JP2014234477A - 強誘電性液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents

強誘電性液晶組成物および液晶表示素子 Download PDF

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直紀 佐相
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Abstract

【課題】本発明は、液晶表示素子に用いた場合に優れた耐衝撃性を示し、液晶分子のチルト角を大きくして透過率を向上させることができる強誘電性液晶組成物を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、下記一般式(1)で表されるキラル化合物Aを含有することを特徴とする強誘電性液晶組成物を提供する。(式中の符号は明細書に記載のとおりである。)【選択図】なし

Description

本発明は、キラル化合物を含有する強誘電性液晶組成物を用いた液晶表示素子に関するものである。
液晶表示素子は薄型で低消費電力などといった特徴から、大型ディスプレイから携帯情報端末までその用途を広げており、その開発が活発に行われている。これまで液晶表示素子は、TN方式、STNのマルチプレックス駆動、TNに薄層トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動等が開発され実用化されているが、これらはネマチック液晶を用いているために、液晶材料の応答速度が数ms〜数十msと遅く、動画表示に充分対応しているとはいえない。
強誘電性液晶は、応答速度がμsオーダーと極めて短く、高速デバイスに適した液晶であり、視野角が広いなどの優位性を有するため、高性能な液晶表示素子が提供できるとして期待されている。
しかしながら、強誘電性液晶は、ネマチック液晶に比べて分子の秩序性が高いために、衝撃により分子配向の規則性が乱されると元の状態に戻りにくい、すなわち外部衝撃に非常に弱いという問題を抱えている。
耐衝撃性を向上させる手段としては、例えば、一対の基板間に隔壁(リブとも称する。)を配置する方法が提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、隔壁が設けられている場合であっても、液晶表示素子に局所的に衝撃が加わった場合には、配向乱れが生じてしまうという問題がある。
また、耐衝撃性を向上させる手段として、強誘電性液晶組成物にゲル化剤を添加する方法(特許文献3参照)、強誘電性液晶組成物に硬化型樹脂を添加する方法、強誘電性液晶組成物に熱可塑性樹脂を添加する方法(特許文献4参照)、強誘電性液晶構造を側鎖に有する強誘電性高分子液晶を用いる方法、液晶高分子化合物と低分子の強誘電性液晶化合物を混合する方法(特許文献5参照)が提案されている。しかしながら、これらの方法では、駆動電圧が高くなるという問題がある。また、強誘電性液晶組成物に高分子化合物を用いたとしても、ある程度の弱い衝撃に対して分子配向の規則性が乱れにくくなるという効果は示すものの、強い衝撃によって配向の規則性が乱れると元の状態に戻りにくいという本質的な問題は解決されていない。
さらに、最近では、耐衝撃性を向上させる手段として、複数個のベンゼン環が直接結合された所定の構造を有するキラル化合物を含有する強誘電性液晶組成物を用いる方法が提案されている(特許文献6〜9参照)。
特開2004−77541号公報 国際公開第02/03131号パンフレット 特開2004−233414号公報 特開2003−114440号公報 特許第3541437号公報 国際公開第2010/031431号パンフレット 国際公開第2013/035812号パンフレット 国際公開第2013/035811号パンフレット 国際公開第2013/035809号パンフレット
ところで、液晶表示素子には低消費電力、高速応答、広視野角等に加えて高透過率が求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、液晶表示素子に用いた場合に優れた耐衝撃性を示し、高透過率を達成し得る強誘電性液晶組成物を提供することを主目的とする。
本発明者らは、強誘電性液晶組成物を用いた液晶表示素子の耐衝撃性および透過率の向上について種々検討を行った結果、特許文献7〜9に記載されているような複数個のベンゼン環が直接結合されたキラル化合物のうち、3個のベンゼン環と1個のシクロヘキサン環とが直接結合されており、キラル部位の不斉炭素原子にフッ素原子が結合されたキラル化合物を含有する強誘電性液晶組成物を液晶表示素子に用いた場合に、優れた耐衝撃性および高い透過率が得られることを見出し、このような知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるキラル化合物Aを含有することを特徴とする強誘電性液晶組成物を提供する。
Figure 2014234477
(上記式(1)において、R1は、炭素数5〜9の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
2は炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
*は不斉炭素原子を示す。
1およびX2は、それぞれ独立して、メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X1およびX2のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、またはハロゲン原子である。)
本発明によれば、上記式(1)で表されるキラル化合物Aを強誘電性液晶組成物に含有することにより、上記強誘電性液晶組成物を液晶表示素子に用いた場合に、耐衝撃性を高めることができるとともに、液晶分子のチルト角を大きくして透過率を向上させることが可能となる。
また本発明の強誘電性液晶組成物は、下記一般式(2)で表されるキラル化合物Bを含有することが好ましい。上記強誘電性液晶組成物を液晶表示素子に用いた場合に、耐衝撃性を高めることができるとともに、強誘電性液晶組成物の結晶化を抑制することができる。さらには、液晶表示素子とした際に液晶分子の配向の乱れを抑制して、安定した駆動性能を得ることができるからである。
Figure 2014234477
(上記式(2)において、R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4〜18の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
4はキラルな基であり、下記一般式(3)で表される。
Figure 2014234477
(R5は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
1は、メチル基またはフッ素原子を表す。
m、nはそれぞれ独立して0または1である。
*は不斉炭素原子を示す。)
3〜X14は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X3〜X14のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基、またはハロゲン原子である。)
本発明は、第1基材、上記第1基材上に形成された第1電極層、および、上記第1電極層上に形成された第1配向膜を有する第1配向処理基板と、第2基材、上記第2基材上に形成された第2電極層、および、上記第2電極層上に形成された第2配向膜を有する第2配向処理基板と、上記第1配向膜および上記第2配向膜の間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子であって、上記液晶層が、上記強誘電性液晶組成物を含有することを特徴とする液晶表示素子を提供する。
本発明によれば、上記強誘電性液晶組成物を含有する液晶層を有することにより、耐衝撃性に優れ、高い透過率を有する液晶表示素子とすることができる。
本発明においては、強誘電性液晶組成物が上記式(1)で表されるキラル化合物Aを含有することにより、液晶表示素子に用いた場合に、耐衝撃性を高めることができるとともに、液晶分子のチルト角を大きくして透過率を向上させることができるという効果を奏する。
本発明における液晶分子の配向状態の一例を示す模式図である。 本発明の液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の強誘電性液晶組成物および液晶表示素子について、詳細に説明する。
A.強誘電性液晶組成物
本発明の強誘電性液晶組成物は、上記式(1)で表されるキラル化合物Aを含有することを特徴とするものである。
強誘電性液晶組成物を用いた液晶表示素子においては、強誘電性液晶組成物が結晶化しやすいものであると、衝撃が加わって液晶分子が移動したときに元の状態に戻りにくくなり、耐衝撃性が劣ってしまうと考えられる。ベンゼン環は平面的な構造をとるのに対して、シクロヘキサン環は立体的な構造をとる。そのため、上記式(1)で表される3個のベンゼン環と1個のシクロヘキサン環とが直接結合されたキラル化合物Aは、シクロヘキサン環を有することにより曲がった構造をなす。曲がった構造をなすキラル化合物が含有されている場合には、液晶表示素子とした際に、液晶分子の規則性が崩れ、強誘電性液晶組成物の結晶化が阻害される。したがって、本発明の強誘電性液晶組成物は、キラル化合物Aを含有することにより、液晶表示素子に用いた場合には優れた耐衝撃性を達成することが可能となる。
また、キラル化合物Aを強誘電性液晶組成物に添加することにより、液晶分子のチルト角を大きくして透過率を向上させることが可能となる。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、キラル化合物Aは、キラル部位である末端鎖部においてキラル中心である不斉炭素原子にフッ素原子が結合されているため、カイラルスメクチックC性が増す。これにより、液晶分子のチルト角を大きくして液晶表示素子の透過率を向上させることができると推量される。
1.キラル化合物A
本発明に用いられるキラル化合物Aは、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2014234477
上記式(1)において、R1は、炭素数5〜9の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
1の炭素数は5〜9であればよいが、中でも5〜7が好ましく、7がさらに好ましい。炭素数が上記範囲よりも多いと、キラル化合物Aの合成が困難となり、コストが嵩むからである。一方、炭素数が上記範囲よりも少ないと、本発明の強誘電性液晶組成物がスメクチック相を発現しない場合があるからである。
アルキル基は、直鎖状または分岐状である。
アルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、中でも飽和であることが好ましい。環状の不飽和アルカン以外の不飽和アルカンにおいては、不飽和アルカンは飽和アルカンに比べて反応性が高く、長期の保存・駆動や温度変化により材質が変化し、本発明の強誘電性液晶組成物を液晶表示素子に用いた場合に表示品質が劣化するおそれがあるからである。
本発明において、R2は炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
2の炭素数は4〜7であればよいが、中でも5〜7が好ましく、5がさらに好ましい。R2の炭素数が上記範囲である好ましい理由については、上述したR1の炭素数と同様であるため、ここでの記載は省略する。
アルキル基は直鎖状であってもよく、あるいは分岐状であってもよい。
*印は不斉炭素原子であることを示す。
1およびX2は、それぞれ独立して、メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X1およびX2のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、またはハロゲン原子である。
1およびX2が水素原子である場合には、キラル化合物Aの溶解性が低下するため、キラル化合物Aの合成、精製が困難になり、コストが高くなったり、また本発明の強誘電性液晶組成物が結晶化しやすいものとなり、液晶表示素子に用いた場合に所望の耐衝撃性が得られなかったりするおそれがある。これに対し、本発明のようにX1およびX2のうち1つ以上がメチル基、またはハロゲン原子である場合には、キラル化合物Aの溶媒への溶解性が高くなり、大量合成、精製が可能になる。また、キラル化合物Aの立体構造に歪みが生じ、この歪みによって強誘電性液晶組成物の結晶化が阻害されるので、高い耐衝撃性を得ることができると考えられる。
1およびX2のいずれか1つがメチル基、またはハロゲン原子である場合には、中でもメチル基、またはフッ素原子であることが好ましく、特にメチル基であることが好ましい。また、X1およびX2のいずれもがそれぞれ独立してメチル基またはハロゲン原子である場合には、X1およびX2のいずれもがフッ素原子であることが好ましい。X1およびX2のいずれもがフッ素原子である場合には、液晶分子のチルト角を大きくすることができるため、液晶表示素子の透過率を高めることができる。
上記式(1)で表すキラル化合物Aの具体例としては、下記式で表されるキラル化合物Aが挙げられる。
Figure 2014234477
このようなキラル化合物Aとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
キラル化合物Aは、例えば、国際公開第2010/031431号パンフレットに記載の方法により合成することができる。
強誘電性液晶組成物中のキラル化合物Aの含有量としては、優れた耐衝撃性および高い透過率が得られる程度であれば特に限定されるものではない。上記キラル化合物Aを1種単独で用いる場合にはそのキラル化合物Aの含有量が、上記キラル化合物Aを2種以上混合する場合には2種以上のキラル化合物Aの各含有量が、強誘電性液晶組成物中にて5質量%以上であることが好ましい。中でも、上記キラル化合物Aを1種単独で用いる場合にはそのキラル化合物Aの含有量が、上記キラル化合物Aを2種以上混合する場合には2種以上のキラル化合物Aの合計含有量が、強誘電性液晶組成物中で5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、15質量%〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。キラル化合物Aの含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の耐衝撃性が得られない場合があり、一方、キラル化合物Aの含有量が上記範囲よりも多いと、強誘電性液晶組成物が、粘度が高くなったり、結晶化しやすくなったりして、十分な耐衝撃性が得られない場合があり、また液晶表示素子を作製する際に液晶層の形成が困難となる場合があるからである。
2.キラル化合物B
本発明の強誘電性液晶組成物は、上述したキラル化合物Aに加え、下記一般式(2)で表されるキラル化合物Bを含有することが好ましい。本発明の強誘電性液晶組成物にキラル化合物Aとキラル化合物Bとが含有されていることにより、液晶表示素子とした際に、優れた耐衝撃性および高い透過率が得られるとともに、液晶分子の配向の乱れを抑制し、安定した駆動性能を得ることができる。
この理由は明らかではないが、次のようなことが推量される。すなわち、上記式(1)で表される3個のベンゼン環と1個のシクロヘキサン環とが直接結合されたキラル化合物Aは、シクロヘキサン環を有することにより曲がった構造をなす。また、下記式(2)で表される4個のベンゼン環が直接結合されたキラル化合物Bは棒状の構造をなす。曲がった構造をなすキラル化合物Aと、棒状の構造をなすキラル化合物Bとが含有されていることにより、液晶表示素子とした際に、キラル化合物Aおよびキラル化合物Bの構造の屈曲性の違いによって液晶分子の規則性が崩れ、強誘電性液晶組成物の結晶化が阻害される。したがって、本発明の強誘電性液晶組成物が、上記式(1)で表されるキラル化合物Aと上記式(2)で表されるキラル化合物Bとを含有することにより、液晶表示素子に用いた場合にはさらに優れた耐衝撃性を達成することが可能となる。また、強誘電性液晶組成物がキラル化合物Bを含有するだけでは、液晶分子の配向安定性に劣る場合がある。これに対し、本発明においては、キラル化合物Aとキラル化合物Bとが含有されていることにより、液晶表示素子とした際に液晶分子の配向の乱れを抑制し、安定した駆動性能を得ることができる。
Figure 2014234477
上記式(2)において、R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4〜18の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
炭素数は4〜18であればよいが、中でも6〜18、特に6〜12が好ましい。炭素数が上記範囲よりも多いと、キラル化合物Bの合成が困難となり、コストが嵩むからである。一方、炭素数が上記範囲よりも少ないと、本発明の強誘電性液晶組成物がスメクチック相を発現しない場合があるからである。なお、アルキル基およびアルコシキアルキル基がハロゲン原子で置換されている場合には、炭素数が比較的少なくとも、本発明の強誘電性液晶組成物がスメクチック相を発現する場合がある。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよいが、中でも、ハロゲン原子で置換されていないことが好ましい。
アルキル基またはアルコキシアルキル基は、直鎖状または分岐状である。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、中でも飽和であることが好ましい。
3はアルキル基であってもアルコキシアルキル基であってもよいが、中でもアルキル基であることが好ましい。
本発明において、R4はキラル中心をもつキラルな基であり、−O−を介して結合しており、下記式(3)で表される。
Figure 2014234477
上記式(3)において、R5は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は直鎖状であってもよく、環状であってもよく、あるいは分岐状であってもよい。
アルキル基またはアルコシキアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子で置換されていなくてもよい。
5はアルキル基であってもアルコキシアルキル基であってもよいが、中でもアルキル基であることが好ましい。
1は、メチル基またはフッ素原子を表す。メチル基の場合には、上記式(2)で表されるキラル化合物の合成が容易であるという利点を有する。一方、フッ素原子の場合には、液晶分子の自発分極が大きくなり、本発明の強誘電性液晶組成物を液晶表示素子に用いた場合に応答速度を速くすることができるという利点を有する。
1はメチル基であってもフッ素原子であってもよいが、中でもメチル基であることが好ましい。上述したようにキラル化合物Bの合成が容易であり、安定してキラル化合物Bを製造することができ、強誘電性液晶組成物を安価に得ることができるからである。
また、m、nはそれぞれ独立して0または1である。
*印は不斉炭素原子であることを示す。上記式(3)において*で示すように、キラル中心としては、1位または2位が不斉炭素原子となる。このように、本発明に用いられるキラル化合物Bにおいて、1位もしくは2位がキラル中心である不斉炭素原子であることにより、液晶表示素子に用いた場合に十分な耐衝撃性を示す強誘電性液晶組成物とすることができる。
3〜X14は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X3〜X14のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基またはハロゲン原子である。
3〜X14のうち1つ以上がメチル基、フッ化メチル基またはハロゲン原子であることにより、キラル化合物AのX〜Xの場合と同様に、キラル化合物Bの溶媒への溶解性が高くなり、大量合成、精製が可能になる。また、キラル化合物Bの立体構造に歪みが生じ、この歪みによって強誘電性液晶組成物の結晶化が阻害されるので、高い耐衝撃性を得ることができると考えられる。
中でも、X3〜X7、X9〜X13のいずれか1つ以上が、それぞれ独立してメチル基、フッ化メチル基またはハロゲン原子であることが好ましい。X3〜X7、X9〜X13の位置に置換基を有する場合はX8、X14の位置の場合よりもキラル化合物Bの溶解性が良いからである。これは、X8、X14の位置の場合は他の位置の場合に比べて置換基による歪みが少ないためであると考えられる。
3〜X14が結合している3個のベンゼン環のうち、置換基を有するベンゼン環は、1〜4個の置換基を有することができるが、中でも1つの置換基を有することが好ましい。1個のベンゼン環が1個の置換基を有する場合、置換基はメチル基、フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、メチル基またはフッ素原子であることがより好ましい。また、1個のベンゼン環が2個の置換基を有する場合、置換基はいずれもフッ素原子であることが好ましい。この場合、上記2個の置換基の位置としては、例えばX5およびX6がフッ素原子である場合のようにベンゼン環の隣り合う炭素原子にそれぞれフッ素原子が置換していることが好ましい。ベンゼン環の隣り合う炭素原子に2個のフッ素原子がそれぞれ置換し、ベンゼン環が対称的に置換されている場合には、カイラルスメクチックC相が安定し、液晶分子のチルト角を大きくすることができるため、液晶表示素子の透過率を高めることができる。また、2個の置換基がより近くに位置する炭素原子に結合していることにより、分子配列の規則性を緩和することができ、結晶化を抑制することができる。
また、キラル化合物Bにおいて、合計で1〜2個の置換基を有することが好ましい。
さらに、X3〜X14が結合しているベンゼン環のうち1個のベンゼン環が置換基を有することが好ましく、中でも、結晶化抑制の観点から、真ん中に位置するベンゼン環、具体的にはX3、X4、X9、X10が結合しているベンゼン環およびX5、X6、X11、X12が結合しているベンゼン環のいずれかが置換基を有することが好ましい。
特に、置換基の合計数が1個の場合、X3〜X14のいずれか1つがメチル基、フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、メチル基またはフッ素原子であることがより好ましい。また、1個のベンゼン環が2個の置換基を有し、置換基の合計数が2個の場合、X3およびX4、X5およびX6、X9およびX10、または、X11およびX12がフッ素原子であることが好ましい。
キラル化合物Bの具体例としては、下記一般式(2−1)〜(2−4)で表されるキラル化合物Bが挙げられる。
Figure 2014234477
上記式(2−1)〜(2−4)において、R50は炭素数1〜10の飽和または不飽和の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であり、中でも、R50は、飽和の直鎖状または分岐状のアルキル基、あるいはフェニルアルキル基であることが好ましい。*印はキラル中心を示し、mは0または1であり、1位もしくは2位の炭素原子がキラル中心となる。vは4〜18であり、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜12である。上記式(2−1)および(2−2)において、X31〜X33はそれぞれ独立してメチル基、フッ化メチル基またはハロゲン原子を表し、中でも、メチル基、フッ素原子または塩素原子が好ましい。X31〜X33の位置としては、上述のX3〜X14の位置と同様である。r、sおよびtはいずれか1つまたは2つが1、残りが0であり、上記式(2−3)および(2−4)において、yおよびzは一方が1、他方が0である。
上記式(2−1)〜(2−4)で表されるキラル化合物Bの具体例としては、下記表1に示すキラル化合物Bを挙げることができる。
Figure 2014234477
このようなキラル化合物Bとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
キラル化合物Bは、例えば、国際公開第2010/031431号パンフレットに記載の方法により合成することができる。
本発明の強誘電性液晶組成物がキラル化合物Aおよびキラル化合物Bを含有する場合、強誘電性液晶組成物中のキラル化合物Aおよびキラル化合物Bの合計含有量としては、優れた耐衝撃性および高い透過率が得られるとともに、液晶分子の配向の乱れを抑制し、安定した駆動性能が得られる程度であれば特に限定されるものではなく、上記キラル化合物Aの含有量と同様である。
3.ホスト液晶
本発明の強誘電性液晶組成物は、ホスト液晶をさらに含有していてもよい。
ホスト液晶としては、強誘電性液晶組成物のホスト液晶として一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、フェニルピリミジン化合物を挙げることができる。
ホスト液晶は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
強誘電性液晶組成物中のホスト液晶の含有量としては、上記キラル化合物の含有量を上記範囲とすることができれば特に限定されるものではない。
4.強誘電性液晶組成物
本発明の強誘電性液晶組成物としては、カイラルスメクチックC(SmC)相を発現するものであれば特に限定されるものではない。強誘電性液晶組成物の相系列としては、例えば、降温過程においてネマチック(N)相−コレステリック(Ch)相−SmC相と相変化するもの、N相−SmC相と相変化するもの、N相−スメクチックA(SmA)相−SmC相と相変化するもの、N相−Ch相−SmA相−SmC相と相変化するもの、などを挙げることができる。
また、強誘電性液晶組成物としては、双安定性を示すものおよび単安定性を示すもののいずれも用いることができる。中でも、単安定性を示す強誘電性液晶組成物が好ましい。単安定性を示す強誘電性液晶組成物を用いた場合には、電圧変化により液晶のダイレクタ(分子軸の傾き)を連続的に変化させ、透過光度をアナログ変調することで、階調表示が可能となるからである。特に、液晶表示素子をフィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させる場合には、単安定性を示す強誘電性液晶組成物を用いることが好ましい。単安定性を示す強誘電性液晶組成物を用いることにより、TFTを用いたアクティブマトリックス方式による駆動が可能になり、また、電圧変調により階調制御が可能になり、高精細で高品位の表示を実現することができるからである。
なお、「単安定性を示す」とは、電圧無印加時の液晶分子の状態がひとつの状態で安定化している状態をいう。強誘電性液晶組成物は、図1に例示するように、液晶分子25が層法線zから傾いており、層法線zに垂直な底面を有する円錐(コーン)の稜線に沿って回転する。このような円錐(コーン)において、液晶分子25の層法線zに対する傾き角をチルト角θという。このように、液晶分子25は層法線zに対しチルト角±θだけ傾く二つの状態間をコーン上に動作することができる。具体的に説明すると、単安定性を示すとは、電圧無印加時に液晶分子25がコーン上のいずれかひとつの状態で安定化している状態をいう。
また、強誘電性液晶組成物としては、単安定性を示すものであればよく、正負いずれかの電圧を印加したときのみ液晶分子が動作するハーフV字型スイッチング特性を示すもの、正負いずれの電圧に対しても同程度液晶分子が動作するV字型スイッチング特性を示すもの、正負いずれかの電圧に対する液晶分子の動作が他方の極性の電圧に対する液晶分子の動作に比べて大きくなる非対称のスイッチング特性を示すもの、のいずれも使用することができる。
このような強誘電性液晶組成物としては、一般に知られる液晶材料の中から要求特性に応じて種々選択することができる。特に、Ch相からSmA相を経由しないでSmC相を発現する強誘電性液晶組成物は、温度変化に対して、電圧に対する動作特性の変化が少ないことから好ましい。
B.液晶表示素子
本発明の液晶表示素子は、第1基材、上記第1基材上に形成された第1電極層、および、上記第1電極層上に形成された第1配向膜を有する第1配向処理基板と、第2基材、上記第2基材上に形成された第2電極層、および、上記第2電極層上に形成された第2配向膜を有する第2配向処理基板と、上記第1配向膜および上記第2配向膜の間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子であって、上記液晶層が、上述した強誘電性液晶組成物を含有することを特徴とするものである。
本発明の液晶表示素子について図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の液晶表示素子の一例を示す断面図である。図2に例示するように、液晶表示素子1は、第1基材2a、上記第1基材2a上に形成された第1電極層3a、および、上記第1電極層3a上に形成された第1配向膜4aを有する第1配向処理基板11aと、第2基材2b、第2基材2b上に形成された第2電極層3b、および、上記第2電極層3b上に形成された第2配向膜4bを有する第2配向処理基板11bと、上記第1配向膜4aおよび第2配向膜4bの間に形成された液晶層5とを有しており、上記液晶層5が上記強誘電性液晶組成物を含有している。
本発明によれば、上記強誘電性液晶組成物を含有する液晶層を有することにより、耐衝撃性に優れ、高い透過率を有する液晶表示素子とすることができる。
以下、本発明の強誘電性液晶表示素子に用いられる各構成について説明する。
1.液晶層
本発明における液晶層は、第1配向処理基板の第1配向膜および第2配向処理基板の第2配向膜の間に形成され、上述の強誘電性液晶組成物を含有するものである。
なお、強誘電性液晶組成物については、上記「A.強誘電性液晶組成物」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
液晶層の厚みは、2.0μm〜10.0μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2.3μm〜5.0μmの範囲内、さらに好ましくは2.5μm〜3.5μmの範囲内である。液晶層の厚みが薄すぎると製造時の異物の混入により欠陥が目立ちやすくなるおそれがあり、逆に液晶層の厚みが厚すぎると液晶分子が配向しにくくなりコントラストが低下する可能性があるからである。液晶層の厚みは、ビーズスペーサ、柱状スペーサ、隔壁等により調整することができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば真空注入方式、液晶滴下方式等を用いることができる。
強誘電性液晶組成物を配向させる際には、徐冷すればよく、液晶層に電圧を印加する必要はない。
2.第1配向処理基板
本発明に用いられる第1配向処理基板は、第1基材と、第1基材上に形成された第1電極層と、第1電極層上に形成された第1配向膜とを有するものである。
以下、第1配向処理基板における各構成について説明する。
(1)第1配向膜
本発明に用いられる第1配向膜は、強誘電性液晶組成物の配向制御が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光配向膜、ラビング配向膜、斜方蒸着配向膜等が挙げられる。以下、これらの配向膜について説明する。
(a)光配向膜
光配向膜の形成に利用される光励起反応としては、大きく、光反応と光異性化反応とに分けることができる。また、光反応としては、光二量化反応と光分解反応とを挙げることができる。
光配向膜の材料、形成方法および厚みとしては、一般的なものを適用することができ、例えば、特開2006−350322号公報、特開2006−323214号公報、特開2005−258429号公報、特開2005−258428号公報等に記載のものを用いることができる。
(b)ラビング配向膜
ラビング配向膜の材料、形成方法および厚みとしては、一般的なものを適用することができる。
(c)第1配向膜および第2配向膜の構成材料の組成
本発明においては、第1配向膜および第2配向膜の構成材料が液晶層を挟んで互いに異なる組成を有することが好ましい。第1配向膜および第2配向膜を互いに異なる組成を有する材料を用いて形成することにより、それぞれの材料に応じて第1配向膜表面および第2配向膜表面の極性を異ならせることができる。これにより、強誘電性液晶組成物および第1配向膜の極性表面相互作用と、強誘電性液晶組成物および第2配向膜の極性表面相互作用とが異なるものとなるため、第1配向膜および第2配向膜の表面極性を考慮して材料を適宜選択することによって、ジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥、電圧無印加時の液晶分子の安定状態が異なる2種類のドメイン等の配向欠陥の発生を抑制することができるからである。その結果、コントラストを向上させることができる。
第1配向膜および第2配向膜の構成材料を液晶層を挟んで互いに異なる組成を有するものとするには、例えば、一方を光配向膜とし、他方をラビング配向膜とすればよい。
また例えば、両方をラビング配向膜として、ラビング配向膜の構成材料の組成を異なるものとする;両方を光配向膜として、光配向膜の構成材料の組成を異なるものとすればよい。
第1配向膜および第2配向膜がラビング配向膜である場合、骨格、置換基、側鎖を変えたり、添加剤の添加量を変えたりすることや、添加剤の有無によって、組成を変化させることもできる。
また、第1配向膜および第2配向膜が光配向膜である場合、例えば一方の光配向膜に光異性化型材料を用い、他方の光配向膜に光反応型材料を用いることにより、光配向膜の構成材料の組成を異なるものとすることができる。
さらに、第1配向膜および第2配向膜が光異性化型材料を用いた光配向膜である場合、異性化反応性骨格、置換基、側鎖等を変えたり、単分子化合物および重合性モノマーをそれぞれ用いたり、添加剤の添加量を変えたりすることや、添加剤の有無によって、組成を変化させることもできる。
またさらに、第1配向膜および第2配向膜が光二量化型材料を用いた光配向膜である場合、二量化反応部位、置換基、側鎖等を変えたり、添加剤の添加量を変えたりすることや、添加剤の有無によって、組成を変化させることもできる。
(2)第1電極層
本発明に用いられる第1電極層は、一般に液晶表示素子の電極として用いられているものであれば特に限定されるものではない。
(3)第1基材
本発明に用いられる第1基材は、一般に液晶表示素子の基材として用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、プラスチック板などが好ましく挙げられる。
(4)その他の構成
本発明においては、第1基材上または第2基材上に隔壁または柱状スペーサが形成されていてもよい。隔壁および柱状スペーサとしては、一般的な隔壁および柱状スペーサを適用することができる。
また、本発明においては、第1基材上または第2基材上に着色層が形成されていてもよい。着色層が形成されている場合には、着色層によってカラー表示を実現することができるカラーフィルタ方式の液晶表示素子を得ることができる。着色層としては、一般的なものを適用することができる。
3.第2配向処理基板
本発明に用いられる第2配向処理基板は、第2基材と、第2基材上に形成された第2電極層と、第2電極層上に形成された第2配向膜とを有するものである。
なお、第2基材、第2電極層、第2配向膜およびその他の構成については、上記第1配向処理基板における第1基材、第1電極層、第1配向膜およびその他の構成とそれぞれ同様であるので、ここでの説明は省略する。
4.液晶表示素子の駆動方法
本発明の液晶表示素子の駆動方法としては、強誘電性液晶組成物の高速応答性を利用することができるので、1画素を時間分割し、良好な動画表示特性を得るために高速応答性を特に必要とするフィールドシーケンシャルカラー方式にも好適に用いることができる。
また、本発明の液晶表示素子の駆動方法は、フィールドシーケンシャル方式に限定されるものではなく、着色層を用いてカラー表示を行う、カラーフィルタ方式であってもよい。
本発明の液晶表示素子の駆動方法としては、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式が好ましい。TFTを用いたアクティブマトリックス方式を採用することにより、目的の画素を確実に点灯、消灯できるため高品質なディスプレイが可能となるからである。
また、本発明の液晶表示素子の駆動方法は、セグメント方式であってもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに説明する。
[実施例1]
(強誘電性液晶組成物)
下記に示すキラル化合物Aおよびキラル化合物Bのa〜fを用い、下記表2に示すように強誘電性液晶組成物を準備した。なお、ホスト液晶I〜IVの含有量の比率は、ホスト液晶I:II:III:IV=2.67:2.67:2.67:1である。
Figure 2014234477
Figure 2014234477
(液晶表示素子の作製)
まず、ITOコーティングされたガラス基板1上にΦ5.0μmの円状で高さ2.5μmの樹脂スペーサを0.1mmピッチで形成した。次いで、その上にラビング配向膜材料(SE610:日産化学工業株式会社)を回転数1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで180℃、30分間乾燥後、ラビング処理を行った。
また、ITOコーティングされたガラス基板2上に光異性化型の光配向膜材料(LIA012:DIC株式会社)の溶液を1500rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、オーブンで100℃、3分間乾燥後、偏光露光機で2J偏光露光処理を行った。
次に、基板上に四角い枠状にシール材を塗布した。その基板上に、上述の強誘電性液晶組成物を点状に塗布し、二つの基板をラビング処理の方向と偏光処理の方向が垂直になるように組み立て熱圧着を行った。その後、液晶セルを冷却し、強誘電性液晶組成物を配向させた。
(評価)
1.チルト角
液晶分子の動いた角度は、偏光顕微鏡にて測定した。クロスニコルの状態に設定した2枚の偏光板の間に、強誘電性液晶組成物が充填された液晶セルを置き、電圧無印加状態の黒表示の位置を基準とし、正電圧(10V)と負電圧(−10V)とを印加した際に動いた液晶分子の角度を測定した。
2.透過率
液晶表示素子の透過率をチルト角により算出した。
ここで、一般に液晶表示素子の透過率Iは下記式(a)により求められる。
I=Isin(2θ)×sin(Δnd/λ) (a)
(上記式(a)において、I:入射光強度(定数)、θ:チルト角、Δn:複屈折、d:セルギャップ、λ:波長である。)
本実施例では、上記式(a)におけるsin(2θ)の項を、正電圧印加時のチルト角θおよび負電圧印加時のチルト角θからそれぞれ算出し、平均したものを透過率Tとした。
T={sin(2θ)+sin(2θ)}/2 (b)
なお、上記式(a)において、sin(2θ)の項が大きくなれば、透過率Iも大きくなる。そのため、透過率Tが大きければ、液晶表示素子の透過率が高いといえる。
3.耐衝撃性
得られた液晶表示素子について、耐衝撃性のテストを行った。
耐衝撃性のテストは、プッシュアップスケール(FB−30N:イマダ製)を用い、押し面積1.3cmで3Nと5Nの荷重をかけたときの液晶配向の変化を観察した。
5Nの荷重をかけた後に液晶配向が変化しなかった場合は「A」、3Nの荷重をかけた後に液晶配向が変化しなかったが、5Nの荷重をかけた際に液晶配向が変化して戻らなかった場合は「B」と評価した。
評価結果を表3に示す。
Figure 2014234477
3個のベンゼン環および1個のシクロヘキサン環から構成されているキラル化合物a〜dを比較すると、上記キラル化合物aまたはbが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.2および6は、上記キラル化合物cまたはdが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.7および8と比べて、液晶分子のチルト角が大きくなり、透過率が高まった。さらに、上記キラル化合物a、fが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.5は、上記キラル化合物d、fが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.9と比べて、液晶分子のチルト角が大きくなり、透過率が高くなった。これらの結果から、本発明のキラル化合物Aの構造において、不斉炭素原子にフッ素原子が結合していることが透過率の向上に寄与していることが分かった。
また、キラル部位の不斉炭素原子にフッ素原子が結合しているキラル化合物aおよびeを比較する。4個のベンゼン環から構成されたキラル化合物では、不斉炭素原子にメチル基が結合しているキラル化合物fが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.11に対して、不斉炭素原子にフッ素原子が結合しているキラル化合物eが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.10ではチルト角および透過率が同等であった。この結果から、キラル部位の不斉炭素原子にフッ素原子が結合していても、4個のベンゼン環から構成されたキラル化合物では、チルト角の増大および透過率の向上の効果が得られないことが分かった。一方、1個のシクロヘキサン環および3個のベンゼン環から構成されたキラル化合物では、不斉炭素原子にメチル基が結合しているキラル化合物dが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.8に対して、不斉炭素原子にフッ素原子が結合しているキラル化合物aが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.2ではチルト角および透過率が増大した。この結果から、キラル部位の不斉炭素原子にフッ素原子が結合し、かつ1個のシクロヘキサン環および3個のベンゼン環から構成された本発明のキラル化合物Aを添加した強誘電性液晶組成物を用いることにより、液晶分子のチルト角を大きくして透過率を高めることができることが分かった。
さらに、上記キラル化合物aが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.2と、上記キラル化合物bが添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.6とでは、No.6の方が液晶分子のチルト角が大きく、透過率が高くなった。この結果から、透過率を向上させるには、本発明のキラル化合物Aの構造において、XおよびXのいずれもがフッ素原子であることがより好ましいことが分かった。
さらにまた、上記キラル化合物aが単独で添加された強誘電性液晶組成物を用いたNo.2に対して、キラル化合物aの一部をキラル化合物fに置き換えたNo.5では耐衝撃性が向上した。この結果から、本発明のキラル化合物Aおよびキラル化合物Bを含有する強誘電性液晶組成物を用いることで、優れた耐衝撃性が得られることが分かった。
1 … 液晶表示素子
2a … 第1基材
2b … 第2基材
3a … 第1電極層
3b … 第2電極層
4a … 第1配向膜
4b … 第2配向膜
5 … 液晶層
11a … 第1配向処理基板
11b … 第2配向処理基板

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるキラル化合物Aを含有することを特徴とする強誘電性液晶組成物。
    Figure 2014234477
    (上記式(1)において、R1は、炭素数5〜9の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
    2は炭素数4〜7の飽和もしくは不飽和のアルキル基である。
    *は不斉炭素原子を示す。
    1およびX2は、それぞれ独立して、メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X1およびX2のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、またはハロゲン原子である。)
  2. 下記一般式(2)で表されるキラル化合物Bを含有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電性液晶組成物。
    Figure 2014234477
    (上記式(2)において、R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数4〜18の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
    4はキラルな基であり、下記一般式(3)で表される。
    Figure 2014234477
    (R5は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基である。
    1は、メチル基またはフッ素原子を表す。
    m、nはそれぞれ独立して0または1である。
    *は不斉炭素原子を示す。)
    3〜X14は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。ただし、X3〜X14のうち1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基、フッ化メチル基、またはハロゲン原子である。)
  3. 第1基材、前記第1基材上に形成された第1電極層、および、前記第1電極層上に形成された第1配向膜を有する第1配向処理基板と、
    第2基材、前記第2基材上に形成された第2電極層、および、前記第2電極層上に形成された第2配向膜を有する第2配向処理基板と、
    前記第1配向膜および前記第2配向膜の間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子であって、
    前記液晶層が、請求項1または請求項2に記載の強誘電性液晶組成物を含有することを特徴とする液晶表示素子。
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