JP4213791B2 - ブロー成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形品に関するものである。更に詳しくは、卓越した耐環境劣化性、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度を有し、触感(柔軟性)に優れたブロー成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より家電・OA機器部品、自動車部品、住宅・建材部品、医療用品、食品用品等として、中空容器、いわゆるブロー成形品が広く使用されている。しかしながら、柔らかいブロー成形品は、触感は柔らかく良好であるが、機械的強度が低く、一方、硬いブロー成形品は、触感(柔軟性)が不充分であり、問題となっている。このために上記特性に加えて、耐環境劣化性、耐摩耗性、及び耐久性を満足したブロー成形品の出現が待たれている。
【0003】
これらの問題に対して、特定のポリエチレン系の中空成形用組成物(特開平7−188477号公報)が開示されている。上記公報の材料は、架橋されていないために耐摩耗性または耐久性、特に圧縮永久歪み(C−Set)が劣り、産業界では実用的使用に耐えるブロー成形品が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち耐環境劣化性、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度を有し、触感(柔軟性)に優れたブロー成形品を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、触感(柔軟性)、耐環境劣化性、耐久性及び機械的強度に優れたブロー成形品を鋭意検討した結果、エチレンとα−オレフィンとからなるある特定の構造を有したオレフィン系エラストマーを必須成分として用いることにより、驚くべきことに、耐環境劣化性、触感(柔軟性)を保持しつつ、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度が飛躍的に向上する事を見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、(A)エチレンと炭素数6〜12のα−オレフィンからなる、メタロセン系触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体1〜99重量部と(B)プロピレン系樹脂1〜99重量部[(A)と(B)の合計量が100重量部]と(C)軟化剤5〜250重量部とからなり、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体中に占める炭素数6〜12のα−オレフィンの重量比率が30〜60重量%であり、(C)軟化剤の一部を少なくとも(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と予備ドライブレンドした後に押出機に投入し、(C)軟化剤の残りを押出機の途中で添加して得られた、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度が50%以上であり、かつ膨潤度が10〜35である部分的または完全に架橋された組成物からなるブロー成形品、とりわけ(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.80〜0.86であるブロー成形品を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
【0008】
本発明のブロー成形品は、(A)特定のエチレン・α−オレフィン共重合体と(B)プロピレン系樹脂からなる部分的または完全に架橋された組成物を成形したものである。
【0009】
ここで、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は特に触媒としてメタロセン系触媒、及びα−オレフィンとして炭素数が6〜12であることが重要であり、このような(A)エチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより卓越した触感(柔軟性)、耐環境劣化性、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度が発現することができる。
【0010】
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
【0011】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、炭素数が6〜12のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体である。
【0012】
炭素数6〜12のα−オレフィンとしては、例えば、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくはオクテン−1である。オクテン−1は少量でも柔軟化する効果に優れ、得られた共重合体は機械的強度に優れている。
【0013】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造する。一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数6〜12のα−オレフィンの分布が均一である。
【0014】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜60重量%、最も好ましくは30〜60重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下傾向にあり、一方、1重量%未満では、機械的強度が低下する傾向にある。
【0015】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cm3の範囲にあることが好ましく、更に0.80〜0.86g/cm3の範囲にあることが好ましい。
【0016】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエラストマーを得ることができる。長鎖分岐を有するオレフィン系エラストマーとしては、米国特許第5278272号明細書等に記載されている。
【0017】
また、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上にDSCの融点ピークを有することが望ましい。融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
【0018】
また、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100g/10分を越えると、熱可塑性エラストマー組成物の架橋性が不十分となる傾向があり、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪く、加工性が低下する傾向がある。
【0019】
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0020】
本発明において(B)プロピレン系樹脂は、例えばホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチックプロピレン系樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられ、複数の種類のものを混合して用いてもよい。
【0021】
また、(B)プロピレン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、組成物の耐熱性、接着強度等の機械的強度が低下傾向であり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下する傾向がある。
【0022】
本発明の組成物は、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体1〜99重量部と(B)プロピレン系樹脂1〜99重量部[(A)と(B)の合計量が100重量部]とからなる。好ましくは(A)エチレン・α−オレフィン共重合体10〜95重量部と(B)プロピレン系樹脂5〜90重量部、更に好ましくは(A)エチレン・α−オレフィン共重合体20〜80重量部と(B)プロピレン系樹脂20〜80重量部である。(B)プロピレン系樹脂が1重量部未満では組成物の流動性、加工性が低下し、99重量部を越えると組成物の柔軟性が不十分であり、望ましくない。
【0023】
本発明において、組成物に加工性の向上のために必要に応じて、(C)軟化剤を配合することができる。
【0024】
(C)軟化剤は、パラフィン系、ナフテン系などのプロセスオイルが好ましい。これらは組成物の硬度、柔軟性の調整用に5〜250重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔軟性、加工性が不足する傾向にあり、250重量部を越えるとオイルのブリードが顕著となる傾向がる。
【0025】
本発明において、組成物は、先に説明した特定のオレフィン系エラストマーである(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と(B)プロピレン系樹脂に対して、(C)軟化剤を特定の組成比で組み合わせることにより、機械的強度と柔軟性、加工性のバランスが改善され、好ましく用いることができる。
【0026】
本発明にて提供される組成物は、その組成物を有機過酸化物等のラジカル開始剤あるいはラジカル開始剤および架橋助剤により部分的または完全に架橋させることが必要である。これにより、更に耐摩耗性や機械的強度、耐熱性等を向上させることが可能となる。
【0027】
ここで、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は架橋度が50%以上であることが重要であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上、極めて好ましくは90%以上である。架橋度が50%未満の場合、引張強度、圧縮永久歪み(C−set)等の機械的強度が低下する。
【0028】
また、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は膨潤度が5〜40であることが必須であり、好ましくは10〜35であり、より好ましくは10〜30、最も好ましくは10〜25、極めて好ましくは10〜20である。膨潤度は架橋密度の尺度であり、従来のオレフィン系エラストマーは、膨潤度は5未満または40を越えていたが、本発明者は膨潤度が5〜40の間にある場合のみ、卓越した機械特性を有するブロー成形品が得られることを見出した。
【0029】
ここで、好ましく使用されるラジカル開始剤の具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類を挙げることができる。
【0030】
また、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類を挙げることができる。
【0031】
また、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0032】
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
【0033】
これらのラジカル開始剤は、組成物100重量部に対し0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部の量で用いられる。0.02重量部未満では架橋が不十分である傾向があり、3重量部を越えても組成物の物性は向上しない傾向がある。
【0034】
更に、架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。これらの架橋助剤は複数のものを併用して用いてもよい。
【0035】
これらの架橋助剤は、組成物100重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部の量で用いられる。0.1重量部未満では架橋が不十分である傾向があり、5重量部を越えても組成物の物性は向上せず過剰の架橋助剤が残存する傾向がある。
【0036】
また、本発明の組成物には、その特徴を損ねない程度に他の樹脂、エラストマーを添加しても良い。
【0037】
また、本発明の組成物には、その特徴を損ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有することが可能である。
【0038】
ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。
【0039】
また、その他の添加剤、例えば、難燃剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0040】
本発明における組成物は、具体例として、次のような加工工程を経由して製造することができる。
【0041】
すなわち、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と(B)プロピレン系樹脂とをよく混合し、押出機のホッパーに投入する。ラジカル開始剤、架橋助剤は、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と(B)プロピレン系樹脂とともに当初から添加してもよいし、押出機の途中から添加してもよい。またオイルは当初と途中とに分けて添加する。(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と(B)プロピレン系樹脂は一部を押出機の途中から添加してもよい。押出機内で加熱溶融し混練される際に、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体とラジカル開始剤および架橋助剤とが架橋反応し、さらにオイル等を添加して溶融混練することにより架橋反応と混練分散とを充分させたのち押出機から取り出す。ペレタイズして本発明の組成物のペレットを得ることができる。
【0042】
ここで、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度、膨潤度の制御は、ラジカル開始剤、架橋助剤の種類、添加量、反応温度、反応方式により行われる。ラジカル開始剤、架橋助剤の過度の添加は架橋度は増大するが、膨潤度が低下し、これらの要件を満足しない。または、過度に高活性なラジカル開始剤、架橋助剤、または高温反応条件は、同様に架橋度は増大するが、膨潤度が低下し、これらの要件を満足しない。そして、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体に前もって少量の(C)軟化剤を吸収させながら、ラジカル開始剤、架橋助剤を(A)エチレン・α−オレフィン共重合体に配合する事により、架橋反応が穏和に進行するために、膨潤度の低下を抑制しつつ、架橋度を増大することができる。
【0043】
本発明のブロー成形品の製造方法は、公知の方法を使用することができる。例えば、組成物をダイレクトブロー成形する事により、あるいは射出延伸ブロー成形することによりブロー成形品を製造することができる。
【0044】
また、成形に際しては、射出成形、押出成形、2色成形、インサート成形など、複数の素材を組み合わせて製造することも可能である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
【0046】
(1)架橋度、膨潤度
組成物0.5gを、オルトジクロロベンゼン200ml中で20時間リフラックスさせ、溶液をフィルターで濾過し、膨潤組成物の重量(W1)を測定する。次いで、上記膨潤組成物を100℃で真空乾燥し溶剤を除去した後、再度重量(W2)を測定する。架橋度、膨潤度は以下の式にて算出される。即ち、組成物0.5g中の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の重量をW0とすると、架橋度(%)=100×W2/W0、膨潤度=W 1 /W 2 となる。
【0047】
(2)耐環境劣化性
成形品をギヤオーブン中で120℃、100時間の条件で加熱し、色調変化を観察し、耐環境劣化性を評価した。
【0048】
(3)引張破断強度[kgf/cm2]
成形品を圧縮成形してシートを作製し、JIS・K6251に準じ、23℃にて評価した。
【0049】
(4)引張破断伸度[%]
成形品を圧縮成形してシートを作製し、JIS・K6251に準じ、23℃にて評価した。
【0050】
(5)圧縮永久歪み(C−Set)[%]
成形品を圧縮成形してシートを作製し、JIS・K6301に準じ、70℃×22時間にて、耐久性の指標として評価した。数値が小さいほど耐久性に優れる。
【0051】
(6)耐摩耗性
成形品を圧縮成形してシートを作製し、シートの上にフェルト布を下面に貼り付けた5cm×5cm×2mmのステンレス板を置き、100g/cm2の荷重がかかるように重しを載せ、30往復/分の速度で10000回往復運動をさせ、表面状態を観察した。
【0052】
(7)密度
ASTM D792に準じ、23℃にて評価した。
【0053】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
【0054】
(イ)エチレン・α−オレフィン共重合体
a)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)であり、密度は0.863である(TPE−1と称する)。
【0055】
b)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−2)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)である(TPE−2と称する)。
【0056】
c)エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体(TPE−3)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンの組成比は、72/24/4(重量比)である(TPE−3と称する)。
【0057】
d)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−4)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、60/40(重量比)であり、密度は0.857である(TPE−4と称する)。
【0058】
(ロ)プロピレン系樹脂
日本ポリケム(株)製、アイソタクチックポリプロピレン(PPと称する)。
【0059】
(ハ)パラフィン系オイル
出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−380(MOと称する)。
【0060】
(ニ)ラジカル開始剤
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B)(POXと称する)。
【0061】
(ホ)架橋助剤
和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称する)。
【0062】
(比較例1)
押出機として、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用いた。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。
【0063】
TPE−1/PP/POX/DVB/MO=65/35/0.5/1.0/45(重量部)からなる組成物において、まずTPE−1の65重量部とMO15重量部、POXの0.5重量部、DVBの1.0重量部を予備ドライブレンドした後に、残りのMO以外の成分と上記ブレンド物とを混合した。次いで、上記混合物を2軸押出機(シリンダー温度220℃)に導入し、引き続き、押出機の中央部にある注入口より残りのMOの30重量部をポンプにより注入し、溶融押出を行ない、ペレタイザーでペレット化した。このようにして得られたペレットを、ダイレクトブロー成形機を用いて、直径10cm、20cm、肉厚5mmの中空容器(ブロー成形品)を作製した(押出温度220℃)。
【0064】
得られたブロー成形品は、感触(柔軟性)に優れ、ギヤオーブン中で120℃、100時間でも初期の白色に対して色調変化はなく、卓越した耐環境劣化性を有している。
【0065】
また、ブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートは、架橋度75%、膨潤度15であるために、卓越した耐摩耗性、耐久性及び機械的強度を有している。
【0066】
引張破断強度:100[kgf/cm2]
引張破断伸度:450[%]
圧縮永久歪み(C−Set):37[%]
耐摩耗性:傷がほとんど目立たない。
【0067】
(比較例2)
比較例1において、組成比は同一であるが、予備ブレンドなしに、MO以外の成分をまず2軸押出機に導入し、引き続き、押出機の中央部にある注入口よりMO全量をポンプにより注入し、溶融押出を行ない、比較例1と同一の実験を繰り返した。
【0068】
得られたブロー成形品は、感触(柔軟性)に優れ、ギヤオーブン中で120℃、100時間でも初期の白色に対して色調変化はなく、優れた耐環境劣化性を有しているが、ブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートは、架橋度75%、膨潤度3であるために、比較例1に比較すると耐摩耗性、耐久性及び機械的強度が劣っている。
【0069】
引張破断強度:70[kgf/cm2]
引張破断伸度:350[%]
圧縮永久歪み(C−Set):40[%]
耐摩耗性:傷がほとんど目立たない。
【0070】
(比較例3)
比較例1においてTPE−1をTPE−2に変更する以外、同一の実験を繰り返した。
【0071】
得られたブロー成形品は、ギヤオーブン中で120℃、100時間でも初期の白色に対して色調変化はなく、耐環境劣化性に優れているが、ブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートについては、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度が劣る。
【0072】
引張破断強度:69[kgf/cm2]
引張破断伸度:370[%]
圧縮永久歪み(C−Set):50[%]
耐摩耗性:傷が目立つ。
【0073】
(比較例4)
比較例1においてTPE−1をTPE−3に変更する以外、同一の実験を繰り返した。
【0074】
得られたブロー成形品は、ギヤオーブン中で120℃、100時間において初期の白色が黄色に変色した。また、ブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートについては、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度が劣る。
【0075】
引張破断強度:59[kgf/cm2]
引張破断伸度:290[%]
圧縮永久歪み(C−Set):58[%]
耐摩耗性:傷がかなり目立つ。
【0076】
(実施例1)
比較例1においてTPE−1をTPE−4に変更する以外、同一の実験を繰り返した。
【0077】
得られたブロー成形品は、ギヤオーブン中で120℃、100時間でも初期の白色に対して色調変化はなく、耐環境劣化性に優れている。また、ブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートは、架橋度85%、膨潤度16であるために、比較例1に比較すると耐摩耗性、耐久性が極めて優れている。
【0078】
引張破断強度:90[kgf/cm2]
引張破断伸度:650[%]
圧縮永久歪み(C−Set):21[%]
耐摩耗性:傷がほとんど目立たない。
【0079】
(比較例5〜10)
比較例1または比較例2において、予備ブレンドの有無、POX、DVBの量比を変更して、架橋度、膨潤度を制御する事以外は、比較例1または比較例2と同様の実験を繰り返した。得られたブロー成形品を圧縮成形して得られた2mmのシートの評価結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】
本発明のブロー成形品は、卓越した耐環境劣化性、耐摩耗性、耐久性及び機械的強度を有し、触感(柔軟性)に優れているために、家電・OA機器部品、自動車部品、住宅・建材部品、医療用品、食品用品等の中空容器等として、多岐の分野に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
Claims (2)
- (A)エチレンと炭素数6〜12のα−オレフィンからなる、メタロセン系触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体1〜99重量部と(B)プロピレン系樹脂1〜99重量部[(A)と(B)の合計量が100重量部]と(C)軟化剤5〜250重量部とからなり、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体中に占める炭素数6〜12のα−オレフィンの重量比率が30〜60重量%であり、(C)軟化剤の一部を少なくとも(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と予備ドライブレンドした後に押出機に投入し、(C)軟化剤の残りを押出機の途中で添加して得られた、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度が50%以上であり、かつ膨潤度が10〜35である部分的または完全に架橋された組成物からなるブロー成形品。
- (A)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.80〜0.86である請求項1記載のブロー成形品。
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