JP4214378B2 - 含フッ素重合体及びその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、工業的に有用な含フッ素重合体およびその誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、水素原子が炭素原子に結合した化学構造(C−H)を含有する化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化する方法として、フッ素ガスを用いてフッ素化する方法が知られている。
【0003】
C−Hを含有する高分子化合物をフッ素化する方法としては、このような高分子化合物が、通常、室温では固体または液体であり、気相反応を行うことは困難であることから、(1)そのままフッ素ガスと接触させてフッ素化する方法(La Mar法)、および(2)C−Hを含有する高分子化合物を溶媒中に入れて、溶媒中にフッ素ガスを導入して液相でフッ素化する方法、が知られている。
【0004】
しかし、上記(1)の方法で実施する場合には、高分子化合物の固体表面だけがフッ素化されやすいので、所望の構造を有するフッ素化物を得にくい、または、フッ素化の程度を調節しにくい問題があった。
【0005】
また、上記(2)の方法では、通常は溶媒としてペルフルオロ化された有機溶媒が用いられているが、ペルフルオロ化された有機溶媒に対する高分子化合物の溶解性は低く、多くの場合、高分子化合物は、この有機溶媒に不溶である。したがって、C−H含有高分子化合物を溶解させるための補助溶剤として、C−H含有高分子化合物を溶解でき、かつ、ペルフルオロ化された溶媒に可溶な補助溶媒(たとえば、クロロホルム等)を、ペルフルオロ化された溶媒に添加する試みがなされていた。しかし、補助溶媒自身もフッ素ガスを消費してフッ素化されるため、フッ素化された高分子化合物の製造効率は不充分であり、経済的ではない問題があった。また、補助溶剤の沸点が低い場合は、気相において補助溶剤のフッ素化反応がおこり、反応の制御が困難になる問題があった。
【0006】
また補助溶媒を使用しても、実際には、ペルフルオロ化された有機溶媒に対する高分子化合物の溶解性を向上させることは困難であった。したがって、(2)の方法では、懸濁系での不均一な反応になりやすく、フッ素化が確実になされた高分子化合物を得にくい問題があった。また、非常に低い原料濃度で反応を行うために、容積効率が低く、製造コストが高い問題もあった。
【0007】
一方、C−Fを有する高分子化合物を得る方法としては、全てのC−H部分が予めフッ素化されたフッ素系モノマーを重合する方法も考えられるが、一般に入手できるフッ素系モノマーは、その合成が困難であるために構造が限定される問題があった。またフッ素系モノマーによっては、重合しうる化合物の組み合わせに制限があるために、合成できる重合体の構造が限定される問題があった。
【0008】
以上のような観点から、フッ素系モノマーであるテトラフルオロエチレンと非フッ素系モノマーであるプロピレンとを共重合させた後に、液相でフッ素化して含フッ素重合体を得る方法が報告されている(特表平4−500520号)。しかし、このようなフッ素系モノマーと非フッ素系モノマーとの共重合反応は、それらの組み合わせが制限されるために、任意の構造の共重合体が製造できない問題があった。またテトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合体をフッ素化して得た含フッ素重合体には反応性部位が存在しないため、さらなる化学変換ができない問題もあった。
【0009】
また、本出願人は、重合反応可能なフッ素系モノマーを安価かつ効率的に製造できる方法として、液相フッ素化反応を含む一連のプロセスを先に提供している(WO00/56694参照)。しかし、該プロセスによって得られたモノマーから重合体を製造するためには、さらなる重合工程を必要とし、重合体を得るまでの工程数が多くなるので、より低製造コストで含フッ素重合体を製造する方法が求められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の構造を有する含フッ素重合体を、工業的実施に有利な方法で、経済的に有利に製造する方法を提供する。また本発明は、容易にフッ素含有量を調節できる含フッ素重合体の製造方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、部分フッ素化されたモノマーに対する重合工程と、重合工程のあとに行われるフッ素化工程を含む製造方法によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の方法を提供する。
1.部分フッ素化重合体の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換され、かつ、重合体側鎖にエステル結合を必須とする含フッ素重合体の製造方法であって、下記重合工程、および、該重合工程のあとで行われる下記フッ素化工程を含む含フッ素重合体の製造方法。
重合工程:フッ素原子と炭素原子に結合した水素原子とを有するモノマー(β)を重合させる工程、または、前記モノマー(β)と該モノマー(β)と共重合可能なコモノマー(j)とを共重合させる工程。
フッ素化工程:炭素原子に結合したフッ素原子と炭素原子に結合した水素原子とを有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を必須とする部分フッ素化重合体を、フッ素化反応の溶媒に溶解させた後に液相フッ素化することによって、該部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上をフッ素原子に置換する工程。
2.部分フッ素化重合体が、重合工程の生成物である前記1に記載の製造方法。
3.重合工程の重合反応が、付加重合反応である前記1または2の製造方法。
4.モノマー(β)が(メタ)アクリロイルオキシ基と1価含フッ素有機基とを有するモノマーであり、部分フッ素化重合体が該モノマーの繰返し単位を必須とする重合体であり、含フッ素重合体が重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を有する重合体である前記1、2または3に記載の製造方法。
モノマー合成工程:炭素原子に結合した水素原子と反応性基(Y2)とを有するモノマー(α)に、該反応性基(Y2)と反応して連結結合または連結基を形成可能な反応性基(Y1)と、炭素原子に結合したフッ素原子とを併有する含フッ素化合物を反応させる工程。
5.部分フッ素化重合体の平均分子量が1000以上である前記1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6.部分フッ素化重合体のフッ素含有量が30〜70質量%であり、含フッ素重合体のフッ素含有量が35質量%以上であり、かつ、部分フッ素化重合体のフッ素含有量よりも多い量である前記1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7.部分フッ素化重合体のフッ素原子の全てを水素原子に置換した重合体が、フッ素化反応の溶媒に溶解しない重合体である前記1〜6のいずれかに記載の製造方法。
8.部分フッ素化重合体の炭素原子に結合した全水素原子の40モル%以上がフッ素原子に置換されるまでフッ素化工程を行う前記1〜7のいずれかに記載の製造方法。
9.前記1〜8のいずれかに記載の製造方法で含フッ素重合体を得て、次に該含フッ素重合体の重合体側鎖のエステル結合を分解してーCOF基に変換することを特徴とする、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖に−COF基を有する重合体の製造方法。
10.前記9に記載の製造方法で含フッ素重合体を得て、重合体側鎖の−COF基に、フッ素を含まない1価有機基と水酸基とを有するヒドロキシ化合物をエステル結合させることを特徴とする、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で結合したフッ素を含まない1価有機基を有する重合体の製造方法。
【0012】
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書におけるモノマーとは、重合しうる基を有する化合物(重合性単量体)をいう。モノマー中の重合しうる基の数は1個以上であり、1個であるのが好ましい。モノマーとしては、「(1)不飽和結合の開鎖により重合するモノマー(いわゆる付加重合性モノマー)」、「(2)結合の再配列で重合するモノマー(いわゆる開環重合により重合する環化モノマー)」、または「(3)原子または原子団の脱離または移動により重合するモノマー」等が挙げられる。
【0013】
(1)不飽和結合の開鎖により重合するモノマーとしては、重合しうる基(付加重合性の不飽和基ともいう。)として、CH2=CR1−、CH2=CC1−(ただし、R1は水素原子またはメチル基を示す。)や、これらの基中の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基を有するモノマーが挙げられる。ここで、CH2=CR1−は、アクリロイル基またはメタクリロイル基等の一部であってもよい。
【0014】
(2)結合の再配列で重合するモノマーとしては、環状エーテル、環状酸無水物、ラクタム、ラクトン、シクロパラフィン等が挙げられる。
【0015】
(3)原子または原子団の脱離または移動により重合するモノマーとしては、重縮合反応、重付加反応、酸化重合、移動重合、または脱離重合等により重合する化合物が挙げられ、ジアミン、ジカルボン酸、ジイソシアネート、フェノール類、ジアゾメタン類等が例示される。
【0016】
本明細書における重合体とは、重合反応によって形成された構成単位(繰返し単位ともいう。)を2単位以上含む化合物をいい、重合反応で合成される化合物をいう。重合体としては、重合反応により直接得られる化合物であっても、重合反応後に重合反応により形成された構造以外の部分に化学変換を行った化合物であってもよい。また重合体中の繰返し単位の種類は1種であっても2種以上であってもよい。
【0017】
本明細書における有機基とは、炭素原子を必須とする基をいい、飽和の基であっても、不飽和の基であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、または、塩素原子が好ましい。1価有機基としては、アルキル基、エーテル性酸素原子含有アルキル基、シクロアルキル基、エーテル性酸素原子含有シクロアルキル基またはこれらの基中に存在する水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましい。2価有機基としては、アルキレン基、エーテル性酸素原子含有アルキレン基(たとえば、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基等)、またはこれらの基中に存在する水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましい。有機基の炭素数は1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。
【0018】
本明細書においては、アクリロイル基とメタクリロイル基とを総称して(メタ)アクリロイル基、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して(メタ)アクリル酸と記す。他の化合物においても同様に記す。
【0019】
本発明における、モノマー合成工程、重合工程、フッ素化工程を順に説明する。
【0020】
[モノマー合成工程]
モノマー合成工程は、モノマー(α)に、特定の含フッ素化合物を反応させる工程である。特定の含フッ素化合物とは、反応性基(Y2)と反応して連結結合または連結基を形成可能な反応性基(Y1)と、炭素原子に結合したフッ素原子とを併有する化合物である。反応性基(Y1)と、モノマー(α)中の反応性基(Y2)は、それぞれ相互に反応して連結結合または連結基を形成する。
【0021】
反応性基(Y1)と反応性基(Y2)とから形成される連結結合としては、単結合、二重結合、三重結合が挙げられ、連結基としては有機連結基、−O−、−S−等が挙げられる。有機連結基の価数は特に限定されず、2価以上の有機基が挙げられる。有機連結基としては、Y1およびY2の一方が−COX1(X1はハロゲン原子または水酸基であり、ハロゲン原子が好ましく、特に塩素原子またはフッ素原子が好ましく、とりわけフッ素原子が好ましい。)であり、他方が−OHである場合に形成する−COO−、Y1およびY2の一方が−SO3X1(ただし、X1は前記と同じ意味を示す。)であり、他方が−OHである場合に形成する−SO2O−等が挙げられる。また、Y1およびY2の一方が−C1=Oであり、他方がHOC2−である場合に形成する下記連結基(ただし、C1とC2における1と2は、炭素原子を特定する数字を示す。)が挙げられる。
【0022】
【化1】
【0023】
モノマー(α)としては、前記(1)または前記(2)に分類されるモノマーが好ましく、特に前記(1)に分類される付加重合性モノマーが好ましい。特にモノマー(α)は構造中にフッ素原子を含まない非フッ素系モノマーであるのが好ましい。
【0024】
前記(1)に分類されるモノマー(α)としては、付加重合性の基を1個と、反応性基(Y2)を1個と、炭素原子に結合した水素原子を1個以上有する化合物が好ましい。モノマー(α)の具体例としては、つぎの化合物が挙げられる。ただし、下式中のR1は水素原子またはメチル基を示し、X1は前記と同じ意味を示し、Q1、Q2はそれぞれ独立に単結合または2価連結基(2価連結基としては、アルキレン基が好ましい。)を示し、mは2〜5の整数を示し、pは2〜5の整数を示し、rは1〜4の整数を示す。
CH2=C(R1)−Q1−COX1;式(α11)
(たとえば、CH2=C(R1)−COOH、CH2=C(R1)−COCl、CH2=C(R1)−(CH2)m−COOH、CH2=C(R1)−(CH2)m−COCl等。)
CH2=C(R1)−Q2−OH;式(α12)
(たとえば、CH2=C(R1)−(CH2)rOH、CH2=C(R1)−(CH2CH(CH3))pOH、CH2=C(R1)COOCH2CH(OH)CH2Cl等。)
【0025】
モノマー(α)がCH2=C(R1)一部分を有するモノマーである場合には、R1が水素原子であるモノマーを用いるのが、フッ素化工程の収率が高くなるため好ましい。
【0026】
前記(2)に分類されるモノマー(α)としては、開環重合性のモノマーを挙げることができ、その具体例としては、グリシジル基を有するモノマーが好ましく、その例としてはY2が−OHである場合のG−(CH2)kOH等(ただし、Gはグリシジル基を示し、kは0〜5の整数を示す。)が挙げられる。
【0027】
モノマー(α)に反応させる含フッ素化合物としては、炭素原子に結合したフッ素原子を必須とする1価有機基(RF)とY1を併有する化合物が好ましく、特にRF−Y1で表される化合物が好ましい。含フッ素化合物がRF基を有する場合は、後のフッ素化工程において、該RF基が部分フッ素化重合体のフッ素化反応の溶媒への溶解性を高める重要な基になりうる。RFは、炭素原子に結合したフッ素原子を1以上有する1価有機基であり、末端がペルフルオロ化された1価有機基(R1F )であるのが好ましい。R1Fは、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有アルキル)基であるのが好ましい。
【0028】
R1Fの具体例としては、下記の例が挙げられる。なお、以下の具体例中には、それぞれの構造異性の基に相当する基も含まれる。
C4F9−{ただし、F(CF2)4−、(CF3)2CFCF2−、(CF3)3C−、またはCF3CF2CF(CF3)−等。}、C5F11−{ただし、F(CF2)5−、(CF3)2CF(CF2)2−、(CF3)3CCF2−、またはF(CF2)3CF(CF3)−等。}、C6F13−{ただし、F(CF2)3C(CF3)2−等。}、C8F17−、C10F21−、C12F25−、C14F29−、C16F33−、C18F37−、C20F41−、(CF3)2CF(CF2)s−(sは3以上の整数)、CF3CF2CF2OCF(CF3)−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)−。また、R1F以外のRFの例としては、HCtF2t−(tは1以上の整数)が挙げられる。
Y1は、Y2との組み合わせにより適宜変更される。
【0029】
たとえば、モノマー(α)のY2が−COX1(X1は前記と同じ意味を示す)である場合(前記式(α11)で表わされるモノマーを使用する場合等。)には、含フッ素化合物のY1は−OHであるのが好ましい。該含フッ素化合物としては、R1F(CH2)nOHまたはR1FCOF(R1Fは、前記と同じ意味を示す。nは1〜5の整数を示し、2〜5の整数が好ましく、2または3が特に好ましい。)で表される化合物が好ましい。
【0030】
たとえば、モノマー(α)のY2が−OHである場合(前記式(α12)で表わされるモノマーを使用する場合等。)には、含フッ素化合物のY1は−COX1(X1は前記と同じ意味を示す)であるのが好ましい。
【0031】
Y1が−OH、−COX1である含フッ素化合物の具体的としては、下記化合物が挙げられる。ただし、nは上記と同じ意味を示す。
R1FCOF(たとえば、CF3CF2COF、CF3CF2CF2OCF(CF3)COF、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF等)、
R1FCOOH(たとえば、CF3CF2COOH、CF3CF2CF2OCF(CF3)COOH、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH等)、
R1F(CH2)nOH(たとえば、CF3CF2CH2OH、F(CF2)4CH2CH2OH、F(CF2)6CH2CH2OH、F(CF2)8CH2CH2OH等)。
【0032】
含フッ素化合物は、公知の化合物、または、公知の化合物から容易に合成できる化合物である。たとえば、Y1が−COFである含フッ素化合物は、市販品を利用する、本出願人によるWO00/56694に記載の方法により製造する、または後述するエステル結合の分解反応で生成する化合物を回収する、等の方法で入手できる。
【0033】
モノマー(α)と含フッ素化合物との反応の方法は、Y1とY2の組み合わせに応じて適宜変更されうる。たとえば、(メタ)アクリル酸とR1F(CH2)nOHとの反応は、公知のエステル化反応であり、公知の方法にしたがって収率よく実施できる。
【0034】
モノマー合成工程の反応で生成したモノマー(以下、モノマー(β')と記す。)としては、下記化合物が挙げられる。ただし、下式中のR1、R1F、G、m、nおよびkは上記と同じ意味を示す。
CH2=C(R1)COO(CH2)nR1F
CH2=C(R1)OCOR1F
CH2=C(R1)COO(CH2)kOCO(CH2)nR1F、
G−(CH2)mOCOR1F
【0035】
モノマー(β')は、モノマー合成工程の反応生成物から、通常の精製処理を行うことにより得られる。後の重合工程で用いるモノマー(β)の入手方法は限定されないが、モノマー合成工程で生成するモノマー(β')は、炭素原子に結合したフッ素原子と、炭素原子に結合した水素原子とを有するモノマーであり、後の重合工程のモノマー(β)として使用できる。またモノマー合成工程で製造したモノマー(β')に対して化学変換を行ったものをモノマー(β)として用いてもよい。
【0036】
本発明における重合工程のモノマー(β)は、モノマー合成工程を経由して製造されたモノマーであるのが好ましい。なぜなら、モノマー(α)も含フッ素化合物も、多様な構造の化合物が安価にかつ容易に入手できる。そしてこれらの化合物を用いてモノマー合成工程を行うことによってモノマー(β')を得て、また必要に応じて、モノマー(β')に対して化学変換を行うことによって、種々の構造のモノマー(β)を合成できるからである。
【0037】
モノマー(β')に化学変換を行う場合には、重合性を示す構造以外の部分において化学変換を行うのが好ましい。モノマー(β')のY1とY2とから形成される連結基または連結結合は、化学変換によって変化してもよい。またモノマー(β')中の炭素原子に結合したフッ素原子は、化学変換前後で保持されるのが好ましい。モノマー(β')における化学変換の例としては、窒素原子に結合した水素原子のアルキル化、残余の水酸基を保護する、等の例が挙げられる。
【0038】
[重合工程]
重合工程は、モノマー(β)を重合させる工程、または、モノマー(β)と共重合可能なコモノマー(j)とを共重合させる工程である。
【0039】
モノマー(β)は、付加重合性モノマーが好ましく、1価含フッ素有機基(RF)を有する付加重合性モノマーが特に好ましい。さらに、モノマー(β)は、RF付加重合性の不飽和基とが、エステル結合を必須とする2価基で連結されたモノマー(β1)であるのが好ましい。エステル結合を必須とするモノマー(β1)としては、下式(β1−1)で表されるモノマーまたは下式(β1−2)で表されるモノマーが好ましい。式(β1−1)で表されるモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基と1価含フッ素有機基とを有するモノマーであるのが好ましく、下式(β1−10)で表されるモノマーが特に好ましく、特に下式(β1−11)で表されるモノマーがとりわけ好ましい。下式(β1−2)で表されるモノマーとしては、下式(β1−20)で表されるモノマーが好ましく、特に下式(β1−21)で表されるモノマーが好ましい。ただし、Uは付加重合性の不飽和基を示し、Q1およびQ2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく単結合または2価連結基を示し、R1は水素原子またはメチル基を示し、RFおよびR1Fは上記と同じ意味を示し、xは1〜5の整数を示し、2〜5の整数が好ましく、2または3が特に好ましい。yは0以上の整数を示し、1〜5の整数が好ましい。
U−Q1−COO−Q2−RF・・・(β1−1)
U−Q1−OCO−Q2−RF・・・(β1−2)
CH2=CR1−COO−Q2−RF・・・(β1−10)
CH2=CR1−Q1−OCO−Q2−RF・・・(β1−20)
CH2=CR1COO−(CH2)xR1F・・・・(β1−11)
CH2=CR1OCO−(CH2)yR1F・・・・(β1−21)
【0040】
エステル結合を有する、モノマー(β1)は、多種のコモノマー(j)と共重合しうるモノマーである。また、モノマー(β1)は、公知の重合法によって、確実かつ容易に重合できるので、種々の構造を有する重合体を製造できるモノマーである。また、モノマー(β1)を重合させた重合体はエステル結合を側鎖に有する重合体であることから、該エステル結合を化学変換して誘導化できる利点もある。特に式(β1−1)で表されるモノマーと式(β1−2)で表されるモノマーとでは、式(β1−1)で表されるモノマーが、誘導体化により多様な化合物に導きやすい点で好ましい。
【0041】
特に、式(β1−11)で表されるモノマーはCH2=C(R1)COX1で表わされる化合物(ただし、R1、X1は前記と同じ意味を示す。)と、R1F−(CH2)nOHで表される化合物(ただし、R1Fおよびnは、前記と同じ意味を示す。)とを反応させて得るのが好ましい。
【0042】
モノマー(β1)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、下式中のzは1〜12の整数を示し、R1、x、およびyは上記と同じ意味を示す。
CH2=C(R1)COO(CH2)x(CF2)zF、
CH2=C(R1)COO(CH2)zOCO(CH2)y(CF2)zF、
CH2=C(R1)OCO(CH2)y(CF2)zF。
【0041】
また、モノマー(β)が上記以外のモノマーである場合の具体例としては、CF2=CHCF3、CF3CF2CF2CF2CH=CH2、CF3CF2CF2CF2CF=CH2等が挙げられる。
【0042】
重合工程は、モノマー(β)を重合させる工程、または、該モノマー(β)とコモノマー(j)とを共重合させる工程である。モノマー(β)のみを重合させる場合、モノマー(β)は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。モノマー(β)と、コモノマー(j)とを共重合させる場合、モノマー(β)は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよく、コモノマー(j)は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
【0043】
本発明におけるコモノマー(j)には、C−H部分が存在していても存在していなくてもよく、存在しているのが好ましく、フッ素原子は存在しないのが好ましい。
【0044】
コモノマー(j)としては、エチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のオレフィン類;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、メチルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、炭素数8〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;フッ素原子以外のハロゲン原子を有する(ハロゲン化アルキル)ビニルエーテル類;ノルボルニレンなどの環状オレフィン類;ビニルアルキルケトン、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、酢酸ビニル、酢酸アリル、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド等が挙げられる。
【0045】
これらのうち、コモノマー(j)としては、塩化ビニル、炭素数8〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に塩化ビニル、ステアリル(メタ)アクリレート、ジオクチルマレエート、または2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、モノマー(β)が(メタ)アクリレート類である場合のモノマー(j)は、(メタ)アクリレート類または塩化ビニルから選択するのが、収率の点で好ましく、特にアクリレート類から選択するのが好ましい。
【0046】
重合工程における重合反応は、モノマー(β)をモノマー全量に対して50〜100モル%用いて重合反応を実施するのが好ましい。ここでは、モノマー(β)の重合方法としては、公知の重合反応の手法がそのまま適用できる。たとえば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマー(β1−10)は、公知の乳化重合の条件および手法により、容易に重合させうる。
【0041】
重合工程における重合反応では、用いたモノマーに対応する重合体が得られる。重合体中の繰返し単位が2種以上である場合の該繰り返し単位の連なり方は特に限定されず、たとえば、ブロック状、ランダム状、またはグラフト状の連なり方が挙げられる。また、重合工程で製造される重合体の分子量は1000以上であるのが好ましく、特に1000〜10万であるのが好ましい。
【0042】
重合工程の反応粗生成物中に含まれる重合体は、目的に応じて精製を行っても、そのまま、つぎの反応等に用いてもよいが、次のフッ素化工程におけるフッ素化反応を安定に行う観点から、精製するのが好ましい。精製方法としては、生成物中の重合体と重合用溶媒を、減圧乾燥等の方法で分離するのが望ましい。さらに、粗生成物の全てを溶媒に溶解させた後に、重合工程で用いたモノマーと該溶媒とを溶解でき、かつ、重合工程で得た重合体を析出しうる溶媒に、粗生成物の溶液を滴下して重合体を再沈殿させた後、沈殿物をろ過し、洗浄し、さらに減圧乾燥によって沈殿物から該溶媒を除去することにより、重合体を精製するのが好ましい。
【0043】
重合工程で生成する重合体には、モノマー(β)の繰返し単位が含まれる。また、重合工程においてコモノマー(j)を共重合させた場合には、該重合体中には、コモノマー(j)の重合した単位が含まれる。
【0044】
重合工程で得た重合体は、そのままフッ素化工程における部分フッ素化重合体として用いてもよく、また、化学変換を行った後にフッ素化工程における部分フッ素化重合体として用いてもよい。たとえば、重合工程で得た重合体が、官能基を有するコモノマー(j2)の繰返し単位を含む場合には、重合工程で得た重合体中のコモノマー(j2)由来の官能基を保護基で保護したものを、フッ素化工程における部分フッ素化重合体として用いてもよい。該保護基は必要に応じて後述するフッ素化工程の後に脱保護できる。ただし、化学変換をする場合においても、部分フッ素化重合体は、炭素原子に結合した水素原子と、炭素原子に結合したフッ素原子とを有する必要があり、また、該化学変換は重合反応により形成された結合を変化させない変換である。
【0045】
部分フッ素化重合体としては、前記モノマー(β1)の繰り返し単位を有する重合体が好ましく、特に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマー(β1−10)の繰り返し単位を有する重合体が特に好ましい。
【0046】
[フッ素化工程]
フッ素化工程は、重合工程を経由して生成させた部分フッ素化重合体をフッ素化用溶媒に溶解させた後に液相フッ素化することによって、部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上をフッ素原子に置換する工程である。
【0047】
部分フッ素化重合体は、炭素原子に結合したフッ素原子と炭素原子に結合した水素原子とを有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を必須とする重合体であり、前述したように、重合工程で生成した重合体であっても、該生成した重合体を化学変換したものであってもよい。
【0048】
このような部分フッ素化重合体は、フッ素原子を有するためにフッ素化反応の溶媒に溶解するので、フッ素ガスを消費する補助溶媒を使用する必要がないだけでなく、均一状態でのフッ素化反応を実現できる。すなわち、本発明における部分フッ素化重合体は、フッ素含有量が所望に調整され、含フッ素重合体を製造しやすく、低製造コストで含フッ素重合体に変換されうる部分フッ素化重合体である。
【0048】
フッ素化工程においては、フッ素化反応時に液相を形成するフッ素化反応の溶媒に部分フッ素化重合体を溶解させ、液相フッ素化反応を行う。ここでフッ素化反応の溶媒に溶解させるとは、フッ素化反応の条件において部分フッ素化重合体をフッ素化反応の溶媒に対して0.1質量%以上溶解させることをいい、特には0.5質量%以上溶解させるのが好ましい。さらに部分フッ素化重合体の該溶媒に対する溶解性の上限は、溶媒に対して50質量%であるのが好ましい。フッ素化反応の溶媒としては後述する。
【0049】
さらに、部分フッ素化重合体のフッ素含有量は35質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのが好ましい。フッ素含有量は65質量%以下であるのが好ましい。フッ素含有量が少なすぎるとフッ素化反応の溶媒への溶解性が極端に低くなり、フッ素化反応の反応系が不均一になる問題がある。また、フッ素含有量の上限は限定されないが、あまりに高すぎるものは、経済的ではない問題がある。
【0050】
さらに、部分フッ素化重合体の分子量は1000以上であるのが好ましく、1000〜50万であるのが特に好ましく、とりわけ1000〜10万であるのが好ましい。部分フッ素化重合体は、気相に同伴されることがない程度に大きな分子量を有することから、フッ素化反応を容易に実施できる利点がある。しかし、分子量が大きすぎると、フッ素化反応の溶媒への溶解性が低下する傾向や、使用できるフッ素化反応の溶媒の種類が少なくなるため好ましくない。一方、分子量が小さすぎると、得られる含フッ素重合体のガラス転移温度(Tg)が低下する傾向などがあり、重合体として要求される物性が得られにくい。
【0051】
本発明においては、フッ素化反応の溶媒を必須とする液相中で部分フッ素化重合体の液相フッ素化反応を行う。含フッ素重合体のフッ素化反応の手法としては、コバルトフッ素化やECF法が知られているが、本発明は、含フッ素重合体の製造コストを低減できる液相フッ素化法によるフッ素化を行う。液相フッ素化法によれば、前述のように、均一状態でのフッ素化を実現できるので、所望の含フッ素重合体を確実に、かつ高収率で得ることができる。
【0052】
液相フッ素化反応は、フッ素化反応の溶媒が形成する液相中に部分フッ素化重合体を存在させ、ここにフッ素ガスを導入することにより行われる反応である。液相フッ素化反応により、部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されて、含フッ素重合体が生成する。また、部分フッ素化重合体中に炭素−炭素不飽和結合が存在する場合には、該結合にフッ素原子が付加する反応も起こりうる。
【0053】
本発明におけるフッ素化反応は、部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の全てをフッ素化(すなわち完全フッ素化)してもよいが、通常の場合には、完全フッ素化するのは困難である。フッ素化反応は、フッ素化率(フッ素化率とは、部分フッ素化重合体中の水素原子の数に対するフッ素化反応で導入されたフッ素原子の数)を40モル%以上にするのが好ましい。フッ素化率の上限は100%である。フッ素化率は40〜95モル%が特に好ましい。含フッ素重合体のフッ素含有量は、部分フッ素化重合体のフッ素含有量よりも多い量であって、35質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのが特に好ましく、86質量%以下であるのがとりわけ好ましい。
【0054】
本発明のフッ素化反応においては、重合体の主鎖を形成する炭素原子−炭素原子間の切断反応をできるだけ少なくするためには、低温でフッ素化反応を行うのが好ましく、特に−50℃〜0℃で反応を行うのが好ましい。
【0055】
また、本発明のフッ素化反応において、フッ素化率をより高くするためには、フッ素化反応を低温で行った後に加温するのが好ましく、特に−50℃〜0℃でフッ素化反応を行った後に、+10〜+50℃でさらにフッ素化反応を行うのが好ましい。さらに該加温した際に反応系をより加圧にするのが好ましく、反応系を+0.1〜+0.3MPa加圧にするのが好ましい。
【0056】
フッ素化反応の溶媒としては、部分フッ素化重合体を溶解しうる溶媒のうち、フッ素ガスを溶解しうる溶媒であって、C−H結合を含まない溶媒が好ましく、さらに、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロエーテル類、ペルフルオロポリエーテル類(商品名:クライトックス、フォンブリン、ガルデン、デムナム等。)、クロロフルオロカーボン類(商品名:フロンルーブ)、クロロフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアルキルアミン(たとえば、ペルフルオロトリアルキルアミン等)、不活性流体(商品名:フロリナート)等が挙げられる。
【0057】
また、液相フッ素化反応によって生成する含フッ素重合体自身が液相フッ素化反応の条件で液相を形成しうる化合物である場合には、該含フッ素重合体をフッ素化反応の溶媒として用いてもよい。
【0058】
フッ素化反応の溶媒は、部分フッ素化重合体に対して、5倍質量以上を用いるのが好ましく、特に10〜100倍質量を用いるのが好ましい。また、部分フッ素化重合体をフッ素化反応の溶媒に溶解させた溶液の粘度は5×10-4〜0.1Pa・sとするのが、液相フッ素化反応を円滑に実施できる理由から好ましく、特に5×10-4〜5×10-3Pa・sとするのが特に望ましい。
【0059】
液相フッ素化反応におけるフッ素ガスは、そのままを用いても、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。窒素ガス中のフッ素ガス量は特に限定されず、10%以上とするのが効率の点で好ましく、20%以上とするのが特に好ましい。
【0060】
フッ素化反応に用いるフッ素量は、部分フッ素化重合体中の水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量となるようにするのが好ましく、特に1.5倍当量以上(すなわち、1.5倍モル以上)となるようにするのが選択率の点から好ましい。また、フッ素ガスは過剰量が保たれるように反応系中に導入しつづけるのが好ましい。
【0061】
フッ素化反応の反応温度は、通常は−60℃以上かつフッ素化反応の溶媒の沸点以下が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から−50℃〜+200℃が特に好ましく、−20℃〜+100℃がとりわけ好ましい。また、フッ素化反応の反応圧力は常圧または加圧条件にするのが好ましく、0.01〜5MPa(ゲージ圧。特に記載しない場合はゲージ圧であることを示す。)にするのが好ましい。また、基質がエーテル性の酸素原子を含む場合等のHFを除去するのが好ましい場合には、フッ素化反応の初期は圧力を大気圧付近にして、HFを速やかに除去するのが好ましい。
【0062】
フッ素化反応の反応形式は、バッチ方式または連続方式が好ましい。反応形式は、反応収率と選択率の点から、以下に説明する方式2が好ましい。またフッ素ガスは、バッチ方式においても、連続方式においても、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したフッ素ガスを使用してもよい。
【0063】
[方式1]反応器に、部分フッ素化重合体とフッ素化反応の溶媒とを仕込み、撹拌を開始する。つぎに、所定の反応温度と反応圧力下で、フッ素ガスを反応器中の液相に連続的に供給しながら反応させる方法。
[方式2]反応器にフッ素化反応の溶媒を仕込み、撹拌を開始する。つぎに所定の反応温度と反応圧力で、フッ素ガスと、フッ素化反応の溶媒に溶解させた部分フッ素化重合体とを反応器中の液相に所定のモル比で連続的かつ同時に供給する方法。この方法において、部分フッ素化重合体を溶解させるフッ素化反応の溶媒の量は、部分フッ素化重合体に対して5倍質量以上とするのが好ましく、特に10倍質量以上とするのが好ましい。また、反応の開始時点においてもフッ素が過剰量となるように、フッ素化反応の溶媒にはあらかじめ充分量のフッ素を溶解させておくのが好ましい。
【0064】
フッ素化反応では、水素原子がフッ素原子に置換して、HFが副生する。副生したHFを除去するには、反応系中にHFの捕捉剤を共存させる、または反応器ガス出口でHF捕捉剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。該HF捕捉剤としては、NaFが好ましい。反応系中にHF捕捉剤を共存させる場合の量は、部分フッ素化重合体中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルが好ましい。反応器ガス出口にHF捕捉剤をおく場合には、(h)冷却器(10℃〜室温に保持するのが好ましく、特には約20℃に保持するのが好ましい。)、(i)NaFペレット充填層、および(j)冷却器(−78℃〜+10℃に保持するのが好ましく、−30℃〜0℃に保持するのが好ましい)を(h)−(i)−(j)の順に直列に設置するのが好ましい。なお、(j)の冷却器からは凝集したフッ素化反応の溶媒等を反応器に戻すための液体返送ラインを設置してもよい。液体返送ラインを設置することは、フッ素化反応の溶媒の飛散による反応液の粘度の上昇を抑制できる点で特に好ましく、特にフッ素化反応の溶媒の飛散が著しい場合は反応器内部にフッ素化反応の溶媒を継続的に供給して、反応系の粘度の上昇を防止するのが望ましい。
【0065】
さらに、液相フッ素化反応におけるフッ素化率を効率的に上げようとする場合には、反応系中にC−H結合含有化合物を添加する、または、紫外線照射を行う、のが好ましい。これにより、反応系中に存在する部分フッ素化重合体を効率的にフッ素化できる。紫外線照射時間は、0.1〜3時間であるのが好ましい。
【0066】
C−H結合含有化合物としては、部分フッ素化重合体以外の有機化合物から選択され、特に芳香族炭化水素が好ましく、とりわけベンゼン、トルエン等が好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、部分フッ素化重合体中の水素原子の総数に対して0.1〜10モル%であるのが好ましく、特に0.1〜5モル%であるのが好ましい。
【0067】
C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ素ガスが存在する状態で添加するのが好ましい。さらに、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては、0.01〜5MPaが好ましく、これにより、フッ素化率を上げることができる。
【0068】
フッ素化反応では、部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されて、含フッ素重合体が生成する。
【0069】
たとえば、部分フッ素化重合体が、モノマー(β1−11)の繰返し単位である−(CH2−C(R1)(COO(CH2)pR1F))−(ただし、R1、p、およびR1Fは前記と同じ意味を示す。)で表される繰返し単位を含む重合体である場合には、該繰返し単位中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換された重合体が生成する。また、部分フッ素化重合体がコモノマー(j)の繰返し単位を含む重合体であって、該コモノマーの繰返し単位中に炭素原子に結合した水素原子が存在する場合やフッ素化されうる原子団が存在する場合には、該水素原子や該原子団の一部または全部がフッ素化される。
【0070】
フッ素化工程で生成する含フッ素重合体としては、部分フッ素化重合体の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換され、かつ、重合体側鎖にエステル結合を必須とする。さらに含フッ素重合体としては、部分フッ素化重合体が(メタ)アクリロイルオキシ基と1価含フッ素有機基とを有するモノマーの繰り返し単位を必須とする重合体である場合において、含フッ素重合体が重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を有する重合体であるのが特に好ましい。
【0071】
フッ素化工程により生成した粗生成物からは、通常の場合には、フッ素化反応の溶媒を除去して重合体を得るのが好ましい。該重合体は、そのまま、または他の化合物に誘導体化することにより、構造中に反応性部位を持つ有用な重合体に誘導できる。
【0072】
エステル結合を側鎖に有する含フッ素重合体においては、このエステル結合の反応性を利用して種々の重合体に誘導できる。たとえば、エステル結合の分解反応を行うことにより、−COF基を重合体側鎖に有する重合体に誘導できる。該重合体側鎖に−COF基を有する重合体は、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有する重合体であるのが好ましい。
【0073】
エステル結合の分解反応は公知の反応条件を採用できる。エステル結合の分解反応において、含フッ素重合体が反応条件において液状である場合には、NaF、CsF、KF等の存在下において、無溶媒で加熱することにより、エステル結合の分解反応を行うのが好ましい。含フッ素重合体が反応条件において固体である場合には、該重合体を溶解しうる溶媒に溶解させた後に、NaF、CsF、KF等の存在下に溶媒の存在下で加熱することにより、エステル結合の分解反応を行うのが好ましい。該溶媒としては、含フッ素重合体を溶解させ、かつ、沸点が反応温度よりも高い溶媒から選択するのが好ましい。
【0074】
さらに、−COF基を側鎖に有する重合体は、該−COF基のエステル化反応を行うことにより、種々のエステル化された基を有する含フッ素重合体を得ることができる。該ヒドロキシ化合物としては、フッ素を含まない1価有機基と水酸基とを有するヒドロキシ化合物が好ましく、いわゆるアルコール類等の例が挙げられる。
【0075】
エステル化反応の条件は、公知の反応条件が適用でき、種々のヒドロキシ化合物を−COF基に反応させる例が挙げられる。たとえば、−COF基を側鎖に有する重合体およびヒドロキシ化合物がエステル化反応の条件において液体である場合には、無溶媒でエステル化反応を行うのが好ましい。この場合には、ヒドロキシ化合物が溶媒としても作用する。−COF基を側鎖に有する重合体および/またはアルコール類がエステル化反応の条件において固体である場合には、溶媒(たとえば、ジクロロペンタフルオロプロパン(R−225))等の存在下に反応を行うのが好ましい。該溶媒としては、含フッ素重合体およびアルコール類を溶解させ、かつ、エステル化反応の反応温度よりも沸点が高い溶媒から選択するのが好ましい。
【0076】
本発明の方法で製造される含フッ素重合体、または、含フッ素重合体から誘導体化される重合体は、界面活性剤、表面改質剤、撥水撥油剤、コーティング剤、潤滑剤、および接着剤等として有用な重合体である。
【0077】
特に、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にフッ素を含まない1価有機基(RH)がエステル結合で結合した重合体においては、該重合体と溶媒とを含む組成物をコーティング剤として用いることができる。該コーティング剤を基板表面に塗布した後に乾燥させることによって、優れた撥水撥油性能を発揮し、かつ、高い硬度を有する被膜を表面に有する基板を得ることができる。
【0078】
該重合体としては、モノマー(β)がCH2=C(R1)COO(CH2)nR1Fである場合に本発明の方法により製造される重合体であるのが好ましく、一般式−[CX10X20−C(R10)COORH]−で表される繰返し単位(ただし、X10およびX20はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、R10は水素原子、フッ素原子、またはフッ素化されたメチル基を示し、かつ、X10、X20およびR10から選ばれる1つ以上の基はフッ素原子を必須とする基である。RHは前記と同じ意味を示す。)を必須とする重合体であるのが好ましい。また重合体中の該繰返し単位の割合は20〜100モル%であるのが好ましい。さらに、該フッ素原子の割合が15〜86質量%であるのが好ましく、特に35質量%〜86質量%であるのが好ましい。また重合体の分子量は500〜10万であるのが好ましく、特に1000〜5万であるのが好ましい。
【0079】
本発明に係る含フッ素重合体の製造方法によれば、種々の構造および種々のフッ素含量を有する含フッ素重合体が容易に製造できる。本発明の方法は、低い製造コストで、目的とする含フッ素重合体ができる有利な方法である。
【0080】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、テトラメチルシランをTMS、ジクロロペンタフルオロプロパンをR−225と記し、旭硝子社製商品名AK−225を用いた。CCl2FCClF2はR−113と記す。また、NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト範囲として示し、積分値は比率で表記した。実施例の圧力は絶対圧で記す。13C−NMRにおける基準物質CDCl3の基準値は、76.9ppmとした。19F−NMRによるフッ素量の定量ではヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を内部標準に用いた。
【0081】
また、平均分子量は数平均分子量(Mn)であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)によって測定し、ポリメチルメタクリレート標準試料から換算した。GPCの測定においてはR−225に1vol%のヘキサフルオロイソプロピルアルコールを溶解した液を溶離液とした。またGPCのカラムにはPL gel 5μMixed−Cを用いた。
【0082】
[例1]
(例1−1)F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2の合成例
上部に滴下漏斗を有し、あらかじめ内部を窒素置換した100mLフラスコを準備した。該フラスコ中にF(CF2)4CH2CH2OH(26.4g)、ヒドロキノン(0.1g)、およびp−トルエンスルホン酸(1.72g)を投入し、系内を減圧(20kPa(絶対圧))に保ちながら70℃まで昇温した。続いて内圧および温度を保ちながら激しく撹拌し、上部の滴下漏斗よりアクリル酸(12.9g)を滴下した。滴下終了後、2時間保持し、反応によって生じる水を上部に設置した留出器より留去した。その後、圧力を常圧にして、室温まで冷却して粗液を回収した。回収後、粗液を蒸留水(60g)で洗浄し、二層分離して有機相を回収した。洗浄操作を4回繰り返した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧蒸留して、55℃/0.6kPa(絶対圧)の留分(34.1g)を得た。GC純度は99%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.52(2H),4.47(2H),5.8(1H),6.1(1H),6.4(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.1(3F),−113.6(2F),−124.2(2F),−125.8(2F)。
【0083】
(例1−2)F(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2の重合例
充分に窒素置換した50mLの丸底フラスコを準備した。ここに、例1−1で得たF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2(25.0g)および重合開始剤としての2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(0.5g)をR−225(53.7g)に溶解させた溶液を投入した。激しく撹拌しながら60℃まで昇温し重合反応を開始した。反応開始後、15時間保持した後、室温まで冷却して粗液を回収した。回収した粗液をメタノール(300g)に滴下して固形分を回収した。さらに、回収した固形分をアセトン(100g)に溶解してヘキサン(500g)に滴下することによる洗浄操作を2回行った。その後、減圧乾燥(100℃、24時間)して、室温で固体の生成物(17.5g)を得た。
【0084】
1H−NMR、19F−NMRの結果、得られた固体は、繰返し単位[−CH2−CH(COOCH2CH2(CF2)4F)−]からなる重合体であることを確認した。該重合体の平均分子量をGPCで測定した結果、43000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.3〜2.1,2.2〜2.6,4.2〜4.5。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−80.9(3F),−113.2(2F),−123.8(2F),−125.9(2F)。
【0085】
(例1−3)例1−2で得た重合体のフッ素化例
500mLのハステロイ製オートクレーブに、R−113(312g)を加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−20℃に保持した冷却器からは、凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。オートクレーブに窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、希釈フッ素ガスという。)を、流速5.27L/hで1時間吹き込んだ。
【0086】
つぎに、オートクレーブに希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1−2で得た重合体(2.3g)をR−113(114g)に溶解した溶液を3.33時間かけて注入した。さらに希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113溶液を6mL注入した。さらに、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。反応終了後、粗液を回収し、減圧乾燥(60℃、6.0時間)よってR−113を留去し、室温で粘調な液体の生成物(2.7g)を得た。
【0087】
該生成物を分析した結果、例1−2で得た重合体中の水素原子の66モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成が確認された。また、GPCで測定した平均分子量は3500であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.8〜3.7、3.8〜5.0、5.1〜6.3、6.6〜7.1。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−57.5〜−59.0、−76.0〜−87.5、−89.0〜−105.0、−113.5〜−114.0、−120.0〜−131.0、−141.0〜−150.0、−165.0〜−180.0、−205.0〜−215.0。
【0088】
[例2]
(例2−1)F(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2の合成例
例1−1で用いたアクリル酸をメタクリル酸(15.4g)に変えた以外は、例1−1と同様に反応、洗浄およびろ過を行った。ろ液を減圧蒸留して、60℃/0.6kPa(絶対圧)の留分(35.6g)を得た。該留分のGC純度は、99%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.98(3H),2.45(2H),4.45(2H),5.6(1H),6.1(m,1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.0(3F),−113.7(2F),−124.3(2F),−125.8(2F)。
【0089】
(例2−2)F(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2の重合例
例1−2におけるF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2を例2−1で得たF(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(25.9g)に変えること以外は例1−2と同様に重合反応および後処理を行い、室温で固体の生成物(18g)を得た。
【0090】
1H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られた固体は繰返し単位[−CH2−C(CH3)(COOCH2CH2(CF2)4F)−]からなる重合体であることを確認した。また、GPCで測定した平均分子量は26000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.0〜1.6,1.9〜2.4,2.5〜2.8,4.2〜4.6。19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−80.9(3F),−114.0(2F),−123.8(2F),−126.5(2F)。
【0091】
(例2−3)例2−2で得た重合体のフッ素化例
例1−3において、例1−2で得た重合体を例2−2で得た重合体(1.8g)に変えること以外は例1−3同様にフッ素化反応および後処理を行って、室温で粘調な液体の生成物(2.4g)を得た。
【0092】
生成物を分析した結果、例2−2で得た重合体中の水素原子の69モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成を確認した。また、GPCで測定した平均分子量は900であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.6〜3.8,5.0〜5.6,5.7〜6.8。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−80〜−82,−85〜−87,−110〜−126,−145.0〜−150.0,−205.0〜−215.0。
【0093】
[例3]
(例3−1)F(CF2)8CH2CH2OCOCH=CH2の合成例
例1−1で用いたF(CF2)4CH2CH2OHをF(CF2)8CH2CH2OH(46.4g)に変えること以外は例1−1と同様に反応およびろ過を行った。ろ液を減圧蒸留して、90〜95℃/0.6kPa(絶対圧)の留分(54g)を得た。GC純度は、99%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.52(2H),4.47(2H),5.8(1H),6.1(1H),6.4(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.1(3F),−113.6(2F),−121.5(6F),−122.5(2F),−123.3(2F),−125.8(2F)。
【0094】
(例3−2)F(CF2)8CH2CH2OCOCH=CH2の重合例
例1−2におけるF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2を例3−1で得たF(CF2)8CH2CH2OCOCH=CH2(40.0g)に変えること以外は例1−2と同様に重合反応および後処理を行い、室温で固体の生成物(32.1g)を得た。
【0095】
1H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られた固体は繰返し単位[−CH2−CH(COOCH2CH2(CF2)8F)−]からなる重合体であることを確認した。また、GPCで測定した平均分子量は8200であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.0〜2.2(2H),2.3〜2.8(3H),4.4〜4.6(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−80.3(3F),−112.7(2F),−120.8(6F),−121.7(2F),−122.4(2F),−125.2(2F)。
【0096】
(例3−3)例3−2で得た重合体のフッ素化例
例1−3において例1−2で得た重合体を例3−2で得た重合体(3.6g)に変えること以外は例1−3と同様にフッ素化反応および後処理を行って、室温で固体の生成物(3.27g)を得た。
【0097】
生成物を分析した結果、例3−2で得た重合体中の水素原子の19.4モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成を確認した。また、GPCで測定した平均分子量は2100であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.6〜3.5,4.0〜6.0,6.5〜7.0。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−73.0〜−87.0,−105.0〜−136.0,−210.0〜−215.0。
【0098】
[例4]
(例4−1)F(CF2)8CH2CH2OCOC(CH3)=CH2の合成例
例1−1で用いたアクリル酸をメタクリル酸(15.4g)に変え、かつ、F(CF2)4CH2CH2OHをF(CF2)8CH2CH2OH(46.8g)に変えること以外は例1−1と同様に反応およびろ過を行った。ろ液を減圧蒸留して、60〜70℃/16kPa(絶対圧)の留分(55g)を得た。GC純度は、93.4%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.98(3H),2.45(2H),4.45(2H),5.6(1H),6.1(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.0(3F),−113.4(2F),−121.5(6F),−122.6(2F),−123.3(2F),−125.8(2F)。
【0099】
(例4−2)F(CF2)8CH2CH2OCOC(CH3)=CH2の重合例
例1−2におけるF(CF2)4CH2CH2OCOCH=CH2を例4−1で得たF(CF2)8CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(40.5g)に変えること以外は例1−2と同様に重合反応および後処理を行い、室温で固体の生成物(31.2g)を得た。
【0100】
1H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られた固体は繰返し単位[−CH2−C(CH3)(COOCH2CH2(CF2)8F)−]を有する重合体であることを確認した。また、GPCで測定した平均分子量は15000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.0〜1.8(3H),1.9〜2.4(2H),2.5〜2.8(2H),4.2〜4.6(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.3(3F),−113.6(2F),−121.7(6F),−122.5(2F),−123.4(2F),−126.1(2F)。
【0101】
(例4−3)例4−2で得た重合体のフッ素化例
例1−3において、例1−2で得た重合体を例4−2で得た重合体(3.0g)に変えること以外は例1−3と同様にフッ素化反応および後処理を行って、室温で固体の生成物(3.32g)を得た。
【0102】
生成物を分析した結果、例4−2で得た重合体中の水素原子の70.0モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成を確認した。また、GPCで測定した平均分子量は1200であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):1.4,2.6〜3.6,5.0〜5.8,5.8〜7.0。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−58.0〜−85.0,−112〜−128.0,−147.0〜−149.0,−209.5〜−211.0。
【0103】
[例5]
(例5−1)F(CF2)10CH2CH2OCOCH=CH2の合成例
例1−1で用いたF(CF2)4CH2CH2OHをF(CF2)10CH2CH2OH(54.6g)に変えること以外は例1−1と同様に反応およびろ過を行った。ろ液を減圧蒸留して、95〜105℃/14kPa(絶対圧)の留分(52g)を得た。GC純度は、99モル%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
【0104】
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):2.52(2H),4.47(2H),5.8(1H),6.1(1H),6.4(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.1(3F),−113.6(2F),−121.5(10F),−122.5(2F),−123.3(2F),−125.8(2F)。
【0105】
(例5−2)F(CF2)10CH2CH2OCOCH=CH2とノルボルネンとの共重合例
充分に窒素置換された30mLのサンプル瓶を準備した。ここに、ノルボルネン(3.0g)、例5−1で得たF(CF2)10CH2CH2OCOCH=CH2(19.6g)および、重合開始剤としてのパーブチルピバレート(0.2g)を、R−113(22.5g)に溶解させた溶液を投入した。激しく撹拌しながら55℃まで昇温し、重合反応を開始した。反応開始後、18時間保持した後、室温まで冷却して粗液を回収した。回収した粗液をAK−225(50g)を加えて溶解させ、つぎにヘキサン(200g)に滴下して固形分を回収した。さらに、回収した固形分をアセトン(50g)に溶解してヘキサン(200g)に滴下することによる洗浄操作を2回行った。その後、減圧乾燥(70℃、19時間)して、室温で固体の生成物(10g)を得た。
【0106】
1H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られた固体は、2−(ペルフルオロ(n−デシル))エチルアクリレートに由来する繰返し単位とノルボルネンに由来する繰返し単位を、0.34:1のモル比で含む重合体であることを確認した。また、GPCで測定した平均分子量は16000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.0〜2.4,2.4〜3.0,4.2〜4.7。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.8(3F),−113.8(2F),−121.8(10F),−122.5(2F),−123.5(2F),−126.4(2F)。
【0106】
(例5−3)例5−2で得た共重合体のフッ素化例
例1−3において、例1−2で得た重合体を例5−2で得た重合体(2.9g)に変えること以外は例1−3と同様にフッ素化反応および後処理を行って、室温で固体の生成物(3.0g)を得た。
生成物を分析した結果、例5−2で得た共重合体中の水素原子の27モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成を確認した。また、GPCで測定した平均分子量は4000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.6〜4.4,5.0〜6.0,6.5〜7.0。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−81〜−83,−85〜−87,−120〜−127,−209〜−212。
【0107】
[例6]
(例6−1)CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8Fの製造例(その2)
撹拌機、温度計、蒸留塔を備えた2000mlの4口フラスコを準備した。ここにF(CF2)8CH2CH2OH(1492g、純度95.0%、2.7モル)、パラトルエンスルホン酸(68.4g)、アクリル酸(330g)、ヒドロキノン(2.64g)を入れた。充分に撹拌しながら反応器内温を90℃とし、ゆっくり減圧(26.6kPa(絶対圧))した。
【0108】
反応開始1時間後より、反応で生成した水を蒸留塔トップより10ml/時間の速度で留出させた。反応開始10時間後、反応転化率が99%となったところで反応を終了させた。反応器に水(700ml)を加え、50℃とし、過剰のアクリル酸とパラトルエンスルホン酸を除去した。蒸留によりCH2=CHCOOCH2CH2(CF2)8F(1100g、bp.87℃/1.6×133.322Pa(絶対圧))を得た。
【0109】
(例6−2)CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8Fの重合例(その2)
例6−1で得たF(CF2)8CH2CH2CH2OCOCH=CH2(18g)、R−225(42g)、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(0.18g)を100mlのガラス製アンプルに入れた。液体窒素で凍結することによる脱気操作を3回繰り返した後、60℃で15時間重合した。反応終了後の反応粗液のGCからは未反応の重合性モノマーは実質的に検出されず、全てのモノマーが反応したところで繰返し単位[−CH2−CH(COO(CH2)2(CF2)8F)−]からなる重合体の生成を確認した。得られた重合体の重量平均分子量は4.8万であった。
【0110】
(例6−3)例6−2で得た重合体のフッ素化例
例1−3において希釈フッ素ガスの流速5.27L/hを5.16L/hに変え、例1−2で得た重合体溶液を、例6−2で得た重合体(3.58g)をR−113(179g)に溶解した溶液に変えて3.25時間かけて注入すること以外は、例1−3と同様に反応を行い、生成物3.27gを得た。
生成物を分析した結果、例6−1で得た重合体中の水素原子の19.4モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成を確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.6〜3.5,4.0〜6.0,6.5〜7.0。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−73.0〜−87.0,−105.0〜−136.0,−210.0〜−215.0。
【0111】
[例7]
(例7−1)CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2の合成例
例1−1におけるF(CF2)4CH2OHをCF3CF2CH2OH(15.0g)に変え、アクリル酸をメタクリル酸に変えること以外は同様に反応、洗浄、およびろ過を行った。ろ液を減圧蒸留して、55℃/12kPa(絶対圧)の留分(23.5g)を得た。該留分のGC純度は99%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.97(3H),4.60(2H),5.7(1H),6.21(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−81.8(3F),−123.17(2F)。
【0112】
(例7−2)CF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2の重合例
例1−2におけるF(CF2)CH2CH2OCOCH3=CH2を例7−1で得たCF3CF2CH2OCOC(CH3)=CH2(12.9g)に変え、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルの量を0.25gに変え、R−225の量を28.6gに変えること以外は、例1−2と同様に反応、洗浄、および乾燥を行い、室温で固体のポリマー(10.8g)を得た。1H−NMR、19F−NMRの結果、該ポリマーは繰返し単位[−CH2−C(CH3)(COOCH2CF2CF3)−]からなる重合体であることを確認した。また、GPCで測定した平均分子量は19800であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):0.8〜1.5,1.8〜2.4,4.2〜4.6。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−83.9(3F),−125.5(2F)。
【0113】
(例7−3)例7−2で得た重合体のフッ素化例
例1−3と同様の反応装置を準備し、オートクレーブに窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、希釈フッ素ガスを、流速10.4L/hで1時間吹き込んだ。
【0114】
つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例7−2で得た重合体(7.9g)をR−113(161.4g)に溶解した溶液を7.5時間かけて注入した。その後、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113溶液を6mL注入した。さらに、20%希釈フッ素ガスを0.5時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
【0115】
反応終了後、粗液を回収し、溶媒を減圧乾燥(60℃、6.0時間)して留去して室温で粘調な液体状の生成物(10.3g)を得た。1H−NMR、19F−NMRの結果、生成物は例7−2で得た重合体中の水素原子の78モル%(平均値)がフッ素原子に置換された構造を有するフッ素化重合体であることが確認された。また、GPCで測定した平均分子量は1400であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):3.0〜4.0、4.0〜5.0、5.3〜6.7、6.7〜7.3。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):−56.5〜−59.0、−81.0〜−82.0、−82.0〜−82.5、−86.0〜−87.5、−106.0〜−115.0、−127.0〜−130.5、−147.5.0〜−148.5、−170.0〜−185.0。
【0116】
(例7−4)例7−3で得たフッ素化ポリマーのエステル結合分解例
例7−3で得たフッ素化重合体(8.3g)を充分に乾燥してKF粉末(0.4g)と共にフラスコに仕込み、激しく撹拌しながら120℃まで加熱し、4時間加熱した。冷却後、フラスコより回収したサンプルを濾過し、液状の生成物(5.6g)を回収した。生成物は、エステル結合が熱分解した化合物を主生成物とする2種以上の化合物の混合物であることをNMRにより確認した。また、例7−3で得たフッ素化重合体中に存在するエステル結合の69.7%が分解されて−COF基に変換されていることをNMRにより確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):3.0〜4.0、4.0〜5.0、5.3〜6.7、6.7〜7.3。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):48.5〜23.0、−56.5〜−59.0、−62.0〜−74.0、−81.0〜−82.0、−82.0〜−82.5、−86.0〜−87.5、−106.0〜−115.0、−127.0〜−130.5、−147.0〜−148.5、−170.0〜−185.0。
【0117】
(例7−5)例7−4で得た生成物のエステル化例
メタノール(5.8g)をフラスコに入れ、室温で激しく撹拌しながら、例7−4で得た生成物(5.1g)を0.5時間かけて滴下した。その後、60℃まで加熱し、4時間保持した。続いて、蒸留によってメタノールを留去してさらに減圧乾燥(100℃、24時間)して、液状の生成物(4.9g)を回収した。1H−NMR、19F−NMRの結果、例7−4で得た生成物中の−COF基の全てがエステル化されて、−COOCH3基に変換された化合物が生成していることを確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):3.0〜3.5,3.5〜4.0、4.0〜5.0、5.3〜6.7、6.7〜7.3。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):−58.5〜−68.0、−70.0〜−80.0、−81.0〜−82.0、−82.0〜−82.5、−86.0〜−87.5、−106.0〜−115.0、−127.0〜−130.5、−147.0〜−148.5、−170.0〜−185.0。
【0118】
[例8]
(例8−1)F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OHの合成例
上部に滴下漏斗を有し、あらかじめ内部を窒素置換した100mLのフラスコを準備した。該フラスコ中にNaBH4(19.9g)、ジオキサン(250.1g)を投入し、系内を室温に保ちながら1時間激しく撹拌した。撹拌を継続しながら、上部の滴下漏斗よりF(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF(172g)を内温が60℃を超えないように注意しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、1時間撹拌し、室温まで冷却して粗液を回収した。回収した粗液を、蒸留水(300g)にゆっくりと滴下し、二層分離して有機相を回収した。回収した有機相を5質量%のメタノール水溶液(300g)で洗浄し、二層分離した後、有機相を回収する操作を5回繰り返した。さらに有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧蒸留して、88.5℃/9.3kPa(絶対圧)の留分(141.8g)を得た。GC純度は95.9%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.13(1H),4.18(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−78.0(1F),−79.9(3F),−81.2(3F),−81.4(2F),−81.9(1F),−82.2(3F),−129.1(2F),−135.4(1F),−144.5(1F)。
【0119】
(例8−2)F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OCOCH=CH2の合成例
上部に滴下漏斗を有し、あらかじめ内部を充分に窒素置換した1Lのフラスコを準備した。該フラスコ中に、例8−1で得たF(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OH(88.3g)、塩化メチレン(340.8g)、ピリジン(13.7g)、およびヒドロキノン(0.12g)を投入し、激しく撹拌しながら水で冷やした。続いて撹拌を継続しながら、上部の滴下漏斗よりアクリル酸クロリド(19.1g)をゆっくり滴下した。滴下終了後、内温を40℃まで昇温し、3時間撹拌した。つぎに、蒸留水(150g)を滴下し、二層分離して有機相を回収した。回収した有機相を10質量%の重曹水(200g)で洗浄し、二層分離した後、有機相を回収した。さらに有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧蒸留して、45.5℃/0.3kPa(絶対圧)の留分(51.5g)を得た。GC純度は99%であった。留分のNMRスペクトルを測定し、主成分が標記化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.40MHz、溶媒CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.13(1H),4.18(1H),6.08(1H),6.18(1H),6.52(1H)。
19F−NMR(282.65MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−78.0(1F),−79.9(3F),−81.2(3F),−81.4(2F),−81.9(1F),−82.2(3F),−129.1(2F),−135.4(1F),−144.5(1F)。
【0120】
(例8−3)F(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OCOCH=CH2の重合例
あらかじめ内部を窒素置換した50mLの丸底フラスコを準備した。ここに例8−2で得たF(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OCOCH=CH2(36.0g)および重合開始剤としての2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(0.11g)をR−225(25.3g)に溶解させた溶液を投入した。液化窒素を用いて溶液を凍結させ、真空ポンプで脱気した後に溶解させる操作を3回行った。つぎに溶液を激しく撹拌しながらオイルバスを用いて60℃まで昇温し、重合反応を開始した。反応開始後、15時間保持した後、室温まで冷却して粗液を回収した。回収した粗液をメタノール(300g)に滴下して固形分を回収した。さらに、回収した固形分をR−225(100g)に溶解してヘキサン(500g)に滴下することによる洗浄操作を2回行った。その後、減圧乾燥(100℃、24時間)して、室温でエラストマー状の生成物(20.8g)を得た。
【0121】
1H−NMR、19F−NMRの結果、得られた固体は、繰返し単位[−CH2−CH(COOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3F)−]からなる重合体であることを確認した。該重合体の平均分子量をGPCで測定した結果、21000であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):1.3〜2.1,2.2〜2.6,4.4〜4.9。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−78.0(1F),−79.9(3F),−81.2(3F),−81.4(2F),−81.9(1F),−82.2(3F),−129.1(2F),−135.4(1F),−144.5(1F)。
【0122】
(例8−4)例8−3で得た重合体のフッ素化例
例1−3における例1−2で得た重合体(2.3g)をR−113(114g)に溶解した溶液を、例8−3で得た重合体(5.16g)をR−113(260g)に溶解した溶液に変更して、これを3.12時間かけて注入して同様にフッ素化反応を行った。
【0123】
反応終了後、粗液を回収し、減圧乾燥(80℃、10.0時間)によってR−113を留去し、室温で粘調な液体の生成物(5.3g)を得た。
【0124】
該生成物を分析した結果、例8−3で得た重合体中の水素原子の33モル%がフッ素原子に置換された重合体の生成が確認された。また、GPCで測定した平均分子量は8500であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):2.8〜3.7、3.8〜5.0、5.1〜6.6。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CDCl3、内部標準:C6F6)δ(ppm):−78.0〜−85.5、−95.0〜−109.0、−129.0〜−131.0、−134.0〜−136.0、−144.0〜−150.0、−165.0〜−205.0。
【0125】
[例9]ガラス基板表面被膜の評価
(例9−1)
例6−3で得た重合体をR−225に5質量%溶解させた溶液を調整した。該溶液中にガラス基板(1.5cm×7cm)を浸漬することにより、ガラス表面に溶液を均一に付着させた。さらにガラス基板を、90℃で1.5時間熱処理して、ガラス表面に被膜を形成させた。得られたガラス表面の接触角(単位:度)を、水およびヘキサデカンにおいて測定した(使用機器:協和界面化学SA−20型接触角計)。
【0126】
その結果、水における接触角は114.2度、ヘキサデカンにおける接触角は78.5度であった。また、同装置を使用して、ヘキサデカン(10μL)の転落角を測定したところ、7.3度であった。
【0127】
さらに、ガラス表面をスパチュラを用いて強く削ったが、表面の変化は認められず、摩擦耐久性に優れた被膜が形成されていることを確認した。
【0128】
(例9−2)
例7−5で得た生成物を用いて例9−1と同様にガラス表面に被膜を形成させた。ガラス表面の臨界表面張力をジスマンプロットにより算出したところ、19mN/mであった。この値は、ポリテトラフルオロエチレンの臨界表面張力(18mN/m)と比べて同等以上であった。
【0129】
【産業上の利用可能性】
本発明の製造方法によれば、種々の構造が容易に入手できる部分フッ素化重合体を用いて、多種類の構造の含フッ素重合体を得ることができる。本発明の製造方法は、補助溶媒等を使用することなく、経済的に有利な方法かつ工業的実施が可能な手法で、フッ素含有量が調節された含フッ素重合体を製造できる。
【0130】
また、本発明により製造された種々の構造を有する含フッ素重合体およびこれを誘導化した重合体はコーティング剤等の機能性材料として有用である。コーティング剤として使用した場合には、基材の表面に撥水撥油性能に優れた硬い被膜を形成しうる。
Claims (10)
- 部分フッ素化重合体の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換され、かつ、重合体側鎖にエステル結合を必須とする含フッ素重合体の製造方法であって、下記重合工程、および、該重合工程のあとで行われる下記フッ素化工程を含む含フッ素重合体の製造方法。
重合工程:フッ素原子と炭素原子に結合した水素原子とを有するモノマー(β)を重合させる工程、または、前記モノマー(β)と該モノマー(β)と共重合可能なコモノマー(j)とを共重合させる工程。
フッ素化工程:炭素原子に結合したフッ素原子と炭素原子に結合した水素原子とを有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を必須とする部分フッ素化重合体を、フッ素化反応の溶媒に溶解させた後に液相フッ素化することによって、該部分フッ素化重合体中の炭素原子に結合した水素原子の1つ以上をフッ素原子に置換する工程。 - 部分フッ素化重合体が、重合工程の生成物である請求項1に記載の製造方法。
- 重合工程の重合反応が、付加重合反応である請求項1または2の製造方法。
- モノマー(β)が(メタ)アクリロイルオキシ基と1価含フッ素有機基とを有するモノマーであり、部分フッ素化重合体が該モノマーの繰返し単位を必須とする重合体であり、含フッ素重合体が重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で連結した1価含フッ素有機基を有する重合体である請求項1、2または3に記載の製造方法。
- 部分フッ素化重合体の平均分子量が1000以上である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 部分フッ素化重合体のフッ素含有量が30〜70質量%であり、含フッ素重合体のフッ素含有量が35質量%以上であり、かつ、部分フッ素化重合体のフッ素含有量よりも多い量である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 部分フッ素化重合体のフッ素原子の全てを水素原子に置換した重合体が、フッ素化反応の溶媒に溶解しない重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 部分フッ素化重合体の炭素原子に結合した全水素原子の40モル%以上がフッ素原子に置換されるまでフッ素化工程を行う請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で含フッ素重合体を得て、次に該含フッ素重合体の重合体側鎖のエステル結合を分解して−COF基に変換することを特徴とする、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖に−COF基を有する重合体の製造方法。
- 請求項9に記載の製造方法で含フッ素重合体を得て、重合体側鎖の−COF基に、フッ素を含まない1価有機基と水酸基とを有するヒドロキシ化合物をエステル結合させることを特徴とする、重合体主鎖に炭素原子に結合したフッ素原子を有し、かつ、重合体側鎖にエステル結合で結合したフッ素を含まない1価有機基を有する重合体の製造方法。
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