JP4216377B2 - 複数の電気ユニットを固定し配線するための器具 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、 特に開閉装置のキャビネット内で複数の電気ユニットを固定し、配線するための器具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電気ユニット搭載用のクロスバーを、後方に配置された支持レールに固定し、開閉装置のキャビネットに配設される器具としては、例えばフリードリッヒルッツェゲーエムベーハー社（Friedrich Luetze GmbH ＆ Co）の”エルエスシー配線システム”のカタログにその一例が紹介されている。この既知の搭載用クロスバーは、ほぼＵ字状の断面を有し、Ｕ字状の取り付けクランプにより端部でフレーム構造に連結される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この搭載用クロスバーのＵ字状に折り曲げられた形状により、この搭載用クロスバーの後ろのスペースには手を入れ難く、配線スペースには利用できない。このことは、大きな開閉装置のキャビネットに使用する場合など十分な奥行きが確保される場合には殆ど問題とならないが、電気ユニットの小型化と集積化が進み、開閉装置のキャビネットが絶えず小さくなっている今日においては、大きな問題となりつつある。
【０００４】
本発明は、上述のタイプの器具を改良し、非常に小さな開閉装置のキャビネットにも使用できる器具を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる装置は、その搭載側に電気ユニットを収容するための少なくとも一本の搭載用クロスバーを有し、この搭載用クロスバーがその後方に配置された少なくとも一本の垂直の支持レールに固定され、電気ユニットを搭載用クロスバーに固定するための固定手段が備えられている。
【０００６】
そして、平坦な帯状形状の搭載用クロスバーの前方搭載側の後ろ側には、その全長にわたって延びる一体的に形成された保持リブが設けられ、この保持リブには、搭載側に向かって開放された取り付け溝が備えられている。この取り付け溝は、搭載用クロスバーを上記保持リブを介して支持レールに固定するための取り付けネジの頭を受容するように設計されている。また、平坦な帯状に形成された搭載用クロスバーの上下端の少なくとも一方には配線コームが設けられる。
【０００７】
本発明の搭載用クロスバーは、取り付けクランプ無しで二つの支持レールに固定できるため、装置全体の厚みが減少できるばかりでなく、取り付け部品を減らすことができる。また、当該搭載用クロスバーは、平坦な帯状の形状で構成され、折り畳みの部分や脚部が無いため、保持リブに必要な僅かなスペースを除いては、搭載用クロスバーの後ろのスペースは配線スペースとして十分に利用できる。このことは従来の器具に比して非常に重要かつ有利な点である。更に、搭載用クロスバーの上下端の少なくとも一方に設けられた配線コームは、配線スペースへ手を入れることを目だって害するような事はない。従って、取り付けはより早く、より簡単に行うことができ、相当のコスト低減につながる。
【０００８】
また、取り付け作業は、端部域ではなく、むしろ内側にずれた支持レールの回りで行われるので、搭載用クロスバーを開閉装置のキャビネットの側壁まで延ばすことができる。支持レールの配置について、特にレール間の距離に関しては、広い範囲で選択できるので、取付場所の条件にも適合させることができる。
【０００９】
また、保持リブの配置は、搭載用クロスバーの実質上中央にするのが適当であり、保持リブは実質上Ｕ字状断面にするのが好ましい。保持リブが中央に配置されていることにより、利用できる配線スペースが対称に配分される。また、好ましくは、搭載用クロスバーの上下端は各々一つの配線コームを嵌合するように設計され、更に好ましくは、配線コームを嵌合するための受容部として設計される。この構成により、簡単な嵌合により素早い取り付けが可能となる。なお、配線コームは要望に応じ、搭載用クロスバーの所定範囲のみに配設されるようにしてもよく、また、その上下端の一方のみに配設されるようにしてもよい。
【００１０】
配線スペースは、保持リブと支持レールとの間に、取り付けネジを挿通する挿通孔を有するスペーサーを配設することによって、所望の大きさに設定できる。このスペーサーは、実質的に正方形断面を有し、保持リブ側の凹みと支持レール側の凹みとに固定されることにより、捻れに対して強固に固定される。また、この構成は、搭載用クロスバーと支持レール間の相対角を正しく設定するのに役立つ。好ましくは、この凹みは保持リブ及び支持レールの両者の上に各々平行に伸びるビーズ状突起の間に形成される。このため、ネジを締めると自動的に正しい角度が確定する。
【００１１】
また、支持レールは、保持リブに対して開放され、取り付けネジと協働して縦方向に動くスライディングナットをガイドする少なくとも一つの取り付け溝を有することが好ましい。この構成によって、僅かに取り付けネジを緩めて、搭載用クロスバーを支持レールに沿っていずれかの方向にずらすことにより、所定の位置に素早くかつ簡単に固定できる。更に、支持レールには、上記取り付け溝とは反対側に向かって開放され、支持レールを開閉装置のキャビネットの側壁又は保持手段上に取り付けるための別の取り付けネジと協働し、スライディングナットを水平方向にガイドする別の取り付け溝を設けることもできる。好ましくは、開閉装置のキャビネットに設けられた控えボルトに係合できる保持板が準備され、この保持板は上記支持レールの別の取り付け溝に係合するための孔を有する。この場合、支持レールの位置は広い範囲で自由に選択でき、別の取り付けネジを締めることにより固定できる。このため、異なる大きさの開閉装置のキャビネットの装着が可能となる。
【００１２】
スライディングナットは、電気ユニット等を搭載用クロスバーに固定するための固定手段として備えられ、保持リブの取り付け溝のガイドにより水平方向に移動可能である。また、当該スライディングナットは、取り付け溝のベースから離れて設けられ、取り付けネジの頭がスライディングナットの運動の経路の外側に位置するようになっている。このため、例えば、電気ユニットを移動させる際にも、取り付けネジの自由な動きに影響与えずに、スライディングナットにより電気ユニットの位置を決めることができる。
【００１３】
また、搭載用クロスバーの搭載側に、カバーレール又はＣ−レールを形成するための、二つの一体に形成された鈎状の帯を設けることにより、電気ユニットを固定するための別の固定手段を形成することができる。この二つの帯は取り付け溝の両側に対称に配置されるのが好ましい。このようにして、例えば、従来のカバーレールが簡単に形成される。
【００１４】
上記構成により、幾つもの平行な搭載用クロスバーを二本の支持レール上に、特に有利に配置できる。異なる大きさ及び／又は固定手段のデザインを有する搭載用クロスバーもまた、この場合二本の支持レールに所望の配置に取り付けることができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図１及び図２に示すように、本実施例にかかる開閉装置のキャビネット（図示せず）には、二本の支持レール１０、１１が垂直に取り付けられ、四本の水平方向に延びる搭載用クロスバー１２〜１５が支持レール１０、１１に対して垂直に固定支持されている。なお、搭載用クロスバー１２〜１５の長さが長い場合には、更なる支持レールが追加される。また、搭載用クロスバー１２〜１５の長さが短い場合には、支持レールを一本としてもよい。
【００１６】
図３に示すように、支持レール１０、１１は互いに反対側に開放された二つの取り付け溝１６、１７を有する。これら取り付け溝１６、１７には、スライディングナット２０、２１をガイドするためのスライディングガイド１８、１９が備えられている。スライディングナット２０、２１は、このスライディングガイド１８、１９に沿って縦方向に移動可能であるが、取り付け溝１６、１７の開口部を規定するクロスピース２２、２３により取り付け溝１６、１７から外れないようになっている。小さい方の取り付け溝１６は、支持レール１０、１１を保持板２４や他の支持手段、あるいは開閉装置のキャビネットの壁に固定する役割をになう。上記保持板２４は、長孔２５を有し、取り付けネジ２６がこの長孔２５を通って取り付け溝１６に配置されたスライディングナット２０に係合することにより、支持レール１０、１１を保持板２４に固定している。
【００１７】
保持板２４の他端には、通常開閉装置のキャビネットの四隅に設けられている控えボルト（図示せず）を挿通するための固定孔２７が設けられている。保持板２４は、上記控えボルト及び保持ナットを用いて開閉装置のキャビネットに対して固定される。
【００１８】
支持レール１０、１１は、長孔２５に沿ってずらされることにより、水平方向の位置決めがなされ、スライディングナット２０に対してずらされることにより、垂直方向の位置決めがなされる。なお、支持レール１０、１１を開閉装置のキャビネットの壁に直接固定する態様としてもよいことはもちろんである。また、小さい方の取り付け溝１６を省略して、支持レール１０、１１を単純な断面Ｕ字状の構造とすることも可能である。この場合の固定は、支持レール１０、１１のベース（Ｕ字断面の底部）に直接孔をあけ、これを開閉装置のキャビネットの壁への直接固定することにより行う。
【００１９】
図３に示すように、スライディングガイド１９は、ベースから離れて設けられているので、搭載用クロスバー１２〜１５を固定するスライディングナット２１に螺合される取り付けネジ３４の先端がベースに接触してスライディングナット２１の動きを妨げることはない。
【００２０】
搭載用クロスバー１２〜１５は、ほぼ平坦な帯状部を有し、支持レール１０、１１に対向する側（後側）には該帯状部と一体的に形成された保持リブ２８を有する。この保持リブ２８は搭載用クロスバー１２〜１５の全長にわたって延び、実質的にＵ字状の断面を有し、取り付け溝３０が搭載用クロスバー１２〜１５の後側とは反対側の前方搭載側２９に面して形成されている。
【００２１】
保持リブ２８は、原則的に搭載用クロスバー１２〜１５の中央に水平に延びるように設けられるが、片寄った配置も可能である。取り付け溝３０は、スライディングナット３２をガイドするためのスライディングガイド３１を有する。スライディングナット３２と保持リブ２８のベースとの間には所定のスペースが設けられているため、取り付けネジ３４の頭３３を調節することにより、スライディングナット３２の動きを妨げることなく、搭載用クロスバー１２〜１５を支持レール１０、１１に対して固定できるようになっている。
【００２２】
取り付けネジ３４は、保持リブ２８のベースとスペーサー３５を挿通し、支持レール１０、１１のスライディングガイド１９まで延び、スライディングナット２１に螺合される。スペーサー３５は四角断面を有し、その一端は保持リブ２８のベースの端部から突出して水平に延びる二つの横方向のビーズ状突起３６に挟持される態様で固定され、取り付けネジ３４の軸まわりの捻り力により回転しないようになっている。また、スペーサー３５の他端も、支持レール１０、１１に設けられた縦方向に延びる二つのビーズ状突起３７の間に固定され、取り付けネジ３４の捻り力により回転しないようになっている。
【００２３】
従って固定状態では、搭載用クロスバー１２〜１５は支持レール１０、１１に正確に直角に固定され、互いに動くことはない。このため、装置全体の正確な取り付けが容易となる。もちろん、ビーズ状の突起及び／又は凹みをスペーサー３５側にも設け、保持リブ２８や支持レール１０、１１を捻れに対して強固に固定することも可能である。また、取り付けを簡単にするため、スペーサー３５の側方に溝をあけ、スペーサーが取り付けネジ３４に側方で押し付けられるようにも出来る。スペーサー３５の長さは所定の配線スペース、即ち搭載用クロスバー１２〜１５と開閉装置のキャビネットの壁との間のスペースにより決められる。このため、スペーサー３５は必要に応じて種々の長さがとられる。スペーサ３５の態様としては、脱着可能な態様、あるいは保持リブ２８に一体的に形成される態様等が考えられる。
【００２４】
搭載用クロスバー１２〜１５は、一体的に形成された保持リブ２８に到るまでは平坦な帯状に構成される。また、搭載用クロスバー１２〜１５の上下両端には、配線コーム３９を差し込むための差込み式受容部３８が一体的に形成されている。この種の配線コームとしては、最初に述べたカタログ、ＤＥ４３２３３７０に挙げられるものが知られている。この配線コーム３９は隣合って並んだ複数の歯を有し、歯の間にケーブルやリード線を挟むことができる。配線コーム３９は好みの長さに切断でき、その長さは搭載用クロスバー１２〜１５のそれに合わせられる。配線コーム３９は、搭載用クロスバー１２〜１５の差込み式受容部３８に、単に差し込むだけで取り付けられ、また、容易に取り外すことができるように構成されている。配線コーム３９の歯は、板状の搭載用クロスバー１２〜１５の面に平行に延びている。
【００２５】
もちろん、全ての場合に配線コーム３９を搭載用クロスバー１２〜１５の両端に差し込む必要はなく、必要な場合のみでよい。搭載用クロスバー１２〜１５は、例えば開閉装置のキャビネット内で使用される電気ユニットを搭載するのに用いられ、そこで何列にも並べて開閉及び制御モジュールとして用いられる。このようなモジュールにはしばしば種々の幅の規格化されたハウジングがあり、例えばリレーモジュール、電源ユニット、指示器モジュール、混信排除モジュール、入出力モジュール、整流器モジュール、断路モジュール等として設計される。例えば、スライディングナット３２は固定に用いられるが、このような電気ユニット又はモジュールは、規格化されたカバーレール又はＣ−レールに差し込むように設計される。図１の上部の二つの搭載用クロスバー１２、１３には、このようなカバーレール４０が備えられている。カバーレール４０は鈎状の断面をもった二枚の帯状部材から形成され、各々の鈎端は互いに反対側へ延びている。これら二枚の帯状部材が取り付け溝３０の両側に設けられている。
【００２６】
図１において、これらのカバーレール４０は、搭載用クロスバー１２、１３上に一体的に形成されている。もちろん、完成したカバーレールを別の部品として構成し、一体的に形成したカバーレール４０を持たない搭載用クロスバー１４、１５のスライディングナット３２に固定する態様とすることもできる。搭載用クロスバー１２〜１５及び支持レール１０、１１は、いかなる所望の長さにも切断でき、例えば、開閉装置のキャビネットの大きさに合わせることができる。使用する電気ユニットのタイプにより、異なった幅の搭載用クロスバー１２〜１５を用いるのが好ましい。従って、搭載用クロスバー１２〜１５には種々の幅のものが使用でき、必要に応じ、異なった幅のカバーレールの付いた、又は付かない搭載用クロスバーを開閉装置のキャビネットに搭載できる。
【００２７】
支持レール１０、１１及び搭載用クロスバー１２〜１５の材質としては、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましいが、プラスチックで設計することもできる。配線コーム３９はプラスチック製が好ましい。
以上、複数の電気ユニットを特に開閉装置のキャビネットに固定し、配線するための器具について述べたが、発明の実施形態と発明の最良の実施例は上述のものに何ら限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱することない限り種々の態様をとりうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る二種類のデザインのクロスバーを四本備えた、二本の垂直な支持レールからなる器具全体の斜視図である。
【図２】支持レールに取り付けられた搭載用クロスバーの部分断面図である。
【図３】互いに反対側に開放された二つの取り付け溝を有する支持レールの部分断面図である。
【符号の説明】
１０，１１・・・支持レール、
１２，１３，１４，１５・・・搭載用クロスバー、
１６，１７・・・取り付け溝、 １８，１９・・・スライディングガイド、
２０，２１・・・スライディングナット、 ２８・・・保持リブ、
２９・・・搭載側、 ３０・・・取り付け溝、
３１・・・スライディングガイド、 ３２・・・スライディングナット、
３３・・・ネジ頭、 ３４・・・取り付けネジ、 ３５・・・スペーサー、
３９・・・配線コーム、 ４０・・・カバーレール

Claims (9)

1. 複数の電気ユニットを固定し配線するための器具であって、少なくとも一本の支持レールに固定され、前方搭載側に前記電気ユニットを搭載する少なくとも一本の搭載用クロスバーを備え、該搭載用クロスバーは、平坦な帯状部と、前記前方搭載側とは反対側である後部側に前記帯状部と一体的に形成された長尺な保持リブとを有し、該保持リブが、前記前方搭載側に向かって開放された取り付け溝を有し、該取り付け溝が、前記搭載用クロスバーを前記支持レールに前記保持リブを介して固定するための取り付けネジの頭を受け入れ、前記帯状部には配線コームが設けられ、更に、前記搭載用クロスバーに前記電気ユニットを固定するための固定手段を有し、
   前記保持リブと前記支持レールとの間に配設され、前記取り付けネジを挿通する挿通孔を有するスペーサーが備えられ、
   前記スペーサーは四角断面を有し、前記保持リブ側に設けられた凹み及び前記支持レール側に設けられた凹みを用いて捻れに対して強固に組み付けられ、前記凹みが平行に延びた二つのビーズ状の突起の間に形成されている、複数の電気ユニットを固定し配線するための器具。
2. 前記保持リブが、前記搭載用クロスバーのほぼ中央に位置することを特徴とする請求項１に記載の器具。
3. 前記搭載用クロスバーにおける前記帯状部の端部であって、前記帯状部の長手方向に延在している端部に、前記配線コームを差し込む手段を有している請求項１記載の器具。
4. 一対の間隔をあけた支持レールを有し、該支持レールの各々が前記保持リブに向かって開放された少なくとも一つの取り付け溝を有し、該取り付け溝には、前記取り付けネジと協働して前記取り付け溝内を移動するスライディングナットが備えられたことを特徴とする請求項１記載の器具。
5. 前記支持レールの各々は、該支持レールの後側に向かって開放された別の取り付け溝を有し、該別の取り付け溝には、別の取り付けネジと協働して前記支持レールを開閉装置のキャビネットに固定するスライディングナットが備えられたことを特徴とする請求項４記載の器具。
6. 開閉装置のキャビネットの控えボルトに係合可能な保持手段を有し、該保持手段が前記開閉装置のキャビネットを前記支持レールに係合させるための孔を有することを特徴とする請求項５載の器具。
7. 前記保持リブの前記取り付け溝に備えられた前記スライディングナットは、前記保持リブの前記取り付け溝にガイドされて移動し、前記取り付けネジの頭が前記スライディングナットの進行路から外れるように、前記スライディングナットが前記取り付け溝のベースから距離をおいて設けられたことを特徴とする請求項５記載の器具。
8. 前記搭載用クロスバーの前記前方搭載側に一体的に形成され、前記取り付け溝の両側に対称的に設けられて、カバーレールを形成する二つの鈎状の帯状部材を有することを特徴とする請求項５記載の器具。
9. 異なる幅寸法を有する複数の搭載用クロスバーが、少なくとも二本の支持レール上に設けられたことを特徴とする請求項５記載の器具。

Images