JP4221997B2 - エレベーターの扉開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、引き込み防止機構を備えたエレベーターの扉開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すようなエレベーターの扉開閉時に発生する引き込まれといった利用者災害は多い。これは利用者20が戸開時に扉3に手21を置いたままにしているためであり、利用者が注意して乗降することにより防止できる(引き込まれとは、戸開時に利用者の手などが扉3とかごや乗場の柱の間に引き込まれる事故を指す)。しかしこれらの事故を機器として防止できるようメーカーへの要求も非常に高いものがある。
【0003】
このような課題を解決するために、従来例1として、図7に示すようなエレベータのドア安全装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8―040677号公報(第3欄第29−44行、第1図)
【0005】
この従来例1では、かご出入口縦柱2の両側に光電装置75,76を埋め込み、利用者がかご扉73に近づくと、光電装置の投光部75からの光ビームが遮断されるので、制御部(図示せず)は受光部76により利用者が近づいたことを検出し、スピーカ78を駆動して予め用意されたメッセージを警報として発声させる。さらに利用者がかご扉73に近づき触れると、感知センサー77がかご扉73に触れたことを検出し、制御装置は、警報装置(図示せず)を駆動し、警報ランプ79を点滅させる。従って、かご扉73が開くときに利用者の手がかご扉73と立柱72の隙間に挟まれるのを未然に防止するための注意を喚起することができる。
【0006】
また、従来例2として、図8に示すようなエレベータ戸用引き込まれ防止装置(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0007】
【特許文献2】
特開平8―113451号公報(第2欄第21−29行、第3図)
【0008】
この防止装置において、カゴ第2戸2の内部にスプリング89、電磁石90及びプランジャ91を設け、表面にカゴ戸パネル88を設ける。スプリング89はカゴ戸パネル88をカゴ第2戸82の内側に付勢する。電磁石90が励磁されるとプランジャ91がカゴ戸パネル88を図中下方向に押し出す。カゴ戸が開く直前に電磁石90を励磁することにより使用者の手83が押されることになり、使用者が戸開を事前に察知して手を離すことができる。
これにより、エレベータ戸の隙間に使用者の手が引き込まれる事故を未然に防止することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例1においては、かご出入口縦柱への光電装置の埋め込みは意匠性が悪く、また光電装置取付・交換時に投光・受光のアライメントを合す調整作業性も悪いという問題があった。
【0010】
また、上記従来例2においては、このようなエレベーター引き込まれ防止装置は、電動式であるため、電力を消費するという問題があった。
【0011】
この発明は、意匠性において問題なく、調整作業も不要で、電力消費のないエレベーター引き込まれ防止装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーターの扉開閉装置は、バネを介して前後方向に可動式に扉の下端に取り付けた戸の脚と、前記扉の全閉時に前記戸の脚に係合し前記戸の脚の前後方向の動きを規制するスペーサーとを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図6は従来のかご扉3の下部に設けている戸の脚4の取付概略図である。
【0014】
本発明では、かご扉3と戸の脚4は、図4に示すようにネジ類15で固定することはない。
【0015】
図1に示すようにかご扉3はドアハンガー8に固定されており、前記ドアハンガー8に設けたハンガーローラー9を介してかご扉3の質量はドアレール7に支持されている。ドアレール7とハンガーローラ9の接点16に対してかご扉3の重心3aは平面方向で一致していないため、モーメントA17が発生する。
一方、かご扉3の下部において、モーメントA17により発生する作用力B18に対してかご扉3が傾斜せずに支持されるよう圧縮バネ4bを配置する。これにより、かご扉3に外力が作用しない限り、かご扉3は傾斜しない状態を維持することが可能となる。
【0016】
また、図2に示すように、かご室1内から利用者等がかご扉3を押す場合、かご扉3はホール側へ傾斜する。従って、開閉時に外力19がかご扉3に作用しない場合、かご扉3は傾斜しない状態で開閉を実施し、また利用者がかご扉3を押す場合、かご扉3はホール側へ傾斜するため、例えば戸開時にかご扉3とかご出入口柱2の隙間が大きくなるため利用者の手等がかご扉3と出入口柱2の間に挟まれても、挟まれた手が抜けやすくなる。
また、倒れ調整用ボルト4cを設けることで、ボルト頭とかご扉3の隙間が調整できる。これにより、かご扉3の過度な倒れを防止でき、昇降路機器との干渉やかご及び乗場に設けている係合装置の係合関係も確保できる。
【0017】
一方、上記構造はかご扉3を押すと、かご扉3が動作できる構造であり、エレベーターが昇降中において例えばかご扉がかご室内から外力19で押された場合、ホール側の乗場敷居といった昇降路機器と干渉し機器破損の発生する可能性がある。そのため、図3及び図4に示すようにかご扉3を吊っているドアハンガー8に取り付けた滑車14を介して、一方を桁6に固定し、他方をスペーサ10に固定したワイヤー13を設ける。これにより、かご扉3が開閉することによりスペーサ10は上下に移動できる。また、スペーサ10は戸の脚取付金4aを把持する形状にすることにより、かご扉3が全閉状態で図3に示すようなスペーサ10が取付金4aを把持する位置となるような長さにワイヤー13を設定する。
この構造により、全閉時にスペーサ10は取付金4aを把持し、開閉中はスペーサ10が昇降することで取付金4aはスペーサ10に支持されないため、外力19でかご扉3を押すとかご扉3は傾斜できる。
【0018】
通常使用時において、かご扉3が開閉できるのは各階に着床している場合のみであり、エレベーター昇降中は開閉を行わないので、本構造によりエレベーター昇降中かご扉3はかご室1の内側から外力19を加えても傾斜せず、開閉時のみ傾斜が可能となる。このことにより、開閉中は前記の引き込まれに対して挟まった手や指が抜けやすくなり、昇降中はかご扉3が傾斜しないので昇降路の機器との干渉による破損は発生しない。
【0019】
以上の通り、この実施の形態によれば、バネを介して前後方向に可動式に扉の下端に取り付けた戸の脚と、前記扉の全閉時に前記戸の脚に係合し前記戸の脚の前後方向の動きを規制するスペーサーとを設けることにより、扉の開閉動作中は、扉が前後方向に可動であるので、手指の引き込まれがあっても外し易い。一方、全閉状態では、スペーサーが係合して扉は前後方向に動かないので、エレベーターが昇降しても扉はがたつかない。また、光電装置が不要であるため、従来例1の課題であった意匠性の問題や煩雑な調整作業の問題も解消される。さらに、電気式ではなく、機械式で動作するので、電力消費の問題も解消できる。
【0020】
また、前記扉の開閉動作により前記スペーサーを駆動する機構を設けたので、扉の開閉動作と連動するため、信頼性が高い。
【0021】
また、ワイヤーとプーリーを備え、扉開閉装置の固定枠に前記ワイヤーの一端を固定し、前記ワイヤーの他端に前記スペーサーを結合し、前記ワイヤーを巻き掛けた前記プーリーを介して、前記扉開閉装置の開閉動作を前記スペーサーの上下方向の動作に変換する機構を備えたので、扉の開閉動作に連動して、扉が全閉時には、スペーサーが下端まで下がり戸の脚と係合し、扉の前後方向の動きを規制するので扉はがたつかない。扉が開きかけてから全開までは、スペーサーが上がって戸の脚との係合が外れるので、扉は前後方向で可動となり、手指の引き込まれがあっても外し易い。
【0022】
尚、上記事項は乗場側でも同じ構造が適用でき、同じ効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
バネを介して前後方向に可動式に扉の下端に取り付けた戸の脚と、前記扉の全閉時に前記戸の脚に係合し前記戸の脚の前後方向の動きを規制するスペーサーとを備えたので、扉の開閉動作中は、扉が前後方向に可動であるので、手指の引き込まれがあっても外し易い。一方、全閉状態では、スペーサーが係合して扉は前後方向に動かないので、エレベーターが昇降しても扉はがたつかない。また、光電装置が不要であるため、意匠性の問題や煩雑な調整作業の問題も解消される。さらに、電気式でなく、機械式で動作するので、電力消費の問題も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1(外力が作用しない場合)
【図2】 本発明の実施例1(外力が作用する場合)
【図3】 本発明の実施例2(全閉時の扉下部詳細図)
【図4】 本発明の実施例2(全閉時及び全開時の正面図)
【図5】 かご室出入口の概略図
【図6】 従来の戸の脚取付例を示す図である。
【図7】 従来例1を示す概念図である。
【図8】 従来例2のドア安全装置の全体図である。
【記号の説明】
1 かご室
2 かご出入口柱
3 かご扉
3a かご扉重心
4 戸の脚
4a 戸の脚取付金
4b 圧縮ばね
4c 倒れ調整用ボルト
5 敷居
6 けた
7 かごドアレール
8 ドアハンガー
9 ハンガーローラ
10 スペーサ
11 端部1
12 端部2
13 ワイヤー
14 滑車
15 ネジ類
16 接点
17 モーメントA
18 作用力B
19 外力
20 利用者
21 手
71 かご室
72 立柱
73 かご扉
75 光電装置(投光部)
76 光電装置(受光部)
77 感知センサー
78 スピーカー
79 警報ランプ
81 かご第1戸
82 かご第2戸
83 手
86 隙間
88 かご戸パネル
89 スプリング
90 電磁石
91 プランジャ
Claims (1)
- エレベータの扉開閉装置において、
エレベータが昇降中は閉じた状態である扉と、
該扉に固定されたドアハンガーに取り付けられたプーリと、
該プーリを介し、一端はけたに固定され、他端は前記扉が開いた場合には上に移動し閉じた場合には下に移動するワイヤーと、
前記扉のパネル内に設置され、ワイヤーの他端に結合されたスペーサーと、
バネを介して前後方向に可動式に前記扉の下端に取り付けられるとともに敷居にガイドされ、前記ワイヤーの他端が下に移動した場合には前記スペーサーと係合し前記扉の前後方向の可動を規制する扉脚と、
を有するエレベータの扉開閉装置。
Priority Applications (1)
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JP2002303902A JP4221997B2 (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | エレベーターの扉開閉装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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- 2002-10-18 JP JP2002303902A patent/JP4221997B2/ja not_active Expired - Fee Related
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