JP4223881B2 - 濃度測定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、濃度測定システムに関し、より詳細には、光源が発した赤外線が試料ガスを充填した測定セルに入射し、該測定セルを通過して出射した前記赤外線が、前記試料ガスを構成する被検物質が吸収する波長を示す検出用波長と大気中で吸収されずに前記検出用波長とは異なる参照用波長とのみを透過する透過部材を透過し、該透過した赤外線の強度を検出したセンサが出力する前記強度を示すセンサ出力に基づいて、前記被検物質の濃度を測定する濃度測定装置を備える濃度測定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非分散型の赤外線測定機器は、通常、ガス濃度の測定に用いられる。そのような方法は、測定に使用される波長範囲を測定されるガスの特性吸収帯域に一致するように限定することにより、測定すべきガスに関して極めて選択的にすることができる。そして、非分散型赤外線吸収法(NDIR法)においては、波長範囲は一般に、帯域フィルタによって選択されており、また、NDIR測定装置の光学帯域フィルタと置き換えるのに適した、同調可能な干渉計が開示されている。
【0003】
NDIR測定装置に使用されるファブリ・ペロー干渉計を制御する方法として、参考文献1が提案されている。この参考文献1では、従来のNDIR測定装置の概略構成を示した図のように、放射線源1から発生された信号が、サンプリングポイント(測定セル)2を通過する際に、特定ガスの吸収により減衰し、検知器5によって測定される。この際、光フィルタ3は、放射線源1よりの信号の波長領域をある程度に絞り込み、ファブリ・ペロー干渉計4によって何種類かの特定周波数へと帯域濾波される。そして、基準となる波長と、測定ガスの特定吸収波長との強度を比較し、その減衰量とサンプリングポイント2の長さから、単位体積当たりの測定ガス濃度を計測していた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−33345号公報 (第2−3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようにファブリ・ペロー等の干渉計が必要な構成においては、その干渉計を制御するシステム等も必要となり、装置構成が複雑になるという問題があった。また、測定ガス濃度を計測する場合、測定セルの汚れ、センサの劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等が発生すると、それらの影響によって被検物質の濃度の測定精度が低下するという問題があった。そのため、定期的に点検を行ったり、部品を交換したりする必要があった。
【0006】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、簡単な構成で測定精度の低下を防止することができる濃度測定システムを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の濃度測定システムは、図1の基本構成図に示すように、試料ガスを構成する被検物質の濃度を測定する濃度測定システムにおいて、前記試料ガスが充填される測定セル1と、前記測定セル1に入射させる波長の異なる赤外線を発する光源2と、前記測定セル1から出射した前記赤外線のうち、前記試料ガス中の被検物質が吸収する波長を示す検出用波長と大気中で吸収されずに前記検出用波長とは異なる参照用波長とのみを透過する透過部材3と、前記透過部材3を透過した前記赤外線の強度を検出し、該検出した強度を示すセンサ出力を出力する赤外線センサ4と、前記赤外線センサ4が出力するセンサ出力に基づいて前記被検物質の濃度を測定する濃度測定装置10と、を備え、前記光源2が、前記検出用波長の検出用赤外線と前記検出用波長及び前記参照用波長の参照用赤外線を発することが可能な構成となっており、前記濃度測定装置10が、前記検出用赤外線と前記参照用赤外線とを選択的に発するように前記光源2を制御する光源制御手段13と、前記光源制御手段13によって前記光源2が発した前記検出用赤外線に対応して前記赤外線センサ4が出力したセンサ出力を検出用出力として取り込む検出用出力取込手段11a1と、前記光源制御手段13によって前記光源が発した前記参照用赤外線に対応して前記赤外線センサ4が出力したセンサ出力を参照用出力として取り込む参照用出力取込手段11a2と、前記検出用出力及び前記参照用出力の各々が、前記検出用波長に対応した濃度比例係数と前記検出用波長に基づいて予め定められた吸光係数と前記赤外線が前記測定セル1に入射してから出射するまでの測定距離とを乗じた値に、前記参照用波長に対応した参照用濃度比例係数と前記参照用波長に基づいて予め定められた参照用吸光係数と前記透過距離とを乗じた値を加算した値に等しいという関係を示す連立方程式、前記検出用出力取込手段11a1が取り込んだ検出用出力、及び、前記参照用出力取込手段11a2が取り込んだ参照用出力に基づいて、前記濃度比例係数と前記参照用濃度比例係数を算出する第1算出手段11a3と、前記第1算出手段11a3が算出した前記濃度比例係数と前記参照用濃度比例係数の比を算出し、該算出した比に予め定められた濃度変換係数を乗じて前記被検物質の濃度を算出する第2算出手段11a4と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に記載した本発明の濃度測定システムによれば、光源制御手段13の制御によって光源2が検出用赤外線を発すると、この検出用赤外線は測定セル1を透過し、透過部材3を透過した検出用赤外線の強度が赤外線センサ4によって検出される。そして、この検出に応じて赤外線センサ4が出力したセンサ出力は、検出用出力として濃度測定装置の記憶媒体等に検出用出力取込手段11a1によって取り込まれる。また、光源制御手段13の制御によって光源2が参照用赤外線を発すると、この参照用赤外線は測定セル1を透過し、透過部材3を透過した参照用赤外線の強度が赤外線センサ4によって検出される。そして、この検出に応じて赤外線センサ4が出力したセンサ出力は、参照用出力として濃度測定装置の記憶媒体等に参照用出力取込手段11a2によって取り込まれる。そして、取り込んだ検出用出力と参照用出力と連立方程式とに基づいて濃度比例係数と参照用濃度比例係数が第1算出手段11a3によって算出され、この濃度比例係数と参照用濃度比例係数の比に濃度変換係数を乗じて被検物質の濃度が第2算出手段11a4によって算出される。
【0009】
よって、光源2に検出用波長に対応する検出用赤外線と検出用波長及び参照用波長に対応する参照用赤外線とを発せさせ、測定セル1を通って透過部材3を透過した検出用赤外線と参照用赤外線を検出した赤外線センサ4が出力する検出用出力と参照用出力に対し、ランバート・ベールの法則を用いると、検出用出力及び参照用出力の各々が、濃度比例係数と吸光係数と透過距離とを乗じた値に、参照用濃度比例係数と参照用吸光係数と透過距離とを乗じた値を加算した値に等しいという関係を示す連立方程式が成り立ち、この連立方程式中の被検物質の吸収がある濃度比例係数とその吸収がない参照用濃度比例係数との比は、被検物質の濃度に比例することから、その比と被検物質との関係式等を示す濃度変換係数を予め定めておくことで、赤外線センサ4から取り込んだ検出用出力と参照用出力に基づいて被検物質の正確な濃度を算出することができる。しかも、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等はセンサ出力比率に影響するため、その比率は濃度比例係数と参照用濃度比例係数に係るが、濃度比例係数と参照用濃度比例係数の比を算出することで打ち消されるため、その影響を排除することができる。したがって、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等による測定精度の低下を防止することができる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の濃度測定システムにおいて、前記光源制御手段13は、前記光源2が前記検出用赤外線若しくは前記参照用赤外線を発する第1電圧と発しない第2電圧を所定周期で繰り返すパルス信号によって前記制御を行い、前記検出用出力取込手段11a1及び前記参照用出力取込手段11a2は、前記所定周期に同期して前記取り込みを行うことを特徴とする。
【0011】
上記請求項2に記載した本発明の濃度測定システムによれば、光源制御手段13によって第1電圧と第2電圧を所定周期で繰り返すパルス信号によって光源2が制御され、光源2は第1電圧が印加されたときに、検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発する。そして、それらの赤外線は検出用出力取込手段11a1若しくは参照用出力取込手段11a2によって所定周期に同期して取り込まれる。よって、第1電圧及び第2電圧を所定周期で繰り返すパルス信号によって光源1を点滅制御し、その周期所定周期に同期して光源2が発した検出用赤外線若しくは参照用赤外線を取り込むようにしたことから、ノイズ等の影響を最小に抑えることができる。また、光源2を点滅制御することで、光源2による熱の揺らぎの発生を防止することができるとともに、測定セル1中の試料ガスが暖められて膨張し、濃度が変化することを防止することができるため、測定精度の向上と光源2の省電力を図ることができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2に記載の濃度測定システムにおいて、前記第1電圧は、前記光源2の定格電圧よりも小さな電圧であることを特徴とする。
【0013】
上記請求項3に記載した本発明の濃度測定システムによれば、光源2には光源制御手段13によって光源2の定格電圧よりも小さな第1電圧が所定周期で印加される。よって、光源2を動作させる定格電圧よりも小さな電圧値となるように第1電圧を設定していることから、光源2の寿命を延ばすことができるため、光源2の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2又は3に記載の濃度測定システムにおいて、前記光源制御手段13は、前記光源2に前記第1電圧を印加する際に、該第1電圧よりも低く、かつ、前記検出用赤外線若しくは前記参照用赤外線を発する第3電圧と前記第1電圧を前記所定周期よりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように前記制御を行うことを特徴とする。
【0015】
上記請求項4に記載した本発明の濃度測定システムによれば、光源制御手段13によって光源2に第1電圧を印加する際に、その第1電圧よりも低く、かつ、検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発する第3電圧と第1電圧を所定周期よりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように制御される。よって、光源2に検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発せさせるために第1電圧を印加する場合に、第1電圧よりも低く、かつ、光源2がそれらの赤外線を発する第3電圧と第1電圧を所定周期よりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように制御していることから、光源2に第1電圧を印加する時間が短くなるため、光源2の寿命をさらに延ばすことができ、光源2の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2〜4の何れかに記載の濃度測定システムにおいて、前記第2算出手段11a4が算出した前記濃度が、前記第1電圧の印加時間を短くする判定条件を満たしているか否かを判定する印加時間判定手段11a5をさらに備え、前記光源制御手段13は、前記印加時間判定手段11a5が判定条件を満たしていると判定すると、前記所定周期における前記第1電圧の比率を小さくして前記制御を行うことを特徴とする。
【0017】
上記請求項5に記載した本発明の濃度測定システムによれば、第2算出手段11a4によって濃度が算出されると、印加時間判定手段11a5によってその濃度が判定条件を満たしているか否かが判定され、判定条件を満たしていると判定されると、光源制御手段13によって所定周期における第1電圧の比率が小さくされて光源2の制御が行われる。よって、測定中に濃度が所定濃度以上になる等の第1電圧の印加時間を短くする判定条件を用意しておき、算出した濃度がその判定条件を満たすときに、所定周期における第1電圧の比率を小さくして光源2の制御を行うことから、光源2に第1電圧を印加する時間が短くなるため、光源2の寿命をさらに延ばすことができるとともに、消費電力を低減させることができる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2〜5に記載の濃度測定システムにおいて、前記第2算出手段11a4が前記試料ガスの測定中に算出した濃度を監視し、該濃度が急激に変化したことを検出する濃度監視手段11a6をさらに備え、前記光源制御手段13は、前記濃度監視手段11a6が濃度の変化を検出すると前記所定周期を短くすることを特徴とする。
【0019】
上記請求項6に記載した本発明の濃度測定システムによれば、第2算出手段11a4によって算出された濃度は濃度監視手段11a6によって監視され、その濃度が急激に変化したことが検出されると、光源制御手段13によって所定周期が短くされて光源2の制御が行われる。よって、測定中に濃度の急激な変化を検出すると所定周期を短くして光源2を制御し、その所定周期に同期して光源2が発した赤外線を取り込むことから、濃度測定の応答を良くすることができるため、試料ガスの濃度が時間により変化する場合の測定精度を向上させることができる。
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2〜6の何れかに記載の濃度測定システムにおいて、前記第2算出手段11a4が算出した前記濃度が、前記第1電圧を低下させる低下条件を満たしているか否かを判定する電圧低下判定手段11a7をさらに備え、前記光源制御手段13は、前記電圧低下判定手段11a7が低下条件を満たしていると判定すると、前記第1電圧を低下させて前記制御を行うことを特徴とする。
【0021】
上記請求項7に記載した本発明の濃度測定システムによれば、第2算出手段11a4によって濃度が算出されると、電圧低下判定手段11a7によってその濃度が低下条件を満たしているか否かが判定され、低下条件を満たしていると判定されると、光源制御手段13によって低下された第1電圧による光源2の制御が行われる。よって、濃度の変化が小さい、濃度が一定閾値以上となる等の低下条件を測定した濃度が満たすと、第1電圧を低下させて光源2を制御することから、濃度により電圧を抑えることができるため、より一層消費電力を低減させることができる。
【0024】
上記課題を解決するためになされた請求項8記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜7の何れか1項に記載の濃度測定システムにおいて、前記測定セル1と前記透過部材3との間に介在し、前記測定セル1から出射した前記赤外線を、前記赤外線センサ4に集光させる集光部材5をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
上記請求項8に記載した本発明の濃度測定システムによれば、測定セル1を通って出射した赤外線は、集光部材5によって赤外線センサ4に集光され、この赤外線を赤外線センサ4が検出する。よって、測定セル1を出射した赤外線を赤外線センサ4に集光させる集光部材5を設けていることから、赤外線センサ4に真っ直ぐに向かう赤外線の他に、反射した赤外線も赤外線センサ4に集光させることができるため、赤外線センサ4の感度の向上により、測定精度をより一層向上させることができる。
【0026】
上記課題を解決するためになされた請求項9記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜8の何れか1項に記載の濃度測定システムにおいて、前記測定セル1中の温度に応じた温度信号を出力する温度センサ6をさらに備え、前記濃度測定装置10の光源制御手段13は、前記温度センサ6が出力した温度信号に基づいて、前記光源2が発する赤外線の光量を安定させるように、前記光源2に印加させる電圧を定めることを特徴とする。
【0027】
上記請求項9に記載した本発明の濃度測定システムによれば、温度センサ6によって測定セル1中の温度に応じた温度信号が出力されると、その温度信号に基づいて、光源2が発する赤外線の光量を安定させるように、光源2に印加させる電圧が光源制御手段13によって定められ、光源制御手段13はその電圧によって光源2の制御を行う。よって、測定セル1中の温度を温度センサ6によって測定し、その温度に基づいて光源2が発する赤外線の光量を安定させるように、光源2に印加させる電圧を定めていることから、温度が低いときは光源2に印加する電圧を上げるように設定することで、光源2の温度を速く安定させることができ、また、経年変化に伴う光源2の温度変化も安定させることができるため、光源2が発する赤外線の光量が安定することになり、測定精度をより一層向上させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る濃度測定装置及び濃度測定システムによって二酸化炭素の濃度を測定する場合の一実施の形態を、図2〜図6の図面を参照して説明する。
【0029】
図2は二酸化炭素の吸収スペクトラムを示したグラフであり、縦軸はレベル、横軸は波長をそれぞれ示している。図2に示すように、二酸化炭素の吸収スペクトラムは、4.3μm付近で吸収があることが分かる。よって、本実施の形態では、4.3μm付近の吸収スペクトラムを測定することにより、二酸化炭素の濃度を測定する場合について説明する。
【0030】
図3は本発明の濃度測定装置及び濃度測定システムの概略構成を示す構成図である。図3に示すように、濃度測定システムは、被検物質が充填される測定セル1と、該測定セル1に入射させる赤外線を発する光源2と、測定セル1から出射した赤外線のうち所定の波長のみを通す透過部材3と、該透過部材3を通過した赤外線の強度を検出する赤外線センサ4と、測定セル1と透過部材3との間に介在して赤外線を赤外線センサ4に集光させる集光部材5と、測定セル1中の温度を検出する温度センサ6と、赤外線センサ4が出力したセンサ信号に基づいて被検物質の濃度を測定する濃度測定装置10と、を備える。
【0031】
測定セル1は、中空円柱状に形成しており、その入射側は光源2と対向し、その出射側は集光部材5と対向するように配置している。この測定セル1は、入射側から出射側までの距離がLとなるように形成していることから、この距離が請求項中の測定距離Lということになる。
【0032】
光源2は、印加される電圧により赤外線(熱エネルギー)の波長が変わるものとし、例えば黒体炉、電球等を用いる。光源2に印可する電圧により発生する熱が変化すると、遠赤外線(熱エネルギー)の波長のピークが変化することから、光源2の温度は印加される電圧によって制御される。
【0033】
図4は光源2が黒体炉の場合の波長と放射エネルギーとの関係を示すグラフである。図4において、縦軸は放射エネルギー[×103Watt/cm3]、横軸は波長[μm]をそれぞれ示す。そして、光源2に黒体炉を用いた場合、光源2の温度が500、700、800、900、1000、1100℃となるように電圧が印加されると、放射エネルギーと波長の関係は、図4に示すように、温度が低くなるにしたがって、そのピークは波長が長くなる方向に移動することになる。
【0034】
図5は大気中の波長と透過率との関係を示すグラフであり、縦軸は透過率[%]、横軸は波長[μm]をそれぞれ示している。図5に示すように、大気中の各波長は、例えば1.5、2.3、4.0μm等の波長帯域付近で透過率が高いことから、それらの帯域付近で波長の吸収がないことが分かる。よって、二酸化炭素の吸収波長(検出用波長)が4.3μmであることから、本実施の形態では、その波長からある程度離れた1.5μmを参照用波長としている。なお、参照用波長については、フィルターの帯域幅を狭くして、3.8や3.9μmとしてもよい。
【0035】
透過部材3は、上述した二酸化炭素の吸収波長である4.257μmと大気中に吸収波長を持たない1.5μmの2波長を透過する光学フィルタを用いている。なお、透過部材3については、二酸化炭素の吸収波長である4.3μm付近に近い例えば4.0μmを通す透過部材を選択することもできるが、この場合はお互いの波長帯域の裾野部分が重なるため、精度の高い検出ができない。また、透過部材3の帯域幅を狭くすることで、4.0μmの透過部材3を選択することもできるが、そのような透過部材3は高価であるため、装置のコストアップに繋がってしまう。よって、精度の高い測定を行うには、被検物質である二酸化炭素の吸収波長から離れた帯域を選択するのが好ましい。
【0036】
赤外線センサ4は、焦電型赤外線センサ等を用い、後述する濃度測定装置10に接続している。この赤外線センサ4は、透過部材3を透過した赤外線の熱を電気エネルギーに変換するもので、熱の変化時に電気エネルギーに変換してセンサ出力として濃度測定装置10に出力する。
【0037】
集光部材5は、フレーネルレンズ等を用い、集光部材5の角度(例えば300度)の範囲の赤外線を1点、つまり赤外線センサ4に集中させている。すると、直線での赤外線以外にも反射してくる赤外線があれば、それもセンサ5に集めることができので効率を良くすることができる。なお、集光部材5自身では、100%透過せずに数10%の劣化があるため、測定セル1の径が大きい場合に有効であるが、逆に小さい場合には効果が薄れるため、測定セル1の径が小さい場合は、集光部材5を構成から削除するようにしても差し支えない。
【0038】
温度センサ6は、サーミスタ、熱電対等を用い、測定セル1を通過する赤外線の熱エネルギーを検出し、この熱エネルギーに応じた温度信号を濃度測定装置10に出力する構成となっており、その温度信号により測定セル1中の温度を認識することができるようになっている。なお、温度センサ6の配置については、測定セル1の中、赤外線センサ4の近傍など種々異なる実施の形態とすることができる。
【0039】
濃度測定装置10は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ(μCOM)11を有する。このμCOM11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。
【0040】
また、μCOM11には、装置本体がオフ状態の間も記憶内容の保持が可能な電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリ12を接続している。そして、このメモリ12には、濃度の算出に必要な後述する吸光係数、測定距離、濃度変換係数等の各種情報を記憶するとともに、算出した濃度を外部から読出可能に時系列的に記憶する。
【0041】
濃度測定装置10はさらに、制御回路13とインタフェース部14を有し、それらはμCOM11にそれぞれ接続している。この制御回路13は、請求項中の光源制御手段に相当し、μCOM11からの指示に応じて光源2に印加する電圧を制御する。
【0042】
図6は図3の制御回路の一例を示す構成図であり、制御回路13は、図6に示すように、電源13A,Bと、トランジスタ131,132と、可変抵抗133,134と、インバータ135と、発振器136を備える。トランジスタ131,132の各エミッタは光源2に接続している。そして、トランジスタ131のコレクタが可変抵抗133を介して電源13A、トランジスタ132のコレクタが可変抵抗134を介して電源13Bにそれぞれ接続している。
【0043】
図7は光源の制御の一例を説明するための図であり、図7に示すように、電源13Aは、光源2が赤外線を発しない程度の電圧(第2電圧)V1となっている。そして、電源13Bは、光源2が赤外線を発する電圧(第1電圧)V2となっており、光源2の定格電圧Vよりも低く、かつ、電源13Aの電圧V1よりも高い電圧値となっている。
【0044】
可変抵抗133は、電源13Aが光源2に電圧V1を印加するようにその抵抗値が設定されている。なお、本実施の形態では、電圧V1の電圧値を変更しないことから、可変抵抗133を通常の抵抗としても差し支えない。また、可変抵抗134は、μCOM11からの指示に応じた光源2の設定温度となるように、光源2に印可する電源13Bの電圧V2を変化させる。
【0045】
よって、光源2を動作させる定格電圧Vよりも小さな電圧値となるように電圧(第1電圧)V2を設定していることから、光源2の寿命を延ばすことができるため、光源2の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0046】
また、トランジスタ131のベースはインバータ135を介して発振器136に接続しており、トランジスタ132のベースは発振器136に直に接続している。そして、発振器136は、例えば、1Hzの振動数となるように所定周期Tの信号を発する。
【0047】
本実施の形態では、μCOM11から光源2の温度が700℃となる設定電圧(第1電圧)が指示されると、制御回路13において、可変抵抗134の抵抗値が設定電圧に応じた値に変更され、発振器136がONになると、電源13Bからの電圧(第1電圧)V2が光源2に印加されることで、光源2は赤外線を発する。また、発振器136はOFFになると、電源13Aからの電圧V1が光源2に印加されることで、光源2は赤外線を発しなくなる。
【0048】
このようにμCOM11から光源2の設定温度が指示されると、制御回路13は、設定温度に上昇させる電圧V2と温度を減衰させる電圧V1とを、例えば1Hzのサイクルで交互に光源2に印加させて、光源2の点滅を制御している。そして、μCOM11から例えば900℃への設定温度の変更するために次の設定電圧が指示されると、可変抵抗134の抵抗値がその設定電圧に応じた値に変更され、光源2が900℃となるように光源2に電源13Bの電圧V2が印加される。
【0049】
よって、測定セル1中の温度を温度センサ6によって測定し、その温度に基づいて光源2が発する赤外線の光量を安定させるように、光源2に印加させる電圧V2を定めていることから、温度が低いときは光源2に印加する電圧を上げるように設定することで、光源2の温度を速く安定させることができ、また、経年変化に伴う光源2の温度変化も安定させることができるため、光源2が発する赤外線の光量が安定することになり、測定精度をより一層向上させることができる。
【0050】
インタフェース部14は、上述した赤外線センサ4との接続が可能な構成となっており、赤外線センサ4が出力してセンサ出力は、インタフェース部14を介してμCOM11に入力される。そして、μCOM11は、赤外線センサ4からのセンサ出力を前記所定周期Tに同期して取り込み、そのセンサ出力をフーリエ変換し、各周波数の電圧に変換する。したがって、1Hz時のみの電圧を参照することにより、ノイズ等の影響を最小に抑えることができる。
【0051】
よって、濃度測定装置10は、光源2の定格電圧V以下の電圧で点滅制御を行っていることから、光源2による熱の揺らぎの発生を防止するとともに、測定セル1中のガスが暖められて膨張し、ガス濃度が変化することを防止することができるため、測定精度の向上と光源2の省電力を図ることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、電源V1によって光源2が赤外線を発しない電圧を印加する構成としているが、本発明はこれに限定するものではなく、電源V1を構成から削除して0Vとする実施の形態としても差し支えない。
【0053】
次に、上述した構成において、測定セル1に充填された試料ガスを通過した赤外線には、Beer−Lambertの法則(以下、ランバート・ベールの法則という)を適用することができる。そして、測定距離L、ガス濃度C、その吸光係数αの測定セル1に波長λの入射光I0λが入射し、出射光Iλで出射する場合、そのときのセンサ出力をVλとすると、ランバート・ベールの法則により以下の式が成り立つ。
Vλ=ln(I0λ/Iλ)=α*C*L …(1)
【0054】
そして、本実施の形態では、光源2を2つの温度に振ることにより、光源2が発する赤外線の波長を、検出用波長である波長λ1と参照用波長である波長λ2とに可変させ、赤外線センサ4の出力は波長λ1、λ2の積分出力であるセンサ出力Vλ1、Vλ2となっているため、式(1)は二酸化炭素の波長4.3μmと参照波長1.5μmが加算された以下の式で表される。なお、測定セル1に入射する光を入射光I0λ1、I0λ2、その出射する光を出射光Iλ1、Iλ2(図3参照)とする。
【0055】
Vλ1=ln(I0λ1/Iλ1)=α1*C*L+α2*D*L …(2)
Vλ2=ln(I0λ2/Iλ2)=α3*C*L+α4*D*L …(3)
但し、α1,2,3,4:実験により求めた吸光係数
C:CO2濃度比例係数(濃度比例係数)
D:参照波長(1.5μm)の参照濃度比例係数
L:測定距離(図3参照)
なお、上記式(2)では、α2の項(波長1.5m)が含まれないために、α2=0となる。
【0056】
そして、光源2の温度を可変させ、各センサ出力Vλ1、Vλ2を赤外線センサ4で測定することで、式(2)、(3)の連立方程式によってCO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dを算出することができる。また、吸光係数α1〜4は、上述した構成において対象波長に基づいて実験等により予め係数として算出しておく。
【0057】
参照濃度比例計数Dは、上述したように大気中におけるガスによる熱吸収がない帯域を選択しているために固定数値となり、基準として使用している。そして、二酸化炭素の吸収がない基準濃度比例計数Dと吸収があるCO2濃度比例係数Cの比(C/D)の値は、二酸化炭素の濃度と比例することから、この比(C/D)に濃度変換係数βを掛けることにより、比(C/D)から二酸化炭素の濃度を明確にすることができる。なお、この濃度変換係数βも、上述した構成において実験等により予め係数として算出しておく。
【0058】
また、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズの発生等は、センサ出力の比率に影響することから、それらの比率をγとすると、次の濃度算出式が成り立つ。
CO2濃度=β{(γ*C)/(γ*D)}=β(C/D)…(4)
【0059】
よって、式(4)における分母、分子の比率γはキャンセルされるため、式(4)の濃度算出式を用いて二酸化炭素の濃度を算出することで、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズの発生等の影響を受けない二酸化炭素の濃度を精度よく測定することができる。
【0060】
したがって、濃度算出装置10のメモリ12に、上記式(2)〜(4)の吸光係数α1〜4、測定距離L、濃度変換係数β等のパラメータを記憶しておき、μCOM11のROM11bに、光源2の温度を制御する制御プログラムや、赤外線センサ4から入力されるセンサ出力Vλ1、2に基づいて、上記式(2)、(3)からCO2濃度比例係数Cと基準濃度比例計数Dを算出し、該算出した値を上記式(4)に代入して二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出プログラム等を記憶しておく。
【0061】
図8は濃度算出装置のCPUが実行する本発明に係る濃度算出処理の一例を示すフローチャートであり、図8に示すフローチャートを参照して二酸化炭素の濃度の算出例を説明する。
【0062】
ステップS10において、温度センサ6から入力される温度信号を考慮して、光源2の温度が700℃となる設定電圧が設定され、この設定電圧による電圧制御が制御回路13に対して指示され、その後ステップS20に進む。そして、制御回路13によって、上述したように1Hzのサイクルで所定期間に700℃の温度に上昇させる電圧V2と温度を減衰させる電圧V1とが光源2に交互に印可されることで、前記所定周期Tに対応して光源2は赤外線を発する。
【0063】
光源2の温度が700℃のときに発せられた赤外線は、図4に示すように、1.5μm付近の波長はないことから、検出用波長に対応する検出用赤外線に相当する。そして、この検出用赤外線を検出した赤外線センサ4が出力するセンサ出力は、透過部材3を透過した4.257μmの赤外線の強度がセンサ出力を支配していることから、センサ出力Vλ1は、透過部材3を透過した4.257μmの赤外線に対応した値となる。
【0064】
ステップS20(検出用出力取込手段)において、光源2が700℃で赤外線を発しているときに、赤外線センサ4が出力するセンサ出力Vλ1のサンプリングが行われ、それらをフーリエ変換した結果がセンサ出力Vλ1(検出用出力)としてメモリ12に取り込まれて記憶され、その後ステップS30に進む。このように、センサ出力Vλ1をサンプリングしてフーリエ変換することで、その精度を向上させているが、赤外線センサ4が出力したセンサ出力Vλ1をそのまま取り込むようにしても、差し支えない。
【0065】
ステップS30において、温度センサ6から入力される温度信号を考慮して、光源2の温度が900℃となる設定電圧が設定され、この設定電圧による電圧制御が制御回路13に対して指示され、その後ステップS40に進む。そして、制御回路13によって、上述したように1Hzのサイクルで900℃の温度に上昇させる電圧V2と温度を減衰させる電圧V1とが光源2に交互に印可されることで、前記所定周期Tに対応して光源2は赤外線を発する。
【0066】
光源2の温度が900℃のときに発せられた赤外線は、図4に示すように、1.5、4.257μmの波長を有することから、検出用波長及び参照用波長に対応する参照用赤外線に相当する。そして、この参照用赤外線を検出した赤外線センサ4が出力するセンサ出力は、透過部材3を透過した1.5、4.257μmの赤外線の強度がセンサ出力を支配していることから、センサ出力Vλ2は、透過部材3を透過した1.5、4.257μmの赤外線に対応した値となる。
【0067】
ステップS40(参照用出力取込手段)において、光源2が900℃で赤外線を発しているときに、赤外線センサ4が出力するセンサ出力Vλ2のサンプリングが行われ、それらをフーリエ変換した結果がセンサ出力Vλ2(参照用出力)としてメモリ12に取り込まれて記憶され、その後ステップS50に進む。
【0068】
ステップS50(第1算出手段)において、上記式(2)、(3)の連立方程式にメモリ12に記憶しているセンサ出力Vλ1、Vλ2と各種パラメータが代入されてCO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dが算出され、該算出結果はメモリ12に記憶され、その後ステップS60に進む。
【0069】
ステップS60(第2算出手段)において、上記式(4)に示すように、算出したCO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dの比を算出し、該算出した比にメモリ12に記憶している予め定められた濃度変換係数βを乗じて二酸化炭素(被検物質)の濃度が算出され、該算出した濃度はメモリ12に記憶され、その後処理を終了する。
【0070】
以上の説明からも明らかなように、濃度測定装置10のCPU11aが、特許請求の範囲に記載の検出用出力取込手段、参照用出力取込手段、第1算出手段、及び第2算出手段として機能している。
【0071】
次に、上述した本発明に係る濃度測定装置10を用いた濃度測定システムの本実施の形態の動作(作用)の一例を、以下に説明する。
【0072】
濃度測定装置10の制御回路13によって光源2の温度が700℃となるように電圧V2が印加されると、光源2は検出用赤外線を発する。そして、この検出用赤外線は測定セル1を透過し、透過部材3を透過した検出用赤外線の強度が赤外線センサ4によって検出される。そして、この検出に応じて赤外線センサ4が出力したセンサ出力Vλ1は、検出用出力として濃度測定装置のメモリ12に取り込まれる。
【0073】
また、濃度測定装置10の制御回路13によって光源2の温度が900℃となるように電圧V2が印加されると、光源2は参照用赤外線を発する。そして、この参照用赤外線は測定セル1を透過し、透過部材3を透過した参照用赤外線の強度が赤外線センサ4によって検出される。そして、この検出に応じて赤外線センサ4が出力したセンサ出力Vλ2は、参照用出力として濃度測定装置のメモリ12に取り込まれる。
【0074】
濃度測定装置10は、取り込んだセンサ出力Vλ1、Vλ2を上記式(2)、(3)の連立方程式に代入してCO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dを算出し、このCO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dの比(C/D)を算出する。そして、算出した比にメモリ12の濃度変換係数βを乗じて二酸化炭素(被検物質)の濃度を算出してメモリ12に記憶する。
【0075】
よって、光源2に検出用波長に対応する検出用赤外線と検出用波長及び参照用波長に対応する参照用赤外線とを発せさせ、測定セル1を通って透過部材3を透過した検出用赤外線と参照用赤外線を検出した赤外線センサ4が出力するセンサ出力Vλ1(検出用出力)とセンサ出力Vλ2(参照用出力)に対し、ランバート・ベールの法則を用いると、センサ出力Vλ1がCO2濃度比例係数Cと吸光係数α1と透過距離Lとを乗じた値に等しく、かつ、センサ注力Vλ2がCO2濃度比例係数Cと吸光係数α3と透過距離Lとを乗じた値に、参照濃度比例係数Dと参照用吸光係数α4と透過距離Lとを乗じた値を加算した値に等しいという関係を示す連立方程式が成り立ち、この連立方程式中の二酸化炭素(被検物質)の吸収があるCO2濃度比例係数C(濃度比例係数)とその吸収がない参照濃度比例係数Dとの比は、二酸化炭素の濃度に比例することから、二酸化炭素との関係式等を示す濃度変換係数βを予め定めておくことで、赤外線センサ4から取り込んだセンサ出力Vλ1、Vλ2に基づいて二酸化炭素の正確な濃度を算出することができる。しかも、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等はセンサ出力比率に影響するため、その比率は濃度比例係数と参照用濃度比例係数に係るが、濃度比例係数と参照用濃度比例係数の比を算出することで打ち消されるため、その影響を排除することができる。したがって、光源2の劣化、赤外線センサ4の劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等による測定精度の低下を防止することができる。
【0076】
また、測定セル1と光源2と透過部材3と赤外線センサ4と本発明の濃度測定装置10によって濃度測定システムを構成することで、測定セル1、光源2、赤外線センサ4に経年変化等による劣化が発生しても、濃度測定装置10によってそれらの影響を排除することができるため、従来のようにファブリ・ペロー干渉計等を用いる必要がなくなることから、システム構成を複雑化することなく、測定精度の低下を防止することができ、また、システムの点検や部品交換の頻度を低減することができる。
【0077】
さらに、測定セル1を出射した赤外線を赤外線センサ4に集光させる集光部材5を設けていることから、赤外線センサ4に真っ直ぐに向かう赤外線の他に、反射した赤外線も赤外線センサ4に集光させることができるため、赤外線センサ4の感度の向上により、測定精度をより一層向上させることができる。
【0078】
また、測定セル1中の温度を温度センサ6によって測定し、その温度に基づいて光源2が発する赤外線の光量を安定させるように、光源2に印加させる電圧V2を定めていることから、温度が低いときは光源2に印加する電圧を上げるように設定することで、光源2の温度を速く安定させることができ、また、経年変化に伴う光源2の温度変化も安定させることができるため、光源2が発する赤外線の光量が安定することになり、測定精度をより一層向上させることができる。
【0079】
ところで、上述した本実施の形態では、試料ガスを構成する二酸化炭素の濃度を測定する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、試料ガスを構成する複数の被検物質の濃度を測定することもできる。
【0080】
例えば、上述した濃度測定システムで、試料ガスを構成する二酸化炭素と一酸化炭素の濃度を測定する場合について説明する。この場合、一酸化炭素は4.666μmで熱の吸収が発生することから、図3に示す透過部材3を、1.5、4.25、4.66μmの波長を透過するように構成する。そして、光源2が3種類の温度となるように濃度測定装置10に制御させ、各々の赤外線センサ4の出力をセンサ出力Vλ1、Vλ2、Vλ3として取り込む。
【0081】
また、温度を変化させたときに測定セル1に入射する光を入射光I0λ1、I0λ2、I0λ3、その出射する光を出射光Iλ1、Iλ2、Iλ3とすると、上記(2)、(3)で示した連立方程式は、次に示す連立方程式となる。
【0082】
Vλ1=α11*C*L+α12*D*L+α13*E*L …(5)
Vλ2=α14*C*L+α15*D*L+α16*E*L …(6)
Vλ3=α17*C*L+α18*D*L+α19*E*L …(7)
但し、α11〜19:実験により求めた吸光係数
C:CO2濃度比例係数(第1の濃度比例係数)
D:参照波長(1.5μm)の参照用濃度比例係数
E:CO濃度比例係数(第2の濃度比例係数)
L:測定距離
【0083】
そして、光源2の温度を可変させ、各センサ出力Vλ1、Vλ2、Vλ3を赤外線センサ4で検出することで、式(5)〜(7)の連立方程式によってCO2濃度比例係数C、参照濃度比例係数D、CO濃度比例係数Eを算出することができる。また、吸光係数α1〜4は、上述した構成において対象波長に基づいて実験等により予め係数として算出しておく。
【0084】
また、CO2濃度比例係数Cと参照濃度比例係数Dの比とCO2濃度との関係式を実験等により予め定めておき、同様に、CO濃度比例係数Eと参照濃度比例係数Dの比とCO濃度との関係式を実験等により予め定めておくことで、センサ出力Vλ1、Vλ2、Vλ3に基づいて試料ガスを構成する二酸化炭素と一酸化炭素の濃度を測定することができる。
【0085】
次に、上述した濃度測定システムにおいて、試料ガスの濃度を連続して測定する場合に好適な実施の形態を以下に説明する。
【0086】
図9は濃度測定装置10のCPU11aが実行する本発明に係る処理概要の一例を示すフローチャートであり、図10は光源2の印加時間の変更例を説明するための図であり、図11は光源2の制御を行う所定周期の変更例を説明するための図である。
【0087】
濃度測定装置10は起動すると、図9に示すステップS1において、上述した図8に示す濃度算出処理が実行され、メモリ12に算出された濃度が記憶されると、ステップS2(印加時間判定手段)において、その濃度が電圧(第1電圧)V2の印加時間を短くする判定条件である判定閾値以上であるか否かが判定される。判定閾値よりも小さいと判定された場合は(S2でN)、ステップS4に進む。一方、判定閾値以上であると判定された場合は(S2でY)、ステップS3に進む。
【0088】
ステップS3において、図10に示すように、所定周期Tにおける印加時間R1を、その印加時間R1よりも短い印加時間R2(R2<R1)に変更する指示が制御回路13に対して行われ、その後ステップS4に進む。そして、指示された制御回路13は、発振器136の所定周期TにおけるON時間(印加時間)の比率を低下させることで、光源2に印加する時間を短くする。
【0089】
ステップS4(濃度監視手段)において、メモリ12に今回算出した濃度と過去に算出した濃度とが比較され、その比較結果に基づいて濃度が急激に変化したか否かが判定される。急激に変化したと判定された場合は(S4でY)、ステップS5に進む。
【0090】
ステップS5において、図11に示すように、所定周期Tを所定周期T−αに短くする変更が制御回路13に対して指示され、その後ステップS9に進む。そして、指示された制御回路13は、発振器136の所定周期Tを所定周期T−αに変更させることで、短い所定周期T−αで光源2の制御を行う。
【0091】
また、ステップS4で濃度が急激に変化していないと判定された場合は(S4でN)、ステップS6(濃度監視手段)において、濃度が安定したか否かが判定される。濃度が安定していないと判定された場合は(S6でN)、ステップS9に進む。一方、濃度が安定していると判定された場合は(S6でY)、ステップS7に進む。
【0092】
ステップS7において、所定周期T、若しくは、所定周期T−αの変更が必要であるか否かが判定される。変更が必要ではないと判定された場合は(S7でN)、ステップS9に進む。一方、変更が必要であると判定された場合は(S7でY)、ステップS8に進む。
【0093】
ステップS8において、図11に示すように、所定周期Tを所定周期T+αに長くする変更が制御回路13に対して指示される、若しくは、変更した所定周期T−αを所定周期Tに戻す変更が制御回路13に対して指示され、その後ステップS9に進む。そして、指示された制御回路13は、ステップS5のときと同様に、変更した所定周期T若しくは所定周期T+αで光源2の制御を行う。
【0094】
ステップS9において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合は(S9でN)、ステップS1に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、終了要求を受けたと判定された場合は(S9でY)、処理が終了される。
【0095】
以上の説明からも明らかなように、濃度測定装置10のCPU11aはさらに、特許請求の範囲に記載の印加時間判定手段及び濃度監視手段として機能している。
【0096】
次に、上述した図9に示す処理を行う濃度測定装置10を用いた濃度測定システムの本実施の形態の動作(作用)の一例を、以下に説明する。
【0097】
濃度測定装置10において、測定セル1中の試料ガスの濃度が算出されると、その濃度が判定閾値(判定条件)以上となっているか否かが判定され、判定閾値以上になっていると判定されると、制御回路(光源制御手段)13によって所定周期Tにおける第1電圧の比率である印加時間R1が印加時間R2に短くされて光源2の制御が行われる。
【0098】
よって、測定中に濃度が所定濃度以上になる等の電圧(第1電圧)V2の印加時間を短くする判定閾値(判定条件)をROM11b等に予め用意しておき、算出した濃度がその判定条件を満たすときに、所定周期Tにおける電圧V2の比率を小さくして光源2の制御を行うことから、光源2に第1電圧を印加する時間が短くなるため、光源2の寿命をさらに延ばすことができるとともに、消費電力を低減させることができる。
【0099】
また、濃度測定装置10において、算出された濃度は監視され、その濃度が急激に変化したことが検出されると、μCOM11から指示された制御回路(光源制御手段)13によって所定周期Tが所定時間T−αに短くされて光源2の制御が行われる。
【0100】
よって、測定中に濃度の急激な変化を検出すると所定周期Tから所定周期T−αに短くして光源2を制御し、その所定周期T−αに同期して光源2が発した赤外線を取り込むことから、濃度測定の応答を良くすることができるため、試料ガスの濃度が時間により変化する場合の測定精度を向上させることができる。
【0101】
次に、光源2に電圧V2を印加する際の他の実施の形態を、図12に示す光源2に印加する第1電圧の他の制御例を説明するための図を参照して以下に説明する。
【0102】
上述した実施の形態では、光源2に電圧(第1電圧)V2を印加時間R1に渡って継続的に印加する場合について説明したが、図12に示しように、印加時間R1において、電圧V2よりも低く、かつ、光源2が検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発する電圧(第3電圧)V3と電圧(第1電圧)V2を所定周期Tよりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように、制御回路13によって制御することもできる。
【0103】
このように光源2に検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発せさせるために電圧V2を印加する場合に、電圧V2より低く、かつ、光源2がそれらの赤外線を発する電圧V3と電圧V2を所定周期Tよりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように制御することで、光源2に電圧(第1電圧)V2を印加する時間を短くすることができるため、光源2の寿命を延ばすことができ、光源2の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0104】
次に、濃度測定装置10において、光源2に印可させる電圧を算出した濃度に応じて変化させる場合の他の実施の形態を、図13に示す光源2に印加する第1電圧を低下させる一例を説明するための図である。
【0105】
濃度測定装置10のCPU11aが、電圧V2を印可させることで光源2が発した検出用赤外線若しくは参照用赤外線に基づいて測定セル1中の試料ガスの濃度を算出すると、その濃度が、ROM11b等に予め記憶している、電圧(第1電圧)V2を低下させる低下条件を満たしているか否かを判定する。そして、判定条件を満たしているときに、所定周期Tを変更せずに、電圧V2を電圧V2’に低下させるように制御回路13に対して指示を行う。そして、指示された制御回路13は、可変抵抗134を変更して電圧V2’を光源2に印加する制御を行う。
【0106】
以上説明したように、濃度測定装置10のCPU11aを特許請求の範囲に記載の電圧低下判定手段として機能させるようにすることで対応が可能であり、そのように濃度測定装置10を変更することで、濃度の変化が小さい、濃度が一定閾値以上となる等の低下条件を測定した濃度が満たすと、電圧(第1電圧)V2を電圧(第3電圧)V2’に低下させて光源2を制御することから、濃度により電圧V2を抑えることができるため、より一層消費電力を低減させることができる。
【0107】
また、上述した本実施の形態では、透光部材3と赤外線センサ4が一対一の場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、検出用波長と参照用波長のそれぞれに対応する透光部材3を用いる場合は、その複数の透光部材3の各々に対応するように赤外線センサ4を用いるようにしても差し支えない。
【0108】
例えば、センサ出力をS、二酸化炭素濃度をC、1.5μm波長の濃度をD、二酸化炭素の係数をα、1.5μm波長の係数をβ、温度をTとし、2つの赤外線センサ4を直列で逆接続すると、センサ出力はS=(α*C+T)−(β*D+T)=α*C−β*Dとなり、温度項が消えることから、センサ出力の温度特性を向上させることができる。
【0109】
このように2つの赤外線センサ4の電極を反対に接続することで(1つのセンサのプラスともう1つのセンサのマイナスを接続)、センサ出力は温度項を含まないものとすることができる。よって、濃度測定装置10は、温度項を含まないセンサ出力を取り込み、そのセンサ出力に基づいて濃度を算出するので、温度変化等の影響を排除することができ、測定精度を向上させることができる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の濃度測定システムによれば、光源に検出用波長に対応する検出用赤外線と検出用波長及び参照用波長に対応する参照用赤外線とを発せさせ、測定セルを通って透過部材を透過した検出用赤外線と参照用赤外線を検出したセンサが出力する検出用出力と参照用出力に対し、ランバート・ベールの法則を用いると、検出用出力及び参照用出力の各々が、濃度比例係数と吸光係数と透過距離とを乗じた値に、参照用濃度比例係数と参照用吸光係数と透過距離とを乗じた値を加算した値に等しいという関係を示す連立方程式が成り立ち、この連立方程式中の被検物質の吸収がある濃度比例係数とその吸収がない参照用濃度比例係数との比は、被検物質の濃度に比例することから、その比と被検物質との関係式等を示す濃度変換係数を予め定めておくことで、センサから取り込んだ検出用出力と参照用出力に基づいて被検物質の正確な濃度を算出することができる。しかも、光源の劣化、センサの劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等はセンサ出力比率に影響するため、その比率は濃度比例係数と参照用濃度比例係数に係るが、濃度比例係数と参照用濃度比例係数の比を算出することで打ち消されるため、その影響を排除することができる。したがって、光源の劣化、センサの劣化、環境の変化、電源電圧の変動、ノイズ等による測定精度の低下を防止することができる。また、測定セルと光源と透過部材とセンサと本発明の濃度測定装置によって濃度測定システムを構成することで、測定セルが汚れたり、光源、センサに経年変化等による劣化が発生しても、濃度測定装置10によってそれらの影響を排除することができるため、従来のようにファブリ・ペロー干渉計等を用いる必要がなくなることから、システム構成を複雑化することなく、測定精度の低下を防止することができ、また、システムの点検や部品交換の頻度を低減することができる。
【0111】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第1電圧及び第2電圧を所定周期で繰り返すパルス信号によって光源1を点滅制御し、その周期所定周期に同期して光源が発した検出用赤外線若しくは参照用赤外線を取り込むようにしたことから、ノイズ等の影響を最小に抑えることができる。また、光源を点滅制御することで、光源による熱の揺らぎの発生を防止することができるとともに、測定セル中の試料ガスが暖められて膨張し、濃度が変化することを防止することができるため、測定精度の向上と光源の省電力を図ることができる。
【0112】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、光源を動作させる定格電圧よりも小さな電圧値となるように第1電圧を設定していることから、光源の寿命を延ばすことができるため、光源の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0113】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加え、光源に検出用赤外線若しくは参照用赤外線を発せさせるために第1電圧を印加する場合に、第1電圧よりも低く、かつ、光源がそれらの赤外線を発する第3電圧と第1電圧を所定周期よりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように制御していることから、光源に第1電圧を印加する時間が短くなるため、光源の寿命をさらに延ばすことができ、光源の経年変化による測定精度の低下を軽減することができる。
【0114】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2〜4の何れかに記載の発明の効果に加え、測定中に濃度が所定濃度以上になる等の第1電圧の印加時間を短くする判定条件を用意しておき、算出した濃度がその判定条件を満たすときに、所定周期における第1電圧の比率を小さくして光源の制御を行うことから、光源に第1電圧を印加する時間が短くなるため、光源の寿命をさらに延ばすことができるとともに、消費電力を低減させることができる。
【0115】
請求項6に記載の発明によれば、請求項2〜5の何れかに記載の発明の効果に加え、測定中に濃度の急激な変化を検出すると所定周期を短くして光源を制御し、その所定周期に同期して光源が発した赤外線を取り込むことから、濃度測定の応答を良くすることができるため、試料ガスの濃度が時間により変化する場合の測定精度を向上させることができる。
【0116】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2〜6の何れかに記載の発明の効果に加え、濃度の変化が小さい、濃度が一定閾値以上となる等の低下条件を測定した濃度が満たすと、第1電圧を低下させて光源を制御することから、濃度により電圧を抑えることができるため、より一層消費電力を低減させることができる。
【0118】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の効果に加え、測定セルを出射した赤外線をセンサに集光させる集光部材を設けていることから、センサに真っ直ぐに向かう赤外線の他に、反射した赤外線もセンサに集光させることができるため、センサの感度の向上により、測定精度をより一層向上させることができる。
【0119】
請求項10に記載の発明によれば、請求項8又は9に記載の発明の効果に加え、測定セル中の温度を温度センサによって測定し、その温度に基づいて光源が発する赤外線の光量を安定させるように、光源に印加させる電圧を定めていることから、温度が低いときは光源に印加する電圧を上げるように設定することで、光源の温度を速く安定させることができ、また、経年変化に伴う光源の温度変化も安定させることができるため、光源が発する赤外線の光量が安定することになり、測定精度をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃度測定装置及び濃度測定システムの基本構成を示す図である。
【図2】二酸化炭素の吸収スペクトラムを示したグラフである。
【図3】本発明の濃度測定装置及び濃度測定システムの概略構成を示す構成図である。
【図4】光源が黒体炉の場合の波長と放射エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図5】大気中の波長と透過率との関係を示すグラフである。
【図6】図3の制御回路の一例を示す構成図である。
【図7】光源の制御の一例を説明するための図である。
【図8】濃度算出装置のCPUが実行する本発明に係る濃度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】濃度測定装置のが実行する本発明に係る処理概要の一例を示すフローチャートである。
【図10】光源の印加時間の変更例を説明するための図である。
【図11】光源の制御を行う所定周期の変更例を説明するための図である。
【図12】光源に印加する第1電圧の他の制御例を説明するための図である。
【図13】光源に印加する第1電圧を低下させる一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 測定セル
2 光源
3 透過部材
4 赤外線センサ
5 集光部材
6 温度センサ
10 濃度測定装置
11a1 検出用出力取込手段(CPU)
11a2 参照用出力取込手段(CPU)
11a3 第1算出手段(CPU)
11a4 第2算出手段(CPU)
11a5 印加時間判定手段(CPU)
11a6 濃度監視手段(CPU)
11a7 電圧低下判定手段(CPU)
13 光源制御手段(制御回路)
Claims (9)
- 試料ガスを構成する被検物質の濃度を測定する濃度測定システムにおいて、
前記試料ガスが充填される測定セルと、
前記測定セルに入射させる波長の異なる赤外線を発する光源と、
前記測定セルから出射した前記赤外線のうち、前記試料ガス中の被検物質が吸収する波長を示す検出用波長と大気中で吸収されずに前記検出用波長とは異なる参照用波長とのみを透過する透過部材と、
前記透過部材を透過した前記赤外線の強度を検出し、該検出した強度を示すセンサ出力を出力する赤外線センサと、
前記赤外線センサが出力するセンサ出力に基づいて前記被検物質の濃度を測定する濃度測定装置と、
を備え、
前記光源が、前記検出用波長の検出用赤外線と前記検出用波長及び前記参照用波長の参照用赤外線を発することが可能な構成となっており、
前記濃度測定装置が、
前記検出用赤外線と前記参照用赤外線とを選択的に発するように前記光源を制御する光源制御手段と、
前記光源制御手段によって前記光源が発した前記検出用赤外線に対応して前記赤外線センサが出力したセンサ出力を検出用出力として取り込む検出用出力取込手段と、
前記光源制御手段によって前記光源が発した前記参照用赤外線に対応して前記赤外線センサが出力したセンサ出力を参照用出力として取り込む参照用出力取込手段と、
前記検出用出力及び前記参照用出力の各々が、前記検出用波長に対応した濃度比例係数と前記検出用波長に基づいて予め定められた吸光係数と前記赤外線が前記測定セルに入射してから出射するまでの測定距離とを乗じた値に、前記参照用波長に対応した参照用濃度比例係数と前記参照用波長に基づいて予め定められた参照用吸光係数と前記透過距離とを乗じた値を加算した値に等しいという関係を示す連立方程式、前記検出用出力取込手段が取り込んだ検出用出力、及び、前記参照用出力取込手段が取り込んだ参照用出力に基づいて、前記濃度比例係数と前記参照用濃度比例係数を算出する第1算出手段と、
前記第1算出手段が算出した前記濃度比例係数と前記参照用濃度比例係数の比を算出し、該算出した比に予め定められた濃度変換係数を乗じて前記被検物質の濃度を算出する第2算出手段と、を有することを特徴とする濃度測定システム。 - 前記光源制御手段は、前記光源が前記検出用赤外線若しくは前記参照用赤外線を発する第1電圧と発しない第2電圧を所定周期で繰り返すパルス信号によって前記制御を行い、
前記検出用出力取込手段及び前記参照用出力取込手段は、前記所定周期に同期して前記取り込みを行うことを特徴とする請求項1に記載の濃度測定システム。 - 前記第1電圧は、前記光源の定格電圧よりも小さな電圧であることを特徴とする請求項2に記載の濃度測定システム。
- 前記光源制御手段は、前記光源に前記第1電圧を印加する際に、該第1電圧よりも低く、かつ、前記検出用赤外線若しくは前記参照用赤外線を発する第3電圧と前記第1電圧を前記所定周期よりも短い周期で繰り返すパルス信号となるように前記制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の濃度測定システム。
- 前記第2算出手段が算出した前記濃度が、前記第1電圧の印加時間を短くする判定条件を満たしているか否かを判定する印加時間判定手段をさらに備え、
前記光源制御手段は、前記印加時間判定手段が判定条件を満たしていると判定すると、前記所定周期における前記第1電圧の比率を小さくして前記制御を行うことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の濃度測定システム。 - 前記第2算出手段が前記試料ガスの測定中に算出した濃度を監視し、該濃度が急激に変化したことを検出する濃度監視手段をさらに備え、
前記光源制御手段は、前記濃度監視手段が濃度の変化を検出すると前記所定周期を短くすることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の濃度測定システム。 - 前記第2算出手段が算出した前記濃度が、前記第1電圧を低下させる低下条件を満たしているか否かを判定する電圧低下判定手段をさらに備え、
前記光源制御手段は、前記電圧低下判定手段が低下条件を満たしていると判定すると、前記第1電圧を低下させて前記制御を行うことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の濃度測定システム。 - 前記測定セルと前記透過部材との間に介在し、前記測定セルから出射した前記赤外線を、前記赤外線センサに集光させる集光部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の濃度測定システム。
- 前記測定セル中の温度に応じた温度信号を出力する温度センサをさらに備え、
前記濃度測定装置の光源制御手段は、前記温度センサが出力した温度信号に基づいて、前記光源が発する赤外線の光量を安定させるように、前記光源に印加させる電圧を定めることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の濃度測定システム。
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