JP4210671B2 - 非接触形メカニカルシール - Google Patents

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本発明は、例えばコンプレッサー、ブロワー等の回転機器において使用される非接触形メカニカルシールに関するものである。
従来、この種の非接触形メカニカルシールCは、図6に示すタンデム型のように、回転軸24と一体回転する回転シール環25と、シールケースCKに支持される静止シール環26と、静止シール環26を回転シール環25にバネ付勢するためのリテーナ27と、運動Oリング30と、固定Oリング29とを有して構成されている。尚、図6に示される非接触形メカニカルシールCは、後述の従来例2のものを適用して描いてある。
リテーナ27は、シールケースCKに軸方向摺動自在で、かつ、回転不能に支持されており、静止シール環26は、シールケースCKに軸方向摺動自在で、かつ、リテーナ27に回転不能となる状態に支持されている。運動Oリング30は、静止シール環26とリテーナ27との間にシール作用し、固定Oリング29は、リテーナ27とシールケースCKとの間にシール作用する。このような非接触形メカニカルシールとしては、例えば特許文献1において開示されたものが知られている。
そして、リテーナ27部分の構造の違いにより、図4に示す構造〔従来例1〕のものと、図5に示す構造〔従来例2〕のものが従来存在していた。〔従来例1〕のものは、図4に示すように、運動Oリング30がシールケースCKの内周溝31に嵌り込んでおり、運動Oリング30はその内周溝31とリテーナ27の筒軸部27Aの外周面とに摺接してシールする構造である。〔従来例2〕のものは、図5に示すように、運動Oリング30が嵌るシールケースCKの内周部28が片側開放構造のものであり、運動Oリング30は内周側に加えて、軸方向側でもリテーナ3に摺接可能な構造である。次に、これら両者について、(a)正常圧力状態、(b)逆圧発生状態、(c)復帰時状態の三状態について検討する。
図4の〔従来例1〕による構造において、正常圧力状態では、図4(a)に示すように、バネ付勢されるリテーナ27は静止シール環26に寄っており、リテーナ27の環状凹み27aの内奥縦面と、静止シール環26の環状突部26Aの先端縦面とが固定Oリング29によってシールされている。また、運動Oリング30は、高圧側となるプロセス側室21からの圧により、内周溝31における静止シール環存在側と反対側(中間室22側)に寄った箇所に位置している。
操作ミス等の何らかの原因により、中間室22の圧とプロセス側室21の圧との関係が逆転する逆圧発生状態では、図4(b)に示すように、逆圧に押されてリテーナ27が中間室22側に移動するので、それによって固定Oリング29がリテーナ27の環状凹み27Aから外径側に食み出るように飛び出し、静止シール環26との軸方向のシールが不可となるため、その固定Oリング29部位から多量の漏れ(中間室22からプロセス側室21への漏れ)が生じる。この場合、機器側に流量計があれば、漏れ量が急激に増大することから異常(逆圧)が生じたことを検地できる点は好ましい。
そして、逆圧が解消して元の正常圧力状態に復帰する復帰時状態では、図4(c)に示すように、リテーナ27のプロセス側室21側への戻り移動により、外径側に食み出ている固定Oリング29が静止シール環26の環状突部26Aとリテーナ27とで挟まれて、不均一に飛び出している不安定な状態になり、前述の多量の漏れが解消できない不都合が起こり得る。従って、元の正常圧力状態に戻しての正常な運転を行うには、非接触形メカニカルシールC部及び機器の分解、整備、再組付けが必要となる。これは大変面倒であり、かつ、多くの時間を要する点で厄介な問題である。
次に、図5の〔従来例2〕による構造において、正常圧力状態では、図5(a)に示すように、バネ付勢されるリテーナ27は静止シール環26に寄っており、リテーナ27の環状凹み27aの内奥縦面と、静止シール環26の環状突部26Aの先端縦面とが固定Oリング29によってシールされている。また、運動Oリング30は、高圧側となるプロセス側室21からの圧により、内周部28において静止シール環存在側と反対側(中間室22側)に寄った箇所に位置している。
そして、前述と同様の逆圧発生状態では、図5(b)に示すように、中間室22が高圧になることによって運動Oリング30が押され、リテーナ27の段差壁27bに当接するまで内周部28内において移動するとともに、リテーナ27を静止シール環26に押付けるように作用する。従って、固定Oリング29が逆圧によって外径側に膨張変形しても、静止シール環26と回転シール環25とのシール面、及びリテーナ27と静止シール環26との間から多量の漏れが発生することは無い。そして、逆圧が解消して元の正常圧力状態に戻る復帰時状態では、図5(c)に示すように、各Oリング29,30は不都合無く元の状態に戻るので、非接触形メカニカルシールC部や機器の分解、整備、再組付けの必要がなく、そのまま継続して使用することができる。
しかしながら、この場合には次のような不都合が生じる。即ち、逆圧の発生時(オペレーションミス等による)に多量の漏れが発生しないので、逆圧検知が為されず、その逆圧状態が継続されてしまうおそれがある。静止時(スタンバイ時)に逆圧状態が発生しても特に問題は起きないが、回転時(運転時)に逆圧状態が発生すると各シール部はダメージを受けることになり、問題である。
つまり、その後の分解時(定期点検時)等においてシール部にダメージが認められる場合、多量漏れの履歴が無い状況下においては、そのシール部のダメージの原因を究明することが困難になるからである。その結果、不都合の発生原因が究明されないまま運転が続行されることとなり、シール部や機器の安定した運転が阻害されるおそれを持ったままになるという厄介な問題がある。
特開平08−334175号公報
以上のように、従来技術においては、従来例1のものでは、オペレーションミス等によって逆圧が生じた場合には、その都度シール部や機器の分解、整備、再組付けが必要であって多大な時間とコストが掛る問題があり、従来例2のものでは、逆圧状態の検知又は判断機能が無く、シール部にダメージが発見されたときの原因究明作業が困難になる問題がある、といった具合に非接触形メカニカルシールとしては改善の余地が残されているものであった。
本発明の目的は、逆圧の発生を速やかに検知できるとともに、逆圧状態から正常状態に復帰した際のシール咬み込み等の不具合が発生せず、かつ、復帰後における分解等の大掛かりなメンテナンスの必要も無いようにして、上述の問題点が解消される改善された非接触形メカニカルシールを提供する点にある。
請求項1に係る発明は、回転軸4と一体回転する回転シール環5と、
シールケースCKに対して回転不能で、かつ、前記回転軸4の軸心P方向に移動自在に支持される状態で、前記回転シール環5に前記軸心P方向において押付けられる静止シール環6と、
前記静止シール環6を前記回転シール環5に押付けるためのリテーナ7と、
前記リテーナ7を前記静止シール環6に押付けるべく前記リテーナ7と前記シールケースCKとの間に介装される弾性機構8とを有するとともに、
前記リテーナ7と前記静止シール環6との間をシールするための第1のシールリング9と、前記シールケースCKと前記リテーナ7との間をシールするための第2のシールリング10とが装備されており、
前記回転シール環5と前記静止シール環6との夫々の対向端面5a,6aの相対回転によって生じる動圧と、前記弾性機構8による前記静止シール環6の前記回転シール環5への押付け力とがバランスすることにより、前記各対向端面5a,6aどうしの間が非接触状態に保持されながらシールされるように構成される非接触形メカニカルシールにおいて、
前記第2のシールリング10は、前記シールケースCKに形成された内周溝11に収容されて、前記内周溝11における内周面11aと前記リテーナ7における筒軸部7Aの外周面7aとの間をシールする状態に構成され、
前記軸心P方向に開放される状態の横向き周溝12が、前記リテーナ7又は前記静止シール環6との何れか一方に形成され、かつ、前記横向き周溝12に嵌合自在な横向き凸環状部13が、前記リテーナ7又は前記静止シール環6との何れか他方に形成され、前記横向き周溝12に前記第1のシールリング9が収容されて、前記横向き周溝12における内奥端の環状縦面12aと、前記横向き凸環状部13における先端環状縦面13aとの間がシールされる状態に構成され、
前記横向き周溝12における外側の側周面12bが内側の側周面となる第二の横向き凸環状部14が前記一方に形成されるとともに、前記第二の横向き凸環状部14を嵌合自在な第二の横向き周溝15が前記他方に形成され、前記リテーナ7が前記軸心P方向で最も前記シールケースCKに寄っても、前記第二の横向き凸環状部14と前記第二の横向き周溝15との嵌合が解除されないように、前記第二の横向き凸環状部14と前記第二の横向き周溝15との前記軸心P方向の各寸法が設定されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の非接触形メカニカルシールにおいて、前記横向き周溝12における内側の側周面7bの径が、前記外周面7aの径と同等の値に設定されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の非接触形メカニカルシールにおいて、前記横向き周溝12と前記第二の横向き凸環状部14とが前記リテーナ7に形成され、かつ、前記横向き凸環状部13と前記第二の横向き周溝15とが前記静止シール環6に形成されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の非接触形メカニカルシールにおいて、前記シールリング9,10がゴム製のOリングであることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、詳しくは実施例において説明するが、主に、シールケースとリテーナとをシールする第2のシールリングを、シールケースに形成された内周溝に収容する構成と、リテーナが軸心方向で最もシールケースに寄っても、第二の横向き凸環状部と第二の横向き周溝との嵌合が解除されないように、第二の横向き凸環状部と第二の横向き周溝との軸心方向の各寸法を設定する構成とにより、逆圧状態になると多量の漏れによって異常検知できることで、速やかに正常状態に戻せるとともに、逆圧から正常状態への復帰時にシールリングの咬み込みが発生せず、継続運転が可能である。また、シール部に若干のダメージが生じた場合でも、その原因解明が迅速に行えるので、速やかに対策が取れて安定運転に移行させることが可能になる。
その結果、シール部や機器の分解、整備、再組付けが必要であって大変面倒で多くの時間を要するとか、シール部のダメージ原因が究明されないまま運転が続行され、シール部や機器の安定した運転が阻害されるおそれがあるといった従来の問題点が解消され、逆圧の発生を速やかに検知できるとともに、逆圧状態から正常状態に復帰した際のシール咬み込み等の不具合が発生せず、かつ、復帰後における分解等の大掛かりなメンテナンスの必要も無い改善された非接触形メカニカルシールを提供することができる。
請求項2の発明によれば、横向き周溝における内側の側周面の径が、リテーナの外周面の径と同等の値とされているので、正常状態でも逆圧作用時でも、それら圧に起因してリテーナを軸心方向に移動させる力が生ぜず、従って、静止シール環を回転シール環に押付ける本来の機能を安定して発揮させることができるようになる。
また、請求項3のように、横向き周溝と第二の横向き凸環状部とをリテーナに形成し横向き凸環状部と第二の横向き周溝とを静止シール環に形成する構成を採ることができるとともに、請求項4のように、各シールリングを普及品で廉価なOリングを用いて経済的に構成させることも可能である。
以下に、本発明による非接触形メカニカルシールの実施の形態を、タンデム構造のシール装置に適用された場合について図面を参照しながら説明する。図1はタンデム型シール装置の構造を示す要部の断面図、図2は図2のシール部分を示す拡大断面図、図3(a)、(b)、(c)は非接触形メカニカルシールの各種状態を示す要部の作用図である。また、図4及び図5(a)、(b)、(c)は、夫々従来例1,2の非接触形メカニカルシールの各種状態を示す要部の作用図、図6は従来の非接触形メカニカルシールを示す全体断面図である。
〔実施例1〕
図1に示すように、タンデム型シール装置Mは、プロセス側室1と中間室2とを密封するための第1の接触形メカニカルシールAと、中間室2と大気側室3とを密封するための第2の接触形メカニカルシールBとを有して構成されている。第1の接触形メカニカルシールAと第2の接触形メカニカルシールBとは同じものであり、以後は第1の接触形メカニカルシールAを単に「接触形メカニカルシールA」と称呼し、主に第1の接触形メカニカルシールAについて説明するものとする。
接触形メカニカルシールAは、図1、図2に示すように、スリーブaを介して回転軸4と一体回転する回転シール環5と、シールケースCKに対して回転不能で、かつ、回転軸4の軸心P方向に摺動移動自在に支持される状態で、回転シール環4に軸心P方向において押付けられる静止シール環6と、静止シール環6を回転シール環5に押付けるためのリテーナ7と、リテーナ7を静止シール環6に押付けるべくリテーナ7とシールケースCKとの間に介装される弾性機構8と、リテーナ7と静止シール環6との間をシールするための固定Oリング(第1のシールリングの一例)9と、シールケースCKとリテーナ7との間をシールするための運動Oリング(第2のシールリングの一例)10とを有して構成されている。
リテーナ7は、そのフランジ部7Fから軸心P方向における静止シール環6の存在側と反対側に突設される複数の嵌合柱17と、これら嵌合柱17に対応するようにシールケースCKに形成された嵌合穴18との嵌合により、シールケースCKに対して相対回転不能で、かつ、軸心P方向に移動自在に支持されている。加えて、シールケースCKに形成された軸心P方向の複数の収容穴19には、先端がフランジ部7Fに側面当接する状態のコイルバネ20が収容されており、これによってリテーナ7を静止シール環6に向けて弾発付勢する弾性機構8が構成されている。
また、リテーナ7のフランジ部7Fから軸心P方向における静止シール環6の存在側に突設される複数の第二嵌合柱21と、これら嵌合柱21に対応するように静止シール環6に形成された第二嵌合穴22との嵌合により、静止シール環6がリテーナ7に対して、即ちシールケースCKに対して相対回転不能で、かつ、軸心P方向に移動自在に支持されるように構成されている。従って、静止シール環6は、弾性機構8によってリテーナ7及び固定Oリング9を介して回転シール環5に向けて常時押圧付勢されるように構成されている。尚、固定Oリング9がある程度軸心P方向に圧縮されると、第二嵌合柱21の先端面が第二嵌合穴22の内奥壁に当接して、それ以上の圧縮が回避される構成を採れば好都合である。
接触形メカニカルシールAのシール作用は、回転シール環5と静止シール環6との夫々の対向端面5a,6aの相対回転によって生じる動圧と、弾性機構8による静止シール環6の回転シール環5への押付け力とがバランスすることにより、各対向端面5a,6aどうしの間が非接触状態に保持されながらシールされるという公知のものであり、ここではシール作用に関するこれ以上の詳細説明は割愛する。
運動Oリング10は、図1、図2に示すように、シールケースCKに形成された内周溝11に収容されて、内周溝11における内周面11aとリテーナ7における筒軸部7Aの外周面7aとの間をシールする状態に構成されている。内周溝11の横幅(軸心P方向の幅)は運動Oリング10の径よりも大きいものに設定されており、リテーナ7がシールケースCKに対して軸心P方向に移動し得る構造に適合するように構成されている。
固定Oリング9は、図1、図2に示すように、リテーナ7に形成された横向き周溝12に収容されている。即ち、横向き周溝12は、外周面7aの径と同等の径に設定される内側の側周面7bを有して軸心P方向に開放される状態でリテーナ7に形成されるとともに、この横向き周溝12に嵌合自在な横向き凸環状部13が静止シール環6に形成されている。固定Oリング9により、横向き周溝12における内奥端の環状縦面12aと、横向き凸環状部13における先端環状縦面13aとの間がシールされる状態に構成されている。
そして、横向き周溝12における外側の側周面12bが内側の側周面となる第二の横向き凸環状部14がリテーナ7に形成されるとともに、第二の横向き凸環状部14を嵌合自在な第二の横向き周溝15が静止シール環6に形成され、リテーナ7が軸心P方向で最もシールケースCKに寄っても、第二の横向き凸環状部14と第二の横向き周溝15との嵌合が解除されないように、第二の横向き凸環状部14と第二の横向き周溝15との軸心P方向の相対寸法が設定されている。前述の第二嵌合柱21は、第二の横向き凸環状部14の外径側に配置されており、一つの第二嵌合柱21に作用する回り止め回転トルクが小さくなるようにしてある。
尚、リテーナ7とシールケースCK及び静止シール環6との関係構造については、図1における図面理解上から、第1の接触形メカニカルシールAにおいては、リテーナ7とシールケースCKとの相対回転を不能とする部分の構造を示し、第2の接触形メカニカルシールBにおいては、リテーナ7と静止シール環6との相対回転を不能とする部分の構造、及びリテーナ7をシールケースCKに対して軸心P方向に弾発付勢する関係構造を示している。次に、接触形メカニカルシールAにおける(a)正常圧力状態、(b)逆圧発生状態、(c)復帰時状態の三状態について検討する。
(a)正常圧力状態は、図3(a)に示すように、プロセス側室1が高圧で中間室2が低圧となる正常な状態であり、図1や図2に示す非接触型メカニカルシールAの場合と同じ状態、即ち、運動Oリング10が内周溝11における左側(静止シール環6の存在側と反対側)の端部に寄った位置にあり、かつ、固定Oリング9が左右方向(軸心P方向)に圧縮されて有効なシール作用が生じるべく、弾性機構8によってリテーナ7が静止シール環6に最も近づく位置関係となるように押圧されている。
(b)逆圧発生状態は、図3(b)に示すように、プロセス側室1が低圧で中間室2が高圧となるので、運動Oリング10がその高圧に押されて、内週溝11における右側(静止シール環6の存在側)に移動するとともに、リテーナ7が弾性機構8による付勢力に抗して左側(静止シール環6の存在側と反対側)に押され、フランジ部7FがシールケースCKに当接するまで移動する。そして、固定Oリング9は、横幅(軸心P方向幅)が広がったようになる横向き周溝12において、高圧によって左右中間における外径側に膨張されるように変形するが、第二の横向き凸環状部14と第二の横向き周溝15との嵌合状態はかろうじて維持されている。
この逆圧発生状態では、リテーナ7と静止シール環6とのシール作用が効かなくなるので、これら両者7,6間に隙間が形成され、多量の漏れが発生する状態になる。この場合、機器に流量計が装備されていると、その流量計の変化によって逆圧の生じていることを即座に検知することが可能となり、速やかに正常運転に戻すよう促すこと(注意喚起効果)が期待できる。尚、第二の横向き凸環状部14と第二の横向き周溝15とが嵌合しているので、リテーナ7と静止シール環6との間に固定Oリング9が食い込むような現象は生じない。
(c)復帰時状態は、図3(c)に示すように、プロセス側室1が高圧に、かつ、中間室2が低圧の正常状態に戻るので、リテーナ7が静止シール環5に押される元の状態、即ち図3(a)の状態に復帰する。前述したように、第二の横向き凸環状部14と第二の横向き周溝15との嵌合状態が維持されるので、復帰移動時にリテーナ7と静止シール環6との間に固定Oリング9が咬み込む現象も生じない。つまり、固定Oリング9と運動Oリング10とによるシール機能が正常に復帰するのである。故に、逆圧が静止時(スタンバイ時)において生じた場合には、その逆圧状態雄を解除して運転状態を正常状態に戻すだけで良く、機器やシール部分(接触形メカニカルシールA及びB部分)を分解して整備する必要は無く、そのまま続けて運転することができる。
逆圧が回転軸4の回転時(運転時)において生じた場合には、各Oリング9,10には通常では作用しない摩擦力が生じる等により、ある程度のダメージを受けることがあるが、前述のように短時間で逆圧検知が可能であることから、逆圧状態での運転時間が従来に比べて短縮されるようになる。従って、前記ダメージを軽く抑えて機器やシール部分の分解整備を要せずして継続運転が可能となる場合もある等、逆圧状態での運転による不都合を比較的軽微に抑えられる利点がある。
また、前記ダメージが比較的重い場合が生じたとしても、その原因が逆圧であることが確定できるので、対策を早く取ることができて好ましい。そして、定期点検時にシール部分を分解した際に、シール(固定Oリング9や運動Oリング10)にダメージがある場合は、流量計の履歴を確認すれば、逆圧運転の有無が判断できて原因の特定が容易に行えるので、そのダメージの原因が、機器側のオペレーションミス(逆圧)によるものか、それ以外(シール部分)によるものかの判断がし易い。従って、原因究明、対策等を素早く明確化でき、機器全体としての安定した運転が確保し易い非接触型メカニカルシールが提供される。
〔別実施例〕
図示は省略するが、軸心方向に開放される状態の横向き周溝12が静止シール環5に形成され、かつ、横向き凸環状部13がリテーナ7に形成され、横向き周溝12における外側の側周面が内側の側周面となる第二の横向き凸環状部14がリテーナ7に形成されるとともに、第二の横向き凸環状部14を嵌合自在な第二の横向き周溝15が静止シール環6形成される構成も可能である。
タンデム型非接触形メカニカルシールの構造を示す要部の断面図 図1のシール部分の拡大断面図(実施例1) リテーナと各Oリングの作用図を示し、(a)は正常圧力状態、(b)は逆圧発生状態、(c)は復帰時状態 従来例1によるリテーナと各Oリングの作用図を示し、(a)は正常圧力状態、(b)は逆圧発生状態、(c)は復帰時状態 従来例2によるリテーナと各Oリングの作用図を示し、(a)は正常圧力状態、(b)は逆圧発生状態、(c)は復帰時状態 従来のタンデム型非接触形メカニカルシールの構造を示す要部の断面図
符号の説明
4 回転軸
5 回転シール環
5a 対向端面
6 静止シール環
6a 対向端面
7 リテーナ
7A 筒軸部
7a 外周面
7b 内側の側周面
8 弾性機構
9 第1のシールリング
10 第2のシールリング
11 内周溝
11a 内周面
12 横向き周溝
12a 内奥端の環状縦面
13 横向き凸環状部
13a 先端環状縦面
14 第二の横向き凸環状部
15 第二の横向き周溝
A,B 非接触形メカニカルシール
CK シールケース
P 軸心

Claims (4)

  1. 回転軸と一体回転する回転シール環と、
    シールケースに対して回転不能で、かつ、前記回転軸の軸心方向に移動自在に支持される状態で、前記回転シール環に前記軸心方向において押付けられる静止シール環と、
    前記静止シール環を前記回転シール環に押付けるためのリテーナと、
    前記リテーナを前記静止シール環に押付けるべく前記リテーナと前記シールケースとの間に介装される弾性機構とを有するとともに、
    前記リテーナと前記静止シール環との間をシールするための第1のシールリングと、前記シールケースと前記リテーナとの間をシールするための第2のシールリングとが装備されており、
    前記回転シール環と前記静止シール環との夫々の対向端面の相対回転によって生じる動圧と、前記弾性機構による前記静止シール環の前記回転シール環への押付け力とがバランスすることにより、前記各対向端面どうしの間が非接触状態に保持されながらシールされるように構成される非接触形メカニカルシールであって、
    前記第2のシールリングは、前記シールケースに形成された内周溝に収容されて、前記内周溝における内周面と前記リテーナにおける筒軸部の外周面との間をシールする状態に構成され、
    前記軸心方向に開放される状態の横向き周溝が、前記リテーナ又は前記静止シール環との何れか一方に形成され、かつ、前記横向き周溝に嵌合自在な横向き凸環状部が、前記リテーナ又は前記静止シール環との何れか他方に形成され、前記横向き周溝に前記第1のシールリングが収容されて、前記横向き周溝における内奥端の環状縦面と、前記横向き凸環状部における先端環状縦面との間がシールされる状態に構成され、
    前記横向き周溝における外側の側周面が内側の側周面となる第二の横向き凸環状部が前記一方に形成されるとともに、前記第二の横向き凸環状部を嵌合自在な第二の横向き周溝が前記他方に形成され、前記リテーナが前記軸心方向で最も前記シールケースに寄っても、前記第二の横向き凸環状部と前記第二の横向き周溝との嵌合が解除されないように、前記第二の横向き凸環状部と前記第二の横向き周溝との前記軸心方向の各寸法が設定されている非接触形メカニカルシール。
  2. 前記横向き周溝における内側の側周面の径が、前記外周面の径と同等の値に設定されている請求項1に記載の非接触形メカニカルシール。
  3. 前記横向き周溝と前記第二の横向き凸環状部とが前記リテーナに形成され、かつ、前記横向き凸環状部と前記第二の横向き周溝とが前記静止シール環に形成されている請求項1又は2に記載の非接触形メカニカルシール。
  4. 前記シールリングがゴム製のOリングである請求項1〜3の何れか一項に記載の非接触形メカニカルシール。
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