画像データを生成する。
ステップS802では、印刷制御部221が紙原稿画像データ内に識別ID画像が存在するか否かを判定する。識別ID画像が存在する場合(Yes)はステップS803に移行し、識別ID画像が存在しない場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS803では、印刷制御部221がストレージ引き出し要求を行う(ステップS803)。引き出し要求を行うにあたっては、まず上記PDL処理で画像データを格納した装置である複合機120のアドレス、画像データを記憶している装置である複合機120内の記憶装置のディレクトリ等を識別ID画像から取得する。そして、これらの情報に基づいて、例えば図11に示すパケットデータを生成する。なお、以下において、画像の識別情報を取得すると表現した場合には、例えば、前記画像に含まれる識別ID画像が有する情報を取得することを示す。なお、画像の識別情報や識別IDが取得可能であると表現した場合には、この画像には識別情報が含まれており且つこの識別情報が、例えば複合機120などの装置によって取得することができる状態にあることを示す。また、画像の識別情報や識別IDが消失していると表現した場合には、この画像には識別情報が含まれていないこと又はこの画像には識別情報が含まれているものの、この識別情報が例えば複合機120などの装置によって取得することができない状態にあることを示す。
図11に示すパケットデータは、生成されたパケットデータの例である。このパケットデータは、1101に送信先アドレス(原稿画像データをストレージした装置である複合機120のアドレス)が記述されている。また、1102に送信元アドレス(上記PDL処理を行った装置である印刷装置110のアドレス)が記述されている。また、1103にコマンド(ストレージ引き出し要求を示すコマンド)が記述されている。また、1104に格納場所(記憶装置のディレクトリ)が記述されている。また、1105にファイル名(原稿画像データのファイル名)が記述されている。
また、図12に示すパケットデータは、図11に示したパケットデータを受信したデバイスから返信されるパケットデータの例である。このパケットデータは、図1に示したパケットデータが有する情報に加え、原稿画像データのデータ形式1206が記述されている。
ステップS803ではさらに、ネットワーク130を介して印刷制御部221が、原稿画像データをストレージした装置である複合機120のアドレスに対して図11に示すパケットデータを送信する。これにより、ストレージ先の装置と通信ができた場合には、ストレージ引き出し要求に対して、自装置に図12に示すパケットデータが戻ってくることになる。なお、ストレージ先の装置とコピー処理を行なっている装置が一致する場合には、ネットワーク130を介してパケットデータを送信する必要はなく、自装置内のストレージに格納された原稿画像データを取得すればよい。なお、ストレージ先の装置との通信ができなかった場合には、図12に示されるパケットデータには、NULLと記述されて戻ってくるものとする。
ステップS804では、図12に示すパケットデータ内のコマンド1203に基づいて、原稿画像データが所定の格納場所に存在するか否かを印刷制御部221が判定する。判定の結果、引き出し可(原稿画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行し、引き出し不可(原稿画像データがない)の場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS805では、印刷制御部221は、図12に示すパケットデータに基づいてストレージ先の装置である複合機120の記憶装置から原稿画像データの引き出し等を行う。図13は、この処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下では、この処理の詳細について説明を行う。ステップS1301では、図12に示すパケットデータ内の1201のアドレスに基づいて、ストレージ先の装置から画像データの引き出しを行う。ステップS1302では、印刷制御部221はこの原稿画像データをHDD124に格納する。以上の処理が終了すると、ステップS806に移行する。このステップS806では、引き出された画像データをプリンタエンジン125で出力用紙上に形成する。なお、引き出された画像データがイメージデータ形式でなく中間言語データ形式である場合には、画像形成を行う前にレンダリング処理を実行する必要があるのはいうまでもない。
一方、ステップS804において画像データがないと判断された場合(No)は、通常のコピー処理と同様にステップS801でスキャンされた画像データを図1のHDD124上に展開し、この展開した画像データをプリンタエンジン125によって用紙上に出力する(ステップS807)。
このようにスキャンした原稿内の識別情報に対応した画像を記憶装置から読み出して印刷出力することによって、原稿をスキャンすることで得られた画像データに基づいて生成された出力物ではなく、PDLデータ形式からレンダリングされた高画質な画像を出力することができる。また、原稿に汚れや、人による手書きの情報などが存在していたとしても、上記処理により、汚れや手書きの情報が存在しない、原本と同様の出力物を得ることができる。
以上が前提となるシステムの構成及び処理の流れである。以下では本発明の実施形態における特徴的な処理について詳細に説明する。
図14は、スキャン原稿に対応する画像を記憶装置から読み出して印刷する機能を具備する印刷システムのシステム構成図である。図14に示すように、本印刷システムは、ホストコンピュータ1401と、印刷装置1402と、複合機1403、1405とがLAN等のネットワーク1404を介して互いに接続されている。図14に示す印刷システム内のホストコンピュータ1401、印刷装置1402、複合機1403、1405は、それぞれ、図1及び図2を用いて説明した印刷システムにおけるホストコンピュータ100、印刷装置110、複合機120と同様であるものとする。
図22は、本印刷システムにおける印刷処理手順を説明するための基本フローチャートである。以下では、この基本フローチャートを用いて処理手順の説明を行う。図14に示す印刷システムにおいて、ステップS1601では、ホストコンピュータ1401がドライバ処理を実行することでPDLデータを生成し、印刷装置1402に向けて送信する。続いてステップS1602では、このPDLデータに基づいて、印刷装置1402がPDL処理を実行し、印刷物を作成する。その後、ステップS1603では、作成された印刷物がコピー処理される。
以下では、ステップS1601のドライバ処理の詳細について図15のフローチャートを用いて説明する。
ステップS1501では、ユーザはホストコンピュータ1401を利用して原稿画像データを生成した上で、不図示のドライバ画面により「複写時に顕像地紋画像を付加する」設定を行うか行わないかを指示する。そして、このステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされた場合(Yes)にはステップS1502に移行し、されなかった場合(No)にはステップS1503に移行する。ここで複写時顕像地紋画像付加設定とは、上述した識別IDを原稿画像データに合成した上でプリントアウトするとともに、原稿画像データ及び顕像地紋画像データを任意の記憶装置に格納しておくことを指すものとする。なお後述するように、複写時顕像地紋画像付加設定されて作成された紙原稿が、本印刷システムにおける複合機でコピーされた際には、識別IDに基づいて対応する画像データ(顕像地紋画像データが合成された原稿画像データ)を記憶装置から検索し、その画像データを出力用紙上に形成されることになる。
ステップS1502では、ホストコンピュータ1401におけるプリンタドライバ202が顕像地紋画像データの作成を行う。この、顕像地紋画像データ作成処理が終了すると、ステップS1503に移行する。なお、本実施例で作成する顕像地紋画像データは、イメージデータ形式であるものとして以下に説明を行うが、本発明は、これに限られるものではなく、中間言語データ形式であってもよい。
ステップS1503では、プリンタドライバ202は、原稿画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する。なお、ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合には、このステップS1503では、原稿画像データのみに基づいてPDLデータが生成されることになる。
ステップS1504では、プリンタドライバ202は、通信インターフェース部105及びネットワーク130を介してPDLデータを印刷装置1402に送信する。以上の処理が終了すると、ステップS1602に移行する。ステップS1602では、PDL処理を行う。このPDL処理について詳細に説明する。
ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合には、このステップS1602では、通常のプリンタ同様に通常のプリントアウト動作を行う。つまり、受信したPDLの原稿画像データから中間言語データを生成し、さらに(ビットマップの)原稿画像データを生成する。そして、当該(ビットマップの)原稿画像データに対して画像処理を行った上で出力用紙上に画像形成する。
一方、ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされた場合のPDL処理については、図4を用いて簡単に説明を行う。
ステップS401では、印刷装置1402は、ホストコンピュータ1401で生成されたPDLの原稿画像データ及びPDLの顕像地紋画像データを通信インターフェース部116を介してデータ受信部210で受信する。
ステップS402では、印刷装置1402内のPDL解釈部213は、データ受信部210からPDLデータを受信し、当該PDLデータに基づいて、顕像地紋画像データ及び原稿画像データからなる中間言語データ214を生成する。
ステップS403では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ストレージ先(格納先)の選択を行い、図10に示すパケットデータを生成する。このストレージ先の選択は、原稿画像データ及び顕像地紋画像データを格納する記憶装置を選択することを指すものとする。なお、このストレージ先の選択処理は、上述した図5に示すフローチャートに基づいて行われるが、処理の詳細については上述したため省略する。なお、上述した選択処理では、原稿画像データのデータサイズと記憶装置の記憶容量とを比較に基づいてストレージ先を選択したが、本実施例においては、原稿画像データのデータサイズ及び顕像地紋画像データのデータサイズの加算値と記憶装置の記憶容量との比較に基づいてストレージ先を選択する。
ステップS404では、印刷装置1402内のレンダラ214がレンダリング処理を実行する。レンダリング処理は、中間言語データ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データを生成する処理を指すものとする。
ステップS405では、生成されたイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データのストレージを行うか否かの判定を印刷装置1402内の印刷制御部211が行う。この判定は、ステップS403のストレージ選択結果を基にして行われる。そしてストレージ可能であった場合(Yes)は、ステップS406に移行する。一方、ストレージ不可能であった場合(No)は、ステップS407に移行する。
ステップS406では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ステップS403で生成した図10に示すパケットデータからストレージ情報の取得を行い、ストレージ先を特定する。そして特定したストレージ先に顕像地紋画像データ及び原稿画像データにファイル名を付けた上でストレージする。なお、このステップS406では顕像地紋画像データ及び原稿画像データを合成した上でストレージしても、合成せずに関連付けるだけでストレージしてもよい。このことについては他の実施例でも同様である。なお、ストレージされた画像のことを、識別情報や識別IDに対応した対応画像と表現することにする。このステップS406ではさらに、印刷装置1402内の印刷制御部211が識別IDをイメージデータとして生成する。上述したように、この識別IDには、ストレージ情報が含まれている。
ステップS407では、印刷装置1402内の印刷制御部211は識別IDから識別ID画像データを生成し、生成された識別ID画像データ及び原稿画像データを合成した上で、この印刷装置1402内のプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、合成画像データを出力用紙上に形成し、紙原稿を作成する。
ステップS1603では、コピー処理が行なわれる。このコピー処理について、この図8を用いて簡単に説明を行う。以下では、上記PDL処理において作成された地紋画像と識別ID画像の付加された紙原稿が複合機1405の原稿台にセットされ、コピー指示されたものとしてコピー処理の詳細な説明を行う。
ステップS801では、複合機1405のスキャナ127が紙原稿を読み取り、紙原稿画像データを生成する。
ステップS802では、複合機1405内の印刷制御部221が紙原稿画像データ内に識別IDが存在するか否かを判定する。識別IDが存在する場合(Yes)はステップS803に移行し、識別IDが存在しない場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS803では、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ引き出し要求を行う。引き出し要求を行うにあたっては、識別IDに基づいてストレージ情報を生成する。そして、ストレージ情報に基づいて図11に示すパケットデータを生成する。この図11に示すパケットデータには、上述したようにストレージ情報が記述されている。このストレージ情報及び図11に示すパケットデータについては上述したため省略する。
このステップS803ではさらに、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ先の装置である複合機1403のアドレスに対して図11に示すパケットデータを送信する。これにより、ストレージ先の装置である複合機1403と通信ができた場合には、ストレージ引き出し要求に対して、複合機1405に図12に示すパケットデータが戻ってくることになる。この図12に示すパケットデータには、上述したようにストレージ情報及びストレージ引き出し要求の戻り値を示すコマンド(原稿画像データ及び顕像地紋画像データが記憶装置内に存在するか否か)が記述されている。
ステップS804では、図12に示すパケットデータ内のコマンド1203に基づいて、複合機1405内の印刷制御部221が原稿画像データ及び顕像地紋画像データが所定の格納場所に存在するか否かを判定する。判定の結果、引き出し可(画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行し、引き出し不可(画像データがない)の場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS805では、複合機1405内の印刷制御部221は、図12に示すパケットデータに基づいてストレージ先の装置から原稿画像データ及び顕像地紋画像データの読み出しを行う。
ステップS806では、複合機1405内の印刷制御部221は、読み出された二つの画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、この画像データを出力用紙上に形成する。なお、ステップS406で顕像地紋画像データと原稿画像データとが関連付けられるのではなく、既に合成された上で保存された場合には、このステップS806で合成をする必要はない。また、顕像地紋画像データと合成される原稿画像データに対しては、識別ID画像データは合成されていない。このことは他の実施例においても同様である。しかし、識別ID画像データが合成されていないことのみに本発明は限られるわけではなく、識別ID画像データが合成されていても別によい。
一方、ステップS804において画像データがないと判断された場合(No)は、通常のコピー処理と同様にステップS801でスキャンされた画像データを図1のHDD124上に展開し、この展開した画像データをプリンタエンジン125によって用紙上に出力する(ステップS807)。
なお、顕像地紋画像データの生成は、ホストコンピュータ1401内で行うものとして以上の説明を行ったが、本発明はこれに限られることはない。例えば、PDLデータを受信する印刷装置110内でおこなってもよい。このことは他の実施例でも同様である。なお、印刷装置110内で顕像地紋画像データを生成する際には、ステップS1601内のステップS1502における処理は必要ない。また、ステップS1601内のステップ1503では原稿画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する必要はなく、原稿画像データに基づいてPDLデータを生成すればよい。また、ステップS1601内のステップ1504はこの生成されたPDLデータを印刷装置110に対して送信すればよい。そして、その代わりに例えばステップS1602内のステップS404で、レンダリング処理を行ってイメージデータ形式の原稿画像データを生成するだけでなく、顕像地紋画像データの生成を行う必要がある。さらに、顕像地紋画像データの生成は、ホストコンピュータ1401内でもなく、印刷装置1402内でもなく、複合機1405内で行ってもよい。この場合には、ステップS1601内のステップS1502における処理は必要ない。また、ステップS1601内のステップ1503では原稿画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する必要はなく、原稿画像データに基づいてPDLデータを生成すればよい。また、ステップS1601内のステップ1504はこの生成されたPDLデータを印刷装置110に対して送信すればよい。さらに、ステップS1602の処理、即ちコピー処理においても顕像地紋画像と原稿画像を関連付ける必要はない。また、記憶手段には、顕像地紋画像と関連付けられていない原稿画像が格納されることになる。そして、その代わりに例えば、ステップS1603内の処理、即ちコピー処理において、顕像地紋画像データを生成する必要がある。具体的には、例えばステップS804では、原稿画像データが所定の格納場所に存在するか否かを判定し、判定の結果、引き出し可(画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行する。そして、ステップS805では、ストレージ先の装置から原稿画像データの読み出しを行うと同時に顕像地紋画像データの生成を行う。そしてステップS806では、複合機1405内の印刷制御部221は、読み出された原稿画像データ及び生成された顕像地紋画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送り、この画像データを出力用紙上に形成させる。
以上のように第1の実施例では、識別IDが付加された紙原稿のコピーが指示された際に、当該紙原稿に対応する画像を記憶装置から読み出し、当該画像に顕像地紋画像データを合成した上で出力している。又は、紙原稿に対応する、顕像地紋画像が予め合成された合成画像を記憶装置から読み出し、当該合成画像を出力している。そのため、得られた出力物には「COPY」などの牽制文字列が人間の目に識別可能に現れている。これにより、記憶装置から読み出して作られた複製物を流出させる行為を抑止することが可能となっている。
以上説明したように、本実施例におけるPDL処理時には顕像地紋画像データ及び原稿画像データを合成又は関連付けた状態で記憶手段に保持させた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、PDL処理時に、原稿画像データをビットマップデータ形式(又は中間言語データ形式)で記憶手段に保持させるのではなく、アプリケーションデータ形式で記憶手段やサーバに保持させ、地紋画像データについてのみビットマップデータ形式(又は中間言語データ形式)で保持させてもよい。そして、コピー処理時に、サーバ上でアプリケーションデータから原稿画像データを生成し、顕像地紋画像データと原稿画像データからPDLデータを生成し、複写機上で当該PDLデータに基づいて、顕像地紋画像付きの出力物を出力してもよい。この場合、原稿画像データがEXCELなどを用いて作られたファイルから生成されたビットマップデータ(又は中間言語データ)であるとすれば、アプリケーションデータとは「ファイル名.xls」といったデータのことを意味する。このことについては、他の実施例でも同様である。
(実施例2)
上述した実施例1では、PDL処理により作成される紙原稿には識別IDが付加されており、この紙原稿のコピー処理により作成される出力物には顕像地紋画像が付加されていた。
これに対して、本実施例では、PDL処理により作成される紙原稿には識別IDに加えて地紋画像が付加される。なお、この紙原稿のコピー処理により作成される出力物には、実施例1と同様に顕像地紋画像が付加されることになる。
これにより、原本には、地紋画像が付加されているが、複写物には、地紋画像ではない顕像地紋画像が付加されていることになる。即ち、「本物である」ことがわかりやすいように、原本には地紋画像を付加している。また、「本物でない」ことがわかりやすいように、複写物には地紋画像を付加せず、顕像地紋画像が付加されている。
以下では、実施例2で行われる処理が、実施例1で行われる処理と異なるステップについてのみ説明を行う。
ステップS1601について説明を行う。このステップS1601での処理は図15で示されている。
ステップS1501における処理は、実施例1で行われる処理と同一のため省略する。
ステップS1502では、ホストコンピュータ1401におけるプリンタドライバ202が地紋画像データ及び顕像地紋画像データの作成を行う。この作成処理が終了すると、ステップS1503に移行する。なお、本実施例で作成する地紋画像データ及び顕像地紋画像データは、イメージデータ形式であるものとして以下に説明を行うが、本発明は、これに限られるものではなく、中間言語データ形式であってもよい。
ステップS1503では、プリンタドライバ202は、原稿画像データ及び地紋画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する。ただし、ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合には、このステップS1503では、原稿画像データのみに基づいてPDLデータが生成されることになる。ステップS1504の処理は、実施例1と同様である。
ステップS1602では、PDL処理が行なわれる。ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合には、このステップS1602では、通常のプリンタ同様に通常のプリントアウト動作を行う。つまり、受信したPDLデータのうち原稿画像データに基づいて、出力用紙上に画像形成する。一方、ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされた場合の処理については、図4を用いて簡単に説明を行う。
ステップS401における処理は、実施例1で行われる処理と同一のため省略する。
ステップS402では、印刷装置1402内のPDL解釈部213は、データ受信部210からPDLデータを受信し、当該PDLデータに基づいて、地紋画像データ及び原稿画像データからなる中間言語データと顕像地紋画像データ及び原稿画像データからなる中間言語データを生成する。
ステップS403では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ストレージ先(格納先)の選択を行い、図10に示すパケットデータを生成する。このストレージ先の選択は、原稿画像データ及び顕像地紋画像データを格納する記憶装置を選択することを指すものとする。なお、このストレージ先の選択処理は、上述した図5に示すフローチャートに基づいて行われるが、処理の内容は実施例1と同じのため省略する。
ステップS404では、印刷装置1402内のレンダラ214がレンダリング処理を実行する。具体的には、中間言語データ形式の原稿画像データ及び地紋画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データ及び地紋画像データを生成する。さらには、中間言語データ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データを生成する。
ステップS405では、生成されたイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データのストレージを行うか否かの判定を印刷装置1402内の印刷制御部211が行う。この判定は、ステップS403のストレージ選択結果を基にして行われる。そしてストレージ可能であった場合(Yes)は、ステップS406に移行する。一方、ストレージ不可能であった場合(No)は、ステップS407に移行する。
ステップS406では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ステップS403で生成した図10に示すパケットデータからストレージ情報の取得を行い、ストレージ先を特定する。そして特定したストレージ先に地紋画像データ及び顕像地紋画像データ及び原稿画像データにファイル名を付けた上でストレージする。このように、ステップS406では、実施例2でストレージした顕像地紋画像データ及び原稿画像データだけでなくて、地紋画像データもストレージする。
このステップS406ではさらに、印刷装置1402内の印刷制御部211が識別IDをイメージデータとして生成する。上述したように、この識別IDには、ストレージ情報が含まれている。
ステップS407では、印刷装置1402内の印刷制御部211は識別IDから識別ID画像データを生成し、生成された識別ID画像データ及び原稿画像データ及び地紋画像データを合成した上で、この印刷装置1402内のプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、合成画像データを出力用紙上に形成し、紙原稿を作成する。なお、識別ID画像データと合成される原稿画像データ及び地紋画像データは、ステップS404で生成されたビットマップ形式の原稿画像データ及び地紋画像データである。
ステップS1603では、コピー処理が行なわれる。このコピー処理について、図8を用いて簡単に説明を行う。以下では、上記PDL処理において作成された紙原稿が複合機1405の原稿台にセットされ、コピー指示されたものとしてコピー処理の詳細な説明を行う。
ステップS801では、複合機1405のスキャナ127が紙原稿を読み取り、紙原稿画像データを生成する。
ステップS802では、複合機1405内の印刷制御部221が紙原稿画像データ内に識別IDが存在するか否かを判定する。識別IDが存在する場合(Yes)はステップS803に移行し、識別IDが存在しない場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS803では、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ引き出し要求を行う。引き出し要求を行うにあたっては、識別IDに基づいてストレージ情報を生成する。そして、ストレージ情報に基づいて図11に示すパケットデータを生成する。この図11に示すパケットデータには、上述したようにストレージ情報が記述されている。このストレージ情報及び図11に示すパケットデータについては上述したため省略する。
このステップS803ではさらに、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ先の装置である複合機1403のアドレスに対して図11に示すパケットデータを送信する。これにより、ストレージ先の装置である複合機1403と通信ができた場合には、ストレージ引き出し要求に対して、複合機1405に図12に示すパケットデータが戻ってくることになる。この図12に示すパケットデータには、上述したようにストレージ情報及びストレージ引き出し要求の戻り値を示すコマンド(原稿画像データ及び地紋画像データ及び顕像地紋画像データが記憶装置内に存在するか否か)が記述されている。
ステップS804では、図12に示すパケットデータ内のコマンド1203に基づいて、複合機1405内の印刷制御部221が原稿画像データ及び顕像地紋画像データ及び地紋画像データが所定の格納場所に存在するか否かを判定する。判定の結果、引き出し可(画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行し、引き出し不可(画像データがない)の場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS805では、複合機1405内の印刷制御部221は、図12に示すパケットデータに基づいてストレージ先の装置から原稿画像データ及び顕像地紋画像データの読み出しを行う。
ステップS806では、複合機1405内の印刷制御部221は、読み出された二つの画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、この画像データを出力用紙上に形成する。なお、ステップS406で顕像地紋画像データと原稿画像データとが関連付けられるのではなく、既に合成された上で保存された場合には、このステップS806で合成をする必要はない。また、顕像地紋画像データと合成される原稿画像データに対しては、識別ID画像データは合成されていない。
一方、ステップS804において画像データがないと判断された場合(No)は、通常のコピー処理と同様にステップS801でスキャンされた画像データを図1のHDD124上に展開し、この展開した画像データをプリンタエンジン125によって用紙上に出力する(ステップS807)。
なお、顕像地紋画像データの生成は、ホストコンピュータ1401内で行うものとして以上の説明を行ったが、本発明はこれに限られることはない。例えば、PDLデータを受信する印刷装置110内でおこなってもよい。このことは他の実施例でも同様である。なお、印刷装置110内で顕像地紋画像データを生成する際には、ステップS1601内のステップS1502における処理は必要ない。また、ステップS1601内のステップ1503では原稿画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する必要はなく、原稿画像データに基づいてPDLデータを生成すればよい。また、ステップS1601内のステップ1504はこの生成されたPDLデータを印刷装置110に対して送信すればよい。そして、その代わりに例えばステップS1602内のステップS404で、レンダリング処理を行ってイメージデータ形式の原稿画像データを生成するだけでなく、顕像地紋画像データの生成を行う必要がある。さらに、顕像地紋画像データの生成は、ホストコンピュータ1401内でもなく、印刷装置1402内でもなく、複合機1405内で行ってもよい。この場合には、ステップS1601内のステップS1502における処理は必要ない。また、ステップS1601内のステップ1503では原稿画像データ及び顕像地紋画像データに基づいてPDLデータを生成する必要はなく、原稿画像データに基づいてPDLデータを生成すればよい。また、ステップS1601内のステップ1504はこの生成されたPDLデータを印刷装置110に対して送信すればよい。さらに、ステップS1602の処理、即ちコピー処理において顕像地紋画像と原稿画像を関連付ける必要はない。また、記憶手段には、顕像地紋画像と関連付けられていない原稿画像が格納されることになる。そして、その代わりに例えば、ステップS1603内の処理、即ちコピー処理において、顕像地紋画像データを生成する必要がある。具体的には、例えばステップS804では、原稿画像データが所定の格納場所に存在するか否かを判定し、判定の結果、引き出し可(画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行する。そして、ステップS805では、ストレージ先の装置から原稿画像データの読み出しを行うと同時に顕像地紋画像データの生成を行う。そしてステップS806では、複合機1405内の印刷制御部221は、読み出された原稿画像データ及び生成された顕像地紋画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送り、この画像データを出力用紙上に形成させる。
以上説明した実施例2では、PDL処理により作成される紙原稿には識別IDと地紋画像が付加される。
なお、本実施例においては、記憶手段に予め記憶されている顕像地紋画像データと原稿画像データとを読み出し、それらを合成することで、顕像地紋画像付きの出力物を作成した。あるいは、顕像地紋画像データと原稿画像データとが合成された合成画像データを読み出すことで、顕像地紋画像付きの出力物を作成した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、地紋画像付きの紙原稿に対しては、記憶手段から画像データを読み出して印刷することを不許可とすることによっても、文字列の浮かびあった出力物を作成することができる。
(実施例3)
上述した実施例2では、PDL処理により作成される紙原稿には地紋画像と識別IDが付加されており、この紙原稿のコピー処理により作成される出力物には顕像地紋画像が付加されていた。
これに対して、本実施例では、PDL処理により作成される紙原稿には実施例2と同じく識別IDに加えて地紋画像が付加される。一方、この紙原稿のコピー処理により作成される出力物には顕像地紋画像が付加される(1)場合と、地紋画像が付加される(2)場合の二つの場合があることになる。
コピー処理の実行を指示するユーザが、PDL処理の実行を指示したユーザと同じ場合には、地紋画像が付加される(2)ことになる。このように、原本を作成した本人に対しては、原本と同じ複写物を作成する。
一方、コピー処理の実行を指示するユーザが、PDL処理の実行を指示したユーザと異なる場合には、顕像地紋画像が付加される(1)ことになる。このように、原本を作成した本人以外の人に対しては、原本と異なる複写物を作成する。これにより、原本が、本人以外に作成されることを防ぐことができるというのが本実施例特有の効果である。
以下では、実施例3で行われる処理が、実施例2で行われる処理と異なるステップについてのみ説明を行う。
ステップS1601での処理は、実施例2で行われる処理とほぼ同一であるが、ステップS1504でのPDLデ−タ送信の処理が実施例2で行われる処理と異なっている。具体的には、実施例2のステップS1504では、プリンタドライバ202が、通信インターフェース部105及びネットワーク130を介してPDLデータを印刷装置1402に送信した。一方、本実施例では、上記PDLデータにユーザ情報を付加して印刷装置1402に送信する。ここで、ユーザ情報とは、ホスとコンピュータ101内に記憶されているユーザ毎のID情報を意味する。
ステップS1602では、PDL処理が行なわれる。ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合には、実施例2と同じ処理を行う。即ち、このステップS1602では、通常のプリンタ同様に通常のプリントアウト動作を行う。つまり、受信したPDLデータのうち原稿画像データに基づいて、出力用紙上に画像形成する。
一方、ステップS1501で複写時顕像地紋画像付加設定がされなかった場合の処理については、図4を用いて簡単に説明を行う。
ステップS401における処理は、実施例2で行われる処理と同一のため省略する。
ステップS402では、印刷装置1402内のPDL解釈部213は、データ受信部210からPDLデータを受信し、当該PDLデータに基づいて、地紋画像データ及び原稿画像データからなる中間言語データと、地紋画像データ及び顕像地紋画像データ及び原稿画像データからなる中間言語データを生成する。
ステップS403では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ストレージ先(格納先)の選択を行い、図10に示すパケットデータを生成する。このストレージ先の選択は、原稿画像データ及び顕像地紋画像データを格納する記憶装置を選択することを指すものとする。なお、このストレージ先の選択処理は、上述した図5に示すフローチャートに基づいて行われるが、処理の内容は実施例2とほぼ同じである。
ステップS404では、印刷装置1402内のレンダラ214がレンダリング処理を実行する。具体的には、中間言語データ形式の原稿画像データ及び地紋画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データ及び地紋画像データを生成する。さらには、中間言語データ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データをビットマップ展開しイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データを生成する。
ステップS405では、生成されたイメージデータ形式の原稿画像データ及び顕像地紋画像データ及び地紋画像データのストレージを行うか否かの判定を印刷装置1402内の印刷制御部211が行う。この判定は、ステップS403のストレージ選択結果を基にして行われる。そしてストレージ可能であった場合(Yes)は、ステップS406に移行する。一方、ストレージ不可能であった場合(No)は、ステップS407に移行する。
ステップS406では、印刷装置1402内の印刷制御部211は、ステップS403で生成した図10に示すパケットデータからストレージ情報の取得を行い、ストレージ先を特定する。そして特定したストレージ先に地紋画像データ及び顕像地紋画像データ及び原稿画像データにファイル名を付けた上でストレージする。ここで、実施例2とは異なり、本実施例では、上記ユーザ情報をも、ファイルに関連付けてストレージするものとする。
ステップS407では、印刷装置1402内の印刷制御部211は識別IDから識別ID画像データを生成し、生成された識別ID画像データ及び原稿画像データ及び地紋画像データを合成した上で、この印刷装置1402内のプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、合成画像データを出力用紙上に形成し、紙原稿を作成する。なお、識別ID画像データと合成される原稿画像データ及び地紋画像データは、ステップS404で生成されたビットマップ形式の原稿画像データ及び地紋画像データである。
ステップS1603では、コピー処理が行なわれる。このコピー処理について、図8を用いて簡単に説明を行う。以下では、上記PDL処理において作成された紙原稿が複合機1405の原稿台にセットされ、コピー指示されたものとしてコピー処理の詳細な説明を行う。ただし、実施例2には無かったことであるが、本実施例では、コピー指示の前にユーザが複合機1405の前でユーザ認証のための処理を行うものとする。つまり、複合機1405の表示画面上でユーザが、ユーザ情報(ユーザID情報)とパスワードを入力するものとする。
ステップS801では、複合機1405のスキャナ127が紙原稿を読み取り、紙原稿画像データを生成する。
ステップS802では、複合機1405内の印刷制御部221が紙原稿画像データ内に識別IDが存在するか否かを判定する。識別IDが存在する場合(Yes)はステップS803に移行し、識別IDが存在しない場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS803では、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ引き出し要求を行う。引き出し要求を行うにあたっては、識別ID及びユーザ情報に基づいてストレージ情報を生成する。そして、ストレージ情報に基づいてパケットデータを生成する。
このステップS803ではさらに、複合機1405内の印刷制御部221がストレージ先の装置である複合機1403のアドレスに対して、上記生成したパケットデータを送信する。これにより、ストレージ先の装置である複合機1403と通信ができた場合には、ストレージ引き出し要求に対して、複合機1405にパケットデータが戻ってくることになる。このパケットデータには、ストレージ情報及びストレージ引き出し要求の戻り値を示すコマンド(原稿画像データ及び顕像地紋画像データ及び地紋画像データが記憶装置内に存在するか否か)が記述されている。
ステップS804では、図12に示すパケットデータ内のコマンド1203に基づいて、複合機1405内の印刷制御部221が原稿画像データ及び顕像地紋画像データが所定の格納場所に存在するか否かを判定する。判定の結果、引き出し可(画像データがある)の場合(Yes)はステップS805に移行し、引き出し不可(画像データがない)の場合(No)はステップS807に移行する。
ステップS805では、複合機1405内の印刷制御部221は、図12に示すパケットデータに基づいてストレージ先の装置から画像データの読み出しを行う。このステップS805における処理については、図18を用いて詳細に後述する。
ステップS806では、複合機1405内の印刷制御部221は、必要に応じて画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送る。プリンタエンジン125では、この画像データを出力用紙上に形成する。なお、この段落では、「必要に応じて」と表現したが、具体的には複数種類の画像データ(地紋画像データ+原稿画像データのような複数種類の画像データ)が送られてきた場合には、画像データを合成した上でプリンタエンジン125に送る。一方、一種類の画像データが送られてきた場合には、その画像データをプリンタエンジン125に送る。
一方、ステップS804において画像データがないと判断された場合(No)は、通常のコピー処理と同様にステップS801でスキャンされた画像データを図1のHDD124上に展開し、この展開した画像データをプリンタエンジン125によって用紙上に出力する(ステップS807)。
続いて、ステップS805における処理について、図18のフローチャートを用いて詳細に説明する。この処理は、上記ストレージ先の装置が行う処理である。もちろん、この処理は、ストレージ先の装置のCPUにより統括的に制御されることになる。なお、この図18のフローチャートの処理より前に、このストレージ先の装置のCPUは、印刷装置1402から送られてきたパケットデータにより、どの画像データに対する引き出し要求がなされているかを認識している。
ステップ1801では、複合機1405の表示画面上でユーザが入力したユーザ情報と、上記引き出し要求のなされた画像データに関連付けて記憶されているユーザ情報とを比較する。
比較の結果、一致する場合には、ステップS1802に移行する。そして、このステップS1802で、地紋画像データと原稿画像データとを合成するための命令を複合機1405に対して発行する。また、上記命令の発行に加えて、地紋画像データと原稿画像データとを複合機1405に対して送信出力する。
比較の結果、一致しない場合には、ステップS1803に移行する。そして、このステップS1803で、顕像地紋画像データと原稿画像データとを合成するための命令を複合機1405に対して発行する。また、上記命令の発行に加えて、顕像地紋画像データと原稿画像データとを複合機1405に対して送信出力する。
(その他の実施形態)
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。