JP4217096B2 - 流体圧ダンパー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体圧を利用した流体圧ダンパ装置に関するものである。さらに詳しくは、当該流体圧ダンパー装置における逆止弁の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、洋式トイレの便座、あるいは便蓋を開閉するときの利便性を考慮して、トイレの便座や便蓋に流体圧ダンパー装置が機構的に連結されている。
【0003】
この種の流体圧ダンパー装置は、ケーシングの内部に回動軸が挿入されているとともに、回動軸とケーシングとの間に形成された密閉空間内にはオイル(粘性流体)が充填されている。ここで、ケーシングの円筒内壁からは、半径方向内側に隔壁が突出している一方、回動軸の外周面からは翼部が突出し、密閉空間は、隔壁と翼部とによって複数のオイル室に区画されている。また、翼部にはオリフィスが形成されている一方、このオリフィスには逆止弁が構成されている。このため、ケーシングに対して回動軸が軸線周りの一方側への相対回転した時、オリフィスは開状態にあるため、低負荷状態であるが、他方側への相対回転時には、逆止弁によってオリフィスが閉状態となるので高負荷状態となる(例えば、特許文献1を参照)。従って、回動軸に便座や便蓋を機構的に連結しておけば、それらを小さな力で起立させることができる一方、それらを倒す際、たとえ手を離したとしても、自重でゆっくりと倒れるだけである。
【0004】
しかしながら、従来の流体圧ダンパー装置に用いられている逆止弁は、板ばねを用いたもの、複数の部材を組み合わせたなど、耐久性が低く、かつ、組立に手間がかかるなどの問題点がある。
【0005】
そこで、本願出願人は、図7(A)、(B)に示すように、回動軸12の翼部120に、第1の係合突部121、オリフィス125、および第2の係合突部122を軸線方向にこの順に形成する一方、逆止弁30Eとして、翼部120の周方向に位置する一方側端面の側でオリフィス125を覆う弁部35Eと、弁部35Eから第1の係合突部121、および第2の係合突部122の各々の内側を回って翼部120の他方側端面まで屈曲して第1の係合突部121、および第2の係合突部に対して各々係合するコの字形状の第1の係合部31E、および第2の係合部32Eとを備えたものを案出した。このような構成の逆止弁30Eであれば、1つの部品で逆止弁を構成でき、かつ、弁部35Eを板ばねで付勢したものと違って、耐久性にも優れている。
【0006】
このような逆止弁30Eを用いた流体圧流体ダンパー装置では、起立していた便座を倒そうとする動作を行うと、図7(A)、(B)に示すように、ケーシング11の方は固定されたまま、回動軸12が反時計周りCCWに回転するため、第2のオイル室22のオイルは、加圧されて、オイルは第1のオイル室21に移動しようとするが、その圧力で逆止弁30Eの弁部35Eが時計周りCWの方向に変位し、オリフィス125が塞がれる。このため、第1のオイル室21のオイルは、ケーシング11の円筒内壁と逆止弁30Eとの隙間などから第2のオイル室22に移動するだけである。従って、便座は、このときのオイルの流動抵抗によって高負荷状態になって、制動力が発生し、便座などを緩やかに閉じることができる。
【0007】
これに対して、平伏していた便座を起こそうとする動作を行うと、図7(C)、(D)に示すように、回動軸12が時計周りCWに回転するため、第1のオイル室21のオイルは、第2のオイル室22に移動しようとし、その圧力で逆止弁30Eの弁部35Eが反時計周りCCWの方向に変位し、オリフィス125は開放状態となる。従って、便座は低負荷状態になるので、小さな力で起こすことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−161412(図1および図3)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7(A)〜(E)に示す逆止弁30Eを用いた流体圧流体ダンパー装置では、逆止弁30Eが翼部120から外れやすいという問題点がある。すなわち、逆止弁30Eは、低負荷時、図7(E)に示すように撓むが、このような変形は、コの字形状の第1の係合部31E、および第2の係合部32Eが第1の係合突部121、および第2の係合突部122から外れようとする方向の変形である。
【0010】
そこで、逆止弁30Eが外れないように、弁部35E、第1の係合部31E、および第2の係合部Eを太くする、あるいは、逆止弁30Eを構成する樹脂にガラス繊維を添加するなどの方法で、逆止弁30Eの剛性を高めることを検討したが、このような対策を行うと、第1の係合突部121、および第2の係合突部に対して、第1の係合部31E、および第2の係合部32Eを係合させにくくなって、組立てに手間がかかるという問題点がある。従って、図7(A)〜(D)に示す逆止弁30を用いた流体圧流体ダンパー装置では、オイルとして低粘度のオイルしか使用できないが、このようなオイルでは、軽い便座や便蓋を用いた場合にしか対応できないとういう問題点がある。
【0011】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、翼部への取り付けが容易で、かつ、外れることのない逆止弁を用いることにより、組立性に優れ、かつ、高粘度の粘性流体の使用にも対応することのできる流体圧ダンパー装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、円筒内壁から半径方向内側に隔壁が突出したケーシングと、該ケーシング内に同軸状に挿入され、外周面から半径方向外側に、オリフィスが形成された翼部が突出した軸体と、該軸体と前記ケーシングとの間に区画形成された密閉空間内に充填された粘性流体と、前記ケーシングに対して前記軸体が軸線周りの一方側への相対回転時には前記オリフィスを開状態にして低負荷状態とし、他方側への相対回転時には前記オリフィスを閉状態にして高負荷状態とする逆止弁とを有する流体圧ダンパー装置において、前記翼部は、第1の係合突部、前記オリフィス、および第2の係合突部を軸線方向にこの順に備えている一方、前記逆止弁は、前記翼部の周方向に位置する一方側端面および他方側端面のうち、一方側端面の側で前記オリフィスを覆う弁部と、当該弁部から前記第1および第2の係合突部の各々の軸線方向における外側を回って前記翼部の他方側端面まで屈曲する第1および第2の係合部とを備え、前記逆止弁は、前記第1および第2の係合部の内側に前記第1および第2の係合突部が嵌ることにより周方向に変位可能な状態で前記翼部に装着されていることを特徴とする。
【0013】
本願明細書における軸体とは、棒状のものだけでなく、筒状のものも含む意味である。
【0014】
本発明では、ケーシングに対して回動軸が軸線周りの一方側に相対回転した時、オリフィスは開状態にあるため、低負荷状態であるが、他方側への相対回転時には、逆止弁によってオリフィスが閉状態となるので高負荷状態となる。従って、回動軸に便座や便蓋を機構的に連結しておけば、それらを小さな力で起立させることができる一方、それらを倒す際、たとえ手を離したとしても、自重でゆっくりと倒れるだけである。ここで、逆止弁の第1および第2の係合部は、オリフィスを覆う弁部から翼部の第1および第2の係合突部の各々の外側を回って屈曲して第1および第2の係合突部に係合している。従って、低負荷状態のとき、逆止弁が撓んでも、このような変形は、第1および第2の係合部が第1および第2の係合突部にさらに深く係合しようとする方向の変形である。従って、第1および第2の係合部については、剛性を高めなくても、外れることがないので、組立性に優れ、かつ、高粘度の粘性流体の使用にも対応することができる。
【0015】
また、本発明において、前記第1および第2の係合部は、前記翼部の前記他方側端面の側で離間していることにより、各々がコの字形状を有し、前記軸体が軸線周りの前記一方側への相対回転を行ない、前記弁部が前記翼部から離間して前記オリフィスを開状態にした際、前記第1および第2の係合部は前記翼部の前記他方側端面に係合することを特徴とする。このように構成すると、逆止弁を撓ませれば、第1の係合部、および第2の係合部の内側に第1および第2の係合突部を容易に嵌めることができる。
【0017】
本発明において、前記隔壁、および前記翼部は、各々等角度間隔に複数、形成されていることが好ましい。このように構成すると、隔壁と翼部を所定の位置でストッパーとして機能させることができる。
【0018】
本発明において、前記逆止弁は、前記ケーシングの内底と前記軸体の大径部とによって軸線方向の両側から支持されていることが好ましい。また、本発明において、前記逆止弁は、前記ケーシングの内底と、当該ケーシングの開口を塞ぐカバーとによって軸線方向の両側から支持されてことが好ましい。これらのいずれに構成を採用した場合も、逆止弁の第1および第2の係合部が第1および第2の係合突部の外側を回っているので、逆止弁がどのように撓んでも、翼部から外れることがない。
【0019】
本発明において、前記ケーシングは、例えば、固定側部材であり、前記軸体は、回動側部材であり、当該軸体の回転が前記低負荷状態と前記高負荷状態とに切り換えられることになる。
【0020】
本発明において、前記軸体には、トイレの便座、あるいは便蓋が機構的に連結される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を適用した流体ダンパー装置を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明が適用された流体圧ダンパー装置を便座開閉用に用いた洋式トイレの説明図である。図2は、本発明が適用された流体圧ダンパー装置の分解斜視図である。図3(A)〜(E)はそれぞれ、図2示す流体圧ダンパー装置において、起立していた便座を倒そうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、および逆止弁が変形した様子を示す説明図である。
【0023】
図1に示す洋式便器1は、便器本体2、水タンク3、便蓋6、便座ユニット4などから構成され、便座ユニット4は、便座5、および本体カバー7を備えている。本体カバー7の内部には、図2に示す流体圧ダンパー装置10が内蔵されている。
【0024】
図2において、流体圧ダンパー装置10では、有底筒状のケーシング11と、このケーシング11の内部に挿入される回動軸12(軸体)と、回動軸12の端部が貫通する穴130が形成されたカバー13とを有しており、ケーシング11内に回動軸12を挿入した後、ケーシング11のフランジ部115にカバー13をねじで固定し、オイルを密封する構造になっている。
【0025】
また、回動軸12の軸線方向の略中央位置には、大径部126が形成され、そこにはOリング51(図3を参照)を装着するOリング装着溝127が形成されている。従って、回動軸12のOリング装着溝127にOリング51を装着する一方、ケーシング11内に所定量のオイル(粘性流体)を注入しておき、しかる後に、ケーシング11内に回動軸12を挿入すれば、回動軸12とケーシング11との間には密閉空間20が区画形成されるとともに、この密閉空間20内にオイルが充填された状態となる。
【0026】
(ダンパー機構)
図2および図3(A)、(B)において、ケーシング11の円筒内壁111からは、半径方向内側に一対の隔壁112が回動軸12の外周面近傍まで突出している一方、回動軸12の外周面からは一対の翼部120が突出し、密閉空間20は、隔壁112と翼部120とによって複数のオイル室に区画されている。すなわち、隔壁112によって区画形成された2つの空間は各々、翼部120によって、翼部120に対して時計周りCWの側に位置する第1のオイル室21と、翼部121に対して反時計周りCCWの側に位置する第2のオイル室22とに区画形成されている。
【0027】
また、翼部121にはオリフィス125が形成されている一方、この翼部120には、オリフィス125を開閉する逆止弁30が装着されている。
【0028】
本形態において、翼部120には、凹部からなるオリフィス125の両側に第1の係合突部121および第2の係合突部122が形成されている。従って、翼部120では、第1の係合突部121、オリフィス125、および第2の係合突部122が軸線方向にこの順に並んでおり、第1の係合突部121の軸線方向における外側(大径部126の側)、および第2の係合突部122の軸線方向における外側(先端側)には各々、断面矩形の切り欠きが形成されている。
【0029】
逆止弁30は、翼部120の周方向に位置する2つの端面のうち、反時計周りCCW側の端面(一方側端面)の側でオリフィス125を覆う平板状の弁部35と、弁部35の一方端から第1の係合突部121の外側を回って翼部120の時計周りCW側の端面(他方側端面)まで屈曲して第1の係合突部121に係合する第1の係合部31と、弁部35の他方端から第2の係合突部122の外側を回って翼部120の時計周りCW側の端面まで屈曲して第2の係合突部122に係合する第2の係合部32とを備えた樹脂成形品である。
【0030】
ここで、第1および第2の係合部31、32は、翼部120の反時計周りCCW側の端面の側で離間しており、各々がコの字形状を有している。
【0031】
このように構成した逆止弁30は、第1および第2の係合部31、32の内側に第1および第2の係合突部121、122が嵌ることにより周方向に変位可能な状態で翼部120に装着される。また、ケーシング11の内部に回動軸12を挿入した状態で、逆止弁30は、ケーシング11の内底と回動軸12の大径部126とによって軸線方向の両側から支持される。
【0032】
(動作)
このように構成した流体圧流体ダンパー装置10に対して、その回動軸12に便座を機構的に連結した場合の動作を説明する。
【0033】
本形態の流体圧流体ダンパー装置10では、起立していた便座を倒そうとする動作を行うと、図3(A)、(B)に示すように、ケーシング11の方は固定されたまま、回動軸12が反時計周りCCWに回転する。その際、回動軸12の外周面は、隔壁112の先端面を摺動しながら反時計周りCCWに回転し、翼部120は、反時計周りCCWに回転しながら第2のオイル室22を狭める。その結果、第2のオイル室22のオイルは加圧されて、第1のオイル室21に移動しようとするが、その圧力で逆止弁30が時計周りCWの方向に変位し、翼部120の反時計周りCCWの側に位置する端面に弁部35が押し付けらる。その結果、オリフィス125は、弁部35で塞がれるため、第1のオイル室21のオイルは、ケーシング11の円筒内壁111と逆止弁30との隙間などから第2のオイル室22に移動するだけである。従って、便座は、このときのオイルの流動抵抗によって高負荷状態になって、制動力が発生するので、緩やかに閉じることができる。
【0034】
これに対して、平伏していた便座を起こそうとする動作を行うと、図3(C)、(D)に示すように、ケーシング11の方は固定されたまま、回動軸12が時計周りCWに回転する。その際、回動軸12の外周面は、隔壁112の先端面を摺動しながら時計周りCWに回転し、翼部120は、時計周りCWに回転しながら第1のオイル室21を狭める。その結果、第1のオイル室21のオイルは、第2のオイル室22に移動しようとし、その圧力で逆止弁30が反時計周りCCWの方向に変位し、翼部120の反時計周りCCW側の端面から弁部125が離間する。その結果、オリフィス125は開放状態となり、第1のオイル室21のオイルは、オリフィス125から第2のオイル室22に自由に移動する。従って、便座は低負荷状態になるので、小さな力で起こすことができる。
【0035】
(本形態の効果)
このようにして、オイルの流体圧と逆止弁30とを用いて、高負荷状態と低負荷状態とを発生させる際、高負荷状態のときには、逆止弁30の弁部35が翼部120に押し付けられるので変形しにくいが、低負荷状態のときには、弁部35が翼部120から離間しているので、オイルの圧力を弁部35全体が受けることになって、図3(E)に示すように逆止弁30Eが撓む。それでも、本形態では、逆止弁30の第1および第2の係合部31、32は、翼部120の第1および第2の係合突部121、122の各々の外側を回って屈曲して第1および第2の係合突部121、122に係合している。従って、低負荷状態のとき、逆止弁30が撓んでも、このような変形は、第1および第2の係合部31、32が第1および第2の係合突部121、122にさらに深く係合しようとする方向の変形であるので、逆止弁30が翼部120から外れることはない。それ故、第1および第2の係合部31、32については、剛性を高める必要がないので、流体圧流体ダンパー装置10を組み立てる際、逆止弁30を小さな力で変形させて翼部120に装着することができる。よって、組立性に優れている。また、本形態の逆止弁30は、撓んでも、外れることがないので、重い便座に対応するときに用いられる高粘度の粘性流体にも対応することができる。
【0036】
また、逆止弁30は、第1および第2の係合部31、32が翼部120の時計回りCW側の端面の側で離間し、各々がコの字形状を有している。このため、逆止弁30を撓ませて、第1の係合部31、および第2の係合部32の内側に第1および第2の係合突部121、122を容易に嵌めることができる。
【0037】
さらに本形態では、ケーシング11の内部に回動軸12を挿入した状態で、逆止弁30は、ケーシング11の内底と回動軸12の大径部126とによって軸線方向の両側から支持され、かつ、逆止弁30の第1および第2の係合部31、32が第1および第2の係合突部121、122の外側を回っているので、逆止弁30がどのように撓んでも、翼部120から外れることがない。
【0038】
しかも本形態では、隔壁112、および翼部120は、各々等角度間隔に2個ずつ、形成されているため、隔壁112と翼部120を所定の位置で当接させてストッパーとして利用することができる。
【0039】
[実施の形態2]
図4および図5はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係る流体圧ダンパー装置の要部の分解斜視図、この流体圧ダンパー装置全体の断面図である。
【0040】
実施の形態1では、ケーシング11の内部に回動軸12を挿入した状態で、逆止弁30が、ケーシング11の内底と回動軸12の大径部126とによって軸線方向の両側から支持される構造であったが、図4および図5に示すように、逆止弁が、ケーシングの内底と、このケーシングの開口を塞ぐカバーとによって軸線方向の両側から支持されている構成を採用してもよい。
【0041】
図4および図5において、本形態の流体ダンパー装置10は、便蓋および便座の双方に機構的に連結される回動軸を備えるもので、第1のケーシング11Aと、この第1のケーシング11Aの内部に挿入される第1の回動軸12Aと、第1の回動軸12Aの端部が貫通する穴が形成されたカバー13Aとを有しており、第1のケーシング11A内に第1の回動軸12Aを挿入した後、第1のケーシング11Aのフランジ部115にカバー13Aをねじで固定し、しかる後に溶接する構造になっている。ここで、カバー13Aは、便座を操作したときにクリック感を出すためのもので、詳細な図示を省略するが、板ばねに保持されたピンが第1の回動軸12Aの外周面に形成されている凹部129内のピンを乗り越えるときの衝撃でクリック感を発生させる。
【0042】
本形態では、第1の回動軸12Aの軸線方向の略中央位置から先端側にはOリング52を装着するOリング装着溝127Aが形成されている。また、第1の回動軸12Aの軸線方向の略中央位置から基端寄りの位置にもOリング53を装着するOリング装着溝128Aが形成されており、第1の回動軸12Aの外周面とカバー13Aの内周面との間はOリング53によって密閉される。さらに、カバー13Aの外周面にもOリング54を装着するOリング装着溝131が形成されており、カバー13Aの外周面と第1のケーシング11Aとの間も密閉される。従って、各Oリング装着溝にOリングを装着する一方、第1のケーシング11A内に所定量のオイル(粘性流体)を注入しておき、しかる後に、ケーシング11A内に第1の回動軸12Aを挿入し、カバー13Aを取り付ければ、第1の回動軸12Aと第1のケーシング11Aとの間には密閉空間が区画形成されるとともに、この密閉空間内にはオイルが充填された状態となる。
【0043】
また、第1のケーシング11Aの円筒内壁111からは、半径方向内側に一対の隔壁112が回動軸12Aの外周面近傍まで突出している一方、回動軸12Aの外周面からは一対の翼部120が突出し、密閉空間は、実施の形態1と同様、隔壁112と翼部120とによって複数のオイル室に区画される。また、翼部120にはオリフィス125が形成されている一方、この翼部120には、オリフィス125を開閉する逆止弁30が装着される。
【0044】
この逆止弁30も、実施の形態1と同様、翼部120の周方向に位置する2つの端面のうち、反時計周りCCW側の端面(一方側端面)の側でオリフィス125を覆う平板状の弁部35と、弁部35の一方端から第1の係合突部121の外側を回って翼部120の時計周りCW側の端面(他方側端面)まで屈曲して第1の係合突部121に係合するコの字形状の第1の係合部31と、弁部35の他方端から第2の係合突部122の外側を回って翼部120の時計周りCW側の端面まで屈曲して第2の係合突部122に係合するコの字形状の第2の係合部32とを備えた樹脂成形品である。
【0045】
このような構成は、実施の形態1と同様であるため、その動作などについては説明を省略するが、本形態において、逆止弁30は、第1のケーシング11Aの内底と、第1のケーシング11Aの開口を塞ぐカバー13Aの端面とによって軸線方向の両側から支持される。
【0046】
このように構成した流体圧ダンパー装置では、逆止弁30は、第1および第2の係合部31、32が、オリフィス125を覆う弁部35から翼部120の第1および第2の係合突部121、122の各々の外側を回って屈曲して第1および第2の係合突部121、122に係合している。従って、低負荷状態のとき、逆止弁30が撓んでも、このような変形は、第1および第2の係合部31、32が第1および第2の係合突部121、122にさらに深く係合しようとする方向の変形であるので、外れることがないなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0047】
また、本形態において、逆止弁30は、第1のケーシング11Aの内底と、カバー13Aの端面とによって軸線方向の両側から支持され、かつ、逆止弁30の第1および第2の係合部31、32が第1および第2の係合突部121、122の外側を回っているので、逆止弁30がどのように撓んでも、翼部120から外れることがない。
【0048】
なお、本形態の流体圧流体ダンパー装置は、便蓋および便座の双方に機構的に連結される2本の回動軸を備えるもので、図5に示すように、便座が機構的に連結される第1の回動軸12Aには、便蓋が機構的に連結される第2の回動軸12Bが貫通している。また、第2の回動軸12Bの端部には、ロータ60(軸体)が嵌め込み固定され、このロータ60に対しても、図3を参照して説明した流体ダンパー機構が構成されている。
【0049】
すなわち、第1のケーシング11Aのフランジ部に対しては、カバー13を介して第2のケーシング11Bが連結され、この第2のケーシング11Bの内側にロータ60が配置される。ここで、ロータ60の大径部61には、Oリング55が装着されるOリング装着溝62が形成されている。従って、第2のケーシング11B内に所定量のオイル(粘性流体)を注入しておき、しかる後に、ケーシング11B内にロータ60を挿入し、第2のケーシング11Bの開口をカバー13Aで塞げば、ロータ60と第2のケーシング11Bとの間には密閉空間が区画形成されるとともに、この密閉空間内にはオイルが充填された状態となる。
【0050】
ここで、第2のケーシング11Bとロータ60との間にも、実施の形態1で説明したように、翼部120および逆止弁30によって流体圧ダンパー機構を構成しておけば、便座だけでなく、便蓋についても、小さな力で起立させることができる一方、便蓋を倒す際、たとえ手を離したとしても、ゆっくりと倒れるだけである。
【0051】
[参考例]
実施の形態1では、逆止弁30の第1および第2の係合部31、32は、翼部120の反時計周りCCW側の端面の側で離間しており、各々がコの字形状を有していたが、図6に示すように、第1および第2の係合部31、32が翼部120の反時計周りCCWの側で繋がっていることより、逆止弁30が矩形枠状になっている構成を採用してもよい。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0052】
[その他の実施の形態]
なお、上記の実施の形態のいずれにおいても、ケーシング11、およびケーシング11の内側に配置された軸体(回動軸11、第1の回動軸11A、ロータ60)のうち、ケーシング11が固定側部材とされ、軸体が回転する構造になっていたが、軸体が固定側部材とされ、ケーシング11の方が回転する構成であってもよい。
【0053】
また、本発明を適用した流体圧ダンパー装置は、便座や便蓋に対するタンパー装置に限らず、各種の機器においてダンパー装置として用いることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ケーシングに対して回動軸が軸線周りの一方側に相対回転した時、オリフィスは開状態にあるため、低負荷状態であるが、他方側への相対回転時には、逆止弁によってオリフィスが閉状態となるので高負荷状態となる。従って、回動軸に便座や便蓋を機構的に連結しておけば、それらを小さな力で起立させることができる一方、それらを倒す際、たとえ手を離したとしても、自重でゆっくりと倒れるだけである。ここで、逆止弁の第1および第2の係合部は、オリフィスを覆う弁部から翼部の第1および第2の係合突部の各々の外側を回って屈曲して第1および第2の係合突部に係合している。従って、低負荷状態のとき、逆止弁が撓んでも、このような変形は、第1および第2の係合部が第1および第2の係合突部にさらに深く係合しようとする方向の変形である。従って、第1および第2の係合部については、剛性を高めなくても、外れることがないので、組立性に優れ、かつ、高粘度の粘性流体の使用にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された流体圧ダンパー装置を便座開閉用に用いた洋式トイレの説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る流体圧ダンパー装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示す流体圧ダンパー装置において、起立していた便座を倒そうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、および逆止弁が変形した様子を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る流体圧ダンパー装置の要部の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る流体圧ダンパー装置の断面図である。
【図6】 本発明の参考例に係る流体圧ダンパー装置の分解斜視図である。
【図7】従来の流体圧ダンパー装置において、起立していた便座を倒そうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を示す正面図、断面図、および逆止弁が変形した様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 洋式便器
2 便器本体
4 便座ユニット
5 便座
6 便蓋
10 流体圧ダンパー装置
11 ケーシング
11A 第1のケーシング
11B 第2のケーシング
12A 第1の回動軸
12B 第2の回動軸
12 回動軸(軸体)
12A 第1の回動軸
13、13A カバー
20 密閉空間
21 第1のオイル室
22 第2のオイル室
30 逆止弁
31 第1の係合部
32 第2の係合部
35 弁部
60 ロータ(軸体)
111 ケーシングの円筒内壁
112 隔壁
120 翼部
121 第1の係合突部
122 第2の係合突部
125 オリフィス
Claims (6)
- 円筒内壁から半径方向内側に隔壁が突出したケーシングと、該ケーシング内に同軸状に挿入され、外周面から半径方向外側に、オリフィスが形成された翼部が突出した軸体と、該軸体と前記ケーシングとの間に区画形成された密閉空間内に充填された粘性流体と、前記ケーシングに対して前記軸体が軸線周りの一方側への相対回転時には前記オリフィスを開状態にして低負荷状態とし、他方側への相対回転時には前記オリフィスを閉状態にして高負荷状態とする逆止弁とを有する流体圧ダンパー装置において、
前記翼部は、第1の係合突部、前記オリフィス、および第2の係合突部を軸線方向にこの順に備えている一方、
前記逆止弁は、前記翼部の周方向に位置する一方側端面および他方側端面のうち、一方側端面の側で前記オリフィスを覆う弁部と、当該弁部から前記第1および第2の係合突部の各々の軸線方向における外側を回って前記翼部の他方側端面まで屈曲する第1および第2の係合部とを備え、
前記逆止弁は、前記第1および第2の係合部の内側に前記第1および第2の係合突部が嵌ることにより周方向に変位可能な状態で前記翼部に装着され、
前記第1および第2の係合部は、前記翼部の前記他方側端面の側で離間していることにより、各々がコの字形状を有し、
前記軸体が軸線周りの前記一方側への相対回転を行ない、前記弁部が前記翼部から離間して前記オリフィスを開状態にした際、前記第1および第2の係合部は前記翼部の前記他方側端面に係合することを特徴とする流体圧ダンパー装置。 - 請求項1において、前記逆止弁は、前記ケーシングの内底と前記軸体の大径部とによって軸線方向の両側から支持されていることを特徴とする流体圧ダンパー装置。
- 請求項1において、前記逆止弁は、前記ケーシングの内底と、当該ケーシングの開口を塞ぐカバーとによって軸線方向の両側から支持されていることを特徴とする流体圧ダンパー装置。
- 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記隔壁、および前記翼部は、各々等角度間隔に複数、形成されていることを特徴とする流体圧ダンパー装置。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記ケーシングは固定側部材であり、前記軸体は、回動側部材であり、
当該軸体の回転が前記低負荷状態と前記高負荷状態とに切り換えられることを特徴とする流体圧ダンパー装置。 - 請求項5において、前記軸体には、トイレの便座、あるいは便蓋が機構的に連結されていることを特徴とする流体圧ダンパー装置。
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