JP4218062B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
第二制御信号を伝達する信号線が断線するあるいは第二制御信号にノイズが重畳する等の外乱が生じた場合には、第二制御信号が本来表すべき方向とは逆の方向を表すようになる。上述したようにモータは、その正転方向と同一方向へ回転する回転体に対し相対回転するので、当該モータでは、逆転方向への最大回転数よりも正転方向への最大回転数の方が大きくなる。そのため、第一制御信号の表す目標回転数が正転方向の最大回転数に近い大きな回転数、また第二制御信号の表す目標回転方向が正転方向であるときに上記外乱が生じて第二制御信号が逆転方向を表すようになると、モータの実回転数が逆転方向に急増して本来逆転方向ではあり得ない回転数に達する。したがって、このようにモータの実回転数が逆転方向へ急増する場合、モータに繋がる位相変化機構等に故障が生じてしまうのである。
本発明の目的は、モータ利用型バルブタイミング調整装置の故障を防止することにある。
そこで、請求項4に記載の発明によると、モータの実回転数が閾値以上であるとき、駆動回路は第二制御信号を無視してモータの目標回転方向を正転方向に強制設定する。これにより、第二制御信号の伝達信号線の断線や第二制御信号へのノイズの重畳等といった外乱が生じて第二制御信号が逆転方向を表すようになっても、モータの目標回転方向が正転方向に強制設定されるので、モータの実回転数が逆転方向に急増することはない。そのため、バルブタイミング調整装置においてモータに繋がる位相変化機構等の故障が防止される。しかも、モータの目標回転方向が正転方向に強制設定されることでモータへの通電が継続され得るので、耐外乱性が向上する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置を図2〜4に示す。バルブタイミング調整装置10は車両に設置され、エンジンのクランク軸の駆動トルクをエンジンのカム軸11に伝達する伝達系に設けられる。バルブタイミング調整装置10は、モータ制御装置100により制御されたモータ12の回転トルクを利用して、エンジンの吸、排気バルブのバルブタイミングを調整する。即ちバルブタイミング調整装置10は、モータ利用型バルブタイミング調整装置である。
モータ軸14は2個の軸受16で支持され、軸線O回りに正逆回転可能である。本実施形態では、モータ軸14の回転方向のうち図3の時計方向を正転方向とし、図3の反時計方向を逆転方向とする。モータ軸14は、軸本体から径方向外側に突出する円形板状のロータ部15を形成しており、ロータ部15に8個の磁石15aが埋設されている。各磁石15aは軸線O周りに等間隔に並んでおり、モータ軸14の回転方向において隣接する磁石15a同士はロータ部15の外周壁側に形成する磁極について互いに逆とされている。ロータ部15の近傍には3個のホール素子18が配設されている。各ホール素子18は、軸線O周りに等間隔に並んでおり、ロータ部15の外周壁側にN極を形成する磁石15aが所定の角度範囲内に位置するときと位置しないときとで検出信号の電圧を高低させる。
スプロケット32は出力軸36の外周側に同軸上に配設されており、出力軸36に対してモータ軸14と同じ軸線O周りに相対回転可能である。クランク軸の駆動トルクがチェーンベルトを通じてスプロケット32に入力されるとき、スプロケット32はクランク軸に対する回転位相を保ちつつ、軸線Oを中心として図4の時計方向へ回転する。即ちスプロケット32は、クランク軸に追従して回転する回転体として機能する。リングギア33は内歯車で構成されてスプロケット32の内周壁に同軸上に固定されており、スプロケット32と一体に回転する。
モータ制御装置100は、駆動回路110及び制御回路180等から構成されている。尚、図2では、駆動回路110及び制御回路180を模式的にモータ12の外部に位置するように示しているが、駆動回路110及び制御回路180の各設置箇所については適宜設定できる。例えば、駆動回路110をモータ12内に設置し、制御回路180をモータ12外に設置するようにしてもよい。また例えば、駆動回路110の一部をモータ12内に設置し、駆動回路110の残部及び制御回路180をモータ12外に設置するようにしてもよい。
F−V変換部120は、制御回路180の生成した第一制御信号を伝達する信号線130に接続されている。F−V変換部120は、受信した第一制御信号即ち目標回転数Rに比例する周波数の第一制御信号を、図8(A)に示す如き目標回転数Rに比例する電圧の信号に変換して出力する。以下の説明では、F−V変換部120により周波数(F)−電圧(V)変換された後の第一制御信号を変換後第一制御信号という。
インバータゲート150は、制御回路180の生成した第二制御信号を伝達する信号線138に接続され、図7に示すように第二制御信号の電圧を反転して出力する。即ちインバータゲート150が出力する第二制御信号は、図7(B)に示す如く、目標回転方向Dとして正転方向を表すとき低(L)レベルの電圧、特に本実施形態では略0Vとなり、目標回転方向Dとして逆転方向を表すとき高(H)レベルの電圧となる。以下の説明では、インバータゲート150により反転された後の第二制御信号を反転後第二制御信号という。
制御回路180からF−V変換部120に送信されてF−V変換された変換後第一制御信号が閾値Rthより小さな目標回転数Rを表すときには、コンパレータ152の出力信号の電圧がLレベルとなる。これにより通電部126は、制御回路180からインバータゲート150に送信されて反転された反転後第二制御信号を受信する。それと共に通電部126は、変換後第一制御信号に従いフィードバック制御部122が生成した指令信号を受信する。反転後第二制御信号及び指令信号を受けた通電部126は、反転後第二制御信号の表す目標回転方向Dにおいて変換後第一制御信号の表す目標回転数Rとモータ軸14の実回転数Rrとが一致するように、モータ12を通電駆動する。
本発明の第二実施形態によるモータ制御装置200を図9に示す。第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
モータ制御装置200の駆動回路210は、要素150,152,154に加えてANDゲート212及びインバータゲート213を有する判定部214を備えている。インバータゲート213は、信号線138から分岐する信号線215に接続されており、インバータゲート150の場合と同様に反転後第二制御信号を出力する。ANDゲート212は、コンパレータ152の出力信号をトランジスタ154に伝達する信号線143の中途部と、インバータゲート213から出力された反転後第二制御信号を伝達する信号線217とに接続されている。図10に示すようにANDゲート212は、コンパレータ152の出力信号の電圧がHレベルとなり且つ反転後第二制御信号の電圧がHレベルとなるときに電圧が高(H)レベルの信号を出力し、それ以外のときに電圧が低(L)レベルの信号を出力する。ANDゲート212の出力信号は、図9に示す信号線216を通じて制御回路220に伝達される。
本発明の第二実施形態によるモータ制御装置250を図11に示す。第三実施形態は第二実施形態の変形例であり、第二実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
モータ制御装置250の駆動回路260は、要素150,152,154,212,213に加えてトランジスタ262を有する判定部264を備えている。トランジスタ262のベースは、ANDゲート212の出力信号を伝達する信号線216の中途部に接続されている。トランジスタ262のコレクタは、フィードバック制御部122から通電部266に指令信号を伝達する信号線146の中途部に接続されている。トランジスタ262のエミッタは接地されている。これにより、ANDゲート212がHレベルの電圧の信号を出力するときには、信号線146による指令信号の伝達が不能になり、ANDゲート212がLレベルの電圧の信号を出力するときには、信号線146による指令信号の伝達が可能になる。
尚、モータ制御装置250において、ANDゲート212の出力信号を制御回路220に伝達しないようにしてもよい。
本発明の第四実施形態によるモータ制御装置300を図12に示す。第四実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
モータ制御装置300の駆動回路310は、各ホール素子18の検出信号からモータ軸14の実回転数Rrを割り出す演算部312を備えている。具体的に演算部312は、各ホール素子18の検出信号を伝達する信号線133,134,135に接続されている。演算部312は、各ホール素子18の検出信号から割り出したモータ軸14の実回転数Rrに対して図13(A)の如く比例する電圧の信号を、実回転数信号として生成する。
本発明の第五実施形態によるモータ制御装置350を図14に示す。第五実施形態は第四実施形態に第二実施形態の特徴的構成を追加した変形例であり、第二及び第四実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
モータ制御装置350の駆動回路360は、要素150,316,154に加えてANDゲート362及びインバータゲート363を有する判定部364を備えている。インバータゲート363は、第二実施形態のインバータゲート213に準じて、信号線138から分岐する信号線365に接続されており、反転後第二制御信号を出力する。ANDゲート362は、第二実施形態のANDゲート212に準じて、コンパレータ316の出力信号をトランジスタ154に伝達する信号線143の中途部と、インバータゲート363から出力された反転後第二制御信号を伝達する信号線367とに接続されている。したがってANDゲート362は、コンパレータ316の出力信号の電圧がHレベル且つ反転後第二制御信号の電圧がHレベルとなるときに電圧が高(H)レベルの信号を出力し、それ以外のときに電圧が低(L)レベルの信号を出力する。ANDゲート362の出力信号は、第二実施形態のANDゲート212に準じ、信号線366を通じて制御回路370に伝達される。
本発明の第六実施形態によるモータ制御装置400を図15に示す。第六実施形態は第五実施形態に第三実施形態の特徴的構成を追加した変形例であり、第三及び第五実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付すことで説明を省略する。
モータ制御装置400の駆動回路410は、要素150,316,154,362,363に加えてトランジスタ412を有する判定部414を備えている。トランジスタ412は、第三実施形態のトランジスタ262に準じて、ベースを信号線366の中途部に、コレクタを信号線146の中途部にそれぞれ接続され、またエミッタを接地されている。したがって、ANDゲート362がHレベルの電圧の信号を出力するときには、信号線146による指令信号の伝達が不能になり、ANDゲート362がLレベルの電圧の信号を出力するときには、信号線146による指令信号の伝達が可能になる。
尚、モータ制御装置400において、ANDゲート362の出力信号を制御回路370に伝達しないようにしてもよい。
また、第一〜第六実施形態では、判定部124,214,264,315,364,414や演算部312の機能をマイクロコンピュータによって実現するようにしてもよい。
Claims (8)
- モータの回転トルクを利用してエンジンのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
制御回路が生成した第一制御信号並びに第二制御信号を受信し、前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数並びに前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向に基づき前記モータを通電駆動する駆動回路と、
前記エンジンに追従して回転する回転体を有し、前記回転体に対して、同一回転方向となる正転方向へ又はその正転方向とは逆となる逆転方向へ前記モータが相対回転するとき、前記バルブタイミングを変化させる位相変化機構とを備え、
前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数が閾値以上であるとき、前記駆動回路は前記第二制御信号を無視して前記モータの目標回転方向を前記正転方向に強制設定することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - モータの回転トルクを利用してエンジンのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
制御回路が生成した第一制御信号並びに第二制御信号を受信し、前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数並びに前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向に基づき前記モータを通電駆動する駆動回路と、
前記エンジンに追従して回転する回転体を有し、前記回転体に対して、同一回転方向となる正転方向へ又はその正転方向とは逆となる逆転方向へ前記モータが相対回転するとき、前記バルブタイミングを変化させる位相変化機構とを備え、
前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数が閾値以上であり且つ前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向が前記逆転方向であるとき、前記駆動回路は前記モータへの通電を強制停止することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記駆動回路は、前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数が前記閾値以上であり且つ前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向が前記逆転方向であるとき、異常を表す異常信号を前記制御回路に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
- モータの回転トルクを利用してエンジンのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
制御回路が生成した第一制御信号並びに第二制御信号を受信し、前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数並びに前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向に基づき前記モータを通電駆動する駆動回路と、
前記エンジンに追従して回転する回転体を有し、前記回転体に対して、同一回転方向となる正転方向へ又はその正転方向とは逆となる逆転方向へ前記モータが相対回転するとき、前記バルブタイミングを変化させる位相変化機構とを備え、
前記モータの実回転数が閾値以上であるとき、前記駆動回路は前記第二制御信号を無視して前記モータの目標回転方向を前記正転方向に強制設定することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - モータの回転トルクを利用してエンジンのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
制御回路が生成した第一制御信号並びに第二制御信号を受信し、前記第一制御信号が表す前記モータの目標回転数並びに前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向に基づき前記モータを通電駆動する駆動回路と、
前記エンジンに追従して回転する回転体を有し、前記回転体に対して、同一回転方向となる正転方向へ又はその正転方向とは逆となる逆転方向へ前記モータが相対回転するとき、前記バルブタイミングを変化させる位相変化機構とを備え、
前記モータの実回転数が閾値以上であり且つ前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向が前記逆転方向であるとき、前記駆動回路は前記モータへの通電を強制停止することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記駆動回路は、前記モータの実回転数が前記閾値以上であり且つ前記第二制御信号が表す前記モータの目標回転方向が前記逆転方向であるとき、異常を表す異常信号を前記制御回路に送信することを特徴とする請求項4又は5に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記閾値は、前記モータにおいて設定される前記逆転方向の最大回転数より大きく且つ前記モータにおいて設定される前記正転方向の最大回転数より小さく設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記エンジンを制御する前記制御回路を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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