JP4213634B2 - 通信機能を備えた携帯情報端末 - Google Patents

Description

本発明は、通信機能を備えた携帯情報端末に関し、さらに詳しくは、導電性筐体と内蔵アンテナとを備えた携帯情報端末に関する。

最近のノート型パーソナルコンピュータには、無線ローカルエリアネットワーク（ＷＬＡＮ；Wireless Local Area Network）やブルートゥース（Bluetooth）(登録商標)用の内蔵アンテナを備えたものがある。アンテナには高周波の送受信に適した板状の逆Ｆ（Inverted F）アンテナ（「Ｆ型アンテナ」と呼ばれる場合もある）が用いられ、リアカバーの上部やリアカバーの両サイド上方等に埋め込まれる。

内部で発生した電磁波が外部に漏れないように、最近のリアカバーには導電性材料が用いられることが多い。そのため、逆Ｆアンテナだけは外部に電波を送信したり、外部から電波を受信したりできるように、逆Ｆアンテナを埋め込むリアカバーの位置に孔を明け、その孔を樹脂製のキャップで覆うようにしている。

アンテナにはグランドが必要であるが、このような従来の構造ではグランドの面積を大きく取ることができない。その結果、従来のアンテナは周囲にある導電体の影響を受けやすく、送受信が安定しないという問題があった。

特開平８−７８９３１号公報（特許文献１）は、ＷＬＡＮ用のスロットアンテナを備えたノート型パーソナルコンピュータを開示している。このアンテナはリアカバーの内面に取り付けられている。したがって、リアカバーは電波を遮断しないように誘電体で形成されている。

なお、特開２００３−２８３２３２号公報（特許文献２）はスロットを備えた板状アンテナを開示し、特開平８−２５６００９号公報（特許文献３）及び特開平１１−３５５０３３号公報（特許文献４）は複数のアンテナ素子を備えたアンテナを開示している。
特開平８−７８９３１号公報 特開２００３−２８３２３２号公報 特開平８−２５６００９号公報 特開平１１−３５５０３３号公報

本発明の目的は、筐体が導電性を有していても安定した送受信が可能なアンテナを内蔵した携帯情報端末を提供することである。

課題を解決するための手段及び発明の効果

本発明による通信機能を備えた携帯情報端末は、導電性筐体と、ディスプレイと、板状アンテナとを備える。ディスプレイは、筐体の内側に取り付けられる。板状アンテナは、筐体の外側に取り付けられる。ここでいう携帯情報端末には、ノート型パーソナルコンピュータ、ＰＤＡ（Personal Digital Assistance）、携帯電話機（ＰＨＳ（Personal Handyphone System）を含む）などがある。ノート型パーソナルコンピュータの場合、ここでいう筐体は、ノート型パーソナルコンピュータ本体に開閉自在に取り付けられたリアカバーに相当する。

この携帯情報端末では、内部で発生した電磁波を遮蔽するために導電性筐体が採用されているにもかかわらず、板状アンテナが筐体の外側に取付られているため、筐体の内側に取り付けられたディスプレイの影響を受けにくく、安定した送受信を行うことができる。

好ましくは、筐体は、その外側の所定領域に渡って形成された凹所を有する。板状アンテナは凹所内に取り付けられる。携帯情報端末はさらに、誘電性化粧板を備える。化粧板は、板状アンテナを覆うように取り付けられる。

この場合、板状アンテナは筐体の凹所内に取り付けられ、さらに化粧板で覆われるため、筐体と一体的に形成され、外観構成を簡素化することができる。しかも化粧板は誘電性を有するため、板状アンテナで送受信される電波が化粧板で遮蔽されることはない。

さらに好ましくは、板状アンテナは共振体を有する。筐体は、板状アンテナの共振体に対応する位置に形成された貫通孔を有する。携帯情報端末はさらに、板状アンテナに接続され、かつ貫通孔を通るケーブルを備える。

この場合、板状アンテナの共振体に対応する位置に貫通孔が形成されているため、共振体の振動は妨げられない。しかも、板状アンテナに接続されたケーブルがその貫通孔を通っているため、配線構造を簡素化することができる。

好ましくは、板状アンテナは筐体と電気的に接触している。

この場合、板状アンテナはより大きなグランドを有することになり、より安定した送受信を行うことができる。

さらに好ましくは、筐体は炭素繊維強化樹脂で成形される。板状アンテナは筐体表面から露出した炭素繊維と接触している。

この場合、板状アンテナと筐体との間の電気的接触を確実に取ることができる。

以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

図１を参照して、ノート型パーソナルコンピュータ１０は、その本体（以下「ＰＣ本体」という）１２と、ＰＣ本体１２にヒンジ１４により開閉自在に取り付けられたリアカバー１６と、リアカバー１６の内側に取り付けられた液晶ディスプレイ（ＬＣＤ；Liquid Crystal Display）１８とを備える。

ＰＣ本体１２の上面には、キーボード２０等が配置されている。ＰＣ本体１２の内部には、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、メモリ等が実装されたプリント配線板、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、ＣＤ−ＲＯＭ（Compact Disk-Read Only Memory）ドライブ等が収納されている。

リアカバー１６は、ＰＣ本体１２やＬＣＤ１８で発生した電磁波が外部に漏れないように、導電性を有する炭素繊維強化樹脂（ＣＦＲＰ；Carbon-Fiber Reinforced Plastics）で形成される。

図２を参照して、リアカバー１６の内側にはヒンジ２２等の金具によりＬＣＤ１８が装着される。一方、リアカバー１６の外側には所定領域に渡って長方形の凹所２４が形成される。所定領域はリアカバー１６主表面の大部分を占め、具体的には半分以上、好ましくは８０％以上を占める。

リアカバー１６の凹所２４内には、それよりも一回りサイズの小さい板状アンテナ２６がＬＣＤ１８とほぼ平行に装着される。板状アンテナ２６は、銅、ニッケル、銀−ニッケル合金、りん青銅等の金属、又はこれらのメッキで形成される。

板状アンテナ２６は、その長辺に２つのＷＬＡＮ用逆Ｆアンテナ２８，３０を有し、その短辺にブルートゥース用逆Ｆアンテナ３２を有する。逆Ｆアンテナ２８，３０，３２の各々は、グランド部３４から鉤型に延びる共振体３６，３８，４０を有し、共振体３６，３８，４０とグランド部３４との間に切り欠き４２，４４，４６を形成している。３つの逆Ｆアンテナ２８，３０，３２に共通のグランド部３４は、各共振体３６，３８，４０に比べて十分な大きさを有する。

この板状アンテナ２６はＷＬＡＮ用逆Ｆアンテナ２８，３０とブルートゥース用逆Ｆアンテナ３２とを有しているため、このノート型パーソナルコンピュータ１０はいずれの方式でも送受信が可能である。しかも、板状アンテナ２６は２つのＷＬＡＮ用逆Ｆアンテナ２８，３０を有しているため、ダイバシティ方式を実現することができる。

図３を参照して、板状アンテナ２６はリアカバー１６と面で電気的に接触している。具体的には図３に誇張されて示されるように、ＣＦＲＰの充填材（filler）である炭素繊維４８がリアカバー１６表面から露出し、板状アンテナ２６と多数の箇所で接触している。このような電気的接触を実現するためには、たとえばリアカバー１６をＣＦＲＰで形成する際にインサート成形により板状アンテナ２６を挿入して一体的にモールドしたり、あるいは圧縮成形により加熱溶融したＣＦＲＰを板状アンテナ２６と一緒に硬化させればよい。

再び図２を参照して、リアカバー１６の凹所２４内においては、逆Ｆアンテナ２８，３０，３２に対応する位置に、共振体３６，３８，４０の振動を妨げないように、長方形の貫通孔５０，５２，５４がそれぞれ形成される。

図４を参照して、逆Ｆアンテナ２８の共振体３６及びグランド部３４にはハンダ付けにより同軸ケーブル５６が接続される。同軸ケーブル５６は、図２に示すように貫通孔５０を通ってＰＣ本体１２内の送受信回路（図示せず）に接続される。逆Ｆアンテナ３０，３２にも同様に同軸ケーブル５８，６０が接続され、それぞれ貫通孔５２，５４を通ってＰＣ本体１２内の送受信回路に接続される。

このように、共振体３６，３８，４０の振動を妨げないために設けられた貫通孔５０，５２，５４に同軸ケーブル５６，５８，６０を通しているため、配線構造を簡素化することができる。

最後に、板状アンテナ２６を覆うように粘着性の化粧板６２がリアカバー１６の凹所２４に嵌め込まれ、貼り付けられる。化粧板６２は凹所２４とほぼ同じサイズの長方形をなし、樹脂等の誘電体で成形されている。したがって、板状アンテナ２６はリアカバー１６と一体的に形成され、外観構成が簡素化され、しかも板状アンテナ２６で送受信される電波が化粧板６２で遮蔽されることはない。

以上のように本発明の実施の形態によれば、ＰＣ本体１２やＬＣＤ１８で発生した電磁波を遮蔽するためにリアカバー１６が導電性を有するＣＦＲＰで成形されているにもかかわらず、板状アンテナ２６がリアカバー１６の外側に取付られているため、外部と確実に送受信を行うことができる。また、板状アンテナ２６は十分に大きなグランド部３４を有し、さらに導電性リアカバー１６と電気的に接触しているため、ＬＣＤ１８やヒンジ２２等の影響を受けにくく、非常に安定した送受信を行うことができる。さらに、リアカバー１６の外側に板状アンテナ２６を取り付けるようにしているため、どのような形態のノート型パーソナルコンピュータでも共通に設計することができる。

上記実施の形態ではリアカバー１６はＣＦＲＰで形成されているが、これに代えてアルミニウム、スチール等の導電性材料で形成されていてもよい。また、凹所２４、板状アンテナ２６又は化粧板６２の形状は長方形である必要はなく、たとえば正方形、円形、楕円形、台形、平行四辺形などでもよく、その形状は何ら限定されない。また、逆Ｆアンテナ２８，３０，３２に代えて、細長い矩形の孔を持ったスロットアンテナを用いてもよく、板状アンテナの種類は何ら限定されない。さらに、ＬＣＤ１８に代えてプラズマディスプレイ等のディスプレイを用いてもよい。

その他、本発明はノート型パーソナルコンピュータだけでなく、ＰＤＡ、携帯電話機などにも適用可能である。ＬＣＤが本体と一体的に構成されているＰＤＡや携帯電話機の場合、本体及びＬＣＤを収容する導電性筐体の外側に板状アンテナを取り付ければよい。また、ＬＣＤが本体と開閉自在に取り付けられているＰＤＡや携帯電話機の場合、ＬＣＤを収容する導電性リアカバー（筐体）の外側に板状アンテナを取り付ければよい。

以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

本発明の実施の形態によるノート型パーソナルコンピュータの外観構成を示す斜視図である。 図１に示したノート型パーソナルコンピュータにおけるリアカバーの構成を示す分解斜視図である。 図２に示したリアカバー及び板状アンテナの一部断面図である。 図２に示した板状アンテナに同軸ケーブルを取り付ける構造を示す斜視図である。

符号の説明

１０ ノート型パーソナルコンピュータ
１２ ＰＣ本体
１６ リアカバー
２２ ヒンジ
２４ 凹所
２６ 板状アンテナ
２８，３０，３２ 逆Ｆアンテナ
３４ グランド部
３６，３８，４０ 共振体
４２，４４，４６ 切り欠き
５０，５２，５４ 貫通孔
５６，５８，６０ 同軸ケーブル
６２ 化粧板

Claims (4)

1. 通信機能を備えた携帯情報端末であって、
   外側の所定領域に渡って形成された凹所を備える導電性筐体と、
   前記導電性筐体の内側に取り付けられたディスプレイと、
   前記凹所に取り付けられた板状アンテナと、
   前記板状アンテナを覆うように取り付けられた誘電性化粧板と
   を備えたことを特徴とする携帯情報端末。
2. 前記板状アンテナは共振体を有し、
   前記導電性筐体は、前記板状アンテナの共振体に対応する位置に形成された貫通孔を有し、
   前記携帯情報端末はさらに、
   前記板状アンテナに接続され、かつ前記貫通孔を通るケーブルを備えたことを特徴とする請求項１に記載の携帯情報端末。
3. 前記板状アンテナは前記導電性筐体と電気的に接触していることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の携帯情報端末。
4. 前記導電性筐体は炭素繊維強化樹脂で成形され、
   前記板状アンテナは前記導電性筐体の表面から露出した炭素繊維と接触していることを特徴とする請求項３に記載の携帯情報端末。

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