JP4224418B2 - 繊維複合金属材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維複合金属材料の製造方法に関する。
近年、金属基複合材料の一つとして繊維材料を強化材とする繊維複合金属材料が注目されている。このような繊維複合金属材料として、例えば炭素短繊維を用いた複合材料が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
このように、炭素繊維を強化材とする複合金属材料については、これまでにも提案があった。しかしながら、炭素繊維と金属とを混合する際の工程は、焼結法が多く、多様な金属成形加工には対応できていなかった。
特開平11−1375号公報
本発明の目的は、マトリクスとなる金属中における繊維材料の分散性を改善し、多様な金属成形加工に対応可能な繊維複合金属材料の製造方法を提供することにある。
本発明にかかる繊維複合金属材料の製造方法は、エラストマーに、平均直径が0.5μmを越えかつ200μm以下の繊維材料を混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合材料を得る工程(a)と、
前記複合材料と金属とを混合し、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る工程(b)と、
を含み、
前記工程(a)は、0ないし50℃で行なわれ、
前記工程(b)は、前記複合材料と前記金属とを混合する際に、前記複合材料の前記エラストマーを分解して除去する
本発明の製造方法によれば、エラストマーと繊維材料とを混合することで、エラストマー中に繊維材料が均一に分散した複合材料を得ることができ、この複合材料を用いることで、繊維材料が金属中に均一に分散した繊維複合金属材料を製造することができる。また、このようにして得られた本発明の繊維複合金属材料は、少量の繊維材料を用いた場合であっても、繊維材料の分散性が改善され、全体に均一な複合化性能、例えば強度向上や耐摩耗性の向上等の特性を持つ優れた材料となる。また、比較的扱いやすい複合材料を用いることで、工程(b)における多様な成形加工が選択可能になった。特に、平均直径が0.5μmを越え、かつ200μm以下である繊維材料を用いたことで、安価であり、かつ比較的扱い易い。
また、このように工程(a)が行われることで、比較的容易に繊維材料をエラストマー中に分散させることができる。また、このように、前記エラストマーに繊維材料を剪断力によって分散させる工程(a)は、
(a−1)ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法、
(a−2)ロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法、
(a−3)スクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法、などを用いて行うことができる。
このように、繊維複合金属材料の組成物として不要なエラストマーを分解して除去することができる。
また、本発明にかかる繊維複合金属材料の製造方法において、前記工程(b)は、
(b−1)前記複合材料の粒子と前記金属の粒子とを混合した後、成形することで、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る方法、
(b−2)前記複合材料と流体状態の前記金属とを混合した後、固化する方法、
(b−3)前記複合材料に、前記金属の溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属の溶湯と置換する方法、などを用いて行うことができる。
本発明に用いられる繊維材料は、無機繊維とすることができる。耐熱性のよい無機繊維を用いることにより、工程(b)によって焼失することなく製造することができる。
本発明に用いられる繊維材料は、炭素繊維とすることができる。
また、本発明に用いられる金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることができる。
このように、アルミニウムまたはアルミニウム合金とすることで、繊維複合金属材料の軽量化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる繊維複合金属材料の製造方法は、エラストマーに、平均直径が0.5μmを越えかつ200μm以下の繊維材料を混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合材料を得る工程(a)と、前記複合材料と金属とを混合し、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る工程(b)と、を含み、前記工程(a)は、0ないし50℃で行なわれ、前記工程(b)は、前記複合材料と前記金属とを混合する際に、前記複合材料の前記エラストマーを分解して除去する
(A) まず、繊維材料について説明する。
本発明における繊維材料は、平均直径が0.5μmを越え、かつ200μm以下の繊維状の材料を用いることが好ましく、工程(b)における金属との混合で焼失しない程度の耐熱性を有することが好ましい。平均直径が0.5μmを越え、かつ200μm以下の繊維材料は、比較的安価であって、工業上の利用に際して取り扱い易い。
耐熱性を有する繊維材料としては無機繊維が好ましく、無機繊維としては例えば炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ステンレス繊維などを採用することができる。
本発明における炭素繊維は、化学組成の大部分例えば90%以上が炭素よりなる繊維状物質であって、有機繊維を炭化したいわゆる炭素繊維と、その炭素繊維をさらに高温で熱処理した黒鉛繊維と、を含む。また、本発明における炭素繊維は、その原料となる有機物質によって特に限定されないが、ピッチ系、PAN系、レーヨン系の炭素繊維を用いることができる。
また、炭素繊維としては、平均直径が0.5μmを越え、かつ200μm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均直径が0.5μm以下のカーボンナノファイバーは、比較的高価なナノマテリアルであり、本発明における炭素繊維には含まれない。炭素繊維の長さは5μmないし10mmであって、かつアスペクト比が10ないし200であることが好ましい。アスペクト比が10よりも小さい繊維は繊維としての補強効果を示さず、アスペクト比が200より大きい繊維はエラストマーとの混練によって切断されやすく長いものを用いる効果が得られない。炭素繊維の配合量は、特に限定されず、用途に応じて設定できるが、例えば複合金属材料に用いる金属材料に対して1ないし30vol%であることが望ましい。
本実施の形態の繊維材料は、金属溶湯の中に直接混合させる方法や、金属粒子とドライブレンドして粉末成形する方法などによって、金属と直接的に混合して繊維複合金属材料を製造することができる。また、本実施の形態の繊維材料は、エラストマーと混合して複合材料を製造し、その複合材料を繊維複合金属材料を製造する際の原料として用いる。
繊維材料は、エラストマーもしくは金属材料と混合される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(B) 工程(a)で用いられるエラストマーについて説明する。
繊維材料はその平均直径や配合割合にもよるが、一般に金属材料中に分散しにくいため、まずエラストマーに繊維材料を混合することでエラストマー中に分散させた複合材料を製造する。エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万のものが用いられる。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、凝集した繊維材料の相互に侵入しやすく、したがって繊維材料同士を分離する効果が大きい。エラストマーの分子量が5000より小さいと、エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても繊維材料を分散させる効果が小さくなる。また、エラストマーの分子量が500万より大きいと、エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、不飽和結合または基として、二重結合、三重結合、官能基から選択される少なくともひとつであることができる。官能基としては、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などがある。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。
このように、本実施の形態の複合材料を金属の複合材料の原料として用いると、繊維材料がエラストマーに既に分散した状態で存在するので、この原料と金属などの媒体とを混合することで繊維材料を金属マトリクス中に容易に分散することができる。また、このような複合材料を用いることで、その後工程における金属材料との混合などにおいて、成形加工方法の選択の自由度が増える。
(C) 次に、繊維材料とエラストマーとを混合して複合材料を得る工程(a)について説明する。
複合金属材料を得る工程(a)は、上述した繊維材料及びエラストマーを用いて、例えば、以下のような方法を採用することができる。
(a−1)ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法、
(a−2)ロータ間隙が1mm以下の密閉式混練法、
(a−3)スクリュー間隙が0.3mm以下の多軸押出し混練法、などが挙げられる。
本実施の形態では、エラストマーに繊維材料を混合させる工程(a)として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法(a−1)を用いた例について述べる。
繊維材料を分散させるため、エラストマーは、例えば、上記(B)で述べたような特徴を有することが望ましい。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、エラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間にエラストマーがたまった、いわゆるバンク32が形成される。
ついで、このエラストマー30がたまったバンク32内に繊維材料40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させる。さらに、第1,第2ロール10,20の間隔を狭めて前述した間隔dとし、この状態で第1,第2ロール10,20を上記所定の表面速度比で回転させる。これにより、エラストマー30に高い剪断力が作用し、この剪断力によって繊維材料が1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30に分散される。
なお、エラストマーに繊維材料を剪断力によって分散させる工程(a)は、できるだけ高い剪断力で混練されることが望ましい。この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、エラストマーと繊維材料との混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。オープンロール法を用いた場合には、ロールの温度を上記の温度に設定することが望ましい。
このとき、本実施の形態において、分子長が適度に長く、分子運動性の高いエラストマーが繊維材料の相互に侵入し、エラストマーと繊維材料との混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの移動に伴って繊維材料も移動し、繊維材料が分離されて、エラストマー中に分散されることになる。そして、複合材料中の繊維材料は、良好な分散安定性を有することができる。
エラストマーに繊維材料を剪断力によって分散させる工程(a)は、上記オープンロール法(a−1)に限定されず、上記した密閉式混練法(a−2)あるいは多軸押出し混練法(a−3)を用いることもできる。要するに、この工程では、繊維材料を分散できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。
また、この工程(a)において、繊維材料よりも十分に大きい金属粒子もしくは非金属粒子をエラストマーに繊維材料と同時もしくは繊維材料よりも先に混合してもよい。金属粒子もしくは非金属粒子は、エラストマー中に混合し、分散させておいて、繊維材料を混合させるときに繊維材料をさらに良好に分散させるものである。金属粒子としては、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、鉄及びその合金などの粒子を単体でまたは組み合わせて用いることができ、特に、工程(b)においてマトリクスとなる金属と同じ金属及びその合金を用いることができる。非金属粒子としては、カーボンブラック、ケイ酸粒子、鉱物性粒子などを単体でもしくは組み合わせて用いることができる。金属粒子及び非金属粒子は、使用する繊維材料の平均直径よりも大きい平均粒径であることが好ましい。また、金属粒子もしくは非金属粒子の平均粒径は500μm以下、好ましくは1〜300μmである。金属との混合工程(b)で非加圧浸透法を用いる場合には、金属粒子及び非金属粒子の量は、エラストマー100重量部に対して、10〜3000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。金属粒子及び非金属粒子が10重量部以下であると、毛細管現象が小さく、金属溶湯の浸透速度が遅いので、生産性及びコスト面で採用が難しい。また、金属粒子及び非金属粒子が3000重量部以上であると、複合材料を製造する際に、エラストマーへ含浸させにくくなる。また、金属粒子及び非金属粒子の形状は、球形粒状に限らず、混合時に金属粒子及び非金属粒子のまわりに乱流状の流動が発生する形状であれば平板状、りん片状であってもよい。
上述したエラストマーに繊維材料を分散させて両者を混合させる工程(混合・分散工程)によって得られた複合材料は、架橋剤によって架橋させて所望形状に成形するか、もしくは架橋させずに成形することができる。このようにして得られた複合材料は、工程(b)によって複合金属材料を得ることができる。
エラストマーと繊維材料との混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。
(D)次に、繊維複合金属材料を得る工程(b)について説明する。
繊維複合金属材料を得る工程(b)は、上記実施の形態で得られた複合材料を用いて、例えば、以下のような各種の成形方法を採用することができる。
(b−1)前記複合材料の粒子と前記金属の粒子とを混合した後、成形することで、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る工程である方法、
(b−2)前記複合材料と流体状態の前記金属とを混合した後、固化する方法、
(b−3)前記複合材料に、前記金属の溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属の溶湯と置換する方法、などが挙げられる。
例えば、(b−1)としては、上記実施の形態で得られた複合材料を冷凍粉砕して複合材料の粒子を得て、複合金属材料のマトリクスとなる金属の粒子と該複合材料の粒子とを混合(例えばドライブレンド)した後、焼結法によって繊維複合金属材料を得ることができる。あるいは同様に金属の粒子と該複合材料の粒子とを混合(例えばドライブレンド)した後、粉末鍛造法や粉末射出法などによって繊維複合金属材料を得ることもできる。このような粉末成形によって製造された複合金属材料は、繊維材料を金属材料中に分散させることができる。
例えば、焼結法としては、上記実施の形態で得られた複合材料を例えば冷凍粉砕した複合材料の粒子と、金属例えばアルミニウムの粒子と、をドライブレンドによって混合し、該混合材料を金型内に配置し、不活性ガス例えば窒素雰囲気中において550℃、100MPaで2時間圧縮しながら焼結して繊維複合金属材料を得ることができる。この工程で用いられる金属の粒子例えばアルミニウムの粒子の大きさは粉末成形によって得られる複合金属の用途などによって適宜選択することができる。
また、例えば(b−2)としては、上記実施の形態で得られた複合材料と流体状態の金属(金属溶湯)とを混合した後、固化して複合金属材料を得ることができる。このような鋳造工程は、まず、複合材料と金属溶湯との混合が行われる。坩堝に金属例えばアルミニウムを溶解(650〜800℃)し、さらに溶解したアルミニウムを攪拌しながら複合材料を坩堝に投入し、混合する。このとき、攪拌は、一方向の回転でもよいが、3方向(3次元)に攪拌することで混合の効果は高くなる。空気雰囲気もしくは不活性雰囲気中で混合されたアルミニウム溶湯は、例えば鋼製の鋳型内に金属溶湯を注湯して行う金型鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法を採用することができる。またその他特殊鋳造法に分類される、高圧化で凝固させる高圧鋳造法(スクイズカスティング)、溶湯を攪拌するチクソカスティング、遠心力で溶湯を鋳型内へ鋳込む遠心鋳造法などを採用することができる。これらの鋳造法においては、金属溶湯の中に複合材料を混合させたまま鋳型内で凝固させ、所望の形状を有する複合金属材料を成形する。
例えば、チクソカスティングにおいては、700〜800℃でアルミニウムを溶解した後、攪拌しながら温度を下げて400〜600℃でチクソトロピー状態を得て、その状態で複合材料を混合することが好ましい。チクソトロピー状態においては、粘度が大きくなるので、均一な分散を可能とする。これらの鋳造工程では、不活性雰囲気例えば窒素雰囲気中、窒素に少量の水素ガスを加えた弱還元雰囲気中、あるいは減圧した真空下で行うと、金属溶湯(例えば、アルミニウム溶湯)の酸化が防止され、より繊維材料との濡れ性がよくなるので望ましい。なお、この鋳造工程において、複合材料のエラストマーは、金属溶湯の熱によって分解され、除去される。
さらに、このような製造方法よって得られた複合金属材料を、例えばインゴットとして用いて、鋳造法、粉末鍛造法、粉末押出成形法、あるいは粉末射出成形法によって所望の形態に成形することもできる。
このような鋳造工程によって製造された複合金属材料は、繊維材料を金属材料中に分散させることができる。
また、本実施の形態では、上記実施の形態で得られた複合材料に溶湯を浸透させるいわゆる非加圧浸透法を用いて鋳造する工程(b−3)について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
図2及び図3は、非加圧浸透法によって繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。上記実施の形態で得られた複合材料は、例えば最終製品の形状を有する成形金型内で圧縮成形された複合材料4を使用することができる。複合材料4は、架橋されていないことが好ましい。架橋されていないことで、金属溶湯の浸透速度が速くなるためである。図2において、密閉された容器1内には、複合材料4、例えば架橋されていないエラストマー30に繊維材料40が混入された複合材料4が入れられる。複合材料4は、図2の拡大図に示すようにエラストマー30のマトリクス中に繊維材料40が分散された状態で成形されている。その複合材料4の上方に金属塊例えばアルミニウム塊5を配置される。次に、容器1に内蔵された図示せぬ加熱手段によって、容器1内に配置された複合材料4及びアルミニウム塊5をアルミニウムの融点以上に加熱する。加熱されたアルミニウム塊5は、溶融してアルミニウム溶湯(金属溶湯)となる。また、アルミニウム溶湯に接触した複合材料4中のエラストマー30は、分解されて気化し、エラストマー30が分解されてできた空所にアルミニウム溶湯(金属溶湯)が浸透する。
本実施の態様の複合材料4としては、エラストマー30が分解されてできた空所が毛細管現象によってアルミニウム溶湯をより早く全体に浸透させることができる。アルミニウム溶湯は、還元されることでエラストマー30内に毛細管現象によって浸透し複合材料の内部まで完全にアルミニウム溶湯が満たされる。
そして、容器1の加熱手段による加熱を停止させ、複合材料4中に浸透した金属溶湯を冷却・凝固させ、図3に示すような繊維材料40が均一に分散された繊維複合金属材料6を得ることができる。
また、図2において、容器1を加熱する前に、容器1の室内を容器1に接続された減圧手段2例えば真空ポンプによって脱気してもよい。さらに、容器1に接続された不活性ガス注入手段3例えば窒素ガスボンベから窒素ガスを容器1内に導入してもよい。
金属溶湯にアルミニウムを用いた場合、アルミニウム塊5の表面は酸化物で覆われているが、アルミニウム溶湯を浸透させたときに、熱分解されたエラストマーの分子先端はラジカルになり、そのラジカルによってアルミニウム溶湯の表面にある酸化物(アルミナ)を還元すると考えられる。したがって、本実施の形態においては、複合材料に含まれるエラストマーの分解によって内部まで還元雰囲気を生成させることができるので、従来のように還元雰囲気の処理室を用意しなくても非加圧浸透法による鋳造を実施できる。また、複合材料中にあらかじめ還元剤としてマグネシウム粒子を混入させておくことによって、還元作用を促進することもできる。
また、繊維材料として炭素繊維を用いた場合には、アルミニウム溶湯の浸透によって分解されたエラストマー分子のラジカルによって炭素繊維の表面が活性化して、アルミニウム溶湯との濡れ性が向上する。このようにして得られた複合金属材料は、アルミニウムのマトリックス内に均一に分散した炭素繊維を有する。
さらに、上記実施の形態においては、非加圧浸透法について説明したが、浸透法であればこれに限らず例えば不活性ガス雰囲気の圧によって加圧する加圧浸透法を用いることもできる。
なお、上記実施の形態のような浸透法によれば、複合材料中のエラストマーが金属材料に置換されるため、他の鋳造法に比べ、繊維材料の分散状態が均一であり比較的有利である。
これら工程(b)に用いる金属は、通常の粉末成形・鋳造加工に用いられる金属例えば鉄及びその合金、アルミニウム及びその合金、チタン及びその合金、マグネシウム及びその合金、銅及びその合金、亜鉛及びその合金などから用途に合わせて単独でもしくは組み合わせて適宜選択することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)未架橋の複合材料の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、所定量(100g)のエラストマー(100体積%)を投入して、ロールに巻き付かせた。エラストマーは、エチレンプロピレンゴム(EPDM)を用いた。
第2の工程:エラストマーに対して表1に示す量(体積%)の炭素繊維をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。炭素繊維は、直径(平均繊維径)が約28μm、平均繊維長が約2mmのピッチ系炭素繊維を用いた。
第3の工程:炭素繊維を投入し終わったら、エラストマーと炭素繊維との混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物をオープンロールに投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例1〜3に用いる未架橋の複合材料を得た。
(b)繊維複合金属材料の作製
前述の(a)で得られた実施例1〜3に用いる未架橋の複合材料を容器(炉)内に配置させ、アルミニウム塊(地金)をその上に置き、不活性ガス(窒素)雰囲気中でアルミニウムの融点まで加熱した。アルミニウム塊は溶融し、アルミニウム溶湯となり、複合材料のエラストマーと置換するように金属溶湯が浸透した。アルミニウムの溶湯を浸透させた後、これを自然放冷して凝固させ、繊維複合金属材料を得た。ここで用いられたアルミニウム合金は、JIS−AC4Cである。
(c)比較例サンプルの作成
比較例1として、(a)と同じ炭素繊維20体積%を型に詰め、容積分率が20%まで加圧してプリフォームを作成し、該プリフォームに対しアルミニウム合金溶湯を流し込んで冷却して凝固させ、比較例1の繊維複合金属材料を得た。
また、比較例2として、アルミニウム合金100%のインゴットを用いた。
(d)引っ張り強さの測定
実施例1〜3及び比較例1、2のサンプルをそれぞれ10サンプルずつ引張試験を行い、引っ張り強さの最大値、最小値及び平均値を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0004224418
表1の結果から、比較例1はサンプルごとに引っ張り強さのばらつきがあることがわかり、実施例1〜3は引っ張り強さのばらつきが少ないことがわかった。
以上のことから、本発明によれば、繊維材料としての炭素繊維が金属中に均一に分散されることが明かとなった。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーと炭素繊維との混練法を模式的に示す図である。 非加圧浸透法によって繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。 非加圧浸透法によって繊維複合金属材料を製造する装置の概略構成図である。
符号の説明
1 容器
2 減圧手段
3 注入手段
4 複合材料
5 アルミニウム塊
6 繊維複合金属材料
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 繊維材料

Claims (7)

  1. エラストマーに、平均直径が0.5μmを越えかつ200μm以下の繊維材料を混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合材料を得る工程(a)と、
    前記複合材料と金属とを混合し、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る工程(b)と、
    を含み、
    前記工程(a)は、0ないし50℃で行なわれ、
    前記工程(b)は、前記複合材料と前記金属とを混合する際に、前記複合材料の前記エラストマーを分解して除去する、繊維複合金属材料の製造方法。
  2. 請求項において、
    前記工程(b)は、前記複合材料の粒子と前記金属の粒子とを混合した後、成形することで、該金属中に前記繊維材料が均一に分散した繊維複合金属材料を得る工程である、繊維複合金属材料の製造方法。
  3. 請求項において、
    前記工程(b)は、前記複合材料と流体状態の前記金属とを混合した後、固化する、繊維複合金属材料の製造方法。
  4. 請求項において、
    前記工程(b)は、前記複合材料に、前記金属の溶湯を浸透させて前記エラストマーを前記金属の溶湯と置換する、繊維複合金属材料の製造方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記繊維材料は、無機繊維である、繊維複合金属材料の製造方法。
  6. 請求項において、
    前記繊維材料は、炭素繊維である、繊維複合金属材料の製造方法。
  7. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、繊維複合金属材料の製造方法。
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