JP4211268B2 - 鉄道車両の振動制御診断装置及び診断方法並びに鉄道車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の停止中に振動制御装置の作動が適正か否かを診断する装置、及び、この診断装置を使用した診断方法、並びに、前記振動制御診断装置を搭載した鉄道車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両はレールの不整により上下動、左右動、ローリング及びヨーイングの振動加速度を受ける。従って、鉄道車両には前記振動加速度により発生する各種の振動を抑制するために振動制御装置が搭載されている。
【0003】
ところで、従来の振動制御装置は、ばねと減衰力発生機構とで構成され、減衰力発生機構としては、空気ばねやオイルダンパーの絞りなどが用いられていた。また、改良された振動制御装置として、駆動形空気圧シリンダを空気圧サーボ弁で駆動する方式のものが知られている(特開昭56−17754号公報、特開昭59−156860号公報)。
【0004】
これら従来の振動制御装置にあっては、減衰力を大きくすると、低周波域では振動抑制が改善されるものの高周波域では悪化する。逆に減衰力を小さくすると、高周波域では振動抑制が改善されるものの低周波域では悪化してしまう。すなわち、従来の振動制御装置では、低周波域と高周波域での振動抑制を同時に改善することは困難であった。
【0005】
そこで、近年は、鉄道車両の振動抑制においては、アクティブ制御を取り入れることが乗り心地の飛躍的な向上に不可欠であるとの観点から、全ての周波数域で乗り心地の改善を図った鉄道車両の振動抑制方法(例えば特開平5−213195号)が提案されている。
【0006】
この振動抑制のための車体振動制御系では、車体と台車間に設置した左右変位計、上下変位計、車体に設置した左右加速度計、上下加速度計及びアクチュエータの圧力計等の各種のセンサーや弁が用いられているが、各種センサーは長期の使用において初期設定状態からのセンサー値のずれが発生し、制御により収束すべき車体姿勢が変化するようになる。
【0007】
そこで、本出願人は、かかる鉄道車両における車体振動制御系における各種センサーや弁及びアクチュエータ等の機器の作動状態を、車両停止中に制御アクチュエータを作動させて車体にヨーイング加振と左右動加振、及び、必要に応じて上下動加振とピッチング加振とローリング加振を加え、これらの加振によって得られたセンサー値やアクチュエータの作動の応答を、予め設計した基準値と照合することで、センサー値の評価やアクチュエータ作動の確認を行うと共に機器の異常を検知する診断方法を特開平5−184002号で提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が特開平5−184002号で提案した診断方法は、理論的には優れた診断方法ではあるものの、請求項の記載を見ると、振動制御装置の各構成部品の診断時における具体的な状態については全く触れられていないので、どのような状態の時にどの構成部品がどのように悪いのかの診断を行うことができない。なお、フローチャートをみると、振動制御装置の各構成部品の診断が可能なように見受けられるものの、このフローチャートに示された方法では、各構成部品の診断を順番に行うので、不良と判断した場合にはそれ以降の診断ができないという欠点がある。
【0009】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、どのような状態の時に振動制御装置のどの構成部品がどのように悪いのかの診断を別個に行うことが可能な振動制御診断装置、及び、この振動制御診断装置を使用した診断方法、並びに、前記振動制御診断装置を搭載した鉄道車両を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置は、台車と車体の間に設置した伸縮駆動装置及びこの伸縮駆動装置の駆動を制御する駆動制御部と、前記伸縮駆動装置によって加振される車体の振動加速度を検出すべく車体に配置された振動加速度センサーと、前記伸縮駆動装置に駆動エネルギーを供給する回路と、この回路上に介設され前記伸縮駆動装置への駆動エネルギーの供給と遮断を切替える遮断装置と、前記遮断装置、駆動制御部に信号を出力するのと共に、前記振動加速度センサーからの検出信号を入力される制御器と、台車と車体間に前記伸縮駆動装置と並列に設置された、前記制御器からの指令を受けて減衰力特性が「強」と「弱」に切替可能な減衰力切替ダンパーを備え、前記制御器には、前記減衰力切替ダンパーの初期設計状態での減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を基準値として予め入力し、減衰力切替ダンパーの健全状態か否かの診断時、減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度センサーから検出された車体振動加速度の比を前記基準値と比較するようにしたこととしている。
【0011】
そして、上記の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置を使用し、車両停止中に、前記遮断装置を供給の状態で前記駆動制御部に伸縮駆動装置の駆動信号を出力し、制御器では減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を前記基準値と比較するようにすれば、基準値よりも大きい場合には、減衰力切替ダンパーの故障であると診断できるようになる。
【0012】
また、上記の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置を搭載した鉄道車両を、本発明に係る方法で診断することで、振動制御装置のどの構成部品がどのように悪いのかの診断を別個に行えるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第1の鉄道車両の振動制御診断装置は、鉄道車両に搭載される振動制御診断装置であって、台車と車体の間に設置した伸縮駆動装置及びこの伸縮駆動装置の駆動を制御する駆動制御部と、前記伸縮駆動装置によって加振される車体の振動加速度を検出すべく車体に配置された振動加速度センサーと、前記伸縮駆動装置に駆動エネルギーを供給する回路と、この回路上に介設され前記伸縮駆動装置への駆動エネルギーの供給と遮断を切替える遮断装置と、前記遮断装置、駆動制御部に信号を出力するのと共に、前記振動加速度センサーからの検出信号を入力される制御器と、台車と車体間に前記伸縮駆動装置と並列に設置された、前記制御器からの指令を受けて減衰力特性が「強」と「弱」に切替可能な減衰力切替ダンパーを備え、前記制御器には、前記減衰力切替ダンパーの初期設計状態での減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を基準値として予め入力し、減衰力切替ダンパーの健全状態か否かの診断時、減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度センサーから検出された車体振動加速度の比を前記基準値と比較するようにしたものである。
【0016】
この本発明に係る第1の鉄道車両の振動制御診断装置を使用し、車両停止中に、前記遮断装置を供給の状態で前記駆動制御部に伸縮駆動装置の駆動信号を出力し、制御器では減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を前記基準値と比較するようにすれば、前記基準値よりも大きい場合には、減衰力切替ダンパーの故障であると診断することができるようになる。これが本発明に係る第1の鉄道車両の振動制御診断方法である。
【0017】
また、本発明に係る第2の鉄道車両の振動制御診断装置は、上記の本発明に係る第1の鉄道車両の振動制御診断装置において、前記の伸縮駆動装置及び駆動制御部は、前台車と車体の間に設置した前位伸縮駆動装置及び前位駆動制御部と、後台車と車体の間に設置した後位伸縮駆動装置及び後位駆動制御部の各2基ずつ、また、前記の振動加速度センサーは、車体の前方に設置した前位振動加速度センサーと車体の後方に設置した後位振動加速度センサーの2台を備えさせたものである。
【0018】
この本発明に係る第2の鉄道車両の振動制御診断装置を使用し、車両停止中に、前記遮断装置を供給の状態で前記前位と後位の駆動制御部に伸縮駆動装置の駆動信号を出力して同じ位相又は逆の位相で車体を加振し、制御器では前位振動加速度センサーの出力値と、後位振動加速度センサーの出力値の和と差の大小を比較するようにすれば、同じ位相の場合は前記の差が和よりも大きい場合には、また逆の位相の場合は前記の和が差よりも大きい場合には、駆動制御部との相対位置関係における伸縮駆動装置の取付け方向不良、或いは、振動加速度センサーの取付け不良、或いは、伸縮駆動装置の制御信号の配線不良の何れかであると診断することができるようになる。これが本発明に係る第2又は第3の鉄道車両の振動制御診断方法である。
【0019】
また、上記の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置を搭載した鉄道車両では、本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法を実施することで、振動制御装置のどの構成部品がどのように悪いのかの診断を別個に行うことができるようになる。
【0020】
上記本発明における伸縮駆動装置の動作による加振周波数は、車体の固有振動数の正弦波とすることが望ましい。この加振周波数の場合には、その振動加速度が他の場合に比べて大きくなるので、各基準値と比較しやすくなるからである。
【0021】
なお、本発明において使用する各基準値は、車体毎、伸縮駆動装置の駆動力、振動加速度センサーの取付け位置等によって変化するものであることは、言うまでもない。
【0022】
【実施例】
以下、本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両を、図1及び図2に示す実施例に基づいて説明し、これらの振動制御診断装置を使用した本発明に係る診断方法を図3〜図5を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両の第1実施例の概略構成を示した図、図2は同じく第2実施例の概略構成を示した図である。
【0023】
図1において、1は車体2と台車3の間に、車体2の幅方向に設置された伸縮駆動装置、例えば空圧駆動のアクチュエータであり、駆動エネルギーの供給回路4を構成する空気源4aから配管4bを介して空気を供給することでシリンダ1aに対してロッド1bを出退動させ、車体2を、図1(a)に示した中間位置から図1(b)のように紙面右方向に振らせたり、また、図1(c)のように紙面左方向に振らせたりする。
【0024】
5は前記配管4b途中におけるアクチュエータ1の直前に介設された駆動制御部、例えばサーボ弁であり、このサーボ弁5によってアクチュエータ1への空気の供給路を変更することで、シリンダ1aに対するロッド1bの出退の切替を行う。
【0025】
6は同じく配管4b途中における空気源4aの直後に介設された遮断装置、例えば電磁弁であり、空気源4aからアクチュエータ1に供給する空気の、供給と遮断を切替えるものである。
【0026】
7a,7bは車体2の例えば前後方向における幅方向対角位置に配置された振動加速度センサーであり、前記アクチュエータ1のロッド1bの出退によって幅方向に加振される車体2の、例えば左右方向(車体2の幅方向)の振動加速度を検出するものである。
【0027】
8は車体2と台車3の間に、前記アクチュエータ1と並列に設置された減衰力切替ダンパーであり、後述する制御器9からの指令により、減衰力特性が「強」の場合と「弱」の場合の2つに切替えられるようになっている。
【0028】
9は前記電磁弁6やサーボ弁5に信号を出力するのと共に、初期設計状態での車体振動加速度や、初期設計状態での減衰力特性が「強」の場合と「弱」の場合の車体振動加速度の比を基準値として予め入力された制御器であり、車両停止中にアクチュエータ1を駆動させ、前記振動加速度センサー7a,7bで検出した車体2の振動加速度に対応する検出信号、或いは、減衰力特性が「強」の場合と「弱」の場合の車体の振動加速度の比と比較することで、健全状態か否かを診断する。
【0029】
上記した構成の第1の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両においては、以下に説明するようにしてその診断を行う。
【0030】
▲1▼ 車両を停止させた状態で、制御器9から電磁弁6に指令を出して電磁弁6を遮断し、空気源4aからアクチュエータ1への空気の供給を遮断する。次に、制御器9は減衰力切替ダンパー8に指令を出し、減衰力特性を例えば「弱」にする。このような状態で、アクチュエータ1を駆動させるべくサーボ弁5に指令を出すと、図3(a)に示したように、電磁弁6からアクチュエータ1までの配管4b内の残圧で当初は車体2が加振されるものの、一定時間が経過するとその振幅は減衰してゆく。
【0031】
制御器9では、この減衰した例えば最後の3秒間の振幅(図3(a)に示した実施例では0.05m/秒2)を、予め入力している初期設計時における空気源4aからアクチュエータ1へ空気を供給して同様の操作を行った時の振動加速度の振幅の例えば45%の値(基準値:例えば0.20m/秒2)と比較し、基準値よりも大きい場合には電磁弁6が供給状態のままで故障していると診断する(図3(a)に示した実施例では故障していない)のである。
【0032】
▲2▼ 車両を停止させた状態で、制御器9から電磁弁6に指令を出して電磁弁6を供給の状態に切替え、空気源4aからアクチュエータ1へ空気が供給されるようにする。次に、制御器9は減衰力切替ダンパー8に指令を出し、減衰力特性を例えば「弱」にする。このような状態で、アクチュエータ1を駆動させるべくサーボ弁5に指令を出すと、図3(b)に示したように、車体2が加振される。
【0033】
制御器9では、この加振された振幅の内の例えば最後の3秒間の振幅(図3(b)に示した実施例では0.45m/秒2)を、予め入力している初期設計時における空気源4aからアクチュエータ1へ空気を供給して同様の操作を行った時の振動加速度の振幅の例えば65%の値(基準値:例えば0.30m/秒2)と比較し、基準値よりも小さい場合には、アクチュエータ1の故障、或いは、電磁弁6が遮断状態のままで故障している、或いは、空気漏れの何れかであると診断する(図3(b)に示した実施例では故障していない)のである。
【0034】
▲3▼ 車両を停止させた状態で、制御器9から電磁弁6に指令を出して電磁弁6を供給の状態に切替え、空気源4aからアクチュエータ1へ空気が供給されるようにする。この状態で、アクチュエータ1を駆動させるべくサーボ弁5に指令を出し、車体2を加振する。このような車体2の加振を、前記▲2▼のように減衰力特性が「弱」の場合(図3(b)参照)と、「強」の場合(図3(c)参照)について行う。
【0035】
制御器9では、これらの加振された振幅の内の例えば最後の3秒間の振幅の比(図3(b)(c)に示した実施例では0.23/0.45=0.51)を、予め入力している初期設計時における空気源4aからアクチュエータ1へ空気を供給して同様の操作を行った時の振動加速度の振幅の比の例えば65%の値(基準値:例えば0.65)と比較し、基準値よりも大きい場合には、減衰力切替ダンパー8の故障であると診断する(図3(b)(c)に示した実施例では故障していない)のである。
これが第1の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法である。
【0036】
ところで、図1に示した本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両や、この振動制御診断装置を使用した第1の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法においては、アクチュエータ1、サーボ弁5及び振動加速度センサー7a,7bの数は1つあれば実施が可能である。
【0037】
しかしながら、図2に示したように、アクチュエータ1及びサーボ弁5を、前台車3aと車体2の間に設置した前位アクチュエータ1F及び前位サーボ弁5Fと、後台車3bと車体2の間に設置した後位アクチュエータ1R及び後位サーボ弁5Rの各2基ずつ、また、振動加速度センサーを、車体2の前方に設置した前位振動加速度センサー7Fと車体2の後方に設置した後位振動加速度センサー7Rの2台配置した場合には、以下に説明するような診断方法が実施できるようになる。これが第2の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置である。なお、図2では、図1に示した実施例のような減衰力切替ダンパー8は省略して示している。
【0038】
この第2の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両においては、以下に説明するような診断を行うことができる。
【0039】
▲4▼ 車両を停止させた状態で、制御器9から電磁弁6に指令を出して電磁弁6を供給の状態に切替え、空気源4aからアクチュエータ1へ空気が供給されるようにする。この状態で、前位と後位のアクチュエータ1F,1Rを同じ位相で駆動させるべく前位と後位のサーボ弁5F,5Rに指令を出し、図4(a)(b)に示すように、車体2を同じ位相で、すなわち、車体2を幅方向に加振する。
【0040】
制御器9では、これら加振された振幅の、例えば和の1/2と差の1/2の内の例えば最後の3秒間の振幅[図4に示した実施例では0.41m/秒2{図4(c)}と0.10m/秒2{図4(d)}]を比較し、差の1/2が和の1/2よりも大きい場合には、サーボ弁5との相対位置関係において前位又は後位アクチュエータ1F又は1Rの取付け方向不良、或いは、前位又は後位振動加速度センサー7F又は7Rの取付け不良、或いは、前位又は後位アクチュエータ1F又は1Rの制御信号の配線不良の何れかであると診断する(図4に示した実施例では故障していない)のである。
これが第2の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法である。
【0041】
(5) また、上記第2の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法において、車体2を同じ位相で加振するのに代えて、図5(a)(b)に示すように、車体2を逆の位相で、すなわち、車体2をヨーイング方向に加振する。
【0042】
制御器9では、これら加振された振幅の、例えば和の1/2と差の1/2の内の例えば最後の3秒間の振幅[図5に示した実施例では0.08m/秒2{図5(c)}と0.84m/秒2{図5(d)}]を比較し、和の1/2が差の1/2よりも大きい場合には、サーボ弁5との相対位置関係において前位又は後位アクチュエータ1F又は1Rの取付け方向不良、或いは、前位又は後位振動加速度センサー7F又は7Rの取付け不良、或いは、前位又は後位アクチュエータ1F又は1Rの制御信号の配線不良の何れかであると診断する(図5に示した実施例では故障していない)のである。
これが第3の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法である。
【0043】
また、上記の何れかの構成の振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両では、上記の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法を実施することで、振動制御装置のどの構成部品がどのように悪いのかの診断を別個に、自動的に、しかも短時間で行うことができるようになる。
【0044】
本実施例では、伸縮駆動装置として、空圧駆動のアクチュエータ1又は1F,1Rを採用したが、油圧駆動のアクチュエータや電動駆動のアクチュエータを適用することも可能である。
【0045】
また、本実施例では、駆動エネルギーとして空気を使用したので、遮断装置としては電磁弁6を使用したものを示したが、電動駆動のアクチュエータを採用する場合には、当然に電気のON/OFFスイッチを採用することは言うまでもない。
【0046】
また、本実施例では、アクチュエータ1又は1F,1Rを車体2の幅方向に設置したものを示したので、車体2の振動を検出する振動加速度センサー7a,7b又は7F,7Rも車体2の幅方向に取り付けたものを示したが、振動加速度センサー7a,7b又は7F,7Rの取付け方向は伸縮駆動装置によって発生する振動を検出できる方向に取り付けるものであることは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鉄道車両における車体振動制御系の各種構成要素が健全に作動しているか否かの判断を、例えば毎日営業運転に入る前に別個に、自動的に、しかも短時間で行うことができ、制御系の信頼性が大幅に向上し、安全走行に大きく寄与できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両の第1実施例の概略構成を示した図で、(a)は車体が中間に位置した場合の図、(b)は中間位置から車体を幅方向紙面右方向に振らせた場合の図、(c)は中間位置から車体を幅方向紙面左方向に振らせた場合の図である。
【図2】 請求項3に対応する本発明に係る鉄道車両の振動制御診断装置及びこの振動制御診断装置を搭載した本発明に係る鉄道車両の第2実施例を車体の前方と後方に分けて示した概略構成図である。
【図3】 本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法の説明図で、(a)は遮断装置の故障の診断方法、(b)は伸縮駆動装置、遮断装置の故障、或いは空気漏れの診断方法、(c)は請求項2の説明図である。
【図4】 請求項4に記載の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法の説明図で、(a)は前位振動加速度センサーの出力値、(b)は後位振動加速度センサーの出力値、(c)は(a)と(b)の和の1/2、(d)は(a)と(b)の差の1/2を示した図である。
【図5】 請求項5に記載の本発明に係る鉄道車両の振動制御診断方法の説明図で、(a)は前位振動加速度センサーの出力値、(b)は後位振動加速度センサーの出力値、(c)は(a)と(b)の和の1/2、(d)は(a)と(b)の差の1/2を示した図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ
1F 前位アクチュエータ
1R 後位アクチュエータ
2 車体
3 台車
3F 前台車
3R 後台車
4 回路
5 サーボ弁
5F 前位サーボ弁
5R 後位サーボ弁
6 電磁弁
7a 振動加速度センサー
7b 振動加速度センサー
7F 前位振動加速度センサー
7R 後位振動加速度センサー
8 減衰力切替ダンパー
9 制御器
Claims (6)
- 鉄道車両に搭載される振動制御診断装置であって、
台車と車体の間に設置した伸縮駆動装置及びこの伸縮駆動装置の駆動を制御する駆動制御部と、
前記伸縮駆動装置によって加振される車体の振動加速度を検出すべく車体に配置された振動加速度センサーと、
前記伸縮駆動装置に駆動エネルギーを供給する回路と、
この回路上に介設され前記伸縮駆動装置への駆動エネルギーの供給と遮断を切替える遮断装置と、
前記遮断装置、駆動制御部に信号を出力するのと共に、前記振動加速度センサーからの検出信号を入力される制御器と、
台車と車体間に前記伸縮駆動装置と並列に設置された、前記制御器からの指令を受けて減衰力特性が「強」と「弱」に切替可能な減衰力切替ダンパーを備え、
前記制御器には、前記減衰力切替ダンパーの初期設計状態での減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を基準値として予め入力し、
減衰力切替ダンパーの健全状態か否かの診断時、減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度センサーから検出された車体振動加速度の比を前記基準値と比較するようにしたことを特徴とする鉄道車両の振動制御診断装置。 - 請求項1に記載の鉄道車両の振動制御診断装置を用いて振動制御の診断を行う方法であって、
車両停止中に、前記遮断装置を供給の状態で前記駆動制御部に伸縮駆動装置の駆動信号を出力し、
制御器では減衰力切替ダンパーの減衰力特性が「強」と「弱」の場合における車体振動加速度の比を前記基準値と比較し、前記基準値よりも大きい場合には、減衰力切替ダンパーの故障であると診断することを特徴とする鉄道車両の振動制御診断方法。 - 請求項1に記載の鉄道車両の振動制御診断装置において、
前記の伸縮駆動装置及び駆動制御部は、前台車と車体の間に設置した前位伸縮駆動装置及び前位駆動制御部と、後台車と車体の間に設置した後位伸縮駆動装置及び後位駆動制御部の各2基ずつ、
また、前記の振動加速度センサーは、車体の前方に設置した前位振動加速度センサーと車体の後方に設置した後位振動加速度センサーの2台であることを特徴とする鉄道車両の振動制御診断装置。 - 請求項3に記載の鉄道車両の振動制御診断装置を用いて振動制御の診断を行う方法であって、
車両停止中に、前記遮断装置を供給の状態で前記前位と後位の駆動制御部に伸縮駆動装置の駆動信号を出力して同じ位相で車体を加振し、
制御器では前位振動加速度センサーの出力値と、後位振動加速度センサーの出力値の和と差の大小を比較し、前記の差が和よりも大きい場合には、駆動制御部との相対位置関係における伸縮駆動装置の取付け方向不良、或いは、振動加速度センサーの取付け不良、或いは、伸縮駆動装置の制御信号の配線不良の何れかであると診断することを特徴とする鉄道車両の振動制御診断方法。 - 請求項4に記載の鉄道車両の振動制御診断方法において、
前位と後位の伸縮駆動装置による車体の加振を同じ位相で行うのに代えて、逆の位相で行い、
前位振動加速度センサーの出力値と、後位振動加速度センサーの出力値の和と差の大小を比較し、前記の和が差よりも大きい場合には、駆動制御部との相対位置関係における伸縮駆動装置の取付け方向不良、或いは、振動加速度センサーの取付け不良、或いは、伸縮駆動装置の制御信号の配線不良の何れかであると診断することを特徴とする鉄道車両の振動制御診断方法。 - 請求項1又は3に記載の鉄道車両の振動制御診断装置を搭載したことを特徴とする鉄道車両。
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Publications (2)
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