JP4225188B2 - シャドウマスク用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
炭素は含有量が多くなると、炭化物の生成が多くなり、フォトエッチング時の穿孔性を悪くする。さらに降伏強度および降伏点伸びが上昇し、プレス時の孔の形状不良を生じやすくなるため、脱炭焼鈍をしない場合にはスラブ中のC量として0.002質量%以下(極低炭素鋼)、脱炭焼鈍する場合にはスラブ中のC量として0.04質量%以下(低炭素鋼)である。これは、脱炭焼鈍する場合、C量が多い場合には十分な脱炭に時間がかかるため、C量は0.04質量%以下、好ましくは0.03質量%以下とする。また、脱炭焼鈍をしない場合および脱炭焼鈍した場合のC量はプレス成形性の観点から、その含有量は0.002質量%以下とし、好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下とする。
シリコンは非金属介在物を形成してエッチング性を劣化させるため、その含有量は0.03質量%以下、好ましくは0.01質量%以下とする。
マンガンは製鋼時の脱酸材として、また、硫黄による熱間脆性を防止するのに有効であり、このためには0.1重景%以上含有する必要がある。一方、マンガンを0.5質量%以上含有すると鋼が硬化し、プレス成形性を劣化させるのでその含有量は0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下とする。
燐は鋼を硬化し、プレス成形性を劣化させるとともに、偏析に起因するエッチングむらを生じやすい元素であるため、その含有量は少ない方が望ましく、0.04質量%以下、好ましくは0.03質量%以下とする。
硫黄は不可避的に鋼中に含有される元素であるが、0.02質量%以上含有すると硫化物系の介在物として存在し、エッチング性を劣化させるとともに、鋼材を脆化する元素であるので、その含有量は少ない方が望ましく、0.02質量%以下、好ましくは0.01質量%以下とする。
酸可溶性アルミニウムは、製鋼に際して脱酸材として転炉溶製後に添加され、鋼の清浄度を向上させる。さらに、sol.Alは鋼中のNと結合してAlNを生成し、窒素による不均一変形の発生を抑制する効果があるので、0.01質量%以上添加し、好ましくは0.02質量%以上とする。一方、sol.Alを必要以上に添加してもコストの増加を招くので、その含有量は0.08質量%以下、好ましくは0.06質量%以下とする。
窒素は含有量が多いと降伏点伸びの増大やAlNの増加にともないエッチング性を劣化させるため、その含有量は0.01質量%以下、好ましくは0.008質量%以下とする。
本発明において、バナジウムは重要なポイントのひとつである。バナジウムはプレス前焼鈍時に残存している固溶Cおよび固溶Nを窒化物や炭窒化物として固定し、プレス成形性を向上させる。また、窒化物や炭窒化物は粒成長性を制御するため、ブラウン管メーカーでのプレス前焼鈍時に炉内の温度分布に起因した焼むらを防止し、さらにプレス前焼鈍後の粒径を非履歴透磁率の好適範囲に制御することが容易となる。この粒成長制御効果は0.001質量%未満のV添加では不十分であるため、0.001質量%以上、好ましくは0.002質量%以上とする。一方、0.006質量%以上のVを添加すると、窒化物や炭窒化物の増大により結晶粒径が細粒となり保磁力Hcを劣化させるため、0.006質量%以下、好ましくは0.005質量%以下とする。このように適正量のVを添加することにより、プレス前焼鈍後の結晶粒径を25μm以上60μm未満の範囲に制御することができる。なお、ここでいう「結晶粒径」とは、JIS G 0552に規定された切断法により測定した平均値をいう。結晶粒径を測定する面は鋼板の圧延方向に平行な断面である。
不可避不純物およびその他の元素は、シャドウマスクとしての基本特性(プレス成形性、エッチング性、黒化処理性など)および本発明の作用(結晶粒径制御、保磁力、非履歴透磁率)を損なわない範囲で極微量の存在が許容される。
炭素量が多いとセメンタイトが析出し、エッチング性が悪くなるとともに降伏強度および降伏点伸びが上昇し、プレス成形性が悪くなる。脱炭焼鈍は、C量0.04%以下の低炭素鋼スラブを原材料とする場合に、そのC量を極力少なくする(0.002%以下に低減する)ために行う。脱炭焼鈍条件は常法に従うことができ、例えば焼鈍雰囲気:水素と窒素の混合気体、焼鈍温度:650〜800℃、露点:10〜30℃で行う。焼鈍時間は、目標とする脱炭レベル、コイル重量、板厚等により適宜設定されるが、プレス前焼鈍時に脱炭され難い場合を考慮すると、プレス成形性の観点から、C量が0.002質量%以下、好ましくは0.001質量%以下となるまで脱炭することが好ましい。なお、脱炭焼鈍の効果を確認するために、鋼材全厚についてサンプリングを行いガス分析により成分分析を行った。なお、脱炭焼鈍は熱延板で行ってもよく、一次冷圧板で行ってもよい。
酸洗および一次冷間圧延は通常行われる条件でよい。なお、一次冷間圧延は脱炭焼鈍後に行ってもよく、脱炭焼鈍前に行ってもよい。
本発明では保磁力Hcを95A/m以下にするため、中間焼鈍をはさんで、15%以上40%未満の圧下率で二次冷間圧延する。ここで、中間焼鈍は再結晶さえすればよく、箱焼鈍または連続焼鈍のいずれを用いてもよい。二次冷圧率の下限はエッチングメーカーでの通板性を考慮し、機械特性の観点から15%以上とした。また、二次冷圧率の上限は、保磁力Hcが95A/m以下となるプレス前焼鈍後の粒径を考慮して、40%未満とした。本発明では、粒成長性の制御を目的とし、Vを添加しているのでプレス前焼鈍時の粒成長は望めない。そこで、保磁力Hcを95A/m以下とするには、二次冷圧率を40%未満とし、好ましくは30%未満、より好ましくは25%未満とする。
表1に示す化学組成を有する4種の供試鋼を溶製後、加熱温度1200℃、仕上げ温度900℃、巻取り温度600℃で熱間圧延し、板厚2.8mmの熱延板とした。その後、箱型焼鈍炉にて約750℃×5時間の条件で脱炭焼鈍を行った。脱炭後C量は、比較例鋼A:0.0011質量%、実施例鋼B:0.0004質量%、実施例鋼C:0.0015質量%、比較例鋼D:0.0008質量%であった。脱炭焼鈍後、酸洗し、圧延率90%で一次冷間圧延を行い、板厚0.28mmの冷圧板とした。次いで、連続焼鈍炉にて約700℃×60秒の条件で再結晶焼鈍を行い、冷圧率約29%で二次冷間圧延をし、板厚0.20mmのシャドウマスク用素材とした。
表1に示す実施例鋼Bを溶製後、加熱温度1200℃、仕上げ温度900℃、巻取り温度600℃で熱間圧延し、板厚2.8mmの熱延板とした。その後、箱型焼鈍炉にて約750℃×5時間の条件で脱炭焼鈍を行った。脱炭後C量は0.0004質量%であった。脱炭焼鈍後、酸洗し、表3に示す条件で一次冷間圧延−再結晶焼鈍−二次冷間圧延を行って4つの供試鋼を作製した。供試鋼B−1〜B−4は、いずれも板厚0.20mmのシャドウマスク用素材とした。
表5に示す実施例鋼Xは、転炉出鋼後の溶鋼を脱ガス装置で処理して、成分調整し(C量:0.0011質量%)、加熱温度1200℃、仕上げ温度900℃、巻取り温度600℃で熱間圧延し、板厚2.8mmの熱延板とした鋼材である。熱延後、酸洗し、表6に示す条件で一次冷間圧延−再結晶焼鈍−二次冷間圧延を行って板厚0.20mmのシャドウマスク用素材とした。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.002%以下、Si:0.03%以下、P:0.04%以下、Mn:0.1%以上0.5%以下、S:0.02%以下、sol. Al:0.01%以上0.08%以下、N:0.01%以下、V:0.001%以上0.006%以下、残部Feおよび不可避不純物からなり、プレス前焼鈍後の結晶粒径が25μm以上60μm未満であり、プレス前焼鈍後において95A/m以下の保磁力Hcおよび25000以上の非履歴透磁率μanを有することを特徴とするシャドウマスク用鋼板。
- 質量%で、C:0.04%以下、Si:0.03%以下、P:0.04%以下、Mn:0.1%以上0.5%以下、S:0.02%以下、sol. Al:0.01%以上0.08%以下、N:0.01%以下、V:0.001%以上0.006%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、その熱延鋼板を脱炭焼鈍した後、一次冷間圧延し、次いで再結晶焼鈍を行った後、圧延率15%以上40%未満で二次冷間圧延し、二次冷間圧延により所望板厚とした鋼板のプレス前焼鈍後の結晶粒径が25μm以上60μm未満であり、プレス前焼鈍後において95A/m以下の保磁力Hcおよび25000以上の非履歴透磁率μanを有することを特徴とするシャドウマスク用鋼板の製造方法。
- 質量%で、C:0.04%以下、Si:0.03%以下、P:0.04%以下、Mn:0.1%以上0.5%以下、S:0.02%以下、sol. Al:0.01%以上0.08%以下、N:0.01%以下、V:0.001%以上0.006%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、その熱延鋼板を一次冷間圧延し、次いで脱炭焼鈍を行った後、圧延率15%以上40%未満で二次冷間圧延し、所望板厚とした鋼板のプレス前焼鈍後の結晶粒径が25μm以上60μm未満であり、プレス前焼鈍後において95A/m以下の保磁力Hcおよび25000以上の非履歴透磁率μanを有することを特徴とするシャドウマスク用鋼板の製造方法。
- 質量%で、C:0.002%以下、Si:0.03%以下、P:0.04%以下、Mn:0.1%以上0.5%以下、S:0.02%以下、sol. Al:0.01%以上0.08%以下、N:0.01%以下、V:0.001%以上0.006%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を熱間圧延し、その熱延鋼板を一次冷間圧延し、次いで再結晶焼鈍を行った後、圧延率15%以上40%未満で二次冷間圧延し、所望板厚とした鋼板のプレス前焼鈍後の結晶粒径が25μm以上60μm未満であり、プレス前焼鈍後において95A/m以下の保磁力Hcおよび25000以上の非履歴透磁率μanを有することを特徴とするシャドウマスク用鋼板の製造方法。
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