JP4211328B2 - 硬化性フラックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップ・半導体パッケージに半田ボールを半田接合により実装する際、さらには、半導体搭載用基板に半導体チップ・半導体パッケージを半田接合により実装する際の硬化性フラックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の高密度集積化の進行に伴い、半導体パッケージの小型化かつ多ピン化が必要不可欠となっている。この半導体パッケージの小型化かつ多ピン化に対して、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)といった表面実装用エリアアレイ型のパッケージが開発されている。BGAやCSPの回路基板への実装には、半田ボールで形成されたバンプによる、半田接合が採用されている。
【0003】
一般に、半田接合のためには、半田表面と対する電極の酸化膜を除去する必要があり、半田付け用フラックスが使用される。この半田付け用フラックスには、熱可塑性フラックスと酸化膜を除去するための活性剤が含まれている。
【0004】
しかし、半田接合後にこのフラックスが残存していると、高温、多湿時に熱可塑性樹脂の溶融、活性剤中の活性イオンの遊離が起こり、電気絶縁性の低下などの問題が発生する。そのため現在では、半田接合後、残存フラックスの洗浄除去を行う必要がある。
【0005】
近年の半導体パッケージの小型化かつ多ピン化は、バンプの微細化を促している。そのため、残存フラックスを完全に洗浄除去することは、非常に困難な作業である。さらには、バンプ接続部分の信頼性が低下する可能性がある。
【0006】
上記問題点を解決するために、半田接合の際、フラックスとして作用し、半田接合後、さらに加熱をすることで熱硬化して、半田接合部の補強材となる硬化性フラックスが検討されている(特願2000−19346号)。しかし、この硬化性フラックスによるリフロー半田接合において、半田接合の信頼性にばらつきが生じる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、硬化性フラックスによるリフロー半田接合において、半田接合の高信頼性を与える硬化性フラックスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)半田接合及び半田接合部の補強の際に使用するエポキシ樹脂及び硬化剤を含む半田接合用硬化性フラックスにおいて、30℃から220℃までの温度範囲内で、該半田接合用硬化性フラックスの粘度の最大値が86Pa・s以上210Pa・s以下であり、最小値が0.012Pa・s以上0.042Pa・s以下であることを特徴とする半田接合用硬化性フラックス、
(2)該エポキシ樹脂が、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である第(1)項記載の硬化性フラックス、
(3)該硬化剤が、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基及び1分子あたり少なくとも1個以上のカルボキシル基を有する硬化剤である第(1)又(2)項記載の硬化性フラックス、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。
本発明で記載した樹脂粘度は、レオメトリー分析装置(例えばRheometric Scientific,Inc. Model:Ares−2KSTD−FCO−STD)を用いて、測定を行う。測定条件は、プレートとカップを用いて、サンプル量0.1〜0.5ml、ギャップ0.3〜0.7mm、歪み1〜60%、振動数1〜100rad/sec、昇温速度1〜100℃/minであり、30℃から250℃付近まで測定を行う。
【0010】
サンプル量が0.1ml未満、またはギャップが0.7mmを超えると、サンプルがプレート全面に拡がらず、正確な粘度挙動が測定できない恐れがあり好ましくない。また、サンプル量が0.5mlを超える場合、またはギャップが0.3mm未満であると、サンプルがプレート側面に溢れ出て、正確な粘度挙動が測定できない恐れがあり好ましくない。
歪みが1%未満、または振動数が1rad/sec未満であると、被測定物に伝わる力を感知できない恐れがあり好ましくない。また、歪みが60%を超える場合、または振動数が100rad/secを超えると、必要以上に外力が加わり、正確な粘度挙動が測定できない恐れがあり好ましくない。
昇温速度について、100℃/minを超えて昇温すると被測定物が急激に加熱され、被測定物の温度に対する応答性が悪くなり、正確な粘度挙動が測定できない恐れがあり好ましくない。
【0011】
本発明は、半田接合時、半田接合のフラックスとして作用し、同時に半田接合部周辺にフィレットを形成して、該半田接合部に補強材として機能する硬化性フラックスにおいて、30℃から半田融点までの温度範囲内で、樹脂粘度が1.0×10-2Pa・s以上5.0×102Pa・s以下であることが必要である。より好ましくは、1.0×10-2Pa・s以上2.5×102Pa・s以下である。
【0012】
これは、半田接合の際、硬化性フラックスが加熱され、樹脂粘度が1.0×10-2Pa・s未満になると、硬化性フラックスが半田接合部から濡れ拡がり、半田接合部には半田接合に必要な硬化性フラックスの量が不足して、半田接合が困難となるためである。また、5.0×102Pa・sを超えると、半田表面と対する金属が接触できなくなり、半田接続が困難となるためである。
【0013】
本発明において、硬化性フラックスのより好ましい形態は、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と硬化剤を含むことである。
【0014】
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定しないが、既存のビスフェノール系ジグリシジルエーテル類、また、それらの水素添加反応により芳香環を飽和炭化水素化したもの、フェノールノボラックとエピクロールヒドリンとの反応で得られるグリシジルエーテルで、常温で液状のもの等、または、それらを混合したものが挙げられる。また、これらの液状樹脂にジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジグリシジルエーテル等、結晶性のエポキシ樹脂を混合し、液状にしたものを使用することもできる。また、用途によっては、高信頼性付与の為、絶縁フィラーを添加する場合もある。
【0015】
次に、本発明で用いる硬化剤は、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子あたり少なくとも1個以上のカルボキシル基を有する化合物が好ましい。例として、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。この硬化剤としての1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子あたり少なくとも1個以上のカルボキシル基を有する化合物は、フラックス作用を示す。これらの化合物は、単独または複数添加して用いることができる。
【0016】
ここで、フラックス作用とは、通常用いられているような半田付け用フラックスと同様、金属酸化膜を還元し、その酸化膜を除去しうる性質を示す。
【0017】
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂に対して20重量%以上80重量%以下が好ましい。20重量%未満であると、半田および金属表面の酸化物を除去する能力が低下し、半田接合が困難となり好ましくない。また、80重量%を超えると、良好な硬化物が得られず、接合接合部の補強効果と信頼性が低下する可能性があり好ましくない。
【0018】
上記、エポキシ樹脂と硬化剤に硬化促進剤を加えてもよい。一般的にエポキシ樹脂の硬化促進剤として、用いられるものであり、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、ジアザ化合物、第三級アミン等を挙げることができる。
【0019】
【実施例】
<実施例1−5、比較例1−4>
表1の処方に従って秤量し、ミキサーにて混練し、真空脱泡機、液状樹脂組成物を作製した。次に特性を把握するために以下の代用特性を評価した。
【0020】
(1)動的粘度:レオメトリー分析装置(Rheometric Scientific,Inc. Model:Ares−2KSTD−FCO−STD)を用いて、測定を行った。測定条件は、プレートとカップを用いて、サンプル量0.3ml、ギャップ0.5mm、歪み30%、振動数50rad/sec、昇温速度60℃/minであり、30℃から250℃付近まで測定を行った。
(2)半田接合試験:厚さ0.25mmのベア銅フレームに作製した硬化性フラックスを滴下し、その上に直径0.50mmのSn−3.5Ag−0.75Cu半田ボール(半田融点:217〜219℃)を静置した。それを、ピーク温度240℃のリフロー炉に導入し、半田ボールの接合性を、テスターを用いた導通評価により確認し、全試験数中、導通の見られないものを不良としてカウントした。
【0021】
上記の測定結果を表1に示す。
実施例に用いた原材料の内容は下記の通りである。
・ビスF型エポキシ樹脂:粘度2000mPa・s(25℃)。
・ジアリルビスA型エポキシ樹脂:粘度3400mPa・s(25℃)。
・多官能エポキシ樹脂:主成分2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]プロパンの3官能エポキシ樹脂を用いた(日本化薬社製NC−6000)。
・フェノール系硬化剤:2,5−ジヒドロキシ安息香酸、又はフェノールフタリンを用いた。
・硬化促進剤:イミダゾール化合物を2種類(硬化促進剤Aと硬化促進剤B)用いた。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示したように、実施例1−5では、半田接合性に関して良好な結果を示している。これは、半田接合温度までの動的粘度が1.0×10-2Pa・s以上であり、半田接合部からの硬化性フラックスの濡れ拡がりによる、硬化性フラックスの供給量不足が抑制できるためであると推測される。また、半田接合温度までの動的粘度が5.0×102Pa・s以下であり、半田表面と対する金属の接触が良好に起こるためであると推測される。
一方、比較例1−4では、半田接合温度までの動的粘度が1.0×10-2Pa・s未満であるためか、半田接合性に関して不良が発生する結果が得られている。これは、硬化性フラックスの粘度が1.0×10-2Pa・s未満になることで、硬化性フラックスは半田接合部に留まることができなくなり、流れ出してしまうため、酸化膜の除去に必要なフラックスの量を半田接合部に供給できなくなり、半田接合に不利な状態になったためであると推測される。
【0024】
【発明の効果】
本発明の硬化性フラックスを用いることにより、リフロー半田接合において、半田接合の信頼性が高く、また、実装プロセスの短縮化を達成することができ、その工業的メリットは大きい。
Claims (3)
- 半田接合及び半田接合部の補強の際に使用するエポキシ樹脂及び硬化剤を含む半田接合用硬化性フラックスにおいて、30℃から220℃までの温度範囲内で、該半田接合用硬化性フラックスの粘度の最大値が86Pa・s以上210Pa・s以下であり、最小値が0.012Pa・s以上0.042Pa・s以下あることを特徴とする半田接合用硬化性フラックス。
- 該エポキシ樹脂が、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である請求項1記載の硬化性フラックス。
- 該硬化剤が、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基及び1分子あたり少なくとも1個以上のカルボキシル基を有する硬化剤である請求項1又は2記載の硬化性フラックス。
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