JP4212285B2 - マグネトロン駆動用昇圧トランス - Google Patents

マグネトロン駆動用昇圧トランス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジなどのようにマグネトロンを用いた高周波誘電加熱に関するものであり、特にスイッチング電源によりマグネトロンを駆動する昇圧トランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は本発明が対象とする昇圧トランスを用いたマグネトロン駆動電源の構成図である。図において、商用電源11からの交流は整流回路13によって直流に整流され、整流回路13の出力側のチョークコイル14とフィルタコンデンサ15で平滑され、インバータ16の入力側に与えられる。直流はインバータ16の中の半導体スイッチング素子のオン・オフにより所望の高周波(20〜40kHz)に変換される。インバータ16は、直流を高速でスイッチングする例えば複数個のパワーMOSFETが並列接続された2組のスイッチング素子群と、これらのスイッチング素子群を駆動するドライブ回路とから成る。スイッチング素子群を構成するパワーMOSFETのドレインはそれぞれ昇圧トランス18の1次巻線182の一端と他端に接続され、これら2つのスイッチング素子群を構成しているパワーMOSFETのソース同士が接続され、さらにスイッチング素子群を構成しているパワーMOSFETのゲートがスイッチング素子ドライブ回路にそれぞれ接続されている。パワーMOSFETで構成されるスイッチング素子群は、インバータ制御回路61によって駆動され、昇圧トランス18の1次側を流れる電流が高速でオン/オフにスイッチングされる。
制御回路161の入力信号は整流回路13の1次側電流をCT17で検出し、その検出電流はインバータ制御回路161に入力され、インバータ16の制御に用いられる。
【0003】
昇圧トランス18では1次巻線181にインバータ16の出力である高周波電圧が加えられ、2次巻線182に巻線比に応じた高圧電圧が得られる。また、昇圧トランス18の2次側に巻回数の少ない巻線183が設けられており、これはマグネトロン12のフィラメント121の加熱用に用いられる。昇圧トランス18の2次巻線182はその出力を整流する倍電圧半波整流回路19を備えている。倍電圧半波整流回路19は高圧コンデンサ191及び2個の高圧ダイオード192,193により構成され、正のサイクル(例えば、図において、2次巻線182の上端が正とする。)で高圧コンデンサ191及び高圧ダイオード192が導通し、高圧コンデンサ191の極板を図で左側を正に右側極板を負に充電する。次に、負のサイクル(2次巻線182の下端が正。)で高圧ダイオード193が導通し、マグネトロン12のアノード122−カソード121間には、先に充電した高圧コンデンサ191の電圧と2次巻線182の電圧がプラスした倍の電圧が加わることとなる。
【0004】
以上、本発明が対象とする昇圧トランスを用いたマグネトロン駆動電源の1例を示したが、駆動電源はこれに限定されるものではなく、高周波を昇圧するトランスを含むものであればどのようなものでもよい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電子レンジの小型化のニーズに伴い、昇圧トランスを小型化する必要があるため、それまでの低周波から上記のように高周波が用いられるようになった。トランスのコアとしては低周波では小型化・飽和・コストの面で有利な金属コア(アモルファス、珪素鋼板)が用いられていたが、高周波下では金属コアは高周波損失が大きいため用いられなくなり、これに代わってフェライトコアが用いられるようになった。
【0006】
図6はフェライトコアを用いた昇圧トランスの1例を示すものである。
図6において、一次巻線61、二次巻線62、ヒーター巻線63が2個の対向U字型フェライトコア64、65の同一軸上に並列して置かれていた。大電力を扱うことが多いマグネトロン駆動用電源の場合、電力半導体の負荷軽減のため、電圧共振による零ボルトスイッチング方式(以下、ZVS方式)を用いるのが主流であり、このZVS方式では共振電圧を得るために、昇圧トランスの結合係数を0.6から0.85程度に設定することが必要であり、空隙Gを設けている。
しかしながら、2個の対向U字型フェライトコア64,65を用いた従来の昇圧トランスの場合、マグネトロンの出力をさらに高出力化しようとすると昇圧トランスの一次側に流れるピーク電流をさらに増加させる必要があり、そうするとフェライトコアでは飽和磁束密度特性が悪いため飽和し易くなり、飽和させないためにはフェライトコアの大型化が必要となった。これは電源の小型化という大前提の障害となっていた。
本発明はこれらの課題を解決するもので、電源の小型化に寄与するとともに、高出力でも飽和することのない昇圧トランスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスの発明によれば、マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲んで成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、口字状コアを前記一次巻線と二次巻線との外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とする。
また、請求項2記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスの発明によれば、マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲んで成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、口字状の一方の内径が前記一次巻線と二次巻線のいずれの外径よりも大きくかつ該口字状の他方の内径が前記一次巻線と二次巻線の重ね丈よりも大きく形成して成る口字状コアを、該一次巻線と二次巻線の外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とする。
また、請求項3記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスの発明によれば、マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲みかつ該棒状フェライトコアの軸方向に重ね並置されて成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、長尺金属薄板を口字状に複数回巻回して成る金属コアであってかつ該口字状の一方の内径が前記一次巻線と二次巻線のいずれの外径よりも大きくかつ該口字状の他方の内径が前記一次巻線と二次巻線の重ね丈よりも大きく形成して成る金属コアを、該一次巻線と二次巻線の外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とする。
また、請求項4記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスの発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、前記棒状フェライトコアが直方体形状であることを特徴とする。
また、請求項5記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスの発明によれば、請求項4項記載のマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、前記直方体形状のフェライトコアのうち前記一側面の一部に突出部を形成し、該突出部を前記金属コアに接触させたことを特徴とする。
以上の発明によれば、高周波損失が少ないフェライトコアをメインコアとし、飽和しないように空隙を設けるとともに、これと対向して小型で、飽和磁束密度特性がフェライトコアよりも高い金属コアを用いてしかも渦電流の流れる方向に金属薄板を積層して渦電流を流れ難くして高周波損失対策を講じ、かつ金属コアを口字状にしたので、製造が簡単で、小型で、堅固で、さらに各巻線の外側の機械的保護の働きもするという効果がある。
また、棒状フェライトコアと金属コアとの間に形成される空隙が同じ幅となるので、結合係数等の設計が容易となる。
さらに、請求項5記載の発明によれば、「直方体形状のフェライトコアのうち前記一側面の一部に突出部を形成」しているので、棒状フェライトコアと金属コアとの間にスペーサを別途準備する必要がなく、したがってそれを組み込む手間も省けるので、昇圧トランスの組み立てが容易でかつコストダウンとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の昇圧トランスについて図2〜図5を参照に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。図において、20が第1の実施の形態に係る昇圧トランスで、21が一次巻線、22が二次巻線、23がヒーター巻線である。一次巻線21は二次巻線22と比べて巻線断面が大きく巻き数は少ない。ヒーター巻線23は二次巻線22と比べて巻数が極端に少ないので図には描かれていない。また、ヒーター巻線23は別部品で構成されてもよいので、ここでの必須部品ではない。26は棒状フェライトコアで、ここでは直方体形状を採用している。この直方体形状フェライトコア26の周囲を一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23とがそれぞれ囲みかつコアの軸方向に重ね並置されている。
【0009】
27は本発明により採用される金属コアで、アモルファスや珪素鋼板などから成る長尺金属薄板27aを図3(a)のように、口字状に複数回(10〜40回程度)巻回し各層間を絶縁して作られている。しかも、口字状金属コアの内径のうち、一方の内径(図2(c)で金属コア27の左右方向の内径)が一次巻線21、二次巻線22、ヒーター巻線23のうちのどの外径よりも大きくできており、かつ、他方の内径(図2(c)で金属コア27の上下方向の内径)が一次巻線26と二次巻線22とヒーター巻線23の3巻線の重ね丈よりも大きく形成されている。
【0010】
したがって、図のような金属コア27を図2(d)で示すように、一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側からフェライトコア26に向けて嵌挿し、棒状フェライトコア26との間にスペーサ(図示なし)を置いて空隙Gを確保して対向配置している。フェライトコア26と金属コア27の空隙は0.3〜0.8mm程度となっている。
【0011】
以上のような構成により、高周波損失が少ないフェライトコアをメインコアとし、飽和しないように空隙を設けるとともに、これと対向して小型で飽和し難い金属コアを一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側に配設しているので、フェライトコアのみから成る従来の昇圧トランス(図6)と比べると大幅に小型化に寄与することとなる。すなわち、従来の昇圧トランスでは一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側に配設されるフェライトコア部分64a、65aはメインフェライトコア部分とほぼ同じ断面積で構成されるので、一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側に大きくはみ出しているのに対して、本発明の第1の実施の形態に係る昇圧トランス20では金属コアであるため断面積がフェライトコア部分と比べて極端に小さくできるため、一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側に大きくはみ出すことがない(図2(c)参照。)。
【0012】
しかも、高周波下での金属コアの欠点である高周波損失については、図3(a)のように長尺の金属薄板27aを10〜40回巻回したものを用い、渦電流が流れる方向を多数回巻回して成る金属薄板層を横切る方向に合わせたので、渦電流は1枚の金属薄板の断面積内でしか流れることができず、そして1枚の金属薄板の断面積の抵抗値が大きいため、渦電流はほとんど流れることができなくなる。したがって、高周波下であってもこのような構成の金属コアを上記のような配置とすることによって初めて高周波損失が小さくなり、フェライトコアと金属コアの長所を兼ね備えた昇圧トランスを得ることができる。
また、昇圧トランスのフェライトコアが直方体形状であるので、フェライトコア26と金属コア27との互いの対向部分が平行となるので、その間に形成される空隙Gが同じ幅となるため、結合係数等の設計が容易となる。
さらに、コ字状の金属コアを口字状金属コアをに代えて使用することも考えられるが、口字状金属コアの方がコ字状金属コアよりも製造が簡単となり、また口字状の金属コアが各巻線を外側から一部包むので各巻線の機械的な保護の働きもするという副次的な効果も得られる。
なお、上記実施の形態では、一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23とがそれぞれ棒状のフェライトコアを囲みかつコアの軸方向に重ね並置されている構成となっているが、本発明はこれに限られるものではなく、棒状のフェライトコアを中心に3つの巻線が、第1巻線の外側に第2巻線、その外側に第3巻線となる同心状配置の構成としてもよい。
【0013】
図4は本発明の第2の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。図において、40が第2の実施の形態に係る昇圧トランスで、21が一次巻線、22が二次巻線、23がヒーター巻線で、図2のそれと同じである。すなわち、一次巻線21は二次巻線22と比べて巻線断面が大きく巻き数は少ない。ヒーター巻線23は二次巻線22と比べて巻数が極端に少ないので図には描かれていない。26は直方体形状フェライトコアで、この周囲を一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23とがそれぞれ囲みかつコアの軸方向に重ね並置されている。27は金属コアで図2のそれと同じである。すなわち、図3(a)のように、長尺金属薄板27aを口字状に10〜40回程度巻回して作られており、しかも口字状金属コアの内径のうちは、一方の内径(図4(c)で金属コア27の左右方向の内径)が一次巻線21、二次巻線22、ヒーター巻線23のうちのどの外径よりも大きくできており、かつ、他方の内径(図4(c)で金属コア27の上下方向の内径)が一次巻線26と二次巻線22とヒーター巻線23の3巻線の重ね丈よりも大きく形成されている。
【0014】
そして、本発明の第2の実施の形態に係る昇圧トランスでは、その直方体形状フェライトコア26の金属コア27に対向する面の一部に突出部26aを形成している。この突出部26aの高さは図2の空隙Gとほぼ同じとしてある。直方体形状フェライトコア26と金属コア27との間に確保すべき空隙Gをこの突出部26aによって確保することができるので、図2の場合のようなスペーサを用いる必要がなくなり、スペーサを別途準備する必要にそれを組み込む工程も省けるので、昇圧トランスの組み立てが容易となる。
また、この突出部26aは磁路の通過方向の横断面積を小さく選ぶことによって、僅かな磁束で飽和するようにしてあり、磁気短絡回路は形成されないようにしてある。
【0015】
図4では、突出部26aは直方体形状フェライトコア26の側面の中央部に1個形成しているが、直方体形状フェライトコア26の側面の両端部にそれぞれ1個形成して、2点で金属コア27に接触させることによって、組み立ての安定性をさらによくすることも可能である。
【0016】
図5は本発明の第3の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。図において、50が第2の実施の形態に係る昇圧トランスで、21が一次巻線、22が二次巻線、23がヒーター巻線で、図2のそれと同じである。すなわち、一次巻線21は二次巻線22と比べて巻線断面が大きく巻き数は少ない。ヒーター巻線23は二次巻線22と比べて巻数が極端に少ないので図には描かれていない。
【0017】
そして、本発明の第3の実施の形態に係る昇圧トランスでは、円柱状フェライトコア56を用い、この周囲を一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23とがそれぞれ囲みかつコアの軸方向に重ね並置されている。
さらに、昇圧トランスの金属コアは、図3(b)のように、口字状金属薄板57aを厚み方向に複数個(10〜40個)絶縁性接着剤を用いて積層して成るものである。そして、口字状金属コアの内径のうち、一方の内径(図5(c)で金属コア57の左右方向の内径)が一次巻線21、二次巻線22、ヒーター巻線23のうちのどの外径よりも大きく、かつ、他方の内径(図5(c)で金属コア27の上下方向の内径)が円柱状フェライトコア56の長さよりも大きく形成してある。このような金属コア57を図5(d)のように円柱状フェライトコア56に嵌挿し円柱状フェライトコア56の軸方向端部と空隙Gを置いて対向配置している。
【0018】
以上のような構成により、高周波損失が少ないフェライトコアをメインコアとし、飽和しないように空隙を設けるとともに、これと対向して小型で飽和し難い金属コアを一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23とフェライトコア56の外側に配設しているので、フェライトコア56のみから成る従来の昇圧トランス(図6)と比べると大幅に小型化に寄与することとなる。すなわち、第3の実施の形態に係る昇圧トランス50では金属コアであるため断面積がフェライトコア部分と比べて極端に小さくでき、一次巻線21と二次巻線22とヒーター巻線23の外側に大きくはみ出すことがない(図2(c)参照。)。
【0019】
しかも、高周波下での金属コア57の欠点である高周波損失については、図3(b)のように金属薄板27aを10〜40個積層したものを用い、渦電流が流れる方向を多数個積層して成る金属薄板層を横切る方向に合わせたので、渦電流は1枚の金属薄板の断面積内でしか流れることができず、そして1枚の金属薄板の断面積の抵抗値が大きいため、渦電流はほとんど流れることができなくなる。
したがって、高周波下であってもこのような構成の金属コア57を上記のような配置とすることによって初めて高周波損失が小さくなり、フェライトコアと金属コアの長所を兼ね備えた昇圧トランスを得ることができる。
また、昇圧トランスのフェライトコアが円柱形状であるので直方体よりも製造が簡単となり、しかも磁束の通過する空隙Gはフェライトコア56と金属コア57との互いの対向部分が平行となるので、その間に形成される空隙Gが同じ幅となるため、結合係数等の設計が容易となる。
さらに、口字状の金属コア57がフェライトコア56および各巻線21、22、23を外側から一部包むのでこれらの機械的な保護の働きもする。
なお、図3の口字状の金属コア27,57が高周波損失等から見てベストモードではあるが、必ずしも金属コアでなくてもよく、高周波損失が少ない材質のものであればよく、例えばフェライト等で口字状のコアを形成して、図2、図4、図5のように用いてももちろん構わない。
【0020】
【発明の効果】
以上、本発明の昇圧トランスによれば、高周波損失が少ないフェライトコアをメインコアとし、飽和しないように空隙を設けるとともに、これと対向して小型で、飽和磁束密度特性がフェライトコアよりも高い金属コアを用いてしかも渦電流の流れる方向に金属薄板を積層して渦電流を流れ難くし、かつ金属コアを口字状にしたので、製造が簡単で、小型で、堅固で、さらに各巻線の外側の機械的保護の働きもするという効果がある。
また、直方体形状のフェライトコアのうち金属コアに対向する面の一部に突出部を形成したので、スペーサを別途準備する必要も、それを組み込む手間も省けるので、昇圧トランスの組み立てが容易となる。
また、棒状フェライトコアと金属コアとの間に形成される空隙を適当に選ぶことで、昇圧トランスの結合係数を任意に最適の係数に簡単に作り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が対象とする昇圧トランスを用いたマグネトロン駆動電源の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。
【図3】本発明で用いる金属コアの形成法を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る昇圧トランスを示す図で、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図、(d)が斜視図である。
【図6】従来の主流トランスであるフェライトコアの昇圧トランスを示す図である。
【符号の説明】
11 商用電源
12 マグネトロン
122 アノード
121 カソード
13 整流回路
14 チョークコイル
15 フィルタコンデンサ
16 インバータ
161 インバータ制御回路
17 CT
18 昇圧トランス
181 1次巻線
182 2次巻線
183 フィラメント加熱用巻線
19 倍電圧半波整流回路
191 高圧コンデンサ
192、193 高圧ダイオード
20 第1の実施の形態に係る昇圧トランス
21 一次巻線
22 二次巻線
23 ヒーター巻線
26 直方体形状フェライトコア
26a 突出部
27 金属コア
27a 長尺金属薄板
56 円柱状フェライトコア
57 金属コア
57a 口字状金属薄板
G 空隙

Claims (5)

  1. マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲んで成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、
    口字状コアを前記一次巻線と二次巻線との外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とするマグネトロン駆動用昇圧トランス。
  2. マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲んで成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、
    口字状の一方の内径が前記一次巻線と二次巻線のいずれの外径よりも大きくかつ該口字状の他方の内径が前記一次巻線と二次巻線の重ね丈よりも大きく形成して成る口字状コアを、該一次巻線と二次巻線の外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とするマグネトロン駆動用昇圧トランス。
  3. マグネトロンに駆動電圧を供給する昇圧トランスであって、一次巻線と二次巻線とがそれぞれ棒状フェライトコアを囲みかつ該棒状フェライトコアの軸方向に重ね並置されて成るマグネトロン駆動用昇圧トランスにおいて、
    長尺金属薄板を口字状に複数回巻回して成る金属コアであってかつ該口字状の一方の内径が前記一次巻線と二次巻線のいずれの外径よりも大きくかつ該口字状の他方の内径が前記一次巻線と二次巻線の重ね丈よりも大きく形成して成る金属コアを、該一次巻線と二次巻線の外側から前記一次および二次巻線の内側と対向する前記棒状フェライトコアの面のうちの一側面に向けて前記一次巻線と二次巻線にのみ嵌挿しかつ前記棒状フェライトコアの前記一側面とは空隙を置いて対向配置して成ることを特徴とするマグネトロン駆動用昇圧トランス。
  4. 前記棒状フェライトコアが直方体形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のマグネトロン駆動用昇圧トランス。
  5. 前記直方体形状のフェライトコアのうち前記一側面の一部に突出部を形成し、該突出部を前記金属コアに接触させたことを特徴とする請求項4記載のマグネトロン駆動用昇圧トランス。
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