JP4208050B2 - 粉体塗料組成物、防錆塗膜を塗装する方法、自動車用鋼材 - Google Patents

粉体塗料組成物、防錆塗膜を塗装する方法、自動車用鋼材 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材の優れた防錆性を有する塗膜を形成するのに好適な粉体塗料組成物、ならびに防錆塗膜を塗装する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料、構造材料、各種機器、装置の部品等に用いられる鋼材は、錆の発生を防ぐために、防錆性塗膜の塗装がなされている。
従来、鋼材の防錆には、亜鉛を用いると非常に優れた効果が得られることが知られている。亜鉛メッキ、あるいは亜鉛微粒子を混合したジンクリッチプライマー(JIS K 5552)、厚膜形ジンクリッチペイント(JIS K 5553)等はその例であり、鉄よりもイオン化傾向の高い亜鉛が、犠牲防食により鋼材内部に水分、酸素等が及ぶのを防ぐ作用を有するものである。これらは、鋼材の表面に塗られ、そのまま用いられることもあるが、防錆性の維持や色あせの防止等のために、これらを下塗りした後に有機塗料を上塗りし、2層の塗膜を形成する場合がある。
【0003】
一方で、近年、環境問題への関心の高まりから、VOC(揮発性有機溶剤)の排出量が問題視されてきている。このため、塗料業界においてもVOCを低減する動向があり、無溶剤型の粉体塗料が開発されている。ジンクリッチペイントのような溶剤型の下塗り塗料を塗装した上に、上塗りとして粉体塗料を塗装する場合は以下のような問題点がある。下塗り塗料を塗装した後に、焼き付けをせずに粉体塗料を塗り重ねると、その後の焼き付けで塗膜内部から揮発する溶剤の影響で粉体塗料の塗膜の表面に外観の不具合を生じる。また、下塗り塗料と上塗り塗料との組み合わせによっては、下塗り塗料が含む溶剤に粉体塗料の樹脂が溶解し、外観の不具合のみならず、粉体塗料の性能を損ねることにもなる。
上記のような問題点の改善のために、例えば、特許文献1では、ビヒクルとしてフェノキシ樹脂を、防錆顔料として亜鉛粉末を含み、揮発性の高い溶剤を希釈溶剤として用いた一液型のジンクリッチプライマーを下塗りに用い、前記ジンクリッチプライマーを塗布し、次いで粉体塗料を塗り重ね、その後焼き付けを行う粉体塗装方法が提案されている。しかしながら、VOC排出量の低減、焼き付け塗装による塗膜の密着化を図る観点から、下塗りとして用いる防錆塗料も粉体塗料であることが好ましいといえる。
【0004】
特許文献2には、鋼製の被処理体に対して、亜鉛粒子を含む第1の粉体塗料と亜鉛を含まない第2の粉体塗料とを順次焼き付け塗装することにより、樹脂中に亜鉛粒子が分散した下塗り層と樹脂だけからなる上塗り層との2層からなる防食塗膜の塗装方法が提案されている。しかしながら、第1の粉体塗料に用いられる亜鉛粒子は、微細粒子状でもフレーク状でもよく、詳細な粒子性状の検討はなされていない。亜鉛粒子の性状は防錆塗膜の性能にもかかるため、更なる考察が必要である。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−218226号公報
【特許文献2】
特開平10−113613号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点に鑑み、本発明は、VOCの排出も無く、鋼材に対し優れた防錆性を発揮し、塗膜の密着性も良好な粉体塗料組成物を提供することを課題とする。また、当該粉体塗料組成物を用い、鋼材に対し優れた防錆塗膜を塗装する方法を提供する。更には、これらの塗装により塗膜が形成され、防錆性に優れた塗装体、及び自動車用鋼材を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、鋼材の下塗りに用いる粉体塗料組成物であって、亜鉛粉末と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、該亜鉛粉末は、平均粒径が4〜20μmで、平均粒径±2μmの粉末が全体の70%以上を占め、該粉体塗料組成物中の該亜鉛粉末の含有量が、40〜80wt%である粉体塗料組成物とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉体塗料組成物において、前記エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂である粉体塗料組成物とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、鋼材に、第1の粉体塗料を塗装し第1の塗膜を形成した上に、第2の粉体塗料を塗装して第2の塗膜を形成する防錆塗膜を塗装する方法であって、該第1の粉体塗料として、請求項1又は2に記載の粉体塗料組成物を用いる、防錆塗膜を塗装する方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の防錆塗膜を塗装する方法において、前記第1の粉体塗料及び前記第2の粉体塗料の塗装方法が静電粉体吹き付け法、又は静電流動浸漬法である、防錆塗膜を塗装する方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の防錆塗膜を塗装する方法において、前記第1の塗膜の膜厚が30〜200μmである、防錆塗膜を塗装する方法である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の防錆塗膜を塗装する方法によって防錆性の塗膜が形成された塗装体である。
請求項7に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の防錆塗膜を塗装する方法によって防錆性の塗膜が形成された自動車用鋼材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の粉体塗料組成物は、鋼材の下塗りに用いられる粉体塗料組成物であり、亜鉛粉末と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを少なくとも含有してなる。先ず、亜鉛粉末について詳細に説明する。
亜鉛粉末は、平均粒径が4〜20μmで、かつ、平均粒径±2μmの粉末が全体の70%以上を占めるものである。平均粒径、粒径分布は、遠心沈降法により測定される値である。このような亜鉛粉末に規定する理由は、亜鉛粉末の塗膜中での犠牲防食作用をより優れたものとするためである。被塗物が鋼材である場合、亜鉛粉末を含有する塗膜に、水分、酸素等が侵入すると、亜鉛と鉄の間で亜鉛を陽極として腐食電池が形成される。腐食のしやすさは、イオン化傾向の高い亜鉛であることから、塗膜中に高濃度に分散された亜鉛粉末が鋼材に代わって腐食される。これを犠牲防食と呼んでいるが、このような電気化学的な防食作用によって鋼材の変質を防いでいる。
本粉体塗料組成物において、亜鉛粉末の平均粒径が4μm未満であると、亜鉛粉末が小さいため、犠牲防食作用によって消費される量が多くなるため、長期に渡って防食性能を維持することが難しい。また、平均粒径が20μmを超えると、亜鉛の粒子間距離が大きくなり、また、塗膜を形成するための樹脂量が過剰となるため、腐食電池が良好に形成されず、犠牲防食効果が損なわれる。したがって、亜鉛粉末の平均粒径は4〜20μmであることがよく、より好ましくは、4〜10μm、一層好ましくは5〜8μmである。
また、亜鉛粉末は平均粒径±2μmの粉末が全体の70%未満であると、長期に渡って鋼材の腐食を防ぐことが難しい。したがって、本発明の粉体塗料組成物は、平均粒径±2μmの粉末が全体の70%以上を占める亜鉛粉末を用いるものである。より好ましくは、平均粒径±2μmの粉末が全体の80%以上を占めることが、優れた防錆性能を有する塗膜の形成にとって有利である。
【0011】
上記のような亜鉛粉末は、次のようにして得ることができる。周知の方法により、亜鉛を炉内で溶融し、送り出される亜鉛蒸気を急冷して粒子化する。得られた粒子は、複数の分級工程を経て所望の平均粒径の亜鉛粉末を得るが、本発明の粉体塗料組成物に用いられる亜鉛粉末は、特に、平均粒径±2μmの粉末が全体の70%以上を占めるように分級工程を設計して、これを行うものである。例えば、目標とする亜鉛粉末の平均粒径が8μmであるとすると、平均粒径6〜7μmに分級された亜鉛粉末の小粒径部分を更にカットすることで、粒径分布を上記の範囲とし、目標とする亜鉛粉末を得る。
【0012】
図1は、本発明の粉体塗料組成物に用いられる亜鉛粉末の粒径分布を示す図、図2は、従来のジンクリッチペイントに用いられる亜鉛粉末の粒径分布を示す図である。いずれも平均粒径は8μmである。上記した製造方法により得られる亜鉛粉末は、図1に示すように、粒径分布が極めて狭くなっていることが特徴的である。この図では、平均粒径±2μmの粉末が全体の80%以上を占めている。一方、図2に示す従来のジンクリッチペイントに用いられる亜鉛粉末は、粒径分布が広い。この図では、平均粒径±2μmの粉末が全体に占める割合は60%未満である。従来のジンクリッチペイントに用いられる亜鉛粉末に比べ、極めて粒径のそろった亜鉛粉末を用いる本発明の粉体塗料組成物は、長期に渡って鋼材の防錆性を維持することができるため、塗膜の性能向上を図ることができる。
【0013】
本粉体塗料組成物中の亜鉛粉末の含有量は、40〜80wt%である。亜鉛粉末の含有量が40wt%未満であると、塗膜中の亜鉛粉末の量が不足して腐食電池が良好に形成されず、犠牲防食効果が得られない。一方、亜鉛粉末の含有量が80wt%を超えると、樹脂成分が少なくなるため、素地である鋼材の上に本粉体塗料組成物と上塗り塗料とを塗り重ねたときの塗膜の十分な密着性が得られない。密着性を評価する試験として、本粉体塗料組成物を鋼材表面に塗った上に有機粉体塗料を上塗りし、形成された塗膜を、40℃の温水に浸漬した後乾燥させて、クロスカット法(JIS K 5400)により付着性を調べると、亜鉛粉末の含有量が80wt%を超える粉体塗料組成物を用いた場合、亜鉛粉末を含む下塗り塗膜と素地との界面から剥がれてしまう。これは、加温、潤湿、乾燥の影響によって上塗り塗膜に樹脂の収縮による内部応力が発生し、密着性の十分でない素地と下塗り塗膜の界面から剥離が生じるものである。
以上から、亜鉛粉末の含有量を80wt%以下とし、素地である鋼材との密着性を十分にし、上記のような環境下においても素地から下塗り塗膜が剥がれることがないようにする。
また、亜鉛の犠牲防食効果の観点から言えば、塗膜中の亜鉛粉末の含有量は高いほどよい。しかしながら、本粉体塗料組成物は下塗りとして用いるものであり、上塗りにより2層の塗膜を形成することで、上塗り塗膜が水分や酸素の侵入を防ぐため、亜鉛粉末の含有量が40wt%以上であれば十分な防錆性を得ることができる。
【0014】
本粉体塗料組成物に用いられるエポキシ樹脂は、軟化点75〜128℃、エポキシ当量600〜2200g/eqのビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することにより、鋼材素地との優れた密着性及び防錆性が得られる。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型が挙げられる。
エポキシ樹脂は、重量平均分子量が5000〜50000、より好ましくは10000〜30000のものが適している。
【0015】
硬化剤は、一般にエポキシ樹脂を含有する粉体塗料組成物に用いられるものであればよく、例えば、芳香族アミン、ジシアンジアミド、二塩基酸ヒドラジド、等のアミン系硬化剤、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤等が使用できる。硬化剤は、エポキシ樹脂に対して、0.6〜1.0当量加えられる。
また、この他にも、流れ調整剤や硬化促進剤等の添加剤を加えることができる。
【0016】
本粉体塗料組成物は、周知の方法により製造される。上記に示したエポキシ樹脂、硬化剤、亜鉛粉末に必要に応じて添加剤を加え、予備混合、混練の後、冷却して粉砕し、粒度を調整して粉体塗料組成物を得る。得られる粉体塗料組成物の粒径は、従来の粉体塗料組成物と同等でよく、10〜60μm程度である。
【0017】
本発明の防錆塗膜を塗装する方法は、第1の粉体塗料として上記の亜鉛粉末を含有する粉体塗料組成物を塗装し、第1の塗膜を形成した上に、第2の粉体塗料を塗装して第2の塗膜を形成するものである。第2の粉体塗料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が用いられ、目的に応じて着色剤を含有してなる。このうち、第1の塗膜との密着性の観点から、エポキシ樹脂単独か、又はエポキシ樹脂とアクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂を混合したものが好ましい。また、この他にカップリング剤、レベリング剤、滑剤等を適宜添加することができる。製造方法は、先にも示した周知の製造方法を用いることができ、所望の材料を予備混合、混練の後、冷却して粉砕し、粒度を調整して粉体塗料組成物を得る。
【0018】
第1の粉体塗料、第2の粉体塗料を塗装する方法としては、静電粉体吹き付け法、あるいは静電流動浸漬法を用いるのが好ましい。静電粉体吹き付け法で使用する粉体静電塗装機は、タンク等に貯えられた粉体塗料を吸引し、コロナ帯電ガン、あるいは摩擦帯電ガンによって粉体塗料粒子を帯電させて被塗物に吹き付け塗着させるものである。膜厚は、適宜コントロールすることができ、30〜500μmが適当である。特に、第1の塗膜の膜厚は、十分な防錆性と素地に対する密着性の兼ね合いから、30〜100μmが好ましい。
第1の粉体塗料を塗装した後に、120〜200℃で、5〜50分間焼き付けを行い、その後第2の粉体塗料を塗装し、同様にして120〜200℃で、5〜50分間焼き付けを行って2層の塗膜を形成させる。
上記のように2コート2ベークにより塗装する方法の他に、第1の粉体塗料を塗装した後に、焼き付けを行わず第2の粉体塗料を塗装する方法(2コート1ベーク)、また、第1の粉体塗料を塗装した後に、粉体塗料が溶融する程度の焼き付けを行い、第2の粉体塗料を塗装する方法(2コート1ハーフベーク1ベーク)により塗膜を形成させることもできる。
【0019】
被塗物は、金属材料、特に鉄鋼材を用いて構成される建造物の構造部品、各種機器、装置等の部品、鉄道車両、自動車等の部品等が挙げられる。本発明の防錆塗膜を塗装する方法を用いて塗膜を形成された塗装体は、耐候性が要求される環境下にあっても亜鉛粉末を含む第1の塗膜と素地との高い密着性により、優れた防錆性能を示す。これにより腐食疲労が発生することなく、信頼性の高い部材を提供することができる。
また、本発明の防錆塗膜を塗装する方法によって自動車用鋼材を塗装することで、高い防錆性を有する信頼性の高い鋼材を提供することができる。例えば、自動車用バネ材を例に挙げると、自動車走行中にバネ材には石等が当たり、キズが付くことがあるが、このようなキズから水分が入り込んでも、内部で形成される腐食電池の作用によって亜鉛の犠牲防食が起こり、バネ材を腐食させることはない。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1004F;ジャパンエポキシレジン社製)80重量部、硬化剤としてフェノール系硬化剤(エピキュア170;ジャパンエポキシレジン社製)20重量部に対し、流れ調整剤、硬化促進剤を適量添加し、平均粒径8μm、平均粒径±2μmの粉末量が80%の亜鉛粉末を、含有量が塗料全体の60wt%となるように加え、ヘンシェル(三井鉱山社製)で予備混合し、コニーダー(ブス社製)で混練り、冷却後粉砕、粒度調整を行って、平均粒径40μmの粉体塗料A−1を得た。
3.2×70×150(mm)のショットブラスト処理(Sa−2.0以上)した冷間圧延鋼板に静電粉体塗装機(GX5000;日本パーカライジング社製)によって粉体塗料A−1を塗装し、塗装後150℃の恒温器中で30分間焼き付けを行い、膜厚60μmの塗膜を形成した。引き続き、エポキシ樹脂とアクリル樹脂の混合物からなる粉体塗料Bを同じく静電粉体塗装機により塗装し、塗装後150℃の恒温器中で30分間焼き付けを行い、膜厚300μmの塗膜を形成した。
(実施例2)
平均粒径5μm、平均粒径±2μmの粉末量が80%の亜鉛粉末を、含有量が塗料全体の70wt%となるように加えた以外は、実施例1と同様にして塗料を調製し、粉体塗料A−2を得た。
また、実施例1と同様にして、冷間圧延鋼板に粉体塗料A−2、粉体塗料Bを用いた2層の塗膜を形成した。
【0021】
(比較例1)
平均粒径8μm、平均粒径±2μmの粉末量が60%の亜鉛粉末を、含有量が塗料全体の60wt%となるように加えた以外は、実施例1と同様にして塗料を調製し、粉体塗料A−3を得た。
また、実施例1と同様にして、冷間圧延鋼板に粉体塗料A−3、粉体塗料Bを用いた2層の塗膜を形成した。
(比較例2)
平均粒径8μm、平均粒径±2μmの粉末量が80%の亜鉛粉末を、含有量が塗料全体の30wt%となるように加えた以外は、実施例1と同様にして塗料を調製し、粉体塗料A−4を得た。
また、実施例1と同様にして、冷間圧延鋼板に粉体塗料A−4、粉体塗料Bを用いた2層の塗膜を形成した。
(比較例3)
平均粒径10μm、平均粒径±2μmの粉末量が80%の亜鉛粉末を、含有量が塗料全体の80wt%となるように加えた以外は、実施例1と同様にして塗料を調製し、粉体塗料A−5を得た。
また、実施例1と同様にして、冷間圧延鋼板に粉体塗料A−5、粉体塗料Bを用いた2層の塗膜を形成した。
【0022】
<塗膜の性能評価>
1)付着性
上記で塗膜を形成した試験片を40℃の温水に240時間浸漬し、恒温室(温度25℃、湿度65%)で24時間乾燥させた。その後の試験片についてJISK 5400に規定された付着性試験(5mm間隔、クロスカット法)を行った。評価は、塗膜の剥離のないものを「10点」とし、以下、剥離の度合いを5段階に区切って「8点」、「6点」、「4点」、「2点」、「0点」とした。尚、実用上問題ないのは8点以上である。
2)防錆性
上記で塗膜を形成した試験片について、試験片の中心にカッターで長さ100mmの素地に達するラインを引き、JIS K 5400に規定された耐塩水噴霧試験試験を1000時間行った。試験終了後、恒温室(温度25℃、湿度65%)に2時間放置した後、カットライン部に巾15mmのセロハン粘着テープを完全に付着させた後引き剥がし、カットラインからの錆巾(mm)を測定した。評価は、平均片側錆巾1.0mm未満を「10点」、以下、1.0mm以上2.0mm未満を「8点」、2.0mm以上3.0mm未満を「6点」、3.0mm以上4.0mm未満を「4点」、4.0mm以上を「0点」とした。尚、実用上問題ないのは8点以上である。
【0023】
実施例1、2及び比較例1、2、3の塗膜の性能評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004208050
【0024】
粉体塗料Aの亜鉛粉末が、平均粒径4〜20μm、平均粒径±2μmの粉末量が70%以上であり、含有量が40〜80wt%の範囲にある実施例1及び2では、下塗り塗膜の素地に対する密着性、及び2層塗膜の防錆性はともに良好な結果を示している。
一方、比較例1は、平均粒径±2μmの粉末量が60%の亜鉛粉末を含有する粉体塗料A−3を用いており、下塗り塗膜の素地に対する密着性は十分であるが、2層塗膜の防錆性が劣る結果を示している。また、比較例2は、粉体塗料A−4の亜鉛粉末含有量が30wt%であり、下塗り塗膜の素地に対する密着性は良好であるが、亜鉛粉末の含有量が少ないために防錆性が劣る結果を示している。更に、比較例3は、粉体塗料A−5の亜鉛粉末含有量が85wt%であり、防錆性には優れているが、亜鉛粉末の含有量が多いため下塗り塗膜の素地に対する密着性が低下する結果を示している。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の亜鉛粉末を含有する粉体塗料組成物を下塗り塗料として用い、上塗りを施して2層塗膜を形成することで、鋼材と塗膜との良好な密着性と、鋼材に対する優れた防錆性を得ることができる。また、本発明の粉体塗料組成物を用いて塗膜が施された塗装体は、防錆性に優れたものである。本発明の粉体塗料組成物によって塗膜を施された自動車用鋼材は、従来の自動車用鋼材と比較して極めて防錆性に優れ、信頼性の高い鋼材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗料組成物に用いられる亜鉛粉末の粒径分布を示す図である。
【図2】従来のジンクリッチペイントに用いられる亜鉛粉末の粒径分布を示す図である。

Claims (7)

  1. 鋼材の下塗りに用いる粉体塗料組成物であって、
    亜鉛粉末と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを少なくとも含有してなり、
    該亜鉛粉末は、平均粒径が4〜20μmで、平均粒径±2μmの粉末が全体の70%以上を占め、
    該粉体塗料組成物中の該亜鉛粉末の含有量が、40〜80wt%である
    ことを特徴とする粉体塗料組成物。
  2. 請求項1に記載の粉体塗料組成物において、
    前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である
    ことを特徴とする粉体塗料組成物。
  3. 鋼材に、第1の粉体塗料を塗装し第1の塗膜を形成した上に、第2の粉体塗料を塗装して第2の塗膜を形成する防錆塗膜を塗装する方法であって、
    該第1の粉体塗料として、請求項1又は2に記載の粉体塗料組成物を用いる
    ことを特徴とする防錆塗膜を塗装する方法。
  4. 請求項3に記載の防錆塗膜を塗装する方法において、
    前記第1の粉体塗料及び前記第2の粉体塗料の塗装方法は、静電粉体吹き付け法、又は静電流動浸漬法である
    ことを特徴とする防錆塗膜を塗装する方法。
  5. 請求項3又は4に記載の防錆塗膜を塗装する方法において、
    前記第1の塗膜の膜厚は、30〜200μmである
    ことを特徴とする防錆塗膜を塗装する方法。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載の防錆塗膜を塗装する方法によって防錆性の塗膜が形成された塗装体。
  7. 請求項3ないし5のいずれかに記載の防錆塗膜を塗装する方法によって防錆性の塗膜が形成された自動車用鋼材。
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