JP4207603B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス型の液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
TFTをアクティブ素子とするアクティブマトリックス型の液晶表示素子は、枠状のシール材を介して接合され、前記シール材によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに向き合う内面のうち、一方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ接続された複数のTFTと、これらのTFTにゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート配線及びデータ配線を設け、他方の基板の内面に、前記複数の画素電極とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する対向電極を設けた構成となっている。
【0003】
このアクティブマトリックス型液晶表示素子では、TFTとゲート配線及びデータ配線が設けられた一方の基板に他方の基板の外方に張出す端子配列部を形成し、その端子配列部に前記ゲート配線及びデータ配線の端子部と対向電極用端子を設けるとともに、この一方の基板の内面に前記シール部に対応させて、前記対向電極用端子に接続されたクロス電極を設け、他方の基板の内面に設けられた対向電極と前記クロス電極とを、前記シール部内において、樹脂粒子を金属膜で被覆したクロス材を介して電気的に接続している。
【0004】
この種の液晶表示素子には、一方の基板の内面に設けられた複数のデータ配線の表面を陽極酸化させてそのTFT上の部分に前記TFTよりも表面高さが高いスペーサを形成し、これらのスペーサを他方の基板の内面に当接させて画素の液晶層厚を規定したもの(特許文献1参照)と、前記一方の基板の内面に設けられた複数のTFTの上にそれぞれ柱状スペーサを設け、これらのスペーサを他方の基板の内面に当接させて画素の液晶層厚を規定したもの(特許文献2参照)とがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平7―270826号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平8―234212号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶表示素子の画素の液晶層厚は、従来、4μm〜5μmに設定されていたが、フィールドシーケンシャル液晶表示装置に用いる液晶表示素子は、画素の液晶層厚を例えば1.5μm程度に小さくして応答速度を速くすることが望まれている。
【0008】
前記フィールドシーケンシャル液晶表示装置には、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型液晶表示素子が利用されている。
【0009】
しかし、アクティブマトリックス型液晶表示素子は、上述したように、TFTとゲート配線及びデータ配線が設けられた一方の基板に対向電極用端子とクロス電極を設け、他方の基板の内面に設けられた対向電極を、枠状のシール材によるシール部内においてクロス材を介して前記クロス電極に電気的に接続しているため、前記シール部の基板間ギャップが、前記クロス材の粒径により制約される。
【0010】
すなわち、この液晶表示素子の画素部の基板間ギャップは、一方の内面に設けられた画素電極と他方の基板の内面に設けられた対向電極との間の間隔であるが、前記シール部のクロス電極に対応する部分の基板間ギャップは、クロス材の粒径より小さくすることができず、現在の量産できる程度に入手可能なクロス材の最小粒径は数μmであるため、前記画素部の基板間ギャップは数μm以上になる。
【0011】
そのため、従来のカラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型液晶表示素子は、画素の液晶層厚を充分に小さくして応答速度を速くすることが難しい。
【0012】
この発明は、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型のものでありながら、画素の液晶層厚を充分に小さくして応答速度を速くすることができる液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示素子は、枠状のシール材を介して接合され、前記シール材によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに向き合う内面のうち、一方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ接続された複数のTFTと、これらのTFTにゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート配線及びデータ配線が設けられ、他方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、少なくとも前記複数の画素電極及びTFTに対応させて、前記TFTの頂部がめり込まされる有機物質からなる液晶層厚調整膜が設けられ、この液晶層厚調整膜の上に前記複数の画素電極とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する対向電極が設けられ、前記複数のTFTの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さは、前記TFTの頂部を前記液晶層厚調整膜に当接させたときの前記画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値に形成され、前記複数のTFTは、その頂部が前記電極間の間隔と前記液晶層厚との差分だけ前記液晶層厚調整膜にめり込んでいることを特徴とする。
【0014】
この液晶表示素子は、一方の基板の内面に設けられた複数のTFTの画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを、前記TFTの頂部を前記液晶層厚調整膜に当接させたときの前記画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値に形成し、対向電極を、他方の基板の内面のシール部で囲まれた領域に少なくとも前記複数の画素電極及びTFTに対応させて設けられた有機物質からなる液晶層厚調整膜の上に形成し、前記複数のTFTの頂部を前記液晶層厚調整膜に前記電極間の間隔と前記液晶層厚との差分だけめり込ませることにより前記画素の液晶層厚を前記予め定めた値に規定しているため、前記対向電極の複数の画素に対応する部分を、この対向電極の前記シール部に対応する部分よりも高くし、前記画素の液晶層厚を、前記一方の基板に設けられたクロス電極と前記対向電極とを接続するクロス材の粒径により制約される前記シール部の基板間ギャップよりも小さくすることができる。
【0015】
したがって、この液晶表示素子によれば、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型のものでありながら、画素の液晶層厚を充分に小さくして応答速度を速くすることができる。
【0016】
このように、この発明の液晶表示素子は、枠状のシール材を介して接合され、前記シール材によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに向き合う内面のうち、一方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、複数の画素電極とTFTとゲート配線及びデータ配線を設け、他方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、少なくとも前記複数の画素電極及びTFTに対応させて、前記TFTの頂部がめり込まされる有機物質からなる液晶層厚調整膜を設け、この液晶層厚調整膜の上に前記複数の画素電極とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する対向電極を設けるとともに、前記複数のTFTの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを、前記TFTの頂部を前記液晶層厚調整膜に当接させたときの前記画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値に形成し、前記複数のTFTの頂部を前記電極間の間隔と前記液晶層厚との差分だけ前記液晶層厚調整膜にめり込ませて前記画素の液晶層厚を前記予め定めた値に規定することにより、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型のものでありながら、画素の液晶層厚を充分に小さくして応答速度を速くすることができるようにしたものである。
【0017】
この発明の液晶表示素子においては、前記TFTを構成するゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体膜と、ソース,ドレイン電極と、オーバーコート絶縁膜とのうち、前記ゲート電極とソース,ドレイン電極のいずれかと前記オーバーコート絶縁膜の少なくとも一方の膜厚を調整することにより、このTFTの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを所定の値に形成するのが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はこの発明の一実施例を示しており、図1は液晶表示素子の一部分の平面図、図2は前記液晶表示素子のTFT部の拡大断面図、図3は前記液晶表示素子のシール部のゲート配線が交差する部分の拡大断面図、図4は前記液晶表示素子のシール部のクロス電極に対応する部分の拡大断面図である。
【0019】
この液晶表示素子は、フィールドシーケンシャル液晶表示装置に用いられるものであり、カラーフィルタは備えていない。
【0020】
この液晶表示素子は、TFTをアクティブ素子とするアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、基本的には、枠状のシール材24を介して接合され、前記シール材24によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層26を挟んで対向する一対の透明なガラス基板1,2の互いに向き合う内面のうち、一方の基板、例えば表示の観察側とは反対側である後側の基板(以下、後基板と言う)1の内面の前記シール部で囲まれた領域に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の透明な画素電極3と、前記複数の画素電極3にそれぞれ接続された複数のTFT4と、これらのTFT4にゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート配線13及びデータ配線14が設けられ、他方の基板、つまり表示の観察側である前側の基板(以下、前基板と言う)2の内面に、前記複数の画素電極3とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する一枚膜状の透明な対向電極20が液晶層厚調整膜21を介して設けられた構成となっている。
【0021】
前記後基板1の内面に設けられた複数のTFT4は、図1及び図2に示したように、後基板1の基板面に形成されたゲート電極5と、このゲート電極5を覆って基板面の略全域に形成された透明なゲート絶縁膜6と、前記ゲート絶縁膜6の上にゲート電極5と対向させて形成されたi型半導体膜7と、このi型半導体膜7のチャンネル領域の上に形成されたブロッキング絶縁膜8と、前記i型半導体膜7の両側部の上にn型半導体膜9を介して形成されたソース電極10及びドレイン電極11と、前記i型半導体膜7及びソース,ドレイン電極10,11を覆うオーバーコート絶縁膜12とにより構成されている。
【0022】
なお、図2では前記TFT4のソース電極10とドレイン電極11を単層膜のように示しているが、このソース電極10とドレイン電極11は、n型半導体膜9とのコンタクト層であるクロム膜と、その上に形成されたアルミニウム系合金膜とからなっており、前記ゲート絶縁膜6とブロッキング絶縁膜8とオーバーコート絶縁膜12はSiN(窒化シリコン)からなっている。
【0023】
また、前記複数の画素電極3は、ITO等の透明導電膜からなっており、前記ゲート絶縁膜6の上に形成され、その一端側の縁部においてその画素電極3に対応するTFT4のソース電極10に接続されている。
【0024】
そして、前記複数のTFT4の前記画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さは、このTFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に当接させたときの前記画素の対向する電極3,20間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚dよりも大きい値になるように形成されている。
【0025】
この実施例では、前記TFT4を構成するゲート電極5と、ゲート絶縁膜6と、i型半導体膜7と、ブロッキング絶縁膜8と、n型半導体膜9と、ソース,ドレイン電極10,11及びオーバーコート絶縁膜12とのうち、前記ソース,ドレイン電極10,11とオーバーコート絶縁膜12の膜厚を調整することにより、このTFT4の前記画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さを所定の値に形成している。
【0026】
また、前記複数のゲート配線13は、後基板1の基板面に、各画素電極行の一側にそれぞれ沿わせて形成されており、前記TFT4のゲート電極5は、前記ゲート配線13に一体に形成されている。
【0027】
なお、この実施例では、図1に示したように、ゲート配線13の各画素電極3に対応する部分をTFT4のゲート電極5とするとともに、前記i型半導体膜7とn型半導体膜9およびソース,ドレイン電極10,11をゲート配線13の長さ方向に沿わせて横長に形成することにより、チャンネル幅の大きいTFT4を形成している。
【0028】
前記ゲート電極5及びゲート配線13は、基板面との段差を小さくするために、低抵抗のアルミニウム系合金膜により極く薄い膜厚に形成されており、その表面は、ゲート配線13の端子部13a(図3参照)を除いて陽極酸化処理されている。
【0029】
一方、前記複数のデータ配線14は、前記ゲート絶縁膜6の上に、各画素電極列の一側にそれぞれ沿わせて形成されており、各列のTFT4のドレイン電極11にそれぞれつながっている。
【0030】
このデータ配線14は、前記TFT4のソース,ドレイン電極10,11と同じ金属膜(クロム膜とその上に形成されたアルミニウム系合金膜との積層膜)により、前記ドレイン電極11と一体に形成されている。
【0031】
なお、前記TFT4のソース,ドレイン電極10,11と前記データ配線14は、その電気抵抗をできるだけ小さくするために、ゲート配線13よりも充分に厚い膜厚に形成されている。
【0032】
また、前記TFT4のi型半導体膜7とn型半導体膜9は、図1に示したように、TFT部分からデータ配線14のドレイン電極11とのつながり部にわたって形成されている。
【0033】
さらに、前記後基板1の内面には、前記ゲート絶縁膜6を介して各行の画素電極3の縁部にそれぞれ対向し、画素電極3との間に補償容量を形成する複数の補償容量電極15が設けられている。
【0034】
この補償容量電極15は、前記ゲート配線13と平行に形成されて各行の画素電極3のTFT接続側とは反対側の端縁部に対向する配線部と、この配線部からその一側に延長されて前記画素電極3の両側縁部に対向する延長部とからなっており、補償容量は、各画素電極3のTFT接続側とは反対側の端縁部及び両側縁部に沿わせて形成されている。
【0035】
また、前記複数の補償容量電極15の一端(配線部の一端)はそれぞれ、前記複数の画素がマトリックス状に配列している表示エリアと枠状のシール材24によるシール部との間の領域に延長されており、その延長端において、前記ゲート絶縁膜6の上にデータ配線14と平行に設けられた図示しない1本の容量接続配線に共通接続されている。
【0036】
なお、前記補償容量電極15は、後基板1の基板面に、TFT4のゲート電極5及びゲート配線13と同じ金属膜(アルミニウム系合金膜)により形成されており、この補償容量電極15の表面も、前記容量接続配線に接続される延長端を除いて陽極酸化処理されている。
【0037】
また、前記容量接続配線は、データ配線14と同じ金属膜により形成されており、ゲート絶縁膜6に穿設されたコンタクト孔において複数の補償容量電極15の延長端に接続されている。
【0038】
さらに、前記TFT4のオーバーコート絶縁膜12は、複数の画素電極3にそれぞれ対応する部分を除いて、後基板1の略全域に形成されており、データ配線14及び容量接続配線と、各画素電極3のTFT接続部及び補償容量形成部は、前記オーバーコート絶縁膜12により覆われている。
【0039】
また、前記後基板1の行方向の一端と列方向の一側にはそれぞれ前基板2の外方に張出す端子配列部が形成されており、前記複数のゲート配線13の一端は図3に示したように行方向の端子配列部1aに導出され、その導出端に、図示しないゲート側駆動回路に接続される端子部13aが形成されている。
【0040】
一方、前記複数のデータ配線14と容量接続配線の一端は、図示しない列方向の端子配列部に導出されており、前記複数のデータ配線14の導出端には、図示しないデータ側駆動回路に接続される端子部が形成され、前記容量接続配線の導出端には、前記データ側駆動回路の基準電位に接続される端子部が形成されている。
【0041】
また、この実施例では、後基板1のシール部の内面レベルを前記シール部の全周にわたって均一にするため、複数のゲート配線13とデータ配線14及び容量接続配線のシール部と交差する部分をそれぞれ同じ積層構造にするとともに、この後基板1の端子配列部の無い縁部の内面にも、前記シール部に対応させて同じ積層構造の複数の疑似配線部を、ゲート配線13及びデータ配線14のピッチと同程度のピッチで設けている。
【0042】
前記複数のゲート配線13のシール部と交差する部分は、図3に示したように、ゲート絶縁膜6のゲート配線13上の部分に、データ配線14と同じ金属膜からなる疑似配線14aを形成した構造とされており、複数のデータ配線14及び容量接続配線の前記シール部と交差する部分は、図示しないが、基板面のデータ配線14及び容量接続配線下の部分に、前記ゲート配線13と同じ金属膜からなる疑似配線を形成した構造とされている。
【0043】
また、後基板1の端子配列部の無い縁部の内面に前記シール部に対応させて設けられた疑似配線部は、図示しないが、基板面に前記ゲート配線13と同じ金属膜からなる下層疑似配線を形成し、ゲート絶縁膜6の前記下層疑似配線上の部分に、前記データ配線14と同じ金属膜からなる上層疑似配線を形成した構造とされている。
【0044】
すなわち、前記複数のゲート配線13とデータ配線14及び容量接続配線の前記シール部と交差する部分と、端子配列部の無い縁部の内面に設けられた疑似配線部は、いずれも、ゲート配線13またはそれと同じ膜厚の疑似配線と、ゲート絶縁膜6と、データ配線14またはそれと同じ膜厚の疑似配線と、オーバーコート絶縁膜12とを積層した構造とされている。
【0045】
なお、前記ゲート配線13のシール部と交差する部分の疑似配線14aは、図3のように、ゲート配線13の端子配列部1aに導出された部分まで延長されており、前記ゲート絶縁膜6に前記ゲート配線13の導出部を露出させる開口を設けることにより、前記ゲート配線13の導出部の上に直接積層されている。
【0046】
また、前記データ配線14及び容量接続配線のシール部と交差する部分の疑似配線は、データ配線14及び容量接続配線の端子配列部に導出された部分まで延長されており、前記ゲート絶縁膜6に前記疑似配線の延長部を露出させる開口を設けることにより、前記データ配線14及び容量接続配線の導出部の下に直接積層されている。
【0047】
そして、前記ゲート配線13の前記疑似配線14aが積層された端子部13aと、前記データ配線14及び容量接続配線の前記疑似配線が積層された端子部はそれぞれ、前記オーバーコート絶縁膜12に開口を設けることにより露出されている。
【0048】
さらに、前記後基板1の内面には、図4に示したように、前記行方向の端子配列部1aと列方向の端子配列部のいずれかまたは両方に対向電極用端子16が設けられるとともに、前記シール部の1つまたは複数のコーナー部分に対応させて、前記対向電極用端子16にリード配線18を介して接続されたクロス電極17が設けられている。
【0049】
この対向電極用端子16とクロス電極17及びリード配線18は、前記ゲート配線13と同じ下層金属膜13bと、前記データ配線14と同じ上層金属膜14bとの積層膜からなっている。
【0050】
なお、前記下層金属膜13bと上層金属膜14bは、下層金属膜13bの上のゲート絶縁膜6を除去することにより直接積層されており、前記対向電極用端子16とクロス電極17は、オーバーコート絶縁膜12に開口を設けることにより露出されている。
【0051】
また、前記後基板1の内面には、前記シール部よりも内側の領域の略全域に、前記複数の画素電極3及びオーバーコート絶縁膜12を覆って配向膜19が設けられている。
【0052】
一方、前記前基板2の内面に設けられた対向電極20は、ITO等の透明導電膜からなっており、その外周縁が前記シール部の外周よりも僅かに内側に位置する外形に形成されるとともに、その1つまたは複数のコーナー部に、後基板1に設けられたクロス電極17と対向するクロス電極接続部が形成されている。
【0053】
また、この前基板2の内面には、前記シール部で囲まれた領域の略全域にわたって、有機物質からなる透明な液晶層厚調整膜21が設けられており、この液晶層厚調整膜21の上に前記対向電極20が形成されている。
【0054】
さらに、この前基板2の内面の前記シール部で囲まれた領域には、複数の画素以外の領域に対応する遮光膜22が設けられており、この遮光膜22を覆って前記液晶層厚調整膜21が形成されている。
【0055】
なお、前記遮光膜22は、前基板2の基板面に黒色の顔料を添加した感光性樹脂を塗布し、その樹脂膜をパターニングすることにより形成された樹脂遮光膜であり、充分な遮光性をもたせるために、1μm程度の膜厚に形成されている。
【0056】
また、前記液晶層厚調整膜21は、前記遮光膜22が形成された前基板2の内面上に、アクリル系樹脂等の透明度の高い感光性樹脂を塗布し、その樹脂膜を前記シール部で囲まれた領域の略全域に対応する形状にパターニングすることにより形成されている。
【0057】
この液晶層厚調整膜21は、基板上に塗布された感光性樹脂の自然流動(遮光膜22上の高い部分からその周囲の低い部分への流動)によりある程度平坦化した膜であり、その遮光膜22上を除く部分の膜厚は、前記遮光膜22上の部分の膜厚よりもある程度厚くなっている。なお、この液晶層厚調整膜21の遮光膜22上を除く部分と前記遮光膜22上の部分との膜厚の差は、前記遮光膜22の膜厚よりも小さい。
【0058】
さらに、この前基板2の内面には、前記シール部よりも内側の領域の略全域に、対向電極20を覆って配向膜23が設けられている。
【0059】
そして、前記後基板1と前基板2は、そのいずれかの内面に熱硬化性樹脂からなる枠状のシール材24を印刷し、両基板1,2を重ね合わせて加圧することにより、後基板1の内面に設けられた複数のTFT4の頂部を、前基板2の内面に設けられた遮光膜22と液晶層厚調整膜21と対向電極20との積層膜からなるTFT当接部に、両基板1,2の内面の配向膜19,23を介して当接させ、さらに前記TFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に図2のようにめり込ませることにより複数の画素の液晶層厚dを予め定めた値に規定し、その状態で前記シール材24を硬化させることにより接合されている。
【0060】
すなわち、前記TFT4のゲート電極5及びソース,ドレイン電極10,11は金属膜、i型及びn型半導体膜7,9はSi(シリコン)膜、ゲート絶縁膜6とブロッキング絶縁膜8とオーバーコート絶縁膜12はSiN膜であり、このTFT4の構成膜は全て無機物質からなっている。
【0061】
それに対して、前基板2の内面に設けられた液晶層厚調整膜21は、アクリル系樹脂等の有機物質により形成されており、この液晶層厚調整膜21の硬度は前記TFT4に比べて低いため、前記後基板1と前基板2を重ね合わせて加圧すると、前記TFT4の頂部が、前基板2の内面の配向膜23及び対向電極20を前基板2の凹入変形させて前記液晶層厚調整膜21にめり込む。
【0062】
したがって、両基板1,2を接合する際の加圧力を制御し、画素部の基板間ギャップ(ゲート絶縁膜6上に設けられた画素電極3と液晶層厚調整膜21上に設けられた対向電極20とが対向する領域の配向膜19,23間の間隔)が予め定めた値になるまで前記TFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21にめり込ませることにより、画素の液晶層厚dを前記予め定めた値に規定することができる。
【0063】
また、前記後基板1の内面に設けられたクロス電極17と前基板2の内面に設けられた対向電極20のクロス電極接続部は、図4に示したように、前記シール材24の前記クロス電極17に対応する部分に予め混入されたクロス材25を介して電気的に接続されている。
【0064】
なお、図4では前記クロス材25を一体物のように示しているが、このクロス材25は、球状の樹脂粒子を導電性金属膜で被覆した粒体であり、前記クロス電極17と対向電極20のクロス電極接続部との間に僅かに圧縮されて挟持され、前記クロス電極17と対向電極20とを導通性良く接続する。
【0065】
また、液晶層26は、前記シール材24を介して接合された両基板1,2間のシール部で囲まれた領域に、前記シール材24を部分的に欠落させて形成しておいた液晶注入口から真空注入法により液晶を充填することにより形成されており、前記液晶注入口は、液晶の充填後に封止されている。
【0066】
なお、この液晶表示素子は、例えばTN(ツイステッドネマティック)型のものであり、前記液晶層26の液晶分子は、後基板1及び前基板2の近傍における配向方向を前記配向膜19,23により規定され両基板1,2間において実質的に90度のツイスト角でツイスト配向している。
【0067】
この液晶表示素子は、後基板1の内面に設けられた複数のTFT4の画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さを、このTFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に当接させたときの前記画素の対向する電極3,20間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚dよりも大きくなる値にに形成し、対向電極20を、前基板2の内面のシール部で囲まれた領域に設けられた有機物質からなる液晶層厚調整膜21の上に形成し、前記複数のTFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21と対向電極20との積層膜に当接させて前記液晶層厚調整膜21に前記電極3,20間の間隔と前記液晶層厚dとの差分だけめり込ませることにより前記画素の液晶層厚dを予め定めた値に規定しているため、前記対向電極20の複数の画素に対応する部分を、この対向電極20の前記シール部に対応する部分よりも高く(一方の基板に近く)し、前記画素の液晶層厚dを、前記後基板1に設けられたクロス電極17と前記対向電極20とを接続するクロス材25の粒径により制約される前記シール部の基板間ギャップよりも小さくすることができる。
【0068】
この実施例では、前基板2の内面に、複数の画素以外の領域に対応する遮光膜22を設けているため、後基板1の内面に設けられた前記TFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21にめり込ませたときの両基板1,2の基板面間の間隔dは、前記TFT4の厚さと前記遮光膜22と液晶層厚調整膜21と対向電極20及び配向膜19,23の膜厚との合計値から前記液晶層厚調整膜21へのTFT4のめり込み深さを差し引いた値になる。
【0069】
そして、前記遮光膜22は画素部には無いため、画素の液晶層厚d、つまり画素部の基板間ギャップは、前記両基板1,2の基板面間の間隔dから、ゲート絶縁膜6と画素電極3と液晶層厚調整膜21と対向電極20及び配向膜19,23の膜厚の合計値を差し引いた値になる。
【0070】
それに対して、前記シール部の基板間ギャップは、ゲート配線13及びデータ配線14と容量接続配線の交差部と、クロス電極17に対応する部分と、配線及びクロス電極17の無い部分とで異なる。
【0071】
すなわち、この実施例では、前基板の内面に設けられた遮光膜22と液晶層厚調整膜21と対向電極20のうち、対向電極20の外周縁部だけが前記シール部内に対向しており、また両基板1,2の内面の配向膜19,23も前記シール部で囲まれた領域内に設けられているため、前記シール部のゲート配線13及びデータ配線14と容量接続配線が交差している部分の基板間ギャップd(図3参照)は、前記両基板1,2の基板面間の間隔dから、ゲート配線13またはそれと同じ金属膜からなる疑似配線と、ゲート絶縁膜6と、データ配線14またはそれと同じ金属膜からなる疑似配線14aと、オーバーコート絶縁膜12と、対向電極20の膜厚の合計値を差し引いた値である。
【0072】
また、前記シール部のクロス電極17に対応する部分の基板間ギャップd(図4参照)は、前記両基板1,2の基板面間の間隔dから、前記クロス電極17を形成する2層の金属膜(ゲート配線13及びデータ配線14と同じ金属膜)13b,14bと対向電極20の膜厚の合計値を差し引いた値である。
【0073】
さらに、前記シール部の配線及びクロス電極17の無い部分の基板間ギャップは、前記両基板1,2の基板面間の間隔dから、ゲート絶縁膜6とオーバーコート絶縁膜12と遮光膜22及び対向電極20の膜厚の合計値を差し引いた値である。
【0074】
この実施例では、前記TFT4を、そのゲート絶縁膜6の上に設けられた前記画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さが予め定めた画素の液晶層厚dよりも大きくなるように、例えば1.63μmの厚さに形成している。
【0075】
なお、前記TFT4を構成する積層膜のうち、ゲート電極5の膜厚は0.23μm、ゲート絶縁膜6の膜厚は0.25μm、i型半導体膜7の膜厚は0.025μm、ブロッキング絶縁膜8の膜厚は0.1μm、n型半導体膜7の膜厚は0.025μmであり、これらの膜厚は通常のTFTと実質的に同じである。
【0076】
また、通常のTFTのソース,ドレイン電極の膜厚は0.425μm程度、オーバーコート絶縁膜の膜厚は0.2μm程度であるが、この実施例では、前記TFT4のソース,ドレイン電極10,11の膜厚を0.6μm、とオーバーコート絶縁膜12の膜厚を0.4μmと通常のTFTよりも厚くし、このTFT4を前記1.63μmの厚さに形成している。
【0077】
すなわち、この実施例は、TFT4を構成する積層膜のうち、ソース,ドレイン電極10,11とオーバーコート絶縁膜12の膜厚を調整することにより、前記TFT4の画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さを所定の値(TFT4の頂部を液晶層厚調整膜21に当接させたときの画素の対向する電極3,20間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚dよりも大きくなる値)に形成したものであり、前記TFT4の上層電極であるソース,ドレイン電極10,11とオーバーコート絶縁膜12の膜厚はいずれもTFT4の特性に影響しないため、前記TFT4の画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さを、TFT4の特性を変化させること無く前記所定の値に形成することができる。
【0078】
なお、TFT4の下層電極であるゲート電極5の膜厚もTFT4の特性に影響しないが、この実施例では上述したように、ゲート電極5を、基板面との段差を小さくするために、極く薄い膜厚に形成している。
【0079】
一方、前記画素電極3の膜厚は0.05μmであり、この画素電極3は膜厚が0.25μmのゲート絶縁膜6の上に形成されているため、前記1.63μmの厚さに形成されたTFT4の画素電極3上に突出する部分の高さは1.33μmである。
【0080】
そして、この実施例では、前基板2の内面に設けられた遮光膜(樹脂遮光膜)22を1μmの膜厚に形成し、この遮光膜22を覆って設けられた液晶層厚調整膜21を、前記遮光膜22上の部分の膜厚が3μm、他の部分(遮光膜22が無い部分)の膜厚が3.5μmになるように形成し、画素電極3上に1.33μmの高さに突出している複数のTFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に0.33μmの深さにめり込ませることにより、画素部の基板間ギャップ(ゲート絶縁膜6上に設けられた画素電極3と、液晶層厚調整膜21上に設けられた対向電極20とが対向する領域の配向膜19,23間の間隔)、つまり画素の液晶層厚dを1.5μmにしている。
【0081】
なお、前記液晶層厚調整膜21は、上述したように、感光性樹脂を塗布し、その樹脂膜をパターニングすることにより形成するが、前記遮光膜22上の部分の膜厚が3μm、他の部分の膜厚が3.5μmの液晶層厚調整膜21を形成するための前記感光性樹脂の塗布厚は、容易にコントロールできる範囲内であるため、前記液晶層厚調整膜21を精度良く前記膜厚に形成することができる。
【0082】
また、前記対向電極20の膜厚は0.14μm、配向膜19,23の膜厚はそれぞれ0.05μmである。
【0083】
そして、前記画素の液晶層厚dは、後基板1の内面にゲート絶縁膜6を介して形成された画素電極3と、前基板2の内面に設けられた対向電極20のうちの前記液晶層厚調整膜21の遮光膜21上を除く部分の上に形成された部分とが対向する領域の配向膜19,23間の間隔であり、前記液晶層厚調整膜21の遮光膜21上を除く部分の膜厚(3.5μm)は前記遮光膜22上の部分の膜厚(3μm)よりも0.5μmだけ厚いため、上記のように画素電極3上に1.33μmの高さに突出している複数のTFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に0.33μmの深さにめり込ませることにより規定される画素の液晶層厚dは1.5μmになる。
【0084】
このように、TFT4の厚さを1.63μm、前記液晶層厚調整膜21の膜厚を3μmとし、前記液晶層厚調整膜21へのTFT4のめり込み深さを0.33μmとして画素の液晶層厚dを1.5μmにしたときの両基板1,2の基板面間の間隔dは、前記TFT4の厚さ(1.63μm)と、遮光膜22と液晶層厚調整膜21と対向電極20及び配向膜19,23の総厚(1μm+3μm+0.14μm+0.05μm+0.05μm=4.24μm)との合計値から前記液晶層厚調整膜21へのTFT4のめり込み深さ(0.33μm)を差し引いた値、つまり5.54μmである。
【0085】
また、前記ゲート配線13の膜厚は前記TFT4のゲート電極5と同じ0.23μm、データ配線14の膜厚は前記TFT4のソース,ドレイン電極10,11と同じ0.6μmである。
【0086】
したがって、この実施例のように画素の液晶層厚dを1.5μmにしたとき、つまり両基板1,2の基板面間の間隔dを5.54μmにしたときの前記シール部のクロス電極17に対応する部分の基板間ギャップdは、3.9μmである。
【0087】
そのため、前記クロス電極17と対向電極20とを接続するクロス材25は、前記シール部のクロス電極17に対応する部分の基板間ギャップd(3.9μm)に、前記クロス電極17と対向電極20との間に挟持されることによる0.05〜0.25μm程度の圧縮変形量を加えた約4.0〜4.2μmの粒径のものでよく、この程度の粒径のクロス材は、現在の技術で簡単に製造することができる。
【0088】
したがって、この液晶表示素子によれば、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型のものでありながら、前記クロス電極17と対向電極20とを簡単に製造できるクロス材25を用いて接続し、しかも画素の液晶層厚dを例えば1,5μmに充分に小さくして応答速度を速くすることができる。
【0089】
また、この液晶表示素子の画素の液晶層厚dを1.5μmにしたとき、つまり両基板1,2の基板面間の間隔dを5.54μmにしたときの前記シール部の他の部分の基板間ギャップは、ゲート配線13及びデータ配線14と容量接続配線が交差している部分ではd=4.25μm、配線及びクロス電極17の無い部分(ゲート絶縁膜6とオーバーコート絶縁膜12だけの積層膜と対向電極20とが対向している部分)では5.08μmである。
【0090】
このように、この液晶表示素子は、前基板2の内面のシール部で囲まれた領域に膜厚が3μmと厚い液晶層厚調整膜21を設けているため、画素の液晶層厚dよりもシール部の基板間ギャップがはるかに大きく、したがって、前記シール部のクロス電極17に対応する部分と、ゲート配線13及びデータ配線14と容量接続配線が交差している部分と、配線及びクロス電極17の無い部分との基板間ギャップ比が、3.90:4.25:5.08と小さい。
【0091】
すなわち、前記液晶層厚調整膜21が無く、画素の液晶層厚とシール部の基板間ギャップとの差が小さい場合は、画素の液晶層厚を小さくするほど、つまりシール部の基板間ギャップが小さくなるほど、前記シール部における基板面間の間隔dに対する配線や絶縁膜の膜厚の割合が大きくなり、前記シール部の各部分の基板間ギャップ比が大きくなるが、前記シール部の基板間ギャップが大きければ、前記シール部における基板面間の間隔dに対する配線や絶縁膜の膜厚の割合が小さくなり、前記シール部の各部分の基板間ギャップ比が小さくなる。
【0092】
そして、後基板1と前基板2とを枠状のシール材24を介して接合する際の前記シール材24の潰れ量は、前記シール部の基板間ギャップが小さい部分ほど大きいが、前記液晶表示素子は、シール部の各部分の基板間ギャップ比が小さいため、これらの部分でのシール材24の潰れ量の差が小さく、したがって、前記シール材24の潰れ広がりをシール部の全周にわたって略均一にし、良好なシール形状を得ることができる。
【0093】
なお、上記実施例では、TFT4を図1及び図2に示した構造としているが、TFTは、例えば、ゲート電極とゲート絶縁膜とi型及びn型半導体膜とソース,ドレイン電極とを実施例とは逆の順に積層し、その上をオーバーコート絶縁膜で覆った構造としてもよい。
【0094】
その場合は、基板面に設けるソース,ドレイン電極を薄い膜厚に形成し、ゲート電極とオーバーコート絶縁膜の膜厚を調整することにより、TFTの画素電極3の電極面よりも突出する部分の高さを所定の値(TFTの頂部を液晶層厚調整膜21に当接させたときの画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値)に形成するのが望ましく、このようにすることにより、前記ソース,ドレイン電極と基板面との段差を小さくするとともに、前記厚さのTFTを、その特性を変化させること無く形成することができる。
【0095】
また、前記TFTは、ゲート電極とソース,ドレイン電極のいずれかとオーバーコート絶縁膜のうち、いずれか一方の膜厚を調整することにより、画素電極よりも突出する部分の高さが予め定めた画素の液晶層厚よりも大きい厚さに形成してもよい。
【0096】
また、上記実施例では、前記液晶層厚調整膜21を、シール部で囲まれた領域の略全域にわたって設けているが、この液晶層厚調整膜21は、複数の画素に対応する部分だけに設けてもよい。つまり、前記液晶層厚調整膜21は、シール部で囲まれた領域の少なくとも複数の画素に対応させて設ければよい。
【0097】
さらに、上記実施例では、TFT4を、画素電極3上に1.33μmの高さに突出する厚さに形成し、液晶層厚調整膜21を、遮光膜22上の部分の膜厚が3μm、他の部分の膜厚が3.5μmになるように形成するとともに、前記TFT4の頂部を前記液晶層厚調整膜21に0.33μmの深さにめり込ませることにより画素の液晶層厚dを1.5μmにしているが、前記画素の液晶層厚dは、前記TFT4の厚さ、つまり画素電極3上に突出する部分の高さと、前記液晶層厚調整膜21の遮光膜22上と他の部分の膜厚と、前記液晶層厚調整膜21へのTFT4のめり込み深さの少なくとも1つを変えることにより任意に設定することができる。
【0098】
また、この発明の液晶表示素子は、画素の液晶層厚dを小さくして応答速度を速くすることができるため、フィールドシーケンシャル液晶表示装置に好適であるが、白黒画像を表示する液晶表示装置に用いることもできる。
【0099】
さらにまた、この発明は、TN型の液晶表示素子に限らず、STN(スーパーツイステッドネマティック)型液晶表示素子、液晶分子を一方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向させたホモジニアス配向型液晶表示素子、強誘電性または反強誘電性液晶表示素子等にも適用することができ、また、補償容量電極15を備えないアクティブマトリックス液晶表示素子にも適用することができる。
【0100】
【発明の効果】
この発明の液晶表示素子は、枠状のシール材を介して接合され、前記シール材によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに向き合う内面のうち、一方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、複数の画素電極とTFTとゲート配線及びデータ配線を設け、他方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、少なくとも前記複数の画素電極及びTFTに対応させて、前記TFTの頂部がめり込まされる有機物質からなる液晶層厚調整膜を設け、この液晶層厚調整膜の上に前記複数の画素電極とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する対向電極を設けるとともに、前記複数のTFTの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを、前記TFTの頂部を前記液晶層厚調整膜に当接させたときの前記画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値に形成し、前記複数のTFTの頂部を前記電極間の間隔と前記液晶層厚との差分だけ前記液晶層厚調整膜にめり込ませるこよにより前記画素の液晶層厚を前記予め定めた値に規定したものであるため、カラーフィルタを備えないアクティブマトリックス型のものでありながら、画素の液晶層厚を充分に小さくして応答速度を速くすることができる。
【0101】
この発明の液晶表示素子においては、前記TFTを構成するゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体膜と、ソース,ドレイン電極と、オーバーコート絶縁膜とのうち、前記ゲート電極とソース,ドレイン電極のいずれかと前記オーバーコート絶縁膜の少なくとも一方の膜厚を調整することにより、このTFTの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを所定の値に形成するのが望ましく、このようにすることにより、前記TFTの画素電極の電極面よりも突出する部分の高さを、TFTの特性を変化させること無く前記所定の値に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す液晶表示素子の一部分の平面図。
【図2】 前記液晶表示素子のTFT部の拡大断面図。
【図3】 前記液晶表示素子のシール部のゲート配線が交差する部分の拡大断面図。
【図4】 前記液晶表示素子のシール部のクロス電極に対応する部分の拡大断面図。
【符号の説明】
1,2…基板、3…画素電極、4…TFT、5…ゲート電極、6…ゲート絶縁膜、7…i型半導体膜、8…ブロッキング絶縁膜、9…n型半導体膜、10…ソース電極、11…ドレイン電極、12…オーバーコート絶縁膜、13…ゲート配線、14…データ配線、15…補償容量電極、17…クロス電極、19…配向膜、20…対向電極、21…液晶層厚調整膜、22…遮光膜、23…配向膜、24…シール材、25…クロス材、26…液晶層。

Claims (2)

  1. 枠状のシール材を介して接合され、前記シール材によるシール部で囲まれた領域に設けられた液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに向き合う内面のうち、一方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ接続された複数の薄膜トランジスタと、これらの薄膜トランジスタにゲート信号及びデータ信号を供給する複数のゲート配線及びデータ配線が設けられ、他方の基板の内面の前記シール部で囲まれた領域に、少なくとも前記複数の画素電極及び薄膜トランジスタに対応させて、前記薄膜トランジスタの頂部がめり込まされる有機物質からなる液晶層厚調整膜が設けられ、この液晶層厚調整膜の上に前記複数の画素電極とそれぞれ対向する領域により複数の画素を形成する対向電極が設けられ、前記複数の薄膜トランジスタの前記画素電極の電極面よりも突出する部分の高さは、前記薄膜トランジスタの頂部を前記液晶層厚調整膜に当接させたときの前記画素の対向する電極間の間隔が予め定めた画素の液晶層厚よりも大きくなる値に形成され、前記複数の薄膜トランジスタは、その頂部が前記電極間の間隔と前記液晶層厚との差分だけ前記液晶層厚調整膜にめり込んでいることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 薄膜トランジスタは、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体膜と、ソース,ドレイン電極と、オーバーコート絶縁膜との積層膜からなっており、前記ゲート電極とソース,ドレイン電極のいずれかと前記オーバーコート絶縁膜の少なくとも一方の膜厚を調整することにより、この薄膜トランジスタの画素電極の電極面よりも突出する部分の高さが所定の値に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
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