JP4144865B2 - 液晶素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許文献1には、ゲルを用いた表示方法,表示装置が示されている。
【0003】
近年、液晶物質を用いた光変調素子は、薄型かつ軽量であって、しかも、省電力性に優れるので、数々の分野でその利用が試みられている。なかでも特に表示素子としての用途が目立っており、液晶を用いた表示素子は、CRTに取って代わる勢いで普及が進んできている。現在までに、ネマティック液晶を使用したTN型やSTN型の液晶表示素子が実用化され、軽量・低消費電力の表示素子として急速に普及が進んでいる。
【0004】
また、液晶に光散乱性を持たせることにより光散乱性(反射型)の液晶素子とすることも可能である。これを表示素子に応用すれば、外場により光散乱状態と光透過状態を切り替えることによって、バックライトが不要で、高散乱性,高視野角、かつ、薄型,低消費電力の表示素子を得ることができる。そこで、社会の需要に応えるためには、高品質の液晶表示素子を効率良く生産することが必要である。
【0005】
液晶の品質を上げる手段の一例として、液晶中に会合性化合物を添加して液晶の流動性を減少あるいは消失させて非液体状の液晶組成物とすることが考えられている。非液体状の液晶組成物を用いることにより、安定性すなわち耐圧性(耐ショック性)に優れる素子を得ることができる。しかし、会合性化合物を含む液晶組成物の作製において、明るさのムラが無く均一でかつ散乱性の高い液晶組成物を得るためには、温度などの条件の精密な制御が必要である。精密な温度制御は、特に大面積の液晶表示素子の作製時には困難を伴うことになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−156665号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願の発明者は、会合性化合物として液晶をゲル化できる低分子化合物を用いるとともに、一対の基板のうちの少なくとも一方に配向処理を行うことにより、得られる液晶組成物の明るさムラを低減できることを見出した。
【0008】
しかし、これらの低分子化合物と液晶から形成される組成物は、時間の経過とともに安定性を失い、会合構造中に液晶物質を保持しきれなくなり経時的な安定性に劣るという問題がある。また、製造過程においては、低分子化合物と液晶物質を混和させるために高温に加熱する必要があり、操作が煩雑になりエネルギーを必要とするという問題点もある。また、低分子化合物と液晶物質からなる液晶組成物は、液晶物質と比較して立ち上がり応答性が速くなるものの、電界がOFFになった時の立ち下がりが大幅に遅くなる場合があるという問題がある。
【0009】
本発明は、明るさムラが無く、高散乱性である液晶素子およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有する液晶素子であって、該調光層は、可視光に対して光散乱性を有し、また、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には配向処理が施されており、前記高分子ゲル化剤は、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンであることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する前記オルガノシロキサンは、分子量が1000以上であることを特徴としている。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の液晶素子において、前記水素結合性部位が化1に示す部分構造を有することを特徴としている。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶素子において、R1〜R5およびX,Y,Zが同一あるいは異なる一価の有機基を表し、X,Y,Zのうちの少なくとも1つが、光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基を示し、また、m,n,lは自然数であり、m及びnはそれぞれの単位構造の存在比率を表すものとするとき、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する前記オルガノシロキサンが化2の構造を持つことを特徴としている。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化2の構造を持ち、化2のZのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、n/(m+n)が0.4以上であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、請求項4記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化2の構造を持ち、化2のX及び/またはYのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、その分子量が7000以下であることを特徴としている。
【0019】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶素子において、R1およびZが一価の有機基を表し、Zが、光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基を示し、また、mは2以上の整数であるとき、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する前記オルガノシロキサンが化3の構造を持つことを特徴としている。
【0020】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液晶素子において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の等方相において会合することを特徴としている。
【0024】
また、請求項9記載の発明は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴としている。
【0025】
また、請求項10記載の発明は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板の両方に互いに配向処理方向が一致しない配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴としている。
【0026】
また、請求項11記載の発明は、請求項9または請求項10記載の液晶素子の製造方法において、液晶を注入した後に加熱処理を行い、高分子ゲル化剤を液晶に混和させた後、冷却することを特徴としている。
【0027】
また、請求項12記載の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の液晶相において会合するとともに、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から周期電界の印加条件下において冷却することを特徴としている。
【0028】
また、請求項13記載の発明は、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から毎時20℃未満の降温速度で冷却することを特徴としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
本願の発明者は、明るさムラが無く高散乱性で、経時的安定性,応答性に優れ、製造時の加熱温度を低減できる液晶素子を得るための検討を重ねた結果、高分子ゲル化剤、なかでも特に水素結合性部位を有するオルガノシロキサンを用い、かつ、基板に配向処理を施しておくことで、前述した課題を解決できる液晶素子を得ることができることを見出した。
【0031】
すなわち、本願の発明者は、一対の基板の少なくとも一方の基板に配向処理を施したセルを用いて、液晶物質と高分子ゲル化剤を含む調光層を有する液晶素子を作製したところ、該液晶素子は、調光層に明るさのムラが無く均一で高散乱性を有し、経時安定性や応答性に優れるとともに、安定な光変調機能を保持していることを確認した。
【0032】
(第1の実施形態)
このことから、本発明の第1の実施形態は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有する液晶素子であって、該調光層は、可視光に対して光散乱性を有し、また、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には配向処理が施されていることを特徴としている。これによって、明るさのムラが無く均一な液晶素子を得ることができる。
【0033】
従来のゲル状液晶組成物を用いた表示素子では、液晶は散乱体として用いられるため基板への配向処理は施されていなかった。しかし、検討の結果、基板へ配向処理を施すことによって、液晶組成物の明るさのムラが減り均一になることを見出した。その理由については明らかでないが、配向処理が施されることにより、基板(配向膜)と調光層との界面において液晶分子がある程度規則的になろうとする力が発生するためであると推測される。基板に配向処理が施されない場合は、液晶組成物の作製時に液晶分子が基板に対してランダムな向きに配置するため、表示面が均一でなくムラができているものと考えられる。特に大画面の表示素子の作製においては、工業的に再現性良く均一な素子を製造することは困難であるが、基板に配向処理が施されることにより、明るさムラの無い均一な素子を提供できる。
【0034】
なお、本発明で言うゲルとは、三次元会合構造に溶剤が取り込まれた状態をさし、ゲル状態からゾル(溶液)状態へと可逆的に変化するものである。その場合、ゲル状態からゾル状態への変化が可能であれば、会合構造の架橋部分の構造には限定を受けないが、その架橋構造は一般的に共有結合以外の二次的結合力によるものの場合が多い。本発明で用いる高分子ゲルの会合構造は、分子間水素結合によるものであり、温度を上げることにより、ゲルのゾル化を引き起こすことができる。
【0035】
本発明で用いられる高分子ゲル化剤は、分子量分布を持ち、分子間水素結合によって物質をゲル化する性質を持ち、かつ、使用する液晶物質に溶解する化合物である。具体的には、水素結合性部位を有する有機基を少なくとも1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなる繰り返し単位構造を2単位以上有する化合物であり、分子量としては1000以上である。分子間水素結合が可能な分子構造上の条件は、一般的にはアミド基(−NHCO−),アミノ基(−NH−)とカルボニル基(−CO−)の組み合わせを有するものが望ましい。これ以外に、カルバメート基,ウレア基,カルボキシル基,アルコキシ基,リン酸基および水酸基などがあっても良く、これらの数,位置については限定されない。そのようなゲル化剤の中でも特に、分子間水素結合が可能な基およびアルキレン基を1分子中にそれぞれ2個以上有する化合物が望ましい。アルキレン基としては、炭素数4以上、好ましくは6〜20の長鎖構造(分岐があっても良い)を持つ方が、液晶物質への溶解性が高い。また、ゲル化剤はキラル構造を有することが好ましい。
【0036】
また、本発明において用いられる液晶物質としては、従来から液晶素子に用いられている液晶分子、具体的にはネマティックあるいはスメクティック相を示すビフェニル系,ターフェニル系,フェニルシクロヘキサン系,ビフェニルシクロヘキサン系などの各種液晶分子を用いることができる。
【0037】
また、本発明での配向処理は、従来から用いられているラビング処理,薬品処理,SiO斜方蒸着などの方法で行うことができる。ラビング処理は、具体的にはポリイミドやポリビニルアルコールなどの高分子膜をフレキソ印刷,スピンコート,ロールコート,シルク印刷などの手法で成膜した基板面を機械的に一定の方向にこする処理である。ラビングには、円筒状のロールに布を巻きつけるかあるいは植毛したものを用い、それを回転させることによって行う。布の材質は、ポリエステル,ナイロン,アクリル,レーヨン等が適している。また、基板への薬品処理により液晶分子の基板表面への垂直な配向や平行な配向を誘起することもできる。使用する薬品としては、レシチンなどの両親媒性界面活性剤で被覆したり、有機シランカップリング剤で処理することが適している。また、SiOをを基板に対して斜めから蒸着することにより、基板に耐熱性の高い配向膜を形成することができる。この場合の蒸着角,蒸着速度,真空度,基板温度,膜厚などの蒸着条件や液晶材料によって、液晶分子の配向形態が変化する。特に蒸着角が重要なパラメーターであるので、使用する材料によって最適な条件で蒸着を行う。
【0038】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有する液晶素子であって、該調光層は、可視光に対して光散乱性を有し、また、前記一対の基板の両方の基板には、各々、配向処理方向が互いに一致しない配向処理が施されていることを特徴としている。このように、一対の基板間に液晶と高分子ゲル化剤を含む液晶素子の両方の基板上に配向処理が施してあり、それらの配向処理方向が一致していないことによって、明るさのムラが無く均一であることに加え、光散乱性の高い液晶素子を提供することができる。
【0039】
両方の基板上に配向処理が施されている場合は、上下の基板と調光層との界面においては液晶分子が配向しているため、その配向方向が上下で一致しない方が光の透過する割合が低くなり、結果として、光散乱性を高くしているものと推測される。
【0040】
したがって、この第2の実施形態において、前記両方の基板に施されている配向処理方向が互いに直交していることによって(すなわち、上下の基板の配向処理方向を直交させることによって)、より一層、光散乱性を高めることができる。
【0041】
また、上述した各実施形態において、前記高分子ゲル化剤は、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンであるのが良い。このように、高分子ゲル化剤として、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンを用いることにより、安定な構造を保持し、製造時に高温加熱が不要な液晶素子を提供することができる。
【0042】
従来のゲル化剤を用いた液晶組成物では、そのゲル組織がある程度の長さを持つ繊維状の構造であることが知られている。そのため、ゲル化した当初は、その長いゲル組織が組み合わさった会合構造に液晶物質が取り込まれて流動性が消失しているが、時間の経過にともない会合構造に取り込まれた液晶物質が徐々に染み出してくる。液晶物質の染み出しは、液晶組成物の透過率や屈折率のムラ,応答性のムラの原因となり、表示品質を落とす要因となっていた。そこで、本願の発明者は、ゲル化剤として、水素結合性部位を有するオルガノシロキサンを用いることにより、ゲル組織の微細化に成功した。これは、ゲル組織を微細にすることによって、ゲル組織が組み合わさった会合構造と液晶物質の接触面積の合計が大きくなり、液晶物質がゲル化剤の会合構造から十分な相互作用が得られるために、会合構造から液晶物質が染み出しにくくなり経時的安定性が向上したものと考えられる。
【0043】
また、液晶組成物の製造過程においては、高分子ゲル化剤を液晶物質と混和させるために加熱が必要であるが、従来のゲル化剤は液晶物質との相溶性にあまり優れず、液晶物質に完全に混和させるためには120℃前後までの加熱が必要となり、エネルギー的に不利であった。これに対し、水素結合性部位を有するオルガノシロキサンは、液晶への溶解性が高く、液晶物質の種類にもよるが、おおむね100℃程度未満で液晶物質と混和する。したがって、ゲル化剤として、水素結合性部位を有するオルガノシロキサンを用いることにより、調光層の製造時の加熱温度が低くて済み、エネルギー的に効率良く製造ができる液晶素子を提供することができる。
【0044】
さらに、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する上記オルガノシロキサンは、分子量が1000以上であるのが好ましい。このように、水素結合性オルガノシロキサンの分子量が1000以上であることにより、より安定な会合構造が形成された調光層を有する液晶素子を提供することができる。
【0045】
会合性化合物の分子量が小さい場合には、高分子鎖部の非晶質性を失いやすく、また形成される会合体組織も粗いものになりやすく、会合構造の安定性も損なわれやすい。これに対し、分子量が1000以上であることにより、会合体組織が安定することに加え、製造過程においてエネルギー的に有利になるとともに工業的にも扱いやすくなる。
【0046】
さらに、上記水素結合性部位は、化4に示す部分構造を有することが好ましい。
【0047】
【化4】
−NH−CH(R)−CO− あるいは −CH(R)NHCO− ;Rは一価の有機基
【0048】
このように、水素結合性のオルガノシロキサンが、化4に示す部分構造を有する場合には、分子間の結合が柔らかく動的で液晶物質の電界応答性を下げない液晶組成物を備えた液晶素子を提供することができる。
【0049】
分子間水素結合が可能な分子構造上の条件は、一般的にはアミド基(−NHCO−),アミノ基(−NH−)とカルボニル基(−CO−)の組み合わせを有するものが望ましい。これ以外に、カルバメート基,ウレア基,カルボキシル基,アルコキシ基,リン酸基および水酸基などがあっても良く、これらの数,位置については限定されない。そのような水素結合性部位の中でも特に、化4のようなアミノ基,カルボニル基及びアルキル基を有するものが望ましい。
【0050】
より具体的には、文献「高分子論文集,Vol.52,No12,P773(1995)「オイルゲル化剤の開発とゲル化機構の解明」」や、文献「高分子加工,45巻1号,P21(1996)「オイルゲル化剤」」に記載されている光学活性を有するゲル化剤の構造を有することが好ましい。
【0051】
さらに具体的には、化5,化6,化7,あるいは化8の構造のものが好ましい。
【0052】
【化5】
−(CH2)n−CONHCH(s−C4H9)CONHR5n;2から18の整数、R5;炭素数4〜24のアルキル基
【0053】
【化6】
−(CH2)n−CONHCH(i−C3H7)CONHCH(i−C3H7)CONHR5n;2から18の整数、R5;炭素数4〜24のアルキル基
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】
化7,化8において、n,n1;2から18の整数、n2,n3;1から9の整数
【0057】
上記会合性部位を持つ有機基は、高分子鎖に対してメチレン鎖(−CH2)n−で結合されることが好ましく、その単位数は高分子鎖の運動を妨げない面や会合体構築を妨げない面から、n≧4であることが好ましい。
【0058】
また、R1〜R5およびX,Y,Zが同一あるいは異なる一価の有機基を表し、X,Y,Zのうちの少なくとも1つが、光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基を示し、また、m,n,lは自然数であり、m及びnはそれぞれの単位構造の存在比率を表すものとするとき、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する前記オルガノシロキサンは、化9の構造を持つこともできる。
【0059】
【化9】
【0060】
このように、水素結合性オルガノシロキサンが化9の構造を持つ場合には、より一層安定な会合構造を形成し、製造時の高温加熱が不要な調光層を有する液晶素子を提供することができる。
【0061】
ここで、光学活性を有し水素結合性部位を有するオルガノシロキサンは、化9で表される構造を持ち、水素結合性部位は化9中のX,Y,Zで表される部位の少なくとも1箇所以上に存在する。好ましくは、水素結合性部位は、化4に示す部分構造を有するものであるのが良い。水素結合性部位は、シロキサン結合の側鎖あるいは末端に導入されていても良いし、側鎖と末端の両方に導入されていても良い。水素結合性部位がX,Y,Zのうち複数箇所に存在する場合は、それらが等しい構造であることが望ましい。また、mおよびnは、側鎖にR1とR4をもつ単位構造と側鎖にR2とZを持つ単位構造との分子中での存在比率を表すものであり、分子中での結合の順番はそれぞれ連続して重合(ブロック共重合)していても良いし、ランダムに重合していても良い。
【0062】
さらに好ましくは、R1〜R5及びX,Y,Zのうち水素結合性部位でないものは、同一でも良いし、異なっていても良く、Hあるいは炭素数が1〜4のアルキル基,フェニル基である。
【0063】
また、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化9の構造を持ち、化9のZのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、n/(m+n)が0.4以上であるものであっても良い。
【0064】
このように、水素結合性オルガノシロキサンが化9で表される構造を持ち、化9中のZのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、n/(m+n)が0.4以上である場合には、より一層、光散乱性に優れる調光層を有する液晶素子を提供することができる。
【0065】
すなわち、シロキサン結合中のSiに付く有機基のうち、水素結合性部位が側鎖としてのみ(Zの位置のみ)存在する場合に、水素結合性部位Zの割合すなわちn/(m+n)が低い時には、ゲル化剤の会合構造が実質的には粗くなるために、液晶組成物の光散乱性は低くなると考えられる。また、n/(m+n)が低いと、液晶物質を会合させるために水素結合性オルガノシロキサンの添加量を増やす必要性が生じ、調光層中のオルガノシロキサン濃度が高くなることは、液晶素子の応答性を下げる要因となる。そのため、好ましくは会合性部位Zの割合であるn/(m+n)を0.4以上とすることで、少量の会合性化合物の添加により液晶物質を取り込むに充分な会合構造を形成することができ、応答性を損なわずに光散乱性に優れる液晶素子を得ることができる。より好ましくはn/(m+n)を0.5以上とすることで、より効果的に、応答性を損なわずに光散乱性に優れる液晶素子を得ることができる。
【0066】
また、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化9の構造を持ち、化9のX及び/またはYのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、その分子量が7000以下であるものにすることもできる。
【0067】
このように、水素結合性オルガノシロキサンが化9で表される構造を持ち、化9中のX及び/またはYのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、その分子量が7000以下である場合には、より一層、光散乱性に優れる調光層を有する液晶素子を提供することができる。
【0068】
すなわち、シロキサン結合中のSiに付く有機基のうち、水素結合性部位が末端にのみ(X、Yの位置のみ)存在する場合には、分子量の大きなオルガノシロキサンであると、オルガノシロキサンの絶対量(重量)に対して水素結合性部位の存在割合が少なくなる。したがって、オルガノシロキサンの重量濃度が同等であれば、分子量が大きいものであるほどゲル化剤の会合構造が実質的には粗くなり、液晶組成物の光散乱性が低くなると考えられる。したがって、光散乱性を確保するためには、ゲルの安定性を損なわない範囲で分子量は小さい方が好ましく、1000以上7000以下であるのが好ましく、より好ましくは5000以下であるのが良い。
【0069】
また、R1およびZが一価の有機基を表し、Zが、光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基を示し、また、mは2以上の整数であるとき、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する上記オルガノシロキサンは、化10の構造を持つこともできる。
【0070】
【化10】
【0071】
このように、水素結合性オルガノシロキサンが化10の構造を持つ場合には、安定な会合構造を形成し、製造時の高温加熱が不要な調光層を有する液晶素子を提供することができる。光学活性を有し水素結合性部位を有するオルガノシロキサンは、化10で表される構造を持ち、水素結合性部位は化10中のZで表される。好ましくは、水素結合性部位は、化4に示す部分構造を有するものであるのが良い。好ましくは、R1は、Hあるいは炭素数が1〜4のアルキル基,フェニル基であるのが良い。
【0072】
また、上記高分子ゲル化剤は、液晶物質の等方相において会合するものであっても良い。
【0073】
このように、高分子ゲル化剤が液晶物質の等方相において会合するものである場合には、より光散乱性に優れる調光層を備えた液晶素子を提供することができる。本願の発明者は、光散乱性の液晶素子の作製にあたり、より反射率の高い液晶組成物ができる材料の検討を重ねたところ、液晶物質中で会合が開始する温度が、液晶物質の等方相/液晶相転移温度よりも高くなるような、液晶物質と高分子ゲル化剤との組み合わせであることによって、より高反射率の液晶組成物が作製できることを見出した。この理由は明確ではないが、等方相を呈する液晶物質中に会合性化合物が完全に混和している等方性状態(高温状態)から、温度が下がり会合構造に液晶物質が取り込まれた状態になる過程において、等方相状態の中で会合性化合物の会合構造がランダムに発生し、その後、その会合構造の中で液晶相が発現するため、液晶が規則的に配列しようとすることを会合組識に阻害され、できた液晶組成物が散乱しやすくなるものと推測される。
【0074】
また、上述した本発明の液晶素子において、調光層中の高分子ゲル化剤の会合構造の密度は、変調部よりも非変調部において高いことが好ましい。
【0075】
このように、調光層中の高分子ゲル化剤の会合構造の密度が、変調部よりも非変調部において高い場合には、良好な電界応答性を有する液晶素子を提供することができる。調光層の耐圧性(耐ショック性)を上げるという目的のためには、会合構造の密度は高い方が好ましいといえるが、会合構造が高密度であると、取り込まれている液晶物質が受ける規制力が大きくなってしまうため、電界応答性を損なう原因となる。そこで、会合構造の密度が非変調部において高くなるようにすることで、変調部の電界応答性の損失を抑え、かつ耐圧性にも優れる素子を得ることができる。ただし、変調部と非変調部の会合構造の密度差が大きすぎると、調光層に明るさムラが発生するので、肉眼で明るさムラが認識できない範囲で密度差をつけられるよう、高分子ゲル化剤の添加量などを工夫する必要がある。
【0076】
また、上述した本発明の液晶素子において、一対の基板のうちの少なくとも一方の基板は、厚さ250μm以下のプラスチック基板であるのが好ましい。
【0077】
このように、少なくとも一方の基板が厚さ250μm以下のプラスチック基板である場合には、ガラス基板を用いる場合に比べて、軽量,薄型の液晶素子を提供することができる。この液晶素子を表示素子として用いる場合には、表示側基板としてプラスチック基板を用いることにより、より表示品質の高い液晶素子を得ることができる。
【0078】
なお、従来、プラスチック基板を用いた液晶素子には、気泡が発生しやすいという問題があった。気泡が発生する原因の一つに基板が押されることが挙げられる。これは可とう性の基板を使用した場合には、基本的には避けられない現象であり、特に250μm以下のフイルム基板を使用した場合は顕著である。しかし、本発明においては、両基板間の液晶物質が会合性化合物の会合構造の中に取り込まれた状態であるため、厚さ250μm以下のプラスチック基板を用いていても、気泡の発生する可能性が低減することができる。この効果の理由は明確には判明していないが、基板内部が他の部分に比較して負圧になる時に気泡が発生することから、液体状態の液晶物質が会合性化合物の添加により固体様となることにより、基板の変形に対する回復に液晶組成物が追随するため、負圧になることが抑制され、気泡発生が抑制されるものと予想される。また、同じ押圧であれば、固体様となった液晶組成物の方が変形しにくいことも効果を上げる要因となっていると考えられる。
【0079】
なお、上記プラスチック基板は、ポリカーボネイトあるいはポリエーテルスルフォンであるのが好ましい。
【0080】
このように、プラスチック基板が、ポリカーボネイトあるいはポリエーテルスルフォンである場合には、生産性に優れ、軽量性,可とう性に優れる液晶素子を提供することができる。このような材質の250μm程度の基板は、リターデーション,可視光の透過性,耐熱性(〜150℃),基板の軽量性,厚みの点に優れており、特に表示素子を形成した場合、表示品質が高く、軽量性,可とう性,生産性に優れる液晶素子を提供できる。
【0081】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴としている。
【0082】
(第4の実施形態)
また、本発明の第4の実施形態は、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板の両方に互いに配向処理方向が一致しない配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴としている。
【0083】
第3,第4の実施形態のように、基板に配向処理を施してから基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせ、液晶を注入することにより、より生産性高く液晶素子を製造することができる。一般に、基板面への液晶の導入は、両基板間への減圧注入が顕著に使用されている方式である。本発明においては、高分子ゲル化剤が液晶組成物中に存在することが前提であるため、液晶素子の使用温度範囲においては液晶物質の流動性が減少あるいは消失している(会合状態である)ことが好ましい。したがって、本発明における液晶組成物も常温では会合状態であり、常温において基板間に液晶組成物を減圧注入することは困難である。会合状態にある液晶組成物を会合が解離する温度以上まで熱して液体状態とすることにより減圧注入が可能となるが、この場合には注入が終了するまでは液体状態を保つ必要があるため、注入皿,基板などを加熱しておく必要が生じる。このような操作はエネルギー的に不利であり、加熱装置等が必要となる上に、その制御も複雑となり、生産性を下げる要因となる。したがって、液晶を注入するより先に基板上にゲル化剤を配置するという手順にすれば、減圧注入時の加熱を必要とせず、従来の装置がそのまま使用でき、煩雑な温度制御も不要となる。
【0084】
さらに、第3または第4の実施形態の液晶素子の製造方法において、液晶を注入した後に加熱処理を行い、高分子ゲル化剤を液晶に混和させた後、冷却するのが好ましい。
【0085】
このように、液晶の注入後に加熱処理を行い、高分子ゲル化剤を液晶に混和させた後、冷却することにより、表示不良の少ない液晶素子を製造することができる。すなわち、液晶物質にゲル化剤を溶解したものを加熱すると、均一な等方性溶液となる。これを冷却することにより、光学的に異方性の液晶組成物を得ることができる。会合構造を持つことにより、液晶組成物は長期安定性により優れたものとなる。したがって、液晶の注入が完了した後は、ゲル化剤が液晶に溶解するように、温度を一旦会合構造が解離する温度(ゾルゲル転移点)以上になるまで加熱してから転移点以下まで冷却することにより、短時間で、表示不良の少ない液晶素子を提供することができる。作製した液晶組成物は、水素結合による会合構造を持つので、熱などの刺激に応じて結合が切れたり結合を再形成したりするという構造変化を、可逆的に起こさせることが可能である。すなわち、会合構造中に取り込まれた液晶物質を加熱することにより、等方性溶液に戻り、再度冷却することで会合構造が得られるので、表示欠陥を修復することも可能となる。
【0086】
また、上述した本発明の液晶素子の製造方法において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の液晶相において会合するとともに、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から周期電界の印加条件下において冷却することもできる。
【0087】
このように、高分子ゲル化剤が液晶物質の液晶相において会合するとともに、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から周期電界の印加条件下において冷却することにより、高分子ゲル化剤が液晶物質の等方相において会合する条件を満たさない材料の組み合わせであっても、光散乱性に優れる調光層を備えた液晶素子を得ることができる。
【0088】
会合性化合物が液晶相において会合する温度(すなわち、液晶物質中で会合性化合物が会合する温度)が液晶物質の等方相/液晶相転移温度よりも低くなる場合は、高分子ゲル化剤が液晶物質の等方相において会合する場合とは逆に、等方相を呈する液晶物質中に会合性化合物が完全に混和している等方性状態(高温状態)から、温度の下降とともに、先ず液晶相が発現することにより、系にある程度規則的な構造が付与される。この後、この規則的構造体の中で会合性化合物の会合構造が発生し、液晶の配向性(規則性)をなるべく維持したまま会合構造ができあがるために散乱が起きにくいと考えられる。
【0089】
そこで、本願の発明者は、液晶物質の液晶相の中で会合構造ができる過程において、周期電界を印加して液晶分子を動かすことを行なった。本発明で言う電界印加は、液晶分子を動かすことを目的としているものである。ここで言う「液晶分子が動く」とは、液晶分子が電界に応答して動き続けること(すなわち、動的な状態となること)を意味する。電界を印加することにより、液晶物質と会合性化合物の混和物の冷却過程で液晶分子が動き続けるため、液晶分子が規則的かつ静的な状態で会合した場合よりも光散乱性に優れた液晶組成物を得ることができる。したがって、液晶分子が動くという条件を満たすものであれば、印加する電界の波形は限定されないが、周期電界であることが好ましい。ここで言う周期電界とは、一定時間毎に一定の電界がかかる波形を指し、周期電界を印加することによって液晶を規則的に動かすことができるので、効果的に本発明の目的を達成できる。より好ましくは、周期電界のなかでも特に交流電界を印加することにより、一層生産性良く、光散乱性に優れる調光層を有する液晶素子を得ることができる。交流電界を印加することにより、液晶には一定時間毎に絶対値の等しい正負の電界がかかり、液晶分子を規則的かつより大きく動かすことができる。交流電界であれば、正弦波,矩形波,三角波等のいずれの波形であっても効果があるが、特に図1に示すようなパルス交流電界であることが非常に好ましい。パルス交流電界を印加すると、周期的にパルス電界が印加される時以外は電界が0の状態となり、電界方向を向くように動いた液晶がもとに戻る時間が短縮され、より効果的に液晶を動かすことができるため、本発明の目的を達成するためにはパルス交流電界が非常に好ましい。
【0090】
また、上述した本発明の液晶素子の製造方法において、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から毎時20℃未満の降温速度で冷却することが好ましい。
【0091】
このように、加熱により高分子ゲル化剤を液晶物質と混和させた液晶組成物を毎時20℃未満の降温速度にて冷却することにより、より光散乱性に優れ、明るさムラの少ない調光層を備えた液晶素子を得ることができる。
【0092】
すなわち、降温速度が毎時20℃よりも速い場合は、会合性化合物の会合が急激に起こるために会合構造が一様にならず、明るさのムラができるとともに、全体として散乱性も低くなっていた。そこで、本願の発明者は、降温速度を様々に変えて作製した液晶組成物の反射率および明るさムラの比較を行ったところ、毎時20℃未満の降温速度で冷却することで反射率の向上と明るさムラの低減の効果があることを見出した。降温速度は毎時10℃未満であることがより一層好ましい。
【0093】
図2乃至図5は、本発明による液晶素子の製造方法の一例を示す図である。この例では、先ず、図2に示すように、基板101上に、水素結合性オルガノシロキサン104を存在させる。なお、図2において、符号102は電極、符号103は配向膜、符号105はギャップ材である。
【0094】
次いで、図3に示すように、一対の基板を貼り合わせ、液晶107を注入する。なお、図3において、符号106はシール剤である。
【0095】
次いで、図4に示すように、加熱(混和)操作をする。この結果、水素結合性オルガノシロキサンと液晶物質との混合物108が形成される。
【0096】
次いで、図5に示すように、電界を印加しながら、冷却(会合)操作をする。この結果、会合構造に取り込まれた液晶組成物109が形成される。
【0097】
このようにして、本発明の液晶素子を作製することができる。
【0098】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0099】
(実施例1)
実施例1では、基板として、寸法30mm×30mmのガラスにITO電極層を形成したものを2枚用意し、そのうちの一方の基板に、配向処理膜としてポリイミドをフレキソ印刷法により積層した。次に、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを用い、基板を動かしながらローラーを回転させることにより、ラビング処理を施した。
【0100】
そして、液晶として、RC1040(チッソ石油化学製)を用意した。この液晶の等方相/液晶相転移温度は37.3℃である。また、高分子ゲル化剤としては、化11で表される水素結合性オルガノシロキサンを用意した。
【0101】
【化11】
【0102】
このオルガノシロキサンは、n/(m+n)が約0.5、分子量が5100であり、これによる前記の液晶の会合開始温度はおおむね47℃である。アルコール中に5ミクロン径のシリカスペーサーを分散させたスペーサー散布液を用意し、上基板(配向処理を施した基板)上にスピンコート機によりスペーサーを散布し、乾燥させた。次に、上下基板を接着させるためのシール剤を下基板上に塗布し、2枚の基板を互いの配向処理方向が垂直をなすように貼り合わせて固定・硬化して、セルを作製した。
【0103】
次に、セルを100℃に熱したホットプレートに載せた状態で、液晶注入口からあらかじめ用意した液晶と会合性オルガノシロキサンの混合物をセル中に導入した。注入部分を封止剤で塞ぎ硬化した後、100℃から毎分0.3℃の冷却速度にて室温まで冷却することにより、液晶素子を得た。得られた素子は、可視光に対して光散乱性を示し、その表面に肉眼で確認できる明るさのムラは無かった。この液晶素子の表面のうち、図6に示す9点の箇所で、可視光透過率を測定した。透過率は、空セルの透過率を基準とした値である。その結果、前記9点の箇所の透過率は平均1.05%であり、最大値(1.28%)と最小値(0.78%)との差は0.50%であった。
【0104】
上記の手順で作製した液晶素子に、64Hzの交流電圧を印加したところ、液晶が正常に作動することが確認できた。
【0105】
また、液晶物質を取り込んだ会合構造は安定性に優れ、作製から3か月をおいても、液晶の染み出しは確認されなかった。
【0106】
(比較例1)
比較例1では、基板に配向処理を行わないということ以外は、実施例1と同じ条件で液晶素子を作製した。得られた液晶素子の表面は、明るさのムラが肉眼で確認でき、不均一であった。
【0107】
実施例1と同様に透過率を測定すると、9点の平均透過率は1.21%であり、最大値(2.00%)と最小値(0.75%)との差は1.25%であった。電界に対する応答性は、実施例1で作製したものと大差なかった。
【0108】
(実施例2)
実施例2では、基板として、寸法30mm×30mmのガラスにITO電極層を形成したものを2枚用意し、2枚の基板の両方に、配向処理膜としてポリイミドをフレキソ印刷法により積層した。次に、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを用い、基板を動かしながらローラーを回転させることにより、ラビング処理を施した。そして、上下基板の配向処理方向が直交するようにして、実施例1と同様の材料,作製方法にて液晶素子を作製した。得られた素子は可視光に対して光散乱性を示し、その表面に肉眼で確認できる明るさのムラは無く均一であった。9点の平均可視光透過率は、1.09%であり最大値(1.27%)と最小値(0.86%)との差は0.41%であった。
【0109】
上記の手順で作製した液晶表示素子に、64Hzの交流電圧を印加したところ、液晶が正常に作動することが確認できた。
【0110】
(比較例2)
比較例2では、高分子ゲル化剤として、化11で表されるもので、n/(m+n)が約0.37、分子量が6670のものを用いること以外は、実施例2と同じ条件で液晶素子を作製した。
【0111】
得られた素子は、表面の明るさムラは無く均一であったが、可視光透過率は7.95%であり、実施例2で作製した素子ほどの光散乱性は得られなかった。
【0112】
(実施例3)
実施例3では、基板として、寸法30mm×30mmのガラスにITO電極層を形成したものを2枚用意し、2枚の基板の両方に、配向処理膜としてポリイミドをフレキソ印刷法により積層した。次に、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを用い、基板を動かしながらローラーを回転させることにより、ラビング処理を施した。
【0113】
そして、液晶として、RC1040(チッソ石油化学製)を用意した。この液晶の等方相/液晶相転移温度は37.3℃である。また、高分子ゲル化剤としては、化12で表される水素結合性オルガノシロキサンを用意した。この分子量は、1212である。
【0114】
【化12】
【0115】
そして、アルコール中にシリカスペーサーを分散させたスペーサー散布液を用意し、上基板上にスピンコート機によりスペーサーを散布し、乾燥させた。次に、会合性オルガノシロキサンを溶剤に分散させたものを用意し、これを前記2枚の基板の他方の下基板上に塗布した。この時、後のシール部分には会合性オルガノシロキサンが接しないようにした。次に、上下基板を接着させるためのシール剤を下基板上に塗布し、2枚の基板を互いの配向処理方向が垂直をなすように貼り合わせて固定・硬化して、セルを作製した。
【0116】
セルを液晶注入用真空装置に移し、0.02Torrまで減圧した後に、液晶皿にセルの液晶注入口を付けてセル外部を常圧に戻し、液晶をセルに導入した。注入部分を封止剤で塞ぎ硬化することにより、液晶素子を得た。この液晶素子を100℃まで加熱して会合性オルガノシロキサンを液晶に溶かした後、毎分0.3℃の冷却速度で室温まで冷却することにより、光散乱性の液晶素子を得た。
【0117】
得られた素子は、実施例1,実施例2と同様に、明るさムラが無く均一で、可視光透過率は1.78%であった。
【0118】
(比較例3)
比較例3では、高分子ゲル化剤として、化13で表されるオルガノシロキサンを用意した。化13中のnは約80であり、その分子量は7000〜7100程度である。
【0119】
【化13】
【0120】
化13で表わされるゲル化剤を用いて、実施例3と同様に液晶素子を作製した。得られた素子は、明るさムラは確認できず均一であったが、可視光透過率が31.9%であり、実施例3で作製した素子ほどの光散乱性は得られなかった。
【0121】
(実施例4)
実施例4では、液晶として、等方相/液晶相転移点を83℃に持つものを用意し、ゲル化剤としては、化11で表されるオルガノシロキサンを用意した。このゲル化剤による前記の液晶のゾルゲル転移温度は、おおむね47℃である。液晶に対しゲル化剤を1wt%の割合で加え、加熱して混合した。
【0122】
そして、基板として、ITOを表面に持つポリエーテルサルフォンシート(PES:住友ベークライト製、厚み150μm)を30mm×35mmに切り出し、中心部に30mm×30mmのITOを残して端の部分をエッチングして取除いた基板を2枚用意した。2枚の基板の両方に配向処理膜としてポリイミドをフレキソ印刷法により積層し、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを用い、基板を動かしながらローラーを回転させることにより、ラビング処理を施した。アルコール中にシリカスペーサーを分散させたスペーサー散布液を用意し、上基板上にスピンコート機によりスペーサーを散布し、乾燥させた。次に、前記ゲル化剤を溶剤に溶かしたものを用意し、下基板上に塗布した。この時、後のシール材部分にはゲル化剤が接しないようにした。次に、上下基板を接着させるためのシール剤を下基板上に塗布し、2枚の基板を互いの配向処理方向が垂直をなすように貼り合わせて固定・硬化して、セルを作製した。
【0123】
次に、セルを液晶注入用真空装置に移し、0.002Torrまで減圧した後に、液晶皿にセルの液晶注入口を付けてセル外部を常圧に戻し、液晶をセル中に導入した。注入部分を封止材で塞ぎ硬化することにより、液晶素子を得た。
【0124】
この液晶素子を100℃まで加熱してゲル化剤を液晶に溶かした後、セルの両基板間に図1に示すような周波数が1Hzの周期電界を印加しながら、100℃から毎分0.1℃の冷却速度で室温まで冷却することにより、調光層がゲル状の液晶組成物からなる液晶表示素子を得た。調光層は可視光に対して散乱性を示し、その表面に肉眼で確認できる明るさのムラは無く均一であった。この液晶表示素子の表面のうち、可視光透過率は37.6%であった。上記の手順で作製した液晶表示素子に、1kHzの交流電界を印加したところ、液晶が正常に作動することが確認できた。
【0125】
(比較例4)
比較例4では、セルの作製時に上下の基板の配向処理方向が互いに平行となるようにすることと、セルの冷却時には電界を印加せずに毎分0.1℃ずつ冷却することを以外は、実施例4と同様の方法で液晶表示素子セルを作製した。得られた液晶表示素子の表面は、明るさのムラがは確認できなかったものの、光散乱性は実施例4の素子よりも著しく劣っていた。可視光透過率を測定すると、72.7%であった。
【0126】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項8記載の発明によれば、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有する液晶素子であって、該調光層は、可視光に対して光散乱性を有し、また、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には配向処理が施されているので、明るさムラが無く高散乱性である液晶素子を提供することができる。
【0127】
特に、請求項1乃至請求項8記載の発明によれば、前記高分子ゲル化剤は、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンであるので、経時的安定性,応答性,散乱性に優れ、製造時の加熱温度を低減できる液晶素子を提供することができる。
【0130】
また、請求項9乃至請求項13記載の発明によれば、電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入するので、生産性に優れる液晶素子の製造方法を提供することができる。
【0131】
特に、請求項12記載の発明によれば、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の液晶相において会合するとともに、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から周期電界の印加条件下において冷却するので、請求項8に記載の条件を満たさない材料であっても、散乱性に優れる調光層を有する液晶素子が得られる製造方法を提供することができる。
【0132】
また、請求項13記載の発明によれば、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から毎時20℃未満の降温速度で冷却するので、より散乱性に優れる調光層を有する液晶素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶素子に印加する周期電界の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る液晶素子の製造工程例を示す図である。
【図3】本発明に係る液晶素子の製造工程例を示す図である。
【図4】本発明に係る液晶素子の製造工程例を示す図である。
【図5】本発明に係る液晶素子の製造工程例を示す図である。
【図6】液晶素子の反射率測定箇所を示す図である。
【符号の説明】
101 基板
102 電極
103 配向膜
104 水素結合性オルガノシロキサン
105 ギャップ材
106 シール剤
107 液晶
108 水素結合性オルガノシロキサンと液晶物質の混合物
109 会合構造に取り込まれた液晶組成物
Claims (13)
- 電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有する液晶素子であって、該調光層は、可視光に対して光散乱性を有し、また、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には配向処理が施されており、前記高分子ゲル化剤は、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンであることを特徴とする液晶素子。
- 請求項1記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する前記オルガノシロキサンは、分子量が1000以上であることを特徴とする液晶素子。
- 請求項4記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化2の構造を持ち、化2のZのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、n/(m+n)が0.4以上であることを特徴とする液晶素子。
- 請求項4記載の液晶素子において、水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有するオルガノシロキサンが化2の構造を持ち、化2のX及び/またはYのみが光学活性を有し水素結合性部位を少なくとも1箇所以上有する一価の有機基であるとともに、その分子量が7000以下であることを特徴とする液晶素子。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液晶素子において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の等方相において会合することを特徴とする液晶素子。
- 電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴とする液晶素子の製造方法。
- 電極を備えた一対の基板間に液晶物質と高分子ゲル化剤とを含む調光層を有し、該調光層が可視光に対して散乱性を有する液晶素子の製造方法であって、前記一対の基板の両方に互いに配向処理方向が一致しない配向処理を施してから、基板上に高分子ゲル化剤を存在させ、一対の基板を貼り合わせて、液晶を注入することを特徴とする液晶素子の製造方法。
- 請求項9または請求項10記載の液晶素子の製造方法において、液晶を注入した後に加熱処理を行い、高分子ゲル化剤を液晶に混和させた後、冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法。
- 請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、前記高分子ゲル化剤が液晶物質の液晶相において会合するとともに、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から周期電界の印加条件下において冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法。
- 請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の液晶素子の製造方法において、高分子ゲル化剤と液晶を混和させた組成物を、等方相から毎時20℃未満の降温速度で冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法。
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