本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、前記実施の形態に係る油圧ショベルを示す。なお、本発明が適用される作業機械は前記油圧ショベルに限らない。本発明は、第1及び第2要素を含む作業装置を備え、当該作業装置において設定される対象部位を目標軌跡に沿って移動させる自動制御の要請がある作業機械に広く適用され得るものである。
前記油圧ショベルは、地盤Gの上を走行可能な下部走行体10と、前記下部走行体10に搭載される上部旋回体12と、上部旋回体12に搭載される作業装置14と、当該作業装置14を駆動する作業駆動装置と、を備える。
前記下部走行体10及び前記上部旋回体12は、前記作業装置14を支持する機体を構成する。前記上部旋回体12は、旋回フレーム16と、その上に搭載される複数の要素と、を有する。当該複数の要素は、エンジンを収容するエンジンルーム17や運転室であるキャブ18を含む。
前記作業装置14は、掘削作業その他の必要な作業のための動作を行うことが可能であり、ブーム20、アーム22及びバケット24を含む。前記ブーム20は、前記旋回フレーム16の前端に起伏可能すなわち水平軸回りに回動可能に支持される基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記アーム22は、前記ブーム20の先端部に水平軸回りに回動可能に取付けられる基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記バケット24は、先端アタッチメントに相当するものであり、前記アーム22の先端部に回動可能に取付けられる。
前記作業駆動装置は、前記ブーム20、前記アーム22及び前記バケット24のそれぞれについて設けられる複数の伸縮可能な油圧シリンダ、すなわちブームシリンダ26、アームシリンダ27及びバケットシリンダ28と、図2に示される油圧回路を構成する第1メインポンプ31及び第2メインポンプ32と、を含む。
前記ブームシリンダ26は、前記上部旋回体12と前記ブーム20との間に介在し、当該ブーム20に起伏動作を行わせるように伸縮するブームアクチュエータである。当該ブームシリンダ26は、図2に示されるへッド側室26h及びロッド側室26rを有し、当該へッド側室26hに作動油が供給されることにより伸長して前記ブーム20を上げ方向に動かすとともに前記ロッド側室26r内の作動油を排出する一方、前記ロッド側室26rに作動油が供給されることにより収縮して前記ブーム20を下げ方向に動かすとともに前記へッド側室26h内の作動油を排出する。
前記アームシリンダ27は、前記ブーム20と前記アーム22との間に介在し、当該アーム22に回動動作を行わせるように伸縮するアームアクチュエータである。具体的に、当該アームシリンダ27は、図2に示されるへッド側室27h及びロッド側室27rを有し、当該へッド側室27hに作動油が供給されることにより伸長して前記アーム22を引き方向(当該アーム22の先端がブーム20に近づく方向)に動かすとともに前記ロッド側室27r内の作動油を排出する一方、前記ロッド側室27rに作動油が供給されることにより収縮して前記アーム22を押し方向(当該アーム22の先端がブーム20から離れる方向)に動かすとともに前記へッド側室27h内の作動油を排出する。
前記バケットシリンダ28は、前記アーム22と前記バケット24との間に介在し、当該バケット24に回動動作を行わせるように伸縮する。具体的に、当該バケットシリンダ28は、伸長することにより前記バケット24を掬い方向(当該バケット24の先端25がアーム22に近づく方向)に回動させる一方、収縮することにより前記バケット24を開き方向(当該バケット24の先端25がアーム22から離れる方向)に回動させる。
前記第1及び第2メインポンプ31,32のそれぞれは油圧ポンプからなり、前記エンジンにより駆動されることにより作動油を吐出する。前記第1メインポンプ31は、前記ブームシリンダ26を含む少なくとも一つの油圧アクチュエータに作動油を供給するように当該油圧アクチュエータに接続される。同様に、前記第2メインポンプ32は、前記アームシリンダ27を含む少なくとも一つの油圧アクチュエータに作動油を供給するように当該油圧アクチュエータに接続される。
前記油圧回路は、さらに、パイロットポンプ34と、ブームコントロールバルブ41と、アームコントロールバルブ42と、ブーム操作装置51と、アーム操作装置52と、を含む。
前記ブームコントロールバルブ41は、前記第1メインポンプ31と前記ブームシリンダ26との間に介在し、当該第1メインポンプ31から当該ブームシリンダ26に供給される作動油の方向及び流量を変化させるように開閉動作する。図2に示されるブームコントロールバルブ41は、ブーム上げパイロットポート41a及びブーム下げパイロットポート41bを有する3位置のパイロット操作切換弁により構成される。当該ブームコントロールバルブ41は、前記両パイロットポート41a,41bのいずれにもパイロット圧が供給されないときは図2における中段の位置である中立位置を保って第1メインポンプ31からブームシリンダ26への作動油の供給を遮断し、前記ブーム上げパイロットポート41aにパイロット圧が供給されたときはそのパイロット圧の大きさに応じたストロークで前記中立位置から図2における上段の位置であるブーム上げ位置に切換わって当該ストロークに対応した流量で前記第1メインポンプ31から前記ブームシリンダ26のへッド側室26hに作動油が供給されることを許容するとともに当該ブームシリンダ26のロッド側室26rからタンクに作動油が戻ることを許容し、前記ブーム下げパイロットポート41bにパイロット圧が供給されたときはそのパイロット圧の大きさに応じたストロークで前記中立位置から図2における下段の位置であるブーム下げ位置に切換わって当該ストロークに対応した流量で前記第1メインポンプ31から前記ブームシリンダ26のロッド側室26rに作動油が供給されることを許容するとともに当該ブームシリンダ26のへッド側室26hからタンクに作動油が戻ることを許容する。
前記アームコントロールバルブ42は、前記第2メインポンプ32と前記アームシリンダ27との間に介在し、当該第2メインポンプ32から当該アームシリンダ27への作動油の供給の形態を変化させるように開閉動作する。図2に示されるアームコントロールバルブ42は、アーム引きパイロットポート42a及びアーム押しパイロットポート42bを有する3位置のパイロット操作切換弁により構成される。当該アームコントロールバルブ42は、前記両パイロットポート42a,42bのいずれにもパイロット圧が供給されないときは図2における中段の位置である中立位置を保って第2メインポンプ32からアームシリンダ27への作動油の供給を遮断し、前記アーム引きパイロットポート42aにパイロット圧が供給されたときはそのパイロット圧の大きさに応じたストロークで前記中立位置から図2における上段の位置であるアーム引き位置に切換わって当該ストロークに対応した流量で前記第2メインポンプ32から前記アームシリンダ27のへッド側室27hに作動油が供給されることを許容するとともに当該アームシリンダ27のロッド側室27rからタンクに作動油が戻ることを許容し、前記アーム押しパイロットポート42bにパイロット圧が供給されたときはそのパイロット圧の大きさに応じたストロークで前記中立位置から図2における下段の位置であるアーム押し位置に切換わって当該ストロークに対応した流量で前記第2メインポンプ32から前記アームシリンダ27のロッド側室27rに作動油が供給されることを許容するとともに当該アームシリンダ27のへッド側室27hからタンクに作動油が戻ることを許容する。
図示はされないが、前記第1及び第2メインポンプ31,32を含む複数のメインポンプのいずれかと前記バケットシリンダ28との間にも、前記コントロールバルブ26,27と同様に前記バケットシリンダ28に対する作動油の供給の方向及び流量を変化させるバケットコントロールバルブが設けられる。
前記パイロットポンプ34は、油圧ポンプからなり、エンジンにより駆動されることにより、前記各コントロールバルブのパイロットポートに供給されるべきパイロット用油を吐出する。
前記ブーム操作装置51は、前記ブーム20に起伏動作(ブーム上げ動作及びブーム下げ動作)を行わせる指令のための操作であってかつ当該起伏動作の速度を指定するための操作であるブーム指令操作を受けるとともに、当該ブーム指令操作に対応した方向及び速度で前記ブームシリンダ26を作動させるように、前記ブームコントロールバルブ41のパイロットポート41a,41bに供給されるパイロット圧を変化させる。
具体的に、当該ブーム操作装置51は、前記ブーム指令操作を受けるブーム操作レバー51aと、当該ブーム操作レバー51aに連結されるブームパイロット弁51bと、を有する。当該ブームパイロット弁51bは、前記パイロットポンプ34と前記パイロットポート41a,41bとの間に介在し、前記ブーム操作レバー51aに前記ブーム指令操作が与えられたときに前記パイロットポート41a,41bのうち前記ブーム指令操作の方向に対応するパイロットポートに対して当該ブーム指令操作の大きさに対応する大きさのパイロット圧が供給されることを許容するように、当該ブーム操作レバー51aに連動して開弁する。
前記アーム操作装置52は、前記アーム22に回動動作(アーム引き動作及びアーム押し動作)を行わせる指令のための操作であってかつ当該回動動作の速度を指定するための操作であるアーム指令操作を受けるとともに、当該アーム指令操作に対応した方向及び速度で前記アームシリンダ27を作動させるように、前記アームコントロールバルブ42のパイロットポート42a,42bに供給されるパイロット圧を変化させる。
具体的に、当該アーム操作装置52は、前記アーム指令操作を受けるアーム操作レバー52aと、当該アーム操作レバー52aに連結されるアームパイロット弁52bと、を有する。当該アームパイロット弁52bは、前記パイロットポンプ34と前記パイロットポート42a,42bとの間に介在し、前記アーム操作レバー52aに前記アーム指令操作が与えられたときに前記パイロットポート42a,42bのうち前記アーム指令操作の方向に対応するパイロットポートに対して当該アーム指令操作の大きさに対応する大きさのパイロット圧が供給されることを許容するように、当該アーム操作レバー52aに連動して開弁する。
この実施の形態に係る油圧ショベルは、さらに、自動制御装置を備える。当該自動制御装置は、オペレータの特定の操作に基いて、前記作業装置14によって行われることが可能な作業のうちの特定の作業に対応する動作を当該作業装置14に自動的に行わせる自動制御を行う。この実施の形態に係る前記特定の操作は、前記アーム引き動作の指令のために前記アーム操作レバー52aに与えられる操作であるアーム引き操作であり、前記特定の作業は、前記アーム22の引き方向の動作を伴う水平均し作業、つまり、バケット24の先端25を地盤Gの表面近傍の高さ位置で水平方向に移動させる作業である。
前記自動制御装置は、オペレータの意志により自動制御モードが選択された場合に、前記アーム操作レバー52aに与えられる前記アーム引き操作のみに基づき、次の内容を含む制御動作を行う。
(a)原則として、前記アーム引き操作により指定された指定速度(当該アーム引き操作の大きさに対応する速度)で前記アーム22を引き方向に動かすように、つまり前記アーム22にアーム引き動作を行わせるように、アームシリンダ27を伸長させる。
(b)前記アーム22の引き方向の動作に伴って前記バケット24の先端25が図4に示されるような目標軌跡80(この実施の形態では下部走行体10の下面を含む水平面)に沿って自動的に移動するように、つまり当該引き方向の動作に追従するように、前記ブーム20を上げ方向に動かす。つまりブーム20にブーム上げ動作を行わせる。
(c)前記指定速度が過大であって前記引き方向の動作への前記ブーム20の上げ方向の動作の追従が困難である場合には、当該追従が可能となる程度まで前記アーム22のアーム引き動作の速度であるアーム引き速度Vaを前記指定速度よりも低い速度に制限する。
従って、この実施の形態では、前記アーム22及び前記ブーム20がそれぞれ本発明に係る第1要素及び第2要素に相当し、当該アーム22の引き方向の動作であるアーム引き動作及び当該ブーム20の上げ方向の動作であるブーム上げ動作がそれぞれ本発明に係る第1動作及び第2動作に相当し、先端アタッチメントである前記バケット24の先端25が本発明に係る対象部位に相当する。
前記自動制御装置は、前記自動制御を行うための具体的手段として、前記アーム操作装置52に加え、図2に示される油圧回路に含まれるブーム上げ操作弁44と、シャトル弁45と、アーム引き速度制限弁46と、複数のセンサと、モード切換スイッチ68と、コントローラ70と、を備える。
前記ブーム上げ操作弁44及び前記シャトル弁45は、前記ブーム操作装置51のブーム操作レバー51aが操作されていない状態であっても、前記アーム引き動作に伴って前記バケット24の先端25を前記目標軌跡80に沿って移動させるような速度で前記ブーム20に前記ブーム上げ動作を行わせるようにブームシリンダ26を作動させるための手段である。
図2に示されるブーム上げ操作弁44は、前記パイロットポンプ34と前記ブーム上げパイロットポート41aとの間で前記ブームパイロット弁51bと並列に配置される。詳しくは、前記パイロットポンプ34から前記ブーム上げパイロットポート41aに至るラインがその途中で手動操作用ライン53と自動制御用ライン54とに分岐し、当該手動操作用ライン53及び当該自動制御用ライン54にそれぞれ前記ブームパイロット弁51b及び前記ブーム上げ操作弁44が設けられている。
前記ブーム上げ操作弁44は、いわゆる電磁比例減圧弁であり、ソレノイド44aを有し、当該ソレノイド44aにブーム上げ指令に相当する励磁電流が与えられる。ブーム上げ操作弁44は、当該ブーム上げ指令の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、当該ストロークに対応した二次圧(ブーム上げ操作弁44の下流側の圧力)を発生させる。
前記シャトル弁45は、前記ブームパイロット弁51bの二次圧及び前記ブーム上げ操作弁44の二次圧のうち高い方の圧力を選択してこれをブーム上げパイロット圧として前記ブーム上げパイロットポート41aに導く。具体的に、当該シャトル弁55は一対の入口ポートと単一の出口ポートとを有し、前記一対の入口ポートが前記手動操作用ライン53の下流端及び前記自動制御用ライン54の下流端にそれぞれ接続され、前記出口ポートが前記ブーム上げパイロットポート41aにつながる共通ライン55の上流端に接続される。
前記アーム引き速度制限弁46は、アーム22の引き方向の速度を前記アーム操作レバー52aに与えられるアーム引き操作の大きさに対応する指定速度よりも低い速度に制限するための手段である。具体的に、当該アーム引き速度制限弁46は、前記アームパイロット弁52bの二次圧をさらに減圧してからアーム引きパイロットポート42に導く機能、換言すれば、当該アームパイロット弁52bからアーム引きパイロットポート42aに入力されるパイロット圧を減じる機能、を有する。
図2に示されるアーム引き速度制限弁46は、前記アームパイロット弁52bから前記アーム引きパイロットポート42aに至るアーム引きパイロットライン56において前記ブームパイロット弁51bの下流側に当該ブームパイロット弁51bと直列に配置される。当該アーム引き速度制限弁46は、いわゆる電磁逆比例減圧弁であり、ソレノイド46aを有し、当該ソレノイド44aにはアーム引き速度制限指令に相当する励磁電流が与えられる。当該アーム引き速度制限弁46は、当該アーム引き速度制限指令の大きさに対応したストロークで全開状態から閉弁動作を行い、これにより、当該ストロークに対応した度合いで二次圧(アーム引き速度制限弁46の下流側の圧力)を減少させる。つまり、前記アーム引き速度制限指令が大きいほど前記アーム引きパイロットポート42aに入力されるパイロット圧の大きさを減少させる。
前記アーム引き速度制限弁46は、従って、前記アーム引き制限指令の入力を受けたときに前記アーム引き操作にかかわらず前記アーム22の引き動作の速度を前記アーム引き制限指令に対応した度合いで強制的に低減させるように前記第2メインポンプ32及び前記アームシリンダ27による前記アーム22の引き方向の駆動を制限する、駆動制限部を構成する。
前記複数のセンサは、ブーム角度センサ60と、アーム角度センサ62と、バケット角度センサ64と、アーム引きパイロット圧センサ66と、を含む。前記ブーム角度センサ60は、前記上部旋回体12に対する前記ブーム20の相対角度(起伏角度)に対応するブーム角度検出信号を生成する。前記アーム角度センサ62は、前記ブーム20に対する前記アーム22の相対角度(回動角度)に対応するアーム角度検出信号を生成する。前記バケット角度センサ64は、前記アーム22に対する前記バケット24の相対角度(回動角度)に対応するバケット角度検出信号を生成する。前記アーム引きパイロット圧センサ66は、前記アーム引き動作についての前記アームパイロット弁52bの二次圧、つまり前記アーム引きパイロットライン56における前記アームパイロット弁52bと前記アーム引き速度制限弁46との間の領域におけるパイロット用油の圧力、に対応するアーム引きパイロット圧検出信号を生成する。
前記モード切換スイッチ68は、例えば前記キャブ18内に設けられ、オペレータが手動モードと自動制御モードのうちの所望のモードを選択するための操作を受ける。当該モード切換スイッチ68は、前記自動制御モードを選択するための操作を受けたときに自動制御指令を生成する。このモード切換スイッチ68は、本発明において必須のものではない。例えば、前記作業装置14を動かすための操作部材(前記ブーム操作レバー51a、前記アーム操作レバー52a等)に対して予め設定された特定の操作が与えられることによって自動制御モードが選択されてもよい。
前記複数のセンサのそれぞれが生成する検出信号及び前記自動制御指令は前記コントローラ70に入力される。当該コントローラ70は、コンピュータからなり、前記自動制御を実行するための演算制御動作を行う。そのための機能として、当該コントローラ70は、図2に示されるように、姿勢演算部72と、予測偏差演算部74と、アーム引き速度制限指令演算部76と、ブーム上げ指令演算部78と、を有する。
前記姿勢演算部72は、前記ブーム角度センサ60、前記アーム角度センサ62及び前記バケット角度センサ64から入力される検出信号に基づき、前記作業装置14の姿勢に関する情報であって前記対象部位である前記バケット24の先端25の位置についての情報を含む姿勢情報を演算する。従って、当該姿勢演算部72は、前記各センサ60,62,64とともに、前記姿勢情報を提供する姿勢情報提供部を構成する。
前記予測偏差演算部74は、前記自動制御モードが選択されている場合に予測偏差δpを演算する。当該予測偏差δpは、前記目標軌跡80に対する前記特定部位すなわち前記バケット24の先端25の位置の偏差であって、前記アーム引き操作によって指定された指定速度で前記アーム22が前記アーム引き動作を行った場合に所定時間Δtの経過後に生じるであろうと予測される偏差である。当該予測偏差δpの具体的な演算例については後に詳述する。
前記アーム引き速度制限指令演算部76は、前記自動選択モードが選択されている場合に、前記予測偏差演算部74により演算される前記予測偏差δpが予め設定された許容範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果に基いて前記アーム引き速度制限指令を演算して前記アーム引き速度制限弁46のソレノイド46aに入力する。具体的に、当該アーム引き速度制限指令演算部76は、前記予測偏差δpが前記許容範囲内にあるときは、前記アーム引き速度制限弁46に対する前記アーム引き速度制限指令の入力を停止し、前記予測偏差δpが前記許容範囲を逸脱するときは、その逸脱の度合いに応じた、前記所定時間ΔTの経過後の前記偏差を前記許容範囲内に収めるようなアーム引き速度制限指令を演算して前記アーム引き速度制限弁46に入力する。
つまり、前記アーム引き速度制限弁46、前記予測偏差演算部74及び前記アーム引き速度制限指令演算部76は、前記予測偏差δpが予め決められた許容範囲内にあるときは前記アーム22が前記指定速度で前記第1動作である前記引き方向の動作、つまりアーム引き動作、を行うように駆動されることを許容し、当該予測偏差δpが当該許容範囲を逸脱するときは前記指定速度にかかわらず前記所定時間ΔTの経過後の前記偏差が当該許容範囲内に収まるように前記逸脱の度合いに応じて前記アーム引き動作の速度を制限するアーム引き速度制限部を構成する。当該アーム引き速度制限部は、本発明に係る第1動作速度制限部に相当する。
前記ブーム上げ指令演算部78は、前記自動選択モードが選択されている場合に、前記ブーム上げ指令を演算して前記ブーム上げ操作弁44のソレノイド44aに入力する。当該ブーム上げ指令は、前記自動制御を実現するためのブーム上げ速度Vb、すなわち、前記アーム22の引き方向の動作に伴って前記対象部位である前記バケット24の先端25が前記目標軌跡80に沿って移動することを可能にするような速度、でブーム20が上げ方向に動作するようにブームシリンダ26を作動させるための指令信号である。従って、当該ブーム上げ指令演算部78は、当該ブーム上げ操作弁44とともに、前記第1動作である前記アーム引き動作に伴って前記バケット先端25が前記目標軌跡80に沿って移動するように前記第2動作の速度である前記ブーム上げ速度Vbを制御するブーム上げ速度制御部を構成する。当該ブーム上げ速度制御部は、本発明にいう第2動作速度制御部に相当する。
次に、このコントローラ70により行われる演算制御動作を、図3のフローチャート及び図4,図5を併せて参照しながら説明する。
当該コントローラ70は、各センサ60,62,64,66により生成される検出信号及び前記モード切換スイッチ68により生成される自動制御指令を取込む(ステップS1)。そして、当該自動制御指令の入力の有無に基づき、自動制御モードが選択されているか否かを判定する(ステップS2)。
前記自動制御モードが選択されていない場合(ステップS2でNO)、当該コントローラ70のアーム引き速度制限指令演算部76はアーム引き速度制限指令の生成及び出力を停止し、ブーム上げ指令演算部78はブーム上げ指令の生成及び出力を停止する(ステップS3)。これにより、アーム引き速度制限弁46は全開状態を保ち、ブーム上げ操作弁44は全閉状態を保つ。従って、油圧ショベルのモードは、ブーム20の上げ方向の動作及びアーム22の引き方向の動作が他の動作と同様に専らブーム操作レバー51a及びアーム操作レバー52aに与えられるブーム上げ操作及びアーム引き操作に支配されるモード、つまり前記手動モード、となる。
前記自動制御モードが選択されている場合(ステップS2でYES)、コントローラ70の姿勢演算部72が、ブーム角度センサ60、アーム角度センサ62及びバケット角度センサ64から入力される各検出信号に基づき、作業装置14の姿勢に関する姿勢情報を演算する(ステップS4)。当該姿勢情報には、この実施の形態に係る対象部位であるバケット先端25の位置についての情報が含まれる。
次に、前記コントローラ70の予測偏差演算部74は、前記姿勢情報と、前記アーム引きパイロット圧センサ66から入力される検出信号、つまりアームパイロット弁52bの二次圧についての信号、とに基づき、予測偏差δpを演算する(ステップS5)。当該予測偏差δpは、上述したように、目標軌跡80(この実施の形態では特定高さの水平面)に対する前記バケット24の先端25の位置の偏差であって、前記アーム操作レバー52aに与えられているアーム引き操作によって指定された指定速度で前記アーム22がアーム引き動作を行った場合に所定時間Δtの経過後に生じるであろうと予測される偏差である。当該偏差は、一般には、目標軌跡に対して直交する方向についての当該目標軌跡と対象部位の位置との距離に相当する。この実施の形態では、前記目標軌跡80が水平面であるため、前記偏差は当該水平面からの前記バケット24の先端25の上下方向の距離となる。
前記予測偏差δpは、この実施の形態では次のようにして演算される。
前記予測偏差演算部74は、まず、前記姿勢情報に基いて現在の偏差である現在偏差δを演算する(ステップS51)。この現在偏差δは、図4に示されるように、前記目標軌跡80を構成する水平面と、現在における前記バケット24の先端25を含む水平面82と、の上下方向の距離に相当する。この実施の形態では、前記偏差の正負について、前記目標軌跡80よりもバケット24の先端25の位置が下側にある場合が正、上側にある場合が負とされる。従って、図4に示される状況での現在偏差δは負の値となる。
前記予測偏差演算部74は、次に、予測変位量Δδを演算する(ステップS52)。この予測変位量Δδは、前記アーム引き操作の大きさに対応する指定速度でアーム22が引き方向に所定時間Δtだけ駆動されたときに生じるであろうと予測される前記バケット24の先端25の変位の上下方向の成分(すなわち昇降量)である。前記指定速度は、前記アーム引きパイロット圧センサ66から入力される検出信号、つまりアームパイロット弁52bの二次圧に対応する信号、から求めることが可能である。前記バケット24の先端25はアーム22よりも下にあるので、この実施の形態では前記予測変位量Δδは必ず正の値となる。
そして、前記予測偏差演算部47は、前記現在偏差δと前記予測変位量Δδの和を前記予測偏差δp(=δ+Δδ)として演算する(ステップS53)。例えば図4に示されるように前記現在偏差δが負の値であってかつその絶対値を前記予測変位量Δδが上回る場合、前記予測偏差δpは正となる。そして、当該予測偏差δpは、前記予測変位量Δδが大きいほど、すなわち前記指定速度が大きいほど、大きくなる。
次に、前記コントローラ70のアーム引き速度制限指令演算部76は、前記予測偏差δpが予め設定された許容偏差δa(>0)以下であるか否か、換言すれば、当該予測偏差δpが予め設定された許容範囲内にあるか否か、を判定する(ステップS6)。当該許容範囲は、前記ブームシリンダ26の伸長によるブーム上げ動作の速度の上限(つまりブーム上げ速度Vbの最大値)に基いて設定される。前記予測偏差δpが大きい場合、最大速度でブーム上げ動作を行っても当該予測偏差δpを相殺することができない。このような観点から、前記許容偏差δaが定められる。前記ブーム上げ速度Vbの上限は、実際には作業装置14の姿勢、特に前記ブーム20の起伏角度、によって異なるが、その影響は小さいことから、前記許容偏差δaには常に一定の値が設定されてもよい。あるいは、当該ブーム20の起伏角度に応じて異なる許容偏差δaが設定されてもよい。
前記予測偏差δpが前記許容偏差δa以下である場合(ステップS6でNO)、つまり当該予測偏差δpが許容範囲内にある場合、アーム引き速度制限指令演算部76はアーム引き速度制限指令を0に設定する(ステップS7)。つまり、事実上当該アーム引き速度制限指令の出力を停止し、アーム引き速度制限弁46を全開状態に保つ。換言すれば、アーム22が前記アーム操作レバー52aに与えられるアーム引き操作に対応する指定速度で引き方向に駆動されることを許容する。このことは、オペレータの意志を尊重した速度での作業を可能にする。
一方、前記予測偏差δpが前記許容偏差δaを上回る場合(ステップS6でYES)、つまり許容範囲を逸脱する場合、アーム引き速度制限指令演算部76は、前記所定時間Δtの経過後の偏差が前記許容範囲内に収まるように前記逸脱の度合いに応じて前記アーム引き速度Vaを制限するためのアーム引き速度制限指令を演算し、出力する(ステップS8)。当該アーム引き速度制限指令は、アーム引き速度制限弁46のソレノイド46aに入力され、これにより、アーム引きパイロットポート42aに入力されるアーム引きパイロット圧が低減されて、実際のアーム22の引き動作の速度が前記指定速度よりも小さい速度に制限される。
前記アーム引き速度制限指令の演算は、例えば、前記現在偏差δと前記許容偏差δaとの和であるバケット先端25の許容変位量Δδaを演算することと、当該許容変位量Δδaを前記所定時間Δtで除することにより許容速度(=Δδa/Δt)を演算することと、当該許容速度を得るための前記アーム引き速度Vaの(前記指定速度からの)制限度合いを算定することと、により遂行されることが可能である。このようにして、実際の偏差を前記許容偏差δa以下に収めるために必要な最小限のアーム引き速度Vaの制限を実現することが可能である。
前記ブーム上げ指令演算部78は、前記予測偏差δpに基づき、前記所定時間Δtの経過後に前記偏差を解消するための(つまりバケット先端25の位置を前記目標軌跡80に沿って移動させるための)ブーム上げ速度Vbを実現するブーム上げ指令を演算し、出力する(ステップS9)。当該ブーム上げ指令は、ブーム上げ操作弁44のソレノイド47aに入力される。従って、ブーム操作装置51のブーム操作レバー51aが操作されていない場合、前記ブーム上げ操作弁44の二次圧がシャトル弁45により選択されてブーム上げパイロットポート41aにブーム上げパイロット圧が入力され、前記ブーム上げ指令に対応した速度でブーム20が上げ方向に駆動される。
なお、この実施の形態では、前記ブーム操作レバー51aに対してブーム上げの指令のための操作が与えられ、かつ、その操作の大きさに対応するブーム上げ速度が前記ブーム上げ指令に係るブーム上げ速度Vbよりも大きい場合、つまり、前記ブームパイロット弁51bの二次圧が前記ブーム上げ操作弁44の二次圧を上回る場合は、前記シャトル弁45が前記ブームパイロット弁51bの二次圧を選択してこれをブーム上げパイロット圧として前記ブーム上げパイロットポート41aに導入する。従って、この場合には前記自動制御が自動的に解除され、オペレータからブーム操作レバー51aに与えられるブーム上げ操作を優先した速度でのブーム上げ駆動が行われる。
以上示した装置では、前記ブーム上げ指令に係るブーム上げ速度Vbに上限があってそれを上回る速度でブーム20を上げ方向に動かすことができなくても、前記アーム引き速度制限部が適正なアーム引き速度Vaの制限を行うことにより、前記ブーム上げ動作が確実に前記アーム引き動作に追従することを可能にする。例えば、前記指定速度に基いて演算された予測偏差δpが過度に大きい場合、仮に当該指定速度のままアーム引き動作が行われるとすると、これにブーム上げ動作が追従しきれず、バケット先端25を目標軌跡80に沿って正確に移動させることが困難となる。しかしながら、前記のように予測偏差δpが過大であって許容偏差δaを超過する場合、前記アーム引き速度制限指令演算部76は実際の偏差が当該許容偏差δa以下となるように(つまり許容範囲に収まるように)前記超過の分だけ前記アーム引き速度Vaを前記指定速度よりも小さい速度に制限することにより、前記ブーム上げ速度Vbの上限の存在にかかわらずブーム上げ指令演算部78が当該実際の偏差を解消するためのブーム上げ指令を決定することを可能にする。その一方、前記予測偏差δpが前記許容偏差δa以下であって前記指定速度がそのまま採用されても前記アーム引き動作への前記ブーム上げ動作の追従が可能である場合、前記アーム引き速度制限部が前記アーム引き速度Vaの制限を行わないことにより、オペレータの意志に即した迅速なアーム引き駆動を許容して、作業効率の著しい低下を防ぐことができる。
この効果を、図5〜図7を参照しながらさらに詳述する。
図5は、アーム操作レバー52aに最大のアーム引き操作(フル操作)が与えられることにより最大のアーム引き速度Vaが指定された場合の作業装置14の姿勢に対応したバケット先端25の予測変位を示す。具体的に、図5の矢印84A,84B,84Cは、3通りの姿勢でのバケット先端25の予測変位(前記最大指定速度でアーム引き動作が行われた場合に生じるであろうと予測されるバケット先端25の変位)を示す。
前記矢印84Aに対応する姿勢のように、ブーム20の起立角度が比較的小さくて作業装置14のリーチ(ブーム20の回動支点からバケット先端25までの水平距離)が大きい姿勢では、バケット先端25の予測変位に対応するベクトルの上下方向の成分が大きいため、アーム引き速度Vaを十分に制限しなければ、最大速度でブーム上げ動作を行ってもアーム引き動作に起因するバケット先端25の下向きの変位を当該ブーム上げ動作によって相殺することができない。つまり、バケット先端25を目標軌跡80に沿って正確に移動させることができない。しかし、このような姿勢では、予測偏差演算部74により演算される予測偏差δpが大きいため、これに基いてアーム引き速度制限指令演算部76が大きなアーム引き速度制限指令を演算してアーム引き速度制限弁46に入力することにより、前記アーム引き動作の速度を適正に制限して当該アーム引き動作にブーム上げ動作が確実に追従することを可能にする。
一方、矢印84Cに対応する姿勢のように、ブーム20の起立角度が比較的小さくて前記リーチが小さい姿勢では、バケット先端25の予測変位に相当するベクトルの上下方向の成分が小さいため、アーム引き速度Vaを制限しなくても(あるいは僅かなアーム引き速度の制限のみで)アーム引き動作に起因するバケット先端25の下向きの変位をブーム上げ動作によって相殺することが可能である。つまり、前記アーム引き速度Vaを制限することなく、あるいは小さな制限のみで、バケット24の先端25を目標軌跡80に沿って正確に移動させることが可能である。そして、このようにアーム引き速度の制限を要しない姿勢では、予測偏差演算部74により演算される予測偏差δpが小さいため、アーム引き速度制限指令演算部76はアーム引き速度制限弁46へのアーム引き速度制限指令を停止する(あるいはアーム引き速度制限指令を小さく抑える)ことにより、オペレータの意志を尊重した効率の高い作業を実現することを可能にする。
このように、アーム引き動作について同じ速度が指定されても、作業装置14の姿勢(特に前記リーチの大小)によってアーム引き速度Vaの制限の必要性の有無及び当該制限の度合いが異なるにもかかわらず、従来の装置では、当該姿勢等にかかわらず常に、図6の線90に示されるように自動制御開始時点Toからアーム引き速度Vaを徐々に上昇させるように、所定時間が経過するまでアーム引き速度Vaが一様に制限される。従って、実際にはアーム引き速度Vaの制限を要しない場合(あるいはアーム引き速度Vaの制限が小さくてよい場合)であってもアーム引き速度Vaが必要以上に著しく制限されてしまう可能性がある。このことは作業効率の著しい低下を招く。
これに対して前記実施の形態に係る装置では、図7に示されるように、アーム引き速度Vaの上下方向の成分の大きさに影響を与える作業装置14の姿勢によってアーム引き速度Vaの制限を変えることが可能であり、このことが、高い精度での自動制御の実現と作業効率の低下の抑制との両立を可能にする。具体的に、前記リーチが大きい場合、つまり指定速度(前記の例では最大速度Vamax)に対応する予測変位量Δδ及び予測偏差δpが大きい場合には、線92Aに示されるようにアーム引き速度制限部が自動制御開始時点Toからアーム引き速度制限終了時点(つまり前記最大速度Vamaxを採用する時点)TLに至るまで比較的長い期間ΔTLに亘ってアーム引き速度Vaを制限することにより、線94Aに示されるようにブーム上げ速度Vbの上限である最大ブーム上げ速度Vbmaxが小さくても、当該最大ブーム上げ速度Vbmaxでもってブーム上げ動作をアーム引き動作に追従させることを可能にする。一方、前記リーチが小さい場合、つまり前記指定速度に対応する予測変位量Δδ及び予測偏差δpが小さくて、線94Bに示されるように大きなブーム上げ速度Vaを要しない場合には、線92Bに示されるようにアーム引き速度制限部が自動制御開始時点Toからアーム引き速度制限終了時点TSに至るまでの比較的短い期間ΔTSでアーム引き速度Vaの制限を終了することにより、アーム引き速度Vaを指定速度に相当する最大アーム引き速度Vamaxまで迅速に立ち上げる。このことは、アーム操作レバー52aを操作するオペレータを意志を実際のアーム引き速度に早期に反映させて作業効率の低下を有効に抑止することを可能にする。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を含むことが可能である。
1)第1動作速度制限部について
第1動作速度制限部は、必ずしも予測偏差δpを実際に演算するものに限られない。当該第1動作速度制限部は、予測偏差δpを演算しなくても、指定速度での第1動作が予測偏差δpを許容範囲から逸脱させるか否かを実質的に判定して当該判定に基いて当該逸脱の度合いに応じて第1動作の速度を制限するものであればよい。例えば、第1動作速度制限部は、現在偏差と許容偏差とに基いて特定部位の所定時間経過後の許容変位量を演算する機能と、当該許容変位量と当該所定時間とに基いて許容速度を演算する機能と、指定速度が許容速度以下である場合には当該指定速度での第1要素の第1動作を許容し、指定速度が許容速度を超える場合には当該第1動作の速度を当該許容速度まで制限する機能と、を備えるものでもよい。
2)目標軌跡について
本発明に係る目標軌跡は、図4に示される目標軌跡80のような水平面に限られない。当該目標軌跡は、法面作業等を考慮して傾斜面または曲面に設定されてもよい。また、当該目標軌跡は二次元的なものに限らず、対象部位の進行方向に延びる直線あるいは曲線といった一次元的なものでもよい。後者の場合、目標軌跡からの対象部位の位置の偏差の方向は、作業内容を考慮して設定されればよい。例えば、当該目標軌跡が延びる方向に対して直交する方向のうちの特定の方向(例えば上下方向や左右方向)についての偏差のみが考慮されてもよいし、あるいは、360°にわたる全方向についての偏差が考慮されてもよい。
3)対象部位の選定について
作業装置の中から選ばれる対象部位は、先端アタッチメント(前記の実施の形態ではバケット24)に含まれる部位に限られない。当該部位は、自動制御の対象となる作業に応じて設定されればよい。例えば、自動制御の対象が、前記アーム22の中間部位から荷が吊り下げられるクレーン作業である場合、当該アーム22の中間部位が対象部位に選ばれてもよい。
4)作業駆動装置について
作業駆動装置は前記実施の形態に係る装置のようなパイロット弁51b,52bを含むものに限られない。当該作業駆動装置は、操作装置を構成する電気レバーであって指令操作に対応する信号をコントローラに入力するものと、パイロットラインの途中に設けられる電磁弁と、の組み合わせにより、自動制御であるか手動操作であるかを問わず前記コントローラから前記電磁弁に入力される信号によってコントロールバルブのパイロット圧を制御するものであってもよい。
さらに、前記作業駆動装置は油圧式のものに限られない。当該作業駆動装置は電動式のもの、例えば電動モータによって第1要素及び第2要素を動かすものでもよい。この場合、前記第1動作速度制限指令や第2動作指令は前記電動モータの動作を制御するインバータ等に入力されてもよい。
5)自動制御モードについて
本発明に係る自動制御装置は、必ずしも自動制御モードが選択された場合にのみ自動制御を実行するものに限られない。すなわち、当該自動制御装置は手動運転が行われずに自動制御のみが実行される作業機械にも適用されることが可能である。