JP4226979B2 - 光変調素子及びその製造方法並びにそれを有する表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光変調素子及びその製造方法並びにそれを有する表示素子に関し、さらに詳しくは、応答速度に優れた光変調素子及びその製造方法並びにそれを有する表示素子に関するものである。
液晶分子のダイレクターを制御することによって、屈折率、誘電率に代表される物性を変調できることが広く知られており、また、かかる物性の変調を利用した様々な特性をもつ光変調素子が提案されいる。液晶物質を用いた光変調素子は、薄型及び軽量であって、しかも、省電力性に優れるので、数々の分野でその利用が試みられているが、このような光変調素子の一つとして強誘電性液晶を用いた光変調素子が提案されている。強誘電性液晶を用いた光変調素子は、高速応答性を有しているので、表示(直視型表示、ライトバルブによる投射表示)、光コンピューティング、光インターコネクション等の光変調素子が提案されている。特に、クラーク及びラガヴォールが、表面安定化強誘電性液晶により、強誘電性液晶の表示素子としての可能性を提示してから、その高速応答性、高視野角性、高解像性、メモリー性等のユニークな特性が明らかになったので、表示分野での開発が盛んにおこなわれた。
表面安定化強誘電性液晶光変調素子は、自発分極を持ち、かつ、カイラルスメクティックC相を有する強誘電性液晶化合物を、配向処理を施した2枚の狭いギャップを有する基板間に導入したものである。この表面安定化強誘電性液晶光変調素子は、双安定性を有し、しかも、界面の効果で明確な(急峻な)しきい値特性を示すので、ネマティック液晶の単純マトリクス駆動の走査線の限界を超える方式として期待された。さらに、この表面安定化強誘電性液晶光変調素子は、ネマチティック液晶等と比較して極めて大きな誘電性(自発分極に起因)を有しているので、高速応答が可能となっており、そのために、直視型、投射型の光変調素子として実用化がなされた。しかしながら、この表面安定化強誘電性液晶光変調素子は、双安定性を有するがゆえに中間調表示が困難である、という問題があり、また、今日の薄膜スイッティング素子で駆動するには不向きである電圧透過率曲線にヒステリシスが存在する、という本質的な問題があった。
中間調を改善する方法として、素子構造、駆動方法での改善法として、時間分割階調表示、面積階調表示が検討された。
前者の「時間分割階調表示」は、数百マイクロ秒以下という強誘電性液晶の高速性をもちいて、1フレームをいくつかのサブフレームに分割し、このサブフレームでの透過光のON/OFFを制御して、時間を分割して中間調状態をあらわす方式である。しかしながら、この方式は、1フレームをいくつかのサブフレームにわけて表示するので、実質の表示速度が(強誘電性液晶の応答時間)×(サブフレーム数)となり、そのために、強誘電性液晶の高速性を充分に生かすことができず、実質の表示速度が落ちてしまう、という問題があった。また、きめこまかい中間調をあらわすためには、階調ビット数増加が必須となるので、データ伝送を超高速で行う必要が生じ、そのために、伝送側の負荷が大きくなってしまう、という問題があった。
後者の「面積階調表示」は、表示1画素をいくつかのサブ画素に分割し、このサブ画素の透過光のON/OFFを制御して、面積を分割して中間調状態を表す方式である。この方式は、1画素をサブ画素に分割するので、実質の1画素が大きくなり、そのために、解像度を落とすという問題があった。また、この方式は、サブ画素を用いるので、表示画素が増え、そのために、中間調をあらわすためのデータ伝送数が多くなるという問題もあった。
このような双安定性を用いた強誘電性液晶の検討経緯の中、近年、強誘電性液晶自身が階調特性を有し、ヒステリシスのない(少ない)ハーフV字モード、V字モードの検討や高分子を強誘電性液晶と共存させることによるハーフV字モード、V字モードの検討が盛んにおこなわれている。V字モードは、液晶素子に対して振幅が同じで極性が異なる電圧を印加したときに、同じ透過率が得られる液晶表示モードであり、アルファベットのVの字に電圧透過率曲線が似ているので、V字モードとよばれている。ハーフV字モードとは、等方相−カイラルネマチック相−カイラルスメクチック相を有する液晶を用いたもので、振幅が同じで極性が異なる電圧を印加したときに、ある電圧をさかいに片方向のみ透過率が変化し、他方は透過率がほとんど変化しない、すなわち、半分だけV字の電圧透過率曲線を示すものである。このような表示モードの中で強誘電性液晶材料そのもので階調機能を持たせているものは、強誘電性液晶の双安定性を無くし階調機能を持たせているので、階調表示が可能となるが、メモリー性(双安定性)を失うと共に、表面安定化強誘電性液晶表示素子等に見られる配向の不安定性(衝撃に弱い)を有したものとなる。
また、高分子分散液晶の製造に用いられてきたような重合可能なモノマーを強誘電性液晶中に存在させ、重合することにより得た複合液晶において階調機能やメモリー性をもたせた表示素子(特許文献1を参照。)は、その配向安定性が強誘電性液晶のみの場合より優れているが、モノマーを重合させる過程で温度や光が必要なこと、精度が要求されること、一度重合させてしまえば欠陥があっても修復は不可能であること、といった問題点があり、また、液晶中に含まれる高分子の含量が比較的多いので駆動電圧が高くなること、高分子部が散乱しコントラストを下げること、といった問題があった。
また、耐ショック性にすぐれ階調表示が容易な表示素子を提供するために、液晶表示素子に低分子量の水素結合性化合物で構成される強誘電性液晶ゲルを用いるもの(特許文献2を参照。)が提案された。しかしながら、この液晶表示素子は、液晶の流動性を消失させたことによる強誘電液晶の配向安定化のみを達成するものであって、階調表示を達成するのものではない。また、同様に、低分子量の水素結合性化合物を使用してコントラスト比が大きく階調表示が可能な表示素子(特許文献3を参照。)が提案された。しかしながら、この表示素子は、メモリー特性やヒステリシス特性に関して全く考慮されてなく、また、階調表示の駆動電圧が高い、という問題があった。
そこで、本発明者らは、強誘電性液晶素子に階調特性及びメモリー特性を付与すべく、強誘電性液晶と会合性化合物(特許文献2、非特許文献1、及び、非特許文献2を参照。)との複合体について探究してきた。その結果、ここで使用した会合性化合物の内で後述する比較例1(図9)に示すような電圧対光強度変化を示すものが光変調素子を作製できることがわかった。しかしながら、これらの光変調素子は、1)階調特性が十分でないこと、2)ヒステリシスが激しいこと、3)会合性物質の組織部分で強誘電性液晶と異なる予期できぬ光変調があらわれ素子としてのコントラストが落ちること、4)会合性物質の組織構造が粗く(図28)高解像度化できないこと、5)階調特性とメモリー性を両立できないこと、6)使用する材料によっては作製される会合体と強誘電性液晶の複合体の安定性がわるく、両者が分離してしまうこと、等の問題があった。
特開平7−248489号公報 特開2000−239663号公報 特開2000−305087号公報 「高分子論文集」、1995年、第52巻、第12号、第773頁 「高分子加工」、1996年、第45巻、第1号、第21頁
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、強誘電性液晶を用いた光変調素子において、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた光変調素子を提供することを目的としている。
本発明者は、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されるもので構成されている光変調素子としたところ、従来の低分子化合物よりなる会合性化合物を含有するものと比べて、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた光変調素子を提供できることを見いだして本発明を完成するに至った。
即ち、請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、
前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されるもので構成されていることを特徴とする光変調素子である。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」が、次の一般式(1)
[但し、式中、
Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25 又はC37である。)であり、
1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1〜X3は、H、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基及び会合性部位を有する有機基であって、それらの少なくとも一つは光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
mは、0以上の整数であり、nは、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基でない場合には自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるか、又は、次の一般式(2)
[但し、式中、
Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA−(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1 は、光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
mは、0以上の整数であり、
n及びlは、自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の会合性部位を含む有機基の数が、3個以上であることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の会合性部位を含む有機基の数が、3個以上であって、且つ、n/m+nが、0.3以上、好ましくは、0.5以上であることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の分子量が、1000以上であることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基が、次の式
―NH−、及び、−C(=O)−
に示される2つの部分構造を有すると共に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」同士の会合反応生成物が、前記2つの部分構造の水素部分と酸素部分との水素結合により形成されるものであることを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」が、次の一般式(3)
[但し、式中
aは、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1a〜R5aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1a〜X3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであって、それらの少なくとも一つは−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9 )−NH−CO−R12、或いは、一般式(5)で示されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基でない場合は自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるか、又は、次の一般式(6)
[但し、式中、
aは、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1a〜R3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1aは、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであることを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、請求項に記載された発明において、前記−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、一般式(5)で示される有機基が、次の一般式(7)〜(10)、
1)次の一般式(7)
−(CH2n−CONHC*H(L1 )CONHR13 (7)
[但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、L1 は炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Phを示す。]
2)次の一般式(8)
−(CH2n−CONHC*H(L1)CONHC*H(L2)CONHR13 (8)
[但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。また、L1、L2は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2 CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2Phを示す。]
3)次の一般式(9)(鏡像を含む)
[但し、式中、nは、1〜18の整数である。]
4)次の一般式(10)
[但し、式中、n1は、1〜18の整数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の整数である。]
から選ばれる有機基であることを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載された発明において、前記(a)の「強誘電性液晶化合物」に対する前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の割合が、5重量%未満であることを特徴とするものである。
請求項10に記載された発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載された発明において、前記会合性部位の会合非会合の転移温度が、液晶のスメクチックA相又はカイラルスメクチックC相に存在することを特徴とするものである。
請求項11に記載された発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載された発明において、前記会合性部位の会合非会合の転移温度が、カイラルスメクチックC相に存在することを特徴とするものである。
請求項12に記載された発明は、
一対の基板間に、
(a)強誘電性液晶化合物、及び、
(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有し、かつ、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されている化合物
を存在させ、これを加熱して等方性液体状態とした後、スメクチック相出現温度以前から徐冷することを特徴とする光変調素子の製造方法である。
請求項13に記載された発明は、
一対の基板間に、
(a)強誘電性液晶化合物、及び、
(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有し、かつ、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されている化合物
を存在させ、これを加熱して等方性液体状態とした後、冷却する過程において、磁場又は電場を印加することを特徴とする光変調素子の製造方法である。
請求項14に記載された発明は、請求項12又は13に記載された発明において、一対の基板間に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」を存在させた後に、前記「強誘電性液晶化合物」の注入を行うことを特徴とするものである。
請求項15に記載された発明は、請求項14に記載された発明において、前記「強誘電性液晶化合物」、及び、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」とが混和しない温度条件下で、前記「強誘電性液晶化合物」を注入することを特徴とするものである。
請求項16に記載された発明は、請求項15に記載された発明において、前記「強誘電性化合物」を一対の基板に注入した後に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」と前記「強誘電性液晶化合物」とを加熱して混和させ、続いて、冷却することを特徴とするものである。
請求項17に記載された発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光変調素子を有することを特徴とする表示素子である。
請求項18に記載された発明は、請求項17に記載された発明において、前記光変調素子における一対の基板が電極及び光偏向膜を有することを特徴とするものである。
請求項19に記載された発明は、請求項17又は18に記載された発明において、前記光変調素子に電圧を印加して得られる光強度(σ)の最大値を1とし、光強度の最小値を与える電圧をV1、光強度lを与える電圧値をV2とした時に、V1からV2の電圧領域において、電圧変化に対する光強度変化の割合の絶対値(|Δσ/ΔV|)の最大値が、0.7以下であることを特徴とするものである。
請求項20に記載された発明は、請求項17〜19のいずれか1項に記載された発明において、前記一対の基板の少なくとも一方の基板が、250μm厚以下のプラスチック基板であることを特徴とするものである。
請求項21に記載された発明は、請求項20に記載された発明において、前記プラスチック基板が、ポリカーボネイト又はポリエーテルスルフォンで構成されていることを特徴とするものである。
本発明は、以下に記載する効果を奏する。
請求項1〜4に記載された発明によれば、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されるもので構成されているので、従来の低分子化合物よりなる会合性化合物を含有するものと比べて、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた光変調素子を提供することができる。
請求項5〜に記載された発明によれば、より会合体が安定である光変調素子を提供すると共に、光変調特性が安定な光変調素子を提供することができる。
請求項に記載された発明によれば、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」が、次の一般式(3)
[但し、式中
a は、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
a は、Y a がSiのときは0であり、Y a が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH 3 、C 2 5 又はC 3 7 である。)であり、
1a 〜R 5a は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1a 〜X 3a は、H、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、−R 8 −NHC*H(R 9 )CO−R 10 、又は、−R 11 −C*H(R 9 )−NH−CO−R 12 、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであって、それらの少なくとも一つは−R 8 −NHC*H(R 9 )CO−R 10 、又は、−R 11 −C*H(R 9 )−NH−CO−R 12 、或いは、一般式(5)で示されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R 7 とR 10 R、R 12 は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R 6 、R 8 R、R 11 は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R 9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH 2 CH 2 COOCH 3 、−CH 2 CH 2 COOCH 2 CH 3 、−CH 2 CH 2 COOCH 2 Ph、―CH 2 CH 2 CONH(CH 2 n0 CH 3 (式中、n 0 は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、X 2a 又はX 3a が会合性部位を有する有機基の場合には0以上の整数であり、X 2a 又はX 3a が会合性部位を有する有機基でない場合は自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるか、又は、次の一般式(6)
[但し、式中、
a は、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
a は、Y a がSiのときは0であり、Y a が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH 3 、C 2 5 又はC 3 7 である。)であり、
1a 〜R 3a は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1a は、−R 8 −NHC*H(R 9 )CO−R 10 、又は、−R 11 −C*H(R 9 )−NH−CO−R 12 、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R 7 とR 10 R、R 12 は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R 6 、R 8 R、R 11 は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R 9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH 2 CH 2 COOCH 3 、−CH 2 CH 2 COOCH 2 CH 3 、−CH 2 CH 2 COOCH 2 Ph、―CH 2 CH 2 CONH(CH 2 n0 CH 3 (式中、n 0 は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるので、従来の低分子化合物よりなる会合性化合物を含有するものと比べて、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた光変調素子を提供することができる。
請求項8に記載された発明によれば、より会合体が安定である光変調素子を提供すると共に、光変調特性が安定な光変調素子を提供することができる。
請求項9に記載された発明によれば、より会合体が安定である光変調素子を提供すると共に、光変調特性が安定な光変調素子を提供することができる。
請求項10,11に記載された発明によれば、よりコントラストの向上した光変調素子を提供することができる。
請求項12に記載された発明によれば、よりコントラストを向上させた光変調素子の製造方法を提供することができる。
請求項13に記載された発明によれば、ヒステリシスを低減し、メモリー性を向上させた、光変調素子の製造方法を提供することができる。
請求項14に記載された発明によれば、生産性を向上させた光変調素子の製造方法を提供することができる。
請求項15,16に記載された発明によれば、光変調むらを向上させた素子の製造方法が提供することができる。
請求項17,18に記載された発明によれば、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」を含有する液晶組成物を存在させた光変調素子を有しているので、従来の低分子化合物よりなる会合性化合物を含有するものと比べて、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた表示素子を提供することができる。
請求項19に記載された発明によれば、階調制御が行いやすい表示用素子を提供することができる。
請求項20に記載された発明によれば、気泡の発生を抑えた軽量性、可トウ性に優れたプラスチック表示用素子を提供することができる。
請求項21に記載された発明によれば、表示品質が高く、軽量性、可トウ性に優れるプラスチック表示用素子を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子のセルの平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の他の一実施の形態を示す液晶表示素子のセルの平面図である。図4は、図3のB−B断面図である。図5は、実施例1で得られた液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。図6〜23は、それぞれ、実施例1〜19で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を液晶パネル評価装置(大塚電子社製)で測定した結果を示す(以下、「液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。」という。)。図24は、実施例20において実施例13で得られた液晶表示素子に印加する印加波形を示す。図25は、実施例20において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。図26は、実施例21において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。図27は、実施例22において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。図28は、比較例1で得られた液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。図29は、比較例1で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。図30は、比較例2で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。図31は、会合点温度と液晶相転移温度との関係を示すグラフである。
本発明の光変調素子には、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している。そして、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造は、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されるもので構成されている。
本発明における「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」(以下、「(b)の化合物」という。)は、いわゆる、オリゴマー及びポリマーで現される構造単位を有する化合物である。このオリゴマー/ポリマー鎖の構造としては、基本的に液晶に相溶性のよいものが使用可能であるが、特に、好ましくは、定性的にはミクロ運動が活発なもの、及び、結晶性の低いものが使用される。また、このオリゴマー及びポリマーは、好ましくは、そのガラス転移点が室温(25度)以下のものである。そのガラス転移点が室温以上であるものは、強誘電性液晶に溶解しずらく、作製される会合体組織も粗いものになりやすく、また、複合体の安定性も悪くなりやすい。
このオリゴマー及びポリマーは、その具体的な化学構造としては、分子中にヘテロ結合を含むものであり、好ましくは、次の一般式、
−R11
(式中、R1 は、アルキレン基であり、そして、X1 は、O、S、COO、NR2 (R2 ;アルキル基)である。)、
又は、次の一般式(11)
(式中、R14及びR15は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基であって、同一であっても異なっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を有するものである。
このような化学構造は、2種以上であっても良く、オリゴマー及びポリマーの主鎖に存在してもよいし、また、側鎖に存在してもよいが、オリゴマー及びポリマーのガラス転移点が室温以下になる程度に存在していることが必要である。さらに、具体的なオリゴマー鎖及びポリマー鎖としては、次の一般式
−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−Si(R3)(R4)O−、−CH2CH2N(R2 )−、−CH2CH2S−、−CH2CH2COO−、
で示されるものが好ましい。
前記(b)における「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」は、前記(b)の化合物における繰り返し構造鎖に導入された、化学反応以外の力により集合体を形成することができる、有機基である。かかる有機基が導入された化合物は、会合性物質として作用して会合組織(図5に示される前記有機基の作用によって形成される縦に通るスジの部分)を形成するが、この会合組織は、共有結合以外の二次的結合力、即ち、水素結合、分子配向、ヘリックス形成、ラメラ形成等の分子間力結合又はイオン結合による二次的結合力により形成される。分子間力結合による非会合状態への変化は、一般的には、温度を上げることによって引き起こすことができる。イオン結合による非会合状態への変化は、一般的には、pHやイオン強度を変化させることによって引き起こすことができるが、会合状態は室温(25度)以上で安定でなければならない。このような有機基は、具体的には、アミド結合や水酸基を有する水素結合性の化合物{アミド結合を有する化合物(アミノ酸系化合物、尿素系化合物)、ソルビトール系化合物、ステロイド系化合物等}、非対称長鎖アルキルアンモニウム塩等のイオン成分をもつもの、或いは、コレステロール誘導体、ポリフルオロアルキル化合物、長鎖アルコキシアントラセン等のイオン部及び水素結合部をもたない材料の構造に起因するファンデルワールス力、π−πスタッキング等による化合物から生成するものである。
前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」は、前記(b)の化合物の繰り返し構造鎖の主鎖及び側鎖のどちらに含まれていてもよいが、(b)の化合物の繰り返し構造鎖に1つしか存在しない場合には、その有機基中の会合性部位は、2箇所以上存在することが必須である。その理由は、本発明では、会合性化合物(「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」を有する化合物)が二次元的又は三次元的な組織を構築することを前提にしているためである。前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」が高分子鎖に1個しか存在してなく、また、その有機基中の会合性部位が1箇所である場合には、2量体にしかならず、本発明の目的は達成できない。
前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」が(b)の化合物の繰り返し構造鎖に1個しか存在しない場合(但し、その有機基中の会合性部位は2箇所以上)には、本発明を改善する効果はあるものの、より微細な会合組織が得にくくなる。その理由は、会合部位が限られているので、構造の単純な会合組織が形成されやすいためである。
前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」における会合性部位は、好ましくは、2箇所以上存在し、さらに好ましくは、3箇所以上存在する。(b)の化合物の繰り返し構造鎖に存在させる「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」は、好ましくは、2箇所以上で、さらに好ましくは3箇所以上である。前記有機基は、(b)の化合物の繰り返し構造の側鎖に導入されていることが好ましい。このようにすることにより、より微細な会合組織が得られる。その理由は、(b)の化合物の繰り返し構造鎖の非晶質性に加え、会合部位が複数あることにより会合組織が複雑になるためである。
本発明における有機基のもつ光学活性は、強誘電性液晶の配向性を向上させる上で重要である。有機基のもつ光学活性は、好ましくは、強誘電性液晶のカイラルスメクチックC相でのピッチを長くする方向に働くような立体配置を有する有機基、及び、カイラルネマチック相でのピッチを長くする方向に働くような立体配置を有する有機基である。また、有機基の持つ光学活性は、以下に述べる水素結合による会合組織の場合には、その会合力を増強させる上で必要である。
会合組織は、水素結合によるものが好ましい。ファンデルワールス力、π−πスタッキング等による会合組織は、その会合力が弱く温度安定性に欠ける。イオン結合によるものは、会合力は強いが、イオン成分を有するので、分極による液晶ダイレクターの乱れをひきおこしやすい。かかる会合組織は、好ましくは、前記非特許文献1の「オイルゲル化剤の開発とゲル化機構の解明」の項及び前記非特許文献2の「オイルゲル化剤」の項に記載される光学活性を有するゲル化剤によって形成されたものであるが、特に、好ましくは、−NH−又は−CO−よりなる水素結合により形成されるものである。
前記(b)の化合物の繰り返し構造鎖に存在させる「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」としては、次の式
―NH−C*H(L)−CO−、又は、−C*H(L)NHCO―
(式中、Lは一価の有機基である。)
を有するものが好ましい。
具体的には、次の一般式、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12に示されるもの、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}
で示されるものである。
前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」は、さらに好ましくは、以下の一般式(7)から(10)
1)次の一般式(7)
−(CH2n−CONHC*H(L1 )CONHR13 (7)
[但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、L1 は炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Phを示す。]、
2)次の一般式(8)
−(CH2n−CONHC*H(L1)CONHC*H(L2)CONHR13 (8)
[但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。また、L1、L2は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2 CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2Phを示す。]、
3)次の一般式(9)(鏡像を含む)
[但し、式中、nは、1〜18の整数である。]、
4)次の一般式(10)
[但し、式中、n1は、1〜18の整数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の整数である。]、
に示される有機基である((5)はその鏡像体も含む。)。
から選ばれる有機基である。
光学活性炭素に結合している有機基(L)は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2 Ph、−CH2CH2COOCH3 、− CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Phから選択されるものであるが、好ましくは、炭素数3−6のアルキル基、さらに好ましくはi−C37、s−C49である。
前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基」は、(b)の化合物の繰り返し構造鎖に対してメチレン鎖−(CH2 )n −で結合されることが好ましく、その繰り返し単位数は、(b)の化合物の繰り返し構造鎖の運動を妨げないこと、及び、会合組織の形成を妨げないこと、からn≧4であることが好ましい。前記有機基は、共有結合で側鎖として導入されていることが好ましく、また、その導入割合は、好ましくは、(b)の化合物の繰り返し構造に対して30%以上、さらに好ましくは、50%以上である。
また、本発明における(b)の化合物は、好ましくは、次の一般式(1)又は(2)で示される。
[但し、式中、
Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25 又はC37である。)であり、
1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1〜X3は、H、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基及び会合性部位を有する有機基であって、それらの少なくとも一つは光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
mは、0以上の整数であり、nは、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基でない場合には自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるか、又は、次の一般式(2)
[但し、式中、
Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA−(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1 は、光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
mは、0以上の整数であり、
n及びlは、自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示される化学構造を有しているものである。
また、本発明における(b)の化合物は、さらに好ましくは、次の一般式(3)
[但し、式中
aは、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA−(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1a〜R5aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1a〜X3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであって、それらの少なくとも一つは−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9 )−NH−CO−R12、或いは、一般式(5)で示されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基でない場合は自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものであるか、又は、次の一般式(6)
[但し、式中、
aは、Si、又は、次の一般式(4)
で示される基であり、
aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
1a〜R3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
1aは、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
から選択されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
mは、0以上の整数であり、nは、自然数であり、lは自然数であり、そして、
m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
で示されるものである。
本発明における(b)の化合物は、特に好ましくは、次の一般式(12)
[但し、式中、
(イ)R16〜R22は、炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基から選ばれる基であって、同一であっても、また、異なっていてもよく、
(ロ)X1bは、
1)次の一般式(7)
−(CH2)n−CONHC*H(L1)CONHR13 (7)
(式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、L1 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2 Ph、−CH2CH2COOCH3 、− CH2 CH2COOCH2CH3、及び、−CH2CH2COOCH2Phである。)、
2)次の一般式(8)
−(CH2n−CONHC*H(L1)CONHC*H(L2)CONHR13 (8)
(式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。L1、L2は炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、− CH2 CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Phである。)、
3)次の一般式(9)
(式中、nは、1〜18の整数である。)、及び、
4)次の一般式10
(式中、n1は、1〜18の整数であり、そして、n2 及びn3 は、0〜9の整数である。)
から選ばれる有機基であり、そして、
(ハ)mは、0又は自然数であり、nは、自然数であり、lは、自然数であり、そして、m及びnは、m+n≧5の関係を満たす。mとnの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。]
で示されるオルガノシロキサンである。
高分子化合物は、その高分子鎖が前記強誘電性液晶化合物に相溶性のよいものであれば基本的には使用可能であるが、特に、好ましくは、定性的にはミクロ運動が活発なものであって、結晶性の低いものであり、また、物性的にはガラス転移点が室温(25度)以下であるものである。前記高分子化合物は、ガラス転移点が室温以上であると、強誘電性液晶に溶解しにくくなるので、前記会合性部位によって形成される会合体組織が粗いものになりやすく、また、複合体の安定性も悪くなりやすい。
本発明によれば、一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
(式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
に示されるもので構成されているので、従来の低分子化合物よりなる会合性化合物を含有するものと比べて、階調機能を持たせると共に、配向安定性を有し、しかも、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、欠陥修復が可能であって、高解像度が可能である、会合体の安定性に優れた光変調素子を提供することができる。また、特に、前記(b)の化合物がオルガノシロキサン構造を有していると、前記(b)の化合物を含有する液晶組成物に微細な会合体組織が構築され、そのために、階調特性、配向安定性、コントラスト及び会合体の安定性に優れ、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、高解像が可能であり、しかも、強誘電性液晶と混和しやすいことにより作製のし易い光変調素子を提供することができる。
本発明によれば、(b)の化合物の繰り返し単位数は、3以上、好ましくは、5以上、さらに好ましくは、10以上である。繰り返し単位数が5以上であると、よりオリゴマー及びポリマーの鎖部の非晶質性を確保しやすく、また、作製される会合体組織も微細なものが得られやすく、しかも、複合体の安定性も良くなりやすい。
すべての一般式で示される(b)の化合物のXの導入比:n/(m+n)は、0.3以上、好ましくは、0.5以上である。(b)の化合物中における会合性部位であるXの割合が低い場合は、強誘電性液晶に対する会合性化合物の濃度を高くして会合させ、使用することができる。従来、後述する比較例1(従来技術)に示すように、低分子化合物よりなる会合性物質の高濃度の添加は、強誘電性液晶の配向が難しく乱れがちとなるので、コントラストを下げることとなり、また、会合組織が太く構築され、この部分及びその近傍の光変調特性が強誘電性液晶と異なることとなるので、コントラストを落とす要因となり、しかも、駆動電圧も高くなってしまう。しかしながら、本発明によれば、一般式で示される(b)の化合物のXの導入比:n/(m+n)を0.3以上、好ましくは、0.5以上としたので、(b)の化合物よりなる会合性物質の少量の添加により液晶物質を取り込むに充分な会合構造を形成することができる。
本発明における(b)の化合物の分子量は、1000以上、好ましくは2000以上、さらには、4000以上である。1000以下で繰り返し構造鎖部の非晶質性を保とうとすると、即ち、鎖部の分子量を非晶質性を保持できる程度に維持すると、導入できる有機基の数は必然的に少なくなり、微細な会合構造を得られにくくなったり、会合体の安定性不足を生じやすくなる。その理由は、会合部位が限られてくるので、構造の単純な会合組織が形成されやすいためと考えられる。分子量と会合性部位との関係を説明すると、分子量が2000程度、3000程度、4000程度、5000程度、6000程度、8000程度及び10000程度である場合には、それぞれ、有機基が2又は3個、3〜5個、5〜7個、5〜9個、7〜10個、9〜14個及び9〜18個であることが好ましい。
本発明における「強誘電性液晶」は、強誘電性状態を持ちうる液晶を意味し、反強誘電性液晶をも含むものである。したがって、本発明における「強誘電性液晶」は、特別、材料的な限定はなく、例えば、日本学術振興会第142委員会編、「液晶ハンドブック」、1989年 9月29日発行、第128−134頁に記載の材料が使用可能である。
強誘電性液晶に対する(b)の化合物の添加量が多くなると、強誘電性液晶の配向が難しく乱れがちとなるので、強誘電性液晶に対する(b)の化合物の添加量を多くすることは、コントラストを下げる要因となる。また、強誘電性液晶に対する(b)の化合物の添加量を多くすると、会合組織が太く構築されるので、この部分及びその近傍の光変調特性が強誘電性液晶と異なることになり、やはり、コントラストを落とす要因となる。本発明における強誘電性液晶化合物に対する(b)の化合物の割合は、好ましくは、5重量%未満、好ましくは0.5%重量%以下さらに好ましくは、0.25重量%以下である。光変調を行うために印加する電圧の面からは、強誘電性液晶化合物に対する(b)の化合物の割合が5重量%以上であると、後述する光強度(σ)が0.1になる静的な印加電圧V10と0.9になる静的な印加電圧V90との差|V90−V10|が10以上になりやすい。それ故、本発明における強誘電性液晶化合物に対する高分子化合物の割合は、好ましくは、5重量%未満、好ましくは0.5重量%以下さらに好ましくは、0.25重量%以下である。
本発明においては、会合性部位の会合非会合の転移温度は、スメクチックA相又はカイラルスメクチックC相に存在する。強誘電性液晶と(b)の化合物との等方性液体状態を一対の基板間で冷却していく過程では、(b)の化合物の会合温度は、液晶がスメクチックA相又はカイラルスメクチックC相の時に会合が起こるようにすることが好ましい。スメクチックA相又はカイラルスメクチックC相での会合性化合物の会合は、概ねスメクチック相間でおこるので、形成される組織もこの層間に集中する。このため、カイラルスメクチックC相での強誘電性液晶の配向を著しく阻害することがない。これに対して、等方相又はカイラルネマチック相において会合性化合物の会合がおこると、会合の結果できる集合体が基板内に不規則にできやすく、カイラルスメクチックC相での液晶の配向を阻害することとなり、コントラストを落とすこととなる。
強誘電性液晶及び(b)の化合物の等方性液体状態からの冷却過程では、徐冷することが好ましい。徐冷することにより(b)の化合物の会合がスメクチック層間で起こりやすくなり、強誘電性液晶の配向性を向上させ、コントラストを向上させることが可能である。徐冷のスピードは、0.5℃/分以下、好ましくは、0.3℃/分以下であり、徐冷の開始点は、会合点温度がスメクチックA相に存在するときは、スメクチックA相出現以前から行うことが好ましく。会合点温度がカイラルスメクチックC相に存在するときは、カイラルスメクチックC相出現以前から徐冷を開始することが好ましい。また、会合点温度がカイラルスメクチックC相に存在していても、使用している強誘電性液晶がスメクチックA相を有するものであれば、徐冷は、スメクチックA相出現以前から行うことが好ましい。
強誘電性液晶及び会合性化合物の等方性液体状態からの冷却過程で磁場又は電場を印加することにより、ヒステリシス、メモリー性を改善することが可能である。電場においては、交流電場が好ましい。この理由は、強誘電性を示すカイラルスメクチックC相で強誘電性液晶分子がコーン上で電場に応答し回転運動を起こすため、強誘電性液晶中と会合組織の相互作用によるストレスが緩和されるためと推測される。特に、会合温度がスメクチックA相あるいはカイラルスメクチックC相に存在する(b)の化合物において効果が大きく、ヒステリシス、メモリー性の改善が可能である。
液晶を用いた光変調素子の製造においては、一対の基板間への液晶化合物の導入は、液晶化合物の減圧注入により行われている。このような液晶化合物の注入方式は、特に、基板間の厚みの精度が要求されるTN,STN、(反)強誘電液晶表示等において採用されている。本発明においては、(b)の化合物を液晶化合物に含有させるので、(b)の化合物と液晶化合物とからなる液晶組成物は、液晶化合物のみの状態よりも、増粘又はゲル化した状態(擬似固体状態)となるので、液晶組成物を両基板間へ減圧注入することは、常温においては困難であるが、加熱により液晶組成物を低粘度液体状態とすることにより可能となる。その場合、液晶組成物の注入が終了するまでは、低粘度液体状態を保つ必要があるので、注入皿、基板等を加熱しておく必要が生じる。このような操作は、エネルギー的に不利であり、生産性を下げる要因となる。そこで、一対の基板間にあらかじめ、(b)の化合物を存在させておくと、よりエネルギー的に有利であるとともに、従来の強誘電性液晶の注入技術がそのまま使用できることとなる。基板内に(b)の化合物をあらかじめ存在させるには、両基板を封止剤を用い接着させる以前の状態、即ち、基板1枚の状態の時に、(b)の化合物の分散液を少なくとも一方の基板の内表面に塗布すればよい。(b)の化合物の分散液の塗布方法としては、スピン塗布、デップ塗布、フレクソ印刷等の従来公知の塗布方法が使用できるが、封止部に(b)の化合物が着かないようにすることが好ましい。
また、液晶化合物を減圧注入した液晶表示素子は、その大部分が基板間距離を一定にするためギャップ剤を使用している。このギャップ剤は、両基板を貼り付ける前に基板上に存在させておくものである。このギャップ剤配置方法の一つに湿式散布法がある。湿式散布法は、基板上部よりギャップ剤を含む液体を噴霧し、基板上にギャップ剤をふらせる方法である。この時に使用する液体に(b)の化合物を溶解あるいは分散させておくと、一段階でギャップ剤、(b)の化合物の両方を基板上に付与できるようになる。この方法は、散布方法に限らず、液体を用いてギャップ剤を基板上に配置する方法であれば適用可能である。(b)の化合物は、使用する液体に溶解させるのではなく、分散させてあることが好ましい。
前記一対の基板間に(b)の化合物を存在させた後に、液晶化合物の注入を行う過程において、(b)の化合物が、液晶化合物を注入する温度では液晶化合物と混和しないようにすることが必要である。液晶化合物が(b)の化合物と混和してしまうと、液晶化合物の注入にしたがい会合が起こり、それ以上の注入ができなくなったり、しづらくなったりする。会合の進行がおそいものでも注入時に混和してしまうと、液晶化合物の注入にしたがい、(b)の化合物が注入口から遠ざかる方向に移動していき、注入口からの距離により(b)の化合物の濃度が異なることになる。このような状態で作製された光変調素子は、均一な光変調ができなくなってしまう。この現象は液晶を注入する温度では液晶と混和しない(b)の化合物を選択すること、又は、混和しない温度領域において注入することにより回避可能である。(b)の化合物が液晶化合物と混和しないという意味は、本来注入時間のみ混和が避けられれば良いので、液晶化合物に対する(b)の化合物の溶解性が小さい、又は、長い溶解時間が必要な化合物という意味であって、その温度においてまったく混和しないというものである必要はない。液晶の注入後は、混和を促進するため温度を一旦上昇させ、混和させたのちに冷却することにより、短時間で光変調むらの少ない光変調素子を提供することができる。
本発明の光変調素子は、その基板が電極を有しかつ偏光板を備えることにより表示素子となる。このように、基板が電極を有しかつ偏光板を備えていると、階調機能を有し、コントラストが高く、ヒステリシスが少なく、メモリー性を有し、高解像度な表示素子を提供することできる。ここで使用される偏光板(偏光子)は、反射型、散乱型、屈折型、複屈折型、単結晶二色性型、高分子二色性型等、特に、制限はないが、可とう性があるものが好ましく、高分子二色性型偏光子が最も好ましく使用される。
このような表示素子においては、光変調素子に電圧を印加して得られる光強度(σ)の最大値を1とし、光強度の最小値を与える電圧をV1 とし、光強度1を与える電圧値をV2 とした時に、V1 からV2 の電圧領域において、電圧変化にたいする光強度変化の割合の絶対値(|Δσ/ΔV|)の最大値が、0.7以下、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは、0.35以下である。
電圧変化にたいする光強度変化の割合の絶対値(|Δσ/ΔV|)は、光強度を電圧で微分したものである。即ち、微分値の絶対値が大きいということは、小さな電圧変化に対して大きな光強度変化がおこることを表している。階調数を増加させると、印加電圧をより細かいステップで制御することが必要だが、印加電圧に対する光強度変化が大きいと、アクティブ駆動で使用されるスイッチング素子での電圧制御が困難となり、階調数を落とすことになる。パッシブ駆動の場合でも電圧値で階調を制御することは変わりないので、印加電圧に対する光強度変化が大きいと階調数を多く表現できなくなる。それ故、光強度変化の割合の絶対値(|Δσ/ΔV|)の最大値が、0.7以下、好ましくは、0.5以下、さらに好ましくは、0.35以下である。
また、印加電圧の値の観点からは、光強度が0.1になる静的な印加電圧V10と0.9になる静的な印加電圧V90とが|V90−V10|≦10の関係であることがさらに好ましい。|V90−V10|>10であるとアクティブ駆動で使用させるスイッチング素子による駆動が困難となる。また、パッシブ駆動の場合、静的な印加電圧が10V以上である場合、パルス駆動における波高値が高くなり、やはり汎用のLCD駆動ICでの動作が困難となってくる。それ故、前記関係は、好ましくは、|V90−V10|≦6である。また、一対の電極間の距離は適宜設定されるものであるが、この電圧範囲となるように設定することが好ましい。(b)の化合物の添加量は、求むべきコントラストと駆動電圧、配向安定性との兼ね合いにて決定されるものであるが、階調表示のためには、好ましくは、5重量%未満であり、1≦|V90−V10|≦6のためには、好ましくは、0.5重量%未満であり、さらに好ましくは0.25重量%未満である。
また、本発明者は、基本的構成のプラスチック基板を使用した液晶表示素子において気泡の発生実験をおこなったところ、気泡発生要因の一つとして押圧による発生があることが判った。これは基板面を何らかの形で押し、変形させることを意味している。同様なことをガラス基板の液晶表示素子において実施しても気泡が発生しないし、また、プラスチック基板に厚みがあって剛性の高いものを使用した場合にも気泡が発生しないことからすると、基板面の変形が寄与しているものと考えられる。
さらに検討を重ねたところ、押す物体が基板面を押し、その物体が離れる際に気泡が発生していることが判った。即ち、基板がもとの形にもどる際、押圧部内部が他の部分に比較し負圧になり気泡が発生するものと推測された。これは可とう性の基板を使用した場合には、基本的には避けられない現象である。特に、250μm以下のフイルム基板を使用した場合は顕著である。これを解決するために、本発明者は、両基板間に液晶中で会合可能な化合物を含ませたところ、気泡発生の抑制をすることが可能となった。この理由は明確には判明していないが、基板内部が他の部分に比較して負圧になる時に気泡が発生することから、低粘性状態の調光層から(b)の化合物が加わることにより増粘化、又は、ゲル化(固体様)した調光層となることにより、基板の変形に対する回復に調光層が追随するため、負圧になることが抑制され、気泡発生が抑制されるものと考えられる。また、同じ押圧であれば、増粘、あるいは固体様となった調光層の方が表示素子としても変形しにくいことも効果をあげる要因となっていると考えられる。
本発明に使用されるプラスチック基板は、表示用素子の性格上、可視光に対して透明なものが好ましく、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアクリレート系、ポリエーテル系等汎用の高分子材料を用いる事ができるが、リターデーションが小さく、ガス透過性(水分、酸素、窒素)が少なく、可視光の透過性が高く、線膨張係数が小さく、耐熱性の高い材料が好ましい。特に、厚み250μm以下のものを使用することが軽量性、厚み、破砕しない点で好ましいが、基板の厚みが薄くなるに従い、外部圧力に対する変形もし易くなるため、気泡の発生の危険性も上昇することとなる。本発明の態様はこのような薄いプラスチックフィルムを用いたときに大きな効果を発揮する。基板にプラスチック基板を使用することは従来から公知であり、前述の特許にも、プラスチック基板を使用できることが開示されている。しかしながら本発明のような目的解決の思想はなく、単に液晶を保持させる基板として使用可能であるということを開示しているにすぎなく、基板厚みに関する記述も、その変形に関する記述も一切見受けられない。また、本発明は強誘電性液晶を使用しているわけであるが、(b)の化合物を使用することにより強誘電性液晶光変調素子の欠点であった配向の不安定性(ショック性による配向不良)も改善できている。
プラスチック基板には、ポリカーボネイトあるいは、ポリエーテルスルフォンを用いることが好ましい。このような材質の250μm程度の基板は、リターデーション、可視光の透過性、耐熱性(〜180℃)、基板の軽量性、厚みの点に優れ表示素子を形成した場合、表示品質が高く、軽量性、可とう性、生産性に優れる液晶表示素子を提供できる。
本発明の液晶表示素子は、図1,2に示すように、ガラス基板で構成される光透過性の表示側基板1とこれに対向する非表示側基板2とを有すると共に、これらの基板1,2の間に強誘電性液晶化合物、及び、「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」、を含有する液晶組成物(図示せず)を有している。図1,2において、3,4は、ITO膜であり、そして、5は、シール剤である。
本発明の液晶表示素子は、図3,4に示すように、プラスチック基板で構成される光透過性の表示側基板11とこれに対向する非表示側基板12とを有すると共に、これらの基板11,12の間に強誘電性液晶化合物、及び、「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」、を含有する液晶組成物(図示せず)を有している。図3,4において、13,14は、ITO膜であり、15は、シール剤であり、そして、16は、液晶組成物の注入口である。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
(1)幅30mm、長さ40mm及び厚み3mmのガラス基板の一方の表面に幅10mm、長さ40mmのITO電極を形成した基板2枚を用意した。これらの基板を超純水シャワーで洗浄し、中性洗剤中で15分間超音波洗浄し、超純水シャワーで洗浄し、そして、超純水流中で20分間洗浄した後、チッソブローでITO表面の水滴を除去し、これらの基板をオーブン中において80℃で60分間乾燥して、クリーンなITO電極を有する基板とした。これらのITO電極を有する基板に配向剤をスピンコートにより塗布し、これらの配向剤を塗布した基板を80℃に保持したホットプレート上で5分間乾燥した後、250℃に保持したオーブン中で1時間焼成、熱処理を加え、続いて、セル作製後のラビング方向が平行になるようにラビング処理した。次に、平均直径1.5μmのギャップ剤(触媒化成社製)をイソプロピルアルコールに分散させて0.0238mg/ccの濃度のギャップ剤分散液を準備し、このギャップ剤分散液を前記ラビング処理したITO電極を有する基板1枚にスピンコートにより散布し、これを80℃に保持したホットプレート上で1分間乾燥した。そして、シール剤(三井化学社製、STRUCTBOND HC-1413FP)を残りの1枚のITO電極を有する基板上にディスペンサー(2軸ロボット)にて形成し、これを70℃で15分間プレベイクをし、これと先のギャップ剤をまいたITO電極を有する基板が互いに直交するように2枚の電極を張り合わせた後、上下にクッション剤をはさんで圧力を加えた。張り合わせた基板をこの状態のまま60分間放置した後、オーブン中で12時間加温し、続いて、120℃の温度で2時間加熱してシール剤を硬化させることによって空のセルとした(図1、2)。
(2)強誘電性液晶(クラリアント社製、FELIX-015/000 )に、次の一般式(13)
で示されるn/(m+n)が約0.5であって、分子量が約5000である会合性の高分子化合物1重量%を加え、これらを110℃の温度に加熱し混和させて、強誘電性液晶と会合性の高分子化合物とからなる液晶組成物とした。
(3)前記(1)で作成した空のセルを110℃の温度に加熱し、この加熱したセル中に前記(2)で調合した強誘電性液晶と会合性高分子とからなる液晶組成物を毛管現象を利用して導入した。紫外線硬化エンドシール剤(スリーボンド社製、3052)にて前記セルの開口部を封止し、110℃から室温まで8時間かけて冷却した。そして、直行ニコル状に偏光板を上下に設置し、評価用セルとした。
図5は、このようにして得た液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。図5に示すように、微細な会合性物質の組織が構築されているのが観察される(縦にとおるスジ部が会合性物質による組織)。また、このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図6に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.30及び0.45であり、そして、その液晶表示素子ントラスト比は、141及び128であり。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.88Vであった。
(実施例2)
会合性の化合物として、一般式(13)に示される化合物において、n/(n+m)が約0.37、及び、分子量が約6700のものを使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図7に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.38及び0.29であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、188及び189であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、1.86Vであった。
(実施例3)
会合性の化合物として、次の一般式(14)
に示される分子量1064の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図8に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.61及び0.62であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、29及び28であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、3.18Vであった。
(実施例4)
会合性の化合物として、次の一般式(15)
に示される分子量1212の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図9に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.61及び0.56であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、38及び41であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、3.09Vであった。
(実施例5)
会合性の化合物として、次の一般式(16)
に示される分子量1212の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図10に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.34及び0.44であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、61及び70であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.88Vであった。
(実施例6)
会合性の化合物として、次の一般式(17)
に示される分子量1500の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図11に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.70及び0.70であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、140及び113であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、2.08Vであった。
(実施例7)
会合性の化合物として、次の一般式(18)
に示される分子量7000の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図12に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.93及び1.03であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、59及び83であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、1.02Vであった。
(実施例8)
会合性の化合物として、次の一般式(19)
に示される分子量2100の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図13に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、1.03及び1.04であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、50及び61であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、3.18Vであった。
(実施例9)
会合性の化合物として、次の一般式(20)
に示される分子量2100の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図14に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.54及び0.51であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、36及び44であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、1.12Vであった。
(実施例10)
会合性の化合物として、次の一般式(21)
に示される分子量2044の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図15に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.85及び0.41であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、57及び55であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、2.65Vであった。
(実施例11)
会合性の化合物として、次の一般式(22)
に示される分子量1100の化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図16に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.85及び0.54であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、46及び73であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、4.07Vであった。
(実施例12)
会合性の化合物の添加量を0.25重量%とした以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図17に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.39及び0.47であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、680及び698であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.97Vであった。
(実施例13)
会合性の化合物の添加量を0.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図18に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.29及び0.37であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、251及び127であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、1.24Vであった。
(実施例14)
会合性の化合物の添加量を3重量%とした以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.17及び0.25であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、65及び68であった。
(実施例15)
強誘電性液晶と会合性高分子とからなる液晶組成物を毛管現象を利用して導入し、紫外線硬化エンドシール剤(スリーボンド社製、3052)にてセルの開口部を封止し、110℃から室温まで8時間かけて冷却する際に、1kHz、±7Vの三角波を印加した以外は、実施例12と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図19に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.40及び0.68であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、328及び862であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.62Vであった。
(実施例16)
強誘電性液晶と会合性高分子とからなる液晶組成物を毛管現象を利用して導入し、紫外線硬化エンドシール剤(スリーボンド社製、3052)にて前記セルの開口部を封止し、110℃から室温まで8時間かけて冷却する際に、1kHz、±7Vの三角波を印加した以外は、実施例13と同様に液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図20に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.33及び0.30であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、77及び138であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.18Vであった。
(実施例17)
強誘電性液晶と会合性高分子とからなる液晶組成物を毛管現象を利用して導入し、紫外線硬化エンドシール剤(スリーボンド社製、3052)にて前記セルの開口部を封止し、110℃から室温まで8時間かけて冷却する際に、1kHz、±7Vの三角波を印加した以外は実施例1と同様に液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図21に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.29及び0.34であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、261及び308であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.18Vであった。
(実施例18)
印加する電圧を直流8Vとした以外は、実施例16と同様に液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図22に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.24及び0.23であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、106及び118であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.35Vであった。
(実施例19)
印加する電圧を直流8Vとした以外は、実施例17と同様に液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図23に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.35及び0.44であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、173及び421であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、0.35Vであった。
(実施例20)
実施例13で得た液晶表示素子に図24で示される波形を印加し、応答する光強度を測定することにより、メモリー性表示の評価をおこなった。その評価結果は、図25に示される。図25から、0V印加区間がメモリー表示区間であるが、0V印加直前の印加電圧により、数種のメモリー表示(数種の光強度の保持)が可能であることがわかる。
(実施例21)
実施例16で得た液晶表示素子に図24で示される波形を印加し、応答する光強度を測定することにより、メモリー性表示の評価をおこなった。その評価結果は、図26に示される。図26から、0V印加区間がメモリー表示区間であるが、0V印加直前の印加電圧により、数種のメモリー表示(数種の光強度の保持)が可能であり、実施例20より0V印加区間の透過率が安定(メモリー表示が安定)であることがわかる。
(実施例22)
実施例18で得た液晶表示素子に図24で示される波形を印加し、応答する光強度を測定することにより、メモリー性表示の評価をおこなった。その評価結果は、図27に示される。図27から、0V印加区間がメモリー表示区間であるが、0V印加直前の印加電圧により、数種のメモリー表示(数種の光強度の保持)が可能であり、実施例20より0V印加区間の透過率が安定(メモリー表示が安定)であることがわかる。
(実施例23)
会合性の化合物として、n/(n+m)が約0.5であって、分子量が約2000のものを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.35及び0.48であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、71及び75であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、1.05Vであった。
(実施例24)
会合性の化合物として、次の一般式(23)
で示されるn/(n+m)が約0.5であって、分子量が約4600であるものを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.25及び0.32であった。
(実施例25)
会合性の化合物として、次の一般式(24)
で示されるn/(n+m)が約0.5であって、分子量が約4500であるものを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.25及び0.41であった。
(実施例26)
会合性の化合物として、次の一般式(25)
で示されるn/(n+m)が約0.5であって、分子量が約5500であるものを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.22及び0.43であった。
(実施例27)
(1)ITOを表面に有する厚み150μmのポリエーテルサルフォンシート(住友ベークライト社製、PES)を8.5cm×5.5cmに2枚切り出し、それらの中心部に8.5cm×4.5cmのITOを残すように端の部分をエッチングして取り除いて一対の基板とした。これらの基板を超純水シャワーで洗浄し、中性洗剤中で15分間超音波洗浄し、超純水シャワーで洗浄し、そして、超純水流中で20分間洗浄した後、チッソブローでITO表面の水滴を除去し、これらの基板をオーブン中において80℃で60分間乾燥して、クリーンなITO電極を有する基板とした。これらのITO電極を有する基板に配向剤をスピンコートにより塗布し、これらの配向剤を塗布した基板を80℃に保持したホットプレート上で5分間乾燥した後、250℃に保持したオーブン中で1時間焼成、熱処理を加え、続いて、セル作製後のラビング方向が平行になるようにラビング処理した。次に、平均直径1.5μmのギャップ剤(触媒化成社製)をイソプロピルアルコールに分散させて0.0238mg/ccの濃度のギャップ剤分散液を準備し、このギャップ剤分散液を前記ラビング処理したITO電極を有する基板1枚にスピンコートにより散布し、これを80℃に保持したホットプレート上で1分間乾燥した。そして、シール剤(三井化学製、STRUCTBOND HC-1413FP)を残りの1枚のITO電極を有する基板上にディスペンサー(2軸ロボット)にて形成し、これを70℃で15分間プレベイクをし、これと先のギャップ剤をまいたITO電極を有する基板が互いに直交するように2枚の電極を張り合わせた後、上下にクッション剤をはさんで圧力を加えた。この張り合わせた基板をこの状態のまま8時間放置した後、オーブン中で12時間加温し、続いて、120℃で2時間加熱してシール剤を硬化させることによって空のセルとした(図3,4)。
(2)強誘電性液晶FELIX-015/000(クラリアント製)に、実施例1で使用した会合性の化合物1重量%を加え、これらを110℃の温度に加熱し混和させて、強誘電性液晶と会合性の高分子化合物とからなる液晶組成物とした。
(3)前記(1)で作成した空のセルを液晶注入用真空装置に移し、0.002Torrまで減圧した後、液晶ザラにセルの液晶注入口をつけセル外部を常圧にもどし、前記(2)の液晶組成物をセル中に導入した。この間、系は90℃に保持した。セルを真空装置より取り出し、紫外線硬化エンドシール剤(スリーボンド製社、3052)にてセル開口部を封止した。110℃から室温まで8時間かけて冷却した。そして、直行ニコル状に偏光板を上下に設置し、液晶表示素子とした。
そして、このようにして得た液晶表示素子を80度の恒温層に保存した後、r4mmの先端形状を有するステンレスにより、この表示素子の表面を押す試験(押圧試験)を実施した。押圧試験を実施した場所はシール剤内側で桝目状等間隔にて16箇所(縦4×横4)おこなった。試験後、気泡の発生は起っていなかった。
(比較例1)
会合性の化合物として、次の一般式(26)
に示される低分子化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。図28は、このようにして得た液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。会合性物質の組織が図5と比較して粗く構築されているのが観察される(縦にとおるスジ部が会合性物質による組織)。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図29に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、0.78及び0.52であり、そして、その液晶表示素子のコントラスト比は、57及び52であった。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、5.0Vであった。
(比較例2)
会合性物質を使用しない以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このようにして得た液晶表示素子の電圧対光強度の変化は、図30に示される。この液晶表示素子の|Δσ/ΔV|の最大値は、6.6及び6.8であった。そして、光変調率の立ちあがりが急峻であると共に大きなヒステリシスを示した。また、σ0.5におけるヒステリシス幅は、4.3Vであった。
(比較例3)
会合性物質を使用しない以外は、実施例27と同様に液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の押圧試験を実施したところ、気泡発生箇所が2箇所あった。
(参考例1)
実施例1における強誘電性液晶化合物と会合性の化合物とからなる液晶組成物を直径約10mmの試験管内で作製し、常温で保管した。1ヶ月後も液晶のしみだしがなく安定であることを確認した。
(参考例2)
実施例24における強誘電性液晶化合物と会合性の化合物とからなる液晶組成物を直径約10mmの試験管内で作製し、常温で保管した。1ヶ月後も液晶のしみだしがなく安定であることを確認した。
(参考例3)
実施例25における強誘電性液晶化合物と会合性の化合物とからなる液晶組成物を直径約10mmの試験管内で作製し、常温で保管した。1ヶ月後も液晶のしみだしがなく安定であることを確認した。
(参考例4)
実施例26における強誘電性液晶化合物と会合性の高分子化合物とからなる液晶組成物を直径約10mmの試験管内で作製し、常温で保管した。1ヶ月後も液晶のしみだしがなく安定であることを確認した。
(参考例5)
実施例1、実施例12、及び、実施例13の液晶組成物のスメクチックC/カイラルスメクチックC転移温度及び会合点温度を測定した結果は、図31に示される。会合がスメクチックC或いはカイラルスメクチックCで起こっていることが観測された。測定は、液晶組成物を110℃まで過熱し、等方状態とした後、毎分0.1℃のスピードで徐冷しながら、光学顕微鏡像で観測することにより行った。
(参考比較例1)
直径約10mmの試験管内に強誘電性液晶(FELIX-015/000、クラリアント社製)と次の一般式(27)
で示される会合性化合物1重量%とを加え加熱混和させて、強誘電性液晶化合物と会合性低分子化合物とからなる液晶組成物とし、常温で保管した。1ヶ月後に液晶のしみだしが確認された。
本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子のセルの平面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の他の一実施の形態を示す液晶表示素子のセルの平面図である。 図1のB−B断面図である。 実施例1で得られた液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。 実施例1で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例2で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例3で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例4で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例5で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例6で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例7で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例8で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例9で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例10で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例11で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例12で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例13で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例15で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例16で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例17で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例18で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例19で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 実施例20において実施例13で得られた液晶表示素子に印加する印加波形を示す。 実施例20において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。 実施例21において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。 実施例22において測定された印加時間[ms]と光透過率との関係を示すグラフである。 比較例1で得られた液晶表示素子を光学顕微鏡にて観察したテクスチャを示す。 比較例1で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 比較例2で得られた液晶表示素子の電圧対光強度の変化を測定した結果を示す。 会合点温度と液晶相転移温度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1,11 表示側基板
2,12 非表示側基板
3,4、13,14 ITO層
5 ,15 シール部
16 液晶組成物の注入口

Claims (21)

  1. 一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、
    前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
    ―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
    (式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
    に示されるもので構成されていることを特徴とする光変調素子。
  2. 前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」が、次の一般式(1)
    [但し、式中、
    Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
    Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25 又はC37である。)であり、
    1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
    1〜X3は、H、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基及び会合性部位を有する有機基であって、それらの少なくとも一つは光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
    mは、0以上の整数であり、nは、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2 又はX3 が光学活性部位と会合性部位とを有する有機基でない場合には自然数であり、lは自然数であり、そして、
    m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
    で示されるものであるか、又は、次の一般式(2)
    [但し、式中、
    Yは、Si又は炭素数2〜8の直鎖炭化水素基であり、
    Zは、YがSiのときは0であり、Yが2〜8の直鎖炭化水素基のときはO、S、又は、−NA−(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
    1〜R5は、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
    1 は、光学活性部位と会合性部位とを有する有機基であり、
    mは、0以上の整数であり、
    n及びlは、自然数であり、そして、
    m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
    で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子。
  3. 前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の会合性部位を含む有機基の数が、3個以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光変調素子。
  4. 前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の会合性部位を含む有機基の数が、3個以上であって、且つ、n/m+nが、0.3以上、好ましくは、0.5以上であることを特徴とする請求項2に記載の光変調素子。
  5. 前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の分子量が、1000以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光変調素子。
  6. 前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基が、次の式
    ―NH−、及び、−C(=O)−
    に示される2つの部分構造を有すると共に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」同士の会合反応生成物が、前記2つの部分構造の水素部分と酸素部分との水素結合により形成されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光変調素子。
  7. 一対の基板間に、(a)強誘電性液晶化合物、及び、(b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物、を含有する液晶組成物が存在している光変調素子において、
    前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」が、次の一般式(3)
    [但し、式中
    aは、Si、又は、次の一般式(4)
    で示される基であり、
    aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
    1a〜R5aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
    1a〜X3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
    から選択されるものであって、それらの少なくとも一つは−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9 )−NH−CO−R12、或いは、一般式(5)で示されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2 Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2)n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
    mは、0以上の整数であり、nは、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基の場合には0以上の整数であり、X2a 又はX3a が会合性部位を有する有機基でない場合は自然数であり、lは自然数であり、そして、
    m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
    で示されるものであるか、又は、次の一般式(6)
    [但し、式中、
    aは、Si、又は、次の一般式(4)
    で示される基であり、
    aは、YaがSiのときは0であり、Ya が一般式(4)のときはO、S、又は、−NA―(式中、Aは、H、CH3 、C25又はC37である。)であり、
    1a〜R3aは、H、炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基であって、同一でも異なってもよく、
    1aは、−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、次の一般式(5)(鏡像を含む)
    から選択されるものであり{但し、これらの式において、*は光学活性を有していることを示し、R7 とR10R、R12は、炭素数1〜24のC,O,Nよりなる一価の有機基であり、R6 、R8 R、R11は、炭素数1〜18のC,O,Nよりなる二価の有機基であり、R9 は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2 Ph、−CH2CH2COOCH3 、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Ph、―CH2 CH2CONH(CH2)n0CH3(式中、n0は1〜9の整数である。)である。}、
    mは、0以上の整数であり、nは、自然数であり、lは自然数であり、そして、
    m及びnは、m+n≧4の関係を満たすとともに、mとnとの繰り返し単位の関係は、分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であってもよい。]
    で示されるものであることを特徴とするに記載の光変調素子。
  8. 前記−R8 −NHC*H(R9)CO−R10、又は、−R11−C*H(R9)−NH−CO−R12、或いは、一般式(5)で示される有機基が、次の一般式(7)〜(10)、
    1)次の一般式(7)
    −(CH2n−CONHC*H(L1 )CONHR13 (7)
    [但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、L1 は炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2 Phを示す。]
    2)次の一般式(8)
    −(CH2n−CONHC*H(L1)CONHC*H(L2)CONHR13 (8)
    [但し、式中、nは、1〜18の整数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。また、L1、L2は、炭素数10以下のアルキル基、−CH2Ph、−CH2CH2COOCH3、−CH2 CH2COOCH2CH3、−CH2CH2COOCH2Phを示す。]
    3)次の一般式(9)(鏡像を含む)
    [但し、式中、nは、1〜18の整数である。]
    4)次の一般式(10)
    [但し、式中、n1は、1〜18の整数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の整数である。]
    から選ばれる有機基であることを特徴とする請求項に記載の光変調素子。
  9. 前記(a)の「強誘電性液晶化合物」に対する前記(b)の「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」の割合が、5重量%未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光変調素子。
  10. 前記会合性部位の会合非会合の転移温度が、液晶のスメクチックA相又はカイラルスメクチックC相に存在することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光変調素子。
  11. 前記会合性部位の会合非会合の転移温度が、カイラルスメクチックC相に存在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光変調素子。
  12. 一対の基板間に、
    (a)強誘電性液晶化合物、及び、
    (b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有し、かつ、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
    ―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
    (式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
    に示されている化合物
    を存在させ、これを加熱して等方性液体状態とした後、スメクチック相出現温度以前から徐冷することを特徴とする光変調素子の製造方法。
  13. 一対の基板間に、
    (a)強誘電性液晶化合物、及び、
    (b)光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有し、かつ、前記光学活性部位と会合性部位とを有する有機基の部分構造が、次の式
    ―NHC*H(L)CO−、又は、−C*H(L)NHCO−
    (式中、Lは、一価の有機基であり、そして、*は、光学活性を有していることを示している。)
    に示されている化合物
    を存在させ、これを加熱して等方性液体状態とした後、冷却する過程において、磁場又は電場を印加することを特徴とする光変調素子の製造方法。
  14. 一対の基板間に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」を存在させた後に、前記「強誘電性液晶化合物」の注入を行うことを特徴とする請求項12又は13に記載の光変調素子の製造方法。
  15. 前記「強誘電性液晶化合物」、及び、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」とが混和しない温度条件下で、前記「強誘電性液晶化合物」を注入することを特徴とする請求項14に記載の光変調素子の製造方法。
  16. 前記「強誘電性化合物」を一対の基板に注入した後に、前記「光学活性部位と会合性部位とを含む有機基を少なくとも1個以上有する物質であって、その分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物」と前記「強誘電性液晶化合物」とを加熱して混和させ、続いて、冷却することを特徴とする請求項15に記載の光変調素子の製造方法。
  17. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光変調素子を有することを特徴とする表示素子。
  18. 前記光変調素子における一対の基板が電極及び光偏向膜を有することを特徴とする請求項17に記載の表示素子。
  19. 前記光変調素子に電圧を印加して得られる光強度(σ)の最大値を1とし、光強度の最小値を与える電圧をV1、光強度lを与える電圧値をV2とした時に、V1からV2の電圧領域において、電圧変化に対する光強度変化の割合の絶対値(|Δσ/ΔV|)の最大値が、0.7以下であることを特徴とする請求項17又は18に記載の表示素子。
  20. 前記一対の基板の少なくとも一方の基板が、250μm厚以下のプラスチック基板であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の表示素子。
  21. 前記プラスチック基板が、ポリカーボネイト又はポリエーテルスルフォンで構成されていることを特徴とする請求項20記載の表示素子。
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