JP4214779B2 - 電気泳動法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、電気泳動法を利用した物質の分離方法及び当該分離方法を用いて分離された測定対象物質を測定する方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
次世代の分析方法と目されている、微細総分析システム〔Micro Total Analysis System(μ−TAS)、Laboratory on a chip〕は、生体試料からの分析対象成分の抽出(抽出工程)、化学・生化学反応を用いる当該成分の分析(分析工程)、並びにそれに続く分離処理(分離工程)及び検出(検出工程)といった一連の化学的・生化学的分析工程の全てを一辺数cm〜数十cmのチップ上に集積化等した極小の分析装置を用いて行うものである。このシステムのための分離方法としては、微細加工による基板上への作製が容易なポリマー化合物、テフロン又はシリカ等を材料として作製された内径1mm以下のキャピラリー(細管)を分離カラムとして使用して高電界中で物質の持つ電荷の差を利用して分離を行うキャピラリー電気泳動法や、同様のキャピラリーを用いてカラム担体と物質との相互作用の差を利用して分離を行うキャピラリーカラムクロマトグラフィー法等が注目されている。
【0003】
中でも、キャピラリー電気泳動法は、キャピラリー内容量に対するキャピラリー表面積が非常に大きい為、高電圧を印加してもジュール熱の発生を効率的に阻害することが出来、従来の電気泳動法に比べて短時間で高い分離能が得られるという特徴を有しているため、比較的短い分離長での分離が可能である等の点から、μTASに適した分離方法と考えられている。
【0004】
特に、近年、μ−TASに使用されるキャピラリー電気泳動法として、フォトリソグラフィー等の微細加工技術によって、一辺数cm〜数十cmのチップ上にキャピラリーを作製して分離を行う技術、いわゆるキャピラリーチップ電気泳動法が開発されている。〔J.Chromatogr.(1992)593,253−258,Manz,A.et.al.、Anal.Chem.(1992)64,1926−1932,Harrison,D.J.et.al、Anal.Chem.(1994)66,3472−3476,Jacobson,S.C.et.al、Anal.Chem.(1994)66,3472−3476,Jacobson,S.C.et.al、Science(1993)261,895−897,Harrison,D.J.et.al.、Anal.Chem.(1993)65,2637−2642,Effenhauser,C.S.et.al.等。〕
【0005】
しかしながら、上記した如きキャピラリーチップ電気泳動法は、分離のためのキャピラリー長に制約があり、通常のキャピラリー電気泳動法に比べてその分離長が格段に短くなることから、低分子の物質のように分子内電荷の影響が大きいものに関しては十分な分離能が得られるものの、核酸やポリペプチド・タンパク質等の比較的大きな分子では充分な分離能が得られないという問題がある。
【0006】
この問題を解消するために、キャピラリー内に、分子ふるい効果を有する、例えばヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド等のポリマーを添加して分離を行う方法が開発されている〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91,11348−11352,Woolley,A.T.and Mathies,R.A.、Anal.Chem.(1996)68,720−723,Jacobson,S.C.and Ramsey,J.M.、Anal.Chem.(1997)69,2181−2186,Woolley,A.T.,et.al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91,11348−11352,Woolley,A.T.and Mathies,R.A.、Anal.Chem.(1994)66,2949−2953,Effenhauser,C.S.,et.al.、Anal.Chem(1995)67,3676−3680等。〕。しかしながら、これらの方法によっても、依然としてポリペプチドやタンパク質については十分な分離が行えないというのが現状である。
【0007】
また、キャピラリー充填剤として分子ふるい効果を有するアクリルアミドポリマーを用いて、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下でタンパク質の分離を行う方法も提案されている〔SDS−PAGE:Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)96,5372−5377,Yao,S.,et.al.等。〕。しかしながら、この方法は、タンパク質をドデシル硫酸ナトリウムで変性する必要があるため、この方法ではタンパク質を、これ自身が有する特異的結合能力等の活性を保持したまま分離することは困難である。
【0008】
このような問題点を解消するため、荷電物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質と、検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質の2種類を、分析対象成分と反応させて、これら3者の複合体(荷電物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質−分析対象成分−検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質)を形成させ、当該複合体と、当該複合体の形成に関与しなかった、検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質とを、当該複合体中の荷電物質の電荷と当該複合体の形成に関与しなかった、検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質との電荷の差を利用して電気的分離方法で(B/F)分離する方法が報告されている(特許第3070418号、特表平10−512371号等。)。
【0009】
しかしながら、この方法では、分離能を向上させる荷電物質と検出のための標識物質は必ず異種の、分析対象成分に特異的に結合する物質に結合させる必要があり、また、検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質に結合させる標識物質の量を制御しなければ、当該検出可能な標識物質を結合させた分析対象成分に特異的に結合する物質自体の電荷量が変化するため、分離精度が低下し、分離ピークがブロードになるという欠点を有している。
【0010】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、電気泳動により測定対象物質を高感度且つ短時間に効率よく分離する方法及び当該分離方法を用いて分離された測定対象物質を測定する方法を提供することにある。
【0011】
【発明の開示】
【0012】
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、
【0013】
(1)標識物質で修飾された二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を用いることを特徴とする、測定対象物質を電気泳動により分離する方法、
【0014】
(2)測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体を形成させた後、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを電気泳動により分離する方法、
【0015】
(3)測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体と、当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを電気泳動により分離する方法、
【0016】
(4)測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質−標識物質の複合体を形成させ、次いで当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上とを電気泳動により分離するか又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上及び標識物質とを電気泳動により分離する方法、
【0017】
(5)測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質−標識物質の複合体と、当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上とを電気泳動により分離するか又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上及び標識物質とを電気泳動により分離する方法、
【0018】
(6)《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A1:An 、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A2:An 、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A3:An 、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質B An−1:An 及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質B An と、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質から、〔1〕測定対象物質A物質B A1:An −標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A物質B A1:An 及び物質B A2:An −標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A物質B A1:An 物質B A2:An 及び物質B A3:An −標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1物質B A1:An 物質B A2:An 物質B A3:An 、・・・・・・及び物質B An−1:An −標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質 物質B A1:An 物質B A2:An 物質B A3:An 、・・・・・・、物質B An−1:An 及び物質B An −標識物質の複合体を夫々形成させ、次いでこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体とを電気泳動により分離するか又はこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体及び標識物質とを電気泳動により分離する方法、
【0019】
(7)《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A1:An 、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A2:An 、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質B A3:An 、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質B An−1:An 及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質B An と、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を互いに接触させ、生成した、〔1〕測定対象物質A物質B A1:An −標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A物質B A1:An 及び物質B A2:An −標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A物質B A1:An 物質B A2:An 及び物質B A3:An −標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1物質B A1:An 物質B A2:An 物質B A3:An 、・・・・・・及び物質B An−1:An −標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質 物質B A1:An 物質B A2:An 物質B A3:An 、・・・・・・、物質B An−1:An 及び物質B An −標識物質の複合体と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体とを電気泳動により分離するか又はこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体及び標識物質とを、電気泳動により分離する方法、
【0020】
(8)2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、2種以上の、特定の測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、当該特定測定対象物質のみに親和性を有する物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか又はこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを夫々電気泳動により分離する方法、
【0021】
(9)2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した2種以上の、特定の測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、当該特定測定対象物質のみに親和性を有する物質−標識物質の複合体と、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか又はこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを夫々電気泳動により分離する方法、
【0022】
(10)二本鎖核酸鎖を結合させた測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを含有する、電気泳動を利用した測定対象物質測定用キット、及び
【0023】
(11)標識物質で修飾された二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を含有する、電気泳動を利用した測定対象物質測定用キットに関する発明である。
【0024】
即ち、本発明者らは、電気泳動、特にキャピラリー電気泳動を利用して、高感度且つ短時間に効率よく測定対象物質を分離する方法を求めて鋭意研究を重ねた結果、測定対象物質と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、標識物質とから、測定対象物質−核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体を生成させれば、当該複合体、即ち、測定対象物質を含む複合体を短時間に効率よく分離し得、更には試料中の測定対象物質を高感度且つ短時間に測定し得、しかも、検出感度を自由に制御し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の測定対象物質の分離方法は、標識物質で修飾された核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を用いることを特徴とするものである。
【0026】
即ち、標識物質で修飾された核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を用いることによって、最終的に、測定対象物質と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とからなる複合体、より具体的には、(1)測定対象物質と、(2)核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)及び当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質との複合体と、からなる複合体〔測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体〕を形成させた後、当該複合体と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離する方法である。
【0027】
本発明で用いられる核酸鎖は、プリン塩基又はピリミジン塩基、糖部分であるペントース、及びリン酸からなるヌクレオチド残基を基本単位とし、このリン酸が各ヌクレオチド間が糖の3'と5'位炭素の間でジエステル結合によって結ばれ重合した鎖状のポリヌクレオチドであり、例えば糖部分がリボースであるRNA又は/及び糖部分がデオキシリボースであるDNAが挙げられる。また、当該核酸鎖は、1本鎖でも、2本鎖乃至これ以上の複数の核酸鎖からなるものであってもよい。
【0028】
また、本発明で用いられる核酸鎖は、例えば化学合成法、微生物,昆虫,動物,植物等由来の細胞等から抽出・精製する方法、適当なプラスミド,ファージ,コスミド等のベクター遺伝子が導入された上記した如き細胞等を培養した後、細胞培養等により増殖したベクターを抽出・精製する方法、PCR等の遺伝子増幅技術を利用する方法(モレキュラークローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等)等の自体公知の方法により調製することができる。また、このようにして得られた核酸鎖は、化学的分解や制限酵素等の核酸鎖切断酵素等により分解した後、適宜精製することによって所望の長さに調製してもよい。
【0029】
これら使用される核酸鎖の長さとしては、本発明の目的を達成し得るものであればよく、通常1bp〜1000kbp、好ましくは5bp〜100kbp、より好ましくは10bp〜50kbpである。
【0030】
尚、本発明で用いられる核酸鎖は、本発明の目的を達成し得る範囲であれば、適当なもので適宜修飾等されていてもよい。
【0031】
本発明に於いて使用される測定対象物質に親和性を有する物質としては、例えばタンパク質間同士、タンパク質−化学物質間同士又は化学物質間同士の相互作用等により測定対象物質と結合する性質を有するものであり、具体的には例えば「抗原」−「抗体」間同士、「糖鎖」−「レクチン」間同士、「酵素」−「インヒビター」間同士、「タンパク質」−「ペプチド鎖」間同士又は「レセプター」−「リガンド」間同士の相互作用により結合するもの等を言い、上記各組合せに於いて何れか一方が測定対象物質である場合、他の一方がこの測定対象物質に親和性を有する物質である。例えば、測定対象物質が抗原であるときは測定対象物質に親和性を有する物質は抗体であり、測定対象物質が抗体であるときは測定対象物質に親和性を有する物質は「抗原」である(以下、その他の上記各組合せにおいても同様である)。
【0032】
より具体的には、例えばペプチド鎖(例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等)、タンパク質(例えば免疫グロブリンA(IgA),免疫グロブリンE(IgE),免疫グロブリンG(IgG),免疫グロブリンM(IgM),免疫グロブリンD(IgD),β−ミクログロブリン、アルブミン、これらの分解産物、フェリチン等の血清タンパク質、例えばアミラーゼ、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ等の酵素タンパク質、例えば結核菌,肺炎球菌,ジフテリア菌,髄膜炎菌,淋菌,ブドウ球菌,レンサ球菌,腸内細菌,大腸菌,ヘリコバクター・ピロリ等の細菌、ルベラウイルス,ヘルペスウイルス,肝炎ウイルス,ATLウイルス,AIDSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルス,エンテロウイルス,ポリオウイルス,EBウイルス,HAV,HBV,HCV,HIV,HTLV等のウイルス、例えばカンジダ,クリプトコッカス等の真菌、レプトスピラ,梅毒トレポネーマ等のスピロヘータ、クラミジア、マイコプラズマ等の微生物等に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原、例えばハウスダスト,例えばコナヒョウダニ,ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ,ブタクサ,オオアワガエリ,ハルガヤ,ライムギ等の花粉、例えばネコ,イヌ,カニ等の動物、例えば米,卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等の気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン、例えばリポタンパク質等の脂質、例えばトリプシン,プラスミン,セリンプロテアーゼ等のプロテアーゼ、例えばAFP,PSA,CEA,PGI,PGII等の腫瘍マーカータンパク抗原等)、糖鎖(例えばCA19−9,PIVKA−II,CA125,癌細胞の産生する特殊な糖鎖を有する物質が有する糖鎖等の腫瘍マーカー糖鎖抗原糖鎖、例えばABO糖鎖抗原等)、レクチン(例えばコンカナバリンA,レンズマメレクチン,インゲンマメレクチン,ダツラレクチン,小麦胚芽レクチン等)、リン脂質(例えばカルジオピリン等)、リポ多糖(例えばエンドトキシン等)、化学物質(例えばPTH,T3,T4,TSH,インシュリン,,LH,FSH,プロラクチン等のホルモン、例えばトリブチルスズ,ノニルフェノール,4−オクチルフェノール,フタル酸ジ−n−ブチル,フタル酸ジシクロヘキシル,ベンゾフェノン,オクタクロロスチレン,フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の環境ホルモン)、レセプター(例えばエストロゲン,TSH等に対するレセプター)、リガンド(例えばエストロゲン,TSH等)、及びこれらに対する抗体等が挙げられる。尚、本発明に於いて用いられる抗体には、パパインやペプシン等の蛋白質分解酵素、或いは化学的分解により生じるFab、F(ab')フラグメント等の分解産物も包含される。
【0033】
本発明に於いて、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させるには、測定対象物質に親和性を有する物質及び核酸鎖が夫々有する官能基を、直接又はリンカー〔例えばスルホサクシニミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレイト(Sulfo−SMPB)、スルホサクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレイト(Sulfo−SMCC)、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)等〕等を介して結合させればよい。このような結合方法としては、通常この分野で用いられる常法、例えば自体公知のEIA、RIA、FIA或いはハイブリダイゼーション法等に於いて一般的に行われている自体公知の標識方法[例えば、医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1版、中山書店、1971;図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、宮井潔編、第3版、医学書院、1987、モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等]や、アビジン(又はストレプトアビジン)とビオチンの反応を利用した常法等何れの方法により行ってもよい。
【0034】
尚、核酸鎖に予め反応性官能基を導入した後、上記結合方法により測定対象物質に親和性を有する物質と反応性官能基導入核酸鎖とを結合させてもよく、核酸鎖への反応性官能基の導入方法としては、自体公知の方法、例えば核酸末端に存在する5'トリリン酸基に反応性官能基を有する化合物(例えばN−トリフルオロアセチルアミノ−アルキルアミン等のアミノ基を有する化合物、シスタミン等のチオール基を有する化合物、N−ビトチニルアミノ−アルキルアミン等のビオチンを有する化合物、マレイミドアルキルアミン等のマレイミド基を有する化合物等)を例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ハイドロクロライド(WSC)等の縮合試薬を用いてホスホアミダイト結合させることにより反応性の官能基を導入する方法(Nucleic Acid Res.(1988)16,3671,Chu,B.C.,et.al.)、例えば核酸末端に存在する3'水酸基に反応性官能基を有する化合物(例えばN−トリフルオロアセチルアミノ−アルキルカルボン酸等のアミノ基を有する化合物、N−ビトチニルアミノ−アルキルカルボン酸等のビオチンを有する化合物、マレイミドアルキルカルボン酸等のマレイミド基を有する化合物等)を例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ハイドロクロライド(WSC)等の縮合試薬を用いてエステル結合させることにより反応性の官能基を導入するか、又はその活性エステル体を直接反応させる方法(Nucleic Acid Res.(1986)14,6115,Jabloski,et.al.,)、アミノ基を有する塩基(アデニン、シトシン)が一本鎖として突出する末端を有する制限酵素切断断片にアミノ基反応性のリンカーを反応させて当該一本鎖突出末端に当該リンカーを導入する方法(ケミストリー・オブ・プロテイン・アンド・クロスリンキング Shan S.Wong,(1991)Published by CRC Press)、一本鎖突出末端を形成する制限酵素切断断片に平滑化酵素(T4DNAポリメラーゼ、DNA Blunting酵素等)を用いて反応性官能基を導入したヌクレオチドモノマーを取りこませる方法(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等)、一本鎖突出末端を形成する制限酵素切断断片の一本鎖部分の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドの5'末端に反応性官能基を導入した後、制限酵素切断断片一本鎖突出部分にハイブリッド形成させる方法(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等)、5'末端に反応性官能基を導入したPCRプライマーを用いてPCR法を行い、PCR産物として5'末端に反応性官能基が導入された核酸鎖を得る方法(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等)等により核酸末端へ反応性官能基を導入することができる。また、用いられる核酸鎖が1本鎖である場合には、1本鎖核酸に、5'末端に反応性官能基を導入した、当該核酸鎖の5'末端部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させる方法(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル セカンド エディション、J.サムブルック,E.F.フリッシュ,T.マニアティス、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス等)等によっても、反応性官能基が導入された核酸鎖を得ることができる。尚、上記した如き場合に於ける反応性官能基としては、例えばヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、イソチオシアネート基、アビジン基、ビオチン基、カルボキシル基、ケトン基、マレイミド基、活性エステル基、スルホン酸ハライド基、カルボン酸ハライド基、アミノ基、硫酸基、ピイリジルジオ基、アルデヒド基等である。
【0035】
尚、測定対象物質に親和性を有する物質に結合させる核酸鎖の数が不均一であると、形成される複合体中に存在する核酸鎖の数が不均一となり、当該複合体が不特定に分離されることとなるので、測定対象物質に親和性を有する物質に結合させる核酸鎖の数は均一であるのが好ましい。また、同様の理由から、一分子の核酸鎖に結合する測定対象物質に親和性を有する物質の数も1分子であるのが好ましい。
【0036】
また、上記した如き結合方法に於いて、使用する核酸鎖の両末端に測定対象物質に親和性を有する物質が結合し得る官能基が存在する場合には、当該核酸鎖を、予め酵素的又は化学的に切断して片端のみに反応性官能基が導入された核酸鎖とした後に、測定対象物質に親和性を有する物質と結合させるか、或いは当該核酸鎖と測定対象物質に親和性を有する物質とを結合させて当該核酸鎖の両末端に測定対象物質に親和性を有する物質が結合したものを一旦作製した後、当該核酸鎖を酵素的又は化学的に切断することにより、核酸鎖の片端に、測定対象物質に親和性を有する物質が結合したものを得てもよい。
【0037】
本発明に於いて用いられる標識物質としては、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ハイブリダイゼーション法等、通常この分野で用いられる、核酸鎖を修飾し得るものであればよく、例えばアルカリホスファターゼ(ALP),β−ガラクトシダーゼ(β−Gal),パーオキシダーゼ(POD),マイクロパーオキシダーゼ,グルコースオキシダーゼ(GOD),グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PDH),リンゴ酸脱水素酵素,ルシフェラーゼ等の酵素類、例えばクーマシーブリリアントブルーR250,メチルオレンジ等の色素、例えば99mTc,131I,125I,14C,H,32P,35S,等の放射性同位元素、例えばフルオレセイン,ローダミン,ダンシル,フルオレスカミン,クマリン,ナフチルアミン或はこれらの誘導体,希土類蛍光色素体〔例えばサマリウム(Sm)、ユーロピューム(Eu)、テルビウム(Tb)又はディスプロシウム(Dy)等の希土類金属と4,4'−ビス(1'',1'',1'',2'',2'',3'',3'',ヘプタフルオロ−4'',6''−ヘキサンジオン−6''−イル)クロロスルフォ−o−テルフェニル(BHHCT)、4,7−ビス(クロロスルフォニル)−1,10−フェナンスロリン−2,9−ジカルボキシリックアシッド(BCPDA)、β−ナフチルトリフルオロアセチックアシッド(β−NTA)等のキレート化合物との組み合わせからなるもの等〕,核酸結合性蛍光色素等の蛍光性物質、例えばルシフェリン,イソルミノール,ルミノール,ビス(2,4,6−トリフロロフェニル)オキザレート等の発光性物質、例えばフェノール,ナフトール,アントラセン或はこれらの誘導体等の紫外部に吸収を有する物質、例えば4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル,3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル,2,6−ジ−t−ブチル−α−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン)−p−トリルオキシル等のオキシル基を有する化合物に代表されるスピンラベル化剤としての性質を有する物質等が挙げられる。
【0038】
上記した如き核酸結合性蛍光色素は、核酸鎖に結合することによって強い蛍光を発するものであり、核酸結合性蛍光色素としては、例えば核酸鎖の塩基と塩基の中に入りこむもの、いわゆるインターカレーター色素〔例えばアクリジンオレンジ等のアクリジン色素、例えば臭化エチジウム,エチジウムホモダイマー1(EthD−1),エチジウムホモダイマー2(EthD−2),臭化エチジウムモノアジド(EMA),ジヒドロエチジウム等のエチジウム化合物、例えばヨウ素化プロピジウム,ヨウ素化ヘキシジウム等のヨウ素化合物、例えば7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)、例えばPOPO−1,BOBO−1,YOYO−1,TOTO−1,JOJO−1,POPO−3,LOLO−1,BOBO−3,YOYO−3,TOTO−3等のシアニンダイマー系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)、例えばPO−PRO−1,BO−PRO−1,YO−PRO−1,TO−PRO−1,JO−PRO−1,PO−PRO−3,LO−PRO−1,BO−PRO−3,YO−PRO−3,TO−PRO−3,TO−PRO−5等のシアニンモノマー系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)、例えばSYBR Gold,SYBR Green I and SYBR Green II,SYTOX Green,SYTOX Blue,SYTOX Orange等のSYTOX系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)等〕、DNA二重らせんのマイナーグルーブに結合するもの〔例えば4',6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI:モレキュラープローブ社商品名),ペンタハイドレート(ビス−ベンズイミド)(Hoechst 33258:モレキュラープローブ社商品名),トリヒドロクロライド(Hoechst 33342:モレキュラープローブ社商品名),ビスベンズイミド色素(Hoechst 34580:モレキュラープローブ社商品名)等〕、アデニン−チミン(A−T)配列に特異的に結合するもの〔例えば9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン(ACMA),ビス−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)スペルミン(アクリジンホモダイマー)等のアクリジン色素、例えばヒドロキシスチルバミジン等〕等が挙げられる。
【0039】
本発明に於いて、核酸鎖を標識物質で修飾する方法としては、上記した如き測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法と同様のものが挙げられる。
また、標識物質として核酸結合性蛍光色素を用いる場合には、下記の如く行えばよい。
【0040】
即ち、常法(例えばハンドブック・オブ・フルオレッセント・プローブ・アンド・リサーチ・ケミカルズ7版第8章;モレキュラー・プローブInc.等に記載の方法)に従い、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質の複合体中の核酸鎖も含む)と、標識物質とを、例えば水或いはトリス緩衝液,リン酸緩衝液,ベロナール緩衝液,ホウ酸緩衝液,グッド緩衝液,SSC緩衝液,TBE緩衝液,TAE緩衝液等のハイブリダイゼーション法,免疫法等の通常この分野で用いられる緩衝液等の溶液中で、適当な温度で適当時間接触させればよい。
【0041】
上記方法に於いて、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質の複合体中の核酸鎖も含む)と、標識物質とを接触させるには、核酸鎖、測定対象物質を含む試料、核酸鎖結合親和性物質、標識物質、核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体等は、直接上記した如き水或いは緩衝液等に添加して、溶解、分散若しくは懸濁させて互いに混合接触させてもよいし、夫々を一旦、上記した如き水或いは緩衝液等に添加して溶解、分散若しくは懸濁させて液状物とし、これらを互いに混合接触させてもよい。
【0042】
尚、本発明に於いて、核酸鎖を標識物質で修飾するには、核酸鎖に直接標識物質を結合させても、リンカー〔例えばSulfo−SMPB、Sulfo−SMCC、EMCS等〕、又は核酸鎖(標識しようとする、測定対象物質に親和性を有する物質に結合した核酸鎖とは別の核酸鎖。以下、リンカー核酸鎖と略記する。)、ペプチド、タンパク質、糖類等(以下、リンカー物質と略記する。)を介して結合させてもよい。
また、核酸鎖を、リンカー物質を介して標識物質と結合させる場合、核酸鎖とリンカー物質とを結合させる方法及びリンカー物質と標識物質とを結合させる方法としては、上記した如き測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法又は核酸鎖を標識物質で修飾する方法と同様のものが使用できる。尚、核酸鎖の、リンカー物質を介した標識物質での修飾は、予め標識物質で修飾されたリンカー物質を核酸鎖に結合させても、核酸鎖とリンカー物質とを結合させた後、当該リンカー物質と標識物質とを結合させても、核酸鎖とリンカー物質と標識物質とを同時に結合させても、何れでもよい。
更に、本発明に於いて、核酸鎖の標識物質による修飾は、後述するように、使用する標識物質に応じて、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる前でも同時でも後でもよく、特に限定されない。
【0043】
標識物質の使用濃度としては、使用する標識物質の種類等により異なるので一概には言えないが、例えば核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質の複合体中の核酸鎖も含む)と、標識物質とを接触させる際の液状物中に於いて、通常1fM以上、好ましくは1pM以上、より好ましくは1pM〜1M、更に好ましくは1nM〜1M、特に好ましくは1μM〜1Mである。
【0044】
特に、標識物質として核酸結合性蛍光色素を用いる場合には、例えば核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質の複合体中の核酸鎖も含む)と、標識物質とを接触させる際の液状物中に於いて、通常1fM以上、好ましくは1pM〜1M、より好ましくは1nM〜1Mである。
【0045】
本発明に於いて、例えば、血清等の、測定対象物質以外に、核酸結合性蛍光色素が結合し得るような共存物質(例えばタンパク質等)が多量に存在する試料を用いる場合には、当該共存物質が核酸結合性蛍光色素と結合してしまうことに起因する、バックグランドの上昇、シグナル強度の低下等を回避するため、上記した如き標識物質のうち核酸結合性蛍光色素以外のものを用いるのが好ましい。
但し、核酸結合性蛍光色素は、例えば、ある程度精製された測定対象物質を試料とする場合、言い換えれば、測定対象物質以外に、核酸結合性蛍光色素が結合し得るような共存物質(例えばタンパク質等)が、試料中に多量に存在しない場合には、以下の如き理由等により好ましい。
即ち、核酸結合性蛍光色素は、一定の割合で核酸鎖を修飾することができるので(通常5〜6塩基に対して1分子の割合で修飾する。)、通常の標識物質に比べて標識量(標識効率)を増加することが可能となり、測定(検出)感度を増加し得る。また、使用する核酸鎖の長さを変化させることにより、それを修飾する核酸結合性蛍光色素の量を簡単に制御することができるので、測定(検出)感度の制御も自由に行うことができる。例えば、測定対象物質が高濃度に存在する場合には、短鎖の核酸鎖を用いることにより、それを修飾する核酸結合性蛍光色素の量を少なくすることによって、結果的に測定(検出)感度を低く抑えることができ、また、測定対象物質が低濃度に存在する場合には、長鎖の核酸鎖を用いることにより、それを修飾する核酸結合性蛍光色素の量を多くすることによって、結果的に、測定(検出)感度を高くすることができ、測定ダイナミックレンジを大きく取ることが可能になる。
また、本発明に於いて、核酸鎖を標識物質で修飾する方法としては、以下の如き理由等により、核酸鎖を、リンカー物質を介して標識物質と結合させる方法が好ましく、特に核酸鎖を、予め標識物質で修飾されたリンカー物質と結合させる方法が好ましい。
即ち、核酸鎖を修飾する標識物質の量が均一でないと、電気泳動時に、標識物質により標識された核酸鎖結合親和性物質のピークがブロードとなってしまい感度低下の原因となる。しかしながら、上記方法によれば、核酸鎖を、均一量の標識物質で修飾することができる。特に、予め標識物質で修飾されたリンカー物質を用いる場合には、当該標識リンカー物質を調製する際にリンカー物質を修飾するための標識物質の量を制御し易いため、より好ましい。
例えば核酸鎖にビオチンを結合させておき、これに予め標識物質により修飾されたアビジン(又はストレプトアビジン)を結合させることにより、容易に標識物質量を制御して核酸鎖を修飾し得る。また、例えば核酸鎖にビオチンを結合させておき、これに予めビオチンを結合させた、標識物質により修飾されたリンカー物質(例えばリンカー核酸鎖等)を、アビジン(又はストレプトアビジン)を介して結合させることにより、容易に標識物質量を制御して核酸鎖を修飾し得、更には、アビジン(又はストレプトアビジン)1分子に対して4分子のビオチンが結合することから3分子の標識リンカー物質を結合させることができるので、測定(検出)感度を上昇させることもできる。
【0046】
発明に於いて、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させるには、測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)と当該核酸鎖を修飾し得る標識物質とを互いに接触させ、最終的に、《I》測定対象物質と、《II》核酸鎖結合親和性物質及び当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質との複合体と、からなる複合体〔測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)〕を形成し得る方法であればよく、特に限定されない。
【0047】
具体的には、(1)上記方法により、先ず、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質中の核酸鎖を当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質で修飾して核酸鎖結合親和性物質と標識物質との複合体(核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体)を形成させ、次いで、測定対象物質を含有する試料及び当該複合体とを、例えば水或いは緩衝液(例えばトリス緩衝液,リン酸緩衝液,ベロナール緩衝液,ホウ酸緩衝液,グッド緩衝液,SSC緩衝液,TBE緩衝液,TAE緩衝液等のハイブリダイゼーション法,免疫法等の分野で用いられる緩衝液等)等中で互いに混合接触させて測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法、(2)測定対象物質を含有する試料、核酸鎖結合親和性物質及び標識物質とを、上記した如き水或いは緩衝液等中で混合して一挙に接触させて、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法、或いは(3)先ず、測定対象物質を含有する試料及び核酸鎖結合親和性物質とを、上記した如き水或いは緩衝液等中で互いに混合接触させて、測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質の複合体を形成させ、次いで、上記方法により、当該複合体中の核酸鎖を標識物質で修飾して、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法等が挙げられる。
【0048】
尚、上記方法に於いて、測定対象物質を含む試料、核酸鎖結合親和性物質、標識物質、核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体等は、直接上記した如き水或いは緩衝液等に添加して、溶解、分散若しくは懸濁させて互いに混合接触させてもよいし、夫々を一旦、上記した如き水或いは緩衝液等に添加して溶解、分散若しくは懸濁させて液状物とし、これらを互いに混合接触させてもよい。
【0049】
尚、上記方法に於いて、測定対象物質を含む試料が液状物である場合には、上記したように例えば水或いは緩衝液等に溶解、分散若しくは懸濁させなくともよい。
【0050】
上記方法(1)に於いて、測定対象物質と、核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体との複合体を形成する際の核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体の使用濃度としては、測定対象物質の検量限界等により変動するため一概には言えないが、通常、反応液中に於いて、設定された検量限界濃度に相当する測定対象物質全てと結合し得る濃度以上、好ましくはその2倍濃度以上、より好ましくは5倍濃度以上が反応液中に存在していることが望ましい。また、上記方法(2)に於いて、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる際、及び上記方法(3)に於いて、測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質の複合体を形成させる際の核酸鎖結合親和性物質の使用濃度としては、測定対象物質の検量限界等により変動するため一概には言えないが、通常、反応液中に於いて、設定された検量限界濃度に相当する測定対象物質全てと結合し得る濃度以上、好ましくはその2倍濃度以上、より好ましくは5倍濃度以上が反応液中に存在していることが望ましい。尚、方法(2)及び(3)に於ける標識物質の使用濃度は上記した如き核酸鎖結合親和性物質を標識物質で修飾する方法で述べた通りである。
【0051】
本発明の方法に於いて、測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質、測定対象物質−(核酸鎖親和性結合物質−標識物質)等の複合体を形成させる際のpHや温度は、測定対象物質と核酸鎖結合親和性物質の性質により異なるため一概には言えないが、複合体が形成されるのを妨げない範囲であればよく、pHは、通常2〜10、好ましくは5〜9であり、温度は、通常0〜90℃、好ましくは20〜80℃である。また、反応時間は、複合体が形成されるのに要する時間が、測定対象物質と核酸鎖結合親和性物質の性質により異なるので、夫々の性質に応じ、通常数秒乃至数時間適宜反応させればよい。
【0052】
本発明が適用される試料としては、例えば血清,血漿,髄液,滑液,リンパ液等の体液、尿,糞便のような排泄物、喀たん,膿,皮膚由来物等の生体由来試料、例えば食品,飲料,水道水,海水,湖沼水,河川水,工場廃液,半導体用洗浄水,医療器具等を洗浄した後の洗浄液等の環境試料及びこれらを水や通常この分野で用いられている例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等の緩衝液等に適宜溶解させて再構成して得られた処理物等が挙げられる。
【0053】
かくして得られた測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離する方法としては、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であり、例えば電気泳動法(例えば等電点電気泳動法,SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法,アガロースゲル電気泳動法,アクリルアミド電気泳動法),誘電泳動法等の電気を利用する電気的分離法、例えばカラム分析法(例えばゲルろ過カラム分析,イオン交換カラム分析法,アフィニティーカラム分析法)、マススペクトル質量分析法等が挙げられる。なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる、例えば等電点電気泳動法,SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法,アガロースゲル電気泳動法,アクリルアミド電気泳動法等の電気泳動法や誘電泳動法等の電気的分離法が好ましく、特に、冷却効率がよく、高電圧をかけることができ、より効率よく分離し得る等の点から、キャピラリー電気泳動法、誘電泳動法がより好ましい。
【0054】
尚、本発明に於いて、一般的には、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)複合体と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを、上記した如き分離方法を用いて夫々分離する。しかしながら、標識物質として核酸結合性蛍光色素を用いる場合、当該核酸結合性蛍光色素は、核酸鎖を修飾することによって初めて測定可能(強い蛍光を発する)となる性質を有しており、複合体の形成に関与しなかった遊離の核酸結合性蛍光色素は目的の測定に特に影響を与えないので、核酸結合性蛍光色素を標識物質として用いた場合には、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)と、標識物質(核酸結合性蛍光色素)とを夫々分離しなくても、測定対象物質の測定に支障をきたさない。また、同様に、先に説明した(1)の方法により測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる場合、即ち、先ず、核酸鎖結合親和性物質と標識物質との複合体を形成させた後に、これと測定対象物質を接触させて測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる場合には、核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させた後に、遊離の標識物質を予め分離・除去等することにより、遊離の標識物質が共存しない核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を測定対象物質に接触させることができるので、この場合にも、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)と、標識物質とを夫々分離しなくてもよい。従って、これらの場合には、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)複合体と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質とを夫々分離すれば充分である。
【0055】
尚、本発明に於いては、上記した如き電気泳動法を利用した分離方法で通常用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類等は全て使用でき、その使用濃度も自体公知の方法に従い適宜選択すればよい。また、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)も自体公知の方法に従い適宜選択すればよい。
【0056】
また、本発明の方法をμ−TASに於いて実施する場合には、特に、キャピラリーチップ電気泳動法、誘電泳動法により分離を行うのが好ましい。
【0057】
キャピラリーチップ電気泳動法とは、チップ基板上に断面の直径100μm以下のキャピラリを形成させ、このキャピラリ中で電気泳動を行なう技術であり、キャピラリ内に電圧をかけることによってサンプル内に存在する物質の電荷の差をその移動度の差として分離する方法である。また、ここで用いられる装置としては、基本的には、図1に示すように、微細加工技術により作製された十字のキャピラリー構造及び当該キャピラリーの端にバッファーやサンプルを充填する為のリザーバーを有するものである。
【0058】
また、キャピラリーチップ電気泳動法は、以下のような手順で物質の分離を行うものである。
即ち、(1)キャピラリ内に泳動用緩衝液等を充填した後、サンプルリザーバーに試料を充填する。(2)次いで、例えば図1のサンプル導入に示すような電圧を印加するとサンプルリザーバーから矢印方向(横方向の矢印)に試料が移動する。(3)そして、印加する電圧を例えば図1に示すようなサンプル分離電圧に変える(縦方向の矢印)ことによって、キャピラリークロス部分に存在していた試料のみを分離用キャピラリー内に導入し、物質間の移動度の差を利用して分離キャピラリー内の任意の位置に夫々分離する。
尚、キャピラリ内に分子篩い効果を持たせるようなポリマーを、充填剤として泳動用緩衝液等と共に充填することによって、物質の電荷の差のみでなく、物質の大きさの違いによっても、その物質の移動度に差を与えることができ、より効率よく物質の分離が可能となる。
【0059】
本発明で用いられるキャピラリーの材質としては、通常この分野で用いられているものであればよく、特に限定されないが、具体的には、例えばガラス,石英,シリコン等のシリカ系化合物、例えばポリメチルメタクリレート,ポリメチルシロキサン,ポリビニルクロライド,ポリウレタン,ポリスチレン,ポリスルホン,ポリカーボネート,ポリテトラフルオロエチレン等の合成ポリマー等が挙げられる。また、キャピラリーの内径及び長さは、測定対象物質を分離し得るものであればよく特に限定されないが、内径は、通常1〜1000μm、好ましくは1〜200μm、より好ましくは1〜100μmであり、長さは、通常0.1mm〜100cm、好ましくは0.1mm〜20cm、より好ましくは0.1mm〜10cmである。
【0060】
また、キャピラリーに充填されるポリマー(充填剤)としては、通常この分野で用いられているものであればよく、特に限定されないが、具体的には、例えばポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール),ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル類、例えばポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、例えばポリアクリル酸,ポリアクリル酸エステル,ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸系ポリマー、例えばポリアクリルアミド,ポリメタクリルアミド等のポリアミド系ポリマー、例えばポリメタクリル酸,ポリメタクリル酸エステル,ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸系ポリマー、例えばポリビニルアセテート,ポリビニルピロリドン,ポリビニルオキサゾリドン等のポリビニル系ポリマー、例えばプルラン,エルシナン,キサンタン,デキストラン,グアガム等の水溶性ヒドロキシルポリマー、例えばメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース化合物、これらの誘導体、及びこれらポリマーを構成するモノマーユニットを複数種含有するコポリマー等が挙げらる。尚、これら充填剤は、1種でも2種以上組み合わせて用いても何れでもよい。
【0061】
また、上記した如き充填剤の分子量としては、通常500Da〜6000kDa、好ましくは1〜1000kDa、より好ましくは100〜1000kDaである。
【0062】
上記した如き充填剤の使用濃度は、通常この分野で用いられている範囲から適宜選択すればよく、通常0.01〜40%(W/V)、好ましくは0.01〜20%(W/V)、より好ましくは0.1〜10%(W/V)である。
尚、上記充填剤を泳動用緩衝液に添加した際の、泳動用緩衝液の粘度は、通常2〜1000センチポアズ、好ましくは5〜200センチポアズ、より好ましくは10〜100センチポアズである。
【0063】
泳動用緩衝液としては、通常この分野で用いられているものであればよく、特に限定されないが、具体的には、例えばトリス緩衝液,リン酸緩衝液,ベロナール緩衝液,ホウ酸緩衝液,グッド緩衝液,SSC緩衝液,TBE緩衝液,TAE緩衝液等のハイブリダイゼーション法,免疫法等の分野で用いられる緩衝液等が挙げられ、その使用濃度としては、通常0.1mM〜10M、好ましくは1mM〜5M、より好ましくは5mM〜1Mである。また、当該緩衝液のpHとしては、物質の分離に悪影響を及ぼさないものであればよいが、通常2〜13、好ましくは4〜11、より好ましくは5〜9である。
【0064】
また、印加電電圧も、通常この分野で用いられている範囲から適宜選択すればよく、通常5〜2000V/cm、好ましくは10〜1000V/cm、より好ましくは50〜500V/cmの範囲で印加される。
【0065】
本発明の実施の形態を以下により詳細に説明する。
【0066】
〔分離方法−1〕
本発明に於いて、測定対象物質に対する核酸鎖結合親和性物質を1種用いる場合を模式的に図2に示す。
【0067】
即ち、先ず、測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)1種と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−〔核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体を形成させた後、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを電気泳動により分離する。
【0068】
上記方法に於いて分離される測定対象物質としては、前述した如き測定対象物質のうち、当該測定対象物質のpIと、電気泳動により分離を行う際に用いられる電気泳動用緩衝液のpHとの差が、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上のものである。
また、測定対象物質の大きさ(分子量)としては、特に限定されないが、通常100Da以上、好ましくは300Da〜2000kDa、より好ましくは500Da〜1000kDaである。
【0069】
上記方法に於いて、核酸鎖、測定対象物質に親和性を有する物質、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)と当該核酸鎖を修飾し得る標識物質とから、測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法等は先に説明した通りである。
【0070】
上記方法に於いて、かくして得られた測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離する方法としては、前述と同様、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であるが、なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる電気泳動法が一般的に使用され、キャピラリー(チップ)電気泳動法、誘電泳動法が好ましい。また、ここで用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類、その使用濃度、キャピラリーの材質、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)等も前述と同様である。
【0071】
〔分離方法−2〕
本発明の方法は、上記した如き1種の核酸鎖結合親和性物質と、更に1種以上の核酸鎖結合親和性物質とを組み合わせて用いること、即ち、2種以上の核酸鎖結合親和性物質を用いることにより、更に測定対象物質の分離能を向上させることができる。測定対象物質に対する核酸鎖結合親和性物質を2種以上用いる場合を模式的に図3に示す。
【0072】
即ち、先ず、測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−〔2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体を形成させ、次いで当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを電気泳動により分離する。
【0073】
上記方法に於いて分離される測定対象物質としては、前述した如き測定対象物質のうち、異なる2種以上の核酸鎖結合親和性物質が結合し得る互いに異なる2種以上の結合部位を有するものである。
【0074】
上記方法に於いて用いられる2種以上の核酸鎖結合親和性物質に結合させる核酸鎖としては、前述した通りであり、夫々の核酸鎖の鎖長は同一でも異なっていてもよく、測定対象物質−〔2種以上の特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体と、複合体形成に関与しなかった2種以上の、核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離可能とならしめるような、鎖長を夫々有する核酸鎖であればい。より具体的には、形成される複合体中の核酸鎖と用いられる2種以上の核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖との間の関係が、(複合体中の核酸鎖長の総和−2種以上の核酸鎖結合親和性物質のうち、最も核酸鎖の長い核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長)/複合体中の核酸鎖長の総和 の値(X)が、通常0<X<1、好ましくは0.001≦X<1、より好ましくは0.01≦X<1、更に好ましくは0.1≦X<1、特に好ましくは0.5≦X<1である。
【0075】
また、使用される核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が異なる2種以上の物質としては、前述した如き、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質のなかから、測定対象物質上の結合部位が互いに異なるものを2種以上適宜選択すればよい。
【0076】
上記方法に於いては、全ての核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾するのが一般的であるが、少なくとも1種の核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾しておけばよく、それ以外の核酸鎖結合親和性物質は標識物質により修飾しても又はしなくてもどちらでもよい。
即ち、この場合、最終的に形成される測定対象物質−(2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体は、(核酸鎖結合親和性物質)1−測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)mとなる。〔式中、1は0以上の整数を、mは1以上の整数を夫々表し、1+mは2以上である。〕
また、上記方法に於いて、用いられる標識物質は1種でも2種以上でもよい。
【0077】
上記方法に於いて、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が異なる2種以上の物質(2種以上の核酸鎖結合親和性物質)と当該核酸鎖を修飾し得る標識物質とから、測定対象物質−(2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法等は先に説明した通りである。
【0078】
上記方法に於いて、かくして得られた測定対象物質−(2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質)と、当該複合体に関与しなかった2以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離する方法としては、前述と同様、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であるが、なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる電気泳動法が一般的に使用され、キャピラリー(チップ)電気泳動法、誘電泳動法が好ましい。また、ここで用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類、その使用濃度、キャピラリーの材質、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)等も前述と同様である。
【0079】
更に、本発明の方法は、2種以上の測定対象物質の夫々に、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを結合させて、互いに異なる長さの核酸鎖を有するように、2種以上の、測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を夫々形成させれば、これら2種以上の複合体の夫々と、これら複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを、相互に分離すること、換言すれば、同時に複数の測定対象物質を分離することができる。
【0080】
上記方法は、使用する測定対象物質に親和性を有する物質の性質により、以下のように、少なくとも1種の、2種以上の測定対象物質の全てに対して親和性を有する物質を用いる方法と、2種以上の測定対象物質の夫々の何れか一種にのみ親和性を有する物質2種以上を用いる方法の2つに大別される。
【0081】
〔分離方法−3〕
先ず、少なくとも1種の、2種以上の測定対象物質の全てに対して親和性を有する物質を用いる方法を模式的に図4に示す。
【0082】
即ち、先ず、《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種(nは2以上の整数)の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA1:An)、(2)核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA2:An)、(3)核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA3:An)、・・・・・・、(n−1)核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An)及び(n)核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BAn)と、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質から、〔1〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An−標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An及び核酸鎖結合親和性物質BA2:An−標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An及び核酸鎖結合親和性物質BA3:An−標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・及び核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An−標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質 −核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・、核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An及び核酸鎖結合親和性物質BAn−標識物質の複合体を夫々形成させ、次いでこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々を、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の核酸鎖結合親和性物質夫々と標識物質との複合体、要すれば標識物質とを、相互に分離する。
【0083】
上記方法に於いて分離されるn個の測定対象物質としては、前述した如き測定対象物質のうち、1からnの測定対象物質の全てが少なくとも1種の共通する核酸鎖結合親和性物質が結合し得る結合部位を有し、更にそのうち2からnの測定対象物質は1の測定対象物質以外の測定対象物質に共通する核酸鎖結合親和性物質が結合し得る結合部位(1の測定対象物質には存在しないか、又は1の測定対象物質にも存在はするが何らかの因子によって核酸鎖結合親和性物質の結合が阻害されている結合部位)を有し、・・・・・・、n−1からnの測定対象物質は1からn−2の測定対象物質以外の測定対象物質に共通する核酸鎖結合親和性物質が結合する結合部位(1からn−2の測定対象物質の何れにも存在しないか、又は1からn−2の測定対象物質にも存在はするが何らかの因子によって核酸鎖結合親和性物質の結合が阻害されている結合部位)を有し、nの測定対象物質はnの測定対象物質のみに存在する核酸鎖結合親和性物質が結合し得る結合部位(1からn−1の測定対象物質の何れにも存在しないか、又は1からn−1の測定対象物質にも存在はするが何らかの因子によって核酸鎖結合親和性物質の結合が阻害されている結合部位)を有するものである。尚、上記方法に於いて、「存在はするが何らかの因子によって核酸鎖結合親和性物質の結合が阻害されている結合部位」とは、例えば当該結合部位自体の構造は変化していないものの、当該部位の近傍の構造(例えば糖鎖等)により当該測定対象物質上の結合部位への核酸鎖結合親和性物質の結合が妨げられている場合、当該部位の近傍の部位に物質(例えばレクチン等)が結合することにより当該測定対象物質上の結合部位への核酸鎖結合親和性物質の結合が妨げられている場合等をいう。
【0084】
上記方法に於いて、核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA1:An)を1種用いる場合、即ち、分離される各種複合体のなかに、核酸鎖結合親和性物質が1種のみ結合するものが存在する場合には、少なくとも当該複合体中の測定対象物質は、前述した如き測定対象物質のうち、当該測定対象物質のpIと、電気泳動により分離を行う際に用いられる電気泳動用緩衝液のpHとの差が、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上のものであることが望ましい。
【0085】
また、上記方法は、いわゆるアイソザイム、アイソフォーム、ホルモン等の同一の作用を有する2種以上の物質が存在する分子又は類似した構造を有するが異なる作用を有する2種以上の物質が存在する分子、例えばアミラーゼ(例えば膵型,唾液腺型,X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性,骨性,胎盤性,小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(例えば腎性,膵性,肝性等)、リパーゼ(例えば膵型,胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK−1,CK−2,,mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1〜LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm,ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm,ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1〜ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC−LAP,AA,CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等の酵素類、例えばステロイドホルモン、ヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCGファミリー)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSHファミリー)、黄体形成ホルモン(LHファミリー)等の生理活性物質、例えば前立腺特異抗原(PSAファミリー)、α−マクログロブリン、癌胎児性抗原(例えばCEA,NCA,NCA−2,NFA等)、α−フェトプロテイン(例えばL1からL3等)等の癌関連抗原等から選ばれる、上記した如き性質を有するものを測定対象物質とする場合に有用である。
【0086】
上記方法に於ける、n個の測定対象物質のnの数としては、特に限定されないが、通常2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
【0087】
上記方法に於いて用いられる各種の核酸鎖結合親和性物質に結合させる核酸鎖としては、前述した通りであり、夫々の核酸鎖の鎖長は同一でも異なっていてもよく、〔1〕から〔n〕の複合体の夫々を、これら複合体形成に関与しなかった(1)〜(n)の核酸結合親和性物質夫々と標識物質との複合体、要すれば標識物質とを相互に分離し得るように適宜選択すればよい。より具体的には、例えばn種類の測定対象物質をp種類(pは整数であり且つn以上)の核酸鎖結合親和性物質を用いて分離する場合には、形成されるn種の各複合体中の核酸鎖と用いられるp種の各核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖との間の関係が、(1)(n種の複合体及びp種の核酸鎖結合親和性物質のうち、結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、(2)(2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−3番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、・・・・・・及び(n+p−1)〔n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−n+p番目に核酸鎖の長さの合計が大きい(最も少ない)複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和〕/n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、の夫々の値(X)が、通常0<X<1、好ましくは0.001≦X<1、より好ましくは0.01≦X<1、更に好ましくは0.1≦X<1、特に好ましくは0.5≦X<1である。
【0088】
尚、上記の方法に於いては、遊離の核酸鎖結合親和性物質同士を互いに分離する必要はないので、これらについては上記した如き条件を考慮する必要はない。
【0089】
また、使用される、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質としては、前述した如き、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質のなかから、(1)分離されるn個の測定対象物質のうち、1からnの測定対象物質の全てに親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA1:An)、(2)2からnの測定対象物質に親和性を有し且つ1の測定対象物質に親和性を有さない物質(核酸鎖結合親和性物質BA2:An)、・・・・・・、(n−1)n−1からnの測定対象物質に親和性を有し且つ1からn−2の測定対象物質には親和性を有さない物質(核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An)、及び(n)nの測定対象物質に親和性を有し且つ1からn−1の測定対象物質には親和性を有さない物質(核酸鎖結合親和性物質BAn)の少なくともn個の核酸鎖結合親和性物質を適宜選択すればよい。
【0090】
尚、上記方法に於いて用いられる核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・、核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An及び核酸鎖結合親和性物質BAnは、夫々1種である必要はなく、夫々2種以上使用してもよい。
【0091】
また、上記方法に於いては、〔1〕から〔n〕の複合体中の少なくとも1種の核酸鎖結合親和性物質を夫々標識物質により修飾しておけば、目的の測定を行うことが可能であり、それ以外の核酸鎖結合親和性物質は標識物質により修飾しても又はしなくてもどちらでもよいが、n個全ての測定対象物質に対する核酸鎖結合親和性物質(核酸鎖結合親和性物質BA1:An)を標識物質により修飾するのが好ましく、また、全ての核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾するのが一般的である。
【0092】
また、上記方法に於いて、用いられる標識物質は1種でも2種以上でもよく、例えば特定核酸鎖結合親和性物質の性質に応じて用いる標識物質の種類を変えれば、形成される、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体間に於いて、互いに標識物質の種類が異なるので、形成された複合体、換言すれば測定対象物質の種類を容易に識別することが可能となる。
【0093】
上記方法に於いて、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び複合体を形成させる方法等は前述と同様である。
【0094】
上記方法に於いて、かくして得られた〔1〕から〔n〕のn種の複合体{〔1〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An−標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An及び核酸鎖結合親和性物質BA2:An−標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An及び核酸鎖結合親和性物質BA3:An−標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・及び核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An−標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質 −核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・、核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An及び核酸鎖結合親和性物質BAn−標識物質の複合体}と、当該複合体形成に関与しなかった2以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを、相互に分離する方法としては、前述と同様、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であるが、なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる電気泳動法が一般的に使用され、キャピラリー(チップ)電気泳動法が好ましい。また、ここで用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類、その使用濃度、キャピラリーの材質、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)等も前述と同様である。
【0095】
〔分離方法−4〕
次に、2種以上の測定対象物質の夫々の何れか一種にのみ親和性を有する物質2種以上を用いる方法について説明する。
【0096】
即ち、2種以上の測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(以下、特定核酸鎖結合親和性物質と略記することがある。)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、とを夫々電気泳動により分離する。
【0097】
上記方法は、形成された2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体に於ける、電気泳動移動度の差を利用して分離を行うものであり、当該2種以上の複合体間の電気泳動移動度に差を与える方法としては、(1)2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質の数を夫々異ならしめる方法と、(2)2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の大きさ(鎖長)を夫々異ならしめる方法の2つに大別される。
【0098】
尚、上記方法に於いて、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び複合体を形成させる方法等は前述と同様である。
【0099】
〔分離方法−4−a〕
先ず、2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質の数を夫々異ならしめる方法を模式的に図5に示す。
【0100】
即ち、先ず、各々のみに親和性を有する物質と結合し得る部位の数を夫々異にする2種以上の測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質の数が異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、とを夫々電気泳動により分離する。
【0101】
上記方法に於いて分離される2種以上の測定対象物質としては、前述した如き測定対象物質及びいわゆるアイソザイム、アイソフォーム、ホルモン等の同一の作用を有する2種以上の物質が存在する分子又は類似した構造を有するが異なる作用を有する2種以上の物質が存在する分子のうち、それらの各々のみに親和性を有する物質を有し、2個以上の夫々の測定対象物質に結合させる核酸鎖結合親和性物質の数を夫々異にすることができるものである。尚、分離される各種複合体のなかに、特定核酸鎖結合親和性物質が1種のみ結合するものが存在する場合には、少なくとも当該複合体中の測定対象物質は、前述した如き測定対象物質のうち、当該測定対象物質のpIと、電気泳動により分離を行う際に用いられる電気泳動用緩衝液のpHとの差が、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上のものであることが望ましい。
【0102】
上記方法に於ける、2種以上の測定対象物質の数としては、特に限定されないが、通常2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
【0103】
上記方法に於いて用いられる2種以上の、特定核酸鎖結合親和性物質に結合させる核酸鎖としては、前述した通りであり、夫々の核酸鎖の鎖長は同一でも異なっていてもよく、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、とを相互に分離し得るように適宜選択すればよい。尚、同一鎖長のものが一般に使用される。より具体的には、例えばn種類の測定対象物質をp種類(pは前記に同じ)の特定核酸鎖結合親和性物質を用いて分離する場合には、形成されるn種の各複合体中の核酸鎖と用いられるp種の各特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖との間の関係が、(1)(n種の複合体及びp種の特定核酸鎖結合親和性物質のうち、結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、(2)(2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−3番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、・・・・・・及び(n+p−1)〔n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−n+p番目に核酸鎖の長さの合計が大きい(最も少ない)複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和〕/n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、の夫々の値(X)が、通常0<X<1、好ましくは0.001≦X<1、より好ましくは0.01≦X<1、更に好ましくは0.1≦X<1、特に好ましくは0.5≦X<1である。
尚、上記の方法に於いては、遊離の特定核酸鎖結合親和性物質同士を互いに分離する必要はないので、これらについては上記した如き条件を考慮する必要はない。
【0104】
また、使用される、核酸鎖を結合させた、特定の測定対象物質に親和性を有する物質としては、前述した如き、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質のなかから、分離される、目的の特定対象成分のみに親和性を有するものを夫々適宜選択すればよい。
【0105】
尚、上記方法に於いて、特定の測定対象物質に結合させる、特定核酸鎖結合親和性物質の数は、最も少ないものであっても1種である必要はなく、2種以上使用してもよい。
【0106】
また、特定核酸鎖結合親和性物質を2種以上使用する場合に於いては、全ての特定核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾するのが一般的であるが、少なくとも1種の特定核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾すればよく、それ以外の特定核酸鎖結合親和性物質は標識物質により修飾しても又はしなくてもどちらでもよい。
【0107】
また、上記方法に於いて、用いられる標識物質は1種でも2種以上でもよく、例えば特定核酸鎖結合親和性物質の性質に応じて用いる標識物質の種類を変えれば、形成される、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体間に於いて、互いに標識物質の種類が異なるので、形成された複合体、換言すれば測定対象物質の種類を容易に識別することが可能となる。
【0108】
上記方法に於いて、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び複合体を形成させる方法等は先に説明した通りである。
【0109】
上記方法に於いて、かくして得られた2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体の夫々と、当該複合体に関与しなかった2以上の特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを、相互に分離する方法としては、前述と同様、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であるが、なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる電気泳動法が一般的に使用され、キャピラリー(チップ)電気泳動法が好ましい。また、ここで用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類、その使用濃度、キャピラリーの材質、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)等も前述と同様である。
【0110】
〔分離方法−4−b〕
次に、2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の大きさ(鎖長)を夫々異ならしめる方法を模式的に図6に示す。
【0111】
即ち、先ず、2種以上の測定対象物質を含有する試料と、夫々異なる長さの核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の長さが異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、とを夫々電気泳動により分離する。
【0112】
上記方法に於いて分離される2種以上の測定対象物質としては、前述した如き測定対象物質及びいわゆるアイソザイム、アイソフォーム、ホルモン等の同一の作用を有する2種以上のの物質が存在する分子又は類似した構造を有するが異なる作用を有する2種以上の物質が存在する分子と同様である。尚、分離される各種複合体のなかに、特定核酸鎖結合親和性物質が1種のみ結合するものが存在する場合には、少なくとも当該複合体中の測定対象物質は、前述した如き測定対象物質のうち、当該測定対象物質のpIと、電気泳動により分離を行う際に用いられる電気泳動用緩衝液のpHとの差が、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上のものであることが望ましい。
【0113】
上記方法に於ける、2種以上の測定対象物質の数としては、特に限定されないが、通常2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
【0114】
上記方法に於いて用いられる、夫々異なる長さの核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上に結合させる核酸鎖としては、形成される、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の長さが異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体と、複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離可能とならしめるような、鎖長を夫々有する核酸鎖であればよく、特に限定されない。より具体的には、例えばn種類の測定対象物質をp種類(pは前記に同じ)の特定核酸鎖結合親和性物質を用いて分離する場合には、形成されるn種の各複合体中の核酸鎖と用いられるp種の各特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖との間の関係が、(1)(n種の複合体及びp種の特定核酸鎖結合親和性物質のうち、結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/結合する核酸鎖の長さの合計が最も大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、(2)(2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−3番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和)/2番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、・・・・・・及び(n+p−1)〔n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和−n+p番目に核酸鎖の長さの合計が大きい(最も少ない)複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和〕/n+p−1番目に核酸鎖の長さの合計が大きい複合体中又は特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖長の総和、の夫々の値(X)が、通常0<X<1、好ましくは0.001≦X<1、より好ましくは0.01≦X<1、更に好ましくは0.1≦X<1、特に好ましくは0.5≦X<1である。
【0115】
尚、上記の方法に於いては、遊離の特定核酸鎖結合親和性物質同士を互いに分離する必要はないので、これらについては上記した如き条件を考慮する必要はない。
【0116】
また、使用される、核酸鎖を結合させた、特定の測定対象物質に親和性を有する物質としては、前述した如き、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質のなかから、分離される、目的の特定対象成分のみに親和性を有するものを夫々適宜選択すればよい。
【0117】
尚、上記方法に於いて、特定の測定対象物質に結合させる、特定核酸鎖結合親和性物質の数は、夫々1種である必要はなく、夫々2種以上使用してもよい。
【0118】
また、特定核酸鎖結合親和性物質を2種以上使用する場合に於いては、全ての特定核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾するのが一般的であるが、少なくとも1種の特定核酸鎖結合親和性物質を標識物質により修飾すればよく、それ以外の特定核酸鎖結合親和性物質は標識物質により修飾しても又はしなくてもどちらでもよい。
【0119】
また、上記方法に於いて、用いられる標識物質は1種でも2種以上でもよく、例えば特定核酸鎖結合親和性物質の性質に応じた用いる標識物質の種類を変えれば、形成される、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体間に於いて、互いに標識物質の種類が異なるので、形成された複合体、換言すれば測定対象物質の種類を容易に識別することが可能となる。
【0120】
上記方法に於いて、標識物質、測定対象物質を含有する試料、測定対象物質に親和性を有する物質に核酸鎖を結合させる方法、核酸鎖を標識物質で修飾する方法、及び複合体を形成させる方法等は先に説明した通りである。
【0121】
上記方法に於いて、かくして得られた互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の長さが異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、とを夫々電気泳動により分離する方法としては、前述と同様、通常この分野で用いられる、いわゆるB/F分離法であれば何れも適用可能であるが、なかでも、タンパク質、核酸を分離するために用いられる電気泳動法が一般的に使用され、キャピラリー(チップ)電気泳動法が好ましい。また、ここで用いられる分離装置、泳動用電源、緩衝液、充填剤、各種処理液等の試薬類、その使用濃度、キャピラリーの材質、分離の際の各種条件(例えばpH、温度、印加電圧、時間等)等も前述と同様である。
【0122】
尚、本発明の分離方法は、上記した如き分離方法−1、2、3、4、4−a及び4−bを、2種以上適宜組み合わせてこれを行ってもよい。
また、本発明の分離方法に於いては、(特定)核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体と、更に核酸鎖及び標識物質が結合していない遊離の、測定対象物質に親和性を有する物質(遊離結合親和性物質)とを用いて、遊離結合親和性物質、測定対象物質、及び(特定)核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体とからなる、いわゆるサンドイッチ複合体{遊離結合親和性物質−測定対象物質−〔(特定)核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体}を形成させてもよい。
【0123】
このようにして用いられる当該遊離結合親和性物質としては、前述した如き測定対象物質に親和性を有する物質と同じものが挙げられ、例えば、前述した如き測定対象物質に対する抗体、レクチン等が好ましい。尚、遊離結合親和性物質−測定対象物質−〔(特定)核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体を形成させるには、前述した如き測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体を形成させる方法と同様に行えばよい。
【0124】
本発明の分離方法により分離された測定対象物質を、当該測定対象物質を含む複合体中の標識物質の性質に応じた方法により測定すれば、試料中の測定対象物質の存在の有無、或いは得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することができる。
【0125】
即ち、測定対象物質と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とからなる複合体〔測定対象物質−(核酸鎖結合親和性物質−標識物質)の複合体〕と、当該複合体に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質との分離を、本発明の分離方法により行った後、分離された当該複合体を、当該複合体中の標識物質の性質に応じた方法により測定することにより、試料中の測定対象物質の存在の有無、或いは得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を高感度且つ短時間に測定することができる。
【0126】
以下に、本発明の分離方法−1、分離方法−2、分離方法−3、分離方法−4、分離方法−4−a及び分離方法−4−bを利用する場合について、詳細に述べる。
【0127】
〔測定方法−1〕
即ち、先ず、測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)1種と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから形成された、測定対象物質−〔核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体と、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質との分離を本発明の分離方法−1により行った後、当該複合体を、当該複合体中の標識物質の性質に応じた方法により測定することにより、試料中の測定対象物質の存在の有無を測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0128】
〔測定方法−2〕
即ち、先ず、測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質への結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから形成される、測定対象物質−〔2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質〕の複合体と、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった2種以上の核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質との分離を、本発明の分離方法−2により行った後、当該複合体を、当該複合体中の標識物質の性質に応じた方法により測定することにより、試料中の測定対象物質の存在の有無を測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0129】
〔測定方法−3〕
即ち、先ず、《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA1:An)、(2)核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA2:An)、(3)核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BA3:An)、・・・・・・、(n−1)核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An)及び(n)核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質BAn)と、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質から形成される、〔1〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An−標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An及び核酸鎖結合親和性物質BA2:An−標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An及び核酸鎖結合親和性物質BA3:An−標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1−核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・及び核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An−標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質 −核酸鎖結合親和性物質BA1:An、核酸鎖結合親和性物質BA2:An、核酸鎖結合親和性物質BA3:An、・・・・・・、核酸鎖結合親和性物質BAn−1:An及び核酸鎖結合親和性物質BAn−標識物質の複合体と、これら〔1〕から〔n〕の複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の核酸鎖結合親和性物質夫々と標識物質との複合体、要すれば標識物質との分離を、本発明の分離方法−3により行った後、〔1〕から〔n〕の夫々の複合体を、当該夫々の複合体中の標識物質の性質に応じた方法により夫々測定することにより、試料中のA,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質の存在の有無を夫々測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0130】
〔測定方法−4〕
即ち、2種以上の測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、形成される、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、との分離を、本発明の分離方法−4により行った後、夫々の2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を、当該夫々の複合体中の標識物質の性質に応じた方法により夫々測定することにより、試料中の2種以上の測定対象物質の存在の有無を夫々測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0131】
〔測定方法−4−a〕
即ち、先ず、各々のみに親和性を有する物質と結合し得る部位の数を夫々異にする2種以上の測定対象物質を含有する試料と、核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから形成される、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質の数が異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体夫々と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、との分離を、本発明の分離方法−4−aにより行った後、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質の数が異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を、当該夫々の複合体に含まれる標識物質の性質に応じた方法により夫々測定することにより、試料中の各々のみに親和性を有する物質と結合し得る部位の数を夫々異にする2種以上の測定対象物質の存在の有無を夫々測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0132】
〔測定方法−4−b〕
即ち、先ず、2種以上の測定対象物質を含有する試料と、夫々異なる長さの核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質の夫々の何れか一種のみに親和性を有する物質(特定核酸鎖結合親和性物質)2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから形成される、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の長さが異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体夫々と、これら複合体形成に関与しなかった特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質、との分離を、本発明の分離方法−4−bにより行った後、互いに結合する特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の長さが異なる、2種以上の、特定の測定対象物質−特定核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を、当該夫々の複合体に含まれる標識物質の性質に応じた方法により夫々測定することにより、試料中の2種以上の測定対象物質の存在の有無を夫々測定し得る。また、得られた標識物質の量に基づいて試料中の測定対象物質の量を測定することもできる。
【0133】
尚、これら上記の方法に於いて、得られた複合体中の標識物質の量に基づいて、試料中の測定対象物質の量を求めるには、例えば測定対象物質濃度既知の試料を用いて同様の方法により測定を行い、得られた測定対象物質量と、複合体中の標識物質量との関係を示す検量線を作製し、これに測定対象物質を含有する試料を用いて測定を行って得られた標識物質量をあてはめることにより、目的の測定対象物質量を求めることができる。
【0134】
また、試料中に濃度既知の検出可能な物質を内部標準として添加し、内部標準として添加した当該物質の量と、複合体中の標識物質の量とを比較することによって、相対的な試料中の測定対象物質の量の算出を行ってもよい。また、このようにすることによって、電気泳動装置間の誤差を補正することも可能となる。
【0135】
上記した方法に於いて、検出可能な物質は、先に述べた如き、標識物質で修飾された核酸鎖が一般的である。
【0136】
本発明の測定方法に於いて、分離された各種複合体中の標識物質を測定するには、標識物質の種類に応じて夫々所定の方法に従って行えばよい。例えば、その性質が酵素活性の場合にはEIAやハイブリダイゼーション法等の常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No.31、北川常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、51〜63頁、共立出版(株)、1987年9月10日発行」等に記載された方法に準じて測定を行えばよく、検出物質が放射性物質の場合にはRIAやハイブリダイゼーション法等の常法に従い、該放射性物質の出す放射線の種類及び強さに応じて液浸型GMカウンター,液体シンチレーションカウンター,井戸型シンチレーションカウンター等の測定機器を適宜選択して使用し、測定を行えばよい(例えば医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1版、中山書店、1971,生化学実験講座2 トレーサー実験法下、竹村彰祐,本庶佑、501〜525頁、(株)東京化学同人、1977年2月25日発行等参照。)。また、その性質が蛍光性の場合には蛍光光度計や共焦点レーザー顕微鏡等の測定機器を用いるFIAやハイブリダイゼーション法等の常法、例えば「図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、(株)ソフトサイエンス社、1983」、「生化学実験講座2 核酸の化学III、実吉峯郎、299〜318頁、(株)東京化学同人、1977年12月15日発行等に記載された方法に準じて測定を行えばよく、その性質が発光性の場合にはフォトンカウンター等の測定機器を用いる常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No.31、北川常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、252〜263頁、共立出版(株)、1987年9月10日発行」等に記載された方法に準じて測定を行えばよい。更に、その性質が紫外部に吸収を有する性質の場合には分光光度計等の測定機器を用いる常法によって測定を行えばよく、その性質が発色性の場合には分光光度計や顕微鏡等の測定機器を用いる常法によって測定を行えばよい。また、検出物質がスピンの性質を有する物質の場合には電子スピン共鳴装置を用いる常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No.31、北川 常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、264〜271頁、共立出版(株)、1987年9月10日発行」等に記載された方法に準じて夫々測定を行えばよい。
【0137】
本発明の測定方法は、本発明の分離方法を利用する以外は、上記した如き自体公知の方法に準じて実施すればよく、使用される試薬類もこれら自体公知の方法に準じて適宜選択すればよい。
【0138】
尚、本発明の測定方法は、上記した如き測定方法−1、2、3、4、4−a及び4−bを、2種以上適宜組み合わせてこれを行ってもよい。
【0139】
本発明の分離方法及び測定方法を行う際に、例えばDNアーゼ、RNアーゼ等の核酸分解酵素等が存在する可能性がある場合には、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質との複合体、或いは核酸鎖と測定対象物質と標識物質との複合体中の核酸鎖も含む)を存在させる液状物中に、例えばエチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヘパリン等の核酸分解酵素阻害剤を共存させておくことが望ましい。
即ち、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質との複合体中の核酸鎖も含む)と、他のものとを接触させる際〔例えば核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質との複合体中の核酸鎖も含む)と測定対象物質を含有する試料とを接触させる際、核酸鎖を測定対象物質に親和性を有する物質に結合させる際、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖も含む)を標識物質で修飾する際、核酸鎖と測定対象物質と標識物質との複合体を形成させる際等〕、或いは核酸鎖と測定対象物質と標識物質との複合体と当該複合体形成に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質、要すれば標識物質とを分離する際等には、核酸鎖(核酸鎖結合親和性物質又は核酸鎖結合親和性物質と測定対象物質との複合体、或いは核酸鎖と測定対象物質と標識物質との複合体)を含有する液状物、当該核酸鎖と接触させる液状物等に上記した如き阻害剤を共存させる等して、当該阻害剤の存在下でこれを行うのが望ましい。
【0140】
上記本発明の実施に使用する試薬類等を電気泳動を利用した測定対象物質測定用キットとしておくと、上記本発明の方法を実施するのに好都合である。
【0141】
具体的には、本発明の測定対象物質測定用キットは、核酸鎖を結合させた測定対象物質に親和性を有する物質と当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを含んでなるものであり、夫々の構成要素の好ましい態様や具体例は先に述べた通りである。
【0142】
また、本発明のキットに於いて、核酸鎖を結合させた測定対象物質に親和性を有する物質を、予め当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質で修飾しておけば、核酸鎖を結合させた測定対象物質に親和性を有する物質を、当該標識物質で修飾する工程を省略することができるので、特に有利である。
【0143】
尚、上記キットには、更に、電気泳動装置、特にキャピラリー電気泳動装置を組み合わせても良い。
【実施例】
【0144】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0145】
比較例.1 従来法によるキャピラリーチップ電気泳動を用いたAFPの検出
〔測定対象物質(抗原)〕
α−フェトプロテイン(和光純薬工業(株)製)
〔抗体〕
AFPの夫々異なるエピトープを認識する三種類の抗AFP抗体WA2、A4−4及びWA1(何れも和光純薬工業(株)製)を用いて、以下のように調製したものを使用した。
・YS5標識WA2 Fab'抗体:抗AFP抗体・WA2を用いて、特開平9−301995号に記載の方法に従って、硫酸化チロシン残基を5個有するペプチド鎖(YS5)を結合させた抗AFP抗体Fab'フラグメント(YS5標識WA2 Fab'抗体)を調製した。
・YS8標識A4−4 Fab'抗体:上記と同様に、抗AFP抗体・A4−4を用いて、特開平9−301995号に記載の方法に従って、硫酸化チロシン残基を8個有するペプチド鎖(YS8)を結合させた抗AFP抗体Fab'フラグメント(YS8標識A4−4 Fab'抗体)を調製した。
・Alexa488標識WA1 Fab'抗体:抗AFP抗体・WA1を常法により処理してFab'フラグメントとし、当該フラグメントのアミノ基に、常法により蛍光物質Alexa488(モレキュラープローブ社製)を導入してAlexa488標識抗AFP抗体Fab'フラグメント(Alexa488標識WA1 Fab'抗体)を調製した。
〔試料〕
表1に記載の所定の各種抗体とAFPとを、所定濃度混合反応させ、ACES緩衝液〔50mM N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、pH7.5〕に溶解させたものを試料とした。尚、試料を電気泳動に付す際には、使用する電気泳動用緩衝液を用いて10倍希釈して用いた。また、試料を複数混合して電気泳動する際には、各試料を電気泳動に付す直前に混合、希釈した。
【0146】
【表1】
Figure 0004214779
【0147】
〔電気泳動条件〕
電気泳動装置は、日立化成社製、「日立SV1100型コスモアイ」キャピラリー電気泳動装置を使用し、また、キャピラリーチップは、日立SV1100型マイクロチップ電気泳動用装置コスモアイ用DNA鎖長分析キットi−チップ(日立化成(株)製)を使用した。
また、電気泳動は、下記泳動用緩衝液をキャピラリチップ内に充填し、サンプルを導入した後、電気泳動用特注電源(アップル電子社製)を用いて所定の電圧を印加して電気泳動を行なった。
図7に、使用した電気泳動装置の模式図を示す。
・サンプル導入:40秒
・サンプル分離:120秒
・印加電圧:図7に記載の通り。
尚、検出は、サンプル分離開始直後から、キセノンランプ励起による蛍光をフォトマルを用いて、キャピラリクロス部分から3cmのキャピラリ部分の蛍光強度を蛍光顕微鏡(BX−50;KSオリンパス(株)製)により経時的に測定することによって行なった。
・電気泳動バッファー:50mM Tris−borate緩衝液(pH8.0)
【0148】
図8に、試料1と試料5とを混合したもの(YS5標識WA2 Fab'抗体−YS8標識A4−4 Fab'抗体−AFP−Alexa488標識WA1 Fab'抗体の複合体と、遊離のAlexa488標識WA1 Fab'抗体を含有するもの)、及び図9に、試料5(Alexa488標識WA1 Fab'抗体のみを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を夫々示す。
【0149】
図8及び図9から明らかなように、試料1+試料5を用いた場合には、リテンションタイムの遅い、ブロードな、遊離のAlexa488標識WA1 Fab'抗体に対応するピークと、リテンションタイムの早い、YS5標識WA2 Fab'抗体−YS8標識A4−4 Fab'抗体−AFP−Alexa488標識WA1 Fab'抗体の複合体に対応するピークの2つのピークがみられるものの、これら2つのピークはピークの途中で結合しており、分離が十分でないことが判る。
尚、特に図示はしないが、試料2+試料5、試料3+試料5及び試料4+試料5を用いた場合も複合体と遊離の抗体とを明確には分離し得なかった。
また、使用する電気泳動緩衝液の濃度を5mM Tris−borate(pH8.0)に変更して、緩衝剤濃度を低下させ、同様に検出を行ったが、複合体のピークと遊離の抗体のピークは充分に分離されておらず、この分離方法の実用性は不充分と判断された。
【0150】
実施例.1 DNAを用いたキャピラリーチップ電気泳動によるタンパク質の分離検出
〔測定対象物質(抗原)〕
比較例.1と同じAFPを測定対象物質とした。
〔抗体〕
下記表2に記載した手順に従って、DNAが結合した抗AFP抗体Fab'フラグメントを調製した。
【0151】
【表2】
Figure 0004214779
【0152】
即ち、先ず、常法により5'末端にNH基が導入された160bp及び227bpのDNA断片を精製し、次いで、これらDNA断片に導入されたNH基とスルホサクシニミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレイト(Sulfo−SMPB)リンカー(スクシンイミド基とマレイミド基を有するリンカー、ピアス社製)のスクシンイミド基とを常法により反応させた後、ゲル濾過処理を行い、未反応リンカーを除去して、リンカーが結合したDNA断片(160bp及び227bp)を夫々得た。得られたリンカー結合227bpDNA断片と、予め抗AFP抗体WA2(和光純薬工業(株)製)を用いて常法に従い調製した抗AFP抗体WA2Fab'フラグメントとを反応させた。また、同様にして得られたリンカー結合160bpDNA断片と、抗AFP抗体A4−4(和光純薬工業(株)製)から得られたFab'フラグメントとを反応させた。得られた反応物を、夫々DEAEカラムを用いて精製し、227bpDNA断片が結合した抗AFP抗体WA2Fab'フラグメント(227WA2抗体)及び160bpDNA断片が結合した抗AFP抗体A4−4Fab'フラグメント(160A4−4抗体)を夫々調製した。
〔試料〕
所定の各種抗体とAFPとを、表3に記載した所定濃度で、ACES緩衝液〔50mM N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、pH7.5〕中で混合、反応、溶解させたものを試料とした。
尚、試料を電気泳動に付す際には、エチジウムブロマイドを0.5μg/ml含有する電気泳動用緩衝液を用いて10倍希釈して用いた。また、試料を複数混合して電気泳動する際には、各試料を電気泳動に付す直前に当該緩衝液で混合、希釈した。また、内部標準として、100bpの二本鎖DNAを31nM又は/及び800bpの二本鎖DNAを3.9nMを試料に添加し、また、対象として、抗体に結合していない160bpDNA断片を194nM又は/及び227bpDNA断片を136nMを試料に添加した。尚、内部標準及び対象は、電気泳動に付す直前に試料と混合した。
【0153】
【表3】
Figure 0004214779
【0154】
〔電気泳動条件〕
比較例1と同じ電気泳動装置及びキャピラリーチップを使用した。
・サンプル導入:40秒
・サンプル分離:180秒
・印加電圧:比較例1と同じ。
尚、検出は、サンプル分離開始直後から、キセノンランプLED−フォトダイオードを用いて、キャピラリクロス部分から3cmのキャピラリ部分の蛍光強度を蛍光顕微鏡(BX−50;KSオリンパス(株)製)により経時的に測定することによって行なった。
・電気泳動バッファー:日立SV1100型マイクロチップ電気泳動用装置コスモアイ用DNA鎖長分析キットi−チップDNA(日立化成社製)に添付の緩衝液。
【0155】
〔結果〕
図10に、試料1(227bpWA2抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を、図11に、試料2(160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を、図12に、試料1と試料3とを混合したもの(遊離の227bpWA2抗体と、227bpWA2抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を、図13に、試料4(160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を、図14に、試料5(227bpWA2抗体と160bpA4−4抗体とを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を、また、図15に、試料6と試料5とを混合したもの(227bpWA2抗体−160bpA4−4抗体−AFPの複合体と、遊離の227bpWA2抗体及び遊離の160bpA4−4抗体とを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)を夫々示す。
【0156】
図10と図12の結果から、227WA2抗体にAFPが結合すること(複合体を形成すること)によって、227WA2抗体単独に比べて、そのリテンションタイムが長くなることが、また、図13と図14の結果から、同様に160A4−4抗体にAFPが結合すること(複合体を形成すること)によって、160A4−4抗体単独に比べて、そのリテンションタイムが長くなることが夫々判る。以上のことから、本発明の分離方法、即ち、測定対象物質に、標識物質で修飾された、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)を結合させて測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させれば、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体とを短時間に効率よく分離し得ることが判る。
【0157】
また、図12と図13から明らかなように、160bpA4−4抗体−AFPの複合体と、227bpWA2抗体−AFPの複合体とは、そのリテンションタイムを異にしていることが判る。即ち、測定対象物質に結合させる核酸鎖の長さを変化させれば、形成される複合体のリテンションタイムを自由に制御し得ること、更には、2種以上の測定対象物質に、夫々異なる長さの核酸鎖を結合させれば、2種以上の測定対象物質を含む複合体のリテンションタイムを異にすることができ、同時に2種以上の測定対象物質を測定し得るようになることが判る。
【0158】
更に、図14と図15の結果から明らかなように、AFPと160bpA4−4抗体と227bpWA2抗体とから形成されたこれら三者の複合体は、160bpA4−4とAFPとの複合体(図13)や227bpWA2とAFPとの複合体(図12)に比べて、よりそのリテンション時間を遅らせること、換言すれば、複合体をより明確に分離し得るようになることが判る。即ち、測定対象物質に複数の核酸鎖結合親和性物質を結合させれば、より分離能を向上させ得ることが判る。
【0159】
実施例.2 DNAを用いたキャピラリーチップ電気泳動によるタンパク質の分離検出
〔測定対象物質(抗原)〕
癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen;CEA、コスモバイオ(株)製)
〔抗体〕
実施例.1の表2に於けるSulfo−SMPBリンカー反応の代わりに、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)リンカーを用いた反応を行う以外は、実施例1の表2と同様の手順に従って、DNAが結合した抗CEA抗体Fab'フラグメントを調製した。
即ち、先ず、常法により5'末端にNH基を導入された250bp及び500bpのDNA断片を精製し、次いで、これらDNA断片に導入されたNH基とN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)リンカー(スクシンイミド基とマレイミド基を有するリンカー、ピアス社製)のスクシンイミド基とを常法により反応させた後、ゲル濾過処理を行い、未反応リンカーを除去して、リンカーが結合したDNA断片(250bp及び500bp)を夫々得た。得られたリンカー結合250bp及び500bpDNA断片と、予め抗CEA抗体WAC1(和光純薬工業(株)製)を用いて常法に従い調製した抗CEA抗体WAC1 Fab'フラグメントとを反応させた。また、同様にして得られたリンカー結合500bpDNA断片と、抗CEA抗体WAC2(和光純薬工業(株)製)から得られたFab'フラグメントとを反応させた。得られた反応物を、夫々DEAEカラムを用いて精製し、250bpDNA断片が結合した抗CEA抗体WAC1 Fab'フラグメント(250bpWAC1抗体)、500bpDNA断片が結合した抗CEA抗体WAC1 Fab'フラグメント(500bpWAC1抗体)及び500bpDNA断片が結合した抗CEA抗体WAC2 Fab'フラグメント(500bpWAC2抗体)を夫々調製した。
〔試料〕
所定の各種抗体とCEAを表4に記載した所定濃度で、ACES緩衝液〔50mM N−(2−アセタミド)−2−アミノエタンスル酸(ACES)緩衝液、pH7.5〕中で混合、反応、溶解させたものを試料とした。
尚、試料を電気泳動に付す際には、内部標準として、50bpの二本鎖DNAを251nM又は/及び10380bpの二本鎖DNAを0.61nMを試料に添加し、また、対象として、抗体に結合していない250bpDNA断片を75nM又は/及び500bpDNA断片を45nMを試料に添加した。尚、内部標準及び対象は、電気泳動に付す直前に試料と混合した。
【0160】
【表4】
Figure 0004214779
【0161】
〔電気泳動条件〕
電気泳動装置は、アジレント・テクノロジー社製、「Agilent2100」キャピラリーチップ電気泳動装置を使用し、分析装置として、アジレント・テクノロジー社製、「7500DNA LabChipTMキット」を用いた。
また、分析は、当該キットに添付の取扱説明書に従って行なった。
尚、本品は、標識物質としてインターカレーター色素を用い、これをキャピラリーチップ充填ゲル中に混合させて電気泳動を行うものである。
【0162】
〔結果〕
図16に試料1(250bpWAC1抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料2(250bpWAC1抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねたキャピラリチップ電気泳動クロマトグラムを、図17に試料3(500bpWAC1抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料4(500bpWAC1抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねたキャピラリチップ電気泳動クロマトグラムを、また、図18に試料5(500bpWAC2抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料6(500bpWAC2抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねたキャピラリチップ電気泳動クロマトグラムを夫々示す。
【0163】
図16〜図18の結果から、いずれの場合も、抗体にCEAが結合すること(複合体を形成すること)によって、抗体単独に比べて、そのリテンションタイムが長くなることが判る。また、図17と図18の結果から、抗体の種類が異なっていても同様に分離が可能であること、また、実施例1との比較から、測定対象物質が異なっていても分離が可能であることが判る。
以上のことから、本発明の分離方法、即ち、測定対象物質に、標識物質で修飾された、核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質(核酸鎖結合親和性物質)を結合させて測定対象物質−核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体を形成させれば、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった核酸鎖結合親和性物質−標識物質の複合体とを短時間に効率よく分離し得ることが判る。
【0164】
実施例.3 標識方法の違いによるタンパク質の分離検出
〔測定対象物質(抗原)〕
α−フェトプロテイン(和光純薬工業(株)製)
〔抗体〕
抗AFP抗体A4−4(和光純薬工業(株)製)を用いて、以下のように標識方法が異なる標識抗体を夫々調製した。
・Cy5標識抗AFP A4−4 Fab'の作製
常法により予め5'末端に標識物質Cy5が導入されたプライマー1(ACTTTTTATATGAGGAGGGCTG)及び5'末端にNH基を導入したプライマー2(ATCTATGACTGTACGCCACTGTCCCTAG)を用いてλDNAを鋳型としてPCR反応を行ない、一方の末端にCy5を持ち、もう一方の末端にNH基を持つ160bpDNA断片を調製した。
この160bpDNA断片を用いて、実施例.2と同様の手順に従い、同じ試薬を用いて、1分子のCy5で修飾された160bpDNA断片がEMCSリンカーを介して結合した抗AFP抗体A4−4 Fab'フラグメント(Cy160A4−4抗体)を調製した。
図19に、得られたCy160A4−4抗体の標識様式を模式的に示す。
・ストレプトアビジンを介したCy5標識抗AFPA4−4 Fab'の作製
常法により予め5'末端にビオチンが導入されたプライマー1(ACTTTTTATATGAGGAGGGCTG)及び5'末端にNH基を導入したプライマー2(ATCTATGACTGTACGCCACTGTCCCTAG)を用いてλDNAを鋳型としてPCR反応を行ない、一方の末端にビオチンを持ち、もう一方の末端にNH基を持つ160bpDNA断片を調製した。
この160bpDNA断片を用いて、実施例.2と同様の手順に従い、同じ試薬を用いて、末端ビオチン化された160bpDNA断片がEMCSリンカーを介して結合した抗AFP抗体A4−4 Fab'フラグメント(b−160A4−4抗体)を調製した。
また、常法により、オリゴヌクレオチドの合成を行い・用い、5'末端にビオチンを持ち、3'末端がCy5で標識された21bpDNA断片(リンカー核酸鎖)(AATCTTCCGAGTTTGCTAGGC)(Cy5標識21bpDNA断片)を調製した。
b−160A4−4抗体:ストレプトアビジン=1:20の分子比で、ビオチンアビジン反応を行った後、未反応のストレプトアビジンをセファロースS−400カラム(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて除去し、ストレプトアビジン結合b−160A4−4抗体を得た。次いで、ストレプトアビジン結合b−160A4−4抗体と、ストレプトアビジン結合b−160A4−4抗体の20倍量の分子となるような量のCy5標識21bpDNA断片とを反応させた後、反応液をセファロースS−400カラム(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて精製することにより、Cy5標識21bpDNA断片が3分子導入されたストレプトアビジン結合b−160A4−4抗体(Cy(3)160A4−4抗体)を調製した。
図20に、得られたCy(3)160A4−4抗体の標識様式を模式的に示す。
・Cy5標識ストレプトアビジンが結合した抗AFPA4−4 Fab'の作製
常法により予め5'末端にビオチンが導入されたプライマー3(GCCTAGCAAACTCGGAAGATT)及び5'末端にNH基を導入したプライマー2(ATCTATGACTGTACGCCACTGTCCCTAG)を用いてλDNAを鋳型としてPCR反応を行ない、一方の末端にビオチンを持ち、もう一方の末端にNH基を持つ250bpDNA断片を調製した。
この250bpDNA断片を用いて、実施例.2と同様の手順に従い、同じ試薬を用いて、末端ビオチン化された250bpDNA断片がEMCSリンカーを介して結合した抗AFP抗体A4−4 Fab'フラグメント(b−250A4−4抗体)を調製した。
また、常法により、FluoroLinkTM Cy5 monofunctional dyeキット(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて該キットの操作手順に従い、ストレプトアビジンをCy5で標識し、Cy5標識ストレプトアビジンを調製した。
b−250A4−4抗体:Cy5標識ストレプトアビジン=1:20の分子比で、ビオチンアビジン反応を行った後、反応液をセファロースS−400カラム(アマシャム・ファルマシア社製)を用いて精製することにより、Cy5標識ストレプトアビジン結合b−250A4−4抗体(CySA250A4−4抗体)を調製した。
図21に、得られたCySA250A4−4抗体の標識様式を模式的に示す。
〔試料〕
所定の各種抗体とAFPを表5に記載した所定濃度で、ACES緩衝液〔50mM N−(2−アセタミド)−2−アミノエタンスル酸(ACES)緩衝液、pH7.5〕中で混合、反応、溶解させたものを試料とした。
【0165】
【表5】
Figure 0004214779
【0166】
〔電気泳動条件〕
電気泳動装置は、アジレント・テクノロジー社製、「Agilent2100」キャピラリーチップ電気泳動装置を使用し、分析装置として、アジレント・テクノロジー社製、「7500DNA LabChipTMキット」を用いた。
また、分析は、当該キットに添付の取扱説明書に従って行なった。
尚、本実施例では、当該キットに付属のインターカレーター色素をキャピラリーチップ充填ゲルに混合せずに電気泳動を行った。
【0167】
〔結果〕
図22に試料1(Cy160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を、図23に試料2(Cy160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を夫々示す。また、図24に試料3(Cy(3)160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料4(Cy(3)160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねたキャピラリチップ電気泳動クロマトグラムを、図25に試料5(CySA250bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料6(SA250bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねたキャピラリチップ電気泳動クロマトグラムを夫々示す。
【0168】
図22及び図23の結果から、核酸鎖を直接Cy5で標識した場合、抗体にAFPが結合すること(複合体を形成すること)によって、抗体単独に比べて、そのリテンションタイムが長くなることが判る。また、図24及び図25の結果から、Cy5で標識されたリンカー核酸鎖をストレプトアビジンを介して核酸鎖に結合させた場合(図24)でも、また、Cy5で標識されたストレプトアビジンを核酸鎖に結合させた場合(図25)でも、抗体にAFPが結合すること(複合体を形成すること)によって、抗体単独に比べて、そのリテンションタイムが長くなることが夫々判る。
即ち、核酸鎖を標識する方法が異なっていても同様に分離が可能であることが判る。
【0169】
【産業上の利用可能性】
以上述べた如く、本発明は電気泳動、特にキャピラリー電気泳動により測定対象物質を高感度且つ短時間に効率よく分離する方法を提供するものであり、本発明によれば、測定対象物質を含む複合体を短時間に効率よく分離し得、更には試料中の測定対象物質を高感度且つ短時間に測定し得、しかも、検出感度を自由に制御し得る。
現在まで、キャピラリー電気泳動法に於いては、核酸を分離した例はあるものの、未変性のタンパク質が充分に分離された例は報告されていない。これは、核酸が主に4種類のヌクレオチドで構成される単純な立体構造を有するものであるのに比べ、タンパク質が20種類のアミノ酸で構成される複雑な立体構造を有するものであるので、タンパク質に対して効率的に分子ふるい効果を与えることができないためと考えられる。
本発明は、例えば未変性のタンパク質等の従来電気泳動では分離が困難であった測定対象物質を、短時間に効率よく分離することに初めて成功したものであり。それ故画期的な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、キャピラリー電気泳動の原理及び装置を模式的に示す図である。
【図2】 図2は、本発明の分離方法−1、即ち、測定対象物質に対する核酸鎖結合親和性物質を1種用いる場合の原理を模式的に示す図である。
【図3】 図3は、本発明の分離方法−2、即ち、測定対象物質に対する核酸鎖結合親和性物質を2種以上用いる場合の原理を模式的に示す図である。
【図4】 図4は、本発明の分離方法−3、即ち、少なくとも1種の、2種以上の測定対象物質の全てに対して親和性を有する物質を用いる方法の原理を模式的に示す図である。
【図5】 図5は、本発明の分離方法−4−a、即ち、2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質の数を夫々異ならしめる方法の原理を模式的に示す図である。
【図6】 図6は、本発明の分離方法−4−b、即ち、2種以上の測定対象物質に結合させる特定核酸鎖結合親和性物質中の核酸鎖の大きさ(鎖長)を夫々異ならしめる方法の原理を模式的に示す図である。
【図7】 図7は、比較例.1で使用した電気泳動装置を模式的に示す図である。
【図8】 図8は、比較例.1で得られた、試料1と試料5とを混合したもの(YS5標識WA2 Fab'抗体−YS8標識A4−4 Fab'抗体−AFP−Alexa488標識WA1 Fab'抗体の複合体と、遊離のAlexa488標識WA1 Fab'抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図9】 図9は、比較例.1で得られた、試料5(Alexa488標識WA1 Fab'抗体のみを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図10】 図10は、実施例.1で得られた、試料1(227bpWA2抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図11】 図11は、実施例.1で得られた、試料2(160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図12】 図12は、実施例.1で得られた、試料1と試料3とを混合したもの(227bpWA2抗体と、227bpWA2抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図13】 図13は、実施例.1で得られた、試料4(160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図14】 図14は、実施例.1で得られた、試料5(227bpWA2抗体と160bpA4−4抗体とを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図15】 図15は、実施例.1で得られた、試料6と試料5とを混合したもの(227bpWA2抗体−160bpA4−4抗体−AFPの複合体と、遊離の227bpWA2抗体及び遊離の160bpA4−4抗体とを含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図16】 図16は、実施例.2で得られた、試料1(250bpWAC1抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料2(250bpWAC1抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねた図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図17】 図17は、実施例.2で得られた、試料3(500bpWAC1抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料4(500bpWAC1抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねた図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図18】 図18は、実施例.2で得られた、試料5(500bpWAC2抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料6(500bpWAC2抗体−CEAの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねた図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図19】 図19は、実施例.3で得られた、Cy160A4−4抗体の標識様式を模式的に示す図である。
【図20】 図20は、実施例.3で得られた、Cy(3)160A4−4抗体の標識様式を模式的に示す図である。
【図21】 図21は、実施例.3で得られた、CySA250A4−4抗体の標識様式を模式的に示す図である。
【図22】 図22は、実施例.3で得られた、試料1(Cy160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図23】 図23は、実施例.3で得られた、試料2(Cy160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果を示す図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図24】 図24は、実施例.3で得られた、試料3(Cy(3)160bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料4(Cy(3)160bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねた図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【図25】 図25は、実施例.3で得られた、試料5(CySA250bpA4−4抗体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)と試料6(SA250bpA4−4抗体−AFPの複合体を含有するもの)を用いて電気泳動を行った結果(キャピラリー電気泳動クロマトグラム)を重ねた図(キャピラリチップ電気泳動クロマトグラム)である。
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> Wako Pure Chemical Industries, Ltd.
<120> Electrophoresis
<130> Electrophoresis
<140>
<141>
<160> 4
<170> PatentIn Ver. 2.1
<210> 1
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 1
actttttata tgaggagggc tg 22
<210> 2
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 2
atctatgact gtacgccact gtccctag 28
<210> 3
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 3
aatcttccga gtttgctagg c 21
<210> 4
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 4
gcctagcaaa ctcggaagat t 21

Claims (34)

  1. 標識物質で修飾された二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を用いることを特徴とする、測定対象物質を電気泳動により分離する方法。
  2. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体を形成させた後、当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか、又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを電気泳動により分離する方法。
  3. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体と、当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか、又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを電気泳動により分離する方法。
  4. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを一挙に接触させる請求項3に記載の方法。
  5. 核酸を標識し得る作用を有する標識物質と二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質とを接触させ、次いで生成物を測定対象物質と接触させる請求項3に記載の方法。
  6. 二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質と測定対象物質とを接触させ、次いで生成物を、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質と接触させる請求項3に記載の方法。
  7. 請求項2〜6の何れかに記載の方法によって分離された測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質−標識物質の複合体を測定することを特徴とする測定対象物質の測定方法。
  8. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質−標識物質の複合体を形成させ、次いで当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上とを電気泳動により分離するか、又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上及び標識物質とを電気泳動により分離する方法。
  9. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質−標識物質の複合体と、当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上とを電気泳動により分離するか、又は当該複合体と当該複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質の1種−標識物質の2種以上及び標識物質とを電気泳動により分離する方法。
  10. 測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質とを一挙に接触させる請求項9に記載の方法。
  11. 核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を、二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質とを接触させ、次いで生成物を測定対象物質と接触させる請求項9に記載の方法。
  12. 二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質への結合部位が互いに異なる2種以上の物質を、測定対象物質と接触させ、次いで生成物を核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質と接触させる請求項9に記載の方法。
  13. 請求項8〜12の何れかに記載の方法により分離された測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有し且つ測定対象物質上の結合部位が互いに異なる2種以上の物質−標識物質の複合体を測定することを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。
  14. 《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA1:An、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA2:An、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA3:An、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質BAn−1:An及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質BAnと、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質から、〔1〕測定対象物質A−物質BA1:An−標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A−物質BA1:An及び物質BA2:An−標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A−物質BA1:An、物質BA2:An及び物質BA3:An−標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1−物質BA1:An、物質BA2:An、物質BA3:An、・・・・・・及び物質BAn−1:An−標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質A−物質BA1:An、物質BA2:An、物質BA3:An、・・・・・・、物質BAn−1:An及び物質BAn−標識物質の複合体を夫々形成させ、次いでこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体とを電気泳動により分離するか、又はこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体及び標識物質とを電気泳動により分離する方法。
  15. nが2〜10である請求項14に記載の方法。
  16. 《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA1:An、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA2:An、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA3:An、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質BAn−1:An及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質BAnと、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を互いに接触させ、生成した、〔1〕測定対象物質A−物質BA1:An−標識物質の複合体、〔2〕測定対象物質A−物質BA1:An及び物質BA2:An−標識物質の複合体、〔3〕測定対象物質A−物質BA1:An、物質BA2:An及び物質BA3:An−標識物質、・・・・・・、〔n−1〕測定対象物質An−1−物質BA1:An、物質BA2:An、物質BA3:An、・・・・・・及び物質BAn−1:An−標識物質の複合体、及び〔n〕測定対象物質A−物質BA1:An、物質BA2:An、物質BA3:An、・・・・・・、物質BAn−1:An及び物質BAn−標識物質の複合体と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体とを電気泳動により分離するか、又はこれら〔1〕から〔n〕の複合体の夫々と、これら複合体形成に関与しなかった、(1)〜(n)の物質夫々と標識物質との複合体及び標識物質とを、電気泳動により分離する方法。
  17. 《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA1:An、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA2:An、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA3:An、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質BAn−1:An及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質BAnと、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを一挙に接触させる請求項16に記載の方法。
  18. 《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA1:An、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA2:An、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA3:An、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質BAn−1:An及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質BAnと、《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を接触させ、次いで生成物に《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料を接触させる請求項16に記載の方法。
  19. 《I》A,A,A,・・・・・・,An−1及びAのn種の互いに相異なった測定対象物質を含有する試料と、《II》(1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAのn個全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA1:An、(2)二本鎖核酸鎖を結合させた、Aを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA2:An、(3)二本鎖核酸鎖を結合させた、A及びAを除くAからAの全ての測定対象物質に親和性を有する物質BA3:An、・・・・・・、(n−1)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−2の全てを除くAn−1とAの測定対象物質に親和性を有する物質BAn−1:An及び(n)二本鎖核酸鎖を結合させた、AからAn−1の全てを除くAのみの測定対象物質に親和性を有する物質BAnとを接触させ、次いで生成物に《III》当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を接触させる請求項16に記載の方法。
  20. 請求項14〜19の何れかに記載の方法によって分離された複合体のそれぞれを測定することを特徴とする、試料中の全ての測定対象物質のそれぞれを一挙に測定する方法。
  21. 2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とから、2種以上の、特定の測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、当該特定の測定対象物質のみに親和性を有する物質−標識物質の複合体を形成させ、次いでこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか、又はこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを夫々電気泳動により分離する方法。
  22. 2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを互いに接触させ、生成した2種以上の、特定の測定対象物質−二本鎖核酸鎖を結合させた、当該特定の測定対象物質のみに親和性を有する物質−標識物質の複合体と、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質とを電気泳動により分離するか、又はこれら複合体のそれぞれと、これら複合体形成に関与しなかった、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質−標識物質及び標識物質とを夫々電気泳動により分離する方法。
  23. 2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを一挙に接触させる請求項22に記載の方法。
  24. 二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを接触させ、次いで生成物に2種以上の測定対象物質を含有する試料を接触させる請求項22に記載の方法。
  25. 2種以上の測定対象物質を含有する試料と、二本鎖核酸鎖を結合させた、目的の測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する物質2種以上と接触させ、次いで生成物に当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質を接触させる請求項22に記載の方法。
  26. 2種以上の測定対象物質が、それらの各々のみに親和性を有する物質と結合し得る部位の数をそれぞれ異にするものである、請求項21〜25の何れかに記載の方法。
  27. 測定対象物質のそれぞれの何れか一種のみに親和性を有する2種以上の物質のそれぞれに結合させた二本鎖核酸鎖の大きさが互いに異なるものである、請求項21〜25の何れかに記載の方法。
  28. 請求項21〜27の何れかに記載の方法によって分離された2種以上の複合体を測定することを特徴とする試料中の2種以上の測定対象物を一挙に測定する方法。
  29. 電気泳動が、キャピラリー電気泳動である請求項1〜28の何れかに記載の方法。
  30. 前記測定対象物質に対して親和性を有する物質が、蛋白質間同士、蛋白質−化学物質間同士又は化学物質間同士の相互作用により測定対象物質と結合する性質を有するものである請求項1〜29の何れかに記載の方法。
  31. 前記測定対象物質に対して親和性を有する物質が、抗原−抗体間反応、糖鎖−レクチン間反応、酵素−インヒビター間反応、蛋白質−ペプチド鎖間反応又はレセプター−リガンド間同士の相互作用により測定対象物質と結合する性質を有するものである請求項30に記載の方法。
  32. 二本鎖核酸鎖を結合させた測定対象物質に親和性を有する物質と、当該核酸鎖を修飾し得る作用を有する標識物質とを含有する、電気泳動を利用した測定対象物質測定用キット。
  33. 標識物質で修飾された二本鎖核酸鎖を結合させた、測定対象物質に親和性を有する物質を含有する、電気泳動を利用した測定対象物質測定用キット。
  34. 更に、キャピラリー電気泳動装置を組み合わせてなる請求項32又は33に記載のキット。
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