JP4222798B2 - インデックステーブルのクランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械において、工作物を回転割り出しさせるインデックステーブルのクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインデックステーブルのクランプ装置としては、実用新案登録第2570665号公報に示すように、一枚の円板が回転テーブルのスピンドルに固定され、フレームに支持される押圧部材が、クランプ時には円板をフレームに押し付けるものがある。そして、クランプによって回転テーブルはフレームに対して回転不能となり、回転テーブル上の工作物(ワーク)は静止状態に維持される。
【0003】
ところが、押圧部材が円板をフレームに押し付ける際に、円板がスピンドルの軸線方向に歪んで変形し、円板には内部応力が生じるため、円板が破損することがある。円板は、厚いほど内部応力が大きくなって破損しやすくなる傾向があるので、破損を防ぐには薄くすることが考えられる。しかし、薄くすると剛性が低下するので、切削力などの外力で円板が捻れて、回転テーブルがずれ、ワークの加工精度が悪くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その目的は、クランプ時の内部応力による円板の破損を防止することである。
【0005】
フレームと回転テーブルとを含み、回転テーブルがフレームに回転可能に支持されるインデックステーブルにおいて、回転テーブルの軸線方向に往復動可能な押圧部材と、押圧部材の駆動手段と、回転テーブルのスピンドルの周りに設けられ軸線方向に沿って配設される複数の円板とを含み、複数の円板は、回転テーブルとフレームとのうちいずれか一方に共に固定され、かつ、ディスタンス部材が円板の固定箇所から半径方向に離間する箇所で複数の円板間に配置されるものであって、前記一方の側に設けられることにより、クランプ時に複数の円板がディスタンス部材の厚みだけ互いに離間するように設けられるか、または、複数の円板は、回転テーブルとフレームとのうちのいずれか一方に共に固定され、かつ、直接重なり合って設けられ、押圧部材は、円板のうちの前記固定箇所から半径方向に離間する被押圧部を介して回転テーブルとフレームとのうちの他方と対向しており、クランプ時に、押圧部材は、前記被押圧部を押圧して複数の円板を変形させることにより、複数の円板を前記他方に押圧する(請求項1)。
【0006】
押圧部材は、円板円周方向に沿うリング状であることが望ましいが、円周方向に複数配設したものでも良い。押圧部材の駆動手段は、押圧部材を往復動させるものであればよく、一例としては、押圧部材がピストンである場合の、シリンダ及び流体圧回路や、ソレノイドやモータ等の電動アクチュエータを用いての押圧部材を往復動するものや、押圧部材を手動で往復動させる増力機構が挙げられる。
【0007】
「複数の円板は、回転テーブルとフレームとのうちのいずれか一方に共に固定され」とは、複数の円板の固定部材が共通することを意味する。回転テーブルに固定する場合は、例えば円板の内側部分が固定箇所となり、それよりも外側部分に被押圧部を設ける。フレームに固定する場合は、例えば円板の外側部分が固定箇所となり、それよりも内側部分に被押圧部を設ける。
【0008】
「複数の円板は、回転テーブルとフレームとのうちいずれか一方に共に固定され、かつ、ディスタンス部材が円板の固定箇所から半径方向に離間する箇所で複数の円板間に配置されるものであって、前記一方の側に設けられることにより、クランプ時に複数の円板がディスタンス部材の厚みだけ互いに離間するように設けられるか、または、複数の円板は、回転テーブルとフレームとのうちのいずれか一方に共に固定され、かつ、直接重なり合って設けられ、」とは、簡潔に述べれば、複数の円板は、間隔をあけてその間にディスタンス部材を介在するものか、直接重なったものかの、どちらかを意味する。前者(円板間にディスタンス部材が介在する)の場合、ディスタンス部材を、複数の円板が固定される前記一方の側に設けることにより、ディスタンス部材と円板とは一体化した関係となり、ディスタンス部材と円板の位置関係は、回転テーブルが回転しても一定に保持される。円板間にディスタンス部材が介在する場合、クランプ時の押圧部材側の円板の変形量が小さくなり、内部応力がより小さくなると共に、円板の固定箇所と、円板の固定箇所から半径方向に離間する箇所、即ち押圧される箇所(被押圧部)との間の円板間の半径方向の中間領域に、クランプ時も空間が維持され、円板同士の干渉が防止できるので変形させやすくなり、円板の内部応力が小さくなると共に、円板の屈曲抵抗が小さくなるので、押圧部材は強く他方を押圧することができる。ディスタンス部材の個数及び形状は限定されないが、形状の一例としてはリング状、円周方向に沿って配設される複数のブロック状、半球状等が挙げられる。
【0009】
更に、ディスタンス部材は、リング状に形成されて前記の半径方向に離間する箇所と対応すると共に、介在する円板の一方に取り付けられる(請求項2)。
【0010】
このようにすれば、固定箇所と前記の半径方向に離間する箇所、即ち押圧される箇所との間の円板間の中間領域に、環状の空間が形成され、円板同士の干渉を防止できる。また、クランプ時の押圧部材側の円板の変形量が小さくなり、内部応力がより小さくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
インデックステーブル1は図1に示すように、フレーム2に回転テーブル3をベアリング4を介して回転可能に支持し、フレーム2内にクランプ装置5を有するものである。
【0012】
フレーム2は、回転テーブル3を挿通する孔が軸線方向に貫通する中空のフレーム本体6と、フレーム本体6の開口端の一方を塞ぐリヤカバー7とから構成され、リヤカバー7がフレーム本体6にボルト止めされる。
【0013】
回転テーブル3は、テーブル9とスピンドル8とウォームホイール10とを含む。回転テーブル3は、フレーム本体6内にベアリング4を介してスピンドル8が支持され、工作物を保持するテーブル9がスピンドル8の一端(リヤカバーとは反対側)に接続されてフレーム本体6の開口端の他端を塞ぎ、テーブル9がフレーム本体6から離して回転可能とされ、スピンドル8の中央部にウォームホイール10がボルト止めされる。また、ウォームホイール10にウォーム11を噛み合わせ、スピンドル8の軸線に対して直角方向を中心にしてウォーム11が、フレーム本体6に回転可能に支持されている。
【0014】
ベアリング4は、フレーム本体6とスピンドル8との間に介し、内側部分がスピンドル8とウォームホイール10の間に挟まれ、外側部分が抑え具12とフレーム本体6に挟まれ、抑え具12がフレーム本体6にボルト止めされる。これにより回転テーブル3は軸線方向に移動不能にフレーム本体6に支持される。
【0015】
スピンドル8の両端部には、オイルシール13、14がフレーム2との間に介している。オイルシール13、14は、フレーム本体6又はリヤカバー7に嵌合しており、スピンドル8に接してベアリング4、ウォーム11、ウォームホイール10等の内部構造や、クランプ装置5内に切削油等が浸入することを阻止するものである。
【0016】
本発明のクランプ装置5の第一実施例は図1に示すように、フレーム2内に押圧部材15を回転テーブル3の軸線方向に往復動可能に挿通し、三枚の円板16を重ね合わせてその内側部分を回転テーブル3のウォームホイール10に固定し、外側部分を押圧部材15に対向させて被押圧部分とし、被押圧部分を中心にして軸線方向の重なった円板16の両側に円板16と対向してフレーム2と押圧部材15に一対のクランプ面17、18が形成され、クランプ時には押圧部材15の後述の駆動手段19によって押圧部材15が移動し、一対のクランプ面17、18間に三枚の円板16の被押圧部分を重ね合わせた状態で挟持する。
【0017】
押圧部材15は、リング状のピストンで、クランプ面17を円板16側に突出してある。そして、押圧部材の駆動手段19は、押圧部材15が移動するシリンダ20をフレーム本体6とリヤカバー7とで形成し、押圧部材15の内周面溝と外周面溝に嵌合したOリング(符号省略)で気密を図っている。シリンダ20内部と外部を繋ぐエアの通路21をフレーム本体6にあけ、円板16よりも外側に復帰スプリング22を、フレーム本体6と押圧部材15との間に収容してある。クランプ解除時には復帰スプリング22でクランプ面17を円板16から離して保持し、クランプ時にはエアによって押圧部材15を復帰スプリング22に逆らって移動させ円板16をクランプする。
【0018】
重ね合わせた三枚の円板16は、その中央部にあけた抜穴23をスピンドル8に挿通し、内側部分をウォームホイール10の段差面24にボルト止めし、外側部分を被押圧部とする。
【0019】
本発明のクランプ装置5の第一実施例の変形例は図2に示すように、二枚の円板16の内側同士の間に環状のスペーサ25を介した状態で回転テーブル3のウォームホイール10にボルト止めして、二枚の円板16を厚み方向に間隔をあけて対向させ、ディスタンス部材26を一方の円板16の外周に嵌合させて二枚の円板16の外側部分(被押圧部分)同士の間に介在させ、円板間の半径方向の中間領域(スペーサ25とディスタンス部材26の間)に環状の空間27を形成したことを特徴とする。
【0020】
ディスタンス部材26は、断面L字状のリングで、円板16間に挟まれる部分と、一方の円板16の外周に嵌合する部分とからなる。
【0021】
このようにすれば、円板16が押圧部材15の押圧によって歪んで変形するときに、円板16を二枚重ね合わせたものと比べて、空間27がある分だけ円板16同士が干渉せずに歪みやすくなるので、内部応力が小さくなると共に、クランプ時に押圧部材15が円板16を押圧する力が軽くてすむ。言い換えれば、強く円板を押圧する。また、二枚の円板16は、ディスタンス部材26を介して重なっているのでクランプ時における押圧部材15側の円板16の変形量は、第一実施例のように複数の円板が直接重なっている場合と同一となり、歪みによって生じる押圧部材15側の円板16の内部応力も、複数の円板を直接重ね合わせたときと、同等に維持される。
【0022】
本発明のクランプ装置5の第二実施例は図3に示すように、第一実施例と相違する点は、円板16に外径、内径ともに一回り大きなものを用い、円板16の外側部分をフレーム2(フレーム本体6)に固定し、円板16の内側部分を被押圧部分とし、一対のクランプ面17、18を、押圧部材15と回転テーブル3(ウォームホイール10)に形成した点である。これにより複数の円板16がフレーム2に固定され、押圧部材15は複数の円板16を介して回転テーブル3を押圧する。また、複数の円板16は、回転中心から離れた箇所(即ち大径部)で固定されるので、円板16の固定部分がクランプ力により破損する事故を避けることができると共に、円板16を堅固にフレーム2に固定することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、複数の円板が一対の挟持部材間に挟まってクランプされるので、一枚の円板をクランプする従来品と比べて、各円板の厚みを薄くしても、複数の円板全体での剛性が外力に対する捻れ防止に充分なレベルに確保されていれば、加工時の回転テーブルのずれが防げる。従って、円板を薄くすることによってクランプ時の変形の際の内部応力が小さくなり、クランプ時の内部応力による円板の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インデックステーブルのクランプ装置の第一実施例を示す断面図である。
【図2】クランプ装置の第一実施例の変形例を示す断面図である。
【図3】クランプ装置の第二実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 フレーム
3 回転テーブル
5 クランプ装置
15 押圧部材
16 円板
19 押圧部材の駆動手段
26 ディスタンス部材
Claims (2)
- フレーム(2)と回転テーブル(3)とを含み、回転テーブル(3)がフレーム(2)に回転可能に支持されるインデックステーブルにおいて、
回転テーブル(3)の軸線方向に往復動可能な押圧部材(15)と、押圧部材の駆動手段(19)と、回転テーブル(3)のスピンドル(8)の周りに設けられ軸線方向に沿って配設される複数の円板(16)とを含み、
複数の円板(16)は、回転テーブル(3)とフレーム(2)とのうちいずれか一方に共に固定され、かつ、ディスタンス部材(26)が円板(16)の固定箇所から半径方向に離間する箇所で複数の円板(16)間に配置されるものであって、前記一方の側に設けられることにより、クランプ時に複数の円板(16)がディスタンス部材(26)の厚みだけ互いに離間するように設けられるか、または、複数の円板(16)は、回転テーブル(3)とフレーム(2)とのうちのいずれか一方に共に固定され、かつ、直接重なり合って設けられ、
押圧部材(15)は、円板(16)のうちの前記固定箇所から半径方向に離間する被押圧部を介して回転テーブル(3)とフレーム(2)とのうちの他方と対向しており、
クランプ時に、押圧部材(15)は、前記被押圧部を押圧して複数の円板(16)を変形させることにより、複数の円板(16)を前記他方に押圧することを特徴とするインデックステーブルのクランプ装置。 - ディスタンス部材(26)は、リング状に形成されて前記の半径方向に離間する箇所と対応すると共に、介在する円板(16)の一方に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のインデックステーブルのクランプ装置。
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