JP4222345B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の操舵制御装置の技術分野に関する。
この種の技術分野において、車速に応じてステアリングギア比を変化させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された車両用舵角比可変操舵装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、車速が低速までの領域ではステアリングギア比を最小にし、車速が低速から中速までの領域では車速に対してヨー角速度が一定となるステアリングギア比よりも小さいステアリングギア比にし、車速が高速の領域では、車速に対してヨー角速度が一定となるステアリングギア比とすることによって、旋回時のステアリング操作性を向上させることが可能であるとされている。
尚、ハンドル角に対する車輪の転舵角の応答特性を変更する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、車速に対する舵角比特性を切り替え、運転者の運転状態に応じて最適の操舵フィーリングを得る技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更に、操舵トルクに対応すべき規範操舵角と実操舵角の差を小さくする技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平9−58507号公報 特開2000−318632号公報 特開平11−78944号公報 特開2004−74833号公報
従来の技術において、操舵トルクに対するヨー応答の特性は固定されている。従って、ステアリングギア比を変えることによって操作性を向上し得たとしても、運転者が感じるドライバビリティは変化することがない。即ち、従来の技術には、多種多様な運転者の感性に応じた操舵特性を実現し難いという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、運転者の感性に応じた操舵特性を実現し得る操舵制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る操舵制御装置は、車両における、操舵トルクに対応する、操舵操作に対する該車両の旋回の度合いを規定する舵の効きを特定する第1特定手段と、前記操舵トルクに対応する舵の効きの目標値を、所望の前記操舵トルクに対する前記舵の効きの変化特性に合致するように設定する目標値設定手段と、前記特定された操舵トルクに対応する舵の効きが、前記設定された目標値となるように前記車両の動作条件を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る操舵制御装置によれば、その動作時には、第1特定手段によって、操舵トルクに対応する舵の効きが特定される。
本発明に係る「舵の効き」とは、運転者の操舵操作に対する車両の旋回度合いを包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいて舵の効きとは如何なる物理量或いは車両における状態量によって規定されてもよい。例えば、単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定されていてもよい。
また、本発明において「特定する」とは、例えば物理的、機械的、電気的又は化学的な手法によって直接的又は間接的に検出することの他に、例えば物理的、機械的、電気的又は化学的な手法によって直接的又は間接的に検出された何らかの値に基づいて推定、推測、予測又は決定することを含む概念である。
操舵トルクに対応する舵の効きは、係る概念の範囲においてどのように特定されてもよい。例えば、操舵トルクに対応する舵の効きを規定する値を直接的に又は間接的に検出してもよいし、操舵トルク及び舵の効きが夫々個別に検出可能である場合には、これら個別に検出された値を相互に照合することによって操舵トルクに対応する舵の効きが特定されてもよい。
尚、操舵トルクに対応する舵の効きを特定するタイミング及びその周期は何ら限定されない。しかしながら、運転者の感性と好適なリニア性を担保する観点からは、リアルタイムに或いはそれとみなし得るタイミング及び周期で特定されるのが好ましい。
ここで特に、操舵トルクに対応する舵の効きの変化特性(即ち、舵の効きの操舵トルクに対する軌跡)は車両の操舵特性を方向付ける大きな要素であり、例えば、操舵特性をスポーティに設定することも、穏やかに設定することも可能である。然るに、例えば従来の技術などでは、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性は、ステアリングギア比を所定値に設定した結果として得られる固定値であるから、運転者の多様な嗜好各々に対応することは事実上不可能であり、必ずしも運転者各々に適した操舵特性が実現され得ない。
そこで、本発明に係る操舵制御装置は、以下の如くにして係る問題点を解決している。即ち、本発明に係る操舵制御装置によれば、その動作時には更に、目標値設定手段によって、操舵トルクに対応する舵の効きの目標値が設定される。この際、目標値設定手段は、所望の操舵トルクに対する舵の効きの変化特性に合致するように目標値を設定する。
ここで、「所望の変化特性」とは、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性である限りにおいて何ら限定されない。例えば、操舵トルクと舵の効きとがリニアに変化するような変化特性であってもよいし、操舵トルクに対し舵の効きが二次曲線的に変化する変化特性であってもよい。このような所望の変化特性は、例えば、運転者が何らかの操作手段を介して適宜設定してもよいし、運転者が予め設定された複数の変化特性の中から一の変化特性を選択してもよい。
尚、「合致するように」とは、少なくともこのように所望の変化特性を目標とする目標値の設定が何らなされない場合と比較して、操舵トルクに対応する舵の効きを、幾らかなりとも所望の変化特性に漸近させ得る限りにおいて、必ずしも厳密に所望の変化特性と一致しておらずともよい趣旨である。
このように操舵トルクに対応する舵の効きの目標値が設定されると、制御手段の作用により、第1特定手段によって特定された操舵トルクに対応する舵の効きが、この設定された目標値となるように車両の動作条件が制御される。
ここで、「車両の動作条件」とは、車両の動作特性を規定する物理量又は制御量或いはこれらの変化特性などであって、且つ操舵トルクに対応する舵の効きを変化させ得る動作条件である限りにおいて何ら限定されない。
尚、「目標値となるように」とは、このような制御の結果、必ずしも特定される操舵トルクに対応する舵の効きが目標値と一致せずともよい趣旨であり、このような制御が何らなされない場合と比較して、特定される操舵トルクに対応する舵の効きが幾らかなりとも目標値に漸近することを含む概念である。
このように、本発明に係る操舵制御装置によれば、操舵トルクに対応する舵の効きは、所望の操舵トルクに対応する舵の効きの変化特性に合致するように制御される。従って、目標たる所望の変化特性の設定如何によって、操舵トルクに対応する舵の効きを比較的自由に変化させることが可能となる。即ち、運転者の感性に応じた操舵特性を実現することが可能となるのである。
本発明に係る操舵制御装置の一の態様では、前記目標値設定手段は、前記目標値を、予め設定された複数の前記変化特性の中から前記所望の変化特性として選択された一の前記変化特性に合致するように設定する。
この態様によれば、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性は、予め複数設定されており、このうち一の変化特性に合致するように目標値が設定されるため、目標値設定手段の負荷が軽減される。
また、係る複数の変化特性を、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて、多数の運転者の嗜好を満たし得るものに設定しておくことによって、運転者の感性に応じた操舵特性が効率的に実現される。
本発明に係る操舵制御装置の他の態様では、前記複数の変化特性各々を表すものとして予め設定される複数のマップを記憶する記憶手段を更に具備し、前記目標値設定手段は、前記目標値を、前記複数のマップの中から前記一の変化特性に対応するものとして選択されたマップに基づいて設定する。
この態様によれば、複数の変化特性に対応するものと複数のマップが記憶手段に記憶されるため、目標値設定手段は、効率的に目標値を設定することができる。尚、本発明に係る「記憶手段」とは、例えば、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)などの制御ユニットに備わるROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体であってもよい。或いは、外部から何らかの記憶媒体を介して供給される複数のマップを取り込むことが可能なRAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体であってもよい。
本発明に係る操舵制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記特定された操舵トルクに対応する舵の効きの値と、前記設定された目標値との偏差に基づいて前記動作条件を制御する。
この態様によれば、制御手段が、特定された操舵トルクに対応する舵の効きと、設定された舵の効きの目標値との偏差に基づいて動作条件を制御するため、特定される操舵トルクに対応する舵の効きを、比較的正確且つ効率的に所望の変化特性に漸近させることが可能となる。このような制御は、所謂フィードバック制御と称される制御態様を有していてもよい。
本発明に係る操舵制御装置の他の態様では、前記舵の効きは、前記車両における単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定される。
この態様によれば、舵の効きが、単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定されるため、比較的正確且つ容易に舵の効きが特定される。この場合、第1特定手段は、ハンドル角及びヨーレートを直接的に検出可能であることが望ましい。例えば、ハンドル角はハンドル角センサなどによって、またヨーレートはヨーレートセンサなどによって好適に検出することが可能である。従って、第1特定手段は、これら各センサを含むものとして、或いは各センサからのセンサ出力を電気的に受信可能なものとして構成されていてもよい。
本発明に係る操舵制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記動作条件として、(i)前記操舵トルクに対する前記車両のヨーレートの変化特性及び(ii)前記車両のハンドル角に対する前記車両のヨーレートの変化特性のうち少なくとも一方を制御する。
制御手段によって制御される車両の動作条件は、最終的に操舵トルクに対応する舵の効きが目標値となるように制御される限りにおいて何ら限定されないが、例えば、このような、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性及びハンドル角に対応するヨーレートの変化特性などは、操舵特性と比較的相関の深い特性であるため、制御対象として好適である。
尚、ハンドル角に対するヨーレートの変化特性とは、舵の効きが単位ハンドル角に対するヨーレートとして規定される態様では、舵の効きそのものであり、制御対象として好適である。また、舵の効きが、例え単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定されない場合であっても、基本的にヨーレートは舵の効きと相関する要素であるから、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性は操舵特性を決定付ける大きな要素となり得る。
尚、「ヨーレートの変化特性を制御する」とは、車両のヨーレート自体を変化させることが困難であることに鑑みれば、あるヨーレートを与え得るハンドル角或いは操舵トルクを制御することによって、相対的にこれらに対するヨーレートの変化特性を制御させることを含む趣旨である。
尚、これらの変化特性を制御するに際し、必ずしも車両のヨーレート、ハンドル角及び操舵トルクは特定されておらずともよい。即ち、予めハンドル角又は操舵トルクに対して、ヨーレートが相対的にどのように変化するかが判明している又は推定可能であるならば、特定された操舵トルクに対応する舵の効きを目標値となるように制御することは可能である。或いは、ハンドル角又は操舵トルクに対して、ヨーレートが相対的にどのように変化するかが不明であったとしても、これらの変化特性を制御することによって、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性は変えられるのであり、特定された操舵トルクに対応する舵の効きを最終的に目標値に一致させる或いは漸近させることは可能である。
尚、この態様では、前記制御手段は、操舵トルク制御装置を含み、該操舵トルク制御装置によって前記操舵トルクに対するヨーレートの変化特性を制御してもよい。
ここで述べられる「操舵トルク制御装置」とは、運転者がハンドルなどを介して操舵操作を行う際の操舵トルクをアシストする機構、装置又はシステムを包括する概念であり、例えば、パワーステアリング装置などを指す。尚、係る操舵トルクのアシストは、操舵トルクをアシストし得る限りにおいてどのように行われてもよいが、例えば、油圧又は電力が用いられて好適である。尚、この場合、操舵トルクは、トルクセンサなどの検出手段を介して比較的容易に特定することも可能である。
尚、この態様では更に、前記制御手段は、ステアリングギア比可変装置を含み、該ステアリングギア比可変装置によって前記ハンドル角に対するヨーレートの変化特性を制御してもよい。
ここで述べられる「ステアリングギア比可変装置」とは、運転者のハンドル操作量(即ち、ハンドル角)に対する車輪の実舵角を可変に制御し得る機構、装置或いはシステムを包括する概念である。例えば、実舵角を相対的に大きくした場合には、同一のハンドル角で車両はより急激に旋回するから、ヨーレートは大きくなる。また実舵角を相対的に小さくした場合には、同一のハンドル角で旋回半径が大きくなるから、ヨーレートは小さくなる。即ち、ハンドル角に対するヨーレートの制御が可能となる。
尚、この際、ハンドル角に対する実舵角の変化範囲は何ら限定されない。また、係る変化範囲内で、実舵角はシームレスに制御されてもよいし、段階的に制御されてもよい。また、係る実舵角の制御は、最終的に、ハンドル角に対して実舵角を制御可能な限りにおいて如何なる態様を有していてもよいが、例えば、ステアリング機構がラックアンドピニオン形式を有する場合には、ピニオンギアの回転角を可変に制御することによって、ステアリングギア比を制御し、実舵角が制御されてもよい。或いは、ラックの先端に取り付けられたタイロッドの可動量を変更することによって実舵角が制御されてもよい。
本発明に係る操舵制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記動作条件として、(i)前記操舵トルクに対する前記車両のヨーレートの変化特性及び(ii)前記車両のハンドル角に対する前記車両のヨーレートの変化特性各々を制御する。
この態様によれば、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性及びハンドル角に対するヨーレートの変化特性の各々が制御されるから、操舵トルクに対応する舵の効きを目標値に精細に合わせ込むことが可能となる。即ち、一層好適にユーザの感性に応じた操舵特性を実現することが可能となる。
尚、この態様では、前記車両のハンドル角速度を特定する第2特定手段を更に具備し、前記制御手段は、前記特定されるハンドル角速度に応じて、前記各々相互間の相対的な重み付けを行うと共に、該重み付けに従って前記各々を制御してもよい。
例えば、あるハンドル角に相当する位置までハンドルを操作する際、急激に操作する(即ち、ハンドル角速度が相対的に大きい)のと、緩慢に操作する(ハンドル角速度が相対的に小さい)のとでは、車両のヨー応答は異なったものとなる。例えば、ハンドル角速度が相対的に大きい場合、車両のヨーレートは、ハンドル角速度が相対的に小さい場合よりも小さくなり易い。即ち、舵の効きがハンドル角速度に応じて変化することになる。
この場合、ハンドル角速度に応じて、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性とハンドル角に対するヨーレートの変化特性との制御比率の重み付けを変化させることによって、上述したようなハンドル角速度の影響を好適にキャンセルし、ハンドル角速度によらず一定の或いは一定とみなし得る程度に安定した操舵特性を実現することが可能となる。より具体的には、例えば、ハンドル角速度が大きい場合に、ハンドル角に対する実舵角を増やしてヨーレートを担保するのが好適であるから、ハンドル角速度が大きい領域では、主としてハンドル角に対するヨーレートの変化特性によって操舵トルクに対する舵の効きの変化特性を制御してもよい。
尚、このようなハンドル角速度に応じた重み付けの態様は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって、ハンドル角速度の影響を効果的にキャンセルし、ハンドル角速度によらず一定の操舵特性が得られるように決定されていてもよい。
尚、この態様では更に、前記車両の速度を特定する第3特定手段を更に具備し、前記制御手段は、前記特定される速度に応じて、前記各々相互間の相対的な重み付けを行うと共に、該重み付けに従って前記各々を制御してもよい。
一方、このようなハンドル角速度とは別に、操舵特性は、車速にも影響を受ける。例えば、車速が相対的に大きい(即ち、高速)領域では、あるハンドル角に対するヨーレートの値は車速が相対的に小さい(即ち、低速)領域に較べて大きくなり、操舵トルクに対するヨーレートの値も同様に低速領域に較べて大きくなる。
この場合、例えば、ハンドル角に対し低速領域で実舵角を増やすことによって車速の影響を軽減することができる。或いは、低速領域で操舵トルクが小さくなるようにアシストを行うことによって車速の影響を軽減することができる。
従って、車速に応じて、制御比率の重み付けを適切に行うことにより、車速の影響をキャンセルし、車速によらず一定の操舵特性を実現することが可能となる。尚、このような車速に応じた重み付けの態様は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどによって、車速の影響をキャンセルし、車速によらず一定の操舵特性が得られるように決定されていてもよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10の模式構成図である。尚、ここでは、車両10の構成を、その動作の一部を交えて説明することとする。
図1において、車両10は、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備え、不図示のエンジンの動力によって走行する車両である。
車両10は、ハンドル11、シャフト12及び操舵装置13を備える。
ハンドル11は、不図示の運転者による操舵操作(以下、適宜「ハンドル操作」と称する)をシャフトに伝達するための装置であり、運転者によるハンドル操作は、シャフト12に対し回転動力として伝達される。シャフト12が受けた回転動力は、操舵装置13に伝達される。
操舵装置13は、所謂ラックアンドピニオン形式の操舵装置であり、シャフト12の先端部分に備わる不図示のピニオンギアの回転運動を、係るピニオンギアと噛み合った不図示のラックの図示左右方向への往復運動に変換することによって、駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FRの舵角を、運転者のハンドル操作に応じて制御している。
図1において、車両10は更に、ECU100、ヨーレートセンサ200、EPS(Electronic Power Steering:電子制御式パワーステアリング装置)300、ステアリングギア比可変装置400、車輪速センサ500FL及び500FR、操舵トルクセンサ600及びハンドル角センサ700を備える。
ECU100は、車両10の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、不図示のROM及びRAMなどを備える。ECU100は、係るROMに格納されるプログラムに従って、後述する操舵特性制御処理を実行することが可能に構成されており、係る操舵特性制御処理を実行する過程で生じる各種データを一時的にRAMにバッファリングすることが可能に構成されている。
ヨーレートセンサ200は、車両10のヨーレートを検出することが可能なジャイロ式のセンサである。ヨーレートセンサ200は、不図示の検出片を加振している期間に車両10が旋回動作を行うことによって生じるコリオリの力を利用して車両10の旋回時の角速度たるヨーレートを検出する。
EPS300は、運転者のハンドル操作を電気的にアシストする装置であり、本発明に係る「操舵トルク制御装置」の一例である。EPS300は、不図示のモータのトルクによって、運転者がハンドル操作を行った際にシャフト12の回転軸周りに加わる操舵トルクを制御しており、具体的には、操舵装置13のピニオンギアをモータの駆動力によって駆動することによって、車両10における操舵トルクを可変に制御することが可能に構成されている。尚、EPS300は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が上位に制御されている。
ステアリングギア比可変装置400は、操舵装置13におけるピニオンギアの回転角(以下、適宜「ピニオン回転角」と称する)を可変に制御することによって、ハンドルの回転角(以降、適宜、「ハンドル角」と称する)に対する各前輪の舵角の比であるステアリングギア比を可変に制御することが可能に構成された、本発明に係る「ステアリングギア比可変装置」の一例である。ステアリングギア比が大きい状態とは、即ち、ハンドル角に対する車輪の舵角感度が相対的に低い状態を指し、ステアリングギア比が小さい状態とは、ハンドル角に対する車輪の舵角感度が相対的に高い状態を指す。即ち、ステアリングギア比が小さい程、任意のハンドル角に対する各前輪の舵角が大きくなることを意味する。尚、ステアリングギア比可変装置400は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が上位に制御されている。
車輪速センサ500FL及び500FRは、夫々左前輪FL及び右前輪FRに備わっており、各輪の車輪速を検出することが可能に構成されている。各車輪速センサは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によって常にそのセンサ出力が監視されている。尚、本実施形態において、車輪速センサ500FL及び500FRのセンサ出力は、夫々不図示のVSC(Vehicle Stability Control)装置、TRC(Traction Control)装置及びABS(Antilock Braking System)などの各種走行安定システムの制御に利用される他、ECU100による、車両10の車速検出に利用される構成となっている。
操舵トルクセンサ600は、シャフト12の軸周りに設置されたトルクセンサであり、シャフト12のねじれに基づいて、運転者のハンドル操作によって生じる操舵トルクを検出することが可能に構成されている。操舵トルクセンサ600は、ECU100と電気的に接続されている。
ハンドル角センサ700は、ハンドル11の回転角たるハンドル角を検出することが可能に構成されたセンサであり、ECU100と電気的に接続されている。
尚、ECU100、ヨーレートセンサ200、EPS300、ステアリングギア比可変装置400、車輪速センサ500FL及び500FR、操舵トルクセンサ600及びハンドル角センサ700によって、本発明に係る「操舵制御装置」の一例が構成されている。
<実施形態の動作>
<操舵特性制御の概要>
次に、図2を参照して、車両10における操舵特性制御の概要について説明する。ここに、図2は、操舵特性に影響する各要素の変化特性図である。
図2において、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性が示される(図2(a))。ここで、本実施形態に係る舵の効きとは、単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定されている。
図2では、3本のプロファイル(特性線)PrA1(実線)、PrA2(一点鎖線)及びPrA3(二点鎖線)が例示される。
プロファイルPrA1は、操舵トルクの小さいハンドルの切り始めにおいて比較的舵の効きの変化率が小さく、ハンドルを切るに従って、即ち、操舵トルクが大きくなるに従って、舵の効きの変化率が大きくなるような特性を表す。
プロファイルPrA2は、操舵トルクに対して舵の効きがほぼリニアに変化するような特性を表す。
プロファイルPrA3は、操舵トルクに対する舵の効きの感度が全体的に小さく設定され、且つ操舵トルクが大きい領域程舵の効きの変化率が小さくなるような、即ち、操舵トルクが小さい領域程運転者が「舵が効いている」と感じるような特性を表している。
本実施形態では、これら操舵トルクに対する舵の効きの特性を可変に制御することが可能である。舵の効きが単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定されることに鑑みれば、例えば、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性を制御することによって、操舵トルクに対する舵の効きを可変とすることが可能である(図2(b))。この場合、図2(a)におけるプロファイルPrA1、PrA2及びPrA3に夫々対応するプロファイルとして、プロファイルPrB1、PrB2及びPrB3が設定される。即ち、車両10の操舵特性を、プロファイルPrA1からPrA3に変更する場合には、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性は、プロファイルPrB1からPrB3に変化させればよい。このような操舵トルクに対するヨーレートの変化特性の可変制御は、EPS300によって操舵トルクを制御することにより実現される。
一方、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性とは別に、ハンドル角に対するヨーレートの変化特性を制御することによっても、操舵トルクに対する舵の効きを可変とすることが可能である(図2(c))。この場合、図2(a)におけるプロファイルPrA1、PrA2及びPrA3に夫々対応するプロファイルとして、プロファイルPrC1、PrC2及びPrC3が設定される。即ち、車両10の操舵特性を、プロファイルPrA1からPrA3に変更する場合には、ハンドル角に対するヨーレートの変化特性は、プロファイルPrC1からPrC3に変化させればよい。このようなハンドル角に対するヨーレートの変化特性の可変制御は、ステアリングギア比可変装置400によってステアリングギア比を制御することにより実現される。
以上説明したような、操舵特性の制御は、以下に説明する操舵特性制御処理によって好適に実行される。
<操舵特性制御処理の詳細>
次に、図3を参照して、ECU100が実行する操舵特性制御処理の詳細について説明する。ここに、図3は、操舵特性制御処理のフローチャートである。
図3において、始めに、操舵トルクが検出される(ステップA10)。操舵トルクは、操舵トルクセンサ600によって検出される。ECU100は、操舵トルクセンサ600の出力を常に監視しており、ステップA10において、係るセンサ出力を取り込んで、RAMに一時的に格納する。
次に、ECU100は、舵の効きを算出する(ステップA11)。舵の効きは上述したように、単位ハンドル角当りのヨーレートである。従って、ECU100は、ハンドル角センサ700及びヨーレートセンサ200の出力値から特定される車両10のハンドル角及びヨーレートに基づいて舵の効きを算出する。算出された舵の効きの値は、RAMに一時的に格納される。
次に、ECU100は、算出された舵の効きと、目標値との差分があるか否かを判別する(ステップA12)。
ここで、図4を参照して、舵の効きの目標値について説明する。ここに、図4は、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性の模式図である。
図4において、4本のプロファイルPr1、Pr2、Pr3及びPr4が示される。これら4本のプロファイルは、図2(a)と同様、操舵トルクに対する舵の効きを表す複数の特性線である。本実施形態では、ECU100のROMに予めこれら4本のプロファイルが、夫々に対応する複数のマップとして格納されている。操舵特性制御処理が実行される際には、常にこの中から一のプロファイル(即ち、マップ)が運転者の操作によって選択されている。尚、運転者が特別な操作を行わない場合には、これらのうち予め定められた一のマップがデフォルトとして選択される。このように、本実施形態では、予め設定される複数のプロファイルのうち選択された一のプロファイルが目標プロファイルとなる。図3のステップA12における目標値とは、即ち、目標プロファイル上で、ステップA10において検出された操舵トルクに対応する舵の効きの値を指す。
図3に戻り、目標値との差分が無い場合(ステップA12:NO)、ECU100は、所望の操舵特性が実現されているものとして、処理をステップA10に戻し、操舵特性を継続的に制御する。
一方、算出された舵の効きが目標値から乖離している場合(ステップA12:YES)、ECU100は、前述した如く、EPS300及びステアリングギア比可変装置400を上位に制御して、これら各装置によって舵の効きを制御する。
既に述べたように、EPS300及びステアリングギア比可変装置400のいずれかによって、操舵トルクに対応する舵の効きを少なくとも改善することは可能であるが、本実施形態では更に、これらを協調的に制御して、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性を効率的且つ効果的に制御している。具体的には、ECU100は、算出された舵の効きが目標値から乖離している場合に、車速に応じてEPS300及びステアリングギア比可変装置400の制御比率を決定する(ステップA13)。尚、車速は、車輪速センサ500FL及び500FRから出力されるセンサ値を基に、ECU100が算出する。
ここで、図5を参照して、係る制御比率について説明する。ここに、図5は、本実施形態に係る制御比率決定用マップの模式図である。
図5において、縦軸は制御ゲインであり、横軸は車速である。ここで、本実施形態において、EPS300による操舵トルクの制御量及びステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比の制御量は、算出された舵の効きと目標値との差分を目標偏差とするフィードバック制御によって決定されており、制御ゲインとは、係るフィードバック制御の際のフィードバックゲインを指す。
図5において、車速が低い低車速領域では、EPS300による操舵トルク制御に関する制御ゲイン(図示破線)の方が相対的に大きく設定されている。従って、低車速領域では、主としてEPS300による操舵トルクの制御によって舵の効きが目標値に向けて制御される。反対に、車速が高い領域では、ステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御に関する制御ゲイン(図示実線)の方が相対的に大きく設定される。但し、両者の制御比率は拮抗しているため、概ね操舵トルク制御とステアリングギア比制御が同程度の比率で協調的に実行される。
再び図3に戻り、制御比率が決定されると、決定された制御比率に従って、EPS300による操舵トルク制御(ステップA14)及びステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御(ステップA15)が夫々実行される。夫々の制御が実行されると、ECU100は、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。
ここで、図6を参照して、EPS300による操舵トルク制御の詳細について説明する。ここに、図6は、操舵トルクに対するヨーレートの変化特性の模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、相互に異なる3種類の車速、10km/h、40km/h及び100km/hに夫々対応する3本のプロファイルPrD1(実線)、PrD2(一点差線)及びPrD3(二点鎖線)が示される。一般的に、操舵トルクが等しい場合、高車速領域程必然的にヨーレートは高くなる。このため、EPS300は、操舵トルクを制御する際、高車速領域程操舵トルクが大きくなるように操舵トルクのアシスト量を制御する。尚、係るアシスト量は、ECU100によって決定され、EPS300に制御信号として伝達される。この結果、あるヨーレートYR1に対応する操舵トルクは、車速が低い順にTr1、Tr2及びTr3(但し、Tr1<Tr2<Tr3)に設定される。この結果、運転者の操舵感覚として車速に対して概ね一定の舵の効きが実現される。
次に、図7を参照して、車速に応じたハンドル角に対するヨーレートの変化特性について説明する。ここに、図7は、ハンドル角に対するヨーレートの変化特性の模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、相互に異なる3種類の車速、10km/h、40km/h及び100km/hに夫々対応する3本のプロファイルPrE1(実線)、PrE2(一点差線)及びPrE3(二点鎖線)が示される。図7に示す通り、ハンドル角が等しい場合、高車速領域程必然的にヨーレートは高くなる。即ち、あるハンドル角ST1に対応するヨーレートは、車速が低い順にYR2、YR3及びYR4(但し、YR2<YR3<YR4)となる。このため、ECU100は、ステアリングギア比可変装置400を制御し、ステアリングギア比を以下の如くに制御して車両10のヨー応答を制御する。
ここで、図8を参照して、ステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御の詳細について説明する。ここに、図8は、ハンドル角に対するピニオン回転角の変化特性の模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、相互に異なる3種類の車速、10km/h、40km/h及び100km/hに夫々対応する3本のプロファイルPrF1、PrF2及びPrF3が示される。ステアリングギア比可変装置400は、高車速領域程ハンドル角に対するピニオン回転角が小さくなるようにピニオン回転角の制御量を決定する。ピニオン回転角は、ステアリングギア比を決める要素でありピニオン回転角が大きければ、各前輪の舵角が相対的に増加し、ステアリングギア比が小さくなる。ピニオン回転角が小さければその逆であり、ハンドル角に対して各前輪の舵角が相対的に減少するので、ステアリングギア比が大きくなる。尚、係るピニオン回転角の制御量は、ECU100によって決定され、ステアリングギア比可変装置400に制御信号として伝達される。この結果、あるハンドル角ST2に対応するピニオン回転角は、車速が高い順にD1、D2及びD3(但し、D1<D2<D3)に設定される。この結果、運転者の操舵感覚として車速に対して概ね一定の舵の効きが実現される。
ここで、図9を参照して、ステアリングギア比可変装置400によるピニオン回転角制御の効果について説明する。ここに、図9は、車速に対する舵の効きの変化特性を表す模式図である。
図9において、ステアリングギア比可変装置400によって何らピニオン角制御がなされない場合のプロフィルPrG1及び上述したようなピニオン角制御がなされた場合のプロファイルPrG2が示される。図9において明らかなように、プロファイルPrG2は、広い範囲の車速に対して概ね一定に保たれており、舵の効きの車速に対する変化は、プロファイルPrG1と比較して明らかに抑制されている。
上記した、EPS300による操舵トルク制御及びステアリングギア比可変装置400によるピニオン回転角制御の制御量は、既に述べた如き制御比率に基づいて、算出される舵の効きが目標値に漸近するように、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて設定されたアルゴリズムに従って決定される。
以上、説明したように、本実施形態に係る車両10では、ECU100が操舵特性制御処理を実行することによって、運転者の感性に応じた操舵特性(即ち、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性)を実現することができる。また、一の操舵特性を車速に対して一定に維持することが可能であるため極めて効果的である。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態は、所望の操舵特性を実現しつつ、車速の影響をキャンセルすることが可能に構成されているが、操舵特性制御処理の態様如何によって、車速以外の要素の影響をキャンセルすることも可能である。
ここで、図10を参照して、そのような本発明の第2実施形態に係る操舵特性制御処理について説明する。ここに、図10は、本発明の第2実施形態に係る操舵特性制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図10において、ステップA12に係る処理によって目標値との差分が有ると判別された場合には、ECU100は、ハンドル角速度に応じてEPS300による操舵トルク制御とステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御との制御比率を決定する(ステップB10)。尚、ハンドル角速度は、ハンドル角センサ700によって検出されるハンドル角の時間微分値として、ECU100により演算される。
ここで、図11を参照して、係る制御比率について説明する。ここに、図11は、本発明の第2実施形態に係る制御比率決定用マップの模式図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図11において、EPS300とステアリングギア比可変装置400との間の制御比率は、ハンドル角速度が小さい領域ではEPS300による操舵トルク制御が支配的となり、ハンドル角速度が大きい領域では、ステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御が支配的となるように設定される。
ここで、図12を参照して、ハンドル角速度に応じたハンドル角とヨーレートとの関係について説明する。ここに、図12は、ハンドル角に対するヨーレートの変化特性の模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図12において、2本のプロファイルPrH1(実線)及びPrH2(破線)が示される。プロファイルPrH1は、ハンドル角速度が比較的小さい領域におけるヨーレートの変化特性であり、プロファイルPrH2は、ハンドル角速度が比較的大きい領域におけるヨーレートの変化特性である。図12によって明らかなように、ハンドル角速度が大きい場合、車両10のヨー応答が急激なハンドル操作に追従しないため、ヨーレートの変化は大きく遅れる。このような、ヨー応答の遅れを効果的に解消するには、ステアリングギア比を変化させるのが好適である。従って、図11において、ハンドル角速度が大きい領域では、主として、ステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御によって、舵の効きが制御されるのである。
ここで、図13を参照して、ハンドル角速度が大きい場合の、ステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比の制御態様について説明する。ここに、図13は、ハンドル角に対するピニオン回転角の変化特性の模式図である。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
図13において、ハンドル角速度が比較的小さい領域におけるピニオン回転角のプロファイルPrI1(実線)が示される。この場合、ハンドル角ST3に対するピニオン回転角はD4である。ここで、ハンドル角速度が比較的大きい場合、ピニオン回転角のプロファイルはPrI2(一点鎖線)のように変更される。ハンドル角が大きくなる側(図示左から右へ向う側)に大きなハンドル角速度でハンドル11が操作される場合、ステアリングギア比可変装置400は、ピニオン回転角を、プロファイルPrI1に相当する値よりも大きくなるように制御する。その結果、ハンドル角ST3におけるピニオン回転角はD5(D5>D4)となる。従って、相対的にステアリングギア比が小さくなって、車両の回頭性が向上し、ハンドル操作にヨー応答が追従し易くなる。一方、ハンドル角速度が小さくなる側(図示、右から左へ向う側)に大きな角速度でハンドル11が操作される場合、ステアリングギア比可変装置400は、ピニオン回転角を、プロファイルPrI1に相当する値よりも小さくなるように制御する。その結果、ハンドル角ST3におけるピニオン回転角はD6(D6<D4)となる。従って、舵角の変化量が相対的に増大し、車両10の旋回状態からの復帰が支援され、車両10は速やかに直進状態に移行することが可能となる。
図10に戻り、ステップB10で決定された制御比率でEPS300による操舵トルク制御及びステアリングギア比可変装置400によるステアリングギア比制御が実行されると、処理はステップA10に移行して、一連の処理が繰り返される。
このように、本実施形態に係る操舵特性制御処理によれば、ハンドル角速度に対し舵の効きを一定に維持することが可能となるため、運転者の感性に応じた操舵特性が効果的且つ効率的に実現される。
尚、第1実施形態では車速に応じて、第2実施形態ではハンドル角速度に応じて、夫々制御比率が決定されているが、無論、これらを統合し、その時点の車速及びハンドル角速度に適した制御比率で操舵トルク制御及びステアリングギア比制御を実行してもよい。この場合、一層運転者の感性に適合した操舵特性が実現される。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う操舵制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係る車両の模式構成図である。 図1の車両において操舵特性に影響する各要素の変化特性図である。 図1の車両においてECUが実行する操舵特性制御処理のフローチャートである。 図1の車両における、操舵トルクに対する舵の効きの変化特性を表す模式図である。 図3の操舵特性制御処理に係る制御比率決定用マップの模式図である。 図3の操舵特性制御処理に係る操舵トルクに対するヨーレートの変化特性の模式図である。 ハンドル角に対するヨーレートの変化特性の模式図である。 図3の操舵特性制御処理に係るハンドル角に対するピニオン回転角の変化特性の模式図である。 図1の車両における車速に対する舵の効きの変化特性の模式図である。 本発明の第2実施形態に係る操舵特性制御処理のフローチャートである。 図10の操舵特性制御処理に係る制御比率決定用マップの模式図である。 ハンドル角に対するヨーレートの変化特性の他の模式図である。 図10の操舵特性制御処理に係る、ハンドル角に対するピニオン回転角の変化特性の模式図である。
符号の説明
10…車両、100…ECU、200…ヨーレートセンサ、300…EPS、400…ステアリングギア比可変装置、500FL、500FR…車輪速センサ、600…操舵トルクセンサ、700…ハンドル角センサ。

Claims (11)

  1. 車両における、操舵トルクに対応する、操舵操作に対する該車両の旋回の度合いを規定する舵の効きを特定する第1特定手段と、
    前記操舵トルクに対応する舵の効きの目標値を、所望の前記操舵トルクに対する前記舵の効きの変化特性に合致するように設定する目標値設定手段と、
    前記特定された操舵トルクに対応する舵の効きが、前記設定された目標値となるように前記車両の動作条件を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする操舵制御装置。
  2. 前記目標値設定手段は、前記目標値を、予め設定された複数の前記変化特性の中から前記所望の変化特性として選択された一の前記変化特性に合致するように設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記複数の変化特性各々を表すものとして予め設定される複数のマップを記憶する記憶手段を更に具備し、
    前記目標値設定手段は、前記目標値を、前記複数のマップの中から前記一の変化特性に対応するものとして選択されたマップに基づいて設定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記特定された操舵トルクに対応する舵の効きの値と、前記設定された目標値との偏差に基づいて前記動作条件を制御する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  5. 前記舵の効きは、前記車両における単位ハンドル角当りのヨーレートとして規定される
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記動作条件として、(i)前記操舵トルクに対する前記車両のヨーレートの変化特性及び(ii)前記車両のハンドル角に対する前記車両のヨーレートの変化特性のうち少なくとも一方を制御する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  7. 前記制御手段は、操舵トルク制御装置を含み、該操舵トルク制御装置によって前記操舵トルクに対するヨーレートの変化特性を制御する
    ことを特徴とする請求項6に記載の操舵制御装置。
  8. 前記制御手段は、ステアリングギア比可変装置を含み、該ステアリングギア比可変装置によって前記ハンドル角に対するヨーレートの変化特性を制御する
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の操舵制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記動作条件として、(i)前記操舵トルクに対する前記車両のヨーレートの変化特性及び(ii)前記車両のハンドル角に対する前記車両のヨーレートの変化特性各々を制御する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  10. 前記車両のハンドル角速度を特定する第2特定手段を更に具備し、
    前記制御手段は、前記特定されるハンドル角速度に応じて、前記各々相互間の相対的な重み付けを行うと共に、該重み付けに従って前記各々を制御する
    ことを特徴とする請求項9に記載の操舵制御装置。
  11. 前記車両の速度を特定する第3特定手段を更に具備し、
    前記制御手段は、前記特定される速度に応じて、前記各々相互間の相対的な重み付けを行うと共に、該重み付けに従って前記各々を制御する
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の操舵制御装置。
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