JP2011190902A - ドライコンタクトメカニカルシール - Google Patents

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Abstract

【目的】密封端面間からのガス漏れを確実に阻止しうるドライコンタクトメカニカルシールを提供する。
【構成】 シールケース2に設けた静止密封環3の密封端面3aに、回転軸4に設けた回転密封環5の密封端面5aにより閉塞された環状のバリア空間17を凹設し、バリア空間17内の圧力をこれにバリア流体供給路18から供給したバリア流体19により高圧ガス領域Aの圧力より0.05〜0.3MPa高圧となるように保持させておくことにより、バリア空間17内のバリア流体圧力により回転密封環5を静止密封環3から離間する方向へと押圧する開力Foがスプリング7の附勢力Fs及び高圧ガス領域Aの流体圧力により回転密封環5を静止密封環3へと押圧する閉力Fcとバランスされて、両密封端面3a,5aが接触面圧を生じない状態で相対回転摺接されるように構成したドライコンタクトメカニカルシールである。
【選択図】図3

Description

本発明は、医薬,食品,化学品,半導体等の分野で使用される回転機器であってガスを扱う攪拌機等の回転機器に軸封装置として装備されるドライコンタクトメカニカルシールに関するものである。
従来のドライコンタクトメカニカルシールとして、シールケースに固定された静止密封環と回転軸に軸線方向移動可能に保持された回転密封環との対向端面である密封端面の相対回転摺接作用により機内ガス領域(高圧ガス領域)と機外ガス領域(低圧ガス領域である大気領域)とをシールするように構成されたものが周知である(例えば、特許文献1を参照)。
このようなドライコンタクトメカニカルシールにあっては、両密封環の密封端面が圧接状態で相対回転されるが、その相対回転摺接部分が液体潤滑されないドライ雰囲気(ガス雰囲気)で運転されることから、両密封環の相対回転摺接部分(密封端面)が摩擦により発熱し、密封環の温度上昇による異常摩耗や熱歪による密封端面の変形による多量漏れを生じる等、良好なメカニカルシール機能を発揮できない虞れがある。また、このような多量漏れを生じない場合にも、密封端面間からの漏れを完全に阻止することはできず、機内ガスの漏れを許容しない条件下においては使用できないものであった。
特開平09−273635号公報
本発明は、上記のような問題を生じることなく、良好なシール機能を発揮しうるドライコンタクトメカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、シールケースに固定された静止密封環と回転軸に軸線方向移動可能に保持され且つスプリングにより静止密封環へと押圧附勢された回転密封環との対向端面たる密封端面の相対回転摺接作用により高圧ガス領域と低圧ガス領域とをシールするように構成されたドライコンタクトメカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、静止密封環の密封端面に、回転密封環の密封端面により閉塞された環状のバリア空間を凹設すると共に、シールケース及び静止密封環に、これらを貫通してバリア空間に連通する一連のバリア流体供給路を形成して、バリア空間内の圧力をこれにバリア流体供給路から供給したバリア流体により高圧ガス領域の圧力より0.05〜0.3MPa高くなるように保持させておくことにより、バリア空間内のバリア流体圧力により回転密封環を静止密封環から離間する方向へと押圧する開力がスプリングの附勢力及び前記ガス領域の流体圧力により回転密封環を静止密封環へと押圧する閉力とバランスされて、両密封端面が接触面圧を生じない状態で相対回転摺接されるように構成しておくことを提案するものである。
かかるドライコンタクトメカニカルシールの好ましい実施の形態にあっては、バリア流体の消費量を可及的に減じつつバリア空間内を上記した圧力に保持しておくためにバリア流体供給路に絞り器を配設しておくことが好ましく、当該絞り器はシールケースに形成されたバリア流体供給路部分に配設しておくことがより好ましい。また、バリア流体としては窒素ガス等の気体や水等の液体を使用することができるが、気体を使用する場合には、当該バリア空間内の圧力をこれが高圧ガス領域の圧力より0.05〜0.1MPa高くなるように保持させておくことが好ましい。さらに、回転軸を円筒構造のスプリングリテーナを嵌合固定したものとして、回転密封環をスプリングリテーナの先端円筒部にOリングを介して軸線方向に移動可能に嵌合保持させておくことが好ましい。
本発明のドライコンタクトメカニカルシールは、両密封環の対向端面である密封端面が接触面圧を生じない状態で相対回転摺接するように構成されたものであるから、ドライ雰囲気で運転される端面接触形メカニカルシールに宿命的な問題(摩擦熱による歪の発生や異常摩耗)を排除することができ、さらにバリア空間に高圧ガス領域より高圧のバリア流体を封入させることにより、密封端面間からのガス漏れを確実に阻止して、完璧なシール機能を発揮することができるものである。しかも、バリア空間からのバリア流体の流出量(消費量)が少ないため、バリア流体を使用することによるランニングコスト等の経済的負担が小さい。
図1は、本発明に係るドライコンタクトメカニカルシールの一例を示す縦断正面図である。 図2は、同メカニカルシールの縦断側面図である。 図3は、図1の要部を拡大して示す詳細図である。 図4は、図3と異なる状態を示す図3相当の縦断正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図3に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係るドライコンタクトメカニカルシールの一例を示す縦断正面図であり、図2は当該メカニカルシールの縦断側面図であり、図3は図1の要部を拡大して示す詳細図である。
この実施の形態におけるドライコンタクトメカニカルシールは、医薬,食品,化学,半導体等の分野において使用される攪拌機等の回転機器であってガスを扱う回転機器の軸封手段として使用されるものであり、本発明に従って、次のように構成されている。
すなわち、図1に示すドライコンタクトメカニカルシールは、回転機器のハウジング1にシールケース2を取り付け、このシールケース2に静止密封環3を固定し、静止密封環3を同心状に貫通する当該回転機器の回転軸(攪拌軸等)4に回転密封環5をOリング6を介して軸線方向移動可能に嵌合保持し、回転密封環5をこれと回転軸4との間に介装したスプリング7により静止密封環3へと押圧附勢して、両密封環3,5の対向端面たる密封端面3a,5aの相対回転摺接作用により、当該相対回転摺接部分3a,5aの内周側領域である機内ガス領域Aとその外周側領域である機外ガス領域Bとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。この例では、機外ガス領域Bは大気領域である低圧ガス領域であり、機内ガス領域Aは大気圧より高い高圧ガス領域であり、る。なお、以下において使用する圧力はすべてゲージ圧力を意味するものとする。
シールケース2は、図1及び図2に示す如く、ハウジング1にその軸封部端面1aに衝合する状態で取り付けられた円筒体であり、ステンレス鋼等の金属材(例えば、SUS304等)で構成されている。
静止密封環3は、図1及び図2に示す如く、シール条件に応じて選定された適宜の材料(カーボン,炭化珪素等のセラミックス,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする複合材,超硬合金等)で構成された円環状体であり、シールケース2の内周部に一対のOリング8,9を介して同心状に内嵌固定されている。静止密封環3の先端面は、軸線に直交する円環状の平滑平面である密封端面(以下「静止側密封端面」という)3aに構成されている。この静止側密封端面3aの内外径D1,D2は、図3に示す如く、その内径D1が回転密封環5の密封端面(以下「回転側密封端面」という)5aの内径より大きく且つその外径D2が回転側密封端面5aの外径より小さくなるように、設定されている。
回転軸4は、図1及び図2に示す如く、ハウジング1から機外領域Bへと延びてシールケース2及び静止密封環3を同心状に貫通する軸本体11とこれに嵌合固定されたスプリングリテーナ12とからなる。スプリングリテーナ12は、ステンレス鋼等の金属材(例えば、SUS316等)で構成されたもので、図1及び図2に示す如く、先端円筒部12aとこれより大径の中間円筒部12bとこれより大径の基端円筒部12cとからなる円筒体であり、基端円筒部12cに螺合させた適当数のセットスクリュー13(図2参照)を締め付けることにより、静止密封環3より機外ガス領域側に配して軸本体11に固定されている。
回転密封環5は、図1及び図2に示す如く、スプリングリテーナ12の先端円筒部12aに軸線方向に摺動自在に嵌合された本体部5bとスプリングリテーナ12の中間円筒部12bに遊嵌された二次シール部5cとからなる円筒体であり、二次シール部5cとスプリングリテーナ12の先端円筒部12aとの間にOリング6を介在させた二次シール状態で回転軸4に軸線方向移動可能に嵌合保持されている。回転密封環5は、シール条件及び静止密封環3の構成材に応じて選定された適宜の材料(カーボン,炭化珪素等のセラミックス,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする複合材,超硬合金等)で構成されており、本体部5bの先端面は、軸線に直交する円環状の平滑平面である密封端面(回転側密封端面)5aに構成されている。回転密封環5は、図2に示す如く、その基端部(二次シール部5cの基端部)にこれと同一内外径の金属製(ステンレス鋼等)のドライブカラー14をドライブピン15(及びスプリング部材7)により相対回転不能に衝合連結すると共に、このドライブカラー14に固着したドライブピン16をスプリングリテーナ12の基端円筒部12cに形成した貫通孔12dに挿通させることにより、軸線方向移動を所定範囲で許容した状態で回転軸4に対して相対回転不能に保持されている。なお、Oリング6の軸線方向移動は、スプリングリテーナ12の中間円筒部12bと回転密封環5の本体部5bとの対向端面によって係止規制されている。
スプリング7は、図1に示す如く、スプリングリテーナ12の基端円筒部12cとドライブカラー14との間に周方向に等間隔を隔てて装填した複数本の圧縮コイルスプリング7aで構成されており、回転密封環5を静止密封環3へと押圧附勢している。
而して、上記構成のドライコンタクトメカニカルシールにあっては、本発明に従って、密封端面3a,5a間での摩擦熱,摩耗の発生及び密封端面3a,5a間からの漏れを確実に防止すべく、次のような工夫が施されている。
すなわち、静止側密封端面3aに、回転側密封端面5aにより閉塞された環状のバリア空間17を凹設すると共に、シールケース2及び静止密封環3に、これらを貫通してバリア空間17に連通する一連のバリア流体供給路18を形成し、バリア流体供給路18からバリア空間17にバリア流体19を供給してバリア空間17内の圧力pを高圧ガス領域(機内ガス領域)Aの圧力Pより0.05〜0.3MPa高圧となるように保持することにより、バリア空間17内のバリア流体圧力pにより回転密封環5を静止密封環3から離間する方向へと押圧する開力Foがスプリング7の附勢力及び前記ガス領域の流体圧力Pにより回転密封環5を静止密封環3へと押圧する閉力Fs,Fcとバランスされて、両密封端面3a,5aが接触面圧を生じない状態で相対回転摺接されるように構成してある。
バリア空間17は、図3に示す如く、静止側密封端面3aに形成された凹溝により形成されている。なお、バリア空間17ないし凹溝の内外径d1,d2は静止側密封端面3aの内外径D1,D2とd1>D1,d2<D2の関係を有するものであることはいうまでもない。
バリア流体供給路18は、図1に示す如く、シールケースに形成されたケース側通路18aと静止密封環3に形成された密封環側通路18bとケース側通路18aの適所に配設された絞り器18cとからなり、シールケース2外に設けたバリア流体供給・制御装置20によりバリア流体19が供給され、バリア空間17内が上記した圧力p(高圧ガス領域Aより0.05〜0.3MPa高圧となる圧力)に保持される。ケース側通路18aは、図1に示す如く、シールケース2を径方向に貫通するもので、その一端部はシールケース2の外周部に開口して後述するバリア流体供給装置20に接続されており、その他端部はシールケース2の内周部に開口された環状の凹溝18dに形成されている。密封環側通路18bは、図1に示す如く、静止密封環3の外周面から静止側密封端面3aへと貫通されたもので、複数本(1本のみ図示)形成されている。各密封環側通路18aの一端部は凹溝18dに開口されており、その他端部はバリア空間17に開口されている。なお、凹溝18d及びこれと密封環側通路通路18bとの接続部分はOリング8,9によりシールされている。
絞り器18cは、この例では、図1及び図3に示す如く、ケース側通路18aの適所であって凹溝18dより上流側の部位に配設されており、オリフィス、毛細管又は多孔質部材等で構成されている。
バリア流体供給・制御装置20は、バリア流体19をバリア流体供給経路18からバアリ空間17に供給すると共に、バリア空間17内を高圧ガス領域(機内ガス領域)Aの圧力Pより0.05〜0.3MPa高い圧力pに保持すべく圧力制御するものである(P+0.05MPa≦p≦P+0.3MPa)。
ところで、回転密封環5に作用する閉力は、スプリング7の附勢力により回転密封環5を静止密封環3へと押圧する押圧力Fsと機内ガス領域Aの流体(ガス)による背圧Pにより回転密封環5を静止密封環3へと押圧する押圧力Fcであり、背圧Pによる閉力Fcは、図3に示す如く、回転密封環5に作用する背圧つまり機内ガス領域の圧力Pと静止側密封端面3aの内径D1とOリング6による回転密封環5の二次シール面の径つまり回転密封環5の二次シール部5cの内径D3とによって決定され、Fc=P(π/4)((D3)2-(D1)2)で与えられる。一方、回転密封環5に作用する開力は、バリア空間17内のバリア流体圧力pにより回転密封環5を静止密封環3から離間させる方向へと押圧する押圧力Foであり、この開力Foは、図3に示す如く、バリア流体19の圧力pとバリア空間17の内外径d1,d2によって決定され、Fo=p(π/4)((d2)2-(d1)2)で与えられる。
而して、バリア空間17内の圧力pは、バリア空間17の内外径d1,d2、静止側密封端面3aの内径D1、二次シール部5cの内径D3及びスプリング7の附勢力は、下記(1)(2)の条件が満足されるように制御,設定される。
(1)バリア空間17内の圧力(バリア流体圧)pが高圧ガス領域(機内ガス領域)Aの圧力Pより0.05〜0.3MPa高いこと。すなわち、P+0.05MPa≦p≦P+0.3MPaであること。
(2)開力Foと閉力Fs,Fcとがバランスされること。すなわち、Fo=Fs+Fcであり、具体的にはp(π/4)((d2)2-(d1)2)=Fs+P(π/4)((D3)2-(D1)2)であること。
すなわち、機内ガス領域Aの圧力Pに応じて上記(1)の範囲でバリア流体19の圧力pを想定し、この想定されたバリア流体圧力p及び機内ガス領域圧力Pに基づいて(2)の条件、つまりp(π/4)((d2)2-(d1)2)=Fs+P(π/4)((D3)2-(D1)2)の条件が満足されるように、バリア空間17の内外径d1,d2、静止側密封端面3aの内径D1、二次シール部5cの内径D3及びスプリング7の附勢力(各圧縮コイルスプリング7aのバネ力)を設定する。そして、バリア流体供給・制御装置20により、上記(2)の条件が満足されるように、上記(1)の範囲内でバリア空間17内の圧力pを制御するのである。なお、このようなバリア流体・制御供給装置20による圧力制御システムは格別のものではなく、周知,公知の圧力制御システムを使用することができる。
以上のように構成されたドライコンタクトメカニカルシールにあっては、バリア流体19をバリア空間17に供給して、バリア空間17内を上記(1)(2)の条件を満足する圧力pに制御,保持させることにより、密封端面3a,5aが接触面圧を生じない状態で相対回転摺接されることになる。
したがって、密封端面3a,5a間に接触面圧が生じないことから、密封環3,5が如何なる構成材料で構成されていても、密封端面3a,5aには摩擦熱や摩耗が殆ど生じない。その結果、密封端面3a,5aにシール機能に悪影響を及ぼすような熱歪や異常摩耗が生じることがなく、良好なシール機能が発揮される。
また、密封端面3a,5aは接触面圧が生じないものの相対回転摺接すること及びバリア空間17内のバリア流体圧pが上記(1)の条件を満足することから、高圧ガス領域である機内ガス領域Aから大気領域である機外ガス領域Bに機内ガスが漏洩することが全くなく、完璧なシール機能を発揮することができる。
すなわち、バリア空間17内の流体圧pが機内ガス領域Aの圧力Pより高圧であることから、機内ガスが密封端面3a,5aから漏洩することがなく、機内ガスの漏洩が完璧に阻止される。
ところで、バリア空間17内の圧力pと機内ガス領域Aの圧力Pとの差圧ΔP(=p−P)が0.05MPa未満であると、機内ガスの漏洩を確実に阻止することができず、かかる漏洩の確実な阻止を図るためにはΔP≧0.05MPaであることが必要である。一方、当該差圧ΔPが0.3MPaを超えると、バリア空間17内のバリア流体19が密封端面3a,5a間から機内ガス領域Aへ漏れ続けることになり、バリア空間17内を(2)の条件を満足する圧力pに保持しておくことが困難となり、密封端面3a,5aが非接触状態となり易い。しかし、ΔP≦0.3MPaであれば、バリア空間17から機内ガス領域Aへのバリア流体19の漏れが殆どないか、あってもその漏洩量は極く僅かなものとなる。特に、バリア流体19が窒素ガス等の気体である場合には、ΔP≦0.1MPaとしておくことにより、上記(2)の条件を満足しつつバリア流体19の密封端面3a,5a間からの漏洩を必要最小限に抑制することができる。したがって、バリア流体19の圧力pは上記(1)の範囲(0.05MPa≦ΔP≦0.3MPa)としておく必要があり、バリア流体19が気体である場合には0.05MPa≦ΔP≦0.1MPaとしておくのが良い。また、密封端面3a,5aから機内ガス領域A(及び機外ガス領域B)へのバリア流体19の漏れ量は、バリア流体供給路18に絞り器18cを配設しておくことにより、より抑制されることになる。
このように、上記したドライコンタクメカニカルシールは、端面接触形メカニカルシールの欠点である密封端面3a,5aの摩擦熱や摩耗の発生を可及的に排除しつつ、端面接触形メカニカルシールの利点である被密封流体(機内ガス領域Aの流体)の漏れ阻止性を更に完璧なものに改善したものであり、ドライ雰囲気において漏れを許容しない用途にも好適に使用することができるものである。
ところで、静止側密封端面3aの外径D2は、上記(1)(2)を条件を満足するに十分な大きなバリア空間17を確保しておくために(バリア空間形成用凹溝の径方向幅d2−d1を十分に大きくしておくために)バリア空間17を形成しない場合に比して大きくしておく必要がある(静止側密封端面3aの内径D1の大きさは回転軸4(軸本体11)の外径により必然的に決定される)。したがって、両密封端面3a,5aの相対回転摺接作用により所定の端面接触形メカニカルシール機能が発揮されるためには、Oリング6の外径によって決定されるバランス径D3を静止側密封端面3aの外径Dに応じて大きく設定しておく必要がある。一方、Oリング6が回転密封環5と回転軸4(軸本体11)との間に装填されている場合、バランス径D3は回転軸4の外径と当該Oリング6の断面径によって必然的に決定されることになる(バランス径D3は回転軸4の外径とOリング6の断面径との合計値で与えられる)から、Oリング6として市販の規格品(JIS規格(例えば、JIS B 2401,JIS W 1516,JIS W 1517等)に定められたOリング)を使用したのではバランス径D3を大きく設定することができず、規格品より断面径の大きな特殊Oリングを使用せざるを得ない。
しかし、上記したドライコンタクトシールにあっては、図3に示す如く、Oリング6を回転密封環5(二次シール部5c)とスプリングリテーナ12の先端円筒部12aとの間に装填していることから、Oリング6として上記規格品(回転軸4の外径に応じて断面径が規定されているもの)を使用しても、先端円筒部12の径方向厚みつまりその外径D4を調整することによりバランス径D3を自由に設定することができる。
また、先端円筒部12aの外径D4を適宜に設定しておくことにより、当該ドライコンタクトシールを装備した回転機器の運転状況変化等により、高圧ガス領域Aと低圧ガス領域Bとの圧力関係が逆転した場合にも、上記した場合と同様に良好なシール機能を発揮することができる。
例えば、機内ガス領域Aが正圧である図3に示す状態から、機内ガス領域Aが負圧となって機内ガス領域Aと機外ガス領域Bとの圧力関係が高低逆転した場合、つまり大気領域である機外ガス領域Bが高圧ガス領域となり、負圧ガス領域である機内ガス領域Aが低圧ガス領域となった場合、閉力Fcを決定するための要素が異なるものの、機内ガス領域Aの圧力(負圧)を−Pとすると、背圧による閉力Fcは、図4に示す如く、静止側密封端面3aの外径D1及びOリング6による回転軸4の二次シール面の径つまりスプリングリテーナ12の先端円筒部12aの外径D4によって決定され、Fc=P(π/4)((D2)2−(D4)2)で与えられる)、下記(3)(4)の条件を満足することにより、機内ガス領域Aが図3に示す如く正圧である場合と同一の作用効果が奏せられる。
(3)バリア室17内のバリア流体圧pが高圧ガス領域(機外ガス領域)Bの圧力(大気圧)より0.05〜0.3MPa高いこと。すなわち、0.05MPa≦p≦0.3MPaであること。この条件においても、バリア流体19として窒素ガス等の気体を使用する場合には0.05MPa≦p≦0.1MPaとしておくことが好ましい。
(4)Fo=Fs+Fcであること。すなわち、p(π/4)((d2)2-(d1)2)=Fs+P(π/4)((D2)2−(D4)2)となること。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
例えば、図3及び図4に示すドライコンタクトメカニカルシールでは、密封環3,5の相対回転摺接部分3a,5aの内周側領域を機内ガス領域Aとし、その外周側領域を機外ガス領域Bとしたが、本発明は、当該相対回転摺接部分3a,5aの外周側領域を機内ガス領域とし、その内周側領域を機外ガス領域たる大気領域とするドライコンタクトメカニカルシールにも同様に適用することができる。この場合において、機内ガス領域が正圧(P)の高圧ガス領域となるときは、前記(1)(4)の条件を満足するようにバリア空間17内の圧力pを制御すればよく、機内ガス領域が負圧(−P)の低圧ガス領域となるときは、前記(2)(3)の条件を満足するようにバリア空間17内の圧力pを制御すればよい。
1 回転機器のハウジング
2 シールケース
3 静止密封環
3a 静止側密封端面(静止密封環の密封端面)
4 回転軸
5 回転密封環
5a 回転側密封端面(回転密封環の密封端面)
6 Oリング
7 スプリング
12 スプリングリテーナ
12a 先端円筒部
17 バリア空間
18 バリア流体供給路
18a ケース側通路
18b 密封環側通路
18c 絞り器
19 バリア流体
A 機内ガス領域(高圧ガス領域又は低圧ガス領域)
B 機外ガス領域(低圧ガス領域又は高圧ガス領域)

Claims (4)

  1. シールケースに固定された静止密封環と回転軸に軸線方向移動可能に保持され且つスプリングにより静止密封環へと押圧附勢された回転密封環との対向端面たる密封端面の相対回転摺接作用により高圧ガス領域と低圧ガス領域とをシールするように構成されたドライコンタクトメカニカルシールにおいて、
    静止密封環の密封端面に、回転密封環の密封端面により閉塞された環状のバリア空間を凹設すると共に、シールケース及び静止密封環に、これらを貫通してバリア空間に連通する一連のバリア流体供給路を形成して、バリア空間内の圧力をこれにバリア流体供給路から供給したバリア流体により高圧ガス領域の圧力より0.05〜0.3MPa高圧となるように保持させておくことにより、バリア空間内のバリア流体圧力により回転密封環を静止密封環から離間する方向へと押圧する開力がスプリングの附勢力及び前記ガス領域の流体圧力により回転密封環を静止密封環へと押圧する閉力とバランスされて、両密封端面が接触面圧を生じない状態で相対回転摺接されるように構成したことを特徴とするドライコンタクトメカニカルシール。
  2. バリア流体供給路に絞り器を配設してあることを特徴とする、請求項1に記載するドライコンタクトメカニカルシール。
  3. バリア流体として気体を使用する場合には、バリア空間内の圧力をこれが高圧ガス領域の圧力より0.05〜0.1MPa高くなるように保持させておくことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載するドライコンタクトメカニカルシール。
  4. 回転軸を円筒構造のスプリングリテーナを嵌合固定したものとして、回転密封環をスプリングリテーナの先端円筒部にOリングを介して軸線方向に移動可能に嵌合保持させておくことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載するドライコンタクトガスシール。
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