JP4375974B2 - 液晶素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許文献1に示されているような液晶素子が知られている。
【0003】
液晶素子は、薄型,軽量でかつ省電力性に優れることから、数々の分野での利用が実現されている。現在では特に表示素子としての用途が目立っており、CRTに取って代わる勢いで普及が進んできている。また、携帯用電子機器の表示素子としてはまさにその特徴を十分に活かすものとして利用されている。液晶表示素子は、一般的には、2枚のガラス基板の間に液晶組成物を挟みこんだ構成となっているが、基板をポリマーフィルムにした場合には、軽量化や耐衝撃性が向上するために、携帯用途に更に向いたものとなる。ただし、ポリマーフィルムを基板として液晶表示素子を作った場合、何らかの外部刺激がきっかけとなって、液晶素子内に気泡が発生することがある。これは頻度においては少ないもののガラス基板を用いた液晶素子でも見られることがある。気泡が発生した部分には液晶組成物が充填されていない状態になってしまうために、その部分は液晶表示素子として機能しなくなってしまう。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−227601号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願の発明者は、基本的構成の液晶素子において気泡の発生実験を行なったところ、気泡発生要因の1つとして押圧による発生があることが判った。これは基板面を何らかの形で押し、変形させることを意味している。
【0006】
同様なことをガラス基板の液晶表示素子において実施しても気泡は発生せず、また、プラスチック基板に厚みがあり剛性の高いものを使用した場合も気泡は発生しないことから、気泡の発生は、基板面の変形が寄与しているものと考えられた。さらに検討を重ねたところ、押す物体が基板面を押し、その物体が離れる際に気泡が発生していることが判った。すなわち、基板がもとの形に修復する際、押圧部内部が他の部分に比較し負圧になり気泡が発生するものと推測された。
【0007】
この不具合を解消するべく検討した結果、本願出願人は、本願の先願である特願2001−203063(以下、先願発明と称す)において、一対の基板間に液晶を物理ゲル化できる化合物を含ませた。これにより、液晶はゲル化し、気泡発生を抑制することが可能となった。
【0008】
この効果の理由は、明確には判明していないが、基板内部が他の部分に比較して負圧になる時に気泡が発生することから、液体状態の調光層からゲル化した固体様の調光層となることにより、基板の変形に対する回復に調光層が追随するため、負圧になることが抑制され、気泡発生が抑制されるものと予想される。また、同じ押圧であれば、固体様となった調光層の方が表示素子としても変形しにくいことも効果をあげる要因となっていると考えられる。
【0009】
しかしながら、上述した先願発明においては、液晶を物理ゲルにした状態が経時に対して十分安定ではなく、液晶物質がしみ出してしまう(ゲル状態ではなくなる)という問題や、液晶へのゲル化剤の溶解に時間やエネルギーを要するという問題が存在する。
【0010】
本発明は、気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れた液晶素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
すなわち、本発明は、気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化1の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化1において、
YはSi
ZはO、
R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、−(CH2)n−CONHC*H(L )CONHC*H(L )CONHR13である。
(式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。L 1、 は炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CH CH COOCH 、あるいは、−CH CH COOCH CH 、あるいは、−CH CH COOCH2Ph)
また、化1において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0013】
また、請求項2の発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化2の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化2において、
YはSi
はO、
R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、化3である。化3において、*は光学活性である。
また、化2において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0014】
また、請求項3の発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化4の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化4において、
YはSi
ZはO、
R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、化5である。化5において、*は光学活性である。また、化5中、n1は、1〜18の正数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の正数である。
また、化4において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0018】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶素子において、一対の基板間に存在させる会合性化合物の量は、調光層が可視光に対して透明である範囲であることを特徴としている。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液晶素子において、使用されるプラスチック基板は、ポリカーボネイト、あるいは、ポリエーテルスルフォンであることを特徴としている。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うことを特徴としている。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項6記載の液晶素子の製造方法において、一対の基板間に液晶を注入後、加熱処理を行い、会合性化合物を液晶に混和させた後、冷却することを特徴としている。
【0023】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、一対の基板間にギャップ剤が存在するとともに、該ギャップ剤を一方の基板に対して配置するのと同時に会合性化合物を配置することを特徴としている。
【0024】
また、請求項9の発明は、請求項8記載の液晶素子の製造方法において、ギャップ剤に会合性化合物が付与されていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項10の発明は、請求項9記載の液晶素子の製造方法において、ギャップ剤を乾式散布することにより基板上に配置することを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
本発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、また、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴としている。
【0028】
これにより、気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子を得ることができる。
【0029】
より具体的に、本発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化7の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴としている。
【0030】
【化7】
Figure 0004375974
【0031】
化7において、
YはSiあるいは炭素数2から8の直鎖炭化水素基
ZはYがSiのときはO、
Yが2から8の直鎖炭化水素基のときはO、あるいは、S、あるいは、
−NA―であり(AはH、あるいは、CH、あるいは、C、あるいは、C)、
R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基である。
mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0032】
上記本発明の液晶素子において、前記会合性部位を有する有機基は、例えば、2つの部分構造(―NH−と−C(=O)−)を有するとともに、前記会合性化合物同士の会合反応が水素部分(―NH−)と酸素部分(−C(=O)−)との水素結合により形成されるものである。
【0033】
より具体的に、上記本発明の液晶素子において、Lを一価の有機基とするとき、会合性部位を有する有機基は、例えば、光学活性部位をもつ―NHC*H(L)CO−あるいは−C*H(L)NHCO−の部分構造を有するものである。
【0034】
さらに具体的に、本発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化8の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴としている。
【0035】
【化8】
Figure 0004375974
【0036】
化8において、
YaはSiあるいは化9であり、
ZaはYaがSiのときはO、
Yaが化9のときはO、あるいは、S、あるいは、−NA―であり
(AはH、あるいは、CH、あるいは、C、あるいは、C)、
R1a〜R5aはH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
X1a〜X3aはH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、アルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、―R8−NHC*H(R9)CO−R10、あるいは、−R11−C*H(L)−NH−CO−R12、あるいは、化4であり、X1a〜X3aの少なくとも1つは、―R8−NHC*H(R9)CO−R10、あるいは、−R11−C*H(L)−NH−CO−R12、あるいは、化10である(*は光学活性)。
R7,R10,R12は、炭素数1〜24のC、O、Nよりなる一価の有機基
R6,R8,R11は、炭素数1〜18のC、O、Nよりなる二価の有機基
R9は、炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph、あるいは、―CHCHCONH(CH)nCH
は1から9の整数
mは、0又は自然数であり、nは、X2aあるいはX3aが光学活性部位を有し会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2a及びX3aが光学活性部位を有し会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。
そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を現すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0037】
【化9】
Figure 0004375974
【0038】
【化10】
Figure 0004375974
【0039】
上記本発明の液晶素子において、一対の基板間に存在させる会合性化合物の量は、調光層が可視光に対して透明である範囲であるのが良い。これにより、さらに、コントラストを向上させたプラスチック基板使用の液晶表示素子を提供することができる。すなわち、光学効果が旋光性,複屈折性を示すことを利用したプラスチック基板使用の液晶表示素子を提供することができる。
【0040】
ここで、プラスチック基板としては、ポリカーボネイト、あるいは、ポリエーテルスルフォンを使用することができる。プラスチック基板として、ポリカーボネイト、あるいは、ポリエーテルスルフォンを使用することにより、さらに、生産性に優れ、表示品質が高く、軽量性,可トウ性に優れた液晶表示素子を提供することができる。
【0041】
また、本発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有し、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、また、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶素子の製造方法であって、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うことを特徴としている。
【0042】
このように、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有し、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶素子の製造方法において、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うことにより、生産性を向上させることができる。
【0043】
また、上記本発明の液晶素子の製造方法において、会合性化合物には、液晶を注入する温度では液晶と混和しない物が用いられる。
【0044】
この場合には、表示不良の少ない液晶表示素子を作製することができる。
【0045】
また、上記本発明の液晶素子の製造方法において、一対の基板間に液晶を注入後、加熱処理を行い、会合性化合物を液晶に混和させた後、冷却することもできる。
【0046】
この場合にも、表示不良の少ない液晶表示素子を作製することができる。
【0047】
また、本発明は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有し、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、また、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶素子の製造方法であって、一対の基板間にギャップ剤が存在するとともに、該ギャップ剤を一方の基板に対して配置するのと同時に会合性化合物を配置することを特徴としている。
【0048】
ここで、ギャップ剤には、会合性化合物が付与されていても良い。
【0049】
また、ギャップ剤を乾式散布することにより基板上に配置することができる。
【0050】
このように、一対の基板間にギャップ剤を存在させるとともに、該ギャップ剤を一方の基板に対して配置するのと同時に会合性化合物を配置することによっても、生産性を向上させることができる。
【0051】
また、上記の製造方法において、ギャップ剤に会合性化合物が付与されていることによっても、生産性を向上させることができる。
【0052】
また、上記の製造方法において、ギャップ剤を乾式散布することにより基板上に配置することによっても、生産性を向上させることができる。
【0053】
このように、本願の発明者らは、液晶に会合性化合物を加えた複合体を用いて、気泡の発生を抑制しているわけであるが、会合体の安定性に優れる液晶素子の作製を検討した結果、会合性化合物として、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する化合物を用いることにより、本発明の目的(気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子を得ること)を達成できることを見出した。この理由は明確には判明していないが、本発明の会合性物質の形成する組織(図3;縦にとおるスジ部が会合性物質による組織)が、従来検討してきた会合体の組織(図11;縦にとおるスジ部が会合性物質による組織)に比較して、より微細な組織を構築できるためと予測される。
【0054】
図11のように組織が太く粗い場合、大部分の液晶(組織から遠い部分の液晶)は組織がない場合の液晶の性質を受け継ぐため、液晶全体としては会合性化合物に均一に取りこまれているとは言いがたく、外部刺激(押圧)に対して十分な耐性を示さないと考えられる。これに対して、組織が細かい場合、液晶全体が会合性化合物に比較的均一に取りこまれているため、より外部刺激に対しての抵抗力があると予測される。
【0055】
また、本願の発明者は、本発明の会合性化合物を用いることにより、コントラスト,解像度,会合体の安定性を向上できることを見出した。この理由も、会合体の組織が微細になることが寄与していると考えられる。コントラストの面では、組織の太く粗い部分では液晶とは異なる光変調が明確に現れてしまうため、コントラストが落ちる要因となっていると予測される。また、解像度の面では、組織が粗い場合、粗さを補なうだけ十分な面積をとり、光強度(光信号)の平均化を行う必要があるため、解像度を落とすこととなる。組織が微細なほど、小さな面積で光強度(光信号)は平均化されるため、高解像度が可能である。直視型表示に応用する場合では、組織が粗いと、組織中およびその近傍での光変調が明確に直接視認することが可能となり、表示画像が不鮮明なものになってしまう。組織中およびその近傍による光変調が目の解像度より小さければ(すなわち、組織が微細であれば)、このような現象は感じられない。会合体と液晶との複合体の安定性の面においても組織が細かく全体的に均一になることが、良い効果を表していると考えられる。これにより、会合性化合物に取りこまれた液晶物質が染み出しにくくなり、経時的安定性が向上したものと考えられる。
【0056】
以下、本発明の会合性化合物の繰り返し構造について説明する。
【0057】
会合性化合物の繰り返し単位構造としては、液晶に相溶性の良い構造であり、定性的にはミクロ運動が活発なもの、結晶性の低い構造単位が好ましい。また、ここでいう単位構造とは、たとえば繰り返し数であるmやnで表わしている部分の双方を表わしているもので、会合性部位がついていない構造部位(たとえば単位数mで現している構造)を指しているわけではない。会合性部位を持たない構造体として、物性的にはガラス転移点が室温(25度)以下であるものが好ましい。ガラス転移点が室温以上であると、液晶に溶解しずらく、作製される会合体組織も粗いものになりやすく、また複合体の安定性も悪くなりやすい。
【0058】
具体的な構造として分子中にヘテロ結合を含むものであり、以下のような構造を含むものが好ましい。
―R14―、あるいは、化11
14;アルキレン、Z;O,S,NR15
15;水素、あるいは、アルキル
【0059】
【化11】
Figure 0004375974
【0060】
16,R17は水素、及び一価の有機基であるが、好ましくは
H、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基である。
【0061】
このような繰り返し構造は2種以上であってもよい。
【0062】
さらに具体的には、以下の構造のものが好ましい。
−CHCHO−,−CHCH(CH)O−,−Si(R16)(R17)O−,−CHCHN(R15)−,−CHCHS−,−CHCHCOO−
【0063】
特に好ましくは、オルガノシロキサン構造であり、微細な組織が構築され、会合体の安定性に優れ、高解像が可能で、液晶と混和しやすいことから、素子の作製も容易である。
【0064】
また、その繰り返し数は会合性部位を持たない状態での構造でガラス転移点が室温以下になる程度に繰り返し構造を有していることが最も好ましい。
【0065】
繰り返し単位数は2でも効果があるが、好ましくは4以上、さらに好ましくは10以上が好ましい。4以下であると高分子鎖部の非晶質性を損ないやすく、また作製される会合体組織も粗いものになりやすい傾向があり、複合体の安定性も悪くなりやすい傾向がある。
【0066】
以下、本発明の会合性化合物の会合性部位について述べる。
【0067】
会合性部位を持つ有機基とは、化学反応以外の力により集合体を形成できるものである。すなわち、会合構造は共有結合以外の二次的結合力によるものである。ここで言う二次的結合力とは、分子間力結合(水素結合、分子配向、ヘリックス形成、ラメラ形成等)、イオン結合によるものである。分子間力結合による非会合状態への変化は一般的に温度を上げることによって引き起こすことができる。イオン結合による非会合状態への変化は、一般的にpHやイオン強度を変化させることによって引き起こすことができるが、会合状態は少なくとも室温で安定でなければならない。具体的には、アミド結合や水酸基を有する水素結合性の化合物{アミド結合を有する化合物(アミノ酸系化合物、尿素系化合物),ソルビトール系化合物、ステロイド系化合物等}、非対称長鎖アルキルアンモニウム塩などのイオン成分をもつもの、あるいはイオン部、水素結合部をもたない、材料の構造の起因するもの(たとえば、ファンデルワールス力,π−πスタッキング等によるもの(コレステロール誘導体、ポリフルオロアルキル化合物、長鎖アルコキシアントラセン))などがある。
【0068】
会合性部位を持つ有機基は、前記繰り返し構造の末端、あるいは、側鎖のどちらに含まれていてもよいが、会合性部位を持つ有機基が分子中に1個しか存在しない場合は会合性部位を持つ有機基中の会合性部位は2箇所以上存在することが必須である。これは、本発明では、会合性化合物が二次元,三次元的な組織を構築することを前提にしているためである。会合性部位を持つ有機基が1個しか存在しなく、また会合性部位を持つ有機基中の会合性部位が1箇所である場合、2量体にしかならず、本発明の目的は達成できない。
【0069】
また会合性部位を持つ有機基が分子中に1個しか存在しない場合(但し、会合性部位を持つ有機基中の会合性部位は2箇所以上)は、本発明の目的を改善する効果はあるものの、より微細な組織は得にくくなる。これは会合部位が限られているため、構造の単純な会合組織が形成されやすいためと考えられる。
【0070】
本発明の好ましい形態としては、会合性部位を持つ有機基中の会合性部位は2箇所以上存在することが好ましく、さらに好ましくは3箇所以上である。また分子中に存在させる会合性部位を持つ有機基は2個以上であることが好ましい。このような態様とすることにより、より微細な組織が得られる。これは、会合部位が複数あることにより、会合構造が複雑になるためと思われる。
【0071】
会合構造は、水素結合性のものが好ましい。ファンデルワールス力,π−πスタッキング等では、会合力が弱く、温度安定性に欠ける。イオン結合によるものは、会合力は強いが、イオン成分を有するため液晶中で使用するには好ましくなく、分極による液晶ダイレクターの乱れを引き起こしやすい。より具体的には、文献「高分子論文集,Vol.52,No12,P773(1995)「オイルゲル化剤の開発とゲル化機構の解明」」や文献「高分子加工,45巻1号,P21(1996)「オイルゲル化剤」」に記載されているゲル化剤の構造を有することが安定な会合状態が得られることから好ましい。
【0072】
さらに好ましくは、光学活性を有し、水素結合部位を有するものとしては、以下の構造を有するものが好ましい。
―NH−C*H(L)−CO−あるいは−C*H(L)−NH−CO−;Lは一価の有機基(*光学活性)
【0073】
特に好ましくは、双方の構造を有する以下の部分構造をもつことが好ましい。
―CO−NH−C*(L)−CO−
【0074】
一価の有機基Lの好ましい構造としては、光学活性部位を有することが好ましく、具体的には、−C*H(R18)(R19)の構造が好ましい。
【0075】
特に以下の立体関係をもつ構造(化12)が、NHおよびCOの水素結合を有効に行なわせることができることから好ましい。
【0076】
【化12】
Figure 0004375974
(鏡像を含む)
【0077】
R18は炭素数4以下のアルキル基
R19は炭素数5以下のアルキル基
だだし、R18とR19の炭素数の関係はR18<R19を満足する。
【0078】
以上、会合性部位について述べたが、次に、会合性部位を持つ有機基について述べる。
【0079】
会合性部位を持つ有機基は、以下の一般式の構造が好ましい。
―R8−NHC*H(R9)CO−R10、あるいは、
−R11−C*H(L)−NH−CO−R12、あるいは、化13
【0080】
【化13】
Figure 0004375974
(鏡像含む)
【0081】
R7,R10,R12は、炭素数1〜24のC、O、Nよりなる1価の有機基R6,R8,R11は、炭素数1〜18のC、O、Nよりなる2価の有機基
R9は、炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph、あるいは、―CHCHCONH(CH)nCH
は1から9の整数
【0082】
さらに好ましい会合部位を持つ有機基の構造は、以下の▲1▼の構造あるいは▲2▼の構造あるいは▲3▼の構造あるいは▲4▼の構造であるのが良い。
【0083】
▲1▼の構造
−(CH2)n−CONHC*H(L)CONHR13
(式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、Lは炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph)
【0084】
▲2▼の構造
−(CH2)n−CONHC*H(L)CONHC*H(L)CONHR13
(式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。L1、は炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph)
【0085】
▲3▼の構造
【0086】
【化14】
Figure 0004375974
(鏡像含む)
(式中、nは、1〜18の正数である。)
【0087】
▲4▼の構造
【0088】
【化15】
Figure 0004375974
(式中、n1は、1〜18の正数であり、そして、n2及びn3 は、0〜9の正数である。
【0089】
上記の会合性部位を持つ有機基は、繰り返し構造に対してメチレン鎖(−CH)n−で結合されることが好ましく、その単位数は、繰り返し構造の運動を妨げない面や会合体構築を妨げない面から、n≧4であることが好ましい。
【0090】
以上、繰り返し単位構造、および、会合性部位を持つ有機基の構造について述べたが、次に繰り返し構造に会合性部位を導入した会合性化合物について述べる。
【0091】
本発明の効果は、その会合性部位をもつ有機基よりも、繰り返し単位構造を導入することによる影響が大きい。
【0092】
前述したように、会合性化合物の繰り返し単位構造としては、液晶に相溶性の良い構造であり、定性的にはミクロ運動が活発なもの、結晶性の低い構造が好ましい。これにより、液晶中で微細な構造が構築できることになる。
【0093】
すなわち、このような性質を持つ繰り返し単位構造に会合性部位を導入することにより、本発明の効果が得られているということである。したがって、本発明の会合性化合物として好ましい構造は、繰り返し単位構造を特定する化16で表わされる。
【0094】
【化16】
Figure 0004375974
【0095】
YはSiあるいは炭素数2から8の直鎖炭化水素基
ZはYがSiのときはO、
Yが2から8の直鎖炭化水素基のときはO、あるいは、S、あるいは、−NA―であり(AはH、あるいは、CH、あるいは、C、あるいは、C)、
最も好ましくは、YがSiでZがO、あるいは、Yが−CH2C(R1)(R2)−でZがOである。
R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基である。
mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を現すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。より好ましくは、不規則である方が会合体の安定性が増すことから好ましい。また、その繰り返し数((m+n)×l)は会合性部位を持たない状態での構造でガラス転移点が室温以下になる程度に繰り返し構造を有していることが好ましい。これにより、会合体構造が微細に構築され、会合体の安定性も向上する。また、mやn、lはバラツキを持つ方が好ましい。すなわち、分子量分布を有する方が好ましい。この理由は、より繰り返し構造の非結晶性が高くなることに起因すると考えられ、会合体の安定性が向上する。
【0096】
さらに具体的には、化17で表わされる構造を有する会合性化合物であり、繰り返し単位構造を規定し、会合性部位を有する有機基の構造を光学活性を有するものとして規定するものである。光学活性構造を導入することにより、会合構造である水素結合を有効に行なわせることが可能となり、会合体の安定性が向上する。
【0097】
【化17】
Figure 0004375974
【0098】
YaはSiあるいは化18であり、
ZaはYaがSiのときはO、
Yaが化18のときはO、あるいは、S、あるいは、−NA―であり
(AはH、あるいは、CH、あるいは、C、あるいは、C)、
R1a〜R5aはH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
X1a〜X3aはH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、アルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、―R8−NHC*H(R9)CO−R10、あるいは、−R11−C*H(L)−NH−CO−R12、あるいは、化21であり、X1a〜X3aの少なくとも1つは、―R8−NHC*H(R9)CO−R10あるいは−R11−C*H(L)−NH−CO−R12、あるいは、化19である(*は光学活性)。(鏡像を含む)
【0099】
【化18】
Figure 0004375974
【0100】
【化19】
Figure 0004375974
【0101】
R7,R10,R12は、炭素数1〜24のC、O、Nよりなる一価の有機基R6,R8,R11は、炭素数1〜18のC、O、Nよりなる二価の有機基
R9は、炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph、あるいは、―CHCHCONH(CH)nCH
は1から9の整数
【0102】
mは、0又は自然数であり、nは、X2aあるいはX3aが光学活性部位を有し会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2a及びX3aが光学活性部位を有し会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を現すものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
【0103】
さらに具体的には、光学活性を有し会合性部位を有する有機基の構造をより水素結合が安定に行えるようにしたもので、X1a〜X3aのうちの少なくとも1つの構造として、▲1▼の構造あるいは▲2▼の構造あるいは▲3▼の構造あるいは▲4▼の構造で表わされる。
【0104】
▲1▼の構造
−(CH2)n−CONHC*H(L)CONHR13
(式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基であり、Lは炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph)
【0105】
▲2▼の構造
−(CH2)n−CONHC*H(L)CONHC*H(L)CONHR13
(式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。L1、は炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CHCHCOOCH、あるいは、−CHCHCOOCHCH、あるいは、−CHCHCOOCH2Ph)
【0106】
▲3▼の構造
【0107】
【化20】
Figure 0004375974
【0108】
(式中、nは、1〜18の正数である。)
【0109】
▲4▼の構造
【0110】
【化21】
Figure 0004375974
【0111】
(式中、n1は、1〜18の正数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の正数である。)
【0112】
上記の会合性部位を持つ有機基は、繰り返し構造に対してメチレン鎖(−CH)n−で結合されることが好ましく、その単位数は繰り返し構造の運動を妨げない面や会合体構築を妨げない面から、n≧4であることが好ましい。
【0113】
本発明でいう会合性会合物とは、物理ゲルを形成できるものであり、ここでいう物理ゲルとは、三次元網目構造に溶剤が取りこまれた状態を指す。
【0114】
本発明でいう物理ゲルとは、ゲル状態から溶液状態(ゾル状態)への変化が可能なものを指す。
【0115】
会合性化合物の分子量としては1000以上でも効果あるが、好ましくは2000以上、特に好ましくは4000以上である。1000以下では繰り返し数が少なくなるとともに、導入できる会合性部位を有する有機基の数もおのずと少なくなるため、微細な会合構造を得られにくくなったり、会合体の安定性不足を生じやすくなる。これは会合部位が限られてくるため構造の単純な会合組織が形成されやすいためと考えられる。
【0116】
分子量と会合性部位を有する有機基の数の関係では、分子量が2000程度の場合、有機基は2か3個が好ましく、3000程度では3から5個が好ましく、4000程度では5から7個が好ましく、5000程度では5から9が好ましく、6000程度では7から10個が好ましく、8000程度では9から14個が好ましく、10000程度では9から18個が好ましい。
【0117】
繰り返し構造の数に対する会合性部位を持つ有機基の導入割合の面では、繰り返し単位構造の数(m+n)に対して、20%以上80%以下が好ましく、さらに好ましくは30%以上70%以下に割合で導入してあることが好ましい。20%以下あるいは80%以上であると、作製される会合体の組織が粗くなったり、安定性に欠けるものができやすい。
【0118】
また、本発明は、第1の目的(すなわち、気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子を提供すること)を前提として、コントラストを向上させたプラスチック基板使用の液晶表示素子を提供することを第2の目的としている。すなわち、光学効果が旋光性,複屈折性を示すことを利用したプラスチック基板使用の液晶表示素子を提供することを第2の目的としている。
【0119】
この第2の目的を達成するため、本発明は、上述した本発明の液晶素子において、一対の基板間に存在させる会合性化合物の量が、調光層が可視光に対して透明である範囲であることを特徴としている。
【0120】
この目的に使用される液晶を保持すべき3次元網目構造は、より少ない量であることが好ましい。前述のように、コントラストの高い表示は、調光層の光学効果が旋光性,複屈折性を使用したものである。すなわち、液晶の表示モードで示すならば、TN液晶表示,STN液晶表示,(反)強誘電性液晶表示などである。すなわち、液晶の配向性が重要な表示モードであり、高分子分散液晶(一般的には単量体を10%以上混合して作製されている)のように液晶以外のマトリクスが多量に存在する系は液晶の配向性を乱すため使用できない。これに対して、本発明の会合性化合物は、非常に少ない添加によりゲル化が起るため、液晶の配向性を大きく乱すことなく使用できるものである。
【0121】
この場合、会合性化合物の液晶に対する添加量としては、液晶が可視光に対して散乱しない範囲、すなわち透明な範囲であることが必要である。また換言すれば、透明な範囲でゲル化できる化合物を選択することが必要であり、添加量はゲル化できる、すなわち、本発明の第1の目的(気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子を提供すること)を達成できる範囲で、極力少なくすることが好ましい。具体的数値としては、液晶に対して1wt%以下、好ましくは0.5wt%以下、さらに好ましくは0.2wt%以下である。
【0122】
本発明で使用される液晶とは、特別な材料的な限定はなく、具体的には、文献「日本学術振興会 第142委員会編 液晶ハンドブック」に記載の材料などが使用可能である。
【0123】
次に、本発明に使用されるプラスチック基板について述べる。
【0124】
本発明の素子において使用されるプラスチック基板は、可視光に対して透明なものが好ましく、ポリオレフィン系,ポリエステル系,ポリアクリレート系,ポリエーテル系等の汎用の高分子材料を用いることができるが、リターデーションが小さく、ガス透過性(水分、酸素、窒素)が少なく、可視光の透過性が高く、線膨張係数の小さく、耐熱性の高い材料が好ましい。特に厚み250μm以下のものを使用することが、軽量性,厚み,破砕しない点で好ましいが、基板の厚みが薄くなるに従い、外部圧力に対する変形もし易くなるため、気泡の発生の危険性も上昇することとなる。
【0125】
本発明の態様は、このような薄いプラスチックフィルムを用いたときに大きな効果を発揮する。基板にプラスチック基板を使用することは従来から公知であり、前述の低分子ゲル化剤によって液晶をゲル化する技術を用いている特許群にも、プラスチック基板を使用できることが開示されている。しかしながら、これらの特許群等には、本発明のような目的解決の思想はなく、単にゲル化した液晶を保持させる基板として使用可能であるということを開示しているにすぎなく、厚みに関する記述も、その変形に関する記述も一切見受けられない。
【0126】
また、本発明の第3の目的は、第1の目的(すなわち、気泡の発生を抑えた液晶素子を提供するにあたり経過時安定性に優れ、液晶ゲルが作製しやすい液晶素子を提供すること)を前提として、生産性に優れ、表示品質が高く、軽量性,可トウ性に優れる液晶表示素子を提供することである。
【0127】
この第3の目的を達成するため、本発明では、使用されるプラスチック基板を、ポリカーボネイト、あるいは、ポリエーテルスルフォンにしている。このような材質の250μm程度の基板は、リターデーション,可視光の透過性,耐熱性,基板の軽量性,厚みの点に優れ、表示素子を形成した場合、表示品質が高く、軽量性,可トウ性,生産性に優れる液晶表示素子を提供できる。
【0128】
また、本発明の第4の目的は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有し、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶素子の製造方法において、生産性を向上させることである。
【0129】
この第4の目的を達成するため、本発明の第1の形態では、液晶素子の製造において、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うようにしている。
【0130】
基板面への液晶の導入は、液晶素子の大部分において一対の基板間への液晶の減圧注入により行われているのが現状であり、特に、基板間の厚みの精度が要求されるもの(TN表示,STN表示,(反)強誘電液晶表示等)については、顕著に使用されている方法である。本発明においては、会合性化合物を液晶に含ませることが前提である。しかるに、液晶素子の使用温度範囲において液晶はゲル化していることが好ましい。液晶素子の使用温度範囲に常温が含まれることはいうまでもなく、したがって本発明における液晶層も常温ではゲル化していることとなる。したがって、常温においては、両基板間にゲル化した液晶を減圧注入することはできない。この場合は、ゲル化している液晶をゾル化温度以上にもっていき、液体状態とすることにより、減圧注入が可能となるが、この場合には、注入が終了するまではゾル状態を保つ必要があるため、注入皿,基板等を加熱しておく必要が生じる。このような操作はエネルギー的に不利であり、加熱のための装置等を必要とし、その制御も複雑となり、生産性を下げる要因となる。本発明の構成においては、一対の基板内にあらかじめ会合性化合物を存在させておくため、減圧注入の加熱を必要とせず、従来の装置がそのまま使用でき、また、煩雑な温度制御が不必要となる。一対の基板内に会合性化合物をあらかじめ存在させる方法としては、一対の基板を封止剤を用い接着させる以前の状態、すなわち基板1枚の状態時に、会合性化合物の溶液(化合物が液体の場合そのままでも使用可能)を塗布によって形成することができる。塗布方法は従来公知の方法(スピン塗布,デップ塗布,フレクソ印刷等)が使用できるが、封止部に液晶を会合性化合物が付着しないようにすることが好ましい。
【0131】
また、この第4の目的を達成するため、本発明の第2の形態では、一対の基板間にギャップ剤を有するとともに、該ギャップ剤を一方の基板に対して配置するのと同時に会合性化合物を配置するようにしている。
【0132】
減圧注入により液晶素子を作製しているものは、その大部分が基板間距離を一定にするためギャップ剤を使用している。このギャップ剤は、一対の基板を貼り付ける前に基板上に存在させておくものである。このギャップ剤配置方法の1つに、湿式散布法がある。これは、基板上部よりギャップ剤を含む液体を噴霧し、基板上にギャップ剤を降らせる方法である。この時に使用する液体に会合性化合物を溶解あるいは分散させることにより、1段階で、ギャップ剤,会合性化合物の両方を基板上に付与できるようになる。この方法は、この散布方法に限らず、液体を用いてギャップ剤を基板上に配置する方法であれば、適用可能である。より好ましくは、会合性化合物は、使用する液体に溶解させるのではなく、分散させてあることが好ましい。さらに好ましくは、ギャップ剤表面にあらかじめ付与させてあることが、均一散布の面から好ましい。化合物の分散あるいはギャップ剤表面への化合物の付与は、溶剤を使用する場合は、会合性化合物を溶解しないような貧溶媒を使用する必要がある。適切な溶媒が使用できない場合には、乾式法により会合性化合物がギャップ剤表面にあらかじめ付与されているものを散布することが好ましい。
【0133】
また、本発明の第5の目的は、一対の基板間に少なくとも液晶物質を有し、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であるとともに、両基板間に会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、分子中に2元素以上よりなり、ヘテロ結合を有する繰り返し単位構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶素子の製造方法であって、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行う製造方法において、表示不良の少ない液晶表示素子を作製することである。
【0134】
この第5の目的を達成するため、本発明では、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うという第4の目的の達成方法において、会合性化合物が液晶を注入する温度では液晶と混和しないようにしている。すなわち、混和してしまうと、液晶の注入に従がいゲル化が起こり、それ以上の注入ができなくなったり、ゲル化が進行が遅いものでも注入時に混和してしまうと、液晶の注入に従い会合性化合物が注入口から遠ざかる方向に移動していき、注入口からの距離により会合性化合物の濃度が異なることになる。このような状態で作製された素子では、均一な表示ができなくなってしまう。この現象は、液晶を注入する温度では、液晶と混和しない化合物を選択することにより回避可能である。会合性化合物が液晶と混和しないという意味は、本来注入時間のみ混和が避けられれば良いので、液晶に対する化合物の溶解性が小さいか、あるいは、長い溶解時間が必要な化合物という意味であって、その温度において全く混和しないという物である必要はない。液晶の注入後は、混和を促進するため、温度を一旦ゾル化点以上に加熱し、ゲル化点以下に冷却することにより短時間で表示不良の少ない本発明の液晶素子を提供できる。また、本発明の素子は、高分子分散液晶と異なり、表示素子を作製した後もゾル化が可能であることから、表示欠陥が生じた場合、その原因にもよるが、再度ゾル化し安定状態とした後、ゲル化することにより表示欠陥を修復することが可能である。
【0135】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0136】
(実施例1)
実施例1では、ITOを表面に持つポリエーテルサルフォンシート(PES:住友ベークライト製、厚み150ミクロン)を8.5cm*5.5cmに切り出し、中心部に8.5cm*4.5cmのITOを残して端の部分をエッチングして取り除いた基板を2枚用意した(上基板と下基板)。そして、この2枚の基板のITO面に配向膜形成液をスピンコートにより塗布し、120℃で乾燥し、配向膜を形成した。次に、ラビングマシーンにより液晶セル作製後のツイスト角が240度となるように、2つの配向膜にラビング処理を施し、基板を超純水で洗浄後乾燥させた。アルコール中にシリカスペーサを分散させたスペーサ散布液を用意し、上基板上にスピンコート機によりスペーサを散布し、80℃で1分間乾燥させた。次いで、スクリーン印刷により上基板と下基板を接着させるためのシール剤を下基板上に印刷形成し、上基板と下基板を互いのストライプ状のITOが直交するように張り合わせた。加熱することによりシール剤を硬化させた。図1には、液晶注入前のセルが示されている。
【0137】
キラル剤入りネマチック液晶に化22の構造の会合性化合物1(m=約9、n=約9)を加え、100℃まで加熱して完全に溶解させた後、室温まで冷却した。これを液晶注入用真空装置中の液晶ザラに加え、100℃まで加熱した後、80℃に保持した。
【0138】
【化22】
Figure 0004375974
【0139】
次に、セルを液晶注入用真空装置に移し、0.002Torrまで減圧した後、液晶ザラにセルの液晶注入口をつけ、しかる後、セル外部を常圧に戻し、液晶をセル中に導入した。この工程の間、セルは80℃程度に保温した。セルを真空装置より取り出し、紫外線硬化エンドシール剤にて注入口を封止した。この後、さらに80度の恒温層に保存したのち、半径4mmの先端形状を有するステンレスにより、作製した液晶セルの表面を押す試験(押圧試験)を実施した。押圧試験を実施した場所は、シール剤内側で桝目状等間隔にて16個所(縦4×横4)で行なった。試験後、気泡の発生は起っていなかった。さらに、室温で1ヶ月保存後、同様の試験を実施したが、気泡の発生はなかった。
【0140】
(実施例2)
実施例2では、化22の構造の会合性化合物2(m=約17、n=約10)を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0141】
(実施例3)
実施例3では、化23の構造の会合性化合物3を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0142】
【化23】
Figure 0004375974
【0143】
(実施例4)
実施例4では、化24の構造の会合性化合物4を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0144】
【化24】
Figure 0004375974
【0145】
(実施例5)
実施例5では、化25の構造の会合性化合物5(m=約9、n=約9)を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0146】
【化25】
Figure 0004375974
【0147】
(実施例6)
実施例6では、化26の構造の会合性化合物6(m=約9、n=約9)を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0148】
【化26】
Figure 0004375974
【0149】
(比較例1)
比較例1では、化27の構造の会合性化合物7を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。この結果、気泡発生個所は、室温保存前の試験では0であり、1ヶ月の室温保存後は3箇所あった。
【0150】
【化27】
Figure 0004375974
【0151】
(参考比較例1)
参考比較例1では、直径約10mmの試験管内に、液晶と比較例1で使用した会合性化合物7を加えて加熱混和させ、液晶と会合性化合物7からなる組成物とし、常温で保管した。1ヶ月後、液晶のしみ出しが確認され、ゲル状態は安定ではなかった。
【0152】
(参考実施例1)
参考実施例1では、直径約10mmの試験管内に液晶と実施例1で使用した会合性化合物1を加えて加熱混和させ、液晶と会合性化合物からなる組成物とし、常温で保管した。1ヶ月後も液晶のしみ出しがなく、安定であることを確認した。
【0153】
(実施例7)
実施例7では、化28の構造の会合性化合物8(m=約9、n=約9)を使用する以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は室温保存前後で0であった。
【0154】
【化28】
Figure 0004375974
【0155】
(実施例8)
実施例8では、基板にポリカーボネイト(厚さ120μm)を使用した以外は、実施例1と同様にセルを作製し、押圧試験を実施した。気泡発生個所は0であった。
【0156】
(参考実施例2)
参考実施例2では、縦横の長さが30×40mm,厚みが3mmで、一方の表面に、幅10mm,長さ40mmのITOを形成したITO電極基板2枚を用意した。これを超純水シャワーで洗浄した後、中性洗剤中で15分間超音波洗浄,超純水シャワーで洗浄した後 超純水流中で20分間洗浄、チッソブローでITO表面の水滴を除去した。次いで、80度オーブンで60分乾燥して、クリーンなITO電極基板とした。このITO電極基板に配向剤をスピンコートにより塗布し、80度ホットプレート上で5分間乾燥、次いで250度オーブン中で1時間焼成,熱処理を加えた後、セル作製後のラビング方向が平行になるようにラビング処理した。これとは別にギャップ剤をイソプロピルアルコールに分散した液を用意した。ラビング処理したITO電極基板1枚にギャップ剤分散液をスピンコートにより散布し、80度ホットプレート上で1分間乾燥した。これとは別にシール剤を残りの1枚のITO電極基板上にディスペンサー(2軸ロボット)にて形成し、70度,15分間プレベイクをし、これと先のギャップ剤をまいたITO電極基板とが互いに直交するように2枚の電極を張り合わせた後、シール剤を硬化し、図2に示すような空のセルとした。
【0157】
また、強誘電性液晶FELIX−015/000(クラリアント製)に化22の構造を有する会合性化合物1(m=約9、n=約9)を1wt%加えて110度に加熱し混和させ、強誘電性液晶と会合性化合物からなる組成物とした。
【0158】
図2に示すような空のセルを110度に加熱し、作製した強誘電性液晶と会合性高分子からなる組成物を毛管現象を利用しセル中に導入した。紫外線硬化エンドシール剤にてセル開口部を封止し、110度より8時間で室温まで冷却した。直行ニコル状に偏向板を上下に設置し、評価用セルとした。光学顕微鏡にて観察したテクスチャを図3に示す。図3を参照すると、微細な会合性物質の組織が構築されているのが観察される(縦に通るスジ部が会合性物質による組織)。
【0159】
(参考実施例3)
参考実施例3では、化22の構造の会合性化合物2を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図4に示す。
【0160】
(参考比較例2)
参考比較例2では、化29の構造の会合性化合物9を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図5に示す。図5から、組織が粗いことがわかる。
【0161】
【化29】
Figure 0004375974
【0162】
(参考実施例4)
参考実施例4では、化30の構造の会合性化合物10を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図6に示す。
【0163】
【化30】
Figure 0004375974
【0164】
(参考実施例5)
参考実施例5では、化23の構造の会合性化合物3を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図7に示す。
【0165】
(参考実施例6)
参考実施例6では、化24の構造の会合性化合物4を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図8に示す。
【0166】
(参考実施例7)
参考実施例7では、化31の構造の会合性化合物11を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図9に示す。
【0167】
【化31】
Figure 0004375974
【0168】
(参考実施例8)
参考実施例8では、化32の構造の会合性化合物12を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図10に示す。
【0169】
【化32】
Figure 0004375974
【0170】
(参考比較例3)
参考比較例3では、化33の構造の会合性化合物13を使用する以外は、参考実施例2と同様にセルを作製し、組織観察を行った。その結果を図11に示す。図11から、粗い組織が観察される。
【0171】
【化33】
Figure 0004375974
【0172】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、気泡発生を抑制し、経時安定性に優れる液晶素子を提供することができる。
【0173】
また、請求項4記載の発明によれば、会合性化合物を用いた液晶素子のコントラストを向上できる。
【0174】
また、請求項5記載の発明によれば、生産性に優れ、軽量性,可トウ性に優れる液晶素子を提供できる。
【0175】
また、請求項6乃至請求項10記載の発明によれば、製造工程を簡略化でき、生産性を向上できる。
【0176】
特に、請求項7記載の発明によれば、表示不良の少ない液晶表示素子の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶注入前のセルの一例を示す図である。
【図2】空のセルの一例を示す図である。
【図3】参考実施例2における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図4】参考実施例3における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図5】参考比較例2における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図6】参考実施例4における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図7】参考実施例5における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図8】参考実施例6における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図9】参考実施例7における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図10】参考実施例8における会合性物質の組織観察結果を示す図である。
【図11】参考比較例3における会合性物質の組織観察結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化1の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化1において、
    YはSi
    はO、
    R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
    X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、−(CH2)n−CONHC*H(L )CONHC*H(L )CONHR13である。
    (式中、nは、1〜18の正数であり、*は、光学活性を有していることを示し、そして、R13は、炭素数1〜24のアルキル基である。L 1、 は炭素数10以下のアルキル基、あるいは、−CH2Ph、あるいは、−CH CH COOCH 、あるいは、−CH CH COOCH CH 、あるいは、−CH CH COOCH2Ph)
    また、化1において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
    Figure 0004375974
  2. 一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化2の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化2において、
    YはSi
    ZはO、
    R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
    X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、化3である。化3において、*は光学活性である。
    また、化2において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
    Figure 0004375974
    Figure 0004375974
  3. 一対の基板間に少なくとも液晶物質を有する液晶素子において、少なくとも一方の基板の厚みが250μm以下のプラスティック基板であり、一対の基板間に、会合性部位を有する有機基を1個以上有するとともに、化4の構造を有する会合性化合物を含有する液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。化4において、
    YはSi
    ZはO、
    R1〜R5はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、フェニル基
    X1〜X3はH、あるいは、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、炭素数1から4のアルコキシ基、あるいは、フェニル基、あるいは、会合性部位を有する有機基であり、X1〜X3のうちの少なくとも1つは会合性部位を有する有機基で、化5である。化5において、*は光学活性である。また、化5中、n1は、1〜18の正数であり、そして、n2及びn3は、0〜9の正数である。
    また、化4において、mは、0又は自然数であり、nは、X2あるいはX3が会合性部位を有する有機基の場合には、0以上の整数であり、X2,X3が会合性部位を有する有機基でない場合には、自然数であり、lは自然数である。そして、m及びnは、m+n≧2の関係を満たすとともに、m/nの繰り返し単位の関係は分子中での存在比率を表わすものであり、分子中での結合の順番は不規則であっても規則的であっても良い。
    Figure 0004375974
    Figure 0004375974
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶素子において、一対の基板間に存在させる会合性化合物の量は、調光層が可視光に対して透明である範囲であることを特徴とする液晶素子。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液晶素子において、使用されるプラスチック基板は、ポリカーボネイト、あるいは、ポリエーテルスルフォンであることを特徴とする液晶素子。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、一対の基板間に会合性化合物を存在させた後に、液晶の注入を行うことを特徴とする液晶素子の製造方法。
  7. 請求項6記載の液晶素子の製造方法において、一対の基板間に液晶を注入後、加熱処理を行い、会合性化合物を液晶に混和させた後、冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液晶素子を製造する液晶素子の製造方法であって、一対の基板間にギャップ剤が存在するとともに、該ギャップ剤を一方の基板に対して配置するのと同時に会合性化合物を配置することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  9. 請求項8記載の液晶素子の製造方法において、ギャップ剤に会合性化合物が付与されていることを特徴とする液晶素子の製造方法。
  10. 請求項9記載の液晶素子の製造方法において、ギャップ剤を乾式散布することにより基板上に配置することを特徴とする液晶素子の製造方法。
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