JP4212459B2 - エスカレータの据付用治具及び据付方法 - Google Patents
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Description
図9及び図10は、欄干部分の改修工事の一例を示すエスカレータの部分正面図である。
即ち、図9は改修前のエスカレータを示し、デッキボード43mは内部に立設された支持柱(図示しない。)によって支持され、このデッキボード43mに沿って移動手摺42mが無端状に取り付けられている。デッキボード43mとスカートガード46mの間には、ステンレス板からなる内側板41mが立設されている。
図10は、図9に示すエスカレータの意匠部分、特に欄干部分を改修した後のエスカレータを示す。改修後のエスカレータは、ステンレス板に替えて強化ガラスを用いた内側板41が本体枠(図示しない。)に取り付けられて立設されている。移動手摺42は内側板41に支持されて循環するようになっている。また、内側板41とスカートガード46の間には、内側レッジ45が延設されている。
即ち、1階1と2階2の間に、エスカレータの本体枠3が跨設させている。この本体枠3は、形鋼をトラス状に構成したもので、中間部がエスカレータの傾斜に合わせて傾斜した上枠4と、図13に示したとおり、上枠4と下枠(図示しない。)とを連結する縦枠5と、この縦枠5の中間部に取り付けられた横枠6とを主要部材とする。横枠6には前輪用レール15と後輪用レール18が取り付けられている。前輪12は前輪軸13によって踏段11の前部に係止されており、踏段チェーン14に駆動されて前輪用レール15の転動面上を転動して循環する。また、踏段11の後部には後輪16が後輪軸17を介して取り付けられており、後輪用レール18の転動面上を転動して循環する。
ここで、下部支持柱27dにおける上部ピアノ線26uと下部ピアノ線26dの間隔dは、上部支持柱27uにおける上部ピアノ線26uと下部ピアノ線26dの間隔d′に対して、エスカレータの傾斜角をθとするとd=d′cosθの関係にある。
このため、下部ピアノ線26dを、下部支持柱27dの部位でブラケット21の上面からδの高さに張設したとすると、上部支持柱27uの部位でもブラケット21の上面からの高さδ′をδに張設する必要がある。そこで、下部支持柱27dを固定し、上部支持柱27uを図11に矢印で示したとおり前後に移動させてδ′=δとなるように位置決めをして立設しなければならない。また、両支持柱27d、27uは、内側板支持具22の位置決めをする基準となるものであり、上記位置決めと共に左右方向にも傾斜しないように立設される必要がある。
左側の内側板支持具22を所定の位置に必要な数だけ取り付けたならば、右側の内側板支持具22についても同様にして取り付ける。続いて内側板41を内側板支持具22に、スペーサ25を介在させて固定ボルト24で取り付ける。
このため、稼動中のエスカレータの老朽化に伴う欄干部分の改修工事の場合は、利用客に長時間に亙って不便を強いることになる、という問題があった。
また、エスカレータを新規に据え付ける場合に、図11から図13に示した据付用治具を使用すると、ピアノ線26u、26dの張設のために費用が嵩み、据付費用が高価になる、という問題もあった。
更にまた、特許文献1に記載のエスカレータの欄干部分の改修方法では、他方の欄干が設置されていることを要件とするため、左右何れの欄干も設置されていない状態で欄干を新設しなければならない新設工事には不向きである、という問題もあった。
第2の目的は、内側板の基準位置を設定するためにピアノ線を用いる場合は、そのピアノ線を容易に張設することができるエスカレータの据付用治具を得るものである。
第3の目的は、必要部分に限ってピアノ線を張設して、他の部分における改修工事との同時並行実施を可能にして工期の短縮化を図ることができるエスカレータの据付用治具を得るものである。
第4の目的は、既設のエスカレータの欄干の改修工事に限らず、エスカレータの新設工事においても工期の短縮を図ることができるエスカレータの据付用治具を得るものである。
この発明に係る請求項1に記載のエスカレータの据付用治具によれば、既に据え付けられている前輪用レールと後輪用レールの双方に脚部を当接させて基体を立設して内側板の基準位置を設定するようにしたので、基準位置を容易かつ安定して設定することができる。
実施の形態1.
図1から図5は、この発明の実施の形態1を示す。
図1はエスカレータの長手方向の縦断面図、図2は図1のII−II線断面を矢視した断面図、図3で内側板支持具22の斜視図、図4は据付用治具31の斜視図、図5は据付けが完了した欄干部分を示すエスカレータの横断面図である。
ピアノ線止具37は、中心部にピアノ線38が挿通される貫通穴が形成され、かつ、一方の端部に割り溝が形成されたボルトと、このボルトに螺合して上記割り溝を狭窄してピアノ線38を挟持させるナットで構成されている。
スリット36aには、図4に示すとおり、ピアノ線38を係止する位置が示されており、この位置にピアノ線38を係止することにより、内側板支持具22の設置位置、延いては内側板41の基準位置を設定することができる。従って、ピアノ線38及びピアノ線止具37は、位置設定手段として機能するものである。
他の区間についても同様に据付用治具31を設定して内側板支持具22を順次所定位置に固定する。
また、基体32を立設し固定したならば、スリット36aにピアノ線38を通してピアノ線止具37で係止することにより張設するようにしたので、ピアノ線38の張設も容易である。
上記基体32の立設とピアノ線38の張設により、据付用治具31の立設、延いては、内側板の基準位置を容易かつ安定して設定することができる。
更に、基体32の設置間隔を短小にしたので、他の部分における改修工事との同時並行実施も可能となり、工期の短縮化を図ることができる。
この実施の形態2は、踏段11の上面に据付用治具51を取り付けて内側板41の基準位置を設定するようにしたものである。
図6及び図7は、この発明の実施の形態2を示し、図6はエスカレータの長手方向の縦断面図、図7は図6のVII−VII線断面を矢視した断面図である。
据付用治具51の基体52を、踏段上面11aに載置し、この基体52から垂下された側部当接板54を踏段側面11bに当接させて基体52の左右方向の位置決めをする。基体52から垂下された後部当接板53を踏段後端11cに当接させて基体52の前後方向の位置決めをする。
基体52の位置が設定されたならば、側部当接板54と一体で構成されて、踏板下に潜入する固定具55にボルト56を螺合させて、踏板を挟持させて基体52を固定する。
2個所の踏段11に、それぞれ基体52を固定した後、実施の形態1と同様に、頭部に形成されたスリット52aにピアノ線38を挿通してピアノ線止具37で挟持して張設する。
他の区間について内側板支持具22を取り付けるには、改めて据付用治具51を踏段11に設定するか、又は、既に据付用治具51が設定された踏段11を必要個所まで移動させてもよい。
また、基体52の設置間隔を限定することにより、他の部分における工事との同時並行実施も可能となり、工期の短縮化を図ることができる。
特に、工事の進行に伴って工事個所が変わっても据付用治具51が設定された踏段11を必要個所まで移動させれば、改めて据付用治具51を設置する必要がないので、工期の短縮化を図ることができる。
図8は実施の形態3を示す。図において、主脚33及び補助脚65を、いずれも前輪用レール15の傾斜部で転動面15aに当接させ、かつ、主脚33の側面を、転動面15aから直立する前輪用レール15のフランジ15bに当接させて据付用治具61の基体32を立設し、この基体32の頭部66に形成された切欠き66aに発光体67を挿入して取り付けてエスカレータの傾斜方向へ向けて平行にレーザ光線68を発生させ、このレーザ光線68によって内側板支持具22の設定、延いては内側板41の基準位置を設定するようにしたものである。
なお、基体32は、前輪用レール15に立設されるものとしたが、後輪用レール18に立設してもよい。
また、補助脚65を省いて主脚33のみであってもよい。
また、レーザ光線68を基準にして内側板支持具22を設定するようにしたので、基体32は1個所のみ立設すればよいので、基準位置の設定は容易になると共に、他の部分における工事の工事域と干渉することもないので、工事の同時並行実施も可能となり、工期の短縮化を図ることができる。
Claims (6)
- 建物に設置された本体枠に前輪用レールと後輪用レールが取り付けられ、上記各レールにそれぞれ前輪及び後輪を転動させて踏段を循環させるエスカレータの上記踏段の両側部で上記本体枠に立設される内側板の位置を設定するエスカレータの据付用治具において、脚部が二分され、一の脚部を上記前輪用レールの傾斜部で転動面に当接させ、他の脚部を上記後輪用レールの傾斜部で転動面に当接させ、かつ、少なくとも何れか一方の上記脚部の側面を、上記転動面から直立する上記レールのフランジに当接させて立設された基体と、この基体に設けられて上記内側板の基準位置を設定する位置設定手段とからなるエスカレータの据付用治具。
- 建物に設置された本体枠に前輪用レールと後輪用レールが取り付けられ、上記各レールにそれぞれ前輪及び後輪を転動させて踏段を循環させるエスカレータの上記踏段の両側部で上記本体枠に立設される内側板の位置を設定するエスカレータの据付用治具において、脚部を上記前輪用レール及び上記後輪用レールのいずれか一方のレールの傾斜部で転動面に当接させ、かつ、上記脚部の側面を、上記転動面から直立する上記レールのフランジに当接させて立設された基体と、この基体の頭部に設けられて上記内側板の基準位置を設定する位置設定手段とからなるエスカレータの据付用治具。
- 建物に設置された本体枠に移動自在に取り付けられた踏段を循環させるエスカレータの上記踏段の両側部で上記本体枠に立設される内側板の位置を設定するエスカレータの据付用治具において、傾斜部に位置する上記踏段の上面に底面を当接させて上記踏段上に設置された基体と、この基体から垂下されて上記踏段の側面に当接して上記基体の左右方向の位置決めをする側部当接板と、上記基体から垂下されて上記踏段の後端に当接して上記基体の前後方向の位置決めをする後部当接板と、上記基体に設けられて上記内側板の基準位置を設定する位置設定手段とからなるエスカレータの据付用治具。
- 基体を、エスカレータの傾斜方向へ向けて上位と下位の2ヶ所に立設し、位置設定手段を、上記基体間に張設されたピアノ線とした請求項1から3のいずれかに記載のエスカレータの据付用治具。
- 位置設定手段を、基体からエスカレータの傾斜方向へ向けてレーザ光線を発する発光体とした請求項1から3のいずれかに記載のエスカレータの据付用治具。
- 踏段を移動させることにより上記踏段と共に基体を移動させて順次内側板の基準位置を設定するようにした請求項3に記載の据付用治具を用いたエスカレータの内側板の据付方法。
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