JP4672496B2 - コンクリート劣化因子検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造物の劣化因子を、分光分析法を用いて非破壊非接触に検出するコンクリート劣化因子検出方法に関するものである。
従来、コンクリート構造物の劣化部分を検出するには、コンクリート構造物の一部をサンプルとして採取して劣化要因となる成分(劣化因子)の種類と濃度を分析する方法が一般的であった。
一方、劣化因子濃度の検出を、劣化因子が吸収する波長帯を含む光を、測定対象とするコンクリート面に照射し、そのコンクリート面での反射光(散乱光)を受光し、特定の物質の反射光が劣化因子の濃度に依存して特定波長域で減衰する現象を利用した分光分析法を利用して、コンクリート構造物の劣化因子の濃度分布状況を非破壊・非接触的に検出する方法が提案されている。
この劣化因子検出方法では、コンクリートの劣化について化学的な分析をサンプルを採取することなく行うことができる。これにより、検査の簡略化、低コスト化を図ることができるといった利点がある。
金田尚志(東京大学生産技術研究所),石川幸宏(芝浦工業大学大学院),魚本健人(東京大学生産技術研究所)「コンクリート工学」vol.43,No3,p.37-44
しかしながら、大抵、ビルや橋梁等のコンクリート構造物の劣化診断は屋外で行われる。そのため、分光分析法によるコンクリート構造物の劣化診断では、日射(照度)、温度、湿度或いは風速といった環境的な影響因子が検出される吸光度に影響する。すなわち、測定機会ごとに検出される反射光の吸光度が、劣化因子による吸収以外の要因で変化する(検出バックグラウンドに揺らぎが生じる)可能性があり、コンクリート構造物に含まれる劣化因子の定量的な評価をすることが困難である。
さらに、このような影響因子は環境的なものだけではなく、その他に、骨材やセメントの種類、表面の凹凸、汚れや含水等といったコンクリート自体が有する影響因子もある。したがって、これらの影響因子により正確なコンクリートの劣化度(劣化因子の濃度に依存する反射光の吸光度)を測定することは困難である。
また、ビルや橋梁等のコンクリート構造物を測定する際には、その測定する面積が大きく、測定時間が大幅に掛かってしまう。例えば、道路橋や鉄道橋の劣化診断を行う際には、交通規制をして行うため、診断時間を短くすることが必要とされる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、コンクリートの劣化因子を正確にかつ高速に検出することができるコンクリート劣化因子検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、測定対象とする構造物のコンクリート面の劣化を光学的に検出する方法において、コンクリート面に赤外線を照射し、コンクリート面からの反射光を分光器に入力し、上記分光器にて、入力された反射光を回折格子で所定波長毎に分光し、上記回折格子で所定波長毎に分光された反射光を、プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、上記プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させ、上記光検出器にて、特定の劣化因子を検出するための特定波長の光と、その特定波長の前後の上記劣化因子による吸収がない波長の光とを交互に検出して、上記特定の劣化因子を検出するための特定波長の光と上記劣化因子による吸収がない波長の光の光強度の差を検出し、上記光検出器で検出した光強度の差と、予め求めた上記光強度の差と上記劣化因子の濃度の関係を表す検量線とを基に、劣化因子の濃度を検出するコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、測定対象とする構造物のコンクリート面の劣化を光学的に検出する方法において、コンクリート面に赤外線を照射し、コンクリート面からの反射光を分光器に入力すると共に、上記赤外線をレファレンス光として分光器に入力し、上記分光器にて、入力された反射光とレファレンス光とを回折格子で所定波長毎にそれぞれ分光し、上記回折格子で所定波長毎に分光された反射光を、反射光用プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、上記反射光用プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、反射光用アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させると共に、上記回折格子で所定波長毎に分光されたレファレンス光を、レファレンス光用プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、上記レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、レファレンス光用アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させ、上記光検出器にて、反射光とレファレンス光を交互に検出して、特定の劣化因子を検出するための特定波長での反射光とレファレンス光の光強度の差を検出し、上記光検出器で検出した光強度の差と、予め求めた上記光強度の差と上記劣化因子の濃度の関係を表す検量線とを基に、劣化因子の濃度を検出するコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、上記赤外線を出射する光源と、上記分光器と、コンクリート面からの反射光を順次分光器に入力するスキャニング装置を移動手段に搭載し、その移動手段をコンクリート面に沿って移動させながら、コンクリート面の上記劣化因子の濃度を検出する請求項1または2に記載のコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、上記劣化因子の濃度を検出すると共に、コンクリート面の静止画または動画を撮影し、その撮影した静止画または動画と上記コンクリート面から検出される劣化因子の濃度とを照合して、コンクリート面の劣化部分の位置を特定する請求項記載のコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、波長1410nm、2390nm、或いは3980nm付近の上記光強度の差求めて中性化因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、波長2260nm付近の上記光強度の差求めて塩害因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法である。
請求項の発明は、波長1410nm、1750nm付近の上記光強度の差求めて硫酸塩因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法である。
本発明によれば、コンクリートの劣化因子を正確にかつ高速に検出することができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
分光分析法を用いたコンクリート劣化因子検出方法は、図1に示すように、測定対象とする構造物Kのコンクリート面Cに光Lを照射し、その反射光を測定して、コンクリート面Cの劣化を光学的に検出する方法である。
本実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法では、コンクリートを劣化させる原因となる成分(劣化因子)として、例えば、塩害因子、中性化因子、硫酸塩因子等があり、それら劣化因子が赤外領域(特に近赤外〜中間赤外)に吸収ピークを有するので、その吸収ピークの吸光度から劣化因子の濃度を求める分光分析法を用いている。まず、本検出方法に用いる分光分析装置について説明する。
図2(a)に示すように、分光分析装置10は、測定の対象となるコンクリート面Cに光を照射して、その反射光からコンクリート面Cにおける劣化因子等の2次元分布を計測するシステムであり、光源11と、スキャニング装置12と、マルチチャンネル分光器(以下、分光器)14と、演算手段15とを備える。
光源11は、コンクリート面Cに光を照射する部材である。光源11から出射される光(光源出射光)Lとしては、塩害因子、中性化因子、硫酸塩因子の劣化因子を検出するため、これらの劣化因子が吸収ピークを有する赤外線(特に、近赤外線〜中間赤外線)を含む光であればよい。
スキャニング装置12は、分光器14と光ファイバ13を介して光学的に接続され、コンクリート面Cから反射された光のうち、コンクリート面C内に並ぶ複数の点のうち一点(計測点p)からの反射光を順次分光器14に取り込むものである。具体的には、図2(b)に示すように、スキャニング装置12は、ポリゴンミラー16及びガルバノミラー17を備えている。ポリゴンミラー16は、回転軸の周囲に一連の平面ミラーを備えた回転多面体からなる偏向器であり、ガルバノミラー17は、単一のミラーに軸を付け、電気信号に応じてミラーの回転角を変えられるようにした偏向器である。分光分析装置10では、ポリゴンミラー16が図2(b)中紙面に垂直な軸を回転軸として回転して、コンクリート面Cを横方向(図2(a)中i方向)に走査し、ガルバノミラー17が図2(b)中紙面に平行な軸を回動軸として回動して、コンクリート面Cを縦方向(図2(a)中j方向)に走査するように構成している。
演算手段15は、分光器14に電気的に接続され、分光器14から出力されるデータを演算処理するものである。
図3に示すように、分光器14は、光ファイバ13の他端側に光学的に接続され、光の伝搬方向上流側から、回折格子31、光反射偏向手段32、アパチャ33、集光手段34、光検出器35の順に設けられてなる。
回折格子31には、光ファイバ13を経て出射された光L1が照射され、反射されると共に、各所定の波長ごとに分光される。ここで、光L1は、光源11から出射された光がコンクリート面Cに照射され、そのコンクリート面Cで反射(或いは散乱)されてスキャニング装置12から導かれてなるものである。
光反射偏向手段32には、回折格子31で分光された光L1が照射され、反射、偏向される。この光反射偏向手段32は、後に詳述するが、分光された光L1を所定の波長ごとに掃引、変調するMEMSアクチュエータを有する。
アパチャ33は、偏向された光L1の通過/遮断を行う遮光絞りである。偏向された光L1が、遮断体33aに照射されると伝搬遮断となる。また、偏向された光L1が、隣接する遮断体33a間の開口部に向けて照射されると通過となる。遮断体33aの形状は、特に限定するものではなく、矩形状の他に、円形状であってもよい。開口部は、遮断体33a自体に設けた溝(スリット)であってもよい。
集光手段34は、分光器14内で拡径した光を光検出器35に集光させる部材であり、慣用の集光レンズを用いている。
光検出器35は、集光手段34によって集光された光L1を検出し、光L1の光強度を出力するものである。光検出器35には、ACアンプ等を介して演算手段(例えば、データ演算装置)15が電気的に接続されており、演算手段15は光検出器35の出力値を記憶し、その出力値に基づいて、コンクリート面Cの二次元分布を算出する。
本実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法について説明する。
まず、光源11からコンクリート面Cに光Lを照射する。光源11から照射された光Lは、コンクリート面Cで反射され、反射光L1として出射する。その際、スキャニング装置12は、ポリゴンミラー16及びガルバノミラー17の角度を調整してコンクリート面C内の計測点p(1,1)からの反射光L1を捉える。具体的には、光ファイバ13に反射光L1が入射されるようポリゴンミラー16及びガルバノミラー17と反射光L1の光軸が合致するように光軸の調整がなされる。
スキャニング装置12によって光軸の合わせられた反射光L1は光ファイバ13を経由して分光器14へ入射される。分光器14内へ入射した光L1は回折格子31で所定波長ごとの光に分光されて、光反射偏向手段32へ向かう。
分光された反射光L1は光反射偏向手段32で反射、偏向される。光反射偏向手段32は、例えば、MEMS型プログラマブル回折格子であり、このMEMS型プログラマブル回折格子はMEMSアクチュエータを備える(以下、MEMSと称する)。MEMSに到達した光L1は、所定の角度範囲で高速で反射、偏向されアパチャ33へと向かう。この反射、偏向によって、反射光L1のうち、分光された各波長の光ごとに光強度が調整される。
例えば、図4(a)に示すように、MEMSは、基板41上に静止電極42a…42n(図4(a)中では42aのみ図示)が設けられ、各静止電極42a…42nと離間して移動電極43a…43n(図4(a)中では43aのみ図示)を設けられたものである。各移動電極43a…43nは、各静止電極42a…42nに対して当接、離間自在(図4(a)中では上下方向移動自在)に設けられる。また、各移動電極43a…43nは、基板41に設けられる脚部44a,44bと、電極本体部(ミラー部)45と、一端が脚部44a,44bに固定して設けられ、他端が電極本体部45を吊設するフレキシブル接続部46a,46bとを有している。フレキシブル接続部46a,46bの厚さD1は、電極本体部45の厚さD2よりも薄く(例えば、約1/3)形成しておくことで、フレキシブル接続部46a,46bは自在に屈曲される。電極本体部45は剛直で、屈曲しない。各静止電極42a…42nは、それぞれが制御手段(例えば、コンピュータ(図示せず))に独立して接続されている。
各静止電極42a…42nと各移動電極43a…43n間の電圧(電位差)を、制御手段によりそれぞれ制御することで、各移動電極43a…43nを独立させて駆動させることができる。その結果、各静止電極42a…42nと各移動電極43a…43n間の離間距離H1…Hn(図4(a)中ではH1のみ図示)を、それぞれ無段階に自在に調節することができる。電圧と離間距離H1…Hnとの関係は予め検量線を作成しておき、この検量線に基づいて、離間距離H1…Hnを調節する。このように、静止電極と移動電極の各離間距離H1…Hnを、それぞれ無段階に自在に調節することができる。また、MEMSは、各移動電極43a…43nが並ぶ方向と回折格子31の溝が並ぶ方向とが平行になるよう配置され、回折格子31で分光された光L1のうち、それぞれ波長の異なる光がそれぞれ異なる移動電極にて反射される。したがって、アパチャ33を通過する光の強度を波長帯ごとに調節することができる。また、MEMSの各移動電極43a…43nの制御は、高速で、かつ、制御手段によって同期させて行われる。
具体的には、図4(b)に示すように、全ての移動電極43a…43nを動かさず、静止電極42a…42nから離間させたままとすることで(全ON時)、アパチャ23において、全ての波長帯の光(図4(b)中では光49a〜49c)が全て通過する。また、図4(c)に示すように、全ての移動電極43a…43nを静止電極42a…42nと当接させることで(全OFF時)、全ての波長帯の光(図4(c)中では光49a〜49c)がアパチャ33間で遮断される。また、図4(d)に示すように、移動電極43a…43nの一部を静止電極42a…42nと当接又は近接させ、残部の移動電極43a…43nを動かさず、離間させたままとすることで(光強度調整時)、当接又は近接させる静止電極と対応したある波長帯の光(図4(d)中では光49b,49c)だけが、光強度を調整されてアパチャ33を通過する。当接させたままの静止電極と対応したある波長帯の光(図4(d)中では光49a)は、アパチャ33で遮断される。
アパチャ33を通過した光L1は集光手段34に入射する。集光手段34に入射した光L1は、集光してMEMSの移動電極の上下により選択された所定の波長帯ごとの光が光検出器35で受光される。受光された光L1は、演算手段15に電気信号として出力される。演算手段15では、この光L1に基づく電気信号から、コンクリート面Cの劣化因子に基づく吸光度が算出される。
ここで、劣化因子に基づく吸光度の求め方について説明する。
コンクリート面Cに光強度I0の光Lを照射し、反射させることで、光Lの一部の波長バンドがコンクリート面C内の劣化因子により吸光され、光強度I1の反射光L1として出射される。
この時、光源出射光Lと反射光L1との間には、
L1(λ)=L(λ)×T(λ)
ここで、T(λ)は反射率
の関係が成り立つ。反射率T(λ)が小さい程L1(λ)の光強度は減衰し、光強度が減衰された波長帯から劣化因子の種類が、吸光度から劣化因子の濃度がわかる。ここで、一般的には、吸光度とは、光源出射光Lの光強度と反射光L1の光強度との比を対数で表したものと定義されているが、本明細書では、劣化因子により吸収された光強度(すなわち、図7(a)における光強度A,Cの差ΔI)を、吸光度と呼称することとする。
本実施の形態では、コンクリート構造物の中性化による劣化を診断するために、反射光L1の波長1410nm,2390nm、或いは3980nm付近の波長帯の吸光度を計測する。なぜなら、CaCO3等の中性化因子はこれらの波長に吸収ピークを有するためである。
また、コンクリート構造物の塩害(塩化物イオンの浸透による劣化)を診断する場合、塩害因子は、波長2260nm付近に吸収ピークを有するため、反射光L1の波長2260nm付近の波長帯の吸光度を計測する。
同様に、コンクリート構造物の硫酸塩による劣化を診断する場合、硫酸塩因子は、波長1410nm、或いは1750nm付近に吸収ピークを有するため、反射光L1の波長1410nm、或いは1750nm付近の波長帯の吸光度を計測する。
例えば、図5に示すように反射光L1の吸収スペクトル50は、波長1410nm付近に吸収ピーク51と波長2260nm付近に吸収ピーク52が存在する。吸収スペクトル50を得ることにより、吸収ピーク51の吸光度から中性化因子の濃度を計測でき、吸収ピーク52の吸光度から塩害因子の濃度を計測される。
一般に、特定波長付近の吸光度を得るには、吸収スペクトル50を検出し、そのスペクトル50から特定波長の吸光度を求める。しかし、コンクリートの劣化診断では、劣化因子の濃度測定に必要な吸収ピーク波長付近の吸光度さえ得られれば診断できる。
そこで、本実施の形態の検出方法では、図6(a),図6(b)に示すように、分光器14で反射光L1の吸光スペクトルから特定の劣化因子を検出するための特定の波長に基づく吸光度を抽出しており、その検出方法について説明する。
まず、予め任意の光を分光器に入射させる。分光器14内では、入射した光は、回折格子31で分光され、分光された各光は波長毎に回折角が異なり、MEMSに到達する際に、それぞれ異なる移動電極43a…43nで反射される。したがって、分光器14に導入された光の波長と移動電極43a…43nの位置との関係、すなわち、劣化因子の吸収ピークの波長に対応した移動電極の位置を知ることができる。
次に、コンクリート面Cで反射した反射光L1を分光器14に入力し、計測対象とする劣化因子が有する吸収ピークの波長に対応した移動電極のみをONにし、他の移動電極をOFFにする。これにより、OFFの移動電極で反射された光は、アパチャ33で遮断され、ONの移動電極で反射された光のみが光検出器に到達する。
各移動電極43a…43nを制御することで、所定波長の光の光強度を選択的に計測することができる。この特徴を利用して、図6(a)に示すような反射光L1の吸収スペクトル60から、それぞれ特定波長のみのスペクトル(吸収ピークの光強度)61だけを抽出して検出することができる。具体的には、特定波長のスペクトル61の波長付近に対応した移動電極のみをONにし、残りの移動電極を全てOFFにする。光検出器35では、ONの移動電極で反射された光のみが検出される。光検出器35は順次1つの移動電極で反射した光を検出するために、高速でONにする移動電極を順次切り換えている。
さらに、本実施の形態では、図6(c)に示すように、吸収ピーク波長の光強度61を抽出すると共に、その光強度61から劣化因子以外の影響因子に基づく光強度分を補正して劣化因子分に基づく吸光度を検出しており、その具体的な検出方法について説明する。
図7(a)に示すように、分光器に導入された反射光L1の波長−光強度特性(スペクトル)がスペクトル線70であるとする。スペクトル線70では、反射光L1の吸光度は、波長λcにおける光強度Cと光強度Aとの差ΔIで表され、波長λb、λdでは劣化因子による吸収がないとする。ところで、光強度I0は影響因子により一定とは限らず、I0が変化するとI1も変化してしまい、波長λcの吸光度を安定して計測できない(計測するごとに吸光度が変わってしまう)。また、差分ΔIの値がI0に比べて非常に小さい場合、I0の誤差に埋もれてしまう。
そこで、劣化因子分の絶対量を計測するべく、波長λcの光強度Cと同じ波長λcの光強度Aとの差分ΔIを求めてその差分から吸光度を求める(なお、ここでいう吸光度とはΔIそのものである)。これにより、光強度I0の大きさに関係なく劣化因子分の絶対量を計測することができる。ただし、光強度Aは検出することができないので、波長λcの近傍の波長λdの光強度Dを光強度Aの代わりとする。
具体的には、図7(b)に示すように、分光器14では、光反射偏向手段(MEMS)32の移動電極43cをONにしたとき、波長λcの光強度Cを計測し、移動電極43dをONにしたとき、波長λc近傍の波長λdの光強度Dを計測するようにする。各移動電極43a〜43nは、数十kHzといった非常に高速で制御することができるので、移動電極λc及びλdを交互に上下させることで、略同時刻の波長λc及びλdの光強度の差を検出することができる。すなわち、影響因子が共に等しいときの光強度の差を計測しているので、正確な吸光度を検出することができる。また、光Lの揺らぎや環境の変化等に起因する光強度の時間的変化による誤差もなく吸光度を検出することができる。
図7(a)に示すスペクトル70とは異なり、図8に示すスペクトル80のように、吸収ピークの前後で基準(ベース)となる光強度が異なる場合には、スペクトル80の吸光度の絶対値の検出は、波長λb及びλdの光強度B、Dをそれぞれ検出し、それら光強度B、Dを結んだ直線をベースライン81とし、波長λcでの光強度Cとλcのベースライン81上の光強度Aとの差分を求め、その差分から劣化因子分による吸光度を求めている。
さらに、求めた吸光度を劣化因子濃度に換算する。その換算方法は、予め吸収のある波長における劣化因子濃度と吸光度の関係が既知である検量線を作成し、その検量線から求めて方法であり、以下、中性化劣化因子の一種であるCaCO3を例にして説明する。
図9はCaCO3の吸光度(ΔI)と波長との関係(以下、吸収スペクトルという)をそれぞれ濃度別に示したものである。図9に示すように、波長1410nm,2390nm及び3980nm付近に吸収ピーク(図中、91,92,93)が存在する。この3980nm付近の吸収スペクトルの拡大図を図10に示す。図10に示すように、各スペクトル線101、102…107はそれぞれ濃度2%,4%,6%,8%,10%,15%,20%,のときの吸収スペクトルを表している。これによれば、濃度2%のときピーク時の吸光度が最小となり、濃度が増える毎にピーク時の吸光度が略等間隔で大きくなり、濃度20%の時ピーク時の吸光度が最大になっているのがわかる。この濃度と吸光度との関係を図11に示す。図11に示すように、濃度が2%の時吸光度が最小で、濃度が高くなるにつれて徐々に吸光度が大きくなり、濃度20%の時最大となっている。この関係がCaCO3の吸収ピーク波長3980nmにおける吸光度からCaCO3の濃度に換算する検量線となり、図11の検量線と、劣化因子濃度が未知である反射光L1の吸光度とを比較して、劣化因子の濃度(絶対量)を求める。
同様に、塩害劣化因子分析としてNaClやAlCl3等、硫酸塩劣化因子分析としてBaSO4、CaSO4等の濃度を求める場合にも、それぞれ劣化因子毎に検量線を予め作成しておき、各劣化因子の吸収ピーク波長における吸光度を計測し、その吸光度と検量線から劣化因子濃度を求めることができる。
本検出方法によれば、特定の劣化因子を検出するための光強度を抽出し、その抽出した光強度から、劣化因子以外の影響因子に基づく光強度分を補正してから劣化因子分による吸光度を得て、その吸光度から劣化因子の濃度を求めているので、検出バックグランドのばらつきに依存しない劣化因子の絶対量を得ることができ、その絶対量により定量的な劣化診断をすることができる。
また、本検出方法は、MEMSを用いて反射光L1の各波長の光強度を高速に制御しているので、計測点一点における計測を非常に速く行うことができる。よって、コンクリート面C上を高速スキャニングすることで面的に劣化因子の計測を行うことができ、大面積のコンクリート面を短時間で診断することができる。
次に、第二の実施形態のコンクリート劣化因子検出方法について説明する。
前実施の形態では、1つの光反射偏向手段32を用い、隣接する移動電極43c,43dを交互に可動させることにより吸光度を計測したが、本実施の形態は、分光器内にリファレンス光を導入し、そのリファレンス光の光強度を基準に吸光度を計測する方法である。
図12に示すように、本検出方法に用いる分光分析装置は、分光器120内にリファレンス光L2を導入させるための基準光ファイバ121を光ファイバ13と平行に設け、それぞれ光反射偏向手段32,122及びアパチャ33,123(反射光用アパチャ33、レファレンス光用アパチャ123)をそれぞれ2段に平行に設け、集光手段として、集光レンズの代わりにプルーフプリズム124を設けた。基準光ファイバ121の他端は、光源11の出射側近傍に配置され、光源からの光Lが直接基準光ファイバ121に入射するようにしている。ここで、反射光L1側の光反射偏向手段32の備えるMEMSをMEMS1(反射光用プログラマブル回折格子)とし、リファレンス光L2側の光反射偏光手段122の備えるMEMSをMEMS2(レファレンス光用プログラマブル回折格子)とする。
例えば、図13に、光源出射光I0及びコンクリート面Cでの反射光I1の各スペクトル131,132を示す。入射光I0は、ある一定の波長域で光強度がP1である。これに対して、出射光I1は、ある一定の波長域で光強度がP2(<P1)であり、かつ、波長域λ1〜λ3(中心波長λ2)の範囲において光強度が減衰しており、波長λ2の時に光強度が最小(P3)となっている。P1は前述の式のL(λ)、P2は前述の式のL1(λ)に相当している。また、波長域λ1〜λ3(中心波長λ2)において、波長域から劣化因子の種類、光強度の差分ΔPa(=P2−P3)から求めた吸光度から劣化因子の濃度がわかる。
ところで、光源から出射される光(入射光I0)の光強度が常に一定であれば、最初に入射光I0の光強度を測定しておくことで、常に正確に劣化因子検出を行うことができる。しかし、入射光I0の光強度は、周囲の気温の変化など環境的な影響因子等に応じて変動する。
そこで、本実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法では、反射光L1の参照対象であるレファレンス光L2を、光源11から直接、分光器120に導入し、コンクリート面Cからの反射光L1に基づく特定波長の光強度と光源出射光Lに基づく特定波長の光強度との差分を計測し、その差分から劣化因子の絶対量を測定する。この方法で測定されたリファレンス光L2の光強度を、常時、反射光L1の入射光I0の光強度としてフィードバックすることで、常に精度良く劣化因子検出を行うことができる。
具体的には、先ず、光源11から光を出射し、反射光L1及びリファレンス光L2の各波長ごとのスペクトルの差を光検出器35からAC出力する。この時、各AC出力がゼロとなるように、MEMS2の各移動電極43a…43nを調節し、この状態をMEMSデータ1として記憶させておく。
その後、この状態で、光源11から光強度I0の光を出射し、コンクリート面Cの反射光L1及び光源11からの出射光L(リファレンス光L2)を分光器120に導入し、分光器120内で、各波長ごとのスペクトルに分光された各光L1,L2を、MEMS1,MEMS2で反射、偏向させる。MEMS1,MEMS2は、各波長ごとのスペクトルに分光された各光L1,L2が光検出器35に達するように、各光L1,L2を反射、偏向させる。この時、MEMS1,MEMS2は、各光L1,L2の各スペクトルが交互に光検出器35で検出されるべく、それぞれ制御手段により同期させて制御される。また、光L2が光検出器35に達するように光L2をMEMS2で反射、偏向させる際、MEMS2は予め記憶しておいたMEMSデータ1の状態に制御される。
一方、光源11から出射される光Lの光強度は、周囲の気温の変化など環境的な影響因子により変動する。しかし、光強度がI0からI0′に変動した場合でも、参照光L2は、MEMSデータ1の状態に調節されたMEMS2で反射、偏向される。その後、光検出器35で、光強度I0′の参照光L2に対応した各光スペクトルを検出し、この新たな検出値と、光強度I0の参照光L2に対応した各光スペクトルとを比較することで、光強度の変動量が求められる。この光強度の変動量から新たな光強度I0′が決定され、この新たな光強度I0′は、即座に反射光L1の光強度I0′としてフィードバックされる。
本実施の形態の分光器120においては、実際にコンクリート面Cに照射される光Lの一部を参照光L2として、常時、反射光L1の入射光I0の光強度としてフィードバックしている。よって、常に光強度の変動を検出でき、常に吸光度の絶対値の計測を行うことができる。
また、屋外で劣化診断を行う際に、日射等の影響により光源出射光の光強度(例えば、図9中、光源出射光I0)が急上昇してしまう場合がある。これにより、出射光の光強度が、光検出器のダイナミックレンジ(ダイナミックレンジとは、測定できる最も小さい値と測定できる最も大きい値との比)を超えて測定不可能となってしまうことがある。
しかしながら、本検出方法では、MEMS1及びMEMS2の移動電極を上下させて検出する光強度を変調し、反射光L1の光強度とリファレンス光L2の光強度との差分を反射光の吸光度として出力している。したがって、光源出射光I0の光強度に関係なく、正確な反射光L1の吸光度を得ることができる。
次に、第三の実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法について説明する。
図14に示すように、本実施の形態で用いる分光器140の基本的な構成は、図12に示した分光器120と同じである。図14の分光器140が、図12の分光器120と異なる点は、アパチャ33とプルーフプリズム124との間に第2回折格子141を設け、各MEMS32,122に制御演算手段142を接続した点である。
第2回折格子141としては、回折格子31と同じものが使用可能である。第2回折格子141により、各波長帯ごとのスペクトルに分光された各光L1,L2が、単一光(白色光)に集光される。
制御演算手段142は、各MEMS32,122の制御手段としての機能と、図2に示した光検出器35に接続された演算手段15としての機能を併せ持つものである。制御手段としての機能部と演算手段としての機能部は、一体に設けてもよく、又はそれぞれ別体に設けてもよい。
次に、第三の実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法を、添付図面に基づいて説明する。
本検出方法は、基本的に図12で説明した前実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法と同じであるが、劣化因子濃度を演算する手法が異なる。本検出方法は、1つの波長帯に2種以上の劣化因子による吸収ピークが存在する(重なっている)吸収スペクトルから劣化因子濃度を検出する際に、特に有効である。
光源11から出射され、コンクリート面Cで反射して光強度がI1に減衰された反射光L1と、光源から出射された光の一部が光ファイバから入射されたリファレンス光L2とが分光器に導入され、反射光L1及びリファレンス光L2が回折格子21波長ごとのスペクトルに分光されて、それぞれMEMS1,MEMS2に向かって反射される。
分光されたサンプル光L1とレファレンス光L2は、上下二段に配置された2つの光反射偏向手段32,122で反射、偏向される。光反射偏向手段32,122におけるMEMS1,MEMS2に到達した各光L1,L2は、所定の角度範囲で高速で反射、偏向される。
ここで、MEMS1における反射、偏向は、以下に示す(1)式の演算結果に基づいてなされる。
y=ΔI1(1)b1(1)+ΔI2(2)b2(2)+…
=ΣΔI(λ)・b(λ) (1)
ここで、yは劣化因子の濃度、ΔI(λ)は反射光L1とレファレンス光L2の各波長ごとの光強度差、b(λ)は、濃度算出用のスペクトルである。濃度算出用スペクトルbとは、例えば、各成分(劣化因子)の組成比が異なるコンクリート材料から各吸収スペクトルを計測してデータベースを作成し、コンクリートに含まれる各成分が互いに干渉しない最適なパラメータモデルを演算して求められ、計測対象とする劣化因子の濃度が他の劣化因子の濃度に依存せずに得られる検量スペクトルである。
具体的には、(1)式の演算内容と同じことが、MEMS1において光学的に行われる。この時、濃度算出用スペクトルbと同じ割合となるように、MEMS1の各移動電極43a…43nを調節して、アパチャ33を通過する光強度を制御し、波長帯ごとのスペクトルに分光された反射光L1を、各波長帯ごとに反射率を変えて反射、偏向させる。すなわち、MEMS1において、分光された反射光L1の反射率の制御を波長帯ごとに行って、反射光L1の波長帯ごとのスペクトルに、予め作製しておいた濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、この状態で分光された反射光L1を反射、偏向させる。
MEMS1,MEMS2において、所定の角度範囲で高速で反射、偏向された各光L1,L2は、交互にアパチャ33,123へと向かう。アパチャ33,123間を交互に通過した各光L1,L2は、第2回折格子143で集光される。この集光によって、各光L1,L2の全波長バンドのスペクトルがまとめられる(足し合わされる)。
その後、集光された各光L1,L2は、それぞれプルーフプリズム124で屈折させられ、波長バンドごとのスペクトルが光検出器35に達するように出射される。
プルーフプリズム124を通過した各光L1,L2は、交互に検出器145で受光される。検出器145でそれぞれ受光、検出されるのは、各光L1,L2の全波長バンドにおける光量の総和である。よって、光検出器145からの出力が、そのまま検出対象とする劣化因子の濃度となる。
多種類の成分の劣化因子を検出する場合、各成分(成分c1、成分c2、…、成分cn)の濃度演算をシーケンシャルに行う。具体的には、先ず、MEMS1において、反射光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分c1の濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分c1の濃度を光検出器から出力する。次に、MEMS1において、反射光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分c2の濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分c2の濃度演算を光検出器35から出力する。
順次、各劣化因子毎にMEMS1を制御しながら劣化因子の濃度の計測を繰り返し、最後に、MEMS1において、反射光L1の波長バンドごとのスペクトルに、予め作製しておいた成分cnの濃度算出用スペクトルbと同じ重みの重み付けを行い、成分cnの濃度演算を検出器35から出力する。
本検出方法では、MEMS1の各移動電極43a…43nに予め回帰分析等で解析して得られた濃度算出用スペクトルbを反映させることで、1つの波長帯に2種以上の劣化因子による吸収ピークが存在する(重なっている)吸収スペクトルから正確な劣化因子濃度を検出することができる。
次に、第四の好適な実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法について説明する。
本検出方法は、大面積のコンクリート面C’の劣化因子検出を検出する際に用いる方法である。コンクリート面C’は、道路橋、鉄道橋、道路沿いに設けられたコンクリート壁等、長いコンクリート構造物の測定対象面である。すなわち、コンクリート面C’は、一箇所に固定された分光分析装置では、測定対象とする面を走査しきれない程度に大面積なものである。
図15に示すように、本検出方法では、分光分析装置10を車等の移動手段150に搭載する。分光分析装置10は、コンクリート面C’に対して、コンクリート面C’での反射光(散乱光)を受光できる程度の距離以内に設けられ、移動手段150にて分光分析装置10をコンクリート面C’に沿って移動させながら、コンクリート面C’の劣化因子を検出する。
例えば、コンクリート面C’を少なくとも縦方向(図中j方向)に走査できるスキャニング装置12を用いて、コンクリート面C’の一点から縦方向に順次反射光L1を取り込む。反射光L1を受光すると、上述第一から第三いずれかの実施の形態の劣化因子検出方法を用いて、各点の劣化因子の濃度を出力する。
スキャニング装置12は、コンクリート面C’の縦方向を走査し終えると、再び始めに測定した点に光軸を合わせる。ただし、分光分析装置10は、横方向(図中i方向)に移動しているので、隣りの計測点に光軸が合わさり、再び縦方向に順次劣化因子の計測を行う。
このように、スキャニング装置12が一方向を走査すると共に、移動手段150により分光分析装置10がスキャニング装置12の駆動による走査方向と垂直方向に移動しているので、コンクリート面C’全体の劣化因子の検出を行うことができる。
本検出方法は、分光器14が、MEMSにより高速に波長の掃引、変調を行い、劣化因子分の光強度(吸光度)を直接AC出力しているので、計測点1点における検出速度が非常に高速で行うことができるために、移動手段150の速度に関係なく実施することができるものである。
すなわち、自動車等の移動手段150の移動速度に対して、コンクリート面C’の縦方向の検出速度(計測点の走査速度)が非常に速く、分光分析装置10による走査が縦方向の走査線Sのように捉えられ、この走査線Sが移動手段150により横方向に移動して、コンクリート面C’を面的に検査することができる。
本検出方法によれば、短時間で大面積のコンクリート面C’の劣化診断を行うことができるので、道路橋や鉄道橋等のコンクリート劣化診断をする際に要する交通規制の時間短縮を図ることができる。
さらに、本検出方法は、分光器内の吸光度の計測に関しては、上述の第一から第三いずれかの実施の形態の劣化因子検出方法と同様に行っており、検出バックグラウンドを除去した劣化因子分の絶対値を計測することができる。
本実施の形態では、道路橋等、地上方向に長いコンクリート構造物の劣化因子検出方法について説明したが、ビル等、鉛直方向に長いコンクリート構造物の劣化因子の検出にも適用できる。
本検出方法における劣化部分の位置の特定は、移動手段150でコンクリート面C’に沿って移動している間、コンクリート面C’の劣化部分を検出(所定濃度以上の劣化因子を検出)した時、コンクリート面C’に劣化部分の位置を表すマーカを付け、劣化部分の位置を特定する。
また、コンクリート面C’の劣化因子を検出すると共に、コンクリート面の静止画または動画を撮影し、その撮影した静止画または動画と上記コンクリート面から検出される劣化因子部分とを照合して、コンクリート面C’の劣化部分の位置を特定してもよい。この照合は、所定濃度以上の劣化因子を検出した時に、劣化部分の写真を時間と共に記録して照合してもよく、或いは、劣化因子検出と共にビデオカメラ等でコンクリート面C’を撮影して照合してもよい。
一般的なコンクリート劣化因子検出方法を説明する図である。 (a)は、本発明に係るコンクリート劣化因子検出方法の好適な一実施形態に用いる分光分析装置の構成を示す図であり、(b)は、(a)中のスキャニング装置の概略図である。 図2の分光器を示す透明斜視図である。 MEMSアクチュエータの概略図である。(a)は横断面図、図4(b)は全ON時のモデル図、(c)は全OFF時のモデル図、(d)は光強度調整時のモデル図である。 コンクリート面のスペクトルを示す図である。 (a)〜(c)は、本実施の形態のコンクリート劣化因子検出方法の概念を説明するスペクトルを示す図である。 吸光度の計測方法を説明する図であり、(a)は、吸収スペクトルの例を示す図であり、(b)はMEMSアクチュエータの可動方法を説明する図である。 吸光度の計測方法の変形例を説明する図である。 CaCO3の濃度毎の吸収スペクトルを示す図である。 図9の吸光度スペクトルの波長3.8μm付近の吸収ピークを示す図である。 波長3.98μmの吸光度とCaCO3の濃度の関係を示す図である。 コンクリート劣化因子検出方法の好適な第二の実施の形態に用いる分光器を示す透明斜視図である。 図12の分光器を用いた吸光度の計測方法を説明する図である。 コンクリート劣化因子検出方法の好適な第三の実施の形態に用いる分光器を示す透明斜視図である。 コンクリート劣化因子検出方法の好適な第四の実施の形態を示す模式図である。
符号の説明
10 分光分析装置
11 光源
12 スキャニング装置
14 分光器
15 演算手段
31 回折格子
32 光反射偏向手段(MEMS)
35 光検出器

Claims (7)

  1. 測定対象とする構造物のコンクリート面の劣化を光学的に検出する方法において、
    コンクリート面に赤外線を照射し、
    コンクリート面からの反射光を分光器に入力し、
    上記分光器にて、入力された反射光を回折格子で所定波長毎に分光し、
    上記回折格子で所定波長毎に分光された反射光を、プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、
    上記プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させ、
    上記光検出器にて、特定の劣化因子を検出するための特定波長の光と、その特定波長の前後の上記劣化因子による吸収がない波長の光とを交互に検出して、上記特定の劣化因子を検出するための特定波長の光と上記劣化因子による吸収がない波長の光の光強度の差を検出し、
    上記光検出器で検出した光強度の差と、予め求めた上記光強度の差と上記劣化因子の濃度の関係を表す検量線とを基に、劣化因子の濃度を検出することを特徴とするコンクリート劣化因子検出方法。
  2. 測定対象とする構造物のコンクリート面の劣化を光学的に検出する方法において、
    コンクリート面に赤外線を照射し、
    コンクリート面からの反射光を分光器に入力すると共に、上記赤外線をレファレンス光として分光器に入力し、
    上記分光器にて、入力された反射光とレファレンス光とを回折格子で所定波長毎にそれぞれ分光し、
    上記回折格子で所定波長毎に分光された反射光を、反射光用プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、上記反射光用プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、反射光用アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させると共に、
    上記回折格子で所定波長毎に分光されたレファレンス光を、レファレンス光用プログラマブル回折格子で所定の波長帯毎に偏向して反射し、上記レファレンス光用プログラマブル回折格子で偏向、反射された反射光を、レファレンス光用アパチャで波長帯毎に通過/遮断して光検出器に到達させ、
    上記光検出器にて、反射光とレファレンス光を交互に検出して、特定の劣化因子を検出するための特定波長での反射光とレファレンス光の光強度の差を検出し、
    上記光検出器で検出した光強度の差と、予め求めた上記光強度の差と上記劣化因子の濃度の関係を表す検量線とを基に、劣化因子の濃度を検出することを特徴とするコンクリート劣化因子検出方法。
  3. 上記赤外線を出射する光源と、上記分光器と、コンクリート面からの反射光を順次分光器に入力するスキャニング装置を移動手段に搭載し、その移動手段をコンクリート面に沿って移動させながら、コンクリート面の上記劣化因子の濃度を検出する請求項1または2に記載のコンクリート劣化因子検出方法。
  4. 上記劣化因子の濃度を検出すると共に、コンクリート面の静止画または動画を撮影し、その撮影した静止画または動画と上記コンクリート面から検出される劣化因子の濃度とを照合して、コンクリート面の劣化部分の位置を特定する請求項記載のコンクリート劣化因子検出方法。
  5. 長1410nm、2390nm、或いは3980nm付近の上記光強度の差求めて中性化因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法。
  6. 長2260nm付近の上記光強度の差求めて塩害因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法。
  7. 長1410nm、1750nm付近の上記光強度の差求めて硫酸塩因子の濃度を検出する請求項1〜いずれかに記載のコンクリート劣化因子検出方法。
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