JP4211670B2 - ガス分析装置及びガス分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うガス分析装置及びガス分析方法に関するものである。
近年、エネルギー源の多角化が進んでいるが、化石燃料への依存度は依然として高い。火力発電においては、石炭の他に、硫黄分を多く含んだ安価な燃料、例えば、オリマルジョンや重質油を用いている。ところが、硫黄分を多く含んだ燃料焚きボイラでは、石炭焚きボイラに比べて、燃焼排ガス中に高濃度のSO3が含まれる。
SO3は、約300℃以下で水と反応して硫酸となり、約160℃以下となると露点となって煙道壁面に凝結する。この硫酸は、煙道壁面や機器の腐食を引き起こす原因となるため、煙道の温度管理や、アンモニア等のアルカリ剤によるSO3の中和を行っている。SO3の中和を行うには、SO3の濃度を正確に測定する必要がある。
燃焼排ガスなどに含まれるSO3のように、濃度や成分が不明、未知のガスを分析するガス分析装置として、図15に示す装置が挙げられる。このガス分析装置150は、主に、光源であるランプ151、分析対象であるガスG2が充填されたサンプルセル152、不活性ガスが充填された(又は真空状態に保った)参照セル153、回折格子154、検出器155で構成される。ランプ151から出射された光Lは、ハーフミラー156aで透過光L1と反射光L2に分岐される。透過光L1は、サンプルセル152、チョッパー158、ハーフミラー156b、回折格子154を介して検出器155で検出される。また、反射光L2は、ミラー157a、参照セル153、チョッパー158、ミラー157b、ハーフミラー156b、回折格子154を介して検出器155で検出される。サンプルセル152を通過し、吸光された透過光L1と、参照セル153を通過し、全く吸光されていない反射光L2は、メカニカルに回転するチョッパー158でそれぞれチョッピングされ、各光L1,L2は交互に検出器で検出される。
また、ガス分析装置、例えば、SO3の分析装置として、SO3が紫外線領域の光に吸収があることを利用したものがある(特許文献1参照)。具体的には、分析対象となるガスをセル内に導入しておき、その光学セル内部に紫外線を導くことで、光学セル内部にマルチパスの紫外線光路が形成される。光学セルを通過し、吸光された紫外線は、分光器で分光され、スペクトルが得られる。その後、ケモメトリックス法により、スペクトルの解析を行うことで、SO3濃度が測定される。
特開2001−188040号公報(第2図)
ところで、図15に示したガス分析装置150は、透過光L1と反射光L2を比較することでガス分析を行っており、装置構成上、サンプルセル152及び参照セル153の2本のセルを必要とする。ここで、サンプルセル152と参照セル153は、比較対照を行う都合上、同サイズとする必要がある。その結果、ガス分析装置150の装置構成が大きくなってしまうという問題があった。
また、ガス分析装置150は、チョッパー158などの機械的駆動部分を有していることから、その駆動によって振動が生じると、光軸にズレが生じるおそれがあった。つまり、ガス分析装置150においては、振動による光軸のズレは避けることができず、定期的に光学系の調整を行わなければならないという問題があった。
一方、特許文献1記載のガス分析装置は、サンプルセルのみを用いるものであって、図15に示したガス分析装置150のように参照セルを必要としないことから、ガス分析装置150と比べて装置の小型化を図ることができる。特許文献1記載のガス分析装置では、SO3の光吸収が小さいため、十分な光吸収を得るために、光路長を長くしている。しかしながら、その結果、分析対象ガスの分析を妨害するガス(以下、妨害ガスと記す)による光吸収も大きくなる。よって、精度良くガス分析を行うためには、分析対象ガス中に含まれる妨害ガス濃度を低く抑える必要が生じ、分析可能なガスが限定されるという問題があった。
また、特許文献1記載のガス分析装置は、全体の光路長が長く、かつ、ミラーなどの光学部品数も多いことから、光軸に僅かなズレが生じたら、装置全体でのズレは大きなものとなる。よって、特許文献1記載のガス分析装置においても、定期的に光学系の調整を行う必要があるという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、小型で、かつ、分析対象ガスによる光吸収が小さくても精度良くガス分析が可能なガス分析装置及びガス分析方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るガス分析装置は、光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うものであり、
吸光分析の対象となるガスが収容されるサンプルセルと、
サンプルセルの一側に設けられた光源と、
光源から出射されてサンプルセルを通過したサンプル光と光源から別経路でガイドされたレファレンス光をそれぞれ分光する回折格子と、
回折格子で分光されたサンプル光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するサンプル光用プログラマブル回折格子と、
サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光を波長バンドごとに通過/遮断するサンプル光用アパチャと、
回折格子で分光されたレファレンス光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するレファレンス光用プログラマブル回折格子と、
レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたレファレンス光を波長バンドごとに通過/遮断するレファレンス光用アパチャと、
サンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルを交互に検出し、サンプル光とレファレンス光のスペクトルの差を出力するアレイ検出素子と、
各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光を屈折させてアレイ検出素子に到達させる屈折手段と、
アレイ検出素子からの出力に基づいてガス濃度の演算を行う演算手段とを備えたものである。
本発明に係る別のガス分析装置は、
吸光分析の対象となるガスが収容されるサンプルセルと、
サンプルセルの一側に設けられた光源と、
光源から出射されてサンプルセルを通過したサンプル光と光源から別経路でガイドされたレファレンス光をそれぞれ分光する回折格子と、
回折格子で分光されたサンプル光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するサンプル光用プログラマブル回折格子と、
サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光を波長バンドごとに通過/遮断するサンプル光用アパチャと、
サンプル光の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルと同じ重み付けを行うべく、サンプル光用プログラマブル回折格子でのサンプル光の偏向量を調節する演算手段と、
回折格子で分光されたレファレンス光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するレファレンス光用プログラマブル回折格子と、
レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたレファレンス光を波長バンドごとに通過/遮断するレファレンス光用アパチャと、
各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ集光する集光手段と、
集光されたサンプル光とレファレンス光を交互に検出し、サンプル光とレファレンス光の総和の差からガス濃度を検出する検出素子
集光手段で集光されたサンプル光とレファレンス光をそれぞれ屈折させ、検出素子に到達させる屈折手段とを備えたものである。
上記レファレンス光用アパチャを通過するレファレンス光の波長バンドごとの強度が、サンプルセルに吸光分析の対象となるガスが充填されていないときのサンプル光の波長バンドごとの強度と等しくなるように、上記光源の光強度の変動に応じてレファレンス光用プログラマブル回折格子でのレファレンス光の偏向量を調節することが好ましい。
また、プログラマブル回折格子は、MEMSアクチュエータを有することが好ましい。
また、集光手段は、第2回折格子又は積分球とされる。
一方、本発明に係るガス分析方法は、光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うものであって、
光源から出射された光を少なくとも2つに分岐し、
一方の光を吸光分析の対象となるガスが収容されたサンプルセルに導入し、光吸収させると共にサンプルセルを通過させてサンプル光とし、他方の光は光吸収させず、出射された状態のままのレファレンス光とし、
サンプル光とレファレンス光を回折格子でそれぞれ分光し、
分光されたサンプル光をサンプル光用プログラマブル回折格子で所定の波長バンドごとに偏向、反射させ、これをサンプル光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断すると共に、
分光されたレファレンス光をレファレンス光用プログラマブル回折格子で所定のバンドごとに偏向、反射させ、これをレファレンス光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断し、
各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光を屈折させてアレイ検出素子に到達させると共に、
アレイ検出素子でサンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルを交互に検出し、
アレイ検出素子が出力したサンプル光とレファレンス光のスペクトルの差に基づいて演算手段でガス濃度の演算を行うものである。
本発明に係る別のガス分析方法は、
光源から出射された光を少なくとも2つに分岐し、
一方の光を吸光分析の対象となるガスが収容されたサンプルセルに導入し、光吸収させると共にサンプルセルを通過させてサンプル光とし、他方の光は光吸収させず、出射された状態のままのレファレンス光とし、
サンプル光とレファレンス光を回折格子でそれぞれ分光し、
分光されたサンプル光をサンプル光用プログラマブル回折格子で所定の波長バンドごとに偏向、反射させると共に、サンプル光の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルと同じ重み付けを行うべく、サンプル光用プログラマブル回折格子でのサンプル光の偏向量を調節し、サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光をサンプル光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断すると共に、
分光されたレファレンス光をレファレンス光用プログラマブル回折格子で所定のバンドごとに偏向、反射させ、これをレファレンス光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断し、
各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ集光し、
集光したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ屈折させて検出素子に到達させると共に、
検出素子でサンプル光とレファレンス光を交互に検出し、
検出素子で検出したサンプル光とレファレンス光の総和の差からガス濃度を求めるものである。
ここで、サンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルが交互にアレイ検出素子で検出されるように、各プログラマブル回折格子で各光を偏向、反射させる際、各プログラマブル回折格子の偏向制御を同期させて行うことが好ましい。
また、集光されたサンプル光とレファレンス光の光量の総和が交互に検出素子で検出されるように、各プログラマブル回折格子で各光を偏向、反射させる際、各プログラマブル回折格子の偏向制御を同期させて行うことが好ましい。
さらに、上記レファレンス光用アパチャを通過するレファレンス光の波長バンドごとの強度が、サンプルセルに吸光分析の対象となるガスが充填されていないときのサンプル光の波長バンドごとの強度と等しくなるように、上記光源の光強度の変動に応じてレファレンス光用プログラマブル回折格子でのレファレンス光の偏向量を調節することが好ましい。
本発明によれば、サンプルセルが小さく、かつ、精度良くガス分析が可能なガス分析装置を得ることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の好適一実施の形態に係るガス分析装置の斜視概略図を図1に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るガス分析装置10は、光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うものであり、光を出射する光源11と、光ガイド部材12と、サンプルセル13と、マルチチャンネル分光器20とで構成される。
光ガイド部材12は、出射された光を一端側から導入し、案内する少なくとも2つの経路(図1中では経路12a,12b)を有する。この光ガイド部材12の一の経路12aに、吸光分析の対象となるガスが収容されるサンプルセル13が設けられる。光ガイド部材12としては、慣用の光ファイバなどが適用される。また、経路12a,12bを構成する光ファイバは、同一のものであることが好ましい。
マルチチャンネル分光器20は、光ガイド部材12の他端側に光学的に接続される。マルチチャンネル分光器20は、光の伝搬方向上流側から、回折格子21、光反射偏向手段(光反射手段)22、アパチャ23、屈折手段24、アレイ検出素子25の順に設けられる。
回折格子21には、光ガイド部材12の一の経路12aを経て出射されたサンプル光L1が照射され、反射される。サンプル光L1は、光源11から出射された光がサンプルセル13を通過し、光吸収されたものである。また、回折格子21には、光ガイド部材12の他の経路12bを経て出射されたレファレンス光L2が照射され、反射される。反射された各光L1,L2は、それぞれ分光される。
光反射偏向手段22には、回折格子21で分光された各光L1,L2が照射され、反射、偏向される。この光反射偏向手段22は、分光された各光L1,L2を所定の波長バンドごとに偏向して反射するプログラマブル回折格子である。また、プログラマブル回折格子が、MEMSアクチュエータを有することがより好ましい。さらに、光反射偏向手段22は、サンプル光L1とレファレンス光L2を別々に反射、偏向させるべく、光ガイド部材12の経路数と同数(図1中ではサンプル光用プログラマブル回折格子22a,レファレンス光用プログラマブル回折格子22bの2つ)設ける。
アパチャ23は、偏向された各光L1,L2の通過/遮断を行う遮光絞りであり、偏向されたサンプル光を通過/遮断するサンプル光用アパチャと、偏向されたレファレンス光を通過/遮断するレファレンス光用アパチャとからなる。偏向された各光L1,L2が、遮断体23aに照射されると伝搬遮断となる。また、偏向された各光L1,L2が、隣接する遮断体23a間の開口部に向けて照射されると通過となる。遮断体23aの形状は、特に限定するものではなく、矩形状の他に、円形状であってもよい。開口部は、遮断体23a自体に設けた溝(スリット)であってもよい。
屈折手段24(例えば、プルーフプリズム)には、アパチャ23を通過した各光L1,L2が照射され、各光L1,L2の波長バンドごとのスペクトルが、アレイ検出素子25に達するように屈折させる。
アレイ検出素子25は、プリズム24によって屈折された各スペクトルを検出し、サンプル光L1とレファレンス光L2のスペクトルの差を出力する。アレイ検出素子25には、演算手段(図示せず)が電気的に接続されており、アレイ検出素子25の出力に基づいて、演算手段がガス濃度の演算を行う。
光源11から出射される光としては、特に限定するものではなく、紫外線、赤外線などが挙げられる。ここで、分析対象ガスが例えばSO3である場合、紫外線を用いることが好ましい。また、光源11としては、装置コストが安価なランプが好ましいが、レーザ発振手段を用いてもよい。
屈折手段24としては、アパチャ23を通過した各光L1,L2を、アレイ検出素子25の位置に屈折させることができるものであれば特に限定するものではなく、プリズムの他に、円筒レンズ(シリンドリカルレンズ)などが挙げられる。
本実施の形態に係るガス分析装置10は、例えば、図12に示す煙道120の近傍に配置され、流通ガスG1のガス分析に供される。具体的には、流通ガスG1が流れる煙道120に、ガス採取・供給ライン121及びガス排出ライン122の各一端部を臨んで設け、各ライン121,122の他方の端部に、ガス分析装置10のサンプルセル13が接続される。また、ガス採取・供給ライン121の中途にはダストフィルタ123が、ガス排出ライン122の中途にはポンプ124が設けられる。さらに、各ライン121,122の周りには、ラインを加熱するためのヒータ(図示せず)が設けられる。また、サンプルセル13の周りにはセルヒータ125が設けられ、このセルヒータ125には温度調節手段126が接続される。さらに、図12,図13に示すように、ガス分析装置10のアレイ検出素子25には、ACアンプ127を介して演算装置128が接続される。
次に、本実施の形態に係るガス分析装置10を用いたガス分析方法を、添付図面に基づいて説明する。
図2に示すように、分析対象ガス21が充填されたサンプルセル22の一端側(図2中では左側)から入射光I0を入射させることで、入射光I0が吸光され、サンプルセル22の他端側(図2中では右側)から出射光I1として出射される。この時、入射光I0と出射光I1との間には、
I1(λ)=I0(λ)×T(λ)
ここで、T(λ)は透過率
の関係が成り立つ。透過率が十分小さい時、透過率は分析対象ガス21の濃度に比例する。
また、この時の、入射光I0及び出射光I1の各スペクトルを図3に示す。入射光I0は、ある一定の波長域で光強度がP1である。これに対して、出射光I1は、ある一定の波長域で光強度がP2(<P1)であり、かつ、波長域λ1〜λ3(中心波長λ2)の範囲において光強度が減衰しており、波長λ2の時に光強度が最小(P3)となっている。P1は前述の式のI0(λ)、P2は前述の式のI1(λ)に相当している。また、波長域λ1〜λ3(中心波長λ2)において、ΔPa(=P2−P3)の光減衰があることから、波長域からガスの種類、光減衰の程度からその濃度がわかる。
ところで、光源であるランプやレーザ発振手段から出射される光(入射光I0)の光強度が常に一定であれば、最初に入射光I0の光強度を測定しておくことで、常に正確にガス分析を行うことができる。しかし、入射光I0の光強度は、周囲の気温の変化などに応じて変動する。
このため、図15に示したガス分析装置150においては、サンプルセル152と別に設けた参照セル153内にレファレンス光を常時導入しておき、レファレンス光を常時計測することで、入射光I0の光強度を求めていた。一方、前述した特許文献1記載のガス分析装置においては、所定の時間間隔でサンプルセル内にゼロガス(N2ガスなど)を流してサンプルセル内のガスをパージし、入射光I0の光強度を所定間隔で再計測していた。これによって、入射光I0の光強度の変動を補正していた。しかしながら、パージ間隔より短いスパンでは、光学ノイズやドリフトの補正を行うことができないため、パージ直前の段階では分析精度が悪化してしまう。また、パージ間隔を短くすれば分析精度を向上させることができるが、連続的にガス分析を行うのが困難となってしまう。
そこで、本実施の形態に係るガス分析装置10においては、サンプル光の参照対象であるレファレンス光を、実際に参照セルを用いるのではなく、参照セルを用いた状態をシミュレートして測定するものである。このシミュレーションにより測定されたレファレンス光の光強度を、常時、サンプル光の入射光I0の光強度としてフィードバックすることで、常に精度良くガス分析を行うことができる。
具体的には、図4に示すように、先ず、光源11から出射された光強度I0の光(白色光)は、サンプル光L1とレファレンス光L2の2つに分岐される。
サンプル光L1は、分析対象ガスが充填されたサンプルセル13を通ることで、光強度がI1に減衰され、固定された回折格子21で反射される。同様に、レファレンス光L2も固定された回折格子21で反射される。このとき、サンプル光L1とレファレンス光L2は、回折格子21の別々の位置(図1中では上段と下段)で反射されるので、互いに干渉されない。回折格子21によって、各光L1,L2はそれぞれ分光され、虹色光となる。
分光されたサンプル光L1とレファレンス光L2は、上下二段に配置された2つの光反射偏向手段(MEMS(Micro Electro Mechanical System)アクチュエータを有するプログラマブル回折格子(以下、MEMS型プログラマブル回折格子と記す))であるサンプル光用プログラマブル回折格子22a,レファレンス光用プログラマブル回折格子22bで反射、偏向される。図4に示すように、各MEMS型プログラマブル回折格子22a,22bにおける各MEMSアクチュエータ(以下、MEMS1、MEMS2と記す)に到達した各光L1,L2は、所定の角度範囲で高速で反射、偏向され、交互にアパチャ23(サンプル光用アパチャ、レファレンス光用アパチャ)へと向かう。この反射、偏向によって、各光L1,L2の光強度I1,I0は、光強度I2,I0に調整される。
例えば、図5(a)に示すように、MEMS1(又はMEMS2)は、基板51上に静止電極52a…52n(図5(a)中では52aのみ図示)が設けられ、各静止電極52a…52nと離間して移動電極53a…53n(図5(a)中では53aのみ図示)を設けたものである。各移動電極53a…53nは、各静止電極52a…52nに対して当接、離間自在(図5(a)中では上下方向移動自在)に設けられる。また、各移動電極53a…53nは、基板51に設けられる脚部54a,54bと、電極本体部(ミラー部)55と、一端が脚部54a,54bに固定して設けられ、他端が電極本体部55を吊設するフレキシブル接続部56a,56bとを有している。フレキシブル接続部56a,56bの厚さD2は、電極本体部55の厚さD1よりも薄く(例えば、約1/3)形成しておくことで、フレキシブル接続部56a,56bは自在に屈曲される。電極本体部55は剛直で、屈曲しない。各静止電極52a…52nは、それぞれが制御手段(例えば、コンピュータ(図示せず))の各アドレスに独立して接続されている。
各静止電極52a…52nと各移動電極53a…53n間の電圧(電位差)を、制御手段によりそれぞれ制御することで、各移動電極53a…53nを独立させて駆動させることができる。その結果、各静止電極52a…52nと各移動電極53a…53n間の離間距離H1…Hn(図5(a)中ではH1のみ図示)を、それぞれ無段階に自在に調節することができる。電圧と離間距離H1…Hnとの関係は予め検量線を作成しておき、この検量線に基づいて、離間距離H1…Hnを調節する。このように、静止電極と移動電極の各離間距離H1…Hnを、それぞれ無段階に自在に調節することで、アパチャ23を通過する光の強度を波長バンドごとに調節することができる。また、MEMS1,MEMS2の各移動電極53a…53nの制御は、高速で、かつ、制御手段によって同期させて交互に行われる。
具体的には、図5(b)に示すように、全ての移動電極53a…53nを動かさず、静止電極52a…52nから離間させたままとすることで(全OFF時)、アパチャ23において、所定の波長バンドの光(図5(b)中では光59a〜59c)が全て遮断される。また、図5(c)に示すように、全ての移動電極53a…53nを静止電極52a…52nと当接させることで(全ON時)、所定の波長バンドの光(図5(c)中では光59a〜59c)がアパチャ23間を通過する。また、図5(d)に示すように、移動電極53a…53nの一部を静止電極52a…52nと当接又は近接させ、残部の移動電極53a…53nを動かさず、離間させたままとすることで(光強度調整時)、当接又は近接させる静止電極と対応したある波長バンドの光(図5(d)中では光59b,59c)だけが、光強度を調整されてアパチャ23間を通過する。離間させたままの静止電極と対応したある波長バンドの光(図5(d)中では光59a)は、アパチャ23で遮断される。
アパチャ23間を通過した光強度がI2,I0の各光L1,L2は、交互に屈折手段24に照射される。屈折手段24に入射した各光L1,L2は、それぞれ屈折させられ、波長バンドごとのスペクトルがアレイ検出素子25に達するように出射される。
屈折手段24を通過した各光L1,L2は、図4に示したように、交互に検出器(アレイ検出素子25)で受光される。アレイ検出素子25は、水平に配列、配置された各検出部を有しており、各検出部で各波長バンドごとのスペクトルがそれぞれ受光される。各検出部で、プリズム24によって屈折された各光L1,L2の各スペクトルが交互に検出され、サンプル光L1とレファレンス光L2の各波長バンドごとのスペクトルの差がそれぞれAC出力される。図4中では、検出器から出力δIが出力される。このAC出力は、各波長バンドごとのスペクトルの吸収度合いに比例している。
各AC出力が演算手段(例えば、データ演算装置)に取り込まれ、ケモメトリックスなどの多変量解析手法を用いて波形処理を行うことで、ガス成分、ガス濃度の分析がなされる。ここでは、例えば、予め作成しておいた濃度算出用のスペクトルb(重みスペクトルや、回帰ベクトルなど)と検出器からの出力δIとの積を、全ての波長バンドで計算し、その総和を求めることで、分析対象ガスのガス濃度yが求まる。濃度算出用のスペクトルbは、分析対象ガスの種類ごとに、演算装置のメモリに記憶、保存されている。濃度yは以下の(1)式で表される。
Figure 0004211670
ここで、本実施の形態に係るガス分析装置10は、濃度演算を、サンプル光L1とレファレンス光L2の各波長バンドごとのスペクトルの差を基に行っている。よって、ある波長のスペクトルの差が小さくても、言い換えると分析対象ガスによるある波長の光吸収が小さくても、分割波長バンドの全域に亘って各波長バンドごとのスペクトルの差を光強度調整(光強度を増幅及び/又は減衰)することで、ある波長のスペクトルの差を強調させる(増幅させる)ことができる。
例えば、図5(d)における光強度調整の一例を図6に示すように、波長範囲がλ4〜λ9、光強度がP4の入射光61は、図5(d)に示したMEMS1(又はMEMS2)により反射され、アパチャを通過することで通過光62となる。この通過光62は、λ6〜λ7、λ8〜λ9の波長バンドにおいて光強度がP5(<P4)に調整される。また、通過光62は、λ4〜λ5の波長バンドにおいて光強度がP6(<P5)に調整される。さらに、通過光62は、λ5〜λ6の波長バンドで、光強度がP6からP7(<P6)に連続的に減少するように調整される。また、通過光62は、λ7〜λ8の波長バンドにおいて光強度がP8(<P7)に調整される。このように、MEMS1(又はMEMS2)は、波長バンドごとに、入射光61を偏向させると共に、入射光61の光強度を自在に調整することができる。
このため、分析対象ガスの光吸収が小さくても、図15に示したガス分析装置150のように全長が約1m程度の大きなサンプルセルを用いたり、特許文献1記載のガス分析装置のようにマルチパス化により光路長を長くする必要がない。よって、本実施の形態に係るガス分析装置10においては、サンプルセル13自体の大きさを小さくすることができ、例えば、約10cm程度に小型化することができる。その結果、ガス分析装置10全体の小型化を図ることができる。また、サンプルセル13を小型化できることから、サンプルセル13内のガス温度を一定に保つセルヒータ125(図12参照)を小型化できる。延いては、セルヒータ125による加熱コスト(ランニングコスト)を低減することができる。
また、本実施の形態に係るガス分析装置10は、設置スペースが狭隘であるため、従来、サンプルセルの設置が困難であった場所、例えば、図12に示すように、流通ガスG1(分析対象ガス)が流れる煙道120の近傍に、サンプルセル13を設置することができるようになる。その結果、流通ガスG1の採取・供給ライン121及び排出ライン122は短くて済む。よって、各ライン121,122の装置コストを低減することができる。また、特に採取・供給ライン121のライン長が短くなることで、ライン121内でガス構成成分同士が反応するおそれが低減し、ガス分析の精度が向上する。さらに、各ライン121,122内を流れるガス温度を一定に保つためのヒータによる加熱量も少なくて済み、ランニングコストを低減することができる。
また、本実施の形態に係るガス分析装置10においては、サンプルセル13の長さは短く、かつ、光路長を長くするために、セル内部にマルチパスの光路を形成する必要もない。このため、本実施の形態に係るガス分析装置10において、妨害ガスによる光吸収も小さくなる。その結果、分析対象ガス中に高濃度の妨害ガスが含まれていても、精度良くガス分析を行うことができる。また、サンプルセル13の長さ及び光路長が短いことから、サンプルセル13内でのタイムラグが短くなると共に、サンプルセル13内部における温度によるサンプル光の揺らぎが少なくなる。
また、本実施の形態に係るガス分析装置10は、特許文献1記載のガス分析装置と比較して、装置全体の光路長を短くすることができる。よって、装置の稼働に伴って、震動などにより光軸にズレが生じたとしても、光路長が短い分、ある程度の光軸ズレを許容することができる。よって、本実施の形態に係るガス分析装置10は、特許文献1記載のガス分析装置と比較して、光学系の調整を行うメンテナンス間隔を長くすることができ、メンテナンスが容易となる。
次に、レファレンス光L2のシミュレーションによる計測について、具体的に説明する。先ず、サンプルセル13内に分析、測定対象ガスが充填されていない状態で、サンプルセル13内にN2ガスなどを注入する。この状態で、光源11から光を出射し、サンプル光L1及びレファレンス光L2の各波長バンドごとのスペクトルの差をアレイ検出素子25からAC出力する。この時、AC出力がゼロとなるように、MEMS2(レファレンス光用プログラマブル回折格子22b)の各移動電極53a…53nを調節し、この状態をMEMSデータ1として記憶させておく。
その後、サンプルセル13内に分析、測定対象ガスを注入する。この状態で、光源11から光強度I0の光を出射し、各波長バンドごとのスペクトルに分光された各光L1,L2を、MEMS1,MEMS2で反射、偏向させる。MEMS1,MEMS2は、各波長バンドごとのスペクトルに分光された各光L1,L2がアレイ検出素子25に達するように、各光L1,L2を反射、偏向させる。この時、MEMS1,MEMS2は、各光L1,L2の各スペクトルが交互にアレイ検出素子25で検出されるべく、それぞれ制御手段により同期させて制御される。また、光L2がアレイ検出素子25に達するように光L2をMEMS2で反射、偏向させる際、MEMS2は予め記憶しておいたMEMSデータ1の状態に制御される。
一方、光源11から出射される光の光強度は、周囲の気温の変化などにより変動する。しかし、光強度がI0からI0′に変動した場合でも、レファレンス光L2は、MEMSデータ1の状態に調節されたMEMS2で反射、偏向される。その後、アレイ検出素子25で、光強度I0′のレファレンス光L2に対応した各光スペクトルを検出し、この新たな検出値と、光強度I0のレファレンス光L2に対応した各光スペクトルとを比較することで、光強度の変動量が求められる。この光強度の変動量から新たな光強度I0′が決定され、この新たな光強度I0′は、即座にサンプル光L1の光強度I0′としてフィードバックされる。
本実施の形態に係るガス分析装置10においては、レファレンス光L2を、実際に参照セルを用いて測定するのではなく、参照セルを用いた状態をシミュレートして測定する。そして、このシミュレーションにより測定されたレファレンス光L2の光強度を、常時、サンプル光L1の入射光I0の光強度としてフィードバックしている。よって、参照セルを用いなくても、常に光強度の変動を検出でき、常に精度良くガス分析を行うことができる。
また、レファレンス光L2の光強度を常時測定できることを利用し、光源11の電圧を制御することで、レファレンス光L2の光強度が一定となるように補正を行ってもよい。この補正を、具体例を挙げて説明する。
先ず、入射光I0の光スペクトル(ゼロガススペクトル)を20秒間隔で10回計測し、それぞれの時の積算平均スペクトルを求めた。その結果、図7に示すように、最も受光強度が大きくなるのは、波長が228nmの時であり、その時の受光強度は約29700であった。
次に、最も受光強度が大きな波長228nmの時の受光強度と経過時間との関係を求めた。その結果、図8に菱形印のプロットで示すように、受光強度は常に一定ではなく、時間の経過に伴って変動し、最大で約1400のバラツキが生じた。この受光強度の変動は、ノイズに伴うランプ強度の変動によるものと考えられる。
各計測時におけるI0の変動は、ガス濃度を計算する際に誤差が生じる要因となる。ここで、ノイズの原因を解析するために、以下の計算を行った。
各受光強度スペクトルをPi(x)、iは計測の順番(1〜10)、xは検知素子の番号(波長バンドに相当)とすると、10個の各計測スペクトルの積算平均は、以下の(2)式で表される。
Figure 0004211670
また、(2)式で得られた積算平均スペクトルのバラツキ具合を調べるために、分散スペクトルvar(x)を計算すると、(3)式で表される。
Figure 0004211670
(3)式で得られた分散の大きさが、波長依存性を有しているのか又はランダムであるのかを調べるために、分散の移動平均ptSDを計算すると、(4)式で表される。ここでは、9ポイントを移動平均した。
Figure 0004211670
(4)式で得られた9点移動平均値と10回計測時の平均受光強度との関係を図9に示すように、9点移動平均値と平均受光強度は強く相関していることがわかる。ここで、移動平均値は、ノイズの大きさに相当していることから、I0の変動は、受光強度、つまりランプ強度の変動に大きく起因していることがわかる。受光強度とノイズの大きさで単回帰分析を行うと、
y=0.0128x+2.9838(R2=0.999(R:相関係数)) …(5)式
となる。
(5)式から、ランプ強度とノイズの大きさとの関係を求めると図10となる。図10に示すように、線101で表されるノイズの大きさは、線102で表される電気系ノイズ(ランプ以外のノイズ)と、線103で表されるランプノイズとの和となる。つまり、ノイズの大きさは2つの要素に起因しており、一方はランプ強度の大きさに比例するランプノイズ、他方はランプ強度の大きさに関係なく常に一定の値を示す電気系ノイズである。
波長228nmにおける受光強度(約29700)の場合、図9に示したように9点移動平均値(ノイズの大きさ101)は約350であった。このため、受光強度I0の変動も最大約350となった。ところが、図10に示したように、ランプノイズ103による影響をゼロとすると、ノイズの大きさ101は理論的には3±0.5となり、受光強度I0の変動を最大で3±0.5とすることが可能となる。例えば、波長228nmの光の受光強度がI0の時、ランプノイズ103による影響をゼロとした場合(光強度の補正を行った場合)、図11に四角印のプロットで示すように、時間の経過に関係なく、受光強度は略一定(約29700)となる。図11に菱形印のプロットで示す光強度補正前と比較すると、受光強度の変動が抑制されていることがわかる。
そこで、シミュレーションにより測定されたレファレンス光L2の光強度を、常時、光源11に接続して設けた電圧制御手段(図示せず)にフィードバックし、光源11の電圧制御を行うようにする。これによって、レファレンス光L2の光強度は常にほぼ一定となり、本実施の形態に係るガス分析装置10は、常に精度良くガス分析を行うことができる。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の他の好適一実施の形態に係るガス分析装置の斜視概略図を図14に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
図14に示すように、本実施の形態に係るガス分析装置140の基本的な構成は、図1に示したガス分析装置10と同じである。ガス分析装置140が、ガス分析装置10と異なる点は、アパチャ23と屈折手段24との間に第2回折格子143(集光手段)を設け、検出手段として検出器145を設け、各MEMS型プログラマブル回折格子22a,22bに制御演算手段141を接続した点である。
第2回折格子143としては、回折格子21と同じものが使用可能である。回折格子143により、各波長バンドごとのスペクトル(虹色の光)に分光された各光L1,L2が、単一光(白色光)にコンデンス(集光)される。また、集光手段として、第2回折格子143の代わりに積分球を用いてもよい。
検出器145としては、アレイ型の検出器である必要はなく、シングル型の検出器で十分である。
制御演算手段141は、各MEMS型プログラマブル回折格子22a,22bの制御手段としての機能と、図1に示したアレイ検出素子25に接続された演算手段としての機能を併せ持つものである。制御手段としての機能部と演算手段としての機能部は、一体に設けてもよく、又はそれぞれ別体に設けてもよい。
次に、本実施の形態に係るガス分析装置140を用いたガス分析方法を、添付図面に基づいて説明する。
本実施の形態に係るガス分析装置140を用いたガス分析方法は、基本的に前実施の形態に係るガス分析装置10を用いたガス分析方法と同じであるが、分析対象ガスの濃度を演算する手法が異なる。
図4に示したように、先ず、光源11から出射された光強度I0の光(白色光)は、サンプル光L1とレファレンス光L2の2つに分岐される。
サンプル光L1は、分析対象ガスが充填されたサンプルセル13を通ることで、光強度がI1に減衰され、固定された回折格子21で反射される。同様に、レファレンス光L2も固定された回折格子21で反射される。回折格子21によって、光は波長バンドごとのスペクトルに分光され、虹色光となる。
分光されたサンプル光L1とレファレンス光L2は、上下二段に配置された2つのMEMS型プログラマブル回折格子22a,22bで反射、偏向される。MEMS型プログラマブル回折格子22a,22bにおけるMEMS1,MEMS2に到達した各光L1,L2は、所定の角度範囲で高速で反射、偏向される。
ここで、MEMS1(サンプル光用プログラマブル回折格子22a)における反射、偏向は、前実施の形態の[数1]で示した(1)式の演算結果に基づいてなされる。具体的には、(1)式の演算内容と同じことが、MEMS1において光学的に行われる。この時、濃度算出用のスペクトルbと同じ割合となるように、MEMS1の各移動電極53a…53nを調節して光の反射率R(λ)を制御し、分光されたサンプル光L1を、各波長バンドごとに反射率を変えて反射、偏向させる。言い換えると、MEMS1において、分光されたサンプル光L1の偏向量の制御を波長バンドごとに行って、サンプル光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、この状態で分光されたサンプル光L1を反射、偏向させる。
MEMS1,MEMS2において、所定の角度範囲で高速で反射、偏向された各光L1,L2は、交互にアパチャ23へと向かう。アパチャ23間を交互に通過した各光L1,L2は、第2回折格子143で集光される。この集光によって、各光L1,L2の全波長バンドのスペクトルがまとめられる(足し合わされる)。
その後、集光された各光L1,L2は、それぞれ屈折手段24で屈折させられ、波長バンドごとのスペクトルが検出器145に達するように出射される。
屈折手段24を通過した各光L1,L2は、交互に検出器145で受光される。検出器145でそれぞれ受光、検出されるのは、各光L1,L2の全波長バンドにおける光量の総和である。よって、検出器145からの出力が、そのまま分析対象ガスの濃度となる。
また、分析対象ガスが多成分ガスである場合、各成分(成分c1、成分c2、…、成分cn)の濃度演算をシーケンシャルに行う(逐次行う)。具体的には、先ず、MEMS1において、サンプル光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分c1の濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分c1の濃度を検出器145から出力する。次に、MEMS1において、サンプル光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分c2の濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分c2の濃度演算を検出器145から出力する。順次、この演算を繰り返し、最後に、MEMS1において、サンプル光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分cnの濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分cnの濃度演算を検出器145から出力する。
本実施の形態に係るガス分析装置140では、前実施の形態に係るガス分析装置10のように、アレイ検出素子25から多量のデータを演算手段に転送し、それらのデータを演算手段で演算する必要がないため、より高速度なガス分析が可能となる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
本発明の好適一実施の形態に係るガス分析装置の斜視概略図である。 サンプルセルにおける吸光の様子を示すモデル図である。 入射光及び出射光における波長と光強度との関係を示す図である。 図1におけるガス分析装置を伝搬される各光の光強度を示すモデル図である。 MEMSアクチュエータの概略図である。図5(a)は横断面図、図5(b)は全OFF時のモデル図、図5(c)は全ON時のモデル図、図5(d)は光強度調整時のモデル図である。 入射光及び通過光における波長と光強度との関係を示す図である。 ある波長バンドの光の、波長と受光強度との関係を示す図である。 ある波長バンドの光の、受光強度の変動を示す図である。横軸は経過時間、縦軸は受光強度を示す。 平均受光強度と9点移動平均値との関係を示す図である。 ランプ強度とノイズの大きさとの関係を示す図である。 補正前及び補正後の、ある光の受光強度の変動を示す図である。横軸は経過時間、縦軸は受光強度を示す。 本発明の好適一実施の形態に係るガス分析装置の適用例を示す図である。 図12におけるガス分析装置の上面図である。 本発明の他の好適一実施の形態に係るガス分析装置の斜視概略図である。 従来のガス分析装置の模式図である。
符号の説明
10 ガス分析装置
11 光源
12 光ガイド部材
12a,12b 経路
13 サンプルセル
20 マルチチャンネル分光器
22 プログラマブル回折格子(光反射偏向手段)
22a サンプル光用プログラマブル回折格子
22b レファレンス光用プログラマブル回折格子
25 アレイ検出素子
L1 サンプル光
L2 レファレンス光

Claims (10)

  1. 光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うガス分析装置において、
    吸光分析の対象となるガスが収容されるサンプルセルと、
    サンプルセルの一側に設けられた光源と、
    光源から出射されてサンプルセルを通過したサンプル光と光源から別経路でガイドされたレファレンス光をそれぞれ分光する回折格子と、
    回折格子で分光されたサンプル光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するサンプル光用プログラマブル回折格子と、
    サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光を波長バンドごとに通過/遮断するサンプル光用アパチャと、
    回折格子で分光されたレファレンス光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するレファレンス光用プログラマブル回折格子と、
    レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたレファレンス光を波長バンドごとに通過/遮断するレファレンス光用アパチャと、
    サンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルを交互に検出し、サンプル光とレファレンス光のスペクトルの差を出力するアレイ検出素子と、
    各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光を屈折させてアレイ検出素子に到達させる屈折手段と、
    アレイ検出素子からの出力に基づいてガス濃度の演算を行う演算手段とを備えることを特徴とするガス分析装置。
  2. 光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うガス分析装置において、
    吸光分析の対象となるガスが収容されるサンプルセルと、
    サンプルセルの一側に設けられた光源と、
    光源から出射されてサンプルセルを通過したサンプル光と光源から別経路でガイドされたレファレンス光をそれぞれ分光する回折格子と、
    回折格子で分光されたサンプル光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するサンプル光用プログラマブル回折格子と、
    サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光を波長バンドごとに通過/遮断するサンプル光用アパチャと、
    サンプル光の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルと同じ重み付けを行うべく、サンプル光用プログラマブル回折格子でのサンプル光の偏向量を調節する演算手段と、
    回折格子で分光されたレファレンス光を所定の波長バンドごとに偏向して反射するレファレンス光用プログラマブル回折格子と、
    レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたレファレンス光を波長バンドごとに通過/遮断するレファレンス光用アパチャと、
    各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ集光する集光手段と、
    集光されたサンプル光とレファレンス光を交互に検出し、サンプル光とレファレンス光の総和の差からガス濃度を検出する検出素子
    集光手段で集光されたサンプル光とレファレンス光をそれぞれ屈折させ、検出素子に到達させる屈折手段とを備えることを特徴とするガス分析装置。
  3. 上記レファレンス光用アパチャを通過するレファレンス光の波長バンドごとの強度が、サンプルセルに吸光分析の対象となるガスが充填されていないときのサンプル光の波長バンドごとの強度と等しくなるように、上記光源の光強度の変動に応じてレファレンス光用プログラマブル回折格子でのレファレンス光の偏向量を調節する請求項1または2記載のガス分析装置。
  4. 上記各プログラマブル回折格子が、MEMSアクチュエータを有する請求項1〜3いずれかに記載のガス分析装置。
  5. 上記集光手段が、第2回折格子または積分球である請求項記載のガス分析装置。
  6. 光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うガス分析方法において、
    光源から出射された光を少なくとも2つに分岐し、
    一方の光を吸光分析の対象となるガスが収容されたサンプルセルに導入し、光吸収させると共にサンプルセルを通過させてサンプル光とし、他方の光は光吸収させず、出射された状態のままのレファレンス光とし、
    サンプル光とレファレンス光を回折格子でそれぞれ分光し、
    分光されたサンプル光をサンプル光用プログラマブル回折格子で所定の波長バンドごとに偏向、反射させ、これをサンプル光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断すると共に、
    分光されたレファレンス光をレファレンス光用プログラマブル回折格子で所定のバンドごとに偏向、反射させ、これをレファレンス光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断し、
    各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光を屈折させてアレイ検出素子に到達させると共に、
    アレイ検出素子でサンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルを交互に検出し、
    アレイ検出素子が出力したサンプル光とレファレンス光のスペクトルの差に基づいて演算手段でガス濃度の演算を行うことを特徴とするガス分析方法。
  7. 光の吸収を利用してガス濃度、成分の吸光分析を行うガス分析方法において、
    光源から出射された光を少なくとも2つに分岐し、
    一方の光を吸光分析の対象となるガスが収容されたサンプルセルに導入し、光吸収させると共にサンプルセルを通過させてサンプル光とし、他方の光は光吸収させず、出射された状態のままのレファレンス光とし、
    サンプル光とレファレンス光を回折格子でそれぞれ分光し、
    分光されたサンプル光をサンプル光用プログラマブル回折格子で所定の波長バンドごとに偏向、反射させると共に、サンプル光の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルと同じ重み付けを行うべく、サンプル光用プログラマブル回折格子でのサンプル光の偏向量を調節し、サンプル光用プログラマブル回折格子で偏向、反射されたサンプル光をサンプル光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断すると共に、
    分光されたレファレンス光をレファレンス光用プログラマブル回折格子で所定のバンドごとに偏向、反射させ、これをレファレンス光用アパチャで所定の波長ごとに通過/遮断し、
    各アパチャを通過したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ集光し、
    集光したサンプル光とレファレンス光をそれぞれ屈折させて検出素子に到達させると共に、
    検出素子でサンプル光とレファレンス光を交互に検出し、
    検出素子で検出したサンプル光とレファレンス光の総和の差からガス濃度を求めることを特徴とするガス分析方法。
  8. サンプル光とレファレンス光の波長バンドごとのスペクトルが交互にアレイ検出素子で検出されるように、各プログラマブル回折格子で各光を偏向、反射させる際、各プログラマブル回折格子の偏向制御を同期させて行う請求項記載のガス分析方法。
  9. 集光されたサンプル光とレファレンス光の光量の総和が交互に検出素子で検出されるように、各プログラマブル回折格子で各光を偏向、反射させる際、各プログラマブル回折格子の偏向制御を同期させて行う請求項記載のガス分析方法。
  10. 上記レファレンス光用アパチャを通過するレファレンス光の波長バンドごとの強度が、サンプルセルに吸光分析の対象となるガスが充填されていないときのサンプル光の波長バンドごとの強度と等しくなるように、上記光源の光強度の変動に応じてレファレンス光用プログラマブル回折格子でのレファレンス光の偏向量を調節する請求項6〜9いずれかに記載のガス分析方法。
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