JP4209166B2 - エレベーター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、巻上機の駆動綱車に複数本の主索が巻掛けられ、これら主索によってかご等が昇降運転されるエレベーター装備に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3〜図5は、従来のエレベーター装置を示す図で、図3はエレベーター装置を概念的に示す立面図、図4は図3の駆動綱車箇所の拡大図、図5は図4の側面図である。図において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1の上方に設置された巻上機、3は巻上機2に設けられた駆動綱車で、複数本の綱溝4が設けられている。5は主索で、駆動綱車3の綱溝4それぞれに巻掛けられている。
【0003】
6は昇降路1の所定経路を昇降するかごからなる昇降体、7は主索5の一方の端部に一端が連結されて昇降体6の部材に挿通された引き止め具、8はシャックルばねで、両端にそれぞればね受け座板が配置されて引き止め具7の昇降体6における挿通端に嵌合されている。なお、引き止め具7は昇降体6における挿通端の先端にナットがねじ込まれて、シャックルばね8、ばね受け座板を介して昇降体6に係止されている。
9は昇降路1の上方に設置された巻上機3に隣接して設けられ、主索5が巻掛けられたそらせ車、10は主索5の他方の端部に連結されて昇降路1の他の所定経路を昇降するつり合おもり、11は荷重検出器で、シャックルばね8の引き止め具7先端側の変位、すなわち昇降体6によって引き止め具7に作用する荷重に基づく引き止め具7の昇降体6に対する変位に応じた出力を発生する。12はエレベーターの制御盤で、巻上機2、荷重検出器11に接続されている。
【0004】
従来のエレベーター装置は上記のように構成され、巻上機2の駆動綱車3に巻掛けられた複数本の主索5によってかごからなる昇降体6及びつり合おもり10が吊持され、巻上機2が付勢されると昇降体6及びつり合おもり10が互いに反対方向へ昇降動作する。また、荷重検出器11によって引き止め具7それぞれの変位、すなわち昇降体6内負荷を検出してその検出値に基づいて制御盤12によって巻上機2の運転を制御するようになっている。(例えば、特許文献1,2参照)
【0005】
【特許文献1】
特開平5−139644号公報
【特許文献2】
特開平5−278975号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のエレベーター装置において、駆動綱車3の主索5がそれぞれ巻掛けられた複数本の綱溝4のうち、一つが他の綱溝4よりも多く磨耗した場合に、その綱溝4に巻掛けられた主索5、すなわち磨耗溝主索における駆動綱車3の一回転で駆動される移動距離は巻掛半径が図5に示すR2となり、また磨耗の少ない綱溝4の主索5の移動距離は巻掛半径が図5に示すR1である。したがって、磨耗溝主索の移動距離は磨耗の少ない綱溝4の主索5よりも短くなる。
【0007】
このような場合に、主索5の移動距離の差が摩擦力の限界を超えると磨耗溝主索は綱溝4に対して滑ることになる。この滑りのために発生する綱溝4との間の相対変位によって綱溝4の磨耗が促進される。そして、この状態でエレベーターの運転が継続されると磨耗溝主索の綱溝4は加速度的に磨耗が進行するのでエレベーターの運転に支障が発生するという問題点があった。
【0008】
なお、例えば特開平5−278975号公報に示されているように、駆動綱車の主索がそれぞれ巻掛けられた複数本の綱溝それぞれの磨耗量を検出して、綱溝の磨耗量が所定値を超えたときに主索の張力を調整する構成が知られている。しかし、このような構成は複数本の綱溝の一つが他の綱溝に比べて計測可能な程度に大きく磨耗した後に異常磨耗を検出するものである。したがって、綱溝の磨耗発生を早期に検出することはできず、綱溝の異常磨耗検出時には既に綱溝に加速度的な磨耗が進行している。
【0009】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、巻上機の駆動綱車に設けられた複数本の綱溝の一つに生じた磨耗を早期に検出することができるエレベーター装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーター装置においては、エレベーターの駆動綱車と、駆動綱車に設けられた複数本の綱溝と、綱溝のそれぞれに巻掛けられた複数本の主索と、これら主索のそれぞれの一端に連結された複数本の引き止め具と、主索のそれぞれに挿通されて設けられ、引き止め具のそれぞれとエレベーターの昇降体との間で、変位しながら昇降体を支持した複数個のシャックルばねと、シャックルばねのそれぞれの変位を検出する検出器と、シャックルばねのそれぞれの変位を検定してシャックルばねを挿通する上記主索が巻き掛けられた上記綱溝の摩耗発生を検出する綱溝磨耗判定手段とを備え、綱溝摩耗判定手段は、シャックルばねの変位が突発的に所定値を超えた場合に、綱溝の摩耗発生を検出する。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1はエレベーター装置を概念的に示す立面図、図2は図1における検出器の出力変動を模式的に示すグラフである。図において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1の上方に設置された巻上機、3は巻上機2に設けられた駆動綱車で、複数本の綱溝4が設けられている。5は駆動綱車3の綱溝4それぞれに巻掛けられた複数本の主索である。
【0012】
6は昇降路1の所定経路を昇降するかごからなる昇降体、7は主索5の一方の端部に一端が連結されて昇降体6の部材に挿通された引き止め具、8はシャックルばねで、両端にそれぞればね受け座板が配置されて引き止め具7の昇降体6における挿通端に嵌合されている。なお、引き止め具7は昇降体6における挿通端の先端にナットがねじ込まれて、シャックルばね8、ばね受け座板を介して昇降体6に係止されている。
【0013】
9は昇降路1の上方に設置された巻上機3に隣接して設けられ、主索5が巻掛けられたそらせ車、10は主索5の他方の端部に連結されて昇降路1の他の所定経路を昇降するつり合おもり、13は検出器で、シャックルばね8の引き止め具7先端側の変位、すなわち昇降体6によって引き止め具7に作用する荷重に基づく引き止め具7の昇降体6に対する変位に応じた出力を発生する。
【0014】
14はエレベーターの制御盤で、巻上機2、検出器13に接続されている。15は制御盤14の要部を構成する綱溝磨耗判定手段、16は報知手段で、綱溝磨耗判定手段15に接続された視覚的表示器、聴覚的表示器によって構成されている。
【0015】
上記のように構成されたエレベーター装置において、巻上機2の駆動綱車3に巻掛けられた複数本の主索5によってかごからなる昇降体6及びつり合おもり10が吊持され、巻上機2が付勢されると昇降体6及びつり合おもり10が互いに反対方向へ昇降動作する。また、検出器13によって引き止め具7それぞれの変位、すなわち昇降体6内負荷を検出し、その検出値を介して制御盤14によって巻上機2の運転が制御される。
【0016】
また、駆動綱車3において、駆動綱車3の主索5がそれぞれ巻掛けられた複数本の綱溝4のうち、一つが他の綱溝4よりも多く磨耗した場合に、その綱溝4に巻掛けられた主索5、すなわち磨耗溝主索における駆動綱車3の一回転で駆動される移動距離は巻掛半径が前述の図5に示すR2となり、磨耗の少ない綱溝4の主索5の移動距離は巻掛半径が前述の図5に示すR1である。したがって、磨耗溝主索の移動距離は磨耗の少ない綱溝4の主索5よりも短くなる。
【0017】
このような場合に、複数本の主索5相互における移動距離の差が摩擦力の限界を超えると磨耗溝主索は綱溝4に対して滑ることになる。このときの磨耗溝主索の張力は突発的に大きく変動するので、磨耗溝主索が係止された引き止め具7のシャックルばね8の撓みが大きく変動し、その引き止め具7の昇降体6に対する変位も突発的に大きくなる。
【0018】
このため、磨耗溝主索が係止された引き止め具7に対応して配置された検出器13の出力が、図2に示す出力変化Aのように大きく変動する。そして、検出器13の出力変化Aが所定値を超えたときに綱溝磨耗判定手段15が動作する。これによって、駆動綱車3の複数本の綱溝4のうちの一つの磨耗が他の綱溝4よりも進行したことが報知装置16によって報知される。
【0019】
そして、綱溝磨耗判定手段15の動作による報知装置16の作動によって、エレベーターの管理者が一つの綱溝4の異常発生を即時に知ることができ、時宜を失することなく磨耗溝主索の張力調整を行うことができる。これにより、後述するエレベーターの運転障害の発生を未然に防止することができる。
【0020】
すなわち、磨耗溝主索が綱溝4に対して滑ることのために発生する綱溝4との間の相対変位によって綱溝4の磨耗が促進される。そして、磨耗溝主索が綱溝4に滑る状態でエレベーターの運転が継続されると磨耗の多い綱溝4は加速度的に磨耗が進行するためエレベーターの正常運転ができなくなる。
【0021】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、エレベーターの駆動綱車と、駆動綱車に設けられた複数本の綱溝と、綱車の綱溝のそれぞれに巻掛けられた複数本の主索と、これら主索のそれぞれの一端に連結された複数本の引き止め具と、主索のそれぞれに挿通されて設けられ、引き止め具のそれぞれとエレベーターの昇降体との間で、変位しながら昇降体を支持した複数個のシャックルばねと、シャックルばねのそれぞれの変位を検出する検出器と、シャックルばねのそれぞれの変位を検定してシャックルばねを挿通する上記主索が巻き掛けられた上記綱溝の摩耗発生を検出する綱溝磨耗判定手段とを備え、綱溝摩耗判定手段は、シャックルばねの変位が突発的に所定値を超えた場合に、綱溝の摩耗発生を検出するものである。
【0022】
これによって、駆動綱車の主索がそれぞれ巻掛けられた複数本の綱溝のうち、一つが他の綱溝よりも多く磨耗した場合に、その綱溝の主索、すなわち磨耗溝主索と他の主索との相互間における駆動による移動距離の差が摩擦力の限界を超えると磨耗溝主索に綱溝に対する滑りが発生する。このときの磨耗溝主索の張力は突発的に大きく変動し、対応した引き止め具の昇降体に対する変位も突発的に大きくなる。このため、磨耗溝主索が係止された引き止め具に対応した検出器の出力が大きく変動し、その出力変化が所定値を超えたときに綱溝磨耗判定手段が動作する。これによって、駆動綱車の複数本の綱溝のうちの一つの磨耗が他の綱溝よりも進行したことが検出される。そして、綱溝磨耗判定手段の動作を介してエレベーターの管理者が一つの綱溝の異常発生を即時に知ることができ、時宜を失することなく磨耗溝主索の張力調整を行うことができる。これにより、異常発生の綱溝の磨耗が促進されることによるエレベーターの運転障害の発生を未然に防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、エレベーター装置を概念的に示す立面図。
【図2】 図1における検出器の出力変動を模式的に示すグラフ。
【図3】 従来のエレベーター装置を示す図で、エレベーター装置を概念的に示す立面図。
【図4】 図3の駆動綱車箇所の拡大図。
【図5】 図4の側面図。
【符号の説明】
2 巻上機、 3 駆動綱車、 4 綱溝、 5 主索、 6 昇降体、 7 引き止め具、 8 シャックルばね、 13 検出器、 15 綱溝磨耗判定手段。
Claims (1)
- エレベーターの駆動綱車と、
上記駆動綱車に設けられた複数本の綱溝と、
上記綱溝のそれぞれに巻掛けられた複数本の主索と、
これら主索のそれぞれの一端に連結された複数本の引き止め具と、
上記主索のそれぞれに挿通されて設けられ、上記引き止め具のそれぞれと上記エレベーターの昇降体との間で、変位しながら上記昇降体を支持した複数個のシャックルばねと、
上記シャックルばねのそれぞれの変位を検出する検出器と、
上記シャックルばねのそれぞれの変位を検定して上記シャックルばねを挿通する上記主索が巻き掛けられた上記綱溝の摩耗発生を検出する綱溝摩耗判定手段と、
を備え、
上記綱溝摩耗判定手段は、上記シャックルばねの変位が突発的に所定値を超えた場合に、上記綱溝の摩耗発生を検出することを特徴とするエレベーター装置。
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