JP4215944B2 - 油圧ショベルのフロント制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベルのフロント制御装置に係わり、特に、領域制限掘削制御によりフロント作業機の動き得る領域を制限した掘削を行う油圧ショベルのフロント制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベルで掘削面の仕上げ作業や法面の成型作業を行うには、ブーム、アーム等の複数のフロント部材を同時に複合操作してバケット先端を直線状に動作させる必要がある。しかし、これらフロント部材はそれぞれが関節部によって連結され回動運動を行うものであるため、これらフロント部材を操作してフロント作業機のバケット先端を直線状に移動させることは、熟練を伴う非常に困難な作業である。また、上記のような作業ではバケットの姿勢を一定に保持しながらそのような動作を行わせることも望まれており、この作業は一層熟練を要する高度な作業となる。
【0003】
そこで、このような作業を容易にするため、各種のフロント制御装置が従来提案されており、その種の技術を開示する公知例として例えば特開平8−311918号公報、特開昭63−236827号公報、特許第1976647号公報等がある。
【0004】
特開平8−311918号公報は領域制限掘削制御と称する、掘削領域の境界に沿ってフロント作業機のバケット先端を動かせるフロント制御装置を提案している。このフロント制御装置は、検出信号からの信号によりフロント作業機の位置を演算する手段と、フロント作業機の動き得る掘削領域を設定する手段と、フロント作業機の速度ベクトルを演算する手段とを有し、フロント作業機のバケット先端と掘削領域の境界との間の距離に応じて速度ベクトルのうち当該境界に垂直な成分を減じるよう速度ベクトルを補正し、この補正した速度ベクトルが得られるようフロント作業機を駆動することにより、掘削領域の境界に沿ってフロント作業機のバケット先端を動かすようにしたものである。
【0005】
特開昭63−236827号公報は、バケット角度を元にしたフィードバック制御とアームの操作量を元にしたフィードフォワード制御を組み合わせることにより、制御開始時の応答遅れによる偏差を少なくしてバケット角の制御精度を向上させる技術を提案している。
【0006】
特許第1976647号公報は、バケット先端を直接制御点とし、ブーム・アーム・バケット回動速度の指令による速度フィードフォワード制御と目標角速度に関するフィードバック制御を行い、バケット爪先を直線状に動作させかつバケット対地角度を制御する技術を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下の間題点がある。
【0008】
特開平8−311918号公報に記載の領域制限掘削制御では、上記のようにフロント作業機のバケット先端の速度ベクトルを補正することにより、掘削領域の境界に沿ってフロント作業機のバケット先端を動かすことができ、バケット先端を直線状に動作させることができる。しかし、この制御ではバケットの姿勢を一定に保持することはできない。領域制限掘削制御でバケットの姿勢を一定に保持しながらバケット先端を直線状に動かすことが望まれている。
【0009】
特開昭63−236827号公報や特許第1976647号公報に記載の制御装置では、バケットの姿勢を一定に保持しながらバケット先端を直線状に動作させようとしている。しかし、特開昭63−236827号公報に記載の制御装置では、アーム先端を直線的に動作させ、バケット角度はその制御とは独立に制御する方法であり、それぞれの制御による偏差が重なるとバケット先端の偏差が大きくなる恐れがある。特許第1976647号公報に記載の制御装置では、バケット先端を制御点とし、バケット爪先を直線状に動作させかつバケット対地角度を制御しているため、そのような問題は無いと考えられる。しかし、この従来技術は、負荷外乱等による影響について補償する手段については言及しておらず、幾何学的な原理原則の内容にとどまっており、実際にこの制御を行う場合は、外乱等の補償方法について考慮する必要がある。また、ブーム・アーム・バケット回動速度の指令による速度フィードフォワード制御と目標角速度に関するフィードバック制御を行い、バケット爪先を直線状に動作させかつバケット対地角度を制御する技術であるため、そのバケット爪先を直線状に動作させる制御とバケット対地角度の制御が一体不可分となっており、バケット対地角度の制御部分だけを分離し特開平8−311918号公報に記載のような領域制限掘削制御に適用することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、フロント作業機の動き得る領域を制限した掘削制御を行う領域制限掘削制御に際して、掘削時の負荷による影響を極力押さえるとともに、領域制限掘削制御の演算部分に干渉することなく、バケットの姿勢を一定に保持する制御を容易に組み込むことができる油圧ショベルのフロント制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、多関節型のフロント作業機を構成する上下方向に回動可能なブーム、アーム、バケットを含む複数のフロント部材と、前記複数のフロント部材をそれぞれ駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数のフロント部材の動作を指示する複数の操作手段と、前記複数の操作手段の操作信号に応じて駆動され、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の油圧制御弁とを備える油圧ショベルに備えられ、前記フロント作業機に領域を制限した掘削を連続して行わせる油圧ショベルのフロント制御装置において、(a)前記フロント作業機の位置と姿勢に関する状態量を検出する検出手段と、(b)前記検出手段からの信号に基づき前記フロント作業機の位置と姿勢を演算する第1演算手段と、(c)前記検出手段からの信号に基づき前記アーム及びバケットの実動作速度を演算し、この動作速度から前記フロント作業機のバケット先端の速度ベクトルを演算する第2演算手段と、(d)前記フロント作業機のバケット先端が予め設定した領域内でその設定領域の境界の近傍にあるとき、前記第1及び第2演算手段の演算値に基づき、前記第2演算手段で演算した前記速度ベクトルの前記設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分を減じる減速ベクトルを演算する第3演算手段と、(e)前記第3演算手段で演算した前記減速ベクトルに対応する前記ブームの操作信号を演算しこれを対応する油圧制御弁に出力する第4演算手段と、(f)前記第3演算手段で演算した減速ベクトルに対応する前記ブームの目標動作速度を演算し、このブームの目標動作速度と前記検出手段で検出した前記フロント作業機の位置と姿勢に関する状態量とから前記バケットの姿勢を一定に保持するための前記バケットの操作信号を演算し、このバケットの操作信号を対応する油圧制御弁に出力する第5演算手段とを備えるものとする。
【0012】
このように第2演算手段でアーム及びバケットの実動作速度を演算し、この動作速度からフロント作業機のバケット先端の速度ベクトルを演算し、第3演算手段でその速度ベクトルに対する減速ベクトルを演算し、第4演算手段でその減速ベクトルに対応するブームの操作信号を演算し対応する油圧制御弁に出力することにより、バケット先端が設定領域を越えないフロント作業機の制御(領域制限掘削制御)を行うことができる。また、このとき、掘削時の負荷によってアーム及びバケットのアクチュエータ速度が操作信号の目標値と異なっていても、第2演算手段で演算される速度ベクトルは実動作速度に基づく実際の速度ベクトルであるため、第3演算手段で演算した減速ベクトルも実測値を反映した値となっており、掘削時の負荷に係わらず精度良く領域制限掘削制御を行うことができる。
【0013】
また、第5演算手段で第3演算手段で演算した減速ベクトルに対応するブームの目標動作速度を演算し、このブームの目標動作速度と検出手段で検出したフロント作業機の位置と姿勢に関する状態量とからバケットの姿勢を一定に保持するバケットの操作信号を演算し対応する油圧制御弁に出力することにより、バケットが一定の姿勢を保持するようフロント作業機を制御することができる。また、このとき、領域制限掘削制御の演算に用いたのと同じ演算値或いは状態量を用いてバケットの姿勢を一定に保持する制御の演算を行うので、領域制限掘削制御の演算部分に干渉することなく、簡単なソフトの追加でバケットの姿勢を一定に保持する制御を容易に組み込むことができ、制御プログラムのデバッグを容易に行うことができる。
【0014】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第3演算手段は、前記減速ベクトルとして、そのときの設定領域の境界とバケット先端との距離に対応する第1減速ベクトルと、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が0であると仮定した第2減速ベクトルとを演算し、前記第4演算手段は前記第1減速ベクトルを用いて前記ブームの操作信号を演算し、前記第5演算手段は前記第2減速ベクトルを用いて前記ブームの目標動作速度を演算する。
【0015】
これにより第1減速ベクトルを用いてバケット先端が設定領域を越えないよう制御できるとともに、第2減速ベクトルを用いて設定領域の境界の手前から、バケット先端が設定領域の境界状に到達したときの角度と同じ角度でバケットの姿勢を一定にする制御を行える。
【0016】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記第3演算手段は、設定領域の境界とバケット先端との距離の関数として減速係数を予め設定しておき、この予め設定した関数から前記設定領域の境界とバケット先端との距離に対応する減速係数を求め、前記第1及び第2減速ベクトルを演算する。
【0017】
これにより同じ関数を用いて第1及び第2減速ベクトルを演算でき、ソフトを簡素化できる。
【0018】
(4)また、上記(2)において、好ましくは、前記第3演算手段は、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が第1の値以下になると前記第1減速ベクトルの演算を開始し、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が前記第1の値より小さい第2の値以下になると前記第2減速ベクトルの演算を開始する。
【0019】
これにより設定領域の境界の手前からバケットの姿勢を一定にする制御を行うとき、設定領域の境界に近い位置からバケット姿勢が一定となるよう制御され、操作性が良好となる。
【0020】
(5)更に、上記(1)において、前記第2演算手段は、前記検出手段からの信号に基づき前記アーム及びバケットの実動作速度としてアーム及びバケットの実角速度を演算し、前記第5演算手段は、前記ブームの目標動作速度としてブームの目標角速度を演算し、このブームの目標角速度と前記第2演算手段で演算したアームの実角速度とから、バケットが一定の角度を保つ動作をするときブームの角速度とアームの角速度とバケットの角速度との和が0になる関係を用いて前記バケットの目標角速度を演算し、このバケットの目標角速度から前記バケットの操作信号を演算する。
【0021】
これによりバケットの姿勢を一定とする操作信号を演算できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態に係わるフロント制御装置を油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置とともに示す図である。
【0024】
図1において、本発明が適用される油圧ショベルは、油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2から吐出される圧油により駆動されるブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fを含む複数の油圧アクチュエータと、これら油圧アクチュエータ3a〜3fのそれぞれに対応して設けられた複数の操作レバー装置4a〜4fと、油圧アクチュエータ3a〜3fに供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁5a〜5fと、油圧ポンプ2と流量制御弁5a〜5fの間の圧力が設定値以上になった場合に開くリリーフ弁6とを有し、これらは油圧ショベルの被駆動部材を駆動する油圧駆動装置を構成している。
【0025】
本実施の形態では、操作レバー装置4a〜4fは操作信号として電気信号を出力する電気レバー装置であり、流量制御弁5a〜5fは電気信号をパイロット圧に変換する電気油圧変換手段、例えば比例電磁弁を両端に備えた電気・油圧操作方式である。
【0026】
図2に油圧ショベルの外観を示す。油圧ショベルは、垂直方向にそれぞれ回動するブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業機1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成され、フロント作業機1Aのブーム1aの基端は上部旋回体1dの前部に指示されている。ブーム1a、アーム1b、バケット1c、上部旋回体1d及び下部走行体1eはそれぞれブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fによりそれぞれ駆動され、それらの動作は上記操作レバー装置4a〜4fにより指示される。
【0027】
以上のような油圧ショベルに本実施の形態に係わるフロント制御装置が設けられている。この制御装置は、予め作業に応じてフロント作業機の所定部位、例えばバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定を指示するとともに、領域制限掘削制御の開始やバケット角一定保持制御の開始を指示する設定器7と、ブーム1a、アーム1b及びバケット1cのそれぞれの回動支点に設けられ、フロント作業機1Aの位置と姿勢に関する状態量としてそれぞれの回動角を検出する角度検出器8a,8b,8cと、設定器7の設定信号、操作レバー装置4a〜4fの操作信号を入力し、バケット1cの先端が動き得る掘削領域を設定すると共に操作信号の補正を行う制御ユニット9から構成されている。
【0028】
設定器7は、操作パネルあるいは操作レバーのグリップ上に設けられたスイッチ等の入力手段により、制御の開始や設定の信号を制御ユニット9に出力し、制御の開始や掘削制限領域の設定を指示するものである。操作パネル上には表示装置等、他の補助手段があってもよい。図1に示す例では、設定器7に領域制限開始スイッチ7a、バケット角一定保持スイッチ7b、ダイレクトティーチスイッチ7cが設けられている。
【0029】
制御ユニット9は領域設定部と領域制限掘削制御部とを有し、領域設定部では、設定器7からの指示でバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定演算を行う。その一例を図3を用いて説明する。
【0030】
まず初めに、掘削領域の初期値として、フロント作業機1Aが届かない位深い値をセットしておく。なぜならば、設定器7の制御開始スイッチ7aをONにした時から領域制限掘削制御が有効になるとすれば、その後フロント作業機1Aが動作し得る範囲で自由に動き、動作範囲内で掘削領域を自由に設定できるようにするためには、掘削領域の初期値は油圧ショベルのある位置からはるか下方に設定しておかなければならないからである。ここでは一例として、掘削領域の初期値は直線式でY=−20mとしておく。
【0031】
次に、図3において、オペレータによる操作レバー装置の操作でバケット1cの先端を点P1の位置に動かした後、設定器7のダイレクトティーチスイッチ7cを押してそのときのバケット1cの先端位置を計算する。
【0032】
制御ユニット9のROM等の記憶部にはフロント作業機1A及び車体1Bの各部寸法が記憶されており、領域設定部はこれらのデータと、角度検出器8a,8b,8cで検出した回動角α,β,γの値を用いてP1の位置を計算する。このときP1の位置は例えばブーム1aの回動支点を原点としたXY座標系の座標値(X1,Y1)として求める。XY座標系は本体1Bに固定した直交座標系であり、垂直面内にあるとする。回動角α,β,γからXY座標系の座標値(X1,Y1)は、ブーム1aの回動支点とアーム1bの回動支点との距離をL1、アーム1bの回動支点とバケット1cの回動支点の距離をL2、バケット1cの回動支点とバケット1cの先端との距離をL3とすれぱ、下記の式より求まる。
【0033】
X1=L1sinα+L2sin(α+β)+L3sin(α+β+γ)
Y1=L1cosα+L2cos(α+β)+L3cos(α+β+γ)
制御ユニット9の領域設定部では、P1のY座標値より、掘削領域の直線式を下記の式を用いて計算する。
【0034】
Y=Y1
このように計算した値は掘削領域の設定値として制御ユニット9のRAM等の記憶部に記憶される。
【0035】
以上のように設定した掘削領域に関して、制御ユニット9の領域制限掘削制御部では、図4にフローチャートで示す処理手順によりフロント作業機1Aの動き得る領域を制限する制御を行う。以下、その内容を図4に示すフローチャートにより説明する。
【0036】
まず、手順110において、設定器7の領域制限開始スイッチ7aがONかどうかを判断する。設定器7の領域制限開始スイッチ7aがONであれば手順120に進む。
【0037】
次に、手順120において、操作レバー装置4a〜4fの操作信号を入力し、手順130において、角度検出器8a,8b,8cにより検出したブーム1a、アーム1b及びバケット1cの回動角を入力する。
【0038】
次に手順140において、検出した回動角α,β,γと予め入力してあるフロント作業機1Aの各部寸法とに基づきフロント作業機1Aの位置と姿勢の計算を行い、フロント作業機1Aのバケット1cの先端位置を計算する。この時の計算は、先の領域設定部におけるバケット先端位置の計算と同じであり、この場合も、バケット先端の位置はXY座標系の値として求める。
【0039】
次に、手順180において、アーム角度検出器8b及びバケット角度検出器8cの信号を微分してアーム1b及びバケット1cの実際の角速度ωb,ωcを求め、この角速度から油圧シリンダ3b,3cの駆動速度を求め、この駆動速度とフロント作業機1Aの各部寸法を用いてバケット先端の速度ベクトルVcを演算する。そして、速度ベクトルVcの設定領域の境界に平行な方向のベクトル成分Vcxと垂直な方向のベクトル成分Vcyを求める。ここで、速度ベクトルVcのX座標成分Vcxは速度ベクトルVcの設定領域の境界に平行な方向のベクトル成分となり、Y座標成分Vcyは速度ベクトルVcの設定領域の境界に垂直な方向のベクトル成分となる。
【0040】
次に手順190において、バケット1cの先端が、上記のように設定した図5に示すような設定領域内の境界近傍の領域である減速領域にある場合か否かを判定し、減速領域にある場合には手順200に進み、フロント作業機1Aの減速制御演算を行い、減速領域にない時には手順210に進む。手順200の減速制御演算では、アーム用操作レバー装置4bの操作信号自体を減速する(操作指令値を小さくする)処理(アーム減速制御処理)と、手順180で計算したフロント作業機1Aのバケット1cの先端の速度ベクトルVcの設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分(Vcy)を減じる処理(減速方向変換処理;後述)とを行う。
【0041】
次に手順210において、バケット1cの先端が上記のように設定した図5に示すような設定領域外にある場合か否かを判定し、設定領域外にある場合には手順220に進み、フロント作業機1Aの復元制御演算を行い、設定領域外にないときには手順230に進む。手順220の復元制御演算では、アーム用操作レバー装置4bの操作信号自体を減速する(操作指令値を小さくする)処理(アーム減速処理)と、手順180で計算したフロント作業機1Aのバケット1cの先端の速度ベクトルVcの設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分(Vcy)を設定領域の協会に向かう方向の成分に変換する処理(復元方向変換処理;後述)とを行う。
【0042】
ここで、手順190における減速領域にあるか否かの判定及び手順200における減速方向変換処理、手順210における設定領域外に侵入したか否かの判定について、図5〜図7を用いて説明する。
【0043】
制御ユニット9の記憶装置には、図6に示すような設定領域の境界とバケット1cの先端との距離D1と減速ベクトル係数hとの関係が演算・記憶されている。この距離D1と係数hとの関係は、距離D1が距離Ya1よりも大きいときはh=0であり、D1がYa1よりも小さくなると、距離D1が減少するにしたがって減速ベクトル係数hが増大し、距離D1=0でh=1となるように設定されている。
【0044】
手順190では、手順140で演算されたバケット1cの先端位置と上記のように領域設定部9aに設定された掘削領域の設定値とからバケット1cの先端位置と設定領域の境界との距離D1を計算し、この距離D1が距離Ya1より小さくなると減速領域に侵入したと判定する。また、手順210では、距離D1が負の値になったら設定領域外に侵入したと判断する。
【0045】
また、手順200では、手順180で計算したバケット1cの先端の速度ベクトルVcの設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分である設定領域の境界に対し垂直方向のベクトル成分、すなわちXY座標系におけるY座標の成分Vcyを減じるための減速ベクトルVRを求める。具体的には、記憶装置に記憶した図6に示す関係からそのときの設定領域の境界とバケット1cの先端との距離D1に対応する減速ベクトル係数hを計算し、この減速ベクトル係数hを速度ベクトルVcのY座標の成分(垂直方向のベクトル成分)Vcyに乗じ、更に−1を乗じて滅速ベクトルVR(=−hVcy)を求める。ここで、減速ベクトルVRはバケット1cの先端と設定領域の境界との距離D1がYa1より小さくなるにしたがって大きくなり、D1=0でVR=−VcyとなるVcyの逆方向の速度ベクトルである。このため、減速ベクトルVRを速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyに加算することにより(後述)、距離D1がYa1より小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyの減少量が大きくなるようベクトル成分Vcyが減じられ、速度ベクトルVcは速度ベクトルVcaに補正される。
【0046】
バケット1cの先端が上記のように補正された速度ベクトルVcaの通りに減速制御されたときの軌跡の一例を図7に示す。速度ベクトルVcが斜め下方に一定であるときには、その平行成分Vcxは一定となり、垂直成分Vcyはバケット1cの先端が設定領域の境界に近づくにしたがって(距離D1がYa1より小さくなるにしたがって)小さくなる。補正後の速度ベクトルVcaはその合成であるので、軌跡は図7のように設定領域の境界に近づくにつれて平行となる曲線状となる。また、D1=0でh=1、VR=−Vcyとなるので、設定領域の境界上での補正後の速度ベクトルVcaは平行成分Vcxに一致する。
【0047】
手順220における復元方向変換処理について、図8及び図9を用いて説明する。前述したようにこの処理はバケット1cの先端位置と設定領域の境界との距離D1が負の値になったときのものであり、便宜上D1の絶対値をD2に置き換えて説明する。
【0048】
手順220では、手順180で計算したバケット1cの先端の速度ベクトルVcの設定領域の境界に対し垂直方向のベクトル成分、すなわちXY座標系のY座標の成分Vcyを設定領域の境界に接近する方向の垂直成分に変えるための復元ベクトルVR2を求める。具体的には、垂直方向のベクトル成分VcyをキャンセルするためのVcyの逆方向ベクトルAcyを求める。そして次に、記憶装置に記憶した図8に示す関係からそのときの設定領域の境界とバケット1cの先端との距離D2の絶対値に相当する加算用復元ベクトルARを計算し、Vcyの逆方向ベクトルAcyと加算用復元ベクトルARの和を復元ベクトルVR2とする(VR2=Acy+AR)。ここで、加算用復元ベクトルARはバケット1cの先端と設定領域の境界との距離D2が小さくなるにしたがつて小さくなるよう設定されている。このため、復元ベクトルVR2(=Acy+AR)を速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyに加算することにより(後述)、距離D2が小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyが小さくなるよう、速度ベクトルVcは速度ベクトルVcaに補正される。
【0049】
バケット1cの先端が上記のように補正した速度ベクトルVcaの通りに復元制御されたときの軌跡の一例を図9に示す。速度ベクトルVcが斜め下方に一定であるときには、その平行成分Vcxは一定となり、また復元ベクトルARは距離D2に比例するので垂直成分Vcyはバケット1cの先端が設定領域の境界に近づくにしたがって(距離D2が小さくなるにしたがって)小さくなる。補正後の速度ベクトルVcaはその合成であるので、軌跡は図9のように設定領域の境界に近づくにつれて平行となる曲線状となる。
【0050】
図4に戻り、次に手順230において、手順200又は220で得た滅速ベクトルVRあるいは復元ベクトルVR2(=Acy+AR)に対応するブーム用流量制御弁5aの操作信号を演算する。具体的には、まず、滅速ベクトルVRあるいは復元ベクトルVR2に対応するブーム1aの角速度の目標値を演算し、それにリンク変換を行い、ブーム角速度の目標値に相当するブーム1aの操作信号を演算する。
【0051】
ここで、この操作信号を流量制御弁5aに出力しブーム1aを操作することは、滅速ベクトルVRあるいは復元ベクトルVR2が得られるようブーム上げを行うことであり、減速制御では、減速ベクトルVRを速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyに加算することに相当し、復元制御では、復元ベクトルVR2を速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyに加算することに相当する。
【0052】
次に手順300では、設定器7のバケット角一定保持スイッチ7bがONかどうかを判断し、更に手順310で、上記のように手順190で計算されたバケット1cの先端位置と設定領域の境界との距離D1が距離Ya2より小さくなったかどうかを判断する。ここで、距離Ya2は図6に示すようにYa2<Ya1であり、設定領域の境界近傍に設定する。なお、バケット角一定保持スイッチ7bを設けずに、フロント作業機1Aの姿勢(例えばバケット1cの角度)でバケット角一定保持制御がONかどうかを判断し、自動でバケット角一定保持制御を開始するようにしてもよい。
【0053】
そして手順300,310の両方で肯定されれば手順320に進み、バケット角一定保持制御のためのバケットに対する操作信号を演算する。
【0054】
手順320の詳細を図10に示す。
【0055】
まず、手順322では手順200で行ったように、図6に示すような設定領域の境界とバケット1cの先端との距離D1と減速ベクトル係数hとの関係を用い、減速制御における減速ベクトルVRを演算するが、ここでは領域制限掘削制御によりバケット1cの先端は常に設定領域の境界上を移動していると仮定し、バケットと先端と設定領域の境界との距離D1は0として減速制御演算を行い、修正減速ベクトルVARを演算する。
【0056】
次に手順323において、修正減速ベクトルVARに対応するブーム1aの角速度の目標値(目標角速度)ωaを演算する。
【0057】
次に手順324では、手順180でアーム角度検出器8bの信号を微分して求めたアーム1bの実際の角速度(アーム角速度の実測値)ωbと、手順323で求めたブームの目標角速度ωaとからバケット1cの目標角速度ωcを演算する。ここで、バケットと1cが車体1Bに対して一定の角度(姿勢)、つまり一定の対地角度を保つ動作をする場合、ωa+ωb+ωc=0の関係が成り立つ。手順324ではその関係を用いて以下の式よりバケット1cの目標角速度ωcを演算する。
【0058】
ωc=−ωa−ωb
手順325では、手順324で得たバケット1cの目標角速度ωcにリンク変換を行い、ωcに相当するバケット1cの操作信号を演算する。
【0059】
図4に戻り、次に手順240では手順110,300,310での判断結果に応じて操作信号を出力する。まず、手順110,300,310の全て肯定された場合は、手順120で入力した旋回及び走行用操作レバー装置4d〜4fの操作信号と、手順200又は220で計算したアーム減速処理の操作信号と、手順230で計算したブームの操作信号と、手順310で計算したバケットの操作信号を出力する。手順110で肯定され、手順300,310の少なくとも一方で否定された場合は、手順120で入力したバケット、旋回及び走行の操作信号と、手順200又は220で計算したアーム減速処理の操作信号と、手順230で計算したブームの操作信号を出力する。更に、手順110で否定された場合は、手順250で操作レバー装置4a〜4fの操作信号を入力し、手順240では、それらの操作信号を出力する。
【0060】
領域制限掘削制御を終了させる場合は、設定器7の領域制限開始スイッチ7aをもう一度押して、0FFにする。この時、それまで設定されていた掘削領域の設定値(掘削領域の直線式)は初期値のY=−20mにリセットされる。
【0061】
以上によりバケット1cの先端を設定領域の境界に沿って移動させる領域制限掘削制御を行いながら、アーム1bの動作及びブーム1aの制御目標値を元にしてバケット1cを制御することにより、バケットの対地角度が一定に保持されるバケット角一定保持制御を行うことができる。
【0062】
図11に本実施の形態に係わる領域制限掘削制御とバケット角一定保持制御の関係を機能ブロック図で示す。図中、実線は領域制限掘削制御に係わる部分を示し、破線はバケット角一定保持制御に係わる部分を示している。
【0063】
図11において、本実施の形態のフロント制御装置は、アーム速度指令値の演算部50、アーム減速制御演算部51、アーム出力指令値演算部52、アーム各速度の実測値演算部53、ブーム速度指令値の演算部59、フロント姿勢演算部60、速度ベクトル演算部61、減速ベクトル演算部62、ブーム角速度の目標値演算部63、リンク変換部64、ブーム出力指令値演算部65、偏差を0と改定した修正減速ベクトル演算部70、ブーム角速度の目標値演算部71、バケット速度指令値演算部72、バケット角速度の目標値演算部73、リンク変換部74、バケット出力指令値演算部75、バケット角速度の実測値演算部76を有している。これら各演算部と図4及び図10に示したフローチャートの手順との対応は次のようである。
【0064】
アーム速度指令値の演算部50:手順120
アーム減速制御演算部51:手順200,220
アーム出力指令値演算部52:手順200,220,240
アーム各速度の実測値演算部53:手順180,320(321)
ブーム速度指令値の演算部59:手順120
フロント姿勢演算部60:手順140
速度ベクトル演算部61:手順180
減速ベクトル演算部62:手順200,220
ブーム角速度の目標値演算部63:手順230
リンク変換部64:手順230
ブーム出力指令値演算部65:手順230,240
偏差を0と改定した修正減速ベクトル演算部70:手順320(322)
ブーム角速度の目標値演算部71:手順320(323)
バケット速度指令値演算部72:手順120
バケット角速度の目標値演算部73:手順320(324)
リンク変換部74:手順320(325)
バケット出力指令値演算部75:手順320(325),240
バケット角速度の実測値演算部76:手順180
以上のように構成した本実施の形態によれば、アーム1b、バケット1cの実際の角速度を元にしてバケット先端の速度ベクトルVcを演算し、これから減速ベクトルVRを演算してブーム1aを制御することで、バケット先端が設定領域に沿って動作する領域制限掘削制御を行うので、掘削時の負荷などによりアーム、バケットが操作レバー装置4b,4cの操作信号が指令する目標速度通りに動作しなくても、ブーム1aはアーム1b、バケット1cの実際の動作速度に応じて動作するため、バケット先端が設定領域外に侵入しないよう精度よく制御できる。
【0065】
また、バケット1cの対地角度を一定に保持しながら領域制限掘削制御を行う際、バケットの目標角速度ωcの演算には、領域制限掘削制御の演算で用いたのと同じ速度ベクトルVcや図6に示す関係を用いて演算したブームの目標角速度ωaと、やはり領域制限掘削制御の演算で用いたのと同じアームの実角速度ωbとを用いているので、領域制限掘削制御の演算部分に干渉することなく、簡単なソフトの追加でバケットの姿勢を一定に保持する制御を容易に組み込むことができ、制御プログラムのデバッグが容易となり、プログラミングのミスを予防できる。
【0066】
また、バケツト角一定保持制御の演算では、設定領域の境界とバケット先端との距離が0であると仮定して演算した修正減速ベクトルVARからブーム1aの目標角速度ωaを演算し、バケット1cの目標角速度ωcを演算するので、設定領域の境界とバケット先端との距離がYa2以下になればバケット先端が設定領域の境界に到達していなくても、設定領域の境界の手前から、バケット先端が設定領域の境界状に到達したときの角度と同じ角度でバケット1cの姿勢が一定となるよう制御されるとともに、この制御を開始する距離Ya2を領域制限掘削制御を開始する距離Ya1より小さい、設定領域の境界近傍の値に設定してあるので、設定領域の境界に近い位置からバケット姿勢が一定となるよう制御される。このため、バケツト角一定保持制御をスムーズに行うことができ、操作性を大幅に向上できる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態では、バケツト角一定保持制御において、アームの実際の角速度ωbとブームの目標角速度ωaに基づいて計算したバケットの目標角速度ωcより直接バケット1cの操作信号を演算したが、バケットの目標対地角度と実際のバケット対地角度の偏差に応じたフィードバック制御を組み込み、ωcの値を補正するような制御演算を加えてもよい。
【0068】
また、上記の実施の形態では、バケツト角一定保持制御で、設定領域の境界とバケット先端との距離が0であると仮定して修正減速ベクトルVAR演算し、この値を基にしてブーム1aの目標角速度ωaを演算しバケット1cの目標角速度ωcを演算したが、領域制限掘削制御で演算した減速ベクトルVRをそのまま用いてもよく、この場合は距離Ya2でバケツト角一定保持制御を開始したときの角度でバケット1cの姿勢が一定となるよう制御することができる。また、上記の実施の形態では、バケット角一定保持制御を開始する距離Ya2を領域制限掘削制御を開始する距離Ya1より小さい値に設定したが、領域制限掘削制御と同じ距離に設定してもよく、この場合は、領域制限掘削制御と同時にバケツト角一定保持制御を行うことができるとともに、修正減速ベクトルVARを演算する必要がないので、制御演算を簡素化できる。
【0069】
更に、上記の実施の形態では、フロント作業機がブーム、アーム、バケットの3つのフロント部材を有する油圧ショベルに本発明を適用した場合について説明したが、ブームが第1ブームと第2ブームとからなる2ピースブーム式或いはオフセット式のフロント作業機を有する油圧ショベルに本発明を適用してもよく、この場合は、例えば車体に最も近い第1ブームを上記の実施の形態でのブームとして扱えばよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、操作レバー装置は電気レバー方式としたが、油圧パイロット方式であってもよい。また、フロント作業機の位置と姿勢に関する状態量を検出する手段として回動角を検出する角度検出器を用いたが、シリンダのストロークを検出してもよい。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、掘削時の負荷に係わらず精度良く領域制限掘削制御を行うことができるとともに、領域制限掘削制御の演算部分に干渉することなく、簡単なソフトの追加でバケットの姿勢を一定に保持する制御を容易に組み込むことができ、制御プログラムのデバッグが容易となり、プログラミングのミスを予防できる。
【0072】
また、設定領域の境界の手前から、バケット先端が設定領域の境界状に到達したときの角度と同じ角度でバケット角一定保持制御を行え、操作性を向上できる。 更に、設定領域の境界に近い位置からバケット角一定保持制御を行え、この点でも操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルのフロント制御装置を油圧駆動装置と共に示す図である。
【図2】本発明が適用される油圧ショベルの外観とその周囲の設定領域の形状を示す図である。
【図3】領域制限掘削制御で用いる座標系と領域の設定方法を示す図である。
【図4】領域制限掘削制御のための演算とバケット角一定保持制御のための演算を行う制御手順を示すフローチャートである。
【図5】領域制限掘削制御における減速領域及び復元領域での速度ベクトルの補正方法を示す図である。
【図6】領域制限掘削制御におけるバケットの先端と設定領域の境界との距離と減速ベクトルとの関係を示す図である。
【図7】領域制限掘削制御でバケットの先端が補正通りに減速制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
【図8】領域制限掘削制御におけるバケットの先端と設定領域の境界との距離と復元ベクトルとの関係を示す図である。
【図9】領域制限掘削制御でバケットの先端が補正通りに復元制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
【図10】バケット角一定保持制御のためのバケットの操作信号を演算する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】領域制限掘削制御とバケット角一定保持制御の関係を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1A フロント作業機
1B 車体
1a ブーム
1b アーム
1c バケット
1d 上部旋回体
1e 下部走行体
2 油圧ポンプ
3a〜3f 油圧アクチュエータ
4a〜4f 操作レバー装置
5a〜5f 流量制御弁
6 リリーフ弁
7 設定器
8a,8b,8c 角度検出器
9 制御ユニット
50 アーム速度指令値の演算部
51 アーム減速制御演算部
52 アーム出力指令値演算部
53 アーム各速度の実測値演算部
59 ブーム速度指令値の演算部
60 フロント姿勢演算部
61 速度ベクトル演算部
62 修正速度ベクトル演算部
63 ブーム角速度の目標値演算部
64 リンク変換部
65 ブーム出力指令値演算部
70 偏差を0と改定した修正速度ベクトル演算部
71 ブーム角速度の目標値演算部
72 バケット速度指令値演算部
73 バケット角速度の目標値演算部
74 リンク変換部
75 バケット出力指令値演算部
76 バケット角速度の実測値演算部
Claims (5)
- 多関節型のフロント作業機を構成する上下方向に回動可能なブーム、アーム、バケットを含む複数のフロント部材と、前記複数のフロント部材をそれぞれ駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数のフロント部材の動作を指示する複数の操作手段と、前記複数の操作手段の操作信号に応じて駆動され、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の油圧制御弁とを備える油圧ショベルに備えられ、前記フロント作業機に領域を制限した掘削を連続して行わせる油圧ショベルのフロント制御装置において、
(a)前記フロント作業機の位置と姿勢に関する状態量を検出する検出手段と、
(b)前記検出手段からの信号に基づき前記フロント作業機の位置と姿勢を演算する第1演算手段と、
(c)前記検出手段からの信号に基づき前記アーム及びバケットの実動作速度を演算し、この動作速度から前記フロント作業機のバケット先端の速度ベクトルを演算する第2演算手段と、
(d)前記フロント作業機のバケット先端が予め設定した領域内でその設定領域の境界の近傍にあるとき、前記第1及び第2演算手段の演算値に基づき、前記第2演算手段で演算した前記速度ベクトルの前記設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分を減じる減速ベクトルを演算する第3演算手段と、
(e)前記第3演算手段で演算した前記減速ベクトルに対応する前記ブームの操作信号を演算しこれを対応する油圧制御弁に出力する第4演算手段と、
(f)前記第3演算手段で演算した減速ベクトルに対応する前記ブームの目標動作速度を演算し、このブームの目標動作速度と前記検出手段で検出した前記フロント作業機の位置と姿勢に関する状態量とから前記バケットの姿勢を一定に保持するための前記バケットの操作信号を演算し、このバケットの操作信号を対応する油圧制御弁に出力する第5演算手段とを備えることを特徴とする油圧ショベルのフロント制御装置。 - 請求項1記載の油圧ショベルのフロント制御装置において、前記第3演算手段は、前記減速ベクトルとして、そのときの設定領域の境界とバケット先端との距離に対応する第1減速ベクトルと、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が0であると仮定した第2減速ベクトルとを演算し、前記第4演算手段は前記第1減速ベクトルを用いて前記ブームの操作信号を演算し、前記第5演算手段は前記第2減速ベクトルを用いて前記ブームの目標動作速度を演算することを特徴とする油圧ショベルのフロント制御装置。
- 請求項2記載の油圧ショベルのフロント制御装置において、前記第3演算手段は、設定領域の境界とバケット先端との距離の関数として減速係数を予め設定しておき、この予め設定した関数から前記設定領域の境界とバケット先端との距離に対応する減速係数を求め、前記第1及び第2減速ベクトルを演算することを特徴とする油圧ショベルのフロント制御装置。
- 請求項2記載の油圧ショベルのフロント制御装置において、前記第3演算手段は、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が第1の値以下になると前記第1減速ベクトルの演算を開始し、前記設定領域の境界と前記バケット先端との距離が前記第1の値より小さい第2の値以下になると前記第2減速ベクトルの演算を開始することを特徴とする油圧ショベルのフロント制御装置。
- 請求項1記載の油圧ショベルのフロント制御装置において、前記第2演算手段は、前記検出手段からの信号に基づき前記アーム及びバケットの実動作速度としてアーム及びバケットの実角速度を演算し、前記第5演算手段は、前記ブームの目標動作速度としてブームの目標角速度を演算し、このブームの目標角速度と前記第2演算手段で演算したアームの実角速度とから、バケットが一定の角度を保つ動作をするときブームの角速度とアームの角速度とバケットの角速度との和が0になる関係を用いて前記バケットの目標角速度を演算し、このバケットの目標角速度から前記バケットの操作信号を演算することを特徴とする油圧ショベルのフロント制御装置。
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