JP4222524B2 - フィルタロッド製造機 - Google Patents

Description

本発明は、粒状の添加剤を含んだフィルタロッドを製造するための製造機に関する。

この種のフィルタロッドは、円筒状のフィルタ材と、このフィルタ材を包み込むペーパとを含み、フィルタ材は例えば特開平７−２０３９３５号公報に開示された装置により成形される。

より詳しくは、前記公報の装置は、繊維材料のトウから平坦なシート状のフィルタウエブを成形するトウ処理セクションと、このトウ処理セクションからフィルタウエブを受け取り、受取ったフィルタウエブを絞り込んでロッド部材に成形する成形セクションとを備えている。

この後、ロッド部材は成形セクションからラッピングセクションに供給される。このラッピングセクションを通過する過程にて、ロッド部材はペーパウエブに包み込まれ、フィルタロッドの連続体に成形され、そして、フィルタロッドの連続体は個々のフィルタロッドに切断される。

例えば、上述したようにして成形されたフィルタロッドは所定の長さに切断された後、シガレットのためのフィルタチップとして使用される。フィルタシガレットの喫煙時、フィルタチップはフィルタシガレットの主流煙中に含まれるニコチンやタールを捕獲し、フィルタシガレットの喫煙フィーリングを軽くするのに役立つ。

また、フィルタチップ内に粒状の添加剤、例えば、活性炭の粒子が含まれていれば、これら活性炭の粒子は主流煙中の不所望な成分を吸着し、フィルタシガレットの喫味を改善するのに役立つ。

このような添加剤の粒子を含むフィルタチップはいわゆるデュアルフィルタチップと称されており、デュアルフィルタチップはプレーンチップ半体と機能的チップ半体とを含んでいる。プレーンチップ半体は上述のプレーンフィルタロッドを切断して得られ、これに対し、機能的チップ半体は、添加剤の粒子を含んだ機能的フィルタロッドを切断して得られる。

このような機能的フィルタロッドを得るには、トウ処理セクションと成形セクションの間の上方に添加剤の散布器を配置し、この散布器からフィルタウエブ上に添加剤を一様に散布することが考えられる。

しかしながら、上述した装置の場合、トウ処理セクションの終端から成形セクションまでの移送経路にて、フィルタウエブは完全に自由な状態にある。このため、フィルタウエブはその自重や散布された添加剤の重さに起因し、幅方向でみてその中央部が下方に撓み、横断面でみて円弧状に変形される。また、フィルタウエブは走行中、上下に振動する。

このようなフィルタウエブの変形や振動は、フィルタウエブ上に散布された添加剤を円弧状のウエブの底に向けて移動させてしまい、添加剤がフィルタウエブ上にて一様に分布されなくなる。それ故、添加剤が不均一に分布されたフィルタウエブから機能的フィルタロッドが成形されたとき、添加剤の分布密度は、機能的フィルタロッド、即ち、機能的チップ半体の横断面でみて均一にならず、機能的チップ半体内の添加剤は偏在する。

この場合、添加剤の粒子が活性炭の粒子である場合、活性炭の粒子は主流煙に良好に接触しないので、これら粒子は主流煙中の成分を有効に吸着することができず、デュアルフィルタチップの吸着性能を低下させる。

機能チップ半体が機能フィルタロッドを切断して形成されるとき、添加剤の粒子の偏在は、機能フィルタロッド即ち機能チップ半体の切断面からの添加剤の粒子の脱落を増加させる。また、添加剤の粒子がペーパウエブのラップシームの近傍に集中されている場合、添加剤の粒子はラップシーム内に侵入し易く、ペーパウエブの巻付け不良を発生させる。このようなペーパウエブの巻付け不良は、機能フィルタロッド製造機の運転停止を引き起こし、機能フィルタロッドの生産性を悪化させる。

機能チップ半体の性能を高めるため、添加剤の粒子の添加量を増加させることが考えられる。しかしながら、この場合には、上述の不具合、つまり、添加剤の粒子の脱落やペーパウエブの巻付け不良の発生を更に増加させることになる。

なお、前述した装置と同様な装置の中には、トウ処理セクションと成形セクションとの間にフィルタウエブの絞り込みを案内するガイドを備えた装置もまた知られている。例えば、ガイドは断面Ｕ字形状のトラフであるか又はコイルトンネルである。

しかしながら、上述したガイドは何れも、フィルタウエブ上での粒状の添加剤の移動を防止するうえで有効ではない。

本発明の目的は、簡単な機構を付加するだけで、フィルタロッド内に粒状の添加剤を均一に分布させることができるフィルタロッドの製造機を提供することにある。

上記の目的を達成するため、本発明のフィルタロッドの製造機は、繊維状のトウから平坦なフィルタウエブを成形し、成形したフィルタウエブを送出する出口を含むトウ処理セクションと、トウ処理セクションから送出されたフィルタウエブを通過させるトランペットガイドを含み、このトランペットガイドによりフィルタウエブを絞り込んで、フィルタウエブからロッド部材を成形する成形セクションと、成形セクションからロッド部材を受け取る入口を有し、
ロッド部材をペーパウエブに包み込んでフィルタロッドの連続体を成形するラッピングセクションと、トウ処理セクションとトランペットガイドとの間にて、フィルタウエブ上に粒状の添加剤を一様に散布する散布セクションとを備えている。

本発明の場合、散布セクションは、トウ処理セクションの出口とラッピングセクションの入口との間を結ぶ基準レベルラインと、トウ処理セクションの出口近傍に位置付けられた添加剤の散布位置と、基準レベルライン上又は基準レベルラインの上方に配置され、散布位置よりも上流からトランペットガイドまで延びる平坦なプレート状のウエブガイドとを含み、ウエブガイドはフィルタウエブの下面全域を支持しながら、フィルタウエブの移送を案内する。

上述の製造機によれば、成形されたフィルタウエブがトウ処理セクションから成形セクションのトランペットガイドに向けて送出されるとき、フィルタウエブはウエブガイドに支持されているので、下方に撓むことはなく平坦な状態に維持される。それ故、散布セクションはフィルタウエブ上に粒状の添加剤を一様に散布することができる。

この後、フィルタウエブがトランペットガイドに向かうに従い、フィルタウエブは徐々に絞り込まれる。このような絞り込みはフィルタウエブがウエブガイド上に支持された状態で実施されるので、フィルタウエブに比較的小さいな多数の縦襞が規則的且つ安定して発生する。

また、フィルタウエブがトランペットガイドに向けて移送されるとき、ウエブガイドはフィルタウエブの上下の振動を抑制する。

上述した縦襞及び上下振動の抑制は、フィルタウエブ上に散布された粒状の添加剤の移動を防止するので、粒状の添加剤の一様な分布が維持される。それ故、絞り込まれたフィルタウエブがトランペットガイドを通過してロッド部材に成形され、この後、このロッド部材からフィルタロッドの成形されたとき、フィルタロッド内の粒状の添加剤は、フィルタロッドの横断面でみて均一に分布する。

粒状の添加剤が活性炭の粒子である場合、フィルタロッドから得られた機能的チップ半体、いわゆるチャコールチップ半体内の活性炭の粒子は、フィルタシガレットの主流煙と良好に接触し、主流煙中の成分を効果的に吸着することができる。

チャコールチップ半体内に活性炭の粒子が偏在しないので、チャコールチップ半体内への活性炭の粒子の添加量を更に増加させることも可能となり、この場合、吸着能力の高いチャコールチップ半体が得られる。

一方、フィルタロッドからチャコールチップ半体を得るには、複数の切断プロセスが要求される。しかしながら、フィルタロッド内に粒状の添加剤が均一に分布されていれば、各切断プロセス時、切断面からの添加剤の脱落を大幅に低減することができる。

また、ロッド部材がペーパウエブにより包み込まれるとき、ペーパウエブの両側縁間に挟み込まれる粒状の添加剤もまた少なくなり、ロッド部材へのペーパウエブの巻付けが安定して実施される。従って、ペーパウエブの巻付け不良に起因して製造機の運転が停止されることもなく、フィルタロッド
の生産性が向上する。

更に、粒状の添加剤の脱落が低減されれば、脱落した添加剤がデュアルフィルタチップの成形や、フィルタシガレットの製造に悪影響を及ぼすことも少ない。

好ましくは、基準レベルラインは水平に延び、そして、ウエブガイドは、基準レベルラインと基準レベルラインから１０ｍｍだけ高い上限ラインとの間の領域内に配置されている。

上述の領域内に配置されたウエブガイドは、フィルタウエブの移送にとって大きな抵抗にならず、フィルタウエブの安定した移送を保証する。

本発明の他の利点は、添付図面を参照して説明される発明の最良の実施形態から明らかになるが、最良の実施形態は本発明の範囲を何ら制限するものではない。

一実施例のフィルタロッドの製造機を概略的に示した図である。 図１の製造機のウエブガイドを示した斜視図である。 図１の製造機のラッピンクセクションをより具体的に示した図である。 図３のウエブガイドの機能をウエブガイドが無い場合と比較して説明するための図である。 ウエブガイドの配置に関して、デュアルフィルタチップの吸着性能を示したグラフである。 ウエブガイドの配置に関して、種々の態様を示した図である。 本発明の製造機により得られたデュアルフィルタチップ及び他のデュアルフィルタチップの吸着性能を比較して示したグラフである。

図１に示されるようにフィルタロッドの製造機は大きく分けて、トウ処理セクション１０、添加剤の散布セクション１２、成形セクション１４及びラッピングセクション１６を含む。

トウ処理セクション１０は、例えばセルロースアセテート繊維のフィルタ材、即ち、トウＴを収容した梱（ベイル）１８を備え、梱１８からはトウ経路２０が延びている。トウ経路２０に梱１８側から一次バンディングジェット２２、ガイドローラ２４、一対のプレテンションローラ２６、一対のブルーミングローラ２８、二次バンディングジェット３０及び一対の送出ローラ３２が順次配置され、これら送出ローラ３２はトウ経路２０の終端に位置付けられている。

トウＴが一次バンディングジェット２２を通過するとき、一次バンディングジェット２２は梱１８側からトウＴに向けて向けて圧縮空気を噴出する。噴出された圧縮空気はトウＴを開繊つまり解し、トウＴの縮れ（クリンプ）を適度に引き伸ばす。

トウＴがガイドローラ２４に到達すると、ガイドローラ２４はトウＴの供給方向を一対のプレテンションローラ２６に向け、この後、トウＴは一対のプレテンションローラ２６間を通過する。この際、これらプレテンションローラ２６は、開繊処理されたトウＴを押え付け、一対のブローミンクローラ２８と協働してトウＴに所定の張力を与え、トウＴの縮れを更に引き伸ばす。

この後、トウＴが一対のブルーミングローラ２８間を通過するとき、これらブルーミングローラ２８は開繊されたトウＴを複数の束に分割し、これらの束を二次バンディングジェット３０に向けて供給される。

トウＴの分割束が二次バンディングジェット３０を通過する際、二次バンディングジェット２０は分割束に向けて圧縮空気を噴出し、圧縮空気は分割束を開繊する。この結果、分割束はトウ経路２０の幅方向に拡がり、平坦なフィルタウエブＷ_Ｆを形成する。この後、フィルタウエブＷ_Ｆは一対の送出ローラ３２間を通過し、これら送出ローラ３２から散布セクション１２に送出される。

散布セクション１２は移送経路を有し、この移送経路は送出ローラ３２から成形セクション１４のトランペットガイド３４まで延びている。移送経路は平坦なプレート状のウエブガイド３６により形成され、このウエブガイド３６は３０〜５０ｃｍの長さを有する。
ウエブガイド３６の上面はフィルタウエブＷ_Ｆの下面全域を送出ローラ３２からトランペットガイド３４に亘って支持可能な広さを有し、フィルタウエブＷ_Ｆの移送を案内する。

より詳しくは、送出ローラ３２の出口位置Ｐ_Ｏとラッピッグンセクション１６の入口位置Ｐ_Ｉとの間を結ぶ水平な基準レベルラインが図１中、Ｌ_Ｂ（１点鎖線）で示されるとき、基準レベルラインＬ_Ｂはトランペットペットガイド３４の円形の入口３８にて、この入口３８内の中央域を通過し、そして、トランペットガイド３４の円形の出口４０にて、この出口４０の最下縁上を通過している。

上述した基準レベルラインＬ_Ｂでみて、ウエブガイド３６は基準レベルラインＬ_Ｂ上、又は、基準レベルラインＬ_Ｂよりも僅かに上方に位置付けられている。具体的には、ウエブガイド３６は上下方向でみたとき、基準レベルラインＬ_Ｂとトランペットガイド３４における入口３８の最上縁との間の領域内に配置されている。好ましくは、上記領域は、基準レベルラインＬ_Ｂとこの基準レベルラインＬ_Ｂから１０ｍｍだけ高い上限ラインとの間に規定されている。

この場合、ウエブガイド３６とフィルタウエブＷ_Ｆとの間に隙間が発生しない限り、ウエブガイド３６は、基準レベルラインＬ_Ｂに対して平行又は傾斜して配置されるが、しかしながら、ウエブガイド３６の横断面は移送経路の任意の位置にて、水平面と平行である。

上述したウエブガイド３６の配置を許容するため、ウエブガイド３６の上流端３６_Ｕ及び下流端３６_Ｄは調整ブラケットを介して支持され、これら上流端３６_Ｕ及び下流端３６_Ｄの高さレベルは独立して調整可能である。

上述したウエブガイド３６によれば、フィルタウエブＷ_Ｆが送出ローラ３２からトランペットガイド３４に向けて移送されるとき、ウエブガイド３６はフィルタウエブＷ_Ｆを下方から単に支持するか、又は、フィルタウエブＷ_Ｆを下方から僅かに押し上げる。しかしなから、ウエブガイド３６によるフィルタウエブＷ_Ｆの押し上げは僅かであり、ウエブガイド３６がフィルタウエブＷ_Ｆの走行にとって、大きな抵抗（負荷）になることはない。

図１から明らかなように、ウエブガイド３６の上流端３６_Ｕは一対の送出ローラ３２から所定の距離を存して位置付けられ、そして、ウエブガイド３６の下流端３６_Ｄはトランペットガイド３４における入口３８の近傍に位置付けられている。

ウエブガイド３６の上流端３６_Ｕの上方には、粒状の添加剤、例えば活性炭の粒子Ｐ_ＣをフィルタウエブＷ_Ｆ上に均一に散布する散布器４２が配置されている。散布器４２は活性炭の粒子Ｐ_Ｃを蓄えるホッパ４４を備えており、このホッパ４４はその下端に出口４６を有する。この出口４６は下方に向けて開口したスリット形状をなし、フィルタウエブＷ_Ｆの幅方向に延びている。出口４６の長さは、前述したトウ処理セクション１０にて成形されるフィルタウエブＷ_Ｆの幅と同一であるか、この幅よりも僅かに短い。

ホッパ４４における出口４６の直下には散布ローラ４８が配置され、この散布ローラ４８は図１中に示す矢印方向に回転可能である。散布ローラ４８の軸線は出口４６の長手方向に延び、散布ローラ４８はその外周面上に出口４６から排出された活性炭の粒子Ｐ_Ｃを受け取ることができる。具体的には、散布ローラ４８の軸線方向の長さは出口４６の長さ、即ち、上述したフィルタウエブＷ_Ｆの幅よりも長く、従って、散布ローラ４８の回転が停止されているとき、散布ローラ４８は出口４６からの活性炭の粒子Ｐ_Ｃの排出を阻止する。

しかしながら、散布ローラ４８の外周面と出口４６との間には活性炭の粒子Ｐ_Ｃの通過を許容する程度の僅かなギャップが確保され、このギャップは散布ローラ４８の軸線方向に均一である。それ故、散布ローラ４８が回転されたとき、散布ローラ４８上の活性炭の粒子Ｐ_Ｃは散布ローラ４８からフィルタウエブＷ_Ｆ上に落下し、フィルタウエブＷ_Ｆに一様に分布される。

粒子Ｐ_Ｃの落下位置、即ち、散布位置Ｑは、ウエブガイド３６の上流端３６_Ｕよりも僅かに下流に位置付けられている。また、散布ローラ４８とフィルタウエブＷ_Ｆとの間の距離は短く、粒子Ｐ_Ｃの落下距離は散布ローラ４８の半径程度に過ぎない。それ故、活性炭の粒子Ｐ_ＣがフィルタウエブＷ_Ｆ上にて跳ね上がることはなく、粒子Ｐ_Ｃの一様な分布は確実に保証される。

活性炭の粒子Ｐ_Ｃが供給されたフィルタウエブＷ_Ｆは、ウエブガイド３６に案内されながらトランペットガイド３４に向けて移送され、そして、トランペット３４を通過する。この際、フィルタウエブＷ_Ｆはトランペットガイド３４により棒状に絞り込まれ、ロッド部材Ｗ_Ｒに成形される。即ち、図２中の２点鎖線で示されるように、フィルタウエブＷ_Ｆの幅は送出ローラ３２からトランペットガイド３４に向けて移送されるに従って徐々に減少する。

それ故、この実施例の場合、前述したウエブガイド３６の幅もまた図２から明らかなように、フィルタウエブＷ_Ｆの幅の縮小に従い、送出ローラ３２からトランペットガイド３４に向けて徐々に減少されている。即ち、ウエブガイド３６はトランペットガイド３４に向けて先細となる台形形状をなしている。しかしながら、移送経路上の任意の位置にて、ウエブガイド３６の幅はフィルタウエブＷ_Ｆの幅よりも広く、ウエブガイド３６はフィルタウエブＷ_Ｆを確実に支持し且つ案内することができる。

なお、ウエブガイド３６は台形形状に限らず、矩形形状であってもよく、この場合、ウエブガイド３６の幅は移送経路に沿って一定である。

トランペットガイド３４はロッド部材Ｗ_Ｒをラッピングセクション１６に供給し、ラッピングセクション１６の詳細は図３に示されている。

ラッピングセクション１６は、シガレットロッドを製造するためのラッピングセクションと同様な構造を有するので、ここでは、ラッピングセクション１６に関して簡単に説明する。

ラッピングセクション１６はエンドレスのガニチャテープ５０を備えており、ガニチャテープ５０は水平な成形ベッド（図示しない）上をロッド部材Ｗ_Ｒの移送方向に走行する。

ラッピングセクション１６の入口位置Ｐ_Ｉにて、ガニチャテープ５０上にはペーパウエブＷ_Ｐが供給される。ペーパウエブＷ_Ｐはペーパロールからリザーバ及びスプレーガン５２を経てガニチャテープ５０まで導かれる。スプレーガン５２はペーパウエブＷ_Ｐの幅方向でみて中央に接着剤いわゆるレール糊を塗布する。なお、図３中、ペーパロール及びリザーバは示されていない。

トランペットガイド３４から供給されたロッド部材Ｗ_Ｒは入口位置ＰＩにて、ペーパウエブＷ_Ｐに重ね合わされる。この際、ロッド部材Ｗ_ＲとペーパウエブＷ_Ｐはレール糊を介して互いに接着される。

この後、ロッド部材Ｗ_Ｒ及びペーパウエブＷ_Ｐはガニチャテープ５０とともに成形ベッド上を走行し、トング５４、ラッピングフォーマ５６、ヒータ５８及びクーラ６０を順次通過する。

トング５４は成形ベッドと協働し、ガニチャテープ５０及びペーパウエブＷ_Ｐを介してロッド部材Ｗ_Ｒを更に圧縮する。この際、ロッド部材Ｗ_Ｒの断面は円形に成形され、そして、ペーパウエブＷ_Ｐ及びガニチャテープ５０は断面でみてＵ字形に曲げられる。この時点で、ロッド部材Ｗ_Ｒの下半分はペーパウエブＷ_Ｐにより覆われる。

この後、ロッド部材Ｗ_Ｒがラッピングフォーマ５６を通過する過程にて、ペーパウエブＷ_Ｐの一側縁部はガニチャテープ５０を介してロッド部材Ｗ_Ｒの上半分の片側に被せられ、同時に、ラッピングフォーマ５６の糊スプレー（図示しない）はペーパウエブＷ_Ｐの他側縁にシーム糊を塗布する。そして、ペーパウエブＷ_Ｐの他側縁はガニチャテープ５０を介してロッド部材Ｗ_Ｒに同様に被せられ、シーム糊を介してペーパウエブＷ_Ｐの一側縁に重ね合わされる。この時点で、ペーパウエブＷ_Ｐの両側縁がシーム糊により接着され、ロッド部材Ｗ_ＲはペーパウエブＷ_Ｐにより完全に包み込まれ、チャコールフィルタロッドの連続体ＲＳが成形される。

チャコールフィルタロッドの連続体ＲＳがヒータ５８及びクーラ６０を通過する際、シーム糊は順次乾燥及び冷却される。

この実施例の場合、ラッピングセクション１６は成形ベッド、即ち、ガニチャテープ５０の下流に回転ナイフ６２を備え、回転ナイフ６２はチャコールフィルタロッドの連続体ＲＳを個々のチャコールフィルタロッドＦＲに切断する。

前述したウエブガイド３６の働きに関して、図４を参照しながら以下に説明する。
図４中、左側のフローはウエブガイド３６により案内されるフィルタウエブＷ_Ｆの移送状態を順次示し、これに対し、右側のフローはウエブガイド３６が無い場合でのフィルタウエブＷ_Ｆ’の移送状態を順次示す。なお、図４中、参照符号Ａ，Ｂ，Ｃは図１中の参照符号Ａ，Ｂ，Ｃに対応したフィルタウエブＷ_Ｆ，Ｗ_Ｆ’の移送位置をそれぞれ示す。

Ａ位置
散布器４２からフィルタウエブＷ_Ｆ上に活性炭の粒子Ｐ_Ｃが散布されたとき、左側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆは、ウエブガイド３６より支持されている。それ故、フィルタウエブＷ_Ｆの重量や粒子Ｐ_Ｃの重量に起因して、フィルタウエブＷ_Ｆが下方に撓むことはなく、フィルタウエブＷ_Ｆは平坦な状態に維持される。

これに対し、右側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆ’は自由状態にあるので、フィルタウエブＷ_Ｆ'の重量や粒子Ｐ_Ｃの重量に起因して、フィルタウエブＷ_Ｆ’は下方に撓む。

Ｂ位置
フィルタウエブＷ_Ｆはトランペットガイド３４に向けて徐々に絞り込まれるが、この際にも、左側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆはウエブガイド３６により支持されている。また、ウエブガイド３６は、フィルタウエブＷ_Ｆの走行に起因した上下振動を抑制する。

それ故、フィルタウエブＷ_Ｆはウエブガイド３６により、その幅方向に安定して絞り込まれ、フィルタウエブＷ_Ｆに比較的小さな多数の縦襞Ｙが形成される。このような縦襞Ｙは、フィルタウエブＷ_Ｆ上の活性炭の粒子Ｐ_ＣがフィルタウエブＷ_Ｆの幅方向に移動するのを阻止する。この結果、前述した縦襞Ｙの形成に拘わらず、フィルタウエブＷ_Ｆの幅方向でみて、粒子Ｐ_Ｃの均一な分布状態が維持される。

これに対して、右側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆ’はトランペットガイド３４に向けて絞り込まれるに従い、下方に大きく撓む。更に、フィルタウエブＷ_Ｆ’は上下方向に大きく振動する。このため、フィルタウエブＷ_Ｆ’上の活性炭の粒子Ｐ_ＣはフィルタウエブＷ_Ｆ'の底に向けて移動する。それ故、フィルタウエブＷ_Ｆ'の幅方向でみて、粒子Ｐ_Ｃの分布密度が高い高密部分と、低密部分が発生し、粒子Ｐ_Ｃの均一な分布状態が阻害される。

Ｃ位置
左側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆがトランペットガイド３４内に進入するとき、前述した縦襞Ｙはトランペットガイド３４の直径方向に互いに重なり合う。それ故、活性炭の粒子Ｐ_Ｃは主として縦襞Ｙ間に挟み込まれた状態となり、粒子Ｐ_Ｃの移動は完全に阻止される。

これに対し、右側のフローのフィルタウエブＷ_Ｆ’はトランペットガイド３４内に進入する直前に大きく絞り込まれるので、前述した縦襞Ｙに比べて、複数の縦襞Ｚが不規則に形成され、粒子Ｐ_Ｃの高密部分及び低密部分が縦襞Ｚにより互いに区画される。

この結果、フィルタウエブＷ_Ｆから得られるロッド部材、即ち、チャコールフィルタロッドＦＲ内にはそ横断面でみて活性炭の粒子Ｐ_Ｃが均一に分布される。これに対し、フィルタウエブＷ_Ｆ’から得られるチャコールフィルタロッド内の粒子Ｐ_Ｃはその横断面でみて不均一に分布する。

なお、図４の縦襞Ｙ，Ｚは、ウエブガイド３６の機能をより明確にするため、誇張して示されている。

上述したようにチャコールフィルタロッドＦＲ内に活性炭の粒子Ｐ_Ｃが均一に分布されているので、チャコールフィルタロッドＦＲから得られるチャコールチップ半体内にも粒子Ｐ_Ｃが均一に分布されることになる。

それ故、このチャコールチップ半体を含むデュアルフィルタチップを備えたフィルタシガレットが喫煙されたとき、チャコールチップ半体内の粒子Ｐ_Ｃはフィルタシガレットの主流煙と良好に接触することができるので、チャコールチップ半体はデュアルフィルタチップの吸着性能を向上させる。

また、チャコールフィルタロッドＦＲや、チャコールチップ半体を得るために種々の段階で実施される切断プロセスにおいて、これらの切断プロセスにより形成された切断面には活性炭の粒子Ｐ_Ｃが均一に分布されているので、切断面からの粒子Ｐ_Ｃの脱落は大幅に減少される。それ故、脱落した活性炭の粒子Ｐ_Ｃが後段の種々のプロセスに及ぼす悪影響は少ない。

更に、粒子Ｐ_Ｃが均一に分布されていれば、ロッド部材がペーパウエブＷ_Ｐにより包み込まれるとき、ペーパウエブＷ_Ｐの両側縁間に活性炭の粒子Ｐ_Ｃが多量に挟み込まれてしまうこともない。それ故、ペーパウエブＷ_Ｐはロッド部材を安定して包み込むことができ、ペーパウエブＷ_Ｐの巻付け不良が防止される。この結果、巻付け不良に起因した製造機の運転停止が低減し、チャコールフィルタロッドＦＲの生産性が向上する。

図５は、フィルタシガレットのデュアルフィルタチップ（チャコールチップ半体）に添加された粒子Ｐ_Ｃの添加量とデュアルフィルタチップを通過する主流煙中の成分、例えばベンゼンの透過率（即ち、粒子Ｐ_Ｃのベンゼン吸収能）との関係を示す。図５の測定結果を得るにあたり、先ず、粒子Ｐ_Ｃの添加量が異なる種々のデュアルフィルタチップを備えたフィルタシガレット及び通常のプレーンフィルタチップを備えたフィルタシガレットがそれぞれ所定の本数ずつ製造された。なお、これらフィルタシガレットのフィルタチップの長さは同一である。

上述のフィルタシガレットは、国際標準化機構（ISO: International Standard Organization）に規定された喫煙試験に従い喫煙され、それらのフィルタチップを通過した主流煙がケンブリッジフィルタ（商標）を通じて捕集された。この後、捕集した主流煙はガスクロマトグラフィーのための分析装置に供給され、この分析装置により主流煙中のベンゼン含有量が測定された。

図５は、プレーンフィルタチップを備えるフィルタシガレットから得られたベンゼン含有量を基準として、デュアルフィルタチップを備えるフィルタシガレットから得られたベンゼン含有量の割合、即ち、ベンゼンの透過率を示す。

更に、図５中、参照符号□、×、△及び○で示されるフィルタシガレットのデュアルフィルタチップは、異なる形態にて製造されたチャコールチップ半体をそれぞれ含んでいる。より詳しくは、これらチャコールチップ半体のためのチャコールフィルタロッドＦＲは、前述したウエブガイド３６の配置が異なる製造機によりそれぞれ製造された。

参照符号□のフィルタシガレットの場合、チャコールフィルタロッドＦＲは、図６に示されるようにウエブガイド３６を基準レベルラインＬ_Ｂ上に位置付けた製造機により製造された。参照符号×のフィルタシガレットの場合、チャコールフィルタロッドＦＲは、ウエブガイド３６を基準レベルラインＬ_Ｂから５ｍｍだけ平行にリフトさせた製造機により製造された。参照符号△のフィルタシガレットの場合、チャコールフィルタロッドＦＲは、参照符号×の場合のウエブガイド３６に対し、ウエブガイド３６の下流端を更に５ｍｍだけリフトさせた製造機により製造された。この場合、ウエブガイド３６の傾斜角は、その長さ及び下流端のリフト量により決定される。参照符号○のフィルタシガレット場合、チャコールフィルタロッドＦＲは、参照符号△の場合のウエブガイド３６の下流端位置に対し、ウエブガイド３６の下流端を更に１０ｍｍだけリフトさせた製造機により製造された。

図５から明らかなように、参照符号□、×及び△のフィルタシガレットの場合、活性炭の粒子Ｐ_Ｃの添加量が増加するに従い、ベンゼンの透過率は同様に減少されている。しかしながら、参照符号○のフィルタシガレットの場合、活性炭の粒子Ｐ_Ｃの添加量が増加するに従い、ベンゼンの透過率は参照符号□、×及び△のフィルタシガレットの場合に比べて高い。

このことは、参照符号○のフィルタシガレットの場合、ウエブガイド３６の下流端が基準レベルラインＬ_Ｂよりも過度に高いため、ウエブガイド３６とフィルタウエブＷ_Ｆとの間に隙間が発生することを意味している。より詳しくは、このような隙間はフィルタウエブＷＦの下方への撓みや上下の振動を許容することから、前述した不具合、即ち、活性炭の粒子Ｐ_Ｃの移動を発生させる。

この点、参照符号□、×及び△のフィルタシガレットの場合には、ウエブガイド３６とフィルタウエブＷ_Ｆとの間に隙間が発生せず、上述の不具合が解消されていることを示す。それ故、ウエブガイド３６の配置に関しては、活性炭の粒子Ｐ_Ｃの散布位置Ｑからトランペットガイド３４の入口３８までの間にて、フィルタウエブＷ_Ｆとウエブガイド３６との間に隙間を発生させないことが重要である。

また、参照符号○のフィルタシガレットの場合、ウエブガイド３６の傾斜が急であるから、ウエブガイド３６がフィルタウエブＷ_Ｆの走行に大きな抵抗（負荷）となる。このため、ウエブガイド３６は、基準レベルラインＬ_Ｂと基準レベルラインＬ_Ｂよりも１０ｍｍだけ高い上限ラインとの間の領域内に配置されているのが好ましい。特に、ウエブガイド３６の下流端がその上流端よりも高く位置付けられていれば、フィルタウエブＷ_Ｆの走行抵抗を増大させることなく、フィルタウエブＷ_Ｆの撓みや上振動を効果的に抑制することができる。

なお、トランペットガイド３４の形状、配置及び姿勢は、トウＴの種類等によって異なるが、送出ローラ３２からラッピングセクション１６の入口位置Ｐ_Ｉまでの基準レベルラインＬ_Ｂは一定であるので、前述したように基準レベルラインＬ_Ｂを基準してウエブガイド３６の配置を決定するのが好ましい。

図７もまた図５の場合と同様に、活性炭の粒子Ｐ_Ｃの添加量とベンゼンの透過率との間の関係を示す。

図７中、参照符号Iで示されるフィルタシガレットのチャコールチップ半体は、フィルタウエブＷ_Ｆのためのガイドを何ら備えない製造機により製造されたチャコールフィルタロッドから得られ、参照符号IIで示されるフィルタシガレットのチャコールチップ半体は前記ガイドとしてコイルトンネルを備えた製造機により製造されたチャコールフィルタロッドから得られた。

図７から明らかなように、本発明の参照符号×（図５参照）で示されるフィルタシガレットのデュアルフィルタチップは、参照符号I, IIで示されるフィルタシガレットのデュアルフィルタチップに比べて、ベンゼンの低い透過率、換言すれば、ベンゼンの高い吸収能を有する。

図６中、参照符号×，△で示されるウエブガイド３６は何れも、基準レベルラインＬ_Ｂから上方に１０ｍｍだけ離間した上流端を有する。しかしながら、これらウエブガイド３６の上流端は基準レベルラインＬ_Ｂ上に位置付けられていてもよい。

本発明の製造機は、活性炭の粒子Ｐ_Ｃ以外に、種々の粒状の添加剤、例えばシリカゲルや香料等の添加剤を含んだフィルタロッドの製造にも好適する。

Claims (8)

1. フィルタロッドの製造機は、
   繊維状のトウから平坦なフィルタウエブを成形し、成形したフィルタウエブを送出する出口を含むトウ処理セクションと、
   前記トウ処理セクションから送出された前記フィルタウエブを通過させるトランペットガイドを含み、このトランペットガイドにより前記フィルタウエブを絞り込んでロッド部材に成形する成形セクションと、
   前記成形セクションから前記ロッド部材を受け取る入口を有し、受取ったロッド部材をペーパウエブに包み込んでフィルタロッドの連続体を成形するラッピングセクションと、
   前記トウ処理セクションと前記トランペットガイドとの間にて、前記フィルタウエブ上に粒状の添加剤を一様に散布する散布セクションであって、
   前記散布セクションは、
   前記トウ処理セクションの出口と前記ラッピングセクションの入口との間を結ぶ基準レベルラインと、
   前記トウ処理セクションの出口近傍に規定された前記添加剤の散布位置と、
   前記基準レベルライン上又は基準レベルラインの上方に配置され、前記散布位置よりも上流から前記トランペットガイドまで延びる平坦なプレート状のウエブガイドと
   を含み、
   前記ウエブガイドは前記フィルタウエブの下面全域を支持しながら、前記フィルタウエブの移送を案内する。
2. 請求項１の製造機において、
   前記基準レベルラインは水平に延び、
   前記ウエブガイドは、前記基準レベルラインと前記基準レベルラインから１０ｍｍだけ高い上限ラインとの間の領域内に配置されている。
3. 請求項２の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記基準レベルラインと平行である。
4. 請求項３の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記基準レベルライン上に配置されている。
5. 請求項３の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記基準レベルラインから上方に離間して配置されている。
6. 請求項２の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記トランペットガイドに向けて上昇すべく傾斜して配置されている。
7. 請求項６の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記基準レベルライン上又は基準レベルラインよりも上方に位置付けられた上流端を有する。
8. 請求項１の製造機において、
   前記ウエブガイドは、前記トランペットガイドに向けて徐々に縮小する幅を有する。