JP4212813B2 - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィンの異性化反応又はアルコール類の酸化反応に有用な担体とアルカリ金属水酸化物からなる触媒とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリカ、アルミナなどの耐熱性無機物と活性炭素とを緊密化し、強度及び活性に優れる触媒とした酸化触媒の製造方法が知られている(特開昭49−123490号公報)。この触媒は、好ましくは平均粒子径1000Å〜1.0mmの耐熱性無機物質粒子と、好ましくは100Å〜1.0mmの炭素粉末を500℃〜1000℃の温度で不活性ガスの気流下で炭化処理して得られるものであり、排煙脱硫のための二酸化硫黄の酸化、フェノール類の酸化、水溶液中でのFe2+の酸化、アルコール類の酸化脱水素用に使用されることが記載されている。
【0003】
しかしながら、さらに活性を増大させたり、例えば、オレフィンの異性化反応など他の用途への拡張を図るために、上記公報に開示された情報をもとに金属水酸化物を添加しても、思った程の効果は発現しない。一方、担体と無機物とを混合して複合化する方法として、担体に金属水酸化物の水溶液などを加え、その後溶媒を蒸発乾固する方法が知られているが(触媒学会編「触媒講座別巻触媒実験ハンドブック」(1986)11巻 p.15参照)、この方法を応用して複合体を調製すると、複合体は使用した金属水酸化物の性状を示す。したがって、複合体は水分の影響を受けやすいため保存安定性が著しく悪く、調製が煩雑でもある。また、期待した程の触媒活性は得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、担体とアルカリ金属水酸化物からなる触媒と、製造が容易なその製造方法を提供すること、及び該触媒を用いた触媒反応を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討し、本発明に至った。すなわち、本発明は、平均粒径が0.1mm以下の粉末状の炭素質材料である担体と、平均粒径が1mm以下の粉末状のアルカリ金属水酸化物の混合物を加熱乾燥して得た触媒であって、該担体が、石炭、石油、合成ピッチの不融化物もしくは不融化後の熱処理物、又は活性炭からなる炭素質材料で、該加熱温度が80℃以上400℃未満であるオレフィンの異性化反応用又はアルコール類の酸化反応用の触媒である。また、本発明のもう一つの発明は、平均粒径が0.1mm以下の粉末状の炭素質材料である担体と平均粒径が1mm以下の粉末状のアルカリ金属水酸化物を混合し、ガス気流下又は減圧下で加熱乾燥させる触媒の製造方法であって、該担体が、石炭、石油、合成ピッチの不融化物もしくは不融化後の熱処理物、又は活性炭からなる炭素質材料で、該加熱温度が80℃以上400℃未満であるオレフィンの異性化反応用又はアルコール類の酸化反応用の触媒の製造方法である。
【0006】
オレフィンの異性化触媒としては、従来、p−トルエンスルホン酸と酢酸の混合物が知られているが(例えば、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.,) 、82 (1960)(米)p.1750参照)、この触媒を使用してオレフィンを異性化すると、オレフィンのオリゴメリゼーションは避け難く、収率が低い。また、オレフィンの異性化触媒として、エチレンジアミンとエチレンジアミンカリウムアミドの混合物など塩基触媒を使用することも知られているが(例えば、オーガニック シンセシス、65(1986)(米) p.224参照)、この方法では、刺激性が高いジアミンを使用するため、危険性が高いなどの問題がある。
【0007】
一方、カルボニル化合物を水素受容体として用いるアルコール類の酸化触媒としては、A.アセトンを水素受容体にトリ−t−ブトキシアルミニウムを触媒に使用する方法(例えば、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティ(J.Chem.Soc.,)44(1938)(米)p.175参照)、B.ベンゾフェノンを水素受容体にt−ブトキシカリウムを触媒に使用する方法(例えば、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.,)104(1982)(米) p.1054参照)、C.ベンゾフェノンを水素受容体に水素化カリウムを触媒に使用する方法(例えば、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.,)104(1982)(米) p.1054参照)、D.ベンズアルデヒドを水素受容体にジシクロペンタジエンジルコニウムジヒドリドを触媒に用いる方法(ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー 51 (1986)(米)p.240参照)が知られているが、A〜Dの触媒は何れも水分の管理が難しく、触媒の保存が難しい。また、Cのような水素化金属では溶媒中の水分によって発火の可能性があり危険性が高い。さらに、Aの方法では、反応終了時に水を添加すると水酸化アルミニウムゲルが生成し、反応の後処理が非常に困難になる問題がある。さらに、Dの触媒は非常に高価である。
【0008】
しかしながら、本発明の触媒によれば、オレフィンの異性化反応において、上述したようなオリゴメリゼーションを避けることができるので、収率が高く、安全性の点でも優れており、一方、アルコール類の酸化反応においても、上述したような触媒の保存、安全性、反応の後処理などの問題もない。以下、本発明において、触媒を複合体ということがある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる担体としては、炭素質材料であって多孔質体が好ましく使用される。炭素質材料としては、加熱することにより炭化するもので、石炭、石油、合成ピッチの不融化物もしくは不融化後の熱処理物、又は活性炭を使用することができる。これらは、多孔質体が好ましく使用される。特に活性炭を使用した場合、さらに処理して比表面積を大きくすることにより、脱臭剤、浄水剤、吸着剤など用途を広げることができる。
【0010】
本発明に使用するアルカリ金属水酸化物としては、一般に市販されているアルカリ金属水酸化物を使用することができる。このようなアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウムなどを挙げることができるが、操作性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用するのが好ましい。
【0011】
本発明において、担体とアルカリ金属水酸化物は混合され、加熱乾燥されて複合体が形成されるが、混合前の担体の平均粒径は、0.1mm以下とするのが親和性の点で好ましく、アルカリ金属水酸化物の平均粒径は1mm以下とするのが同様の理由で好ましい。また、アルカリ金属水酸化物は、担体と混合する前に予め溶融させて使用しても良い。担体とアルカリ金属水酸化物との混合割合は、担体の性質によっても異なるが、担体100重量部に対して1重量部〜1000重量部、操作性の観点からは、10重量部〜500重量部、より好ましくは50重量部〜400重量部の範囲で混合するのが望ましい。
【0012】
本発明の複合体は、好ましくは次のようにして製造される。先ず、粉末状の担体と粉末状のアルカリ金属水酸化物を混合し、ガス気流下又は減圧下で加熱する。このように、担体とアルカリ金属水酸化物を粉末として微細化しておくことにより、低温で容易に湿潤化する。かかる湿潤化はガス気流下又は減圧下で行われるので同時に乾燥も行われる。ガスとしては、空気又は不活性ガスを使用するのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが使用される。空気と不活性ガスを混合して使用してもよい。
【0013】
本発明の複合体としては、X線測定によるX線回折強度曲線において、金属水酸化物結晶に由来するピークが存在しないものが触媒活性が高くなり、好ましい。また、よく乾燥させて、水に由来するバックグラウンドピークが存在しないものが機械的強度が高くなり、好ましい。複合体のX線回折強度曲線は、株式会社理学電機製回転対陰極型X線回折装置RINT2400を使用し、40kV100mA、CuKα線(λ=1.5405Å)、スリット幅1/2deg、1/2deg、0.15mm、走査速度1deg/分において対称反射法の測定条件でX線測定を行い、次いで、サンプルを置かない状態で同様の測定を行い、空気の散乱強度を求め、先の測定値から空気の散乱強度を差し引くことによって求めることができる。
【0014】
本発明において、金属水酸化物結晶に由来するピークが存在しないとは、上記条件で複合体のX線強度曲線を測定した場合、ピークデータ中に金属水酸化物結晶に由来するピークが検出されないことを意味し、また、水に由来するバックグラウンドピークが存在しないとは、上記条件で複合体のX線強度曲線を測定した場合、ベースラインが顕著に変動しないことを意味する。
【0015】
図1及び図2は、金属水酸化物(KOH)結晶に由来するピークが存在せず、水に由来するバックグラウンドピークも存在しない複合体のX線強度曲線を示した例である。図1及び図2において、最上段のチャートは複合体のX線強度を実測した曲線であり、2段目のチャートは、これをピークデータで表したものである。また、3段目のチャートは、KOHが本来有しているピークデータである。したがって、図1又は図2における複合体のピークデータとKOHが本来有しているピークデータを比較し、KOHに由来するピークと合致するピークが複合体のピークデータ中に存在しなければ、複合体にKOHに由来するピークが存在しないと判定することができる。
【0016】
図3及び図4は、X線強度曲線のベースラインが緩やかに変動しており、このことは、水に由来するバックグラウンドピークが複合体に存在していることを示している。なお、図3及び図4は、カードピークデータとKOHに由来するピークデータを比較して明らかなように、KOHに由来するピークが存在する例である。
【0017】
本発明の複合体は、後述する実施例から明らかなように、各種触媒反応に優れた活性を示す。この理由を必ずしも明確に説明することはできないが、X線回折強度曲線を測定した結果、金属水酸化物結晶に由来するピーク及び水のバックグラウンドピークが存在しない複合体を使用する方が触媒活性が優れていることから、担体と金属水酸化物を粉末化することによって溶融温度を低下させることができ、その結果、金属水酸化物が別の形態に変化、且つ担体表面に均一に分散することで、高い触媒活性を発現していることが推察される。
【0018】
本発明において混合物を加熱する温度は、あまり低い温度では触媒活性の発現がそれ程大きくないので、80℃以上で実施するのが好ましい。また、200℃以上で実施すると、本発明の複合体をオレフィンの異性化触媒として使用した場合、触媒活性が低下することがある。一方、本発明の複合体をアルコール類の酸化反応の触媒として使用する場合は200℃を越えてもよいが、400℃を越えると、この場合も触媒活性が低下する傾向がある。
【0019】
本発明の複合体の製造方法は、粉末状の担体と、粉末状のアルカリ金属水酸化物の混合物を加熱すると同時に乾燥を行うことを特徴とする。乾燥は窒素、アルゴンなどの不活性気体や空気の存在下に行われる。その際の気流の速度としては、担体とアルカリ金属水酸化物の混合物100重量部に対して、1mL/分〜100L/分(mL:ミリリットル、L:リットル)の範囲で実施するのが好ましく、乾燥の効果、経済性を考慮すると、100mL/分〜50L/分、より好ましくは、500mL/分〜20L/分の範囲で実施するのが好ましい。
【0020】
気流中にはある程度の水分を含んでいてもよいが、水分量としては、21℃における相対湿度60%以下が好ましく、乾燥の効率を考慮して50%以下がより好ましい。前述したように、本発明では、ガス気流下だけでなく減圧下での乾燥も可能であり、減圧下の圧力としては、通常70kPa以下であるが、乾燥の効率を考慮して、40kPa以下で実施するのがより好ましい。更に、本発明では、気流下による乾燥と減圧下による乾燥を組合わせて実施することも可能である。
【0021】
本発明の複合体は、オレフィンの異性化触媒として効果的に機能する。このようなオレフィンとしては、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、1−ペンテン、E−2−ペンテン、Z−2−ペンテン、1−ヘキセン、E−2−ヘキセン、Z−2−ヘキセン、1−オクテン、E−2−オクテン、Z−2−オクテン、E−3−オクテン、Z−3−オクテン、2,3−ジメチルー1−ブテン、2,3−ジメチルー2−ブテン、1−メチル−1−シクロヘキセン、1−メチルー2−シクロヘキセン、1−エキソメチレンシクロヘキセン、1−フェニルー1−プロペン、3−フェニルー1−プロペン、E−1−フェニル−1−ブテン,Z−1−フェニル−1−ブテン、E−1−フェニル−2−ブテン、Z−1−フェニル−2−ブテン、4−フェニル−1−ブテン、3,4−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピランなどを挙げることができる。
【0022】
本発明の複合体をオレフィンの異性化反応の触媒として使用する場合、複合体の量としては、特に限定されないが、通常オレフィン100重量部に対して、0.01重量部〜100重量部の範囲、経済性、操作性、反応速度を考慮して、0.1重量部〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0023】
本発明の複合体を、カルボニル化合物を水素受容体とするアルコール類の酸化反応の触媒として使用する場合、アルコール類としては、イソプロパノール、2−ブタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、1−フェニルー1−エタノール、ベンズヒドロールなどの2級アルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、プレノール、2−シクロペンテンー1−オール、2−シクロヘキセンー1−オール、ネロール、ゲラニオール、2,7−オクタジエンー1−オール、けい皮アルコールなどの第1級アリルアルコール類、2−ヒドロキキシーテトラヒドロフラン、2−ヒドロキシーテトラヒドロピラン、4−メチルー2−ヒドロキシテトラヒドロピランなどの環状ヘミアセタール類などを挙げることができる。
【0024】
水素受容体としてのカルボニル化合物としては、トリメチルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類を使用することが出来る。
【0025】
アルコール類の酸化反応を実施するには、水素受容体としてのカルボニル化合物とアルコール類の混合比としては、アルコール類100重量部に対して、カルボニル化合物1〜10000部の範囲で実施するのが好ましく、酸化の効率、反応の容積効率を考慮すると、50〜5000重量部の範囲、より好ましくは100〜3000重量部の範囲で実施するのが好ましい。
【0026】
本発明で酸化に使用する複合体の量としては、特に限定されないが、アルコール類100重量部に対して、0.001〜100重量部の範囲、経済性、操作性、反応速度の観点から、0.01〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0027】
本発明の複合体をオレフィンの異性化反応やアルコール類の酸化反応などに使用する場合の形状はとくに限定されず、粉末状、粒状、タブレット状など種々の形態で使用することができる。本発明の複合体を製造する場合、溶媒は必ずしも必要ないが、反応を阻害しない範囲で使用してもよい。このような溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。このような溶媒は、オレフィン100重量部に対して1重量部〜10000重量部の範囲、容積効率、操作性、経済性を考慮して、5重量部〜500重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0028】
オレフィンの異性化反応及びアルコール類の酸化反応は、用いるオレフィンやアルコールの種類によっても異なるが、通常、30℃〜200℃の範囲で実施される。反応圧力としては、通常常圧で実施されるが、減圧下で実施することも可能である。反応方式としては、攪拌槽を使用してバッチ式で実施することも可能であるが、固定床、分散床による異性化蒸留形式など連続式で実施することも可能である。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
参考例1:複合体1の調製
4口セパラブル100mLフラスコに、攪拌器、温度計、気体導入管を装着し、シリカゲル(メルク社製 Si60)10g及び平均粒径1mm以下に粉砕した95%水酸化カリウム10gを投入し、ドライ窒素をフラスコ内に導入管より200mL/分で導入した。120℃に加熱したオイルバスで加熱を開始し、ゆっくりと攪拌しながら(回転数50rpm)120℃まで昇温した。120℃に到達後、10℃/分で昇温し、180℃まで加熱した。180℃で更に1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
【0030】
株式会社理学電機製回転対陰極型X線回折装置RINT2400を使用し、40kV100mA、CuKα線(λ=1.5405Å)、スリット幅1/2deg、1/2deg、0.15mm、走査速度1deg/分において対称反射法の測定条件で複合体のX線回折強度を測定し、次いで、サンプルを置かない状態で同様の測定を行い、空気の散乱強度を求めた。測定した活性炭のX線回折強度から空気の散乱強度を引いてX線回折強度曲線を求め、図1に示した。
【0031】
実施例:複合体2の調製
4口セパラブル100mLフラスコに、攪拌器、温度計、気体導入管を装着し、活性炭(クラレケミカル製 PW)10g及び平均粒径1mm以下に粉砕した95%水酸化カリウム10gを投入し、ドライ空気(21℃、相対湿度20%)をフラスコ内に導入管より200mL/分で導入した。120℃に加熱したオイルバスで加熱を開始し、ゆっくりと攪拌しながら(回転数50rpm)120℃まで昇温した。120℃に到達後、10℃/分で昇温し、180℃まで加熱した。180℃で更に1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
参考例1と同様にしてX線回折強度曲線を求め、図2に示した。
【0032】
参考例2:複合体3の調製
3口セパラブル100mLフラスコに、攪拌器、温度計を装着し、アルミナ(日揮社製 N611N)10g及び平均粒径1mm以下に粉砕した95%水酸化カリウム20gを投入し、系内を20kPaまで減圧した。120℃に加熱したオイルバスで加熱を開始し、ゆっくりと攪拌しながら(回転数50rpm)120℃まで昇温した。120℃に到達後、10℃/分で昇温し、190℃まで加熱した。190℃で更に2時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
【0033】
実施例:複合体4の調製
3口セパラブル100mLフラスコに、攪拌器、温度計、気体導入管を装着し、石炭ピッチ(アドケムコ社製 MPM−BL)10g、平均粒径1mm以下に粉砕した95%水酸化カリウム15gを取り、系内を20kPaまで減圧した。120℃に加熱したオイルバスによって加熱を開始し、ゆっくりと攪拌しながら(回転数50rpm)120℃まで昇温した。120℃に到達後、10℃/分で昇温し180℃まで加熱した。180℃で更に3時間加熱、乾燥し室温まで冷却して複合体を得た。
【0034】
参考例3:複合体5の調製
参考例1において、120℃まで昇温した後、10℃/分で昇温し、250℃まで加熱し、250℃で更に1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
【0035】
実施例:複合体6の調製
実施例において、120℃まで昇温した後、10℃/分で昇温し、280℃まで加熱し、280℃で更に1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
【0036】
実施例:複合体7の調製
実施例において、120℃まで昇温した後、10℃/分で昇温し、280℃まで加熱した。加熱源をオイルバスからソルトバスに変更し、さらに360℃まで昇温し、360℃で1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。
【0037】
参考例4:2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応1
100mL三つ口フラスコに、2,3−ジメチル−2−ブテン50g及び参考例1で調製した複合体0.5gを投入し、これに、20cmの高さにヘリパックを充填し、還流ヘッド、温度計を備えた蒸留塔を装着し、系内を窒素で置換した。84℃に加熱し、塔頂温度57℃の留出液を捕集した。反応時間8時間で、全量留出し、純度99.3%の2,3−ジメチル−1−ブテン49.1gを回収した。
【0038】
実施例:2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応2
100mL三つ口フラスコに、2,3−ジメチル−2−ブテン50g及び実施例で調製した複合体0.5gを投入し、これに、20cmの高さにヘリパックを充填し、還流ヘッド、温度計を備えた蒸留塔を装着し、系内を窒素で置換した。84℃に加熱し、塔頂温度57℃の留出液を捕集した。反応時間4時間で、全量留出し、純度99.7%の2,3−ジメチル−1−ブテン48.3gを回収した。
【0039】
参考例5:4−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピランの異性化反応1
100mL三つ口フラスコに、4−メチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン70g及び参考例2で調製した複合体1.0gを投入し、これに、20cmの高さにヘリパックを充填し、還流ヘッド、温度計を備えた蒸留塔を装着し、系内を窒素で置換した。120℃に加熱し、塔頂温度98℃の留出液を捕集した。反応時間12時間で、全量留出し、純度93.7%の4−メチレン−2H−ピラン66.3gを回収した。
【0040】
実施例:4−メチル−3,6−ジヒドロー2H−ピランの異性化反応2
100mL三つ口フラスコに、4−メチル−3,6−ジヒドロ2H−ピラン60g及び実施例で調製した複合体1.2gを投入し、これに、20cmの高さにヘリパックを充填し、還流ヘッド、温度計を備えた蒸留塔を装着し、系内を窒素で置換した。120℃に加熱し、塔頂温度98℃の留出液を捕集した。反応時間12時間で、全量留出し、純度94.1%の4−メチレン−2H−ピラン57.8gを回収した。
【0041】
参考例6:プレノールの酸化反応1
300mL三つ口フラスコに、トルエン150g、プレノール5g、参考例3で調製した複合体1.5g及びベンゾフェノン30gを投入し、60℃で3時間攪拌した。3時間後、室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー(島津製GC−14A カラムG−100財団法人 化学物質評価研究機構製 70℃〜210℃ 5℃/分昇温)で分析したところ、プレノールの転化率は68モル%、セネシオアルデヒドへの選択率は88モル%であった。
【0042】
実施例:プレノールの酸化反応2
300mL三つ口フラスコに、トルエン150g、プレノール5g、実施例で調製した複合体1.2g及びベンゾフェノン30gを投入し、60℃で3時間攪拌した。3時間後、室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー(島津製GC−14A カラムG−100財団法人 化学物質評価研究機構製 70℃〜210℃ 5℃/分昇温)で分析したところ、プレノールの転化率は77モル%、セネシオアルデヒドへの選択率は91モル%であった。
【0043】
実施例:2−シクロヘキセンー1−オールの酸化反応2
300mL三つ口フラスコに、トルエン150g、2−シクロヘキセン1−オール5g、実施例で調製した複合体1.6g及びベンズアルデヒド20gを取り、60℃で2時間攪拌した。3時間後、室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー(島津製GC−14A カラムG−100財団法人 化学物質評価研究機構製 70℃〜210℃ 5℃/分昇温)で分析したところ、2−シクロヘキセンー1−オールの転化率は67モル%、シクロヘキセノンへの選択率は91モル%であった。
【0044】
参考例7:複合体8の調製、2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応3
実施例1において、温度を70℃として複合体を得た。該複合体を使用して参考例4と同様に2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応を行ったところ、回収した2,3−ジメチル−1−ブテンは純度98.2%で21.2gであった。
【0045】
比較例1
参考例3において、活性炭及び水酸化カリウムを粉末化せず、約3mmの破砕状として使用し、複合体を得た。該複合体を使用し、参考例6と同じようにプレノールの酸化反応を行ったところ、プレノールの転化率は6モル%、セネシオンアルデヒドへの選択率は12モル%であった。実施例1と同じ条件で複合体のX線回折強度曲線を測定し、図3に示した。
【0046】
参考例8:複合体9の調製、2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応4
参考例3において、70℃まで加熱し、70℃で更に1時間加熱、乾燥し、室温まで冷却して複合体を得た。実施例1と同じ条件で複合体のX線回折強度曲線を測定し、図4に示した。該複合体を使用して実施例8と同様に2,3−ジメチル−2−ブテンの異性化反応を行ったところ、回収した2,3−ジメチル−1−ブテンは純度98.7%で25.4gであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、粉末状の担体と、粉末状又は溶融状の金属水酸化物の混合物を低温で加熱し乾燥した複合体を提供することができる。かかる複合体は、製造が容易で、かつ触媒活性が高く、機械的強度にも優れているので、オレフィンの異性化反応やアルコール類の酸化反応に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1で得た複合体のX線回折強度曲線である。
【図2】 実施例1で得た複合体のX線回折強度曲線である。
【図3】 比較例1で得た複合体のX線回折強度曲線である。
【図4】 参考例8で得た複合体のX線回折強度曲線である。

Claims (7)

  1. 平均粒径が0.1mm以下の粉末状の担体と、平均粒径が1mm以下の粉末状のアルカリ金属水酸化物の混合物を加熱乾燥して得た触媒であって、該担体が、石炭、石油、合成ピッチの不融化物もしくは不融化後の熱処理物、又は活性炭からなる炭素質材料で、該加熱温度が80℃以上400℃未満であるオレフィンの異性化反応用又はアルコール類の酸化反応用の触媒
  2. 該担体が多孔質体である請求項1記載の触媒
  3. アルカリ金属水酸化物が、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムである請求項1又は2記載の触媒
  4. 担体とアルカリ金属水酸化物との混合割合が、担体100重量部に対して金属水酸化物が1〜1000重量部である請求項1〜いずれかに記載の触媒
  5. 触媒のX線回折強度曲線において、アルカリ金属水酸化物結晶に由来するピークが存在しない請求項1〜いずれかに記載の触媒
  6. 触媒のX線回折強度曲線において、水のバックグラウンドピークが存在しない請求項1〜いずれかに記載の触媒
  7. 平均粒径が0.1mm以下の粉末状の担体と平均粒径が1mm以下の粉末状のアルカリ金属水酸化物を混合し、ガス気流下又は減圧下で加熱乾燥させる触媒の製造方法であって、該担体が、石炭、石油、合成ピッチの不融化物もしくは不融化後の熱処理物、又は活性炭からなる炭素質材料で、該加熱温度が80℃以上400℃未満であるオレフィンの異性化反応用又はアルコール類の酸化反応用の触媒の製造方法。
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