JP4210063B2 - タンディッシュノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造用のタンディッシュノズルに関し、特に、ノズル体の上部をリング状耐火物の輪状鍔部によって覆うと共に、ノズル体をポーラス部と緻密材質の二重構造の耐火物とすることにより、地金差し及び鉄皮の溶融を防止し、不活性ガスのノズル内への完全な供給を可能としてノズル閉塞発生の抑制及び鋳片品質の向上を得るための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種のタンディッシュノズルとしては、図6で示される特開2000−254772号公報の構成を挙げることができる。
すなわち、図6において符号1で示されるものは連続鋳造用タンディッシュであり、この連続鋳造用タンディッシュ1のストッパー8で開閉するタンディッシュノズル部1Aを構築する場合、本体耐火物3の厚さからリング状耐火物7の厚さを差し引いた厚さの升レンガ4を敷設しておき、その後、レンガからなるノズル体5を前記升レンガ4の内側に嵌め込んでいる。
【0003】
その後、ノズル体5の外側に稼動面7aをテーパ状に傾斜させたリング状耐火物7を嵌め込み、このリング状耐火物7と本体耐火物3との間の隙間に不定形耐火物6が充填されている。
従って、前記稼動面7a上に落下したスラグ等の異物はノズル体5側へ行くことなくこの稼動面7a上を滑落して外側へ排除される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のタンディッシュノズルは、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図4で示されるように、ノズル体5から介在物の浮上促進並びにタンディッシュノズル部1Aの閉塞抑制を目的として不活性ガスをノズル体5の下部外周と鉄皮との間のガスプール12を経て吹込んでいるが、リング状耐火物7の内周がノズル体5の外周に接合しているのみであるため、ノズル体5の上部背面に地金差し11が発生した場合、ノズル体5の外周に設けられている鉄皮10が溶融し、図5で示されるように、この溶融した部位から不活性ガスが吐出してしまうと共に、タンディッシュノズル部1A内に安定した不活性ガスの供給が困難となり、ノズル閉塞発生、鋳型湯面変動が大となって鋳片品質低下となっていた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、ノズル体の上部をリング状耐火物の輪状鍔部によって覆うと共に、ノズル体をポーラス部と緻密材質の二重構造の耐火物とすることにより、地金差し及び鉄皮の溶融を防止し、不活性ガスのノズル内への完全な供給を可能としてノズル閉塞発生の抑制及び鋳片品質の向上を得るようにしたタンディッシュノズルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるタンディッシュノズルは、連続鋳造用タンディッシュのタンディッシュノズル部を構成するためのノズル体を有し、前記ノズル体の外周に円筒状の升レンガを敷設し、前記升レンガの上部にリング状耐火物を設け、前記リング状耐火物の外周を不定形耐火物で構築したタンディッシュノズルにおいて、
前記リング状耐火物の内縁に形成された輪状鍔部が前記ノズル体の上部を覆っている構成であり、また、前記ノズル体は、ガス吹き材質のポーラス部と、前記ポーラス部よりも緻密に形成され前記ポーラス部よりもガスが出にくいように構成された緻密材質とからなる二重構造の耐火物よりなり、前記緻密材質は前記ポーラス部よりも外側に位置している構成であり、また、前記ポーラス部と緻密材質との間にガス供給用のスリットが形成されていると共に、前記ポーラス部と前記緻密材質との境が前記リング状耐火物の前記輪状鍔部によって覆われている構成であり、また、前記リング状耐火物の内周壁は、下方へ向けて外側へ広がる状態のテーパ形状よりなる構成であり、また、前記緻密材質と前記リング状耐火物の熱膨張係数が同等の成分組成とした構成である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるタンディッシュノズルの好適な実施の形態について説明する。尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1は、中心線50によって左側が従来構造、右側が本発明構造を示しており、図1において符号1で示されるものは、連続鋳造用タンディッシュであり、この連続鋳造用タンディッシュ1のストッパー8で開閉するタンディッシュノズル部1Aを構築する場合、本体耐火物3の厚さからリング状耐火物7の厚さを差し引いた程度の厚さの升レンガ4を敷設しておき、その後、レンガからなるノズル体5を前記升レンガ4の内側に嵌め込んでいる。
【0008】
前記ノズル体5は、従来と同様のガス吹き材質のポーラス部5Aと、このポーラス部5Aよりも緻密な組成の緻密材質5Bとからなる二重構造の耐火物よりなり、このポーラス部5Aと緻密材質5Bとの間には外部から不活性ガスを供給することができるように輪状のスリット60が形成されている。
【0009】
前記升レンガ4の上部でかつ緻密材質5Bの外側位置には、リング状耐火物7及び不定形耐火物6が形成されており、このリング状耐火物7の内縁に一体に形成された輪状鍔部7Aはノズル体5の上部5C上を覆うように位置している。従って、このポーラス部5Aと緻密材質5Bとの境61は前記輪状鍔部7Aによって覆われて構成されている。尚、前記リング状耐火物7の内周壁7Dは図2に示されるように外側へ向けて下方へ広がるテーパ形状によって形成されている。
【0010】
前記ポーラス部5Aと緻密材質5Bとは、図7の模式図に示されるように各粒子構造が全く異なるものである。すなわち、ポーラス部5Aの粒子は球状であり、緻密材質5Bの粒子は球状と四角等の組合せで隙間が少ない緻密構造となっており、ポーラス部5Aよりも不活性ガスが出にくいように構成されている。
【0011】
また、このポーラス部5Aと緻密材質5Bの化学成分としては、表1の第1表に示される通りであり、気孔率に差が存在していることが明らかである。尚、前記緻密材質5Bとリング状耐火物7の熱膨張係数は同等の成分組成で構成されている。
【0012】
【表1】
Figure 0004210063
【0013】
【発明の効果】
本発明によるタンディッシュノズルは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ポーラス部よりも緻密に形成された緻密材質をノズル体の背面に配設して不活性ガスが鉄皮側へ吐出し難くし、ノズル体内にガス供給用のスリットを配置し、リング状耐火物の上部に形成された輪状鍔部がノズル体の上部を覆って保護しているため、鋳造中の地金差しを防止することができる。
すなわち、図8及び図9で示されるように、地金差しによるノズル閉塞発生件数が従来よりも大幅に低下し、鋳片品質も従来よりも大幅に向上したことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明及び従来のタンディッシュノズルを中心線で分けて示す概略断面図である。
【図2】 図1の実物に近い状態を示す拡断面図である。
【図3】 図1及び図2のノズル内への不活性ガス供給状態を示す概略構成図である。
【図4】 従来のノズルへのガス供給状態を示す概略構成図である。
【図5】 従来の鉄皮溶融状態のガス漏れ状態を示す概略構成図である。
【図6】 従来のタンディッシュノズルを示す概略断面図である。
【図7】 従来のポーラス部と本発明の緻密材質を示す模式図である。
【図8】 従来と本発明の地金差しによるノズル閉塞発生件数を示すグラフ図である。
【図9】 従来の本発明の鋳片品質比較を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造用タンディッシュ
1A タンディッシュノズル部
4 升レンガ
5 ノズル体
5A ポーラス部
5B 緻密材質
6 不定形耐火物
7 リング状耐火物
7A 輪状鍔部
60 スリット
61 境

Claims (3)

  1. 連続鋳造用タンディッシュ(1)のタンディッシュノズル部(1A)を構成するためのノズル体(5)を有し、前記ノズル体(5)の外周に円筒状の升レンガ(4)を敷設し、前記升レンガ(4)の上部にリング状耐火物(7)を設け、前記リング状耐火物(7)の外周を不定形耐火物(6)で構築したタンディッシュノズルにおいて、
    前記リング状耐火物(7)の内縁に形成された輪状鍔部(7A)が前記ノズル体(5)の上部を覆っており、
    前記ノズル体(5)は、ガス吹き材質のポーラス部(5A)と、前記ポーラス部(5A)よりも緻密に形成され前記ポーラス部(5A)よりもガスが出にくいように構成された緻密材質(5B)とからなる二重構造の耐火物よりなり、前記緻密材質(5B)は前記ポーラス部(5A)よりも外側に位置しており、
    前記ポーラス部(5A)と前記緻密材質(5B)との間にガス供給用のスリット(60)が形成され、
    前記ポーラス部(5A)と前記緻密材質(5B)との境(61)が前記リング状耐火物(7)の前記輪状鍔部(7A)によって覆われている構成よりなることを特徴とするタンディッシュノズル
  2. 前記リング状耐火物(7)の内周壁(7D)は、下方へ向けて外側へ広がる状態のテーパ形状で構成されていることを特徴とする請求項1記載のタンディッシュノズル
  3. 前記緻密材質(5B)と前記リング状耐火物(7)の熱膨張係数が同等の成分組成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンディッシュノズル
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