JP4225426B2 - 釉薬、窯業製品の製造方法、及び窯業製品 - Google Patents

釉薬、窯業製品の製造方法、及び窯業製品 Download PDF

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Description

本発明は、釉薬、窯業製品の製造方法、及び窯業製品に関するものであり、特に、当該窯業製品の表面に虹彩部を形成可能な釉薬、釉薬を利用した窯業製品の製造方法、及びその窯業製品に関するものである。
従来から、粘土等を用いて形成された素地を、高温の焼成炉内で焼成する際に、素地表面に灰釉等の釉薬を掛ける釉掛け(施釉)が行われている。これにより、焼成後には釉薬が固化し、素地の表面がガラス質の釉薬層で被覆された窯業製品(陶磁器、その他のセラミックス製品を含む)を製造することができる。この釉掛けの手法によって、製造される窯業製品の硬度を増すことができ、かつ表面平滑性を付与することができる。さらに、素焼きされた素地と比較し、不透水性を付与することができるため、例えば、壺や花瓶等に利用され、内部に水等の液体を貯留することが可能な機能を持たせることができる。そのため、窯業製品による用途を多方面に拡げることができる。これらの釉掛けの手法は、中近東を起源とし、シルクロードを通って中国に伝搬したと言われ、さらにヨーロッパや日本などの世界各地に拡がっていったものである。そして、近年では、陶器や磁器等の各種の窯業製品を製造する際に、各配合が調製された釉薬を施し、焼成することにより、特に美術工芸的に優れたものを創生することもおこなわれている。
ここで、窯業製品に使用される釉薬は、長石、石灰石、珪石、粘土(カオリン)などを原料として主に用いている。さらに、結晶釉の釉調を調製するために各種の金属酸化物などが予め定められた配合比率で添加されている。これら窯業製品に使用される釉薬は、その種類及び性状から三つのタイプ(透明釉、乳白釉、及び結晶釉)に大別することができる。
ここで、透明釉は、ガラス相によって構成され、素地及び釉の主成分となる珪酸成分の原子間の連携状態が不規則のままで固化したものである。これにより、素地表面に対して透明の釉薬層を形成することができる。なお、これらの透明釉は、アルカリ土類酸化物やアルミナなどが添加されることにより、比較的低温度で溶解する性質を有している。
また、乳白釉は、ガラス相間の分相によって生じるものであり、釉界面の光散乱によって釉薬層が乳白化(白濁化)したものである。これにより、上述の透明釉と異なり、独特の味わいを窯業製品に付与することができる。一方、結晶釉は、上述した透明釉がガラス状態にあるのに対し、焼成後の冷却過程をコントロールすることにより、結晶核となる成分を中心とし、結晶が釉中に分散して析出されるものである。ここで、比較的大きな結晶を形成するためには、高温で比較的低い粘性を有するものを使用し、発生する結晶核の数を制限し、周囲に影響されないように結晶成長が行われるように、焼成温度からの冷却過程(徐冷過程)を経ることが必要となっている。
結晶釉の成分の一例を示すと、亜鉛華(ZnO)、ドロマイト(CaCO・MgCO)、チタニア(TiO)、骨灰(3CaO・P)などを含有したものであり、これを含有した釉薬を使用することにより、窯業製品の表面に肉眼でも観察できるような比較的大きなサイズの結晶を析出させることができる。これにより、形成される結晶釉には、亜鉛結晶釉、ジオプサイド結晶釉、チタン結晶釉、骨灰・酸化鉄結晶釉が代表的なものとして示される。
また、上述した結晶釉以外に、素地に透明釉などを予め施釉して焼成した後、釉面(釉薬層面)の上にさらにラスター上絵具を800度前後の温度で焼付けるものや、チタニア(TiO)及び五酸化バナジウム(V)を添加したオパールラスター釉、二酸化マンガン(MnO)を加えたマンガン玉虫ラスター釉等を施釉し、1250度前後で焼成するものが知られている。これにより、釉面全体が虹彩を呈するように結晶成長したものが形成される。この虹彩釉の代表的なものは、曜変天目茶碗等が知られ、内面の漆黒の釉面に結晶成長した大小の斑紋が一面に現れ、その周囲が瑠璃色の虹彩で形成されている。
上記の技術は、当業者において当然実施されているものであり、出願人は本願出願時において、上記技術が記載されている文献を特に知見していない。
しかしながら、結晶釉によって表面に形成される虹彩の模様や形状をコントロールすることはほとんどできなかった。特に、結晶成長は、一般的に発生した結晶核から放射状に成長するため、形成される虹彩模様は円形若しくは楕円形状になることが多かった。また、釉面全体に虹彩が形成されるものは、それぞれの結晶核から成長し、互いに隣接する結晶核との境界が複雑に交わり合うものが多かった。そのため、特に、結晶釉によって形成される虹彩の模様は限られたものとなり、比較的似通った虹彩模様の窯業製品が多く見られるようになっていた。特に、結晶成長の形状を制御し、従来には全く見られない多辺形状を呈する虹彩(虹彩部)を形成可能とする釉薬及びその釉薬を利用した窯業製品、及びその窯業製品の製造方法の確立が求められることがあった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、窯業製品の表面に多辺形状を呈する新しい虹彩模様の虹彩部を形成可能な釉薬、該釉薬を使用した窯業製品の製造方法、及びその窯業製品の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる釉薬は、「基礎釉薬100.0重量部に対し、1.0重量部以上、15.0重量部以下のタングステン酸ビスマスを混合してなる」ものから主に構成されている。
ここで、基礎釉薬とは、主に酸化珪素(シリカ:SiO)及びアルミナ(Al)の成分を含有し、焼成される窯業製品及び釉薬層の化学的又は物理的な強度を上げるものであり、一般的な構成として、福島長石、石灰石、タルク、カオリン、珪石、及び弁柄などを適宜配合したものを用いることが可能である。
一方、タングステン化合物は、基礎釉薬に添加して混合されるものであり、元素番号74番の金属元素であるタングステンと結合した種々の元素(例えば、酸素)によって構成され、タングステン酸化物、タングステン硫化物、及びタングステン窒化物等が挙げられる。なお、一般的に釉薬に用いられる成分は、金属酸化物の態様で用いられることが多いため、タングステン酸化物が特に好適と考えられる。
したがって、本発明の釉薬によれば、基礎釉薬に対して予め定められた比率でタングステン酸ビスマスが添加して混合されている。そして、この釉薬を素地等の表面に施釉し、焼成することにおり、タングステン酸ビスマスに起因して素地表面で結晶成長が生じる。ここで、タングステン酸ビスマスは、Bi WO の組成で形成されているものが一般的であるが、ビスマス、タングステン、及び酸素の比率は異なるものであってもよい。これにより、タングステン及びビスマスが結合した酸化物によって、タングステンに起因する多辺形状の虹彩部の結晶成長がさらに安定して行えるようになる。
さらに、本発明にかかる釉薬は、上記構成に加え、「前記基礎釉薬100.0重量部に対し、0.5重量部以上、15.0重量部以下のビスマス、バナジウム、銅、コバルト、チタン、及びマンガンの金属元素の少なくともいずれか一つの金属化合物を添加してなる」ものであっても構わない。
したがって、本発明の釉薬によれば、ビスマス、バナジウム等の各種金属元素の化合物、例えば、金属酸化物等を基礎釉薬及びタングステン化合物からなる釉薬にさらに添加することにより、表面に形成される虹彩の色合いや結晶のサイズ、結晶の成長条件等を制御することが可能となる。これにより、さらに独特の模様を呈する虹彩部が形成できる。
さらに、本発明にかかる釉薬は、「前記基礎釉薬は、40.0重量部以上、70.0重量部以下の酸化珪素と、5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化アルミニウムと、5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化鉄と、0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カルシウムと、0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カリウムと、0.1重量部以上、2.0重量部以下の酸化ナトリウムと」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明の釉薬によれば、酸化珪素(シリカ:SiO)を主たる成分として有し、さらに酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化鉄(Fe)、酸化カルシウム(CaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ナトリウム(NaO)を適宜含有した基礎釉薬が用いられている。これにより、釉薬の基本特性となるガラス性状を付与し、さらにタングステンに起因する多辺形状の結晶成長を安定して行うことが可能となる。
一方、本発明にかかる窯業製品は、「上記の釉薬を用いた窯業製品であって、施釉された釉薬に含まれるタングステン酸ビスマスを析出させ、表面に結晶成長による多辺形状を呈する虹彩部を有する」ものである。
したがって、本発明の窯業製品によれば、上記の窯業製品の製造方法を用いることにより、窯業製品の表面に複数の多辺形状を呈するユニークな形状の虹彩部を有する窯業製品を得ることが可能となる。
本発明の効果として、窯業製品の表面に施釉される釉薬にタングステン化合物を添加することにより、焼成後の表面に独特な多辺形状を呈する虹彩部を有する窯業製品を製造することができる。これにより、結晶釉による釉調を制御し、窯業製品のデザイン性をさらに高くすることができ、独特な風合いの窯業製品に仕上げることができる。
以下、本発明の一実施形態である釉薬、釉薬を使用した窯業製品の製造方法1、及び当該製造方法1によって製造される窯業製品について、図1乃至図3に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の釉薬を使用した窯業製品の製造方法1の流れを示すフローチャートであり、図2は実施例毎の虹彩部3の状態を比較して示す説明図であり、図3は焼成されたテストピース2の虹彩部3を拡大して模式的に示す説明図である。なお、本実施形態において、釉掛け等の状態を予め確認するためのテストピース2を製造するものについて例示している。ここで、テストピース2が本発明における窯業製品に相当する。また、図2及び図3は実施例毎に焼成されたテストピース2に現れる虹彩部3等の模様を若干誇張し、表したものである。さらに、虹彩部3における個々の色の違いをハッチングを変えることによって表現したものであり、実際に肉眼で確認される模様とは異なっている。
本実施形態の釉薬1は、表1に示されるように、酸化珪素及び酸化アルミニウムを主成分とする基礎釉薬と、少なくとも酸化タングステンを含む添加物とを混合して構成されている。
Figure 0004225426
上記表1は、釉薬の化学組成を示したものであり、その原料を具体的に示すと、例えば、基礎釉薬は酸化珪素(シリカ:SiO)・酸化アルミニウム(アルミナ:Al)・酸化カリウム(KO)を主に含有する福島長石、酸化カルシウム(CaO)を主に含有する石灰石、含水珪酸マグネシウム[MgSi10(OH)]として知られ、酸化珪素(シリカ:SiO)・酸化マグネシウム(MgO)を主に含有する焼きタルク(タルク)、酸化珪素(シリカ:SiO)・酸化アルミニウム(アルミナ:Al)・酸化カルシウム(CaO)を主に含有する朝鮮カオリン、酸化珪素(シリカ:SiO)を主に含有する珪石、酸化第二鉄(α−Fe)を主に含有する弁柄を利用することが可能である。これらの原料は一般的な窯業製品の釉薬の成分として利用されているものであり、比較的入手の容易なものである。
次に、窯業製品の製造方法1の流れについて、上記表1の実施例1の配合比率によって調製される釉薬を使用した場合の例について、図1に基づいて説明する。ここで、図1におけるフローチャートが本発明の窯業製品の製造方法1に相当する。
まず、上述した基礎釉薬とタングステン酸ビスマスを含む添加物とを混合し、釉薬の調製を行う(釉薬調製工程:ステップS1)。さらに、詳細に説明すると、磁器製の乳鉢の中に、表1に示した基礎釉薬を各成分毎に計量し、十分に混合した後、釉薬調整用のポットに投入する。さらに、タングステン酸ビスマス、酸化チタン、及び二酸化マンガンを同様に各成分毎に計量し、ポット内に投入する。さらに、バインダとしてCMC(カルボキシメチルセルローズ)を用い、水を加えながらポットに投入する。
また、投入するバインダー量は上述した釉薬の固形分の量を100.0重量部とすると、0.1〜20.0重量部の間で、粘性等を調製しながら添加することが可能であり、ここでは固形分の量に対して10.0重量部となる量が添加される。このバインダーにより、釉薬の沈殿を防止し、さらに流動性を付与することができる。そのため、後述する釉掛けの際に焼成前の未焼成体の表面に均一に釉掛けすることができる。なお、このバインダーは焼成の際に焼失する。これにより、釉薬スラリーが調製される。
そして、バインダーを含んで上記配合比率に調製された釉薬スラリーを対象となる窯業製品に釉掛けする(釉掛け工程:ステップS2)。実施例1では、釉掛けの対象となる窯業製品として4.5cm×4.5cmの粘土板からなるタイル状のテストピース2を用いている。また、釉掛けされるテストピース2は予め800℃の温度で仮焼されている。そして、塗布された釉薬スラリーを乾燥させる(乾燥工程:ステップS3)。
ここで、釉掛けの手法は特に限定されないが、調製された釉薬をテストピース2(図2参照)に刷毛または筆によって塗る方法によって本実施例は行っている。なお、一般に釉掛けの際に使用される他の手法、釉薬の液中に窯業製品を浸し、ディッピングする浸し掛け方法、スプレー掛け法を採用するものであっても勿論構わない。ここで、タイル状のテストピースが本発明における未焼成体に相当する。
その後、釉掛けされ、乾燥した未焼成体のテストピース2を電気焼成炉内に配し、12hrほどかけて徐々に1250℃に到達するように昇温する(昇温工程:ステップS4)。その後、1250℃の最高温度で1hr保持する(焼成工程:ステップS5)。ここで、電気焼成炉の炉内は大気雰囲気下におかれているため、未焼成体は酸化焼成が行われる。
それから、電気焼成炉の炉内温度を1050℃に設定する(温度設定工程:ステップS6)。そして、この温度(結晶成長温度)で2hr保持する(結晶成長工程:ステップS7)。これにより、焼成されたテストピース2(焼成体に相当)の表面に掛けられた釉薬に含まれる酸化タングステンに起因して結晶核が生成され、該結晶核から結晶方向が予め規制された結晶成長が行われる(図3参照)。
その後、室温まで徐冷した後(徐冷工程:ステップS8)、電気焼成炉から製造された焼成体のテストピース2(窯業製品に相当)を取り出す(取出工程:ステップS9)。これにより、テストピース2の表面に多辺形状を呈する虹彩部3が形成される。
上記と同様の製造方法1により、表1の実施例2に記載の配合比率に従って調製した釉薬を用いてテストピース2の処理を行った。
上記と同様の製造方法1により、表1の実施例3に記載の配合比率に従って調製された釉薬を用いてテストピース2の処理を行った。
上記と同様の製造方法1により、表1の実施例4に記載の配合比率に従って調製された釉薬を用いてテストピース2の処理を行った。
上記と同様の製造方法1により、表1の実施例5に記載の配合比率に従って調製された釉薬を用いてテストピース2の処理を行った。
これにより、図2及び図3に模式的に示されるように、実施例1乃至実施例4の釉薬を使用した場合、各々のテストピース2の表面には、酸化タングステンを含む釉薬によって成長した多辺形状の虹彩部3が確認された。各実施例1乃至5の結果を表2にまとめ、比較の結果を下記に示す。ここで、比較となるポイントは、a)結晶の有無、b)結晶のサイズ、c)結晶の形状、d)結晶の色彩の四点について行った。
Figure 0004225426
上記表2に示されるように、酸化タングステンを含有する添加物を基礎釉薬に添加することにより、実施例1乃至実施例4のいずれにおいても多辺形状の結晶の析出が観察された。特に、実施例1乃至実施例3は肉眼で観察可能な比較的大きなサイズの結晶が確認された。すなわち、基礎釉薬に対し、酸化タングステン及び酸化ビスマス以外に、バナジウム、銅、コバルト、チタン、及びマンガン等の各種酸化物を添加することにより、結晶成長が促進され、虹彩部3が得られることが確認された。一方、実施例4に示すように、酸化タングステン及び酸化ビスマスのみを添加物として使用した場合、結晶4の成長は確認されるが、虹彩部3は確認されなかった。すなわち、全体が銀色を呈し、かつ結晶のサイズも肉眼で確認できるギリギリの小さい範囲のものであった。これにより、多辺形状を呈し、かつ虹彩模様を生じる結晶成長を可能とするためには、添加物として酸化タングステン及び酸化ビスマス以外に他の金属酸化物を添加することが望ましいことが示された。なお、実施例4の配合であっても焼成条件を制御することにより、多辺形状の虹彩部3を形成する可能性も有している。上記の例では、実施例3の配合に調製された釉薬により、酸化チタン及び酸化マンガンを所定量添加したものが結晶サイズも大きく、かつ虹彩部3の模様も明瞭に示されるものが確認された。
これに対し、実施例5の場合、すなわち、基礎釉薬に対して酸化タングステンを含む添加物が過剰の場合、具体的に示すと、基礎釉薬100.0重量部に対して15.0重量部以上の添加物が添加される場合、焼成後の釉薬面は全く虹彩が確認されず、無光沢の艶消し状となった。これにより、添加物の添加量の上限は、15.0重量部以下であることが好適と確認された。なお、上記表には提示されていないものの、酸化タングステンを含有する添加物の添加量が基礎釉薬に対して小さい場合、換言すれば、基礎釉薬100.0重量部に対し、添加物が1.0重量部以下の場合、本発明における多辺形状を呈する光沢のある虹彩部3を形成することがほとんど困難であった。そのため、添加物の添加量の上限及び下限が決定され、虹彩部3を安定して得るための添加量の範囲が決定される。
以上述べたように、添加物として酸化タングステンを少なくとも用い、基礎釉薬に対して予め規定された範囲の添加量を添加することにより、焼成後のテストピース2の表面に結晶成長によって多辺形状の虹彩模様を示す虹彩部3を形成することができた。そのため、上記釉薬及びその製造方法1を利用することにより、周囲に対して虹彩を放ち、肉眼で確認できるような大きなサイズの多辺形状の結晶からなる虹彩部3が設けられる。その結果、これらの釉薬及びその製造方法1を利用することにより、陶磁器等に新規な釉調を表現することができ、窯業製品の釉掛けに活用することができた。その結果、陶磁器等の窯業製品の外観やデザイン性をより豊かにし、陶磁器作家等の創作意欲をさらに促進することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態及び実施例を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲のおいて、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態に示した釉薬1において、表1に提示した配合比率(例えば、実施例1乃至実施例4)の一例を示したがこれに限定されるものではなく、上述の各成分・原材料毎の使用量等を変化させることにより、虹彩部3の結晶サイズや虹彩模様やその形状等と改変することができる。その結果、従来にない新しい風合いのテストピース2(窯業製品)のものを製作することができる。さらに、実施例1乃至実施例4、及び比較例1において、それぞれの基礎釉薬の各配合比率を一定のものを用いたが、これに限定されるものではなく、40.0重量部以上、70.0重量部以下の酸化珪素、5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化アルミニウム、5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化鉄、0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カルシウム、0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カリウム、0.1重量部以上、2.0重量部以下の酸化ナトリウムのそれぞれの範囲で任意に調製することが可能である。
加えて、実施例1乃至実施例4において、酸化タングステン及び酸化ビスマスの二種類の化合物を併せて用いるものを示したがこれに限定されるものではなく、例えば、タングステン酸ビスマスのような二つの金属元素からなる複合的な酸化物を用いるものであっても構わない。その場合の配合の一例を示すと、原材料として福島長石、石灰石、焼きタルク、朝鮮カオリン、珪石、弁柄、タングステン酸ビスマス、酸化チタン、二酸化マンガンを用いるものを挙げることができる。これにより、二種類の金属酸化物を適宜混合し、釉薬(若しくは釉薬スラリー)を調製する手間を省くことができ、安定して多辺形状を呈する虹彩部を形成することができる。
釉薬を使用した窯業製品の製造方法の流れを示すフローチャートである。 実施例毎の虹彩部の状態を比較して示す説明図である。 焼成されたテストピースの虹彩部を拡大して模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 窯業製品の製造方法
2 テストピース(窯業製品、未焼成体、焼成体)
3 虹彩部
S1 釉薬調製工程
S2 釉掛け工程
S5 焼成工程
S7 結晶成長工程

Claims (4)

  1. 基礎釉薬100.0重量部に対し、1.0重量部以上、15.0重量部以下のタングステン酸ビスマスを混合してなることを特徴とする釉薬。
  2. 前記基礎釉薬100.0重量部に対し、0.5重量部以上、15.0重量部以下のビスマス、バナジウム、銅、コバルト、チタン、及びマンガンの金属元素の少なくともいずれか一つの金属化合物を添加してなることを特徴とする請求項1に記載の釉薬。
  3. 前記基礎釉薬は、
    40.0重量部以上、70.0重量部以下の酸化珪素と、
    5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化アルミニウムと、
    5.0重量部以上、15.0重量部以下の酸化鉄と、
    0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カルシウムと、
    0.1重量部以上、15.0重量部以下の酸化カリウムと、
    0.1重量部以上、2.0重量部以下の酸化ナトリウムと
    を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釉薬。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の釉薬を用いた窯業製品であって、表面に施釉される前記釉薬に含まれるタングステン酸ビスマスに起因して結晶核が生成され、前記結晶核から結晶方向が予め規制された結晶成長による多辺形状を呈する虹彩部を有することを特徴とする窯業製品。
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