以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて例示して詳述する。
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図1は本発明の第1実施形態に係る現像剤補給容器の物流/輸送時の梱包の様子を示す斜視図である。なお、図1において、10は本発明の第1実施形態に係る現像剤補給容器、30は前記現像剤補給容器10が所定の姿勢で規制された状態で収容される梱包箱である。なお、前記現像剤補給容器10の梱包箱30内への固定については、多少のガタがある状態で、実質的に位置/姿勢を規制された状態である場合も含む。
また、図2は本発明の第1実施形態に係る現像剤補給容器が装着される電子写真画像形成装置の一例である電子写真複写装置の構成を示す概略断面図である。
図2において、100は電子写真複写装置本体(以下装置本体とも言う)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれ、光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、ドラム104上に現像の情報が結像するように配置されている。105〜108はカセットであり、これらカセット105〜108に積載された用紙Pのうち、操作部(不図示)から使用者が入力した情報もしくは原稿101の紙サイズから最適な用紙をカセット105〜108の用紙サイズ情報から選択する。
そして、給送、分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚の用紙Pを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、ドラム104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。なお、111、112は転写、分離帯電器である。
この後、搬送部113により搬送された用紙Pは、定着部114において熱と圧により用紙上の現像剤Tを定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。また、両面コピーの場合には、排出反転部115のフラッパ118の制御により、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
また、多重コピーの場合には、用紙Pは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、用紙Pの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらにこの後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
ところで、上記構成の装置本体100において、ドラム104の回りには現像器201、クリーナ部202、一次帯電器203が配置されている。ここで、現像器201は、原稿101の情報を光学部103によりドラム104に静電潜像として結像した情報を顕在化するために現像剤Tをドラム104上に吸着させるものであり、この現像器201へ現像剤Tを補給するための現像剤補給容器10が装置本体100に着脱可能に設けられている。
なお、本実施の形態においては電子写真画像形成装置の一例として電子写真複写装置を挙げたが、他にも例えばスキャナ部を持たない所謂レーザービームプリンタやファクシミリであっても構わない。
(現像剤補給容器)
次に本実施の形態に係る現像剤補給容器について、図3〜図5を用いて説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る現像剤補給容器10の斜視図であり、(A)はシャッタ14を装着した状態、(B)はシャッタ14を外した状態を示す。なお、前記現像剤補給容器10は前記画像形成装置本体100に装着される際は、本図に示される姿勢にて装着されるものである。図4は図3に示す現像剤補給容器10の断面図であり、(A)は撹拌軸17に平行な平面で切った断面、(B)は撹拌軸17に垂直な面で切った断面を示す。また図5は本実施の形態にて用いられている撹拌翼16を示す図である。
図3に示す現像剤補給容器10は装置本体100に装着され、そのまま据え置いて現像剤Tを使い切るまで徐々に被供給部である現像器201へ現像剤Tを補給する、所謂据え置き型のものである。
本実施の形態において現像剤補給容器10は、現像剤Tを収納する現像剤収納容器本体11にフタ部12を超音波溶着などの従来公知の手段にて接合して形成され、他にツマミ部13、下方には前記現像剤Tを供給する現像剤排出開口部11aを有し、また容器本体10の内部に現像剤撹拌部材15を設けている。現像剤補給容器10は上記した如く現像手段に現像剤Tを供給するものであり、使用者が前記ツマミ部13を操作することにより装置本体100に挿脱可能に構成している。
次に前記現像剤補給容器10の形態について詳述する。前記現像剤補給容器10は図3等に示すように下部が半円筒形状で、上部には幅を下部の半円筒部の直径と略等しい直方体形状からなる中空箱体を成している。本例では容器10の幅寸法(半円筒部の直径、図4(B)のW寸法)を約90mm、高さ寸法(図4(B)のH寸法)を約135mmとした例を示しており、この幅寸法と高さ寸法の比が約1:1.5になるよう構成されている。また、図4に示されるように前記下部の半円筒部の略中心部には後述する撹拌軸17と撹拌翼16とからなる撹拌部材15が、図4(B)における時計方向に回転可能に軸支されており、内部に収納された現像剤Tを撹拌・搬送することが可能となる。更に、前記下部の半円筒部の円弧面上、前記撹拌部材15の回転軸線方向の略中央部、鉛直真下から約60°の位置には、前記現像剤Tを排出し、前記画像形成装置本体100に供給するための前記現像剤排出開口部11aが、撹拌部材15の回転軸線方向に約20mm、撹拌部材15の回転方向に約10mmの大きさで設けられている。
ここで容器10の幅寸法については、本発明の主旨により限定されるものではないが、本発明にて示すような可撓性部材のみで形成された撹拌翼16を用いる場合には、回転中心から容器内壁面までの距離が大きくなると、前記撹拌翼16を形成する可撓性部材の剛性が足りなくなり、現像剤Tの撹拌・搬送能力が低下する恐れが有るため、300mm程度以下が望ましい。但し、前記可撓性部材の剛性不足を補うために、前記撹拌部材15を前記可撓性部材のみで構成するのではなく、前記撹拌軸17から攪拌翼16を補助する突起などを設けた場合などは、この限りではない。
また、容器10の高さ寸法については、後述する撹拌翼16の構成の箇所で説明される理由により、前記幅寸法を受けて限定されるものであり、本実施形態では幅寸法との比により適当な範囲を設定している。ここで容器10の高さ寸法は幅寸法の約1.3倍から約2.5倍の範囲内が撹拌翼16の性能上望ましく、より好ましくは、1.3倍から2.0倍の範囲内がもっとも望ましく用いられる。
また、前記現像剤排出開口部11aの配置位置、大きさについては、画像形成装置本体100の設計上の制約や、収納される現像剤Tの粉体特性等により適宜設定することが好ましく、本実施形態では、前記現像剤排出開口部11aは、前記撹拌部材15の回転軸線方向の長さよりも短い長さで形成されている。
(現像剤撹拌部材)
本実施の形態に用いられる現像剤撹拌部材15は、図4に示すように、容器内に回転可能に支持された軸部としての撹拌軸17と、前記撹拌軸17に取り付けられた撹拌翼部としての撹拌翼16とからなり、同図に示すように現像剤補給容器10内部に配置されている。撹拌軸17は棒状部材であり、一端には前記現像剤補給容器10側壁を挟んでカップリング18を嵌入する嵌入部が形成される(このカップリング18は前記画像形成装置本体100からの駆動力を前記現像剤撹拌部材15に伝えるものである)。また、他端は現像剤補給容器10内に設けられた軸支穴19に挿入されている。前記撹拌軸17と前記撹拌翼16との接合方法は、パッチン止めや熱カシメ、ネジ止め等、従来公知の方法を用いて構わない。
また、撹拌翼16は平面状の可撓性部材から形成されたものであり、適当な材質としては、適度な弾性と耐クリープ性のあるものが利用でき、例えばポリアセタールシートや、ポリウレタンのゴムシート、ゴム引き布等でも良いが、特に好ましいのはポリエステル(PET)のフィルムであり、本実施の形態においてはPETフィルムを用いた例を示している。そして、前記ポリエステルフィルムの厚さは、前記現像剤補給容器10の大きさ(特に下部円筒部の半径)や、収納される現像剤Tの種類、または後述する撹拌翼16の形状によって適宜設定が可能であるが、約50〜500μm程度が好ましく、特に150〜300μmが好適である。なお、厚さが50μmよりも薄いと撹拌翼16の剛性が弱くなってしまい、現像剤搬送力の低下や撹拌軸17との接合強度の低下、さらには組み立て時のハンドリング性も低下するため好ましくない。一方、厚さが500μmよりも厚くなると剛性が強くなりすぎて、撹拌翼16が現像剤補給容器10本体内にて回転する際に大きな回転トルクを必要としたり、また変形し難いために、組み立ての際にも困難が生じるなどの問題がある。なお、本実施の形態では厚さ250μmのポリエステルフィルムを撹拌翼16として用いている。更に、撹拌翼16の加工方法としては、前記のような材質をプレス加工で打ち抜いて製造するのが高精度かつ安価であるため好ましい。
次に撹拌翼16の形状、構成、前記現像剤補給容器10本体内での作用について、詳述する。
一枚の可撓性部材からなる前記撹拌翼16は、前記撹拌軸17から略対向する2方向に張り出すよう構成されており、主に撹拌デッドスペースに圧密した現像剤Tや、壁面に付着した現像剤Tを掻き落としたり、画像形成装置本体への装着直後にはパッキングした現像剤Tを引きずり落とす働きをする第1の翼部16bと、前記現像剤Tを回転軸線方向へ搬送するための第2の翼部16aと、を有している。
(第1の翼部)
次に前記撹拌翼16の第1の翼部16bについて説明する。
前記第1の翼部16bは、図5に示すように、前記撹拌軸17より後述する第2の翼部16aと対向する前記撹拌軸17の回転半径方向に延在する腕部16b1と、前記腕部16b1の先端同士を繋ぐ連結部16b2から形成されている。ここで前記腕部16b1の長さは、前記撹拌翼16の回転中心から容器10内の最遠部に届きうる長さに設定されており、更に前記腕部16b1の先端部に設けられた前記連結部16b2により、前記容器本体10の内壁面で、後述する第2の翼部16aが摺擦できない領域を摺擦することが可能となる。しかしながら、前述のように前記容器本体10内の最遠部にも届き得るよう腕部16b1の長さを設定すると、前記撹拌部材15が回転し、該第1の翼部16bが前記容器10下部(例えば図4(B)の領域a)に差し掛かった際に、該第1の翼部16bの摺擦量が最大となってしまい、前記現像剤Tへのダメージや粗粒の発生などが懸念される。そのため、図5に見られるように前記腕部16b1の幅dを後述する第2の翼部16aの翼部本体16a1の幅Dよりも細くし、前記第1の翼部16bの可撓性を十分高くすることで粗粒発生等がないよう、摺擦圧を低減するよう構成されている。
このように第1の翼部16bを形成する腕部16b1の幅dを調整するすることで、簡単に摺擦圧の調整が可能となり、前記第1の翼部16bが最も撓んだ場合でも現像剤の搬送を行う第2の翼部16aよりも第1の翼部16bの摺擦圧を低くすることが出来る。これにより、現像剤へのダメージを低減し、粗粒を発生させることのない現像剤補給容器を提供することが出来る。
ここで、前記腕部16b1の長さは、基本的には前述の通り、少なくとも後述する第2の翼部16aが届かない箇所も含めた現像剤補給容器10内の全領域に届き得る長さを有することが求められ、前述した容器10の形態にもよるが、前記現像剤補給容器下部円弧部の半径の1.3倍以上であることが望ましい。また逆にいくらでも長く形成して良いわけではなく、前記第1の翼部16bの剛性にもよるが、前記撹拌部材15が回転し、例えば前記第1の翼部16bが前記容器10下部(図4(B)の領域aなど)に通過する際に前記第1の翼部16bの摺擦量が大きくなりすぎて、後述する第2の翼部16aとオーバーラップしてしまい、前記第2の翼部16aの現像剤搬送機能を阻害してしまう恐れがあるため、前記現像剤補給容器下部円弧部の半径の4.5倍以内であることが望ましい。また、前記腕部16b1の前記撹拌軸17の回転軸線方向の幅d(図5参照)については、前述のように最も前記第1の翼部16bが撓んだ場合でも、その摺擦圧により粗粒の発生がない程度に弾性を低くし、更にその撓んだ状態から復元、自立して前記撹拌軸17の回転中心から最も遠い場所に摺擦可能な程度に弾性を持たせる必要がある。また後述する撹拌翼16の初期の位置規制により、前記第1の翼部16bが圧密状態にある現像剤T中から引き抜かれる際に破損しない程度に強度を有する必要がある。そのような前記腕部16b1の幅dとしては、前記腕部16b1の長さ、使用するPETフィルムの厚さ、図5における前記撹拌翼16のW寸法などにもよるが、概ね2〜15mm程度が望ましく、より好ましくは3〜10mm程度が好ましい。例えば、前記腕部16b1の長さが長かったり、使用するPETフィルムの厚さが薄い場合、または前記W寸法が大きく、剛性をアップさせる必要がある場合には、前記幅dの寸法を大きくし、前記第1の翼部16b全体の剛性を上げるようにするなど、調整することが可能である。なお、本実施の形態においては、前記腕部16b1の長さを、前記現像剤補給容器下部円弧部の半径の約2.5倍に、幅dを5mmとなるよう構成している。
また、前記第1の翼部16bの張り出し方向については、後述する第2の翼部16aと同方向にする方法(例えば特開2002−40788号公報)も考えられる。しかしながら、このような撹拌翼構成の場合には、図12に示すように、先ず翼部147,148共に撹拌軸142の回転軸線方向への現像剤搬送能力がなく、現像剤排出開口部が撹拌軸142の回転軸線方向略全域にないような場合には、十分な現像剤搬送能力を発揮することが出来ない。また、翼部147の内側に設けられている翼部148に現像剤の搬送効果をもたせるべく、略L字形状となるよう構成した場合でも、内側の翼部148は外側の翼部147の腕部147cの内側に切れ込み147aを入れることにより形成されることになるため、外側の翼147の腕部147cにあたる部分に必ず摺擦できない箇所が生じてしまい、現像剤残量が増加する原因となり、本実施の形態に見られるような排出開口部を有する現像剤補給容器に採用するには好ましくない。
以上のことから、前記第1の翼部16bの張り出し方向は、後述する第2の翼部16aと同一方向ではない方が好ましく、本実施の形態では、第1の翼部16bと第2の翼部16aとが、前記軸部17に対して略反対方向に突出するように設けた。これにより、前記第1の翼部16bの連結部16b2、及び後述する第2の翼部16aの摺擦部16a2の両方を、前記撹拌部材15の回転軸線方向略全域に渡って形成することが可能となるため、残留現像剤量の少ない現像剤補給容器を提供することが可能となる。
また、前記第1の翼部16bは、連結部16b2が、前記現像剤補給容器10の撹拌軸17の回転軸線方向略全域の現像剤補給容器10内壁面と摺擦するよう構成されている。これにより、簡単で低コストな構成で、且つ回転時のトルク負荷を大きくアップさせることなく、デッドスペース部を含めた現像剤補給容器10内部のパッキングした現像剤や容器内壁面に付着した現像剤の掻き落しが可能となり、排出性に優れ、且つ残留現像剤量を少ない現像剤補給容器を提供することが可能となる。
(第2の翼部)
次に前記撹拌翼16の第2の翼部16aについて説明する。
第2の翼部16aは、前記撹拌軸17両端付近から該撹拌軸17の回転半径方向に延在する翼部本体16a1と、前記翼部本体16a1先端から前記撹拌軸17の回転軸線方向の前記現像剤排出開口部11a側に突出するように設けられた略L字形状の摺擦部16a2と、からなる。本実施の形態では、前記容器本体10の前記現像剤排出開口部11aが、容器本体下円筒部の現像剤収納スペースよりも短く、かつ円筒部の略中央部に設けられているため、左端の主翼16aの摺擦部16a2は現像剤排出開口部11aに向かって右側に、右端の主翼16aの摺擦部16a2は現像剤排出開口部11aに向かって左側に、それぞれ延びている。
このように撹拌翼16の第2の翼部16aを翼部本体16a1と摺擦部16a2とよりなる構成とすることにより、撹拌翼16の抜き形状のみで対応が可能な簡単で低コストな構成にて前記第2の翼部16aに現像剤の回転軸線方向への搬送機能を持たせることが可能となり、低コストで排出性能に優れる。
ところで、この摺擦部16a2の端面と撹拌軸17との距離は、少なくとも摺擦部16a2の端面が容器本体10の円筒部の下方内壁面と摺擦し得る距離に設定される。本実施の形態においては後述する理由により、図5に示すように前記摺擦部16a2の摺擦量が、前記現像剤排出開口部11aに向かうほど大きくなるよう先端部、即ち前記現像剤排出開口部11a側の方がより長くなるよう前記現像剤排出開口部11aに向かって傾斜した形状となっている。
また、本実施の形態においては、2箇所設けてある前記第2の翼部16aの間隙部分で、現像剤Tの搬送が不可能な箇所の現像剤Tを搬送するために、突片状の補助翼部16cが前記第2の翼部16aのスリット16a3に対応する位置に設けられると共に、その端面は容器本体10の円筒部の少なくとも下方内壁面と摺擦し得る距離を有するような形状となっている。
また、前記第2の翼部16aは、前記現像剤補給容器10の撹拌軸17の回転軸線方向略全域の現像剤補給容器10内壁面と摺擦するよう構成されており、前記現像剤補給容器10の撹拌軸17の回転軸線方向略全域にある現像剤Tを確実に撹拌・搬送し、補給容器10内の現像剤Tを画像形成装置本体100に供給することができる。
更に前述した構成の撹拌部材15により、現像剤補給容器10の撹拌軸17の回転軸線方向略全域にある現像剤Tを確実に撹拌・搬送することができるため、現像剤排出開口部11aをより小さく形成することができ、現像剤排出時の汚れを減らすことが出来、操作性に優れる現像剤補給容器を提供できる。また物流時などに現像剤をシールするシール部材を小さくできることから、コストダウンが可能になり、同時に現像剤の漏れに対してもラチチュードの広い現像剤補給容器を提供することができる。
次に、前記撹拌翼16の回転中心位置及び前記第2の翼部16aの長さ設定について説明する。
前述したように、前記撹拌翼16は前記現像剤補給容器10内の前記現像剤Tを、画像形成装置本体100からの要求に従って排出・供給しなくてはならないため、適当な現像剤搬送力を必要とする。当然、前記第2の翼部16aの先端と前記容器内壁面との摺擦量(侵入量)が多ければ摺擦圧も高くなり、高い現像剤搬送能力を得ることができる。しかしながら、一方で前記第2の翼部16aによる摺擦圧により、内部に収納される現像剤Tがダメージを受けてしまい、粗大粒子が発生してしまう可能性もあることから、両者の間でうまくバランスが取れる摺擦圧となるよう摺擦量(侵入量)を設定することが重要となる。従って、本実施の形態に見られるような容器形状の場合には、もっとも前記現像剤Tの撹拌・搬送能力が発揮されるべき領域が、前記現像剤補給容器10の前記現像剤排出開口部11aが設けられた位置から前記撹拌翼16の回転方向上流側のある限定された領域(例えば図4(B)の領域a)までであることから、この領域にて最も強く安定した摺擦圧が得られるよう、前記撹拌翼16の回転中心位置及び前記第2の翼部16aの長さを設定することが好ましい。
逆に比較例として挙げた図10にて示したように、単純に現像剤補給容器10内の最も距離の離れた箇所の略中心部に回転中心(図10中の軸17)を設けてしまうと、最も搬送力が必要な箇所(図10中領域a部)よりも搬送能力の必要ない箇所(図10中領域b部)の方が摺擦圧が高くなってしまい、領域a部にて適正な搬送力を得ようと前記第2の翼部16aの長さを設定すると、領域b部では強くあたりすぎて粗粒が発生してしまう可能性が高くなり、好ましくない。
また、図11(A)に示すように、前記撹拌翼16の回転中心位置を変えずに、前記第2の翼部16aの長さを前記現像剤補給容器内の全領域に届き得るよう設定してしまうと、前記撹拌翼16を回転させた際に図11(B)のように前記第2の翼部16aが大きく変形してしまい、前記現像剤補給容器10の内壁面と面で摺擦してしまい、前記摺擦部16a2による現像剤搬送能力がなくなってしまうため、満足な排出性能が得られないことから、このような設定も好ましくない。
なお、ここで撹拌翼16の侵入量(摺擦量)とは、撹拌翼16の回転中心から第1若しくは第2の翼部の先端までの回転半径方向の長さと、前記撹拌翼16の回転中心から容器本体10内壁面までの距離の差のことを指す。本実施の形態においては、前記撹拌翼16の回転中心位置は、前記現像剤補給容器10の下部半円筒部の略中心とし、前記第2の翼部16aの長さは、前記回転中心から下部半円筒部の内壁面までの距離よりも長い2〜3mm長い、約47〜48mmに設定した(前述したように前記主翼16aの摺擦部16a2は、前記現像剤排出開口部側に向かうほど長くなるよう設定されているため、最も長い部分で48mm、最も短い部分で47mmとなる。なお、ここで説明した前記主翼16aの長さの差については、翼に必要とされる搬送能力に応じて更に差を付けるなどしても構わない)。ここで、前記第2の翼部16aの長さについては該翼部16aの形状や、収納される現像剤の性状により適宜設定して構わないが、好ましくは前記回転中心から下部半円筒部の内壁面までの距離よりも0.1〜10mm程度、より好ましくは1〜4mm程度長く形成するのが望ましい。
上記のように構成された本実施形態に係る第2の翼部16aは、図5に示すように、スリット16a3を設けているものの、十分な復元力を持つことから高い現像剤搬送力を有する。また、摺擦部16a2の前記現像剤排出開口部11a側は、翼部本体16a1と接続している側に比べ撓みやすくなっていることから、容器本体10の円筒部内面との摺擦時、常に翼部本体16a1との接続部側よりも遅れて摺擦するため、前記撹拌軸17に対して垂直方向から前記現像剤排出開口部11aへ斜め方向に向かって現像剤搬送力を発生する。
さらに、容器本体10の円筒部内面と摺擦部16a2の摺擦量を、現像剤排出開口部11a側に向けて大きくすることで、摺擦部16a2の撓み量も大きくなり、斜め方向への現像剤搬送力が増大される。すなわち、前記撹拌軸17の回転軸線方向への現像剤搬送が可能となる。しかも前記第2の翼部16aに設けられたスリット16a3のため、回転トルクを上昇させることもない。またスリット16a3の設けられた位置の反対側に対応した部分にのみ張り出した補助翼部16cにより、前記摺擦部16a2により摺擦されない部分の現像剤Tを前記現像剤排出開口部11aから排出することが可能となることから、現像剤残量を極めて少なくすることができる。
(現像剤補給容器の梱包方法及び撹拌翼の設置位置)
次に、前記現像剤補給容器10の出荷時の梱包方法及び撹拌翼部の設置位置について、最も好適な例を挙げて詳述する。
前記現像剤補給容器10はユーザー元に届き、前記画像形成装置本体100に装着されるまでの間に、物流等の振動を受けたり、長期間にわたり放置される。その結果、物流時及び放置時に下になる部分に現像剤Tが圧密された状態(以下、パッキング状態とも言う)になってしまうことがある。そのような場合には、本実施の形態に示すような、PETフィルムのみで形成された撹拌翼16では、パッキングした現像剤Tを崩すことができず、排出不良となる可能性があった。そのため、前記現像剤補給容器10の出荷時の梱包姿勢を図1や図6(A)に示すように前記画像形成装置本体に装着する際の姿勢とは異なる姿勢にて梱包することが好ましい。このようにすることで、万一物流時の振動により現像剤Tが固まってしまっても、ユーザーが使用する際に前記梱包姿勢から前記画像形成装置本体100に装着する姿勢に戻すことで図6(B)に示すようにパッキングした現像剤Tが崩れ落ちたり、または崩れるきっかけを与えることができる。従ってこのような梱包姿勢とすることにより、本実施の形態に示すようなPETフィルムにより構成された撹拌翼16でも容易に現像剤Tを撹拌・排出することが可能となる。
具体的には、本実施形態に係る現像剤補給容器10は、画像形成装置本体100に装着した際の姿勢(図2参照)から、前記撹拌部材15の回転方向に前記現像剤排出開口部の配置位置に応じて、該排出開口部付近に現像剤がパッキングしてしまうことのないよう、45°〜180°回転した状態(本実施形態では図1に示すように現像剤補給容器10を180°回転した状態)を維持するよう規制された状態で梱包箱30内に梱包されていることが好ましい。ここで前記回転角については、上述したようにパッキングした現像剤を崩す効果を期待するものであることから、回転角が45°未満の場合には崩し効果が低くなってしまい、逆に180°以上回転させることはユーザーへの負荷が大きくなってしまうため好ましくないことと、実際にはある方向に180°以上回転させることは、逆方向には180°未満回転させれば良いこととなることから、前述した45°〜180°の範囲内で回転するよう梱包するのが好ましい。
このようにすれば、物流時の姿勢を画像形成装置本体装着時とは異なる姿勢に規制するという、コストアップすることのない簡便な方法にて、物流を経た現像剤補給容器10においてもパッキングした現像剤を崩すことが可能となり、現像剤の閉塞による排出不良を防止できる。また現像剤排出開口部の配置にある程度自由度があることから、画像形成装置本体の設計ラチチュードを広くすることのできる現像剤補給容器を提供することができる。
次に前記第1の翼部16bの初期(組み立て時から、画像形成装置本体に装着され回転を開始するまで)における設置位置について説明する。
前述したように物流時の振動や長期間の放置による現像剤Tのパッキングによる排出不良を防止するため、前記画像形成装置本体に装着する際の姿勢とは異なる姿勢にて梱包されることが望ましい。しかしながら、そのような姿勢にて梱包した場合には、当然下側にした部分(本実施の形態で言えばフタ部12側)に現像剤Tがパッキングすることとなる。但し、多くの場合は使用者が現像剤補給容器10を梱包箱30から取り出す際や、画像形成装置本体100装着する際の姿勢変更、または前記画像形成装置本体100に装着する際の振動や衝撃などにより、大半の現像剤Tが図6(B)にて示されるように下側に崩れ落ち、本実施の形態で示すような撹拌部材15でも問題なく排出できる程度に解される。また少量の現像剤Tが現像剤補給容器10の天面部にパッキングして残留する場合もあるが、少量であれば前記第1の翼部16bの掻き落し効果により掻き落すことができ、排出不良や残量が増える等の問題になることはない。
しかしながら、ごく稀に前記衝撃等によってもパッキングした現像剤Tが崩れ落ちず、前記現像剤補給容器10のフタ部12側に大量に残留してしまう場合がある。この場合、もともと前記第1の翼部16bは弾性を低くするよう構成しているため、該第1の翼部16bはパッキングした現像剤Tに侵入し、突き崩すほどの機能を有しておらず、パッキングした現像剤Tがそのまま大量に残ってしまう可能性がある。
このような状態を未然に防ぐべく、現像剤Tがパッキングする前に、例えば前記現像剤Tを前記現像剤補給容器10内に充填する前や、前記現像剤補給容器10を梱包する前等に、現像剤Tがパッキングする位置に予め前記第1の翼部16bを配置しておき、上記のようにパッキングした現像剤T中に埋まるようにするのが効果的である。
具体的には、図4(B)に示すように、現像剤補給容器10内の撹拌部材15は、容器内壁面のうち、画像形成装置本体への装着時に対して梱包時の方が重力方向下側となる壁面に、前記第1の翼部16bが実質的に接触し撓んだ状態となるよう配置されている。
このように前記第1の翼部16bを設置しておくことで、前記現像剤Tの大半がパッキングした状態で残ってしまった場合でも、前記撹拌部材15が回転することで、前記第1の翼部16bがパッキングした現像剤Tと容器内壁面の接触部付近をすり切るように通過し、パッキングした現像剤Tを引きずり落とすようにすることが可能となる。更に、パッキングした現像剤T中に侵入し、崩すことが可能な撹拌翼の強度よりもずっと低い強度の撹拌翼でパッキングした現像剤Tを崩すことが可能となる。
また、前述したようなパッキングした現像剤Tを効果的に引きずり落とすための前記第1の翼部が前記現像剤補給容器内壁に接触する量(図4のC寸法)については、3mm〜50mmであることが好ましい。なぜならば、前記第1の翼部が前記現像剤補給容器内壁に接触する量が、3mm未満の場合には先に述べたパッキングした現像剤Tと前記現像剤補給容器の内壁面との間をすり切る量が少なく、引きずり落とし効果が充分に得られない恐れがあるからである。一方、前記第1の翼部が前記現像剤補給容器内壁に接触する量が、50mmより大きいと、引きずり効果は高いものの前記第2の翼部16aと干渉して、前記第2の翼部16aの搬送/排出効果に悪影響を及ぼす可能性があったり、また翼の撓みが大きくなりクリープ変形してしまうなどの可能性があることからである。このため、前述したように、前記第1の翼部が前記現像剤補給容器内壁に接触する量(図4のC寸法)は、3mm〜50mmであることが好ましい。
このように、物流時の姿勢を変えたことにより新たにパッキングが生じる箇所に前記第1の翼部16bが配置され、更に画像形成装置本体に装着直後の撹拌部材15の回転により、パッキングした現像剤と容器内壁面との接触部(図4(B)のC部)をすり切るように作用するよう前記第1の翼部16bが3〜50mm実質的に接触して配置されていることから、万一画像形成装置への装着動作等によってもパッキングした現像剤が崩れなかったような場合でも、パッキングした現像剤中に撹拌翼を侵入させ掻き崩す場合に比して格段に低いトルクで現像剤を引きずり落とす効果を発揮することが可能となる。従って、前記第1の翼部16bの容器内壁への摺擦圧を大きくする必要がないことから、粗粒発生の心配のない、排出信頼性の高い現像剤補給容器を提供できる。
また、前記のように撹拌翼16の初期配置位置を設定しない場合には、ユーザー元に届き、使用するまでの物流・保管期間中、例えば図11(B)に見られる撹拌翼16のように、前記第1の翼部16bが大きく変形したままの状態で長期間放置される可能性があった。この場合、その放置期間や外部の環境によっては、前記第1の翼部16bがクリープ変形してしまい、前記第1の翼部16bの機能を十分に発揮できなくなる可能性があった。本実施形態によれば、上記のように撹拌翼16の初期配置位置を意図的に設定することで、物流中の撹拌翼16の変形量が最小となってクリープ変形しにくくなり、より信頼性の高い撹拌翼16を提供することが可能となった。
以上のことから、クリープ変形などの影響を受けず、前記第1の翼部16bの効果を最大限に発揮できる撹拌翼16の初期位置としては、もっとも現像剤Tがパッキングしやすく、更に前記第1の翼部16bが大きく変形したままとならない箇所を適宜選択し、位置設定をすることが好ましい。本実施の形態においては、前述したように、前記撹拌部材15の回転軸線に垂直な断面において、現像剤補給容器内壁面のうち、前記排出開口部11aを基準として前記撹拌部材15の回転方向下流側の内壁面に前記第1の翼部16bが実質的に約20mm(図4(B)のC寸法)接触し、撓んだ状態となるよう配置している。
(実験結果)
以上にて説明した撹拌部材15を用いた現像剤補給容器10にて、実際に現像剤Tの排出実験を行った。
先ず、第1の実験例として、本発明の効果を確認するべく、本実施の形態の現像剤補給容器を用いて、物流時の姿勢を画像形成装置に装着する際の姿勢(図2参照)から180°回転した姿勢(図1参照)となるよう規制し、更に前記撹拌翼16の初期配置位置を容器内壁面のうち、梱包時の重力方向下側となる壁面に前記第1の翼部16bが20mm(図4のC寸法)接触するよう配置した状態に規制し、下記の条件にてテストを行った。
前記テストの条件とは、まず本実施の形態の現像剤補給容器への現像剤充填量を約250gとし、画像形成装置本体に装着する際の姿勢から180°回転した姿勢にてタッピング1000回(2Hz、落下高さ20mm)を行い、現像剤の締まった状態を再現した。そして、この現像剤補給容器を用いて、撹拌翼の回転数を10rpmとして、該撹拌翼一回転あたりの現像剤排出量を監視し、該撹拌翼一回転あたりの現像剤排出量が1g未満となった時点で実験を終了した。
結果は最初の回転時に前記第1の翼部16bがパッキングした現像剤Tと容器内壁面との間をすり切るように現像剤T中から引き抜かれることにより、大半の現像剤Tを引きずり落とせることが判明した。また落とされた現像剤はパッキングした状態から解されているため、排出初期から良好な排出性能を発揮できることが解った。
その結果、排出状況に特に異常なく、実験終了後に現像剤補給容器10内に残存する現像剤T量も4〜6g程度(初期の充填量比で約1.2〜1.7%)であり、非常に良好な排出性能であることが実証された。
また、過酷環境(40℃/90%)に10日間放置した後に、同様の実験を行い確認にしたところ、クリープ変形等の影響はほとんど見られず、上記と同様の良好な排出性能であった。
次に、第2の実験例として、第1の翼部の位置、及び物流時の姿勢を規定しない場合を想定し、例えば撹拌翼の位置を図11の(B)に示す位置とし、更に画像形成装置に装着される姿勢の状態で物流された場合を再現し、同様の条件にて実験を行った。
結果は、現像剤排出開口部付近にパッキングした現像剤をなかなか解すことが出来ず、ほとんど排出できないものや、排出できても画像形成装置本体からの要求量を満足する排出量となるまでに数十秒から数分かかってしまうものなどが生じてしまった。また、パッキングした現像剤中を回転するため、撹拌翼が塑性変形してしまうものあり、パッキングした現像剤を解すことが出来ても、十分な搬送・排出性能が得られなくなってしまい、実験終了後に現像剤補給容器内に残存する現像剤量が約20〜40g(初期の充填量比で約8〜16%)となるものもあった。
最後に第3の実験例として、前述した第2の実験例と同様に第1の翼部の位置については規定せず、容器の物流時の姿勢のみが画像形成装置本体に装着する姿勢から180°回転した姿勢で規制された場合を想定し、同様の実験を行った。
また容器天面部のパッキング現像剤が崩れない場合を再現するために、前記タッピング後、現像剤Tが崩れないよう慎重にセットし、実験を行った。
結果は、やはり前記第1の翼部が、容器天面部にパッキングした現像剤を充分に崩せず、回転を開始してもほとんど現像剤は排出されない状況であり、満足な排出性能は得られなかった。
また実験を繰り返す中では、前記撹拌部材の回転時の微振動などにより、容器天面部にパッキングした現像剤の一部が崩れる場合があった。そのような場合には初期の排出性については充分な性能が発揮できるものの、容器天面部に残ってしまった現像剤を崩すには至らず(または非常に時間がかかる)、結果として容器内に残留する現像剤量が約15〜20g(初期充填量に対して約6〜10%)になってしまうものもあり、充分な排出性能を有しているとは言い難い結果となった。
更に、過酷環境(40℃/90%)に10日間放置した後に、同様の実験を行ったところ、やはり容器天面部にパッキングした現像剤Tの大半が容器内に残留してしまい、満足な排出性能を得ることが出来なかった。また、本実験後、現像剤補給容器10を分解調査したところ、やはり前記第1の翼部16bがクリープ変形により大きく撓んだままとなってしまっていることが判明した。
以上説明したように、本実施形態によれば、現像剤補給容器10の梱包方法を、物流時の姿勢を画像形成装置本体に装着する姿勢とは異なる姿勢となるよう規制し、更に撹拌翼15の初期配置位置を前記撹拌部材15の回転軸線に垂直な断面において、現像剤補給容器10の内壁面のうち、前記排出開口部11aを基準として前記撹拌部材15の回転方向下流側にある側壁面に、前記第1の翼部16bが20mm接触するよう配置した状態に規制した。このようにすることで、画像形成装置本体装着時の姿勢に対して物流時の姿勢を変えるだけというコストアップすることのない簡便な方法にて、物流を経た現像剤補給容器10においても、ユーザーによる梱包箱30からの取り出しや画像形成装置本体100に装着するための姿勢変換、及び画像形成装置本体100への装着時の振動等により、容器10内にパッキングした現像剤Tを崩す、または崩すきっかけを与える効果が得られることから、現像剤Tのパッキングによる排出不良をより確実に防止できる。また現像剤補給容器10内の撹拌部材15は、第1の翼部16bが物流によりパッキングした現像剤と容器内壁面の間に予め設置されているため、万一上記操作によってもパッキングした現像剤Tが崩れなかった場合でも、パッキングした現像剤T中に撹拌部材15を侵入させ掻き崩す場合に比して格段に低いトルクで現像剤を崩す効果を発揮することが可能となる。従って、前記撹拌部材15の容器内壁への摺擦圧を大きくする必要がないことから、粗粒発生の心配のない、排出信頼性の高い現像剤補給容器10を提供できる。
また、撹拌部材15の回転中心から最も離れた容器内壁面まで届きうる第1の翼部16bにより、該容器内壁面に付着した現像剤を掻き落とすことが可能となるため、容器交換時の残留現像剤量を減ずることが可能となった。
また、前記第1の翼部16bが大きく変形した状態で長期間、物流/保管されることがないため、前記第1の翼部16bのクリープ変形を防止でき、前記第1の翼部16bの機能を損ねる可能性をなくし、更にはパッキングした現像剤Tを容易に崩すことが可能で、、長期間の放置や過酷な環境での放置にも耐えられる、非常に信頼性の高い現像剤補給容器を提供することが可能となった。
更には、撹拌部材15の回転中心位置の設定や、現像剤補給容器10の形状に関して設計自由度を増すことができ、また、画像形成装置本体100内のスペースを有効利用することが可能となったことから、スペース効率に優れる現像剤補給容器が提供でき、画像形成装置本体の省スペース化・コンパクト化に大きく寄与することが可能となった。
また、本実施形態に係る現像剤補給容器10は、図4や図6に示すように、撹拌部材15の回転軸線に垂直な方向において、前記撹拌部材15の回転中心から容器10の内壁面までの長さが前記現像剤排出開口部11aまでの長さよりも長い断面形状をなしている。具体的には、現像剤補給容器10は、前記撹拌部材15の回転中心から前記現像剤補給容器10内の最遠部までの距離が、前記撹拌部材10の回転中心から前記現像剤排出開口部11aまでの距離の1.3倍以上、且つ4.5倍以下である断面形状を有する。
本実施形態によれば、前述したように断面形状が異型であるような現像剤補給容器であっても、簡単な撹拌翼構成でコストアップを抑え、粗粒等の発生のない非常に排出性に優れた現像剤補給容器を提供できるようになった。また、第1の翼部16bが最も撓んだ場合でも、第2の翼部16aの現像剤搬送機能に影響することのない、また粗粒を発生させることのない信頼性に優れる撹拌部材15を有する現像剤補給容器10を提供することが可能となった。
また本実施形態では、図4に示すように、前記第1の翼部16bが接触している、梱包時の重力方向下側となる現像剤補給容器10の内壁面は、前記現像剤補給容器を前記画像形成装置本体に装着した時には重力方向上側となる壁面である。これにより、現像剤補給容器10を画像形成装置本体100に装着する操作によって、現像剤補給容器10の本体設置時の重力方向上側にパッキングした現像剤が崩れなかった場合であっても、前記第1の翼部16bが前記パッキングした現像剤Tと壁面の接触部を摺り切り、引きずり落とすような効果を有することから、低トルクで前述の効果をより確実に発揮することが可能となった。
〔第2実施形態〕
次に本発明に係る第2の実施の形態について、図7〜図9を用いて説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係る現像剤補給容器10の斜視図、図8は本発明の第2実施形態に係る現像剤補給容器10の撹拌軸に垂直な面での断面図、図9は本発明の第2実施形態に係る現像剤補給容器の物流/輸送時の梱包の様子を示す斜視図である。
本実施の形態の現像剤補給容器10は、画像形成装置本体100の設計上の制約により図7〜図9に示すように断面形状が斜めに傾いて、且つ、異型であるような現像剤補給容器10の例である。なお、本実施の形態においては、図9に示すように物流時(梱包時)の姿勢を前記画像形成装置本体に設置される際の姿勢から、前記撹拌部材の回転方向に、70°回転した状態で梱包した例を挙げて説明する。
ここで、本実施形態に係る現像剤補給容器10を用いて、第1実施形態と同様に現像剤Tの排出実験(充填量は本容器の場合も約250gであり、他の条件は前述した実施形態と同じ)を行ったところ、第1実施形態の現像剤補給容器と同等の排出性能を示し、残量も3.2g〜5.4gとほぼ同等の性能であった。また撹拌翼16の初期位置等の影響についても同様の結果となった。
本実施形態においても、現像剤補給容器10の梱包方法を、物流時の姿勢を画像形成装置に装着する際の姿勢とは異なる姿勢となるよう規制し、更に撹拌翼の初期配置位置を前記撹拌部材の回転軸線に垂直な断面において、現像剤補給容器10の内壁面のうち、現像剤排出開口部11aを基準として前記撹拌部材の回転方向下流側にある側壁面に、前記第1の翼部16bが20mm接触するよう配置した状態(図8のC寸法)に規制した。このように構成しても、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。