JP4215585B2 - タイヤ加硫用ブラダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ加硫用ブラダーに係わり、更に詳しくは特にエアー溜まりが発生し易いタイヤショルダー部のエアーをタイヤビード先端側に向かって効率良く排出出来るようにしたタイヤ加硫用ブラダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金型内に収容した未加硫タイヤ内にブラダー本体を挿入し、ブラダー本体を膨張させて未加硫タイヤの内側から金型内面に押し付けて加硫成形を行うタイヤ加硫方法では、タイヤセンターに比べてタイヤショルダー部におけるブラダーと金型との間にエアーが残り易く、この残留したエアーが、タイヤ品質に悪影響を与えたり、タイヤの故障の原因となることが知られている。
【0003】
そこで、従来からタイヤのショルダー部領域等に残留したエアーを効率良く排出させるために、それらの領域に対応したブラダーの表面周囲に複数本のエアー排出用の溝を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−275108号公報(第2〜第3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来の加硫用のブラダーは、ブラダー表面にブラダーの周方向及びこれと交差する方向に多数のエアー抜き用の溝を形成しているが、溝深さは一定であり、しかも多数の溝を形成しているため、必ずしもショルダー部領域に溜まったエアーを効率良くエアーを排出することが出来ず、また多数の溝を形成するためには、加工に手間がかかる上コストアップとなる問題があった。
【0006】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、タイヤのショルダー部領域等に残留したエアーを特定箇所に集めた後に、タイヤビード先端側に向かってエアーを効率良く排出できるような溝を形成することで、少ない溝本数で効率良くエアーを排出できるタイヤ加硫用ブラダーを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、ブラダー本体(1) のタイヤサイド部(4) の曲率頂部(P1) とベルト補強層端末部(P2)との領域(X) に対応する位置に、ブラダー本体(1) の周方向に少なくとも一本以上のエアー抜き誘導溝(2) を形成し、このエアー抜き誘導溝(2) からタイヤビード先端部(5) に対応する領域(Y) に、前記エアー抜き誘導溝 (2) と交差するエアー排出用溝 (3) を複数本形成し、前記エアー抜き誘導溝 (2) は、該エアー抜き誘導溝 (2) 上に少なくとも2カ所以上で、かつ所定の溝深さを有するエアー誘導基点 (2x) を設けると共に、このエアー誘導基点 (2x) から溝の浅いエアー抜き誘導溝 (2) に向かって傾斜するエアー抜き誘導溝 (2) を形成し、前記エアー排出用溝 (3) は、タイヤのショルダー部 (c) からビード部 (a) に向かって溝深さが順次深くなる傾斜した溝を形成したことを要旨とするものである。
【0008】
ここで、エアー誘導基点 (2x) の溝の深さを100とした場合、最も溝の浅い部分の深さを20〜90に設定し、溝深さを順次変化させることも可能であり、またエアー抜き誘導溝 (2) のエアー誘導基点 (2x) の形態を、ノコ歯状または山形状に形成することも可能である。
【0009】
このように、ブラダー本体の表面の所定の領域に、一本以上の勾配を有するエアー抜き誘導溝と、複数本の勾配を有するエアー排出用溝を形成することで、ショルダー部領域等に残留したエアーを特定箇所に集めた後に、タイヤビード先端側に向かってエアーを排出でき、しかも少ない溝本数で効率良く排出でき、ブラダー本体の表面溝加工も容易になる上、タイヤ内面にブラダー本体表面から転写される溝跡も最小限にすることが出来る結果、タイヤ品質も良好に保つことが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、未加硫タイヤ内にブラダー本体を収容し、膨張させた状態を示す断面図、図2はブラダー本体の収縮時の正面図を示し、前記未加硫タイヤW内に収容するブラダー本体1の表面には、所定の領域に、一本以上の勾配を有するエアー抜き誘導溝2と、複数本の勾配を有するエアー排出用溝3とが形成されている。
【0012】
即ち、この発明の実施形態におけるブラダー本体1の厚みは、4mmであり、溝幅は0.6mm、溝深さは0.4mmとしており、図1,2に示すように、ブラダー本体1のタイヤサイド部4の曲率頂部P1とベルト補強層端末部P2との領域Xに対応する位置に、ブラダー本体1の周方向に少なくとも一本以上(この実施形態では2本記載してあるが、本数には限定されない)の勾配を有する前記エアー抜き誘導溝2を形成し、またこのエアー抜き誘導溝2からタイヤビード先端部5に対応する領域Yには、前記エアー抜き誘導溝2と交差し、かつ勾配を有する前記エアー排出用溝3が複数本形成してある。
【0013】
前記ブラダー本体1の周方向に形成したエアー抜き誘導溝2は、図3に示すように、該エアー抜き誘導溝2上に少なくとも2カ所以上で、かつ所定の溝深さHを有するエアー誘導基点2xを設け、このエアー誘導基点2xに向かって所定の勾配で形成してある。また、エアー誘導基点2xの深さHを100とした場合、最も浅い部分の溝深さhは20〜90に設定することが望ましい。
【0014】
即ち、未加硫タイヤWとブラダー本体1との接触圧力分布(図5参照)から、図1のタイヤセンター(d)→ショルダー部(c)→サイド部(b)→ビード部(a)の順番でブラダー本体1の接触圧力が増加していくため、ショルダー部(c)の脱気が完了する前に、ビード部(a),サイド部(b)の溝が埋まらないように、溝深さや、勾配(テーパ)等をショルダー部(c)よりも10〜90%大きくすることが望ましい。この結果、タイヤショルダー部(c)におけるブラダー本体1と金型との間の残留するエアーは効率良く排出することが出来るものである。
【0015】
なお、エアー抜き誘導溝2のエアー誘導基点2xの形態としては、図3に示すようにノコ歯状に形成したり、また図4に示すように、山形状に形成することが出来、特に形態については限定されるものではないが、エアー抜き誘導溝2の溝深さhはエアー誘導基点2xの溝深さHに向かって所定の勾配で傾斜し、エアーを誘導出来るように構成する必要がある。
【0016】
このように、ブラダー本体1の表面の所定の領域に、一本以上の勾配を有するエアー抜き誘導溝2と、複数本の勾配を有するエアー排出用溝3を形成することで、ショルダー部領域X等に残留したエアーを特定箇所に集めた後に、タイヤビード先端側に向かってエアーを排出でき、しかも少ない溝本数で効率良く排出できる。従って、ブラダー本体1の表面溝加工も容易になる上、タイヤ内面にブラダー本体表面から転写される溝跡も最小限にすることが出来る結果、タイヤ品質も良好に保つことが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにブラダー本体(1) のタイヤサイド部(4) の曲率頂部(P1) とベルト補強層端末部(P2)との領域(X) に対応する位置に、ブラダー本体(1) の周方向に少なくとも一本以上のエアー抜き誘導溝(2) を形成し、このエアー抜き誘導溝(2) からタイヤビード先端部(5) に対応する領域(Y) に、前記エアー抜き誘導溝 (2) と交差するエアー排出用溝 (3) を複数本形成し、前記エアー抜き誘導溝 (2) は、該エアー抜き誘導溝 (2) 上に少なくとも2カ所以上で、かつ所定の溝深さを有するエアー誘導基点 (2x) を設けると共に、このエアー誘導基点 (2x) から溝の浅いエアー抜き誘導溝 (2) に向かって傾斜するエアー抜き誘導溝 (2) を形成し、前記エアー排出用溝 (3) は、タイヤのショルダー部 (c) からビード部 (a) に向かって溝深さが順次深くなる傾斜した溝を形成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
(a).ショルダー部領域等に残留したエアーを特定箇所に集めた後に、タイヤビード先端側に向かってエアーを排出するので、少ない溝本数で効率良くエアーを排出することが出来る。
(b).ブラダー本体の表面溝加工も容易になり、コストダウンを図ることが出来る。
(c).タイヤ内面にブラダー本体表面から転写される溝跡も最小限にすることが出来る結果、タイヤ品質も良好に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未加硫タイヤ内にブラダー本体を収容し、膨張させた状態を示す断面図である。
【図2】ブラダー本体の収縮時の正面図である。
【図3】図2のA−A矢視一部拡大断面図である。
【図4】図3の他の実施形態の一部拡大断面図である。
【図5】未加硫タイヤ内面に対するブラダー本体の接触圧力の説明図である。
【符号の説明】
1 ブラダー本体 2 エアー抜き誘導溝
3 エアー排出用溝 4 タイヤサイド部
5 タイヤビード先端部 W 未加硫タイヤ
P1 曲率頂部 P2 ベルト補強層端末部
X 領域 Y 領域
2x エアー誘導基点
H エアー誘導基点の深さ
h 最も浅い部分の溝深さ
Claims (3)
- 金型内に収容した未加硫タイヤ(W) 内にブラダー本体(1) を挿入し、ブラダー本体(1) を膨張させて未加硫タイヤ(W) の内側から金型内面に押し付けて加硫成形を行うタイヤ加硫用ブラダーにおいて、
前記ブラダー本体(1) のタイヤサイド部(4) の曲率頂部(P1) とベルト補強層端末部(P2)との領域(X) に対応する位置に、ブラダー本体(1) の周方向に少なくとも一本以上のエアー抜き誘導溝(2) を形成し、このエアー抜き誘導溝(2) からタイヤビード先端部(5) に対応する領域(Y) に、前記エアー抜き誘導溝 (2) と交差するエアー排出用溝 (3) を複数本形成し、前記エアー抜き誘導溝 (2) は、該エアー抜き誘導溝 (2) 上に少なくとも2カ所以上で、かつ所定の溝深さを有するエアー誘導基点 (2x) を設けると共に、このエアー誘導基点 (2x) から溝の浅いエアー抜き誘導溝 (2) に向かって傾斜するエアー抜き誘導溝 (2) を形成し、前記エアー排出用溝 (3) は、タイヤのショルダー部 (c) からビード部 (a) に向かって溝深さが順次深くなる傾斜した溝を形成したことを特徴とするタイヤ加硫用ブラダー。 - 前記エアー誘導基点(2x) の溝の深さを100とした場合、最も溝の浅い部分の深さを20〜90に設定し、溝深さを順次変化させた請求項1に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
- 前記エアー抜き誘導溝 (2) のエアー誘導基点 (2x) の形態を、ノコ歯状または山形状に形成した請求項1または2に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
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