JP4218827B2 - 生分解性合成紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性ポリエステル樹脂と微粉状充填材とから構成される生分解性合成紙及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のパルプなどからなる天然紙は、鉛筆やボールペン等の筆記性や印刷性に優れ、さらに廃棄後自然環境中で分解するが、強度、耐水性がないなどの問題点があった。
一方、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどからなる合成紙は、鉛筆やボールペン等の筆記性、印刷特性は天然紙と同等の特性を有し、かつ、強度、耐水性はそれよりも優れている。しかし、この合成紙は、廃棄後に自然環境中では分解せず永久に残存してしまい、また焼却処理した場合は、燃焼発熱量が大きいため焼却炉を傷めたり、大気中の炭酸ガス濃度が上昇するなど、産業上の問題があった。
【0003】
また、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性樹脂を使用した合成紙が知られているが、これらの合成紙はコシがないなどの問題がある。
一方、生分解性樹脂として、天然資源を原料とするポリ乳酸が知られており、ポリ乳酸に無機充填材を配合した未延伸フィルムからなる生分解性合成紙が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、適度なコシを有し、鉛筆やボールペン等の筆記性、印刷性を十分兼ね備えた合成紙は得られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−322962号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑み、従来の合成紙と同等又はそれ以上の鉛筆やボールペン等の筆記性、耐水性、印刷性などの物性を有し、かつ、天然紙のように適度なコシを有し、自然環境中でも容易に分解し、環境を汚染することのない合成紙を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、合成紙の基材として、特定の特性を有する生分解性ポリエステル樹脂と微粉状充填材とからなる組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂A、Tgが0℃以下である生分解性ポリエステル樹脂B、及び微粉状充填材とから構成され、微粉状充填材の含有量が10〜30質量%であり、少なくとも一軸以上に配向されていることを特徴とする生分解性合成紙。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の合成紙は、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂A、Tgが0℃以下である生分解性ポリエステル樹脂B、及び微粉状充填材から構成される。
本発明に用いるα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂Aにおける、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の例としては、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒロドキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0008】
従って本発明に用いるα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂として好ましいのは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、及びこれらの共重合体、及びこれらの混合物等である。
【0009】
ここで用いられる生分解性ポリエステル樹脂Aは通常公知の溶融重合法で、あるいはさらに固相重合法を併用して製造される。また、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)及びポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)等については微生物による生産も可能である。
【0010】
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂Aは、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有することが必要である。含有量が50モル%未満であると、得られる合成紙の強度、耐水性、耐熱性が低下するため好ましくない。
【0011】
本発明で用いられる生分解性ポリエステル樹脂Aの分子量としては特に制限はないが、重量平均分子量が3万以上、100万以下であることが好ましく、さらには5万以上、100万以下であることが好ましい。重量平均分子量が3万未満である場合には溶融粘度が低すぎ、成形性が低下するばかりか、得られた合成紙の機械物性も急激に低下するので好ましくない。逆に、これが100万を超える場合には溶融時の流動性がなくなり、成形性が急速に低下するので好ましくない。
【0012】
本発明において、合成紙に柔軟性を付与するために、生分解性ポリエステル樹脂Aに、Tgが0℃以下である生分解性ポリエステル樹脂Bを配合することが必要である。生分解性ポリエステル樹脂Bの具体例としては、ポリブチレンサクシネート等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルや、さらに芳香族成分を含む生分解性樹脂が挙げられ、ポリブチレンサクシネートもしくはそのテレフタレート変性物、又はポリブチレンアジペートもしくはそのテレフタレート変性物が好ましく、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)や、(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)が特に好ましい。
【0013】
生分解性ポリエステル樹脂Bの含有量は、生分解性ポリエステル樹脂A100質量部に対して、2〜200質量部であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜100質量部であり、より好ましくは、10〜45質量部である。含有量が2質量部未満であると得られる合成紙の柔軟性が不足し、紙としての風合いが損なわれる。また、200質量部を超えると紙としてのコシがなくなるばかりか、製膜性、延伸性、筆記性等が低下するので好ましくない。
【0014】
上記生分解性ポリエステル樹脂AとBには、耐熱性や合成紙としての物性を大幅に損ねない範囲で、必要に応じてその他の生分解性樹脂成分を共重合ないしは混合することもできる。その他の生分解性樹脂としては、ポリ(ε−カプロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、デンプンなどの多糖類等が挙げられる。
【0015】
生分解性ポリエステル樹脂AとBに配合される微粉状充填材は、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填材が挙げられる。また、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品等の有機充填材を用いてもよい。これらは、単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
これらの微粉状充填材は、平均粒径が1〜20μmであることが好ましい。平均粒径が1μm未満であると、得られたフィルム表面の粗度が低くなり、合成紙として期待される鉛筆やボールペン等の筆記性が発現しなくなる。また、平均粒径が20μmを超えるとフィルムを延伸する際に破れることが多くなり好ましくない。
【0017】
合成紙における微粉状充填剤の含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、10〜50質量%であり、より好ましくは、10〜30質量%である。含有量が10質量部未満であると鉛筆やボールペンでの筆記性が発現しなくなるばかりか、合成紙としての隠蔽性も損なわれる。また、70質量%を超えると靭性が著しく低下し、フィルムを巻き取る際の割れや延伸時に切断が多発する等、製膜作業性や延伸性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂A、生分解性ポリエステル樹脂B、及び微粉状充填材とから構成される合成紙は、180℃、0.1s-1における溶融粘度が、10〜1×106Pa・sの範囲であることが好ましく、100〜1×105Pa・sがより好ましく、200〜1×105Pa・sがさらに好ましい。溶融粘度を上記範囲とすることにより、得られる合成紙の表面粗さ(SRa)を0.1〜10.0μmの範囲とすることができる。一方、溶融粘度が10Pa・s以下の場合、微粉状充填材が凝集し、得られた合成紙に鉛筆やボールペン等で筆記した際に濃淡のムラが生じやすい。さらに、合成紙としての隠蔽性も損なわれることになる。溶融粘度が1×106Pa・s以上であると合成紙の表面に微粉状充填材が現れず鉛筆筆記性の劣る合成紙しか得られない。
溶融粘度を上記範囲に調整する方法としては、生分解性ポリエステル樹脂の重量平均分子量を調節する方法や、ポリ乳酸を生分解性ポリエステル樹脂として用いる場合には、D−乳酸とL−乳酸の比率を調節する方法などが挙げられる。
【0019】
本発明において、少なくとも一軸以上に配向されたとは、フィルム又はシートの機械進行方向(MD)及び/又は機械進行方向に対して直交方向(TD)に引き伸ばされ、分子が配向されたことをいう。分子を配向させることによりフィルム又はシートの機械的強度や衝撃強度が向上する。
【0020】
本発明において、合成紙の表面粗さ(SRa)は、0.1〜10μmであることが必要である。表面粗さは凹凸で示されるごとく、鉛筆やボールペン等の筆記性は主に凹部に筆記部材が残存することで発現される。従って、凹凸の個数や高さ等が鉛筆やボールペン等の筆記性に影響を与える。本発明においては、この表面粗さを0.1〜10μmとすることで合成紙の表面に凹凸を発現させ、微粉状充填剤が直接合成紙上に現れるか、合成紙上に現れた微粉状充填剤の周りをポリマーが薄く被覆構造をとることで凹凸を規制できる。表面粗さが0.1μm未満であると、凹部に筆記部材が残存できず筆記性が発現しないことがある。また、表面粗さが10μmを超えると合成紙表面の凹凸が大きすぎて鉛筆やボールペンなどの磨耗が大きいことや、滑らかな文字が書けない、さらにはインクが載らず印刷特性等に弊害を与えることがある。
【0021】
本発明の合成紙は上記構成からなるので、適度なコシを有することができる。コシの程度は、クラーク法(JIS P8143、紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法)により測定したこわさで評価することができる。本発明の合成紙のクラーク法によるこわさは、20(cm3/100)以上とすることができ、30(cm3/100)以上であることが好ましく、さらに40(cm3/100)以上であることがより好ましい。こわさが20(cm3/100)未満であるとコシがなくなり、紙の代替が困難となる。
【0022】
本発明において、合成紙の引裂き強度は0.9〜3.0N/mmであることが好ましい。0.9N/mm未満であると脆すぎて合成紙として利用できない。また、3.0N/mmを超えると合成紙を廃棄する際に容易に手で破ることができない。
【0023】
次に本発明の合成紙の製造方法について説明する。
まず、本発明の合成紙を製造するためには、前記したα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂Aを準備する。この生分解性ポリエステル樹脂Aと生分解性ポリエステル樹脂Bと微粉状充填剤とを混合する。生分解性ポリエステル樹脂と粉状充填材を混合する方法は特に限定されるものではない。ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型混合機等を用いて混合し、通常の加熱溶融、例えば、従来から知られている一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いる混練法によって溶融混練し、ペレット化するとよい。また、押出機途中から粉体フィーダーによって微粉状充填材を配合する方法やスタティックミキサーやダイナミックミキサーなどの併用も効果的である。
【0024】
なお、溶融混練する際には他の熱可塑性樹脂や例えば熱安定剤、顔料、可塑剤、耐光剤、耐候剤、滑材、酸化防止剤、抗菌剤、香料、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種有機・無機電解質、その他類似のもので本発明を損なわない範囲内に配合することができる。
【0025】
次いで、得られたペレットを、Tダイ押出機、又はインフレーション押出機を用いて製膜する。なお、本発明で用いる押出機のダイは、環状又は線状のスリットを有するものでよい。また、生分解性ポリエステル樹脂と粉状充填材とを溶融混練した後、ペレット化せずに連続して製膜してもよい。
【0026】
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂AとBと微粉状充填材とを溶融混練し、フィルム又はシートを製造する際に、Tダイ押出機、又はインフレーション押出機から押出された溶融混練物は、180℃、0.1s-1における溶融粘度が、10〜1×106Pa・sの範囲であることが好ましく、100〜1×105Pa・sがより好ましく、200〜1×105Pa・sがさらに好ましい。溶融粘度を上記範囲とすることにより、得られる合成紙の表面粗さ(SRa)を0.1〜10.0μmの範囲とすることができる。また、押出機から押出された生分解性ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度が10Pa・s以下の場合、微粉状充填材が凝集し、得られた合成紙に鉛筆やボールペン等で筆記した際に濃淡のムラが出る。また、合成紙としての隠蔽性も損なわれることになる。溶融粘度が1×106Pa・s以上であるとフィルム又はシートの表面に微粉状充填材が現れず鉛筆筆記性の劣る合成紙しか得られない。
【0027】
上記溶融粘度は、押出機から押出され冷却ロールに接触する間における溶融粘度である。この溶融粘度は押出機より押出された樹脂が過冷却現象により温度に対して大きく依存しないことを想定してコーンプレート型のレオロジー測定装置により測定を行なったものであり、温度180℃において角周波数(ω)が0.1s-1の溶融粘度で評価している。
【0028】
生分解性ポリエステル樹脂組成物を押出製膜後、得られたフィルム又はシートをガラス転移温度以上の温度雰囲気内で少なくとも一軸方向に、1.1〜7倍、好ましくは1.1〜5倍延伸を行なう。延伸は多段に分けて行なってもよいし、同時又は逐次延伸法により二軸方向に延伸してもよい。延伸倍率が7倍を超えるとフィルムが破れることが多くなり好ましくない。延伸後のフィルムは、収縮を抑えるために60〜160℃の範囲で数秒〜数十秒間熱処理を行うことが好ましい。
【0029】
本発明の合成紙の厚みは、上記押出製膜、延伸条件により、制御することができるが、20〜2000μmが好ましい。厚みが20μmより薄いと、紙として使用しにくく、また厚みが2000μmより厚いと延伸時の応力が大きくなって、延伸しにくいなどの問題がある。
【0030】
本発明の合成紙は、パルプなどからなる天然紙や、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどからなる合成紙が用いられている用途に適用することができる。特に、本発明の合成紙は、強度や耐水性が要求される用途、たとえば名刺、カレンダー、ポスター、ちらし、包装用紙、伝票用紙、食品表示用紙などに適する。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
【0032】
(1)比重測定:
密度勾配管法によってJIS L1013に準拠して測定を行なった。
(2)三次元表面粗さ測定:
三次元表面粗さ測定装置(小坂研究所社製 ET−30K)を用いて、JISB0601−1994に準拠して測定を行なった。
(3)筆記性:
フィルムに硬度Hの鉛筆で直線を引き、これを紙上に引いた線と比較した。評価基準は次のとおりである。
○:紙と差なし。
△:紙よりやや劣る。
×:紙よりかなり劣る。
(4)印刷性:
オフセット印刷機にて合成紙に印刷ができるか、また印刷した文字に滲みがないかを評価した。評価基準は次のとおりである。
○:文字に抜けや滲みがない。
△:文字に多少の抜けや滲みがある。
×:印刷ができない。
(5)引裂き強度:
JIS K7128−1(トラウザー引裂き法)に準拠して測定を行なった。(6)溶融粘度:
コーンプレート型の治具をセットしたレオメーター(レオメトリックサイエンティフィック)により180℃における溶融粘度の周波数依存性測定を行い、0.1s-1における溶融粘度の値を確認した。
(7)こわさの評価:
JIS P8143(紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法、クラーク法)に準拠して測定を行なった。
(8)柔軟性:
合成紙を折り曲げることで、柔軟性を評価した。評価基準は次のとおりである。
○:柔軟性がある。
×:柔軟性ない(折り曲げると割れる)。
【0033】
実施例1
二軸押出成形機PCM−30(池貝社製、ダイス直径4mm×3孔、バレル温度:210℃、押出ヘッド温度:180℃)を用い、生分解性ポリエステル樹脂Aとして重量平均分子量20万のポリ乳酸(カーギルダウポリマーズ社製、4031DK、L体99%、D体1%)64質量部、生分解性ポリエステル樹脂BとしてBASF社製Ecoflex(Tg:−35℃)16質量部、及び微粉状充填材としてタルク(林化成社製、MW−HS−T)20質量部を供給し、押出すことでペレット状に加工した。このペレットをいったん乾燥した後、Tダイ付き口径50mmφ押出機(日鋼社製)を使用して、樹脂温度210℃で押出した後、10℃の冷却ロールで冷却し、厚み500μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムをロール延伸機により65℃で縦方向に4倍延伸し、120℃で熱固定し、さらに10℃〜室温で冷却することで厚み170μmの延伸フィルムを得た。得られたフィルムの合成紙としての特性を表1に示した。
【0034】
実施例2〜7、比較例1〜3
表1に示した生分解性ポリエステル樹脂A、B、微粉状充填材を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み170μmの延伸フィルムを得た。ただし、比較例2においてはバッチ式延伸機(岩本製作所製)を用い、延伸時の雰囲気温度を80℃とし、比較例3においては、二軸押出成形機PCM−30のバレル温度を180℃、押出ヘッド温度を160℃、また冷却ロールの温度は0℃、さらに熱固定温度は80℃とした。得られたフィルムの合成紙としての特性を表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 0004218827
【0036】
実施例1〜7の合成紙は適度な軽量性及び引裂き強度を有していた。なかでも、実施例1、6、7では鉛筆筆記性や印刷特性に優れ、適度な柔軟性を有する合成紙を得ることができた。
比較例1においては鉛筆筆記性は優れるものの、柔軟性が著しく劣るものであった。比較例2においては表面粗さの値が著しく低く、鉛筆筆記性、柔軟性が著しく劣ったものであった。比較例3においては柔軟性が優れるが合成紙としてのコシがなく、鉛筆筆記も困難であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、適度な軽量性、引裂き強度及びコシを有し、鉛筆筆記性や印刷性などに優れる生分解性ポリエステル樹脂組成物からなる合成紙を低コストで提供することができる。

Claims (3)

  1. α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂A、Tgが0℃以下である生分解性ポリエステル樹脂B、及び微粉状充填材から構成され、微粉状充填材の含有量が10〜30質量%であり、少なくとも一軸以上に配向されていることを特徴とする生分解性合成紙。
  2. 生分解性ポリエステル樹脂Bが、ポリブチレンサクシネートもしくはそのテレフタレート変性物、又はポリブチレンアジペートもしくはそのテレフタレート変性物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性合成紙。
  3. 生分解性ポリエステル樹脂A100質量部に対して、生分解性ポリエステル樹脂Bが2〜200質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の生分解性合成紙。
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