JP4207854B2 - スタータ - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載されたスタータは、アーマチャを収納するモータ室と電磁スイッチの内部空間(スイッチ室と呼ぶ)とを連通して換気経路の一部を構成する連通路を有し、この連通路が減速機構を収納するギヤ室の側方へ迂回して設けられている。これにより、減速機構で使用されるグリスがギヤの回転によって飛散しても、連通路がグリスによって塞がれることはなく、換気経路を確保できる。
また、スイッチ室とモータ室とが連通しているため、モータ室で発生するブラシ粉がスイッチ室に侵入する可能性があり、例えば、スイッチ室に侵入したブラシ粉がプランジャの摺動隙間等に入り込むことにより、電磁スイッチの作動不良を招く恐れがあった。
本発明のスタータは、クラッチを収容するクラッチ室を形成すると共に、始動モータと電磁スイッチとが組み付けられるハウジングを備えている。
このハウジングには、モータ接点が配置される電磁スイッチの内部空間(スイッチ室と呼ぶ)に通じる換気通路が形成され、この換気通路は、アーマチャが配置される始動モータの内部空間(モータ室と呼ぶ)およびクラッチ室を通ることなく、換気通路の一端側がスイッチ室に連通し、換気通路の他端側がハウジングの外部に連通している。
上記の構成によれば、スイッチ室に通じる換気通路がモータ室およびクラッチ室を通ることなく、ハウジングの外部に通じているので、クラッチ室で使用されるグリス、あるいはモータ室で発生するブラシ粉等が換気通路を通ってスイッチ室に侵入する恐れがなく、電磁スイッチのスイッチ作動に及ぼす悪影響を回避できる。
請求項1に記載したスタータにおいて、ハウジングは、互いの端面同士が軸方向に密着して組み合わされるフロントハウジングとセンタハウジングとで構成され、換気通路は、フロントハウジングとセンタハウジングとの合わせ面に設けられた中空状の肉盗み空間を利用して形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ハウジングの肉盗み空間を利用して換気通路を形成するので、新たに換気通路を設ける必要がなく、且つハウジング型によって肉盗み空間を形成できるので、換気通路を形成するために必要な部品費および加工費等のコストを低減できる。
請求項2に記載したスタータにおいて、センタハウジングには、換気通路の一部である換気孔がスイッチ室に通じて設けられ、換気孔の反スイッチ室側が、フロントハウジングとの合わせ面に開口して肉盗み空間に連通していることを特徴とする。
これにより、センタハウジングに換気孔を開けるだけで、肉盗み空間を利用した換気通路を容易に形成できる。
請求項2または3に記載したスタータにおいて、肉盗み空間は、フロントハウジングのみに複数箇所設けられ、それぞれの肉盗み空間が連通溝によって直列に連通していることを特徴とする。
この構成では、肉盗み空間と共に連通溝もハウジング型によって形成できるので、換気通路を形成するために要するコストを低く抑えることができる。
請求項2または3に記載したスタータにおいて、肉盗み空間は、フロントハウジングとセンタハウジングとにそれぞれ複数箇所設けられ、両者の肉盗み空間が一部重なった状態で互いにずれた位置に設けられることにより、迷路状の換気通路を形成していることを特徴とする。
この構成では、フロントハウジングに形成された肉盗み空間と、センタハウジングに形成された肉盗み空間とを利用して換気通路を容易に形成できる。また、換気通路を迷路状に形成することで、フロントハウジングの外部に開口する換気通路の他端側から雨水等が入り込んだ場合でも、換気通路を通ってスイッチ室まで浸水する可能性は極めて低く、スイッチ室への浸水防止にも効果がある。
請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、クラッチ室とスイッチ室とが軸方向に並んで設けられると共に、クラッチ室とスイッチ室との間に遮蔽部材が配置され、この遮蔽部材によってクラッチ室とスイッチ室との間が気密に遮断されていることを特徴とする。
この構成によれば、遮蔽部材によってクラッチ室からスイッチ室へのグリスの浸入を防止できるので、モータ室およびクラッチ室を通ることなく、スイッチ室とハウジングの外部とを連通する換気通路を設けたことと合わせて、電磁スイッチのスイッチ作動に及ぼす悪影響を更に回避できる。
請求項6に記載したスタータにおいて、
遮蔽部材は、シール機能を有するボールベアリングであることを特徴とする。
この場合、シール機能を有するボールベアリングによってクラッチ室からスイッチ室へのグリスの浸入を防止できる。ボールベアリングは、軸受として使用されているので、クラッチ室とスイッチ室との間を気密に遮断するために特別な部品を使用する必要がなく、既存のボールベアリングを利用することによって、低コストに対応できる。
請求項1〜7に記載した何れかのスタータにおいて、換気通路は、ハウジングの外部に連通する他端側が、スイッチ室より天地方向の上方位置に開口していることを特徴とする。この構成では、スイッチ室より高い位置に換気通路の他端側開口部を設けているので、例えば、スタータが深い水溜まり等に浸かる様な場合でも、水溜まりの水位が換気通路の開口部より低ければ、スイッチ室まで浸水することはなく、スイッチ室の換気を行うことができる。
実施例1に係るスタータ1は、回転力を発生する始動モータ2と、この始動モータ2の通電電流を断続すると共に、ロッド3を介して出力軸4をエンジン側(図1の左側)へ押し出す働きを有する電磁スイッチ5と、始動モータ2の回転動力を出力軸4に伝達する動力伝達手段(後述する)と、この動力伝達手段を収容するスタータハウジング(フロントハウジング6、センタハウジング7)等を備える。
モータハウジングは、前記ヨーク9と、このヨーク9の前側開口部を塞ぐセンタハウジング7と、ヨーク9の後側開口部を塞ぐエンドカバー12とで構成され、本発明のモータ室M(図3参照)を形成している。
スイッチハウジングは、前記センタハウジング7と一体に設けられた筒状のスイッチケース13と、このスイッチケース13に組み付けられる接点ケース14と、この接点ケース14の反スイッチケース側端面を閉塞するエンドプレート15とで構成され、これらの内部にスイッチ室Sを形成している。
モータ接点は、プランジャ17に取り付けられてプランジャ17と一体に可動する可動接点18と、外部端子19を介して始動モータ2の通電回路(図示せず)に接続される固定接点20とで形成され、可動接点18が固定接点20に当接して両接点間が導通することにより、モータ接点が閉状態となり、可動接点18が固定接点20から離れて両接点間の導通が遮断されることにより、モータ接点が開状態となる。
減速装置は、アーマチャ8の回転軸8aに設けられたドライブギヤ21と、このドライブギヤ21に噛み合うアイドルギヤ22、及びアイドルギヤ22に噛み合うクラッチギヤ23とで構成され、アーマチャ8の回転がドライブギヤ21→アイドルギヤ22→クラッチギヤ23へと伝達されて減速される。
この出力軸4の反スイッチ側端部には、エンジンのリングギヤ(図示せず)に回転力を伝達するためのピニオンギヤ27がスプライン結合されている。
このスタータハウジングには、動力伝達手段を収容するクラッチ室C(図1〜図3参照)が形成されると共に、前記スイッチ室Sに通じる換気通路が設けられている。
フロントハウジング6の端面(センタハウジング7との合わせ面)には、図2(a)に示す様に、減速装置のドライブギヤ21とアイドルギヤ22が配置される空間(クラッチ室Cの一部)の周囲に複数の肉盗み空間29が設けられ、これらの肉盗み空間29が連通溝31により直列に連通して通気路を形成している。連通溝31は、隣合う肉盗み空間29同士の間を区切る隔壁部の一部を溝状に型成形することにより設けられている。
換気通路の反スイッチ側端部は、通気路の他端側を形成する肉盗み空間29の一部がセンタハウジング7の外縁より外側に露出することで、フロントハウジング6の外部に通じている。この換気通路の反スイッチ側端部は、図1に示す様に、スイッチ室Sより天地方向の上方位置に開口している。
なお、エンジン始動に係わるスタータ1の動作は、従来より周知であり、ここでは説明を省略する。
実施例1に記載したスタータ1は、モータ室Mおよびクラッチ室Cを通ることなく、スイッチ室Sとフロントハウジング6の外部とを連通する換気通路を設けているので、減速装置やクラッチに使用されるグリス、あるいはモータ室Mで発生するブラシ粉等が換気通路を通ってスイッチ室Sに侵入する恐れがない。これにより、モータ接点(可動接点18、固定接点20)へのグリスの付着、あるいはプランジャ摺動部へのブラシ粉の侵入等を防止できるので、スイッチ手段の作動に及ぼす悪影響を回避できる。
さらに、換気通路は、フロントハウジング6の外部に連通する他端側が、スイッチ室Sより天地方向の上方位置に開口しているので、例えば、スタータ1が深い水溜まり等に浸かる様な場合でも、水溜まりの水位が換気通路の開口部より低ければ、スイッチ室Sまで浸水することはなく、スイッチ室Sの換気を行うことができる。
また、クラッチ室Cとスイッチ室Sとは、一方のボールベアリング33を介して軸方向に配置されている。この場合、ボールベアリング33の隙間を通じてクラッチ室Cで使用されるグリスがスイッチ室Sへ浸入する恐れがある。そこで、本実施例では、一方のボールベアリング33にシール機能を持たせることで、クラッチ室Cとスイッチ室Sとの間を気密に遮断している。
また、ボールベアリング33は、軸受として使用されているので、クラッチ室Cとスイッチ室Sとの間を気密に遮断するために特別な部品を使用する必要がなく、既存のボールベアリングを利用することによって、低コストに対応できる。
実施例1では、フロントハウジング6のみに肉盗み空間29を設けているが、フロントハウジング6とセンタハウジング7の両方に肉盗み空間29を設けることも可能である。この場合、両者の肉盗み空間29を一部重なった状態で互いにずれた位置に設けることにより、迷路状の換気通路(通気路)を形成することができる。その結果、フロントハウジング6の外部に開口する換気通路の他端側から雨水等が入り込んだ場合でも、迷路状の換気通路を通ってスイッチ室Sまで浸水する可能性は極めて低く、スイッチ室Sへの浸水防止にも効果がある。
また、実施例1では、アーマチャ8の回転速度を減速する減速装置を用いているが、減速装置を持たないスタータにも本発明の換気通路を適用できる。
さらに、実施例1では、シール機能を有するボールベアリング33を本発明の遮蔽部材として用いているが、遮蔽部材として、ボールベアリング33以外の別部品を使用する、あるいは別部品とボールベアリング33とを併用することも可能である。
2 始動モータ
4 出力軸
6 フロントハウジング(ハウジング)
7 センタハウジング(ハウジング)
8 アーマチャ
18 可動接点(モータ接点)
20 固定接点(モータ接点)
24 クラッチアウタ(クラッチ)
25 スプラインチューブ(クラッチ)
26 ローラ(クラッチ)
29 肉盗み空間(換気通路)
30 換気孔(換気通路)
31 連通溝(換気通路)
33 ボールベアリング(遮蔽部材)
C クラッチ室
M モータ室
S スイッチ室
Claims (8)
- 始動電流の供給を受けてアーマチャに回転力を発生する始動モータと、
この始動モータの通電回路に介在されるモータ接点を開閉操作する電磁スイッチと、
前記アーマチャに発生する回転力を出力軸に伝達するクラッチと、
このクラッチを収容するクラッチ室を形成すると共に、前記始動モータと前記電磁スイッチとが組み付けられるハウジングとを備えたスタータであって、
前記ハウジングには、前記モータ接点が配置される前記電磁スイッチの内部空間(スイッチ室と呼ぶ)に通じる換気通路が形成され、この換気通路は、前記アーマチャが配置される前記始動モータの内部空間(モータ室と呼ぶ)および前記クラッチ室を通ることなく、前記換気通路の一端側が前記スイッチ室に連通し、前記換気通路の他端側が前記ハウジングの外部に連通していることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記ハウジングは、互いの端面同士が軸方向に密着して組み合わされるフロントハウジングとセンタハウジングとで構成され、
前記換気通路は、前記フロントハウジングと前記センタハウジングとの合わせ面に設けられた中空状の肉盗み空間を利用して形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項2に記載したスタータにおいて、
前記センタハウジングには、前記換気通路の一部である換気孔が前記スイッチ室に通じて設けられ、前記換気孔の反スイッチ室側が、前記フロントハウジングとの合わせ面に開口して前記肉盗み空間に連通していることを特徴とするスタータ。 - 請求項2または3に記載したスタータにおいて、
前記肉盗み空間は、前記フロントハウジングのみに複数箇所設けられ、それぞれの肉盗み空間が連通溝によって直列に連通していることを特徴とするスタータ。 - 請求項2または3に記載したスタータにおいて、
前記肉盗み空間は、前記フロントハウジングと前記センタハウジングとにそれぞれ複数箇所設けられ、両者の肉盗み空間が一部重なった状態で互いにずれた位置に設けられることにより、迷路状の換気通路を形成していることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、
前記クラッチ室と前記スイッチ室とが軸方向に並んで設けられると共に、前記クラッチ室と前記スイッチ室との間に遮蔽部材が配置され、この遮蔽部材によって前記クラッチ室と前記スイッチ室との間が気密に遮断されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項6に記載したスタータにおいて、
前記遮蔽部材は、シール機能を有するボールベアリングであることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜7に記載した何れかのスタータにおいて、
前記換気通路は、前記ハウジングの外部に連通する他端側が、前記スイッチ室より天地方向の上方位置に開口していることを特徴とするスタータ。
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