JP4223186B2 - 放射線画像読取方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線源から射出され被写体を透過した放射線の照射により蓄積性蛍光体シートに蓄積された放射線画像を励起光により励起し、その輝尽発光光を光電子増倍管により読み取る放射線画像読取装置に関し、特にその放射線源に応じた光電子増倍管の感度補正に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蓄積性蛍光体に放射線を照射すると、この放射線エネルギーの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光などの励起光を照射すると、蓄積された放射線エネルギーに応じて輝尽発光光が発光される。この蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、支持体上にこの蓄積性蛍光体を積層し、シート状とした蓄積性蛍光体シートに人体などの被写体に放射線を照射することにより放射線画像を一旦蓄積記録し、この蓄積性蛍光体シートにレーザ光などの励起光を照射し、輝尽発光光を生じさせ、この輝尽発光光を光電子増倍管(フォトマルチプライヤー、以下PMTとする)等の読取手段により光電的に読み取って画像信号を得る放射線画像読取装置がCR(Computed Radiography)として、広く実用に供されている。
【0003】
さらに、上述した輝尽発光光を光電的に読み取る方法として、蓄積性蛍光体シートの両面に各別にPMTを配設して蓄積性蛍光体シートの両面または片面にのみ励起光を照射し、この励起光の照射により蓄積性蛍光体シートの両面からそれぞれ発せられる輝尽発光光を各PMTにより光電的に検出する放射線画像読取装置が提案されている。
【0004】
ところで、上記読取手段において使用されるPMTは、印加される高圧電圧によってその感度(入射光量に対する出力信号の大きさ)が定まる。従って、入射する輝尽発光光の光量と所望とする出力画像信号の大きさを考慮してその感度調整を行う必要がある。このPMTの感度調整の方法としては、基準放射線量を一様に曝射した基準蓄積性蛍光体シートを用いてPMTの出力レベルを読み取り、次いで基準光量のランプをPMTに照射して、PMTからの出力レベルが基準蓄積性蛍光体シートを用いた場合の出力レベルとなるようにPMTに印加する電圧を調整する方法(特開平3−132644号公報)や、さらに、上記方法において基準光量のランプを使用することなく、PMTの高圧電圧として初期電圧Vinitが印加されたときのPMTの出力レベルを読み取り、その最大値と最小値の平均値Qaveを演算し、上記基準蓄積性蛍光体シートに対して予め定めたPMTからの出力画像信号の目標値QcおよびPMTの感度係数k、PMTの入力を1桁変化させたときのPMT出力のA/D変換出力値の変化量ΔQdecに基づいてPMTへの基準電圧Voを下記の(3)式にて算出し、実際に被写体の放射線画像が記録された蓄積性蛍光体シートを読み取るときは、基準電圧Voに基づく高圧電圧をPMTに印加することにより高圧電圧を調整する方法(特開平5-122518号公報)などが提案されている。
【0005】
【数3】
Figure 0004223186
さらに、上記技術による放射線画像読取装置により読み取られる蓄積性蛍光体シートに蓄積される放射線画像は、撮影部位などにより異なる撮影モードで撮影されたものであり、それぞれの撮影モードにおいて撮影に用いられる放射線源の種類が異なるため、蓄積性蛍光体シートに蓄積される放射線エネルギーが異なる。
【0006】
つまり、撮影に使用される放射線源の種類によって、蓄積性蛍光体シートから発せられる輝尽発光光の光量が異なり、また、撮影モードによりPMTからの出力画像信号の目標値も異なるので撮影モードに応じたPMTの感度調整を行う必要がある。つまり、放射線画像の撮影に使用される放射線源の種類によってPMTの感度を調整する必要があり、そのためには上記のような感度調整方法を行う場合には、放射線画像の撮影に使用される全ての放射線源についての基準放射線量を一様に曝射した基準蓄積性蛍光体シートなどが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、全ての種類の放射線源が製造工程や市場にあるとは限らないため、放射線源の種類に応じた感度調整を行うことが困難であった。
【0008】
本発明による放射線画像読取装置は、上記のような問題点に鑑みて、1つの基準となる放射線源のみを用いて他の種類の放射線源により撮影された放射線画像の読取りを行う際の感度補正を行うことができる放射線画像読取方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の放射線画像読取方法は、基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより照射された部分から発光された輝尽発光光を光電子増倍管により光電的に検出して放射線画像に基づく画像信号を得ることにより読取りを行い、所定の大きさの画像信号を得るために光電子増倍管の印加電圧を輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する放射線画像読取方法において、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて相対感度に応じた感度補正を行うことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、上記「所定の大きさの画像信号」とは、光電子増倍管からの出力画像信号として必要な大きさの画像信号である。
【0011】
また、上記「光電子増倍管の印加電圧を輝尽発光光の光量に応じて制御する」とは、光電子増倍管に入力される輝尽発光光の光量が少ないときは印加電圧を高くして光電子増倍管の感度が高くなるように制御し、入力される輝尽発光光の光量が多いときは印加電圧を低くして感度が低くなるように制御することを意味する。
【0012】
また、上記「基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて相対感度に応じた感度補正を行う」とは、基準となる放射線源と異なる種類の放射線源の放射線の線量、放射線エネルギー、および基準となる放射線源と異なる種類の放射線源により撮影された放射線画像を読み取ったときに必要な出力画像信号の大きさ等を考慮して、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に対する異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの相対的な感度を算出することにより感度の補正を行うことを意味する。
【0013】
また、本発明による第2の放射線画像読取方法は、基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより照射された部分から発光された輝尽発光光を前記蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管により光電的に検出して放射線画像に基づく2つの画像信号を得ることにより読取りを行い、所定の大きさの画像信号を得るために光電子増倍管の印加電圧を輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する放射線画像読取方法において、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの光電子増倍管の感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて相対感度に応じた感度補正を行うことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、上記「蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管の印加電圧をそれぞれ変化させて感度を補正する」とは、蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管の印加電圧を、基準となる放射線源から射出される放射線の蛍光体シートの透過量などを考慮してそれぞれの感度を補正することを意味する。
【0015】
また、上記「基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの光電子増倍管の感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて相対感度に応じた感度補正を行う」とは、基準となる放射線源と異なる種類の放射線源の放射線の線量、放射線エネルギー、蛍光体シートの透過量、および基準となる放射線源と異なる種類の放射線源により撮影された放射線画像を両面で読み取ったときに必要な両面のそれぞれについての出力画像信号の大きさ等を考慮して基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に対する異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの相対的な感度を2つの光電子増倍管についてそれぞれ算出することにより感度の補正を行うことを意味する。つまり、放射線源の種類により物体を透過する力が異なるため蛍光体シートを透過する際の放射線の吸収が放射線源の種類により異なる。従って、放射線源の種類により蛍光体シートの表面と裏面の輝尽発光光の発光量の比も異なる。例えば、放射線源としてW管球とMo管球を比較するとW管球の方が管電圧が高く、物体を透過する力が強いため、相対的に管電圧が低く透過する力が弱いMo管球と比較するとW管球の方が同等の放射線エネルギーであっても蛍光体シートを透過し易く裏面まで放射線エネルギーが達するため、放射線エネルギーが透過しにくく表面に放射線エネルギーが集中しやすいMo管球と比較して表面の発光量はやや低く、裏面の発光量はやや高くなる。このためW管球を基準とする放射線源とした場合、表面と裏面に設置されるそれぞれの光電子増倍管について相対感度を求める必要がある。
【0016】
また、第1および第2の放射線画像読取方法のおける光電子増倍管の印加電圧Voは、次の(4)式で表される大きさとすることができる。
【0017】
【数4】
Figure 0004223186
(ただし、
X:異なる種類の放射線源の所定の線量
Y:異なる種類の放射線源の所定の線量Xにおける放射線エネルギーと同じ大きさの放射線エネルギーとなる基準となる放射線源の線量
Qave:線量Yの基準となる放射線源の放射線が一様に照射された基準蓄積性蛍光体シートを光電子増倍管の印加電圧を初期電圧Vinitとして読取りを行ったときの前記画像信号の平均値
Dm:異なる放射線源により線量Xで撮影された放射線画像の蓄積された蛍光体シートに対して予め定められた画像信号値
k:光電子増倍管の感度係数k
ΔD:光電子増倍管により検出される輝尽発光光の光量を1桁変化させたときの光電子増倍管の出力に基づく画像信号の変化量ΔD
Z:基準蓄積性蛍光体シートに線量Yの放射線を照射したときの実測線量値
Dw:基準となる放射線源により線量Yで撮影された放射線画像の蓄積された蛍光体シートに対して予め定められた画像信号値 )
なお、第2の放射線画像読取方法における光電子増倍管の印加電圧Voは蛍光体シートの両面に設置される2つの光電子増倍管についてそれぞれ(4)式で表される大きさとなるものである。ただし、Qave、Dm、Dwは表面と裏面でそれぞれ対応した値を設定する必要がある。
【0018】
また、基準となる放射線源に基づく放射線画像と異なる種類の放射線源に基づく放射線画像の撮影から前記読取りまでの時間を同じ所定の時間に固定して上記感度補正を行うようにした方が好ましい。
【0019】
ここで、例えば、基準となる放射線源としてW(タングステン)管球、異なる種類の放射線源としてMo(モリブデン)管球を使用したとき、図2に示すように2つの管球により撮影された放射線画像に基づく輝尽発光光のフェーディング特性はそれぞれ異なり、W管球による放射線画像に基づく輝尽発光光の光量とMo管球による放射線画像に基づく輝尽発光光の光量の割合が時間t1と時間t2とでは異なってくる。従って、上記のように基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて相対感度に応じた感度補正を行うときには、基準となる放射線源による放射線画像の撮影から読取りまでの時間と異なる種類の放射線源による放射線画像の撮影から読取りまでの時間は所定の時間に固定した方が好ましい。
【0020】
また、本発明による第1の放射線画像読取方法を実施する放射線画像読取装置は、基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより照射された部分から発光された輝尽発光光を光電子増倍管により光電的に検出して放射線画像に基づく画像信号を得ることにより読取りを行う画像読取手段と、画像読取手段から所定の大きさの画像信号を得るために光電子増倍管の印加電圧を輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する感度補正手段とを備えた放射線画像読取装置において、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、感度補正手段が、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて相対感度に応じた感度補正を行うものであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明による第2の放射線画像読取方法を実施する放射線画像読取装置は、基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線の線量に基づく放射線画像が蓄積された蛍光体シートに励起光を照射することにより照射された部分から発光された輝尽発光光を蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管により光電的に検出して放射線画像に基づく2つの画像信号を得ることにより読取りを行う画像読取手段と、記画像読取手段から所定の大きさの画像信号を得るために光電子増倍管の印加電圧を輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する感度補正手段とを備えた放射線画像読取装置において、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、感度補正手段が、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの光電子増倍管の感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて相対感度に応じた感度補正を行うものであることを特徴とするものである。
【0022】
また、上記第1および第2の放射線画像読取方法を実施する放射線画像読取手段における感度補正手段は、光電子増倍管の印加電圧Voを次の(5)式で表される大きさとするものとできる。
【0023】
【数5】
Figure 0004223186
ただし、(5)式で使用される記号については上記説明と同様である。
【0024】
【発明の効果】
本発明による第1の放射線画像読取方法および装置によれば、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて相対感度に応じた感度補正を行うようにしたので、1つの基準となる放射線源のみを用いて他の種類の放射線源により撮影された放射線画像の読み取りを行う際の感度補正を行うことができる。
【0025】
また、本発明による第2の放射線画像読取方法および装置によれば、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの光電子増倍管の感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて相対感度に応じた感度補正を行うことができるので、第1の放射線画像読取装置と同様に1つの基準となる放射線源のみを用いて他の種類の放射線源により撮影された放射線画像の読み取りを行う際の感度補正を行うことができ、さらに2つの光電子増倍管についてそれぞれ適当な感度補正を行うことができる。
【0026】
また、本発明による第1および第2の放射線画像読取方法および装置によれば、
光電子増倍管の印加電圧Voを次の(6)式で表される大きさとすることができるので、簡易な演算により上記感度補正をすることができる。
【0027】
【数6】
Figure 0004223186
ただし、(6)式で使用される記号については上記説明と同様である。
【0028】
また、基準となる放射線源に基づく放射線画像と異なる種類の放射線源に基づく放射線画像の撮影から読取りまでの時間を同じ所定の時間に固定して上記感度補正を行うようにした場合には、基準となる放射線源による放射線画像に基づく輝尽発光光と異なる種類の放射線源によう放射線画像に基づく輝尽発光光のそれぞれのフェーディング特性の違いの影響を受けることがないので、より精度よく感度補正を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明による放射線画像読取装置の一実施形態の構成を示す図である。
【0030】
図1に示すように、本発明による放射線画像読取装置は、被写体の放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体蛍光体シート1(以下、蛍光体蛍光体シート1とする。)の両面から放射線画像の画像信号を得るものである。蛍光体蛍光体シート1が、図示省略したモータにより回転せしめられるエンドレスベルト9a,9b上に配置される。この蛍光体シート1の上方には、励起光としてレーザ光11を発するレーザ光源10と、モータ20により回転されてレーザ光11を反射偏向して蛍光体シート1を主走査する回転多面鏡12と、レーザ光11を蛍光体シート1に結像するための結像レンズ21とが配されている。さらに、レーザ光11が走査され照射される位置の上方には、そのレーザ光11の照射により発せられる輝尽発光光を上方より集光する集光ガイド14aが蛍光体シート1に近接して配置され、その下方には、輝尽発光光を下方より集光する集光ガイド14bが蛍光体シート1と略垂直に配置されている。各集光ガイド14a,14bの輝尽発光光の出射端には、それぞれ輝尽発光光を光電的に検出するフォトマルチプライヤ(光電子増倍管、以下PMTとする)15a,15bが接続されている。このPMT15a,15bは対数増幅器16a,16bに接続され、さらにこの対数増幅器16a,16bは、A/D変換器17a,17bに接続され、各A/D変換器17a,17bは加算手段18に接続されている。なお、PMT15a,15bは後述する感度補正手段30によりその感度が制御される。
【0031】
ここで、感度補正手段30は、読み取られる蛍光体シート1の放射線画像の撮影時に用いられたX線管球の種類に応じてPMT15a、15bに印加する高圧電圧を制御することによりその感度を補正するものである。X線管球の種類に応じた印加電圧はルックアップテーブル31に格納されてある。蛍光体シート1の撮影時に用いられたX線管球の種類の情報は図示省略した所定の入力手段により入力される。また、ルックアップテーブル31におけるX線管球の種類に応じたPMT15a、15bの高圧電圧は、以下のようにして求めたものである。
【0032】
ルックアップテーブル31の作成のために用いられるX管球は1種類のみであり、ここでは、例えばW管球を基準とするX線管球とし、このW管球による放射線画像の読取時のPMT15a、15bの感度に基づいて他の種類のX管球による放射線画像の読取時のPMT15a、15bの感度を求める。PMT15aとPMT15bの感度はそれぞれ別の演算により求められ、最初に蛍光体シート1の表側のPMT15aの感度の求め方を示す。
【0033】
まず、読み取られる蛍光体シート1の撮影時に用いられたX線管球の線量Xとその線量における放射線エネルギーと同じ放射線エネルギーとなるW管球における線量Yを求める。ここでは、例えば、読み取られる蛍光体シート1の撮影時にはMo管球が用いられたとする。
【0034】
次に、W管球を用いて線量Yの放射線が一様に照射された基準蓄積性蛍光体シートをPMT15aの高圧電圧を初期電圧Vinitとして読み取り、読み取り画像データの平均値Qaveを演算する。そして、Mo管球を用いて線量Xで撮影した放射線画像を読み取ったときの出力画像信号の目標値をDm、PMTの感度係数をk、PMTの入力を1桁変化させたときのPMT出力のA/D変換出力値の変化量をΔD、基準蓄積性蛍光体シートを撮影したときの実測線量をZとすると、PMT15aの基準電圧Voは(7)式により求められる。
【0035】
【数7】
Figure 0004223186
ここで、(7)式のおけるWOは下式により求められる相対感度係数である。
【0036】
【数8】
Figure 0004223186
上式におけるDwはW管球を用いて線量Yで撮影した放射線画像を読み取ったときの出力画像信号の目標値、ΔDはPMTの入力を1桁変化させたときのPMT出力のA/D変換出力値の変化量である。なお、上式におけるQave、DmおよびDwは読み取り画像信号をログ変換した後の数値である。
【0037】
(7)式により算出されたVoをPMTの高圧電圧として印加すれば、Mo管球で線量Yで撮影したときの放射線画像が読み取られたときの目標値Dmが出力画像信号として出力され感度が補正されたことになる。
【0038】
次に、蛍光体シート1の裏側のPMT15bについて上記と同様にして基準電圧Voを求める。但し、上記表面のPMT15aの基準電圧Voの演算とはQave、Dm、Dwは蛍光体シート1の表面に照射される放射線エネルギ−と蛍光体シート1を透過して裏面に照射される放射線エネルギーの違いにより異なる値となる場合もあるので、そのことを考慮して演算する必要がある。
【0039】
次に本実施形態の作用について説明する。被写体の放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体蛍光体シート1がエンドレスベルト9a,9bに配置されると、エンドレス9a,9bによ矢印Y方向に搬送(副走査)される。一方、レーザ光源10から発せられたレーザ光11はモータ20により駆動された矢印方向に高速回転する回転多面鏡12によって反射偏向され、結像レンズ21を通って蛍光体シート1に入射し副走査の方向(矢印Y方向)と略垂直な矢印X方向に主走査する。このレーザ光11が照射された蛍光体シート1の箇所からは、蓄積記録されている放射線画像に応じた光量の輝尽発光光13a,13b(ここで、輝尽発光光13a,13bはそれぞれ蛍光体シート1の上方(表面)、下方(裏面)から発散される。この輝尽発光光13aは集光ガイド14aによって導かれ、PMT15aによって光電的に検出される。入射端面から集光ガイド14a内に入射した輝尽発光光13aは、集光ガイド14aの内部を全反射して繰り返して進み、出射端面から出射してPMT15aに受光され、放射線画像を表す輝尽発光光13aの光量がPMT15aによってアナログ電気信号に変換される。同様に、輝尽発光光13bは集光ガイド14bによって導かれ、PMT15bによって光電的に検出される。このとき、PMT15a,15bは、それぞれ感度補正手段30のルックアップテーブル31を参照することにより出力された高圧電圧が印加され、X線管球の種類に対応した感度となっている。
【0040】
PMT15aから出力されたアナログ出力信号SAは対数増幅器16aで対数的に増幅されてA/D変換器17aに入力され、ここでデジタルの画像信号S1に変換されて加算手段18に入力される。また、同様に、PMT15bから出力されたアナログ出力信号SBは対数増幅器16bで対数的に増幅されてA/D変換器17bに入力され、ここでデジタルの画像信号S1,S2が加算されて出力加算信号S3が得られる。
【0041】
また、放射線画像の撮影に用いられたX線管球の種類(例えば、W管球とMo管球)によって図2に示すようにフェーディング特性が異なるので、上記基準となるX線管球による基準蓄積性蛍光体シートの撮影からその読み取りまでの時間と実際に読み取られる放射線画像の撮影から読取りまでの時間は所定の時間(例えば、10分)に固定することが望ましい。
【0042】
本発明による放射線画像読取方法および装置によれば、基準となる放射線源とは異なる種類の放射線源に基づく放射線画像を読み取る際、基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれのPMT15a、15bの感度に基づいて異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めてその相対感度に応じた感度補正を行うことができるので、1つの基準となる放射線源のみを用いて他の種類の放射線源により撮影された放射線画像の読取りを行う際の感度補正を行うことができ、さらに2つの光電子増倍管についてそれぞれ適当な感度補正を行うことができる。
【0043】
また、基準となる放射線源に基づく放射線画像と異なる種類の放射線源に基づく放射線画像の撮影から読取りまでの時間を同じ所定の時間に固定して上記感度補正を行うようにした場合には、基準となる放射線源による放射線画像に基づく輝尽発光光と異なる種類の放射線源によう放射線画像に基づく輝尽発光光のそれぞれのフェーディング特性の違いの影響を受けることがないので、より精度よく感度補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射線画像読取装置の一実施形態の概略構成図
【図2】W管球とMo管球により撮影された放射線画像に基づく輝尽発光光のフェーディング特性を示す図
【符号の説明】
1 蛍光体シート
9a、9b エンドレスベルト
10 レーザ光源
11 レーザ光
12 ミラー
12a 反射面
13a、13b 輝尽発光光
14a、14b 集光ガイド
15a、15b PMT
16a、16b 対数増幅器
17a、17b A/D変換器
18 加算手段
20 モータ
21 結増レンズ
30 感度補正手段
31 ルックアップテーブル

Claims (7)

  1. 基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより該照射された部分から発光された輝尽発光光を光電子増倍管により光電的に検出して前記放射線画像に基づく画像信号を得ることにより読取りを行い、所定の大きさの前記画像信号を得るために前記光電子増倍管の印加電圧を前記輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する放射線画像読取方法において、
    前記基準となる放射線源とは異なる種類の前記放射線源に基づく前記放射線画像を読み取る際、
    前記基準となる放射線源に基づく放射線画像を読み取るときの前記感度に基づいて前記異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて該相対感度に応じた感度補正を行うことを特徴とする放射線画像読取方法。
  2. 基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより該照射された部分から発光された輝尽発光光を前記蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管により光電的に検出して前記放射線画像に基づく2つの画像信号を得ることにより読取りを行い、所定の大きさの前記画像信号を得るために前記光電子増倍管の印加電圧を前記輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する放射線画像読取方法において、
    前記基準となる放射線源とは異なる種類の前記放射線源に基づく前記放射線画像を読み取る際、
    前記基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの前記光電子増倍管の前記感度に基づいて前記異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて該相対感度に応じた感度補正を行うことを特徴とする放射線画像読取方法。
  3. 前記光電子増倍管の印加電圧Voを次の(1)式で表される大きさとすることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像読取方法。
    Figure 0004223186
    (ただし、
    X:前記異なる種類の放射線源の所定の線量
    Y:前記異なる種類の放射線源の所定の線量Xにおける放射線エネルギーと同じ大きさの前記放射線エネルギーとなる前記基準となる放射線源の線量
    Qave:前記線量Yの前記基準となる放射線源の前記放射線が一様に照射された基準蓄積性蛍光体シートを前記光電子増倍管の印加電圧を初期電圧Vinitとして前記読取りを行ったときの前記画像信号の平均値
    Dm:前記異なる放射線源により前記線量Xで撮影された前記放射線画像の蓄積された前記蛍光体シートに対して予め定められた前記画像信号値
    k:前記光電子増倍管の感度係数k
    ΔD:前記光電子増倍管により検出される前記輝尽発光光の光量を1桁変化させたときの前記光電子増倍管の出力に基づく前記画像信号の変化量ΔD
    Z:前記基準蓄積性蛍光体シートに前記線量Yの前記放射線を照射したときの実測線量値
    Dw:前記基準となる放射線源により前記線量Yで撮影された前記放射線画像の蓄積された前記蛍光体シートに対して予め定められた前記画像信号値)
  4. 前記基準となる放射線源に基づく放射線画像と前記異なる種類の放射線源に基づく放射線画像の撮影から前記読取りまでの時間を同じ所定の時間に固定することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の放射線画像読取方法。
  5. 基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線に基づく放射線画像が蓄積された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより該照射された部分から発光された輝尽発光光を光電子増倍管により光電的に検出して前記放射線画像に基づく画像信号を得ることにより読取りを行う画像読取手段と、前記画像読取手段から所定の大きさの前記画像信号を得るために前記光電子増倍管の印加電圧を前記輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する感度補正手段とを備えた放射線画像読取装置において、
    前記基準となる放射線源とは異なる種類の前記放射線源に基づく前記放射線画像を読み取る際、
    前記感度補正手段が、前記基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときの前記感度に基づいて前記異なる種類の放射線源に対応した相対感度を求めて該相対感度に応じた感度補正を行うものであることを特徴とする放射線画像読取装置。
  6. 基準となる放射線源から射出されて被写体を透過した放射線の線量に基づく放射線画像が蓄積された前記蛍光体シートに励起光を照射することにより該照射された部分から発光された輝尽発光光を前記蛍光体シートの両面についてそれぞれ設けられた光電子増倍管により光電的に検出して前記放射線画像に基づく2つの画像信号を得ることにより読取りを行う画像読取手段と、前記画像読取手段から所定の大きさの前記画像信号を得るために前記光電子増倍管の印加電圧を前記輝尽発光光の光量に応じて制御することにより感度を補正する感度補正手段とを備えた放射線画像読取装置において、
    前記基準となる放射線源とは異なる種類の前記放射線源に基づく前記放射線画像を読み取る際、
    前記感度補正手段が、前記基準となる放射線源に基づく放射線画像を読取るときのそれぞれの前記光電子増倍管の前記感度に基づいて前記異なる種類の放射線源に対応した相対感度をそれぞれ求めて該相対感度に応じた感度補正を行うものであることを特徴とする放射線画像読取装置。
  7. 前記感度補正手段が、前記光電子増倍管の印加電圧Voを次の(2)式で表される大きさとするものであることを特徴とする請求項5または6記載の放射線画像読取装置。
    Figure 0004223186
    (ただし、
    X:前記異なる種類の放射線源の所定の線量
    Y:前記異なる種類の放射線源の所定の線量Xにおける放射線エネルギーと同じ大きさの前記放射線エネルギーとなる前記基準となる放射線源の線量
    Qave:前記線量Yの前記基準となる放射線源の前記放射線が一様に照射された基準蓄積性蛍光体シートを前記光電子増倍管の印加電圧を初期電圧Vinitとして前記読取りを行ったときの前記画像信号の平均値
    Dm:前記異なる放射線源により前記線量Xで撮影された前記放射線画像の蓄積された前記蛍光体シートに対して予め定められた前記画像信号値
    k:前記光電子増倍管の感度係数k
    ΔD:前記光電子増倍管により検出される前記輝尽発光光の光量を1桁変化させたときの前記光電子増倍管の出力に基づく前記画像信号の変化量ΔD
    Z:前記基準蓄積性蛍光体シートに前記線量Yの前記放射線を照射したときの実測線量値
    Dw:前記基準となる放射線源により前記線量Yで撮影された前記放射線画像の蓄積された前記蛍光体シートに対して予め定められた前記画像信号値)
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