JP4225067B2 - 小型電動車両の荷掛け装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば3〜4輪の車輪を有し、前輪を操舵するハンドルバーのステアリングコラムと着座シートとの間に低床式の足載せフロアが設けられ、ステアリングコラムの後方に荷掛けフックを設けた小型電動車両の荷掛け装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−277253号公報(例えば、特許文献1参照)等に開示されているように、スクーター型車両においてステアリングコラムの後方に荷掛けフックを設けたものがある。この場合、前輪の操舵時に回動するステアリングコラムに対し、荷掛けフックは回動しないようにステーやブレース等の固定部材を介して車体フレームに固定されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−277253号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように荷掛けフックがステアリングコラムの回動に関係無く固定されているため、荷掛けフックに大きな荷物を吊り下げた場合に、荷物がステアリングコラムと着座シートとの間に設けられた足載せフロアの上方の空間を占有してしまい、これにより車両への乗降性が阻害されるという問題がある。特に電動車椅子のように乗降性の良さが必須とされる車両にあっては上記問題が深刻である。
【0005】
また、前述のように荷掛けフックがステーやブレース等の固定部材を介して車体フレームに固定され、さらに上記固定部材を覆い隠すためのカバー部材等も必要なため、部品点数や組立工数が多く、荷掛けフックを設けることが車体の製造コストアップと重量増加の原因になっていた。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、車両への乗降性を阻害することなくステアリングコラムの後方に手提げ袋等の荷物を安定的に保持することができ、しかも車体製造コストと車体重量増加を回避でき、かつ操作性と利便性の良い小型電動車両の荷掛け装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る小型電動車両の荷掛け装置は、請求項1に記載したように、前輪を操舵するハンドルバーのステアリングコラムと着座シートとの間に低床式の足載せフロアが設けられるとともに、上記ステアリングコラムの後面に荷掛けフックを設け、この荷掛けフックをステアリングコラムと回転一体に設けた小型電動車両において、前記荷掛けフックを前記ステアリングコラムの軸方向沿いにスライド可能に設置し、前記足載せフロアに載置した手提げ袋の把持部の上端が上記荷掛けフックのスライド範囲内に収まるように上記スライド範囲を設定するとともに、荷掛けフックを付勢手段により上方に付勢した。
【0008】
上記構成によれば、ハンドルバー回動時に荷掛けフックに吊り下げた荷物が足載せフロア上方の空間から左右にずれるため乗降性が損なわれない。しかも荷掛けフックは固定部材を介して車体フレーム等に固定する必要がないため、上記固定部材やこれを覆い隠すカバー部材等も不要になる。また、荷掛けフックをスライド可能に設置し付勢手段により上方に付勢したため、荷物を安定的に保持できるとともに、荷掛けフックに荷物を掛け易くなって操作性が良好になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る荷掛け装置の一実施形態が適用された小型電動車両の一例となる電動車椅子の左側面図である。
【0015】
この電動車椅子は、車体1の四隅に左右一対の前輪2と後輪3が配置され、車体1の前部には前輪2を操舵するハンドルバー4のステアリングコラム5が立設され、後輪3のほぼ上方にはリヤボディー6が設けられてその上に着座シート7が設置され、ステアリングコラム5と着座シート7との間に低床式の足乗せフロア8が設けられている。着座シート7には左右一対のアームレスト9が設けられ、着座シート7はリヤボディー6上で回動可能にされて乗降性の向上が図られている。
【0016】
車体前部には前照灯11やバスケット12が設けられ、リヤボディー6の後部にはテールランプ13が設けられ、リヤボディー6の内部には後輪3を駆動する図示しない電動モーター、バッテリー、コントローラー、充電器等の機器類が内蔵されている。
【0017】
ステアリングコラム5は図2にも示すように例えば鋼製の直管であり、その上端にハンドルプレート15が固着され、ハンドルプレート15の前縁付近にハンドルバー4が固着され、ハンドルプレート15の上に運転制御ユニット16が載置されている。
【0018】
図3にも示すように、ステアリングコラム5は樹脂製の前後合わせのコラムカバー18,19により覆われ、ハンドルバー4やハンドルプレート15、運転制御ユニット16等も同じく樹脂製の上下合わせのハンドルカバー21,22により覆われる。
【0019】
ハンドルバー4を回動させると、ステアリングコラム5、ハンドルプレート15、運転制御ユニット16、コラムカバー18,19、ハンドルカバー21,22、バスケット12等が全て一体に回動し、前輪2が操舵される。
【0020】
そして、荷掛けフック24がステアリングコラム5の後面に回転一体に設けられて荷掛け装置が構成されている。図4は図2のIV部を拡大して荷掛け装置の第一実施形態を示した縦断面図である。
【0021】
荷掛けフック24はビス25によりステアリングコラム5の後面に固着されたナット26に着脱可能に締結される。ここでは荷掛けフック24は樹脂製とされ、金属のスぺーサー管27が挿通されることによりビス25の締結力が樹脂製の荷掛けフック24に及ばないようにされている。
【0022】
後側のコラムカバー19には凹部29と取付穴30が形成され、取付穴30にビス25が挿通されることによりコラムカバー19の長手方向中間部がステアリングコラム5に対して位置決めされる。
【0023】
図1に示すように、荷掛けフック24の高さHは、荷掛けフック24にビニールの買物袋等の手提げ袋32の把持部33を掛けた時に手提げ袋32の下部が足乗せフロア8に着面し、かつ把持部33が荷掛けフック24から外れない高さに設定する。ここで言うビニールの買物袋とは、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等で配布されるオーソドックスな大きさの袋である。
【0024】
このように荷掛けフック24に掛けられた手提げ袋32は、ハンドルバー4を回動させた時に足乗せフロア8上方の空間から左右に移動する。このため、例えば電動車椅子に車体左側から乗降する時は、ハンドルバー4を右方に操舵すれば手提げ袋32が足乗せフロア8上方の空間から左前側に移動し、乗降時にユーザーの足に当たりにくくなるため乗降の妨げにならない。
【0025】
また、荷掛けフック24の高さHが、手提げ袋32の把持部33が荷掛けフック24に掛けられた状態で手提げ袋32の下部が足乗せフロア8に着面する高さに設定されているため、電動車椅子の走行時に手提げ袋32が揺動しにくく、手提げ袋32を安定的に保持することができる。
【0026】
荷掛けフック24はステアリングコラム5に直接固定されるので、従来のように固定部材を介して車体フレーム等に固定する必要がない。このため、固定部材やこれを覆い隠すカバー部材等も不要になり、組立工数も減って車体製造コストと車体重量増加を回避させることができる。
【0027】
しかも、荷掛けフック24はステアリングコラム5に対して着脱可能に設けられているため、荷掛けフック24が不必要な時には取り外すことができ、利便性が良い。なお、荷掛けフック24がコラムカバー19に設けられた凹部29の中に位置しているため、コラムカバー19の表面からの荷掛けフック24の突出量を小さくして安全性を高めつつ、荷掛けフック24に荷物を係脱しやすくすることができる。
【0028】
変形例として、図3に示すように荷掛けフック24の代わりにドリンクホルダー35や有底容器状の物入れ36等を取り付けることもできる。
【0029】
図5は、荷掛け装置の第二実施形態を示す縦断面図である。ここでは、荷掛けフック41の高さを調整可能にする高さ調整手段として、ステアリングコラム5の後面に上下に並ぶ複数のフック取付穴42が短い間隔で穿設され、荷掛けフック41には上下にスリット43,44が形成されている。スリット43はスリット44よりも長い。
【0030】
荷掛けフック41をフック取付穴42に取り付ける時は、まず荷掛けフック41の上側のスリット43を矢印▲1▼のようにフック取付穴42の上縁に差し込み、次に荷掛けフック41を上方にスライドさせつつフック取付穴42の中に押し込み、次に荷掛けフック41を下方にスライドさせつつ下側のスリット44を矢印▲2▼のようにフック取付穴42の下縁に差し込む。これにより荷掛けフック41はフック取付穴42から脱落せずに荷物を保持することができる。
【0031】
このような高さ調整手段を設ければ、手提げ袋等の荷物の大きさに適した高さに荷掛けフック41を調整でき、これにより荷物を一層安定的に保持することができる。なお、高さ調整手段は上記構成に限らず別な構成であってもよい。
【0032】
図6は本発明に係わる荷掛け装置の実施形態を示す縦断面図であり、図7は図6のVII部拡大図である。
【0033】
ここでは、ステアリングコラム5の外周にスライドパイプ48が軸方向にスライド自在に装着され、このスライドパイプ48の後面に突設されたボルト49に荷掛けフック50が金属のスぺーサー管51を介してナット52で締結されている。よって荷掛けフック50はステアリングコラム5の軸方向沿いにスライド可能である。
【0034】
ステアリングコラム5にはスライドパイプ48の上方へのスライドを制限するリング状のストッパー53が固着され、スライドパイプ48はスプリング54によりストッパー53に当接するまで上方に軽く付勢されている。また、コラムカバー19の後面には荷掛けフック50のスライドを妨げないように縦方向にスリット55が形成されている。
【0035】
ここで、荷掛けフック50のスライド範囲Sは、足乗せフロア8に載置した手提げ袋32(図1参照)の把持部33の上端がスライド範囲S内に収まるように設定される。
【0036】
このように構成された荷掛け装置において、荷掛けフック50に荷重が掛かっていない時はスライドパイプ48がスプリング54の付勢力により上方に付勢されてストッパー53に当接する。この状態では荷掛けフック50の位置が高いため、荷掛けフック50に手提げ袋32等の荷物を掛けやすくて操作性が良い。
【0037】
荷掛けフック50に荷物を掛けると、荷物の重量によって荷掛けフック50が下方にスライドし、荷物の下部が足乗せフロア8に着面する。このため、電動車椅子の走行時に荷物が揺動しにくく、荷物を安定的に保持することができる。この時、荷掛けフック50はスプリング54の付勢力によって荷物を上方に引っ張るように付勢されるため、荷物が荷掛けフック50から外れる心配がない。
【0038】
なお、本発明に係わる荷掛け装置は電動車椅子のみならず、ハンドルバーと着座シートとの間に足載せフロアが設けられた他のあらゆる車両にも適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る小型電動車両の荷掛け装置によれば、車両への乗降性を阻害することなくステアリングコラムの後方に手提げ袋等の荷物を安定的に保持可能にし、かつ車体製造コストと車体重量増加を回避し、併せて操作性と利便性を高めることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る荷掛け装置の一実施形態が適用された小型電動車両の一例となる電動車椅子の左側面図。
【図2】 ステアリングコラムと荷掛け装置付近の縦断面図。
【図3】 ステアリングコラムと荷掛け装置付近の分解斜視図。
【図4】 図2のIV部を拡大した第一実施形態を示す荷掛け装置の縦断面図。
【図5】 第二実施形態を示す荷掛け装置の拡大縦断面図。
【図6】 本発明に係わるステアリングコラムと荷掛け装置付近の縦断面図。
【図7】 図6のVII部を拡大した荷掛け装置の縦断面図。
【符号の説明】
1 車体
2 前輪
3 後輪
4 ハンドルバー
5 ステアリングコラム
7 着座シート
8 足載せフロア
18,19 コラムカバー
24,41,50 荷掛けフック
32 手提げ袋
33 手提げ袋の把持部
42 高さ調整手段として機能するフック取付穴
43,44 高さ調整手段として機能するスリット
50 付勢手段として機能するスプリング
H 荷掛けフックの高さ
S 荷掛けフックのスライド範囲

Claims (2)

  1. 前輪を操舵するハンドルバーのステアリングコラムと着座シートとの間に低床式の足載せフロアが設けられるとともに、上記ステアリングコラムの後面に荷掛けフックを設け、この荷掛けフックをステアリングコラムと回転一体に設けた小型電動車両において、前記荷掛けフックを前記ステアリングコラムの軸方向沿いにスライド可能に設置し、前記足載せフロアに載置した手提げ袋の把持部の上端が上記荷掛けフックのスライド範囲内に収まるように上記スライド範囲を設定するとともに、荷掛けフックを付勢手段により上方に付勢したことを特徴とする小型電動車両の荷掛け装置。
  2. 上記荷掛けフックは、ステアリングコラムの外周にステアリングコラムの軸方向に沿ってスライド自在に装着されるとともにスプリングの付勢力によって上方に付勢されるスライドパイプの後面に取付けられるとともに、ステアリングコラムにはスライドパイプの上方へのスライドを制限するストッパーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の小型電動車両の荷掛け装置。
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